トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り

【発明の名称】 完全に配向されてないフイラメント−原糸にシックアンドシン効果を与えるための方法および装置
【発明者】 【氏名】ギュンター・ケーニッヒ
【課題】完全に配向されてないフイラメント糸にシックアンドシン効果を与えるための方法および装置を提供すること【手段】 得られた、所々完全に配向されてないフイラメント糸X(シックアンドシン効果を備えたフイラメント糸)を長さ全体にわたって完全に延伸されたフイラメント糸1′と合糸する。所々延伸されていないフイラメント糸Xを長さ全体にわたって完全に延伸されたフイラメント糸1′と結合するための装置8,8′,8″が設けられている

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項01】 延伸作業の際、完全に配向されてない原糸に対する延伸作用を繰返しかつ断続的に変えること、ことおよび/または原糸の長さ部分に対して作用するその延伸作用に対する抵抗力を繰返し増大させることにより行うフイラメント糸にシックアンドシン効果を与えるための方法において、得られた、所々完全に配向されてないフイラメント糸(X)(シックアンドシン効果を備えたフイラメント糸)を長さ全体にわたって完全に延伸されたフイラメント糸(1′)と合糸することを特徴とする方法。
【請求項02】 第一の製造段階において、所々延伸されていないフイラメント糸(X)と完全に延伸されているフイラメント糸(1′)とを製造し、第二の製造段階において両フイラメント糸を合糸することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項03】 第一の製造段階において、完全に延伸されているフイラメント糸(1′)を製造し、第二の製造段階において所々配向されてないフイラメント糸(X)を製造し、完全に延伸されているフイラメント糸(1′)と合糸することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項04】 唯一の製造段階において、所々配向されてないフイラメント糸(X)と完全に延伸されているフイラメント糸(1′)とを製造し、両糸を互いに合糸することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項05】 第一の製造段階において、低配向度を有するフイラメント−原糸(1)を高配向度を有するフイラメント−原糸(1″)と合糸し、第二の製造段階において両糸(1,1″)を一緒に延伸し、この際延伸比を高配向度を有するフイラメント−原糸(1″)が完全に延伸されるように選択することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項06】 唯一の製造段階において、低配向度を有するフイラメント−原糸(1)を高配向度を有するフイラメント−原糸(1″)と合糸し、両両糸(1,1″)を一緒に延伸し、この際延伸比を高配向度を有するフイラメント−原糸(1″)が完全に延伸され、かつ低配向度を有するフイラメント−原糸(1)が所々配向されてないフイラメント糸(X)に延伸されるように選択することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項07】 糸(X,1′;X,1″)の合糸を加撚により行うことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項08】 糸(X,1′;X,1″)の合糸を渦流スラッビング処理により行うことを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項09】 糸(X,1′;X,1″)の合糸を巻付けにより行うことを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】 入口給糸機構がフイラメント−原糸に対するその保持作用を繰返し時折中断するための装置を備えておりおよび/または延伸ゾーンにフイラメント−原糸の延伸に対する抵抗力の低減を一時的に中断するための装置が設けられている様式の、それぞれ入口給糸機構と出口給糸機構によって区画されている少なくとも一つの延伸ゾーンにおいて延伸される完全に配向されてないフイラメント糸にシックアンドシン効果を与える装置において、所々延伸されていないフイラメント糸(X)を長さ全体にわたって完全に延伸されたフイラメント糸(1′)と合糸するための装置(8,8′,8″)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項11】 装置が加撚装置(8)として形成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】 装置が巻付け装置(8″)として形成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項13】 装置が渦流スラッビング装置(8′)として形成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】 完全に配向されてないフイラメント−原糸(1)を所々延伸するための入口給糸機構(3)と出口給糸機構(6)とを備えている延伸機構(3,6)が設けられており、出口給糸機構(6)が同時に完全に延伸されかつ配向されたフイラメント糸(1′)のための給糸機構であることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項15】 僅かな配向度を有するフイラメント−原糸(1)を一緒に所々延伸し、かつ高い配向度を備えているフイラメント−原糸(1″)を完全に延伸するための延伸機構(6,6′)が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項16】 僅かな配向度を有するフイラメント−原糸(1)を別個に所々延伸しかつ高い配向度を備えているフイラメント−原糸(1″)を完全に延伸するためのそれぞれ一つの延伸機構が設けられており、両延伸機構が少なくとも一つの別個の入口給糸機構(2,2′;6)と唯一の共通の出口給糸機構(6′)を備えていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項17】 所々しか延伸されていないフイラメント糸(X)と完全に延伸されかつ配向されたフイラメント糸(1′)を一緒に供給するための給糸機構(2)が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸作業の際、完全に配向されてない原糸に対する延伸作用を繰返しかつ断続的に変えること、および/または原糸の長さ部分に対して作用するその延伸作用に対する抵抗力を繰返し増大させることにより行うフイラメント糸にシックアンドシン効果を与えるための方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記の様式の提案されている方法にあって、シックアンドシン糸において完全に延伸されてない糸部分が、それが結晶度に欠陥があることから、特に光の作用の下で急激に強度の減衰と伸びの減退現象が伴うことが知られている。この作用は特に光の作用に曝される製品にあって不利な結果を及ぼす。例えば、カーテンの引裂き強度は長年光線に強く曝されると元の引裂き強度の三分の一に減衰し、30%の引裂き伸び率は5%に減衰する。このことは著しい品質の劣化を意味する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】こう言ったことから本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載した様式の糸内のの完全に延伸されていないシック位置(太い位置)に不利な結果としてあらわれる強度に対する看過と減衰を決定的に排除することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の課題は本発明により、得られた、所々完全に配向されてないフイラメント糸(シックアンドシン効果を備えたフイラメント糸)を長さ全体にわたって完全に延伸されたフイラメント糸と合糸することによって解決される。シックアンドシン部分の生成は意識的に加減することにより調整することが可能である。シックアンドシン糸をキャリヤー糸で支持し、そのシック位置の光の作用による強度の減衰を阻止する方法は、そのシック位置を完全に延伸しないことにより達せられるシックアンドシン糸にも適用可能である。シックアンドシン糸の原材料としては、大抵程度の差こそあれ予め配向されたフイラメント−原糸が使用される。
【0005】両糸の合糸はシック位置の形成以前に或いは以後に、加撚すること、巻付けることにより、或いは渦流スラッビング処理することにより、並びに一工程で或いは二つの工程で行なわれる。本発明による他の有利な構成は請求項2から17に記載した。以下に添付した図面に図示した発明の実施の形態につき本発明を詳細に説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下の説明において“完全に配向されてない”と称されるフイラメント糸は、専門用語でLOY(低配向糸)、MOY(中配向糸)、POY(予備配向糸)、或いはHOY(高配向糸)と称される、異なった配向度を備えた原糸を意味しており、この原糸は貯蔵糸としては一般に完全に延伸されている、従って完全に配向されているいモノ−或いはマルチ−フイラメント糸を造るための中間糸として使用される。この目的のため、この中間生成物は次の作業工程にあって、糸モジュールの完全な配向が達せられる程度に延伸される。これに必要な延伸比は予備配向の度合いに依存している。
【0007】しかし、紡糸の際と異なり、この延伸による断面の低減は糸の全長にわたって均一に行なわれず、或る位置で始まって、糸が完全に延伸されるまで行なわれる。従って、僅か過ぎる延伸比で延伸を行なった際は、糸はアトランダムに分散して太い糸部分(延伸されていない、部分的にのみ配向されている)が生じるか、或いは細い糸部分(完全に延伸された、完全に配向された)が生じる。こう言ったことから、シックアンドシン位置の形成は完全に配向されてない原糸のこのような不完全な延伸を行うことによって可能である。
【0008】シックアンドシン位置の形成のための可能性は図1aに示した。この図から見られるように、給糸ボビン50から巻戻される完全に配向されてないフイラメント−原糸1は給糸ローラ対2を通り、駆動ローラ4と加圧ローラ5を備えているローラ対3に達し、更にゴテットローラ/中間ローラ−機構6に到達する。ローラ5は延伸ゾーンIの入口においてローラ対3の保持作用を短時間繰返し中断するために偏平成形部50を備えている。この際、ローラ対3と比較的大きな周速度で回転するゴテットローラ/中間ローラ−機構6とが概略図示したシック位置10を形成するための延伸ゾーンIを形成している。このようにして形成されたフイラメント糸Xは更にスレッドガイド7に走行し、そこから加撚装置8に達する。
【0009】図1による装置は、加圧ローラ5が円筒形に形成されていて、かつ延伸ゾーン内における給糸機構2と3″間の延伸比が“僅か過ぎる”ように、即ち原糸1がこの延伸ゾーン内において完全に延伸されない程度に調節した際、完全に配向されてないフイラメント−原糸の不完全な延伸を行うのに使用することが可能である。
【0010】通常使用されている撚糸機は上下動可能なリングレール内に固定されていてかつ糸により帯行されるロータ上を案内されている精紡リングから成る。この精紡リングからコップ13を担持していて回転駆動されるスピンドルが突出している。シック位置10を有する所々延伸されていないフイラメント糸Xは全長さにわたって完全に延伸されているフイラメント糸1′と合糸される。このフイラメント糸は給糸ボビン50′から巻戻され、ゴテットローラ/中間ローラ−機構6を経て走り、加撚装置8内で上記のフイラメント糸Xと加撚されて合糸される。このようにして互いに合糸された両糸Xと1′は巻取られてコップ13に形成される。
【0011】図1bによる発明の実施の形態にあっては、原糸1は−この原糸がシックアンドシン効果が付与されてフイラメント糸Xに延伸される−この場合もゴテットローラ/中間ローラ−機構6を経て走る。この原糸は完全に延伸されているフイラメント糸1′と渦流スラッビング処理のための装置8′によりスラッビング処理により合糸され、引続きボビン13′に巻取られる。渦流スラッビング処理のための、通常使用されているは装置は、糸が通過する圧縮空気が作用している室から成り、この室内で糸のフイラメントはこの糸に沿って間隔をもって渦流により互いに撚合わされてスラブに形成される。
【0012】図1cによる発明の実施の形態にあっては、両糸Xと1′を巻付けにより合体することの可能性を示している。この目的のため、巻付け装置8″にあっては、巻付けボビン17が使用されており、この巻付けボビンから、例えば全長で完全に延伸されているフイラメント−原糸1′が巻戻され、所々延伸されていないフイラメント糸Xの周囲に巻付けられる。巻付けボビン17は一般に回転駆動機構を備えている。
【0013】図1bと1cによる発明の実施の形態にあっては、図1aによる発明の実施の形態と同様に、この場合も延伸ゾーンIと給糸ローラ対2と二つの原糸給糸ボビン50と50′が設けられている。図1a、図1bおよび図1cに図示した発明の実施の形態による装置に共通なことは、供給される完全に配向されてないフイラメント−原糸1からシックアンドシン糸Xが造られ、その後既に前もって完全に延伸されているフイラメント−原糸1′と装置内で合体される。この合体された糸Xと1′の合糸は図1aにより加撚により、そして図1bにより渦流スラッビング処理により、そして図1cにより巻付けにより行なわれる。
【0014】図2aと図2bによる発明の実施の形態にあってはも、二つの原糸給糸ボビン50と50′が設けられて設けられており、これらの給糸ボビンから僅かな配向度を有するフイラメント糸1と、高い配向度、しかし完全に配向されていないフイラメント糸1″が巻戻される。両糸1と1″は図2aの発明の実施の形態にあっては、共通の給糸機構2の手前で既に合体されており、ゴテットローラ/中間ローラ−機構6,6′間において一緒に延伸工程が施される。
【0015】その際、延伸比は、高い配向度を有しているフイラメント−原糸1″が完全に延伸され、従ってキャリヤ糸となるように選択されている。僅かな配向度を有するフイラメント糸1はこの糸にとっては不完全な延伸工程により、延伸されていないままのシック位置を有するシックアンドシン糸Xに形成される。図2bによる発明の実施の形態により、両糸1と1″のための共通の給糸機構の代わりに、個別の給糸機構2と2′が設けられている。これにより、延伸ゾーンに供給される糸1と1″の予張力が個別に調整され、その時の処理要件に適合させることが可能である。もちろん、主延伸ゾーンも別個の入口給糸機構6を備えていることが可能である。しかし、その際共通の延伸は行なわれず、ただ同時の延伸のみが行なわれ、共通の給糸が行なわれるに過ぎない。これらの給糸機構2と2′は予延伸ゾーンの常に別個に働く入口給糸機構であり、ゴテットローラ/中間ローラ−機構6/6はその別個の出口給糸機構であり、また主延伸ゾーンの入口給糸機構でもあり、他方ゴテットローラ/中間ローラ−機構6′は主延伸ゾーンの常に共通に働く出口給糸機構である(図2d)。
【0016】延伸工程後の両糸Xと1″の合糸は図2aの発明の実施の形態においては、加撚装置8により行なわれるが、図2cによる発明の実施の形態にあっては、渦流スラッビング処理を行うための装置8′が設けられている。図3による発明の実施の形態にあっては、方法が二段階で行なわれている。第一の段階にあっては、図2aから図2cによる発明の実施の形態に関連して説明した様式の、異なった配向度を有する二本の原糸が、給糸ローラ対に供給され、図3aによる発明の実施の形態により装置8による加撚より、図3bによる発明の実施の形態により装置8′による渦流スラッビング処理により、図3cによる発明の実施の形態により装置8″による巻付けにより互いに合体され、巻取られてコップ13或いはクロスボビン13′に形成される。
【0017】図3cによる発明の実施の形態あっては、当該フイラメント糸、特に高い配向度を有しているフイラメント糸は給糸ローラ対2に供給されず、図1cによる発明の実施の形態に類似して巻付けボビン17から巻戻される。第一の段階で造られたコップ13或いはクロスボビン13′が原糸として使用される第二の段階においては、撚られた糸1,1′は、一段階による方法におけると同様に、図2aによる装置と類似してキャリヤ糸1′とシックアンドシン糸Xを有する撚られて延伸され、引続き巻取られてボビン13′に形成される。糸X,1′は既に第一の段階において互いに合糸されているので、この糸は第二の段階では巻付けられるだけでよい。もちろん、形成されたシックアンドシン糸をもう一度撚るか或いは渦流スラッビング処理してもよい。
【0018】シックアンドシン糸の長さ、相互の間隔および厚みは両糸X,1′の合糸の強度を加減することにより調整することが可能である。こうして、例えば単位長さ当たりの高い撚り、蜜なスラブ列および比較的高い巻付け数により僅か相互間隔を有するより短いシックアンドシン位置が達せられる。上記の発明の実施の形態にあっては、延伸の両方法段階(図2a、図3d)の少なくとも一つの方法段階、或いは両フイラメント糸素材の合糸(図1aから図1c)の少なくとも一つの方法段階は、一緒に一つの装置において行なわれ、この装置でフイラメント糸素材の一つの方法段階も行なわれる。もちろん、一方の装置でシックアンドシン糸を、そして他方の装置で完全に延伸されたフイラメント糸を製造し、これらの両フイラメント糸要素を他の装置で互いに合糸することも可能である。
【0019】この際、図3に図示した両方法段階は反対の工程順で行うことも可能である。図3dにより、別個の装置で完全に延伸されたフイラメント糸のボビン13′を、そしてシックアンドシン糸のボビン13′が造られる。引続き、これらの両ボビンは図3a或いは図3bにより一緒に給糸機構2と両フイラメント糸要素は合糸のための、この場合も加撚装置8(図3a)として、或いは渦流スラッビング装置8′(図3b)として形成されている装置に供給される。図3cによる発明の実施の形態にあっては、延伸装置で完全に延伸されたフイラメント糸素材は巻付けボビン1′において巻付けられ、次いでこのボビンからシックアンドシン糸との合糸が行なわれる。
【0020】
【発明の効果】本発明による上記のすべての方法によって得られる利点は、所々延伸されていないフイラメント糸Xから成る糸が長さ全体にわたって完全に延伸されているフイラメント糸と合糸され、従って起こり得る光による作用が決定的に低減されることである。
【0021】この本発明による方法におよび装置により、例えば光が作用しているにもかかわらずこの製品の強度値と伸び値が十分向上される。
【出願人】 【識別番号】390035471
【氏名又は名称】チンザー・テクスティルマシイネン・ゲゼルシャフトミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【出願日】 平成9年(1997)3月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史 (外2名)
【公開番号】 特開平10−1841
【公開日】 平成10年(1998)1月6日
【出願番号】 特願平9−70109