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【発明の名称】 SiO2 の微粒子と粗粒子を含んでなる蛍光体組成物、この製造法、およびこれを利用したディスプレイスクリーン
【発明者】 【氏名】フリーデリク ピヒト
【氏名】ジャックリン メリキ
【氏名】ヨーアヒム オピッツ
【氏名】ハンス−オット ユンク
【氏名】イアン ヴィレム ヘー デ バッケル
【氏名】ミフュール ブーテリー
【氏名】アーリス ヘー ファン ブラーム
【氏名】フランス ハー アー フォールブレフト
【課題】最適な輝度、色純度、不明瞭さの不存在、鮮明度、ディスプレイスクリーンガラスへの蛍光体材料の接着を達成する。

【解決手段】亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物を含んで構成される蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーンにおいて、コロイドSiO2 粒子が、平均粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当するSiO2 粒子と、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するSiO2 粒子とから構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物を含んで構成される蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーンにおいて、コロイドSiO2 粒子が、平均粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当するSiO2 粒子と、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するSiO2 粒子とから構成されることを特徴とするディスプレイスクリーン。
【請求項2】 コーティングが、平均粒径4〜30nmのコロイドSiO2粒子0.01〜0.07重量%(蛍光体について計算)と、平均粒径50〜150nmのコロイドSiO2 粒子0.10〜1.5重量%(蛍光体について計算)とを含んで構成されることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項3】 コロイドSiO2 粒子全量:Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の酸素化合物全量、のモル比が、コーティング中5:1〜30:1の範囲であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項4】 酸素化合物が、亜鉛の酸素化合物であることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項5】 平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するコロイドSiO2 粒子が、多分散系粒径分布をしていることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項6】 コーティングが、カラーフィルター顔料を含んでいることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項7】 蛍光体組成物が、別のコーティング中にカラーフィルター顔料を含んでいることを特徴とする請求項1記載の蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーン。
【請求項8】 亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物において、コロイドSiO2 粒子が、平均粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当する粒子と、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当する粒子とから構成されることを特徴とする蛍光体組成物。
【請求項9】 亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体から、蛍光体組成物を製造するに際して、希釈したアンモニアを蛍光体懸濁液に添加して、pHを9.2以上にして、この懸濁液を、粒径dが4〜30nmのコロイドSiO2 粒子と共に粉砕し、平均粒径dが50〜150nmのコロイドSiO2 粒子のコロイド溶液、アンモニウム塩水溶液、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムよりなる群のうち1種の元素の水溶性塩の水溶液を、蛍光体懸濁液に連続的に添加し、続いて、蛍光体懸濁液のpHを、希釈した酸を用いて、pH7以下に下げ、次に、蛍光体懸濁液のpHをpH8以上に上げる、蛍光体組成物の製造法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ディスプレイスクリーンに関し、特に、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物を含んで構成される蛍光体コーティングを備えた、陰極線管用カラーディスプレイスクリーンに関する。また、本発明は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物に関する。さらに、本発明は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体から蛍光体組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管用ディスプレイスクリーンは、その内面上に、ドットパターンあるいはストライプパターンを表す組織化した蛍光体層を形成される。カラーディスプレイ管の場合は、蛍光体層の各蛍光体要素は、赤、青、および緑の三原色のうちの1色をそれぞれ出す三種類の蛍光体要素から構成される。この組織化した蛍光体層は、光化学処理を用いて、スクリーンガラス上に慣習的に形成される。この方法では、蛍光体懸濁液を湿式化学バリアント(variant)中で使用し、蛍光体ラッカーを乾式バリアント中で使用する。蛍光体を用いてスクリーンガラスをコーティングする湿式化学処理では、例えば、バインダーとしてポリビニルアルコール(PVA)を、そして感光性成分として重クロム酸アンモニウム(ADC)を含む蛍光体水性懸濁液を使用する。
【0003】「流し塗り」処理を用いて、ディスプレイスクリーンに適用される蛍光体コーティングは、以下の要件に適合しなければならない:すなわち、スクリーンの最適な輝度を得るために、蛍光体コーティング中の蛍光体材料の高充填密度;蛍光体コーティングの良好な均一性、つまり懸濁液の流れ挙動による組織化の回避、あるいは「ピンホール」の回避;蛍光体コーティングの厚さの良好な均一性;組織化した蛍光体コーティング上のシャドーマスク構造の投影の高精度;個々の蛍光体要素の高明確さ;スクリーンガラス上の蛍光体要素の良好な接着性;発色の蛍光体コーティングの色不純性の低さ;ならびに、露出されないスクリーンガラス上の不明瞭さの低さである。
【0004】ディスプレイスクリーン処理における良好な安定性および蛍光体懸濁液の処理適性に対する基準の例としては、電解溶液を添加した場合および超音波処理を行った場合の粒径分布の良好な安定性、pHが臨界にある場合の長期間にわたる高い濾過性、および24時間沈降させた後蛍光体沈殿物を圧縮する半圧縮体である。
【0005】蛍光体粒子を懸濁液中で処理する場合および蛍光体コーティングを湿式化学ディスプレイスクリーン法でディスプレイスクリーンガラス上に形成する場合、前記蛍光体粒子の多くの特性が、蛍光体懸濁液を調整する蛍光体粉末の表面特性により実質的に影響される。ディスプレイスクリーン処理のために蛍光体粉末の表面特性を制御するために、調整後に、化学的に異常なコーティングを用いて、無機蛍光体粉末を供するのが有利であると判明した。
【0006】US5,366,834には、X線管用ディスプレイスクリーンを製造する方法が開示されている。ここでは、ガラス面板の内面は蛍光体懸濁液でコーティングされる。この蛍光体は、a)蛍光体粒子、b)第1層、この層は0.1〜5重量%の量(蛍光体粒子の重量について計算)で蛍光体粒子上に形成され、本質的に均一な二酸化ケイ素フィルムから構成されている、および、c)第2層、この層は0.008〜1.5重量%の量(蛍光体粒子の重量について計算)で第1層上に形成され、少なくとも、亜鉛およびアルミニウムにより形成される群から選択された金属およびアルカリ土類金属、および、少なくとも、各粒径が50nm以下の、コロイド酸化ケイ素、酸化アルミニウムゾル、および酸化チタンゾルにより形成される群から選択される要素から構成される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】今日、ディスプレイスクリーンの品質は、組織化した蛍光体コーティングの輝度、色純度、不明瞭さの不存在、鮮明度の点で、より高い要求に適合しなければならない。したがって、本発明は、最適な輝度、色純度、不明瞭さの不存在、鮮明度、ディスプレイスクリーンガラスへの蛍光体材料の接着を達成する方法で、蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーンを提供することを目的とする。蛍光体コーティング中の蛍光体の高充填密度、ディスプレイスクリーンガラスへの蛍光体材料の良好な接着、およびこれによるディスプレイスクリーンの高輝度を達成するために、非常に安定な蛍光体懸濁液が要求される。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、この目的を達成するために、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物を含んで構成される蛍光体コーティングを備えたディスプレイスクリーンにおいて、コロイドSiO2 粒子を、平均粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当するSiO2 粒子と、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するSiO2 粒子とから構成する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に従ってコーティングされたディスプレイスクリーンは、色純度、ディスプレイスクリーン輝度、ディスプレイスクリーンガラスへの蛍光体の接着性が非常に改良にされ、しかも不明瞭さがない。さらに、組織化した蛍光体コーティングは、蛍光体材料の高充填密度を示す。加えて、蛍光体要素は、鋭く鮮明である。蛍光体コーティングは、非常に均一で「ピンホール」がない。
【0010】本発明では、コーティングが、平均粒径4〜30nmのコロイドSiO2 粒子0.01〜0.07重量%(蛍光体について計算)と、平均粒径50〜150nmのコロイドSiO2 粒子0.10〜1.5重量%(蛍光体について計算)とを含んで構成されると好ましい。
【0011】さらに、コロイドSiO2 粒子全量:Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の酸素化合物全量、のモル比が、コーティング中5:1〜30:1の範囲であると好ましい。
【0012】本発明では、酸素化合物が、亜鉛の酸素化合物であると特に好ましい。平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するコロイドSiO2 粒子が、多分散系粒径分布をしていると好ましい。また、コーティングが、カラーフィルター顔料を好ましく含むことができる。さらに、蛍光体配合物が、別のコーティング中にカラーフィルター顔料を好ましく含むことができる。
【0013】また、本発明は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体からなる蛍光体組成物に関し、このコロイドSiO2 粒子が、平均粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当する粒子と、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当する粒子とから構成される。
【0014】このような蛍光体組成物は、非常に容易に製造できる。理由は、長期間にわたり、より低いpHにおいて、非常に高い濾過性を示すからである。本発明に従ってコーティングされた蛍光体の懸濁液の非常に良好な寸法安定性は、電解溶液を添加し、超音波処理を施した場合に、粒径分布の良好な安定性により示される。24時間後、沈殿物を圧縮する半圧縮物が得られる。さらに、利点は、不明瞭さが非常に低いこと、ディスプレイスクリーンガラスへの蛍光体の接着が改良されること、および得られた蛍光体コーティングが高密度であり、均一性が良好であることである。
【0015】さらに、本発明は、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物、ならびにコロイドSiO2 粒子を含んで構成されるコーティングを施された蛍光体から、蛍光体組成物を製造するに際して、希釈したアンモニアを蛍光体懸濁液に添加して、pHを9.2以上にし、この懸濁液を、粒径dが4〜30nmのコロイドSiO2 粒子と共に粉砕(grind) し、平均粒径dが50〜150nmのコロイドSiO2 粒子のコロイド溶液、アンモニウム塩水溶液、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウムよりなる群のうち1種の元素の水溶性塩の水溶液を、蛍光体懸濁液に連続的に添加し、続いて、蛍光体懸濁液のpHを、希釈した酸を用いて、pH7以下に下げ、次に、蛍光体懸濁液のpHをpH8以上に上げる、蛍光体組成物の製造法に関する。
【0016】このコーティング法により、蛍光体粉末を、微粒子と粗粒子とのコロイドSiO2 と、Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の水酸化物あるいは酸化物とを用いて強くコーティングすることができる。本発明のこれらのおよび他の観点は、以下に記載の実施態様から明らかになる。
【0017】本発明の蛍光体組成物の出発材料としては、通常の全ての蛍光体、例えば、青ZnS:Ag,Al、青ZnS:Ag,Cl、緑ZnS:Cu,Au,Al,緑ZnS:Cu,Al、あるいは赤Y2 2 S:Eu、を使用することができる。
【0018】画像コントラストを改良するために、出発材料が、カラーフィルター顔料、例えば、CoAl2 4 で顔料着色されたZnS:Ag,Al、あるいはFe2 3 で顔料着色されたY2 2 S:Eu、でコーティングされた既に顔料着色された蛍光体であってもよい。
【0019】蛍光体は、ある方法を用いて、カラー顔料と本発明のコーティング成分とでコーティングできる。すなわち、微粒子と粗粒子のコロイドSiO2 と、Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の1またはそれ以上の酸素化合物と、あるいはカラー顔料を、別々のコーティング法を用いて、蛍光体粒子上に適用し、別のコーティングを形成することができる。
【0020】蛍光体コーティングは、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の酸素化合物を含んで構成される。本発明で、「酸素化合物」とは、これらの元素の水酸化物と酸化物を意味するものとする。
【0021】蛍光体コーティングは、異なる2つの型のコロイドSiO2 をさらに含んで構成される。すなわち、第1は、粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当するSiO2 粒子であり、第2は、平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当するSiO2粒子である。
【0022】粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当する微粒子2 SiO2 コロイドの例としては、NYACOL215(登録商標)(Akzo Nobel社製):As=545m2 /g、LUDOX FM(登録商標)(DuPont de Nemours社製):As=450m2 /g、LUDOX SM(登録商標)(DuPont de Nemours社製):As=345m2 /g、LUDOX AS(登録商標)(DuPont deNemours社製):As=135m2 /g、BINDZIL(登録商標)50/130(Akzo Nobel社製):As=130m2 /g、LEVASIL(登録商標)100(Bayer):As=100m2 /gがある。
【0023】平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当する粗粒子SiO2 コロイドの例としては、NYACOL(登録商標)9950(Akzo Nobel社製):As=27m2 /g、LEVASIL(登録商標)VPAC4056(Bayer):As=50m2 /g、SYTON(登録商標)W(DuPont de Nemours社製):As=70m2 /g、MONOSPHER(登録商標)100(E.Merck社製)、MONOSPHER(登録商標)150(E.Merck社製)がある。粗粒子の多分散系SiO2 コロイドが好ましい。しかし、代わりに、粗粒子の単分散系SiO2コロイドを使用することができる。
【0024】微粒子と粗粒子のSiO2 コロイド全量:Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の酸素化合物全量、のモル比を、蛍光体コーティング中5:1〜30:1の範囲で変えることができる。蛍光体に対するコーティングの重量比は、蛍光体組成物中0.10〜2.0重量%の範囲をとることができる。
【0025】本発明の蛍光体組成物を製造するために、以下の手順を連続して行う。
a) 第1に、蛍光体懸濁液のpHを、希釈したアンモニアを用いて、少なくとも9.2に調整する。次の湿式化学粉砕工程で、未処理の蛍光体を、粒径dが4〜30nmであり、比表面積Asが100〜550m2 /gに相当する微粒子2SiO2 コロイドを用いて、適当に分散する。この微粒子2 SiO2 コロイドの量(SiO2 として計算)は、未処理の蛍光体について計算すると、慣習的に0.010〜0.070重量%の範囲である。
b) 平均粒径dが50〜150nmであり、比表面積Asが25〜70m2 /gに相当する粗粒子SiO2 コロイドの溶液をこの蛍光体懸濁液に添加する。この粗粒子SiO2 コロイドの量(SiO2 して計算)は、未処理の蛍光体について計算すると、慣習的に0.10〜1.5重量%の範囲である。
c) 任意に、1またはそれ以上のアンモニウム塩水溶液、好ましくは、酢酸アンモニウム溶液あるいは硝酸アンモニウム溶液、硫酸アンモニウム溶液あるいは硫酸水素アンモニウム溶液を、蛍光体懸濁液に添加する。アンモニウム塩の全量対Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の酸素化合物全量、のモル比は、慣習的に1:10〜10:1の範囲である。
d) 亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、およびバリウム元素の1またはそれ以上の塩水溶液(好ましくは、酢酸塩および硫酸塩)を蛍光体懸濁液に添加する。微粒子と粗粒子のコロイドSiO2 の全量:Zn,Al,Mg,Ca,およびBa元素の酸素化合物全量、のモル比は慣習的に1:5〜1:30の範囲である。
e) 蛍光体懸濁液のpHが7より高い場合には、希釈した酸、例えば、CH3COOH、H2 SO4 、HNO3 、あるいはHCl、を用いて、pHを少なくとも7に調整する。
f) アンモニアを含む溶液、希釈した水酸化カリウム溶液、あるいは水酸化ナトリウム溶液を、しばらく攪拌しながら、蛍光体懸濁液に添加し、pHを8以上に上げる。
g) コーティングした蛍光体の生成物懸濁液の不安定化が不十分な場合には、蛍光体懸濁液を、1またはそれ以上のアンモニウム塩水溶液(好ましくは、酢酸アンモニウム溶液あるいは硝酸アンモニウム溶液、硫酸アンモニウム溶液あるいは硫酸水素アンモニウム溶液)を用いて、完全に不安定にする。蛍光体懸濁液のpHを、アンモニア溶液を添加することによって、8以上の一定値に維持する。コーティングした蛍光体の懸濁液を再びしばらく攪拌する。
h) こうしてコーティングした蛍光体を沈降させる。デカントして、所望ならば、洗浄して濾過により取り出す。
i) 蛍光体組成物は140℃で数時間かけて、空気中で乾燥する。
【0026】工程a)において、アンモニアを用いて、pHを9.2以上に調整した後、分散助剤として微粒子SiO2 コロイドを添加することが、湿式化学粉砕工程の後で細かい篩を通して湿式篩にかける場合に、蛍光体懸濁液の適当な濾過性を得るために重要である。この条件が適合しない場合には、分散工程の後、安定化した蛍光体懸濁液の濾過性は実質的に減少することになる。
【0027】必要な場合には、工程a)と工程b)の間で、蛍光体の湿式化学顔料着色を、例えば、沈殿反応あるいはコロイド化学反応として行う。この顔料着色工程の後、蛍光体懸濁液を洗浄して、pHを7.0〜9.0に設定し、その後、懸濁液を工程b)における処理にかける。必要ならば、例えば、顔料化合物を沈殿した予備生成物から形成して、特別な形態を有する顔料粒子を提供し、あるいは顔料の蛍光体への接着を改良する場合には、乾燥工程i)の後、高温でか焼処理を行う。
【0028】本発明の蛍光体組成物を使用して、例えば、以下の方法で、「流れ塗り」法に従って、ディスプレイスクリーンを製造することができる。発色性のコーティングした蛍光体粉末を、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)に基づくバインダー溶液中に分散する。この溶液は、重クロム酸アンモニウム(ADC)を用いて、光活性化される。ディスプレイスクリーンプロセスにおいて、使用した蛍光体および懸濁液の処理条件に応じて、蛍光体懸濁液の個々の成分、すなわち、蛍光体粉末、水、バインダー、分散助剤、安定化剤、および感光性成分を、特別な順序でおよび規定した配合処方に従った濃度で混合する。蛍光体組成物の懸濁液を、「流れ塗り」装置中で回転しているディスプレイスクリーンの準備したガラス板の内面上に供給する。ディスプレイスクリーンの回転により、蛍光体懸濁液は、ディスプレイスクリーン上に均一に分散される。過剰な懸濁液は、遠心分離除去させる。形成した湿った蛍光体コーティングを乾燥する。ディスプレイスクリーンのガラス板の内面に、蛍光体コーティングからある距離離してシャドーマスクを配置する。蛍光体コーティングは、シャドーマスクを通して、紫外線を照射される。これにより、蛍光体コーティングの照射領域は硬化される。蛍光体コーティングは、温水を用いて、現像される。すなわち、硬化されなかった蛍光体コーティングの部分は、除去される。組織化した蛍光体コーティングを乾燥する。
【0029】これらの処理工程は、緑、青、および赤の発色の全3タイプの蛍光体について、連続的に行う。続いて、ディスプレイスクリーンを、蛍光体コーティング中にまだ存在している有機バインダーを除去するために、約440℃で完全燃焼処理する。
【0030】
【実施例】
実施例1緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgを洗浄して篩にかけ、その後、これをデカントする。希釈したアンモニアを用いてそのpHを9.3に調整する。3.0重量%のSiO2 含有LUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)13gを分散助剤として添加する。この蛍光体懸濁液を湿式粉砕工程に2時間かける。粉砕体を除去した後、水3.0lの懸濁液体積に希釈し、細かい篩を通してその懸濁液を湿式篩にかけた後、安定な蛍光体懸濁液を得る。3.0重量%のSiO2 含有NYACOL(登録商標)9950溶液(Akzo Nobel)170gを適度に分散したpH8.0のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの酢酸アンモニウム溶液9.0mlを蛍光体懸濁液に添加し、これにより、pHを7.1に下げる。続いて、8.0重量%のZnO含有Zn(CH3 COO)2 溶液18gを添加する。結果として、pHは6.0に下がる。1モルのCH3 COOH溶液を添加することによって、pHは5.5に下がる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。5分間攪拌した後、2モルの酢酸アンモニウム溶液9.0mlと3モルのアンモニア溶液5mlを同時に添加することによって、蛍光体懸濁液を不安定にする。pHは9.0に保たれる。蛍光体懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで4回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度(specific ion conductivity)9.3mS.cm-1、pH9.2である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0031】実施例2実施例1と同様に、緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)を用いて分散する。3.0重量%のSiO2 含有LEVASIL(登録商標)VPAC40560溶液(Bayer)170gを適度に分散したpH8.1のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの酢酸アンモニウム溶液5.9mlを蛍光体懸濁液に添加し、これにより、pHは7.3に下がる。続いて、8.0重量%のZnO含有Zn(CH3 COO)2 溶液12gを添加する。結果として、pHは5.9に下がる。1モルのCH3 COOH溶液を添加することによって、pHは5.5に下がる。3モルのアンモニア溶液4mlを用いて、pHを9.0に上げる。7分間攪拌した後、2モルの酢酸アンモニウム溶液10mlと3モルのアンモニア溶液約1mlを同時に添加することによって、蛍光体懸濁液を不安定にする。pHは9.0に保たれる。蛍光体懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで2回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度25mS.cm-1、pH9.1である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0032】実施例3実施例1と同様に、予め着色した青発光性ZnS:Ag,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)中に分散する。0.5モルのNYACOL(登録商標)9950溶液(AkzoNobel)160gを適度に分散したpH9.2のZnS:Ag,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの酢酸アンモニウム溶液6.3mlを蛍光体懸濁液に添加し、これにより、pHを8.5に下げる。続いて、0.5モルのZn(NO3 2 溶液12mlを添加する。結果として、pHは7.1に下がる。1モルのCH3 COOH溶液4.3mlを添加することによって、pHを5.9に調整する。25重量%のアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。2モルの酢酸アンモニウム溶液12mlを添加することによって、蛍光体懸濁液を不安定にし、pHを9.0に一定に保つ。懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Ag,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、水3lで2回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度63mS.cm-1、pH8.8である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃17時間乾燥する。
【0033】実施例4実施例1と同様に、緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)SM(DuPont de Nemours)中に分散する。3.0重量%のSiO2 含有NYACOL(登録商標)9950溶液(Akzo Nobel)90gを適度に分散したpH8.0のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの酢酸アンモニウム溶液1.8mlを蛍光体懸濁液に添加する。続いて、0.50モルのAl(NO3 3 溶液7.1mlを添加する。これにより、pHは5.5未満に下がる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。10分間攪拌した後、2モルの酢酸アンモニウム溶液1.8mlを同量の3モルのアンモニア溶液と一緒に添加し、pHを9.0に一定に保つ。蛍光体懸濁液をさらに20分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで2回洗浄する。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0034】実施例5実施例1と同様に、青発光性ZnS:Ag,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)中に分散する。3.0重量%のSiO2 含有LEVASIL(登録商標)VPAC4056溶液(Bayer)90gを適度に分散したpH8.0のZnS:Ag,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの酢酸アンモニウム溶液2.7mlを蛍光体懸濁液に添加する。続いて、0.50モルのBa(CH3 COO)2 溶液5.3mlを添加する。1モルのCH3 COOH溶液を添加することにより、pHを5.5に下げる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。10分間攪拌した後、2モルの酢酸アンモニウム溶液2.7mlを同量の3モルのアンモニア溶液と一緒に添加し、pHを9.0に一定に保つ。蛍光体懸濁液をさらに20分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Ag,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで2回洗浄する。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0035】実施例6実施例1と同様に、緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)中に分散する。3.0重量%のSiO2 含有NYACOL(登録商標)9950溶液(Akzo Nobel)170gを適度に分散したpH8.0のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの硝酸アンモニウム溶液9.0mlを蛍光体懸濁液に添加し、これにより、pHは7.2に下がる。続いて、8.0重量%のZnO含有Zn(NO3 2 溶液18gを添加する。これにより、pHは5.2に下がる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。5分間攪拌した後、2モルの硝酸アンモニウム溶液9.0mlと3モルのアンモニア溶液2.5mlを同時に添加することにより、蛍光体懸濁液を不安定にし、pHを9.0に一定に保つ。蛍光体懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで4回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度7.4mS.cm-1、pH9.2である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0036】実施例7実施例1と同様に、緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)中に分散する。3.0重量%のSiO2 含有NYACOL(登録商標)9950溶液(Akzo Nobel)170gを適度に分散したpH8.0のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。さらに、2モルの硝酸アンモニウム溶液9.0mlを蛍光体懸濁液に添加し、これにより、pHは7.3に下がる。続いて、8.0重量%のZnO含有ZnSO4 溶液18gを添加する。これにより、pHは5.3に下がる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。5分間攪拌した後、1モルの硫酸アンモニウム溶液9.0mlと3モルのアンモニア溶液2.5mlを同時に添加することにより、pHを9.0に一定に保ち、蛍光体懸濁液を不安定にする。蛍光体懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで4回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度22mS.cm-1、pH8.9である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0037】実施例8実施例1と同様に、緑発光性ZnS:Cu,Au,Al蛍光体粉末1kgをLUDOX(登録商標)AS溶液(DuPont de Nemours)中に分散する。3.0重量%のSiO2 含有LEVASIL(登録商標)VPAC4056溶液(Bayer)170gを適度に分散したpH8.4のZnS:Cu,Au,Al蛍光体懸濁液に添加する。続いて、8.0重量%のZnO含有Zn(NO3 2 溶液18gを添加する。これにより、pHは5.3に下がる。3モルのアンモニア溶液を用いて、pHを9.0に上げる。蛍光体懸濁液をさらに30分間攪拌した後、コーティングしたZnS:Cu,Au,Al蛍光体の懸濁液を沈降させ、その後、デカントして、毎回水2lで3回洗浄する。最後の洗浄工程の間の測定では、蛍光体懸濁液は比イオン伝導度18mS.cm-1、pH9.0である。最終的に、コーティングした蛍光体を濾過により取り出して、空気中で140℃約15時間乾燥する。
【0038】
【表1】

【0039】
【表2】

【0040】試験結果表1は、コーティング処理の最後における、生成物懸濁液の不安定化の際に、錯陰イオンの存在とアンモニウム塩の使用という、本発明の処理条件の効果のみならず本発明のコーティング組成物の顕著な効果を示す。表1の本発明の全コーティング5〜11は、コーティング中のコロイドSiO2 全量とZnOの全量間のモル比が、例えば、10あるいは15と、非常に高い場合でさえも、生成物懸濁液の完全な不安定化を示す。対照のための、本発明外の参照コーティング1〜4の生成物懸濁液を不安定化するためには、コーティング中のZnO成分量を増やすことが必要であり、その結果、使用したSiO2 含有分散助剤の量に応じて、生成物懸濁液の完全な不安定化は、それぞれ2.2(参照:表1の参照コーティング1と2)、1.1(参照:表1の参照コーティング3と4)のモル比が達成されて始めて起こる。コロイドSiO2 全量対ZnOのこれらの非常に低いモル比は、上記のように、本発明のコーティングと比較すると、懸濁液の安定化がより低くなり、例えば、不明瞭さが増し、ディスプレイスクリーン製造法において最良とはいえないスクリーン特性になる。表2は、本発明外の参照コーティングと比較した、本発明によってコーティングした蛍光体から構成されるディスプレイスクリーンと懸濁液に行った測定結果を示す。
【出願人】 【識別番号】590000248
【氏名又は名称】フィリップス エレクトロニクス ネムローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】PHILIPS ELECTRONICS N.V.
【出願日】 平成9年(1997)11月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外6名)
【公開番号】 特開平10−140147
【公開日】 平成10年(1998)5月26日
【出願番号】 特願平9−306942