| 【発明の名称】 |
高ヤング率鋼材の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】久山 純司
【氏名】山本 祐義
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| 【要約】 |
【課題】24,000kgf/mm2 以上の高ヤング率鋼材の経済的かつ効率的な製造方法の提供。
【解決手段】(1)C:0.05〜0.5重量%とTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Mo の1種以上を計0.1〜3%含み長径 0.2μm以下のTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの炭化物が102〜105個/μm3のフェライト系鋼に押出比3以上の押出を含む加工をし、900〜1400℃で焼鈍する鋼材の製造方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】Cを0.05〜0.5重量%ならびにTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,WおよびMoのうち1種または2種以上を合計で0.1〜3重量%含み、長径0.2μm以下のTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,WおよびMoの炭化物粒子が合わせて102〜105個/μm3の密度で分散するフェライト系鋼に、押出比3以上の押出成形を含む加工を行い、加工後に900〜1400℃の温度域で再結晶熱処理を施すことにより<1,1,1>集合組織を発達させることを特徴とする高ヤング率鋼材の製造方法。 【請求項2】Cuを0.1〜2重量%含有するフェライト系鋼に析出熱処理を施し、長径0.2μm以下のCu粒子を102個/μm3 以上分散させた後、押出比3以上の押出加工を含む加工を行った後、再結晶熱処理を施すことにより<1,1,1>集合組織を発達させることを特徴とする高ヤング率鋼材の製造方法。 【請求項3】溶融状態の鋼をアトマイズ急冷法、もしくはロール急冷法、またはアトマイズ急冷法とロール急冷法とを組み合わせた急冷法により凝固させ、過飽和固溶体粉末もしくはリボンまたはフレークを作製し、さらに加圧成形することにより、押出加工用の鋼を得ることを特徴とする請求項1に記載する高ヤング率鋼材の製造方法。 【請求項4】溶融状態の鋼をアトマイズ急冷法、もしくはロール急冷法、またはアトマイズ急冷法とロール急冷法とを組み合わせた急冷法により凝固させ、過飽和固溶体粉末もしくはリボンまたはフレークを作製し、さらに加圧成形することにより、析出熱処理用の鋼を得ることを特徴とする請求項2に記載する高ヤング率鋼材の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、航空機、ロケット、産業用機械、ロボットなどの高剛性を必要とする構造用部材に使用される高ヤング率鋼材の製造方法に関する。より具体的には、例えば、軽量化または振動抑制を要求される自動車のクランクシャフト、ピストンピン、コンロッド、各種バルブ、また、機械のボ−ルネジ等の部品、その他ゴルフクラブのシャフト、競技用自転車フレーム等の素材の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】高剛性材料は、自動車部品や機械構造部材等に使用された場合、たわみ等の歪の発生を抑制し、部品の断面形状を小さくすることを可能とする。したがって、振動抑制または軽量化を図る構造部材に使用するための高剛性材料に対する要望は非常に強い。とくに鋼の高剛性化に対する要望は根強いものがあるが、現状、工業的規模で生産される実用に耐える高剛性鋼材は存在しないといってよい。以後の説明において“高ヤング率”と“高剛性率”とは同じことを意味する。 【0003】従来、合金元素添加や高ヤング率粒子の分散複合化により、材料の剛性向上が図られてきた。しかし、前者の場合、Fe基合金においては、Re添加によっても高々23,000〜22,000kgf/mm2 程度のヤング率しか得られず、後者の場合にも、Ti(C,N)粒子等の分散複合化によっても高々、24,000〜25,000kgf/mm2 のヤング率が得られるにすぎず、また延性および靭性の点からも十分とはいえない。 【0004】一方、鉄鋼材料、とくに鋼板では加工熱処理によりヤング率の高い結晶方位を特定方向に揃えること、つまり結晶方位を集積化することにより高剛性化を実現する手法が検討されてきた。すなわち、鋼板の製造において体心立方格子を有するフェライト系鋼の{1,1,1}面を鋼板表面に平行に集積化して圧延直角方向のヤング率を向上させる製造方法がそれである。 【0005】しかしながら、特開昭56−23223号公報や特開昭59−83721号公報に示されているように、従来は、5〜10%程度の加工率の加工を施した後に720〜900℃以下の温度で焼戻すか、または徐冷するものであり、集積度が小さく、ヤング率は高々23,000〜24,000kgf/mm2にすぎなかった。 【0006】これに対して、本発明者らは、粒子微細分散したフェライト鋼を熱間押出し、再結晶熱処理を施して押出方向に著しい<1,1,1>集合組織を形成させることによって、28,000kgf/mm2 レベルのヤング率を有する鋼材の製造に成功した(特願平4−58271号公報)。 【0007】すなわち,フェライト鋼中に粒子を微細に分散させた材料に強加工を加えると大量の加工歪、すなわち転位が導入され蓄積されるが、分散粒子は転位をピン止めする作用を持つため、熱間加工後の余熱によっては加工歪は解放されずに残留する。この歪エネルギ−は加工後の熱処理時に<1,1,1>集合組織を形成するための再結晶の駆動力となる。 【0008】微細分散粒子は、さらに、再結晶熱処理時には粒界移動をピン止めする効果を持ち、したがって再結晶温度を高温化する作用がある。再結晶温度の高い材料においては加熱昇温時に、ある温度を境にそれ以上で急激に再結晶を開始する結果、再結晶粒の方位が揃い、著しい<1,1,1>集合組織を形成するのである。 【0009】この特願平4−58271号公報においては、粒子分散方法として主にメカニカルアロイングという手法、例えば、フェライト組成の合金粉末と酸化物等の粉末をボ−ルミル等で混合撹拌し機械的に合金化する過程において粒子を微細分散させるという手法をとっていた。 【0010】しかしながら、この粒子分散方法では、数百kg/ch以上の量産を行おうとすると巨額の設備投資を要し、また設備の維持に多大な労力を必要とする等の問題点を有している。 【0011】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高ヤング率鋼材を量産するための効率的で品質の安定した製造方法を提案することにある。より具体的には、ヤング率が24,000kgf/mm2 以上の鋼材の効率的な製造方法を提供することにある。 【0012】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、メカニカルアロイングに代わる効率的な粒子分散プロセスの開発に取り組み、種々検討を重ねた結果、次の諸事項を確認した。 【0013】■CおよびTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moのうちの1種または2種以上を適正量含有するフェライト系鋼においては、凝固後にTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの炭化物の1種または2種以上が非常に微細に析出した粒子微細分散鋼が得られる。 【0014】■Cuを適量含有させたフェライト系鋼に適切な熱処理を施すとフェライトマトリックス中にCu粒子が微細に析出した粒子微細分散鋼が得られる。 【0015】■上述の粒子微細分散鋼を温間または熱間で押出加工して加工歪を蓄積した後、熱処理を施すと加工歪エネルギ−を駆動力とした再結晶が進行し、押出方向に著しい<1,1,1>再結晶集合組織が生成する。 【0016】■フェライト系鋼の<1,1,1>方位は最もヤング率の高い方位なので、上述の再結晶材の押し出し方向において、ヤング率で24,000kgf/mm2 以上、多くは28,000kgf/mm2 レベルの高ヤング率鋼材が得られる。 【0017】■上述のフェライト系鋼の凝固に際し、アトマイズ法やロ−ル急冷法を用いて急冷凝固処理をした場合、高ヤング率を得る上でさらに有利な粒子微細分散状態が得られる。 【0018】本発明は上記の事項を組み合わせることにより完成されたもので、つぎの高ヤング率鋼材の製造方法を要旨とする。 【0019】(1)C:0.05〜0.5重量%かつTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moのうち1種または2種以上を合計で0.1〜3重量%含み、その組織中に、凝固後、長径が0.2μm以下のTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの炭化物粒子が合わせて102〜105個/μm3の密度で分散するフェライト系鋼に、押出比3以上の押出成形を含む加工をし、加工後に900〜1400℃の温度域で再結晶熱処理を施すことにより<1,1,1>集合組織を発達させる高ヤング率鋼材の製造方法(〔発明1〕とする)。 【0020】(2)Cuを0.1〜2重量%含有するフェライト系鋼に析出熱処理を施し、長径0.2μm以下のCu粒子を102個/μm3 以上分散させた後に、押出比3以上の押出加工を含む加工をした後、再結晶熱処理を施すことにより<1,1,1>集合組織を発達させる高ヤング率鋼材の製造方法(〔発明2〕とする)。 【0021】(3)溶融状態の鋼をアトマイズ急冷法、もしくはロール急冷法、またはアトマイズ急冷とロール急冷法とを組み合わせた急冷法により凝固させ、過飽和固溶体粉末もしくはリボンまたはフレークを作製し、加圧成形し押出加工用の鋼を得る〔発明1〕に記載する高ヤング率鋼材の製造方法(〔発明3〕とする)。 【0022】(4)溶融状態の鋼をアトマイズ急冷法、もしくはロール急冷法、またはアトマイズ急冷とロール急冷法とを組み合わせた急冷法により凝固させ、過飽和固溶体粉末もしくはリボンまたはフレークを作製し、加圧成形し析出熱処理用の鋼を得る〔発明2〕に記載する高ヤング率鋼材の製造方法(〔発明4〕とする)。 【0023】上記〔発明1〕において、加工は押出比3以上の押出加工を含む加工であればどのような加工であってもよい。 【0024】通常、押出加工は棒状のものを作製することになるが、その後、圧延加工を施して板状の製品としたものも本発明には含まれる。その場合でも、再結晶熱処理時に押出加工の方向に〈1,1,1〉集合組織が形成される。 【0025】高ヤング率は、この押出加工方向に対してのみ高ヤング率であり、他の方向へはむしろ通常の鋼より低いヤング率となる。それでも、用い方によって十二分に効果を発揮するのでその要望はきわめて根強い。通常の鋼のヤング率22,000kgf/mm2は結晶方向に関して平均化された値である。 【0026】上記〔発明1〕および〔発明2〕において、フェライト系鋼とは体心立方格子からなる鋼をさすが、部分的にオーステナイト相を含んだり、またはマルテンサイトを含んだ混相組織であってもよい。 【0027】析出熱処理は、〔発明2〕においては必須である。 【0028】径0.2μm以下の分散粒子の密度は、〔発明1〕においては凝固後の密度であるが、〔発明2〕においては析出熱処理後の密度である。 【0029】0.2μmの長径とは、電子顕微鏡による薄膜観察において観察される粒子の最大径方向での径をさし、具体的な測定方法は後記する。 【0030】密度はその薄膜観察において観察される単位面積あたりの粒子密度と薄膜の厚さから計算される。薄膜観察は通常1つの材料あたり5個の薄膜をとってその測定結果の平均をとる。 【0031】押出比とは、押出加工前の断面積と押出加工後の断面積の比をさす。押出加工は温間または熱間での押出加工をさす。 【0032】再結晶熱処理とは{1,1,1}面を特定方向と垂直な面に揃えるために行う熱処理である。換言すれば、そのような目的を達成できれば特定の熱処理条件に制限されない。 【0033】一般に、押出や圧延等の強加工により歪の導入された微細組織を有する材料は熱処理により、歪エネルギ−を駆動力として、1次再結晶を開始し、格子欠陥のきわめて少ない結晶粒に埋めつくされる。1次再結晶を完了した材料は、さらに長時間または高温で熱処理することにより、粒界エネルギ−を駆動力とした1次再結晶粒の粗大化が開始し、きわめて粗大な2次再結晶粒組織を形成する。 【0034】本発明の場合、この一連の再結晶の過程において<1,1,0>押出集合組織は<1,1,1>2次再結晶集合組織に変化し、それにともなってヤング率は約22,000kgf/mm2から約29,000kgf/mm2にまで向上するのである。以後の説明において再結晶熱処理というとき、1次再結晶および2次再結晶の両方をふくむ再結晶を目的とする熱処理をさす。 【0035】 【発明の実施の形態】次に、本発明において鋼および製造条件を上述のように限定した理由について詳細に説明する。 【0036】1.鋼の化学組成本発明(〔発明1〕および〔発明2〕)において、鋼を体心立方格子の結晶構造を有するフェライト系鋼としたのは、フェライト鉄の単結晶で確認されているように<1,1,1>方向がもっともヤング率が高く、その値はほぼ、29,000kgf/mm2 であるからである。本発明におけるフェライト系鋼とは、たとえばCr,V,Si,Mo,Alのようなフェライト安定化元素を含有する鉄基の合金であって、鋼がフェライト相である限りにおいて、フェライト安定化元素の種類や含有率に制約されるものではない。 【0037】通常、上述のフェライト形成元素の1種または2種以上を次の範囲で含有することが望ましい。なお、これら元素は、いずれも含有しなくてもよい。以後の説明において、「%」は「重量%」をあらわす。 【0038】Cr:30%以下、V:5%以下、Mo:4%以下、Si:5%以下、Al:8%以下Crはフェライト相安定化のために含有させることが望ましいが、30%を超えると脆化および強度低下の原因となる。Vは5%を超えると、粒界への炭化物析出による脆化が発生する。Moは4%を超えると、σ相等金属間化合物の粒界析出が起き脆化が発生する。Siは5%を超えると鋼の熱間加工性を著しく低下させる。Alは8%を超えると、脆化および強度低下が起きる。 【0039】鉄と上記フェライト安定化元素との合金の典型例は、1種類のフェライト安定化元素を用いる場合は、Fe−14Cr、Fe−2V、Fe−3Si、Fe−4Mo(数値はいずれも重量%、以下同様)等が挙げられる。2種以上のフェライト安定化元素を用いる場合は、例えば、Fe−13Cr−1V、Fe−3Cr−1V−1Mo、Fe−1V−1Mo、Fe−3Cr−3Si、Fe−1Al−1Mo等が挙げられる。 【0040】本発明におけるマトリックス(析出物が生成する基地)は、主に高ヤング率を発現するフェライト相により構成されるものとするが、オ−ステナイト相やマルテンサイト相など他の相については、ヤング率が24,000kgf/mm2 未満とならない範囲ならば、混相組織となっても良い。 【0041】そのような混相組織も許容する組成を数値化した範囲として、フェライト系鋼の組成は下記の■式を満足することが望ましい。 【0042】 (Ni+30C+0.5Mn)-0.5(Cr+Mo+1.5Si+2.5V)+2≦0 ・・・・・■Ni等はいずれもこれらの合金元素の含有率(重量%)をあらわす。 【0043】これまでのマトリックスの説明は〔発明1〕および〔発明2〕に共通するものである。つぎに析出物を構成する合金元素について、それぞれに分けて説明する。 【0044】1−1)〔発明1〕の化学組成〔発明1〕においては、上述のフェライト安定化元素の他に、析出粒子を生成する合金元素として、Cを0.05〜0.5重量%、かつ、Ti,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上を合計で0.02〜0.5重量%含有させる。C,Ti,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上を含有する鋼は、凝固中にTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上のこれら元素含む炭化物を形成する。これらの炭化物相は、析出の際に凝集、粗大化を起こさずに微細分散する。このようにして得られた粒子微細分散鋼は、後述するように、その後の一連の加工熱処理によって集合組織を形成する上で望ましい粒子分散状態を有する。なお、上記の析出物には各合金元素と炭素からのみなる炭化物のほかに、合金元素が2種類以上含まれる複合炭化物も含むこととする。 【0045】Cを0.05〜0.5%含み、かつ、Ti,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上を合計で0.1〜3重量%含有させることとしたのは、Cが0.05%未満、またはTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上の合計が0.1%未満では炭化物粒子の分散密度が低いために、高集積度の集合組織を形成する上で必要とされる粒子分散状態が得られないからである。 【0046】一方、Cが0.5%を超えるか、またはTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上の合計が3%を超えると炭化物が粒界等に大量に析出して鋼が脆弱になるからである。 【0047】本発明はフェライト系鋼の有する特性を利用して、高剛性化を図るものであって、上述の組成を有する限りにおいて特に制限されないが、不可避的不純物も含め、次の範囲で他の合金元素を含有させてもよい。 【0048】Ni:5%以下、P:0.1%以下、S:0.1%以下、N:0.2%以下これらの元素は必ずしも含む必要はない。しかし、とくに靭性の向上を図る場合には、Niを含有するのが望ましい。Pは0.1%以下程度であれば許容される。これを超えると粒界等への析出により靭性の低下が認められる。Sも0.1%以下であれば靭性低下の度合いは許容される範囲内である。窒素は0.2%以下という少量の含有は強度を向上させるが、これを超えると靭性が低下する。 【0049】1−2)〔発明2〕の化学組成〔発明2〕においては、フェライト安定化元素の他に、析出粒子を構成する合金元素として、Cuを0.1〜2%含有させる。 【0050】Cuを適量含有したフェライト系鋼は適切な熱処理により、銅の粒子が微細に析出する。このための熱処理を析出熱処理と呼ぶが、その温度域は500〜800℃の温度域が望ましく、熱処理時間は1〜20時間が望ましい。析出熱処理温度が500℃未満ではCu粒子の析出が十分に起こらず、800℃を超えると析出したCu粒子の粗大化が起こり、また、析出熱処理が1時間未満ではCu粒子の析出が十分起こらず、一方、20時間を超えるとCu粒子の凝集粗大化が生じ転位等へのピン止め効果が減少することがあるからである。 【0051】このようにして得られた粒子微細分散鋼は、後述するように、その後の一連の加工熱処理によって集合組織を形成する上で望ましい粒子分散状態となる。 【0052】Cuを0.1〜2%としたのは、0.1%未満では高集積度の集合組織を得るための十分な銅粒子の分散状態が得られず、2%を超えると銅または銅の粒子が大量に析出し、後の再熱処理の際に粒界移動を著しく阻害するため高ヤング率を得るための高集積度の<1,1,1>集合組織が得られないからである。 【0053】本発明はフェライト系鋼の有する特性を利用して、高剛性化を図るものであって、上述の組成を有する限りにおいて特に制限されないが、不可避的不純物も含め、次の範囲の元素を含有させてもよい。 【0054】Ni:5%以下、W:5%以下、C:0.2%以下、Mn:1%以下、P: 0.1%以下、S:0.1%以下、Ti:2%以下、Nb:3%以下N:0.2%以下、酸素:0.2%以下これらの元素は必ずしも含む必要はないが、強度や靭性の向上を図る場合には、上記の範囲内でC,Mn,Ni,Wの元素を1種または2種以上含有させることが望ましい。 【0055】Niは靭性向上に有効である。Wは、5%までは固溶強化により強度を向上させるが、これを超えるとσ相等の金属間化合物を粒界に析出して脆化することがある。C,Mnは少量の含有で強度を向上させるのに有効である。Nb,Tiはそれぞれ少量でCを炭化物として固定し、フェライト相を安定化し、また析出強化により硬度向上が期待できる。 【0056】さらに、P,Sは0.1%以下程度であれば許容されるが、これを超えると粒界等への析出により靭性の低下が起きる。 【0057】酸素、窒素はそれぞれ0.2%以下という少量の含有は強度を向上させるが、これを超えると靭性が低下することがあるので0.2%以下とすることが望ましい。 【0058】2.析出熱処理と分散粒子2−1)〔発明1〕の場合粒子分散状態については、具体的には、Ti,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの炭化物粒子の1種または2種以上のうち、0.2μm以下のものが凝固後に102〜105個/μm3の密度で分散していることが必要である。0.2μm以下の粒子に限定したのは、0.2μmを超える粒子は熱処理時の転位や粒界のピン止作用への寄与が小さいために、<1,1,1>集合組織形成による高ヤング率化に対しては実質的に効果を持たないからである。粒子はその最大径が0.2μm以下であればカウントの対象になるが、10万倍の薄膜電子顕微鏡観察で観測できない径の粒子はカウントしない。 【0059】分散密度を102〜105個/μm3の範囲に限定した理由は次の通りである。102個/μm3 未満では、加工時の歪エネルギ−の蓄積が不足し、再結晶熱処理時にこの歪エネルギ−を駆動力とする1次再結晶が充分に進行しない。また、102個/μm3 未満の場合、やはり熱処理時に粒界のピン止力が充分に発揮されず、高温で形成する<1,1,1>2次再結晶集合組織が形成しない。したがって、102個/μm3 未満の粒子分散密度では、高ヤング率は得られない。 【0060】105個/μm3 を超える場合、ピン止力が強力になりすぎるために高温の熱処理によっても粒界移動が進行せず、その結果高ヤング率化に必要な高集積度の<1,1,1>再結晶集合組織が形成しないからである。凝固後に得られる102〜105個/μm3の粒子分散密度は後の押出を含む一連の加工後も保存され、熱処理に供するまでは実質的に変化しない。 【0061】2−2)〔発明2〕の場合〔発明2〕においては、粒子分散状態については、析出熱処理後に銅粒子のうち0.2μm以下のものが、102個/μm3 以上の密度で分散していることが必要である。0.2μm以下の粒子に限定したのは、0.2μm超の粒子は生成数が少なく、熱処理時の転位と粒界のピン止作用への寄与が小さいために、<1,1,1>集合組織形成による高ヤング率化に対しては実質的に効果を持たないからである。 【0062】粒子の分散密度を102個/μm3 以上に限定した理由を以下に説明する。すなわち、102個/μm3 未満の場合、加工時の歪エネルギ−の蓄積量が不足するため、これを駆動力とする再結晶が充分に進行せず、高ヤング率化に必要な<1,1,1>再結晶集合組織形成が得られないからである。 【0063】Cu粒子の場合、とくに分散密度の上限は限定しないが、106個/μm3 を超えると靭性が劣化する場合があるので106個/μm3 以下とすることが望ましい。 【0064】粒子分散状態は析出熱処理後の材料に対するものであるが、その後の加工によっても分散状態は基本的に変化するものではないので、再結晶熱処理前の材料で分散状態を判定してもなんら差し支えない。 【0065】2−3)〔発明3〕の場合さらに望ましくは、そのような粒子分散状態を得る方法において、より均一に粒子を微細分散させることが可能なアトマイズ急冷法、ロ−ル急冷法または両者を組み合わせた方法を用いる。 【0066】〔発明1〕の組成を有する鋼の場合について述べれば、凝固に際して、Ti,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの炭化物の1種または2種以上が微細に析出するが、冷却速度が遅い場合、その分散状態は局所的に不均一であることがある。その結果、その後の加工による歪エネルギ−の蓄積が局所的に不均一となって、2次再結晶による高ヤング率化が材料の一部にしか得られないことがある。そこで、微細な炭化物をより均一に分散させるために、アトマイズ法、ロ−ル急冷法または両者を組み合わせた急冷凝固法を用いて炭化物を均一微細分散させる。これは〔発明3〕のうち、鋼の組成として〔発明1〕に係るものを用いた場合に該当する。 【0067】また、〔発明2〕の組成の鋼を用いた場合には、Cuを含有する鋼は凝固の際粗大な銅を晶析出させることがあり、その場合には析出熱処理の前に溶体化熱処理を行い、銅を再固溶させることが望ましい。しかし、凝固の冷却速度が遅い場合、生成する銅粒子が粗大に過ぎ、溶体化熱処理で充分に再固溶せず、その後の析出熱処理によっても望ましい粒子分散状態が得られないことがある。 【0068】そこで凝固の際に充分な過飽和固溶体を得るためにアトマイズ急冷法、ロール急冷法あるいはアトマイズ急冷法とロール急冷法とを組み合わせた方法により急冷凝固し、完全な過飽和固溶体を作製した後、析出熱処理によってCu粒子を均一微細分散させてもよい。これは〔発明3〕のうち、鋼として〔発明2〕に係るものを用いた場合に該当する。 【0069】3.加工3−1)〔発明1〕における加工このようにして得られた粒子微細分散鋼は、温間または熱間で加工を加えることによって加工歪が蓄積される。その一連の加工において、少なくとも押出比3以上の押出成形加工が含まれなければならない。押出比3未満では十分な加工歪みが導入されない。温間または熱間押出成形加工の温度域は、200〜1200℃程度が望ましいが、押出しに当たり十分な加工歪みが付与されるのであれば上記以外の温度域で加工を行っても何ら問題はない。十分な歪みが導入されるという点から望ましい押出しの温度域は500〜1200℃である。 【0070】3−2)〔発明2〕における加工〔発明2〕の場合も押出比は少なくとも3以上が必要であるが、これは、押出比が3未満であれば十分な加工歪みが導入されない恐れがあるからである。ただし、押出し加工の温度域は、200〜800℃の温間域とすることが望ましい。800℃を超えるとCu粒子の粗大化が起こり、粒界のピン止め力が失われ、また、200℃未満では押出しの際に割れなどが生じるからである。望ましい押出温度域は400〜750℃である。 【0071】また、温間押出後に圧延、鍛造を施しても、押出による加工歪が十分付与されていれば問題ない。 【0072】3−3)〔発明3〕の加工〔発明3〕の粉末、リボンまたはフレークに押出加工を行う場合、押出加工前にHIP、CIP、圧延、鍛造を施しておくことが望ましい。 【0073】その後に押出加工が押出比3以上なされれば必要とされる加工歪が十分付与される。さらに、押出加工後、HIP、圧延、鍛造等がなされても、押出による加工歪が十分付与されていれば問題ない。 【0074】〔発明3〕において〔発明2〕に係る組成の鋼を用いた場合、押出加工前にHIP、CIP、圧延、鍛造を施すことが望ましい。ただし、HIP等の加熱温度はCu粒子が固溶する1000℃以上の温度とすることが望ましい。加圧による成形を容易にするためであり、かつ後の析出熱処理により微細なCu粒子を析出させるためである。このHIP等の後に〔発明2〕と同じ条件の析出熱処理を行う。その後に上記〔発明2〕と同じ押出加工を施す。 【0075】さらに、この押出加工後、HIP、圧延、鍛造等がなされても、押出による加工歪が十分付与されていれば問題ない。 【0076】4.再結晶熱処理このようにして強加工成形された複合材料は、次いで、再結晶熱処理を施される。 【0077】4−1)〔発明1〕の再結晶熱処理〔発明1〕における再結晶の熱処理条件は、マトリックスや分散粒子の種類、数、量、サイズ等により異なるが、700〜1200℃×0.5〜2時間の範囲でおこなうことが望ましい。 【0078】たとえば、炭化物の微細分散した材料においては、押出ままでは格子歪の導入された非常に微細な結晶粒組織を形成しているが、これに950℃×1hrの熱処理を加えると、2次再結晶現象の結果として結晶粒の粗大化と<111>集合組織の形成が起こり、押出方向のヤング率が29,000kgf/mm2にまで向上する。 【0079】〔発明3〕において〔発明1〕の組成の鋼を用いる場合の再結晶熱処理も上記範囲内でおこなうことが望ましい。 【0080】4−2)〔発明2〕の再結晶熱処理〔発明2〕においては、再結晶熱処理の条件は、マトリックスや分散粒子の数、量、サイズ等により異なるが、好ましくは、500〜950℃×0.5〜2時間の範囲でおこなう。 【0081】本発明にあっては、たとえば、銅粒子の微細分散した材料においては、加工ままでは歪の導入された非常に微細な結晶粒組織を形成しているが、これにたとえば800℃×1hrの熱処理を加えると、2次再結晶の結果として結晶粒の粗大化と<1,1,1>集合組織の形成が起こり、押出方向のヤング率が29,000kgf/mm2にまで向上する。 【0082】〔発明3〕において〔発明2〕の組成の鋼を用いる場合は、上記の再結晶熱処理条件の範囲内にておこなう。 【0083】 【実施例】つぎに実施例により本発明の作用効果を詳細に説明する。 【0084】1.〔発明1〕および〔発明3〕に〔発明1〕の組成の鋼を用いた場合Fe−Cr系、Fe−Mo系、Fe−Cr−Mo系、Fe−Si系の鋼をベ−スとして、CおよびTi,Zr,Ta,Nb,Hf,V,W,Moの1種または2種以上を所定量含有させた鋼をAr雰囲気中で20kg高周波加熱溶解し、鋳造により鋳造ビレット(直径:200mm、長さ:400mm)を作製した。 【0085】表1〜表2は、これらのビレットの化学組成を示す。 【0086】 【表1】
【0087】 【表2】
【0088】さらにこれらとは別に、上述と同じ方法で溶解した溶鋼を、 (a)Arガス、空気または水をアトマイズ媒体としてアトマイズ処理するか、または (b)このアトマイズ処理した溶滴を銅製の単ロール急冷装置に滴下することによって、 (a)鋼の粉末または (b)フレークを作製した。ただし、試験番号43および44のみは同じ寸法の鋼塊に鋳込み鋳造ビレットとした。 【0089】表3〜表4は、これらの各試験番号についての急冷凝固をおこなった条件の一覧表である。 【0090】 【表3】
【0091】 【表4】
【0092】得られた急冷凝固粉末またはフレ−クは、金属カプセルに封入して試験番号1〜35と同じ200φ×400lのビレットとした。 【0093】表3〜表4の試験番号36〜51の組成はFe−16Cr−1.5Ti−0.05Mn−0.035Sー0.10C−P<0.001−N:0.002〜0.005(Nは試験番号ごとに変動)であり、分散粒子種はTiCとした。 【0094】上記それぞれの方法で作製したビレット素材(鋳造材、アトマイズ粉末、フレ−ク)について透過型分析電子顕微鏡を用いて分散粒子の種類と分散密度を測定した。鋳造材およびフレ−クについては電解研磨により観察用薄膜を作製し電顕観察に供試した。アトマイズ粉末についてはバルク材を得るためにArガスを圧力媒体として1000℃、2000気圧で熱間静水圧成形(HIP)した後、同様に薄膜試料を作製した。 【0095】粒子の分散密度は、10万倍の明視野像5視野より粒子径が0.2μm以下の粒子数をカウントし、それぞれの膜厚から1μm3 あたりの粒子数を算出し、凝固後の粒子分散密度とした。 【0096】加工条件は、試験番号1〜43(表1〜表3)については、鋳造ビレットと急冷凝固粉末またはフレークとを問わず、1000℃×1時間加熱後、押出比10(φ70→φ22)にて950℃までに熱間押出加工を終了し放冷した。 【0097】再結晶熱処理は、試験番号1〜43については、1300℃に1時間保持後に放冷する同一条件で行った。 【0098】試験番号44〜51(表4)の押出条件は各試験番号ごとに表4に記載したが、試験番号44および45は押出加工後に圧延を加えたものである。試験番号44〜48の再結晶熱処理条件は1300℃に1時間保持後放冷としたが、試験番号49、50および51の再結晶温度はそれぞれ600、1200および1450℃とした。 【0099】これら再結晶熱処理を施した材料について横共振法により押出方向のヤング率を測定した。 【0100】表1〜4はこれらの結果を示す一覧表である。 【0101】表1および2の試験番号1〜7に示すように、マトリックスがFe−Cr系、Fe−Si系、Fe−Mo系、Fe−Cr−Mo系のいずれであっても凝固後の粒子分散密度および加工条件が本発明の範囲内にあるかぎり27,000kgf/mm2以上の高ヤング率を示す。 【0102】試験番号36〜43(表3)は、各種の溶解および凝固方法で作製した粉末およびフレークについての実施例であるが、いずれの方法においても、高ヤング率が得られることが分かる。 【0103】表4の試験番号44および45に示すように、押出後、圧延を加えた材料についても高ヤング率が得られる。 【0104】また、試験番号47と48との比較により、押出比は最低3を必要とすることが分かる。 【0105】2.〔発明2〕の場合表5〜表11は、〔発明2〕の実施例に用いた鋼の組成を示す。 【0106】 【表5】
【0107】 【表6】
【0108】 【表7】
【0109】 【表8】
【0110】 【表9】
【0111】 【表10】
【0112】 【表11】
【0113】これらの表に示す化学組成の供試鋼(試験番号52〜122)を溶製し、それぞれ鋳造組織を破壊するための熱間鍛造を1200℃で施した後、1100℃で3時間溶体化熱処理し、水焼入れした。その後、600℃で1時間析出熱処理を施し、透過型分析電子顕微鏡で分散粒子の種類と分散密度を測定した。10万倍の明視野像5視野より粒子径が0.2μm以下の粒子数をカウントし、それぞれの膜厚から1μm3あたりの粒子数を算出し、析出熱処理後の粒子分散密度とした。 【0114】これらの鋼についてはX線回折測定により主相がフェライト相であることを確認した。 【0115】ついで、これらの鋼を用いて、試験番号52〜62(表5)、試験番号74〜84(表7)および試験番号96〜106(表9)について、それぞれの表に示す押出温度、押出比および再結晶熱処理条件にて押出加工と再結晶熱処理をおこなった。これらの再結晶熱処理の条件は、650〜1000℃×1時間加熱空冷の範囲内である。 【0116】それ以外の試験番号の押出加工および再結晶熱処理はつぎの条件によった。 【0117】試験番号63〜73(表6) :押出比8.5、押出温度700℃、再結晶熱処理850℃×1時間放冷、試験番号85〜95(表8) :押出比8.5、押出温度650℃、再結晶熱処理800℃×1時間放冷、試験番号107〜117(表10):押出比3.5、押出温度700℃、再結晶熱処理800℃×1時間放冷、試験番号118〜122(表11):押出比10.1、押出温度750℃、再結晶熱処理800℃×1時間放冷先述の粒子分散密度は種々加工の過程においてほとんど変化せず、再結晶熱処理するまではほぼ同じ状態であることが確認された。 【0118】このようにして得られた材料の押出方向におけるヤング率を横共振法により測定した。 【0119】表5〜11はこれらの結果をまとめた一覧表である。 【0120】試験番号52〜73(表5、6)はフェライト形成元素としてSiを、試験番号74〜95(表7、8)はCrを、試験番号96〜117(表9、10)はAlもしくはAlとそのほかのW等を用いた場合を、また試験番号107〜117(表11)は種々のフェライト形成元素を用いた場合を示す。これらの結果から、種々の組成を有するフェライト系鋼において高ヤング率が確認された。 【0121】このようにマトリックスがフェライト単相であれば、種々の元素を加えても、高ヤング率が得られるが、試験番号63(表6)、試験番号85(表8)、試験番号107(表10)に示されるような再結晶後にフェライトとオ−ステナイトの混相組織を有するマトリックスにおいても25,000kgf/mm2以上のヤング率が得られることがある。 【0122】加工における押出比の影響は、試験番号56〜62(表5)に現れている。比較例60は押出比が1.5と本発明の範囲外であるために十分高いヤング率が得られず、押出比3以上が必須であることが分かる。また、押出比3以上が施されていれば、押出加工の後に800℃程度以下に加熱して鍛造または圧延(加工温度500℃)を行ってもその効果は失われない。 【0123】このような加工の影響は、試験番号78〜84(表7)および試験番号100〜106(表9)にも明確に現れている。 【0124】3.〔発明3〕に〔発明2〕の鋼を用いた場合表12〜表15は、各試験番号について急冷凝固をおこなった条件の一覧表である。試験番号123〜131(表12)、試験番号132〜140(表13)、試験番号141〜149(表14)はフェライト形成元素としてそれぞれSi,Cr,Alを用いたものを、また試験番号150〜164(表15)は種々のフェライト形成元素を用いたものであり、いずれも〔発明2〕の範囲内の成分である。これらの供試鋼を1700℃でAr雰囲気において溶解し、アトマイズ、またはアトマイズとロ−ル急冷を組み合わせて急冷凝固した。 【0125】 【表12】
【0126】 【表13】
【0127】 【表14】
【0128】 【表15】
【0129】アトマイズ媒体にはArガスを用い、急冷凝固粉末を得た。ロ−ル急冷には水冷銅の単ロ−ルをロ−ル周速35m/sにて回転させ急冷凝固リボンを得た。アトマイズとロ−ル急冷を組み合わせた場合には、アトマイズによって噴射した溶鋼を単ロールによって急冷し急冷凝固フレ−クを得た。 【0130】このようにした得られた材料をそれぞれ1100℃×3時間水冷後600℃において1時間析出熱処理した。Cu粒子の分散密度は、前記〔発明2〕の実施例と同様な方法により評価した。 【0131】さらにこれらの材料を金属製カプセルに封入し、押出加工をおこなった。押出加工の条件はつぎの通りであった。 【0132】試験番号123〜131(表12):押出比10.1、押出温度700℃試験番号132〜140(表13):押出比10.1、押出温度750℃試験番号141〜149(表14):押出比 5.4、押出温度600℃試験番号150〜164(表15):押出比10.1、押出温度750℃その後に再結晶熱処理を、650〜1000℃×1時間の範囲内で行った。各試験番号の再結晶熱処理の条件はそれぞれの表に記載した。表15の試験番号150〜164の再結晶熱処理は、800〜1000℃の温度に1時間保持し放冷することにより行った。 【0133】粒子分散密度は種々加工の過程においてほとんど変化せず、再結晶熱処理するまではほぼ同じ状態であることが確認された。 【0134】このようにして得られた材料の押出方向におけるヤング率を横共振法により測定した。 【0135】これらの結果を、表12〜15にまとめて示す。 【0136】これらの結果から、急冷凝固を用いた場合、粉末、リボンまたはフレークの別によらず本発明の範囲内の押出加工条件を含む加工を行い再結晶熱処理を施せば十分高いヤング率が得られることが明らかである。 【0137】 【発明の効果】本発明により、24,000kgf/mm2 を超える、多くは28,000kgf/mm2 レベルの高ヤング率鋼材が工業的生産が可能な方法で得られ、各種バネ、シャフト類、振動抑制を必要とする自動車等の構造部品への適用が可能となった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成8年(1996)8月21日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】森 道雄 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平10−60527 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)3月3日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−220074 |
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