トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り

【発明の名称】 混繊糸の製造法
【発明者】 【氏名】守谷 恭亮
【氏名】西田 郁春
【課題】吸湿性、肌ざわりの良いさらっとした風合いと繰り返し洗濯による寸法安定性の良い編織物を得ることのできる混繊糸の製造法を提供する。

【解決手段】異形断面の平均重合度400以上の再生繊維ステープルからなる粗糸を精紡機で紡出する際に、1〜3dのフィラメントからなるポリアミドマルチフィラメント糸を開繊して前記ドラフトされている粗糸に重ねて一緒に紡出する混繊糸の製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 異形断面の平均重合度400以上の再生繊維のステープルからなる粗糸を精紡機で紡出する際に、1〜3dのフィラメントからなるポリアミドマルチフィラメント糸を開繊しながら前記精紡機のフロントローラー直前上流から前記ドラフトされている粗糸に重ねて一緒に紡出して加撚して巻き取ることを特徴とする混繊糸の製造法。
【請求項2】 平均重合度400以上の再生繊維がポリノジック繊維である請求項1に記載の混繊糸の製造法。
【請求項3】 異形断面が異形度0.10〜0.95の異形断面である請求項1又は2に記載の混繊糸の製造法。
【請求項4】 異形断面が三角形断面である請求項1又は2に記載の混繊糸の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、婦人用のインナー、ジャケット、パンツなどに好適に用いられる寸法安定性に優れ、肌ざわりが良く、吸湿性に富んだ混繊糸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、綿繊維、羊毛繊維などはポリエステルフィラメントと混繊して複合糸として用いられてきた。例えば、特公昭54−13537は、ポリエステル系フィラメントと綿繊維との複合糸を開示している。この複合糸は、綿とポリエステル系フィラメントとの両者の特徴を遺憾なく発揮した糸として優れたものである。しかしながら、この複合糸といえども用途によっては、不向きな場合もあった。例えば、婦人用のインナーなどには吸湿性の少ないポリエステル系フィラメントよりもポリアミドフィラメントの方が好ましいが、寸法安定性が悪く、そのためポリアミドフィラメントが用いられることはなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ポリアミドフィラメントと組み合わせる繊維を選択することによって、かかる問題を解決しうるか否かを鋭意研究の結果開発されたもので、ポリアミドフィラメントと特殊な再生繊維と組み合わせて、婦人用のインナー、ジャケット、パンツなどに好適に用いられる寸法安定性に優れ、肌ざわりが良く、吸湿性に富んだ混繊糸の製造法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために次の手段をとるものである。すなわち、本発明は、異形断面の平均重合度400以上の再生繊維のステープルからなる粗糸を精紡機で紡出する際に、1〜3dのフィラメントからなるポリアミドマルチフィラメント糸を開繊しながら前記精紡機のフロントローラー直前上流から前記ドラフトされている粗糸に重ねて一緒に紡出して加撚して巻き取ることを特徴とする混繊糸の製造法である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、平均重合度400以上の再生繊維がポリノジック繊維であること、異形断面が異形度0.10〜0.95の異形断面が三角断面であることも好ましい実施の形態である。
【0006】ポリアミドフィラメントと混繊される再生繊維は異形断面で平均重合度400以上でなければならない。これは、ヌメリ感がなく肌ざわりの良いさわやかなタッチと洗濯などの寸法安定性を得るためである。
【0007】再生繊維として、ポリノジック繊維、キュプラ繊維などが挙げられるが、そのうちでもポリノジック繊維が寸法安定性を得る上で好ましい。前記再生繊維は異形断面を有しなければならない。この異形断面は、ヌメリ感を解消し、ポリアミドフィラメントと混繊したときに空隙を増してポリアミドフィラメントの吸湿性と相俟って肌ざわりを良好なものとするものである。
【0008】異形断面の例としては、図1〜4に示すものが示され、図1はまゆ形断面を、図2は三角断面を、図3は変形四角断面を、図4は四角断面を示す。
【0009】異形断面の異形度は、異形断面の程度を示すもので、例えば図5に示されるように、外接円直径をT2 、内接円直径をT1 として、T1 /T2 で示される。
【0010】異形度が0.10未満になると、張り、腰が不足しがちになりやすく、且つヌメリ感のある風合いになりやすく、他方、0.95をこえると紡糸しにくくなって好ましくないので0.10〜0.95の範囲とするのが好ましい。さらに好ましくは0.2〜0.95、特に好ましくは0.2〜0.75である。
【0011】前記再生繊維は、繊度として0.7〜3デニールが好ましく、1〜3デニールがさらに好ましく、1.2〜2.5デニールが特に好ましい。0.7デニール未満になると、張り、腰が不足しがちで好ましくなく、他方3デニールをこえると風合が粗硬となって好ましくない。
【0012】平均繊維長としては、35mm以上が好ましく、上限としては51mm以下が好ましい。糸斑を下げるためである。
【0013】他方、前記再生繊維と混紡されるポリアミドフィラメントは、1〜3デニールの太さのものでなければならない。1デニール未満になると張り、腰が失なわれて好ましくない。
【0014】このようにして得られた混繊糸の太さは、10〜60Ne(英式綿番手)が好ましい。なお、前記再生繊維のステープルとポリアミドフィラメントの混繊割合(重量%)は、25〜75:75〜25が好ましい。再生繊維が25重量%未満になると吸湿性が悪くなり、風合いもフィラメントライクになって肌ざわりが悪くなって好ましくない。他方、75重量%をこえると混繊効果が悪くなって、張り、腰も劣ることになって好ましくない。
【0015】ここで、本発明の混繊糸の製造法について説明する。例えば、図6に示すように紡糸ノズル1、2、3を近接して設け、この紡糸ノズルから平均重合度400以上の再生繊維を紡出する。紡糸ノズルを2個、3個、4個と近接して設けることによりまゆ形、三角断面、四角断面の再生繊維を紡糸する。
【0016】ついで、このようにして製造した前記再生繊維のフィラメントの束をスタファホックスに供給してクリンプを製造する。不等長カットの場合には、フィラメントの束(トウ)をターボステープラに仕掛けてバリアブルカットするか、アッテネーターに仕掛けて、バリアブルカットしてステープルを製造する。
【0017】このようにして製造した原綿を混打綿工程に仕掛け、ついでカード、練条、粗紡、精紡工程をへて紡出する際に、ポリアミドフィラメントからなるマルチフィラメント糸を開繊して好ましく3000ボルト以上の電圧を付加して電気開繊して前記精紡機のフロントローラの上流に供給して紡出中のフリースに重ねて一緒にフロントローラから紡出して撚係数(インチ方式)3〜5の実撚をかけて混繊糸を製造する。
【0018】本発明の混繊糸は、ポリアミドフィラメントと特定の再生繊維からなり、常圧95℃で容易に染色されるので、該再生繊維が損なわれることもなく、高品位のものとなる。
【0019】
【実施例】以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。なお、実施例に用いた測定方法を下記に示す。
() 平均重合度JIS L 1015−1992の7.29の平均重合度にしたがい、王研式粘度計を用い、窒素気流で大気を断ちながら行なう。
【0020】() 異形度良く引き揃えた糸状サンプルのメタルセクションを作成し、描画装置付きの顕微鏡で倍率600倍の描画を行なう。なお、描画はN=100とする。100ケ所の描画について、テンプレートを使用して各々の内接円直径T1 、外接円直径T2 及びT1 /T2 を求め、平均値を異形度とする。
【0021】() 吸湿性10人の官能検査により、着用感で判断した。◎印は9人以上、○印は6〜8人、△印は4〜5人、×印は3人以下が吸湿性ありと判断した。
【0022】() 肌ざわり10人の官能検査により、着用感で判断した。◎印は9人以上、○印は6〜8人、△印は4〜5人、×印は3人以下が肌ざわりが良いと判断した。
【0023】() 寸法安定性JIS L 1042 F−1法により、洗濯機にたて45cm(L1 )×よこ45cm(L2 )のマークをつけた50cm×50cmの2枚の試験片が覆われるのに十分な量の約40℃の水を入れ、試験片2枚と他の布を合わせて1.36kgになるようにして、その中に投入し、同時にJIS K3303(粉末石鹸)(1種)のものを約0.1%溶液になるように加え、15分間運転する。続いて新しい約40℃の水に替えて5分間運転し、再び新しい水に替えて10分間運転する。排水後試験片を取り出して、吊し干し乾燥する。ついで、乾燥後の試験片のたてに相当するマークL1 ′、よこに相当するマークL2 ′を測定し、たてについては〔(L1 −L1 ′)/L1 〕×100の式により、よこについては〔(L2 −L2 ′)/L2 〕×100の式により、求めた値をそれぞれ2枚の平均値で求めた。
【0024】実施例1図6に示す紡糸口金(子孔1、2、3)を用いて図2に示す3角断面で平均重合度500以上の繊度2デニールのポリノジック繊維を製造した。子孔面積総和(mm2 )は、0.0058mm2 で、吐出量(g/min・孔)は840g/min・孔、剪断速度は2.4×104 sec-1であった。なお、紡糸速度(m/min)は23m/min、子孔群の孔長(mm)は1.8mm、吐出線速度(m/min)は15.3m/min、ノズルドラフトは1.0倍、L12、L23、L31は0.01mmにし、子孔群の数は27,000とした。このようにして所定の太さのトウにしてから、スタッファボックスにて38mm(等長)の原綿にした後、混打綿機に仕掛け、ついでカード、練条、粗紡に通し、さらに精紡機に通してフロントローラより紡出する際に、ナイロン6のマルチフィラメント糸(25d/14f、70d/48f、210d/96f)に5000Voltの電圧を印荷して開繊し紡出中の再生繊維のフリースに重ねて20'S/1(英式綿番手)の混繊糸を製造した。
【0025】ついで、該糸を経糸および緯糸に使用して経糸密度85本/インチ、緯糸密度65本/インチの生機密度で2/2ツイルを織成して、染色整理加工を施してフラノを得た。
【0026】
【表1】

【0027】表1から次のことが確認された。すなわち、NO1は吸湿性、肌ざわりは良好であるもののポリアミドフィラメントが少ないため寸法安定性が悪く、他方、NO5は寸法安定性が良いものの、ポリノジック繊維が少ないため吸湿性、肌ざわりが非常に悪かった。これに対しNO2〜4は、本発明の条件を満たし吸湿性、肌ざわりとも非常に良好でしかも寸法安定性に優れていた。
【0028】
【発明の効果】本発明の混繊糸の製造法によれば、婦人のインナー、ジャケット、コート、スラックス用として、吸湿性に優れ、肌ざわりが良好でさらっとした風合いと繰り返し洗濯による寸法安定性の良い織編物を得ることが混繊糸が得られる効果が奏する。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成8年(1996)9月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平10−102342
【公開日】 平成10年(1998)4月21日
【出願番号】 特願平8−258845