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【発明の名称】 反射フィルム
【発明者】 【氏名】桑木 克寛

【要約】 【課題】反射率が高く、耐久性に優れた液晶デイスプレイ用等に使用される反射フィルムを提供する。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチックフイルム上に銀蒸着層を設けた反射フィルムにおいて、該銀蒸着層の表裏にケイ素化合物樹脂層を設けたことを特徴とする反射フイルム。
【請求項2】 表層に出ているケイ素化合物樹脂層の上にさらにオーバーコート層を設けた請求項1記載の反射フイルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀の耐久性及び反射率を向上した反射フィルムであり、各種照明器具の反射材、液晶ディスプレイ用バックライト反射材、液晶ディスプレイ用拡散反射材、光学的ミラーなどに用いることができる。
【0002】
【従来の技術】従来の反射材は、アルミニウム板やステンレス板を磨いたものや、プラスチックフィルムに直接アルミニウム、銀などの金属薄膜を蒸着したものが使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の反射材であるアルミニウム板やステンレス板を磨いたものや、プラスチックフィルムに直接アルミニウムを蒸着したものでは反射率が低く輝度も不十分であった。また、プラスチックフィルムに直接銀を蒸着したものは反射率は高いが、経時でプラスチックフィルムと銀蒸着層間の密着力の低下、銀蒸着層の腐食、光による色相変化などの耐久性に問題があり、いずれも要求されている物性に対して満足のいく反射フイルムは得られていない。
【0004】したがって、本発明の目的は、前述の、アルミニウム板やステンレス板を磨いたものや、プラスチックフィルムに直接アルミニウム、銀などの金属薄膜を蒸着したものが抱えていた欠点をすべて解消した優れた反射フイルムを提供できるように、前述の課題を解決しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラスチックフイルム上に銀蒸着層を設けた反射フィルムにおいて、該銀蒸着層の表裏にケイ素化合物樹脂層を設けたことを特徴とする反射フイルムであり、表層に出ているケイ素化合物樹脂層の上にさらにオーバーコート層を設けた前記の反射フイルムである。本発明の反射フイルムは、銀蒸着層をケイ素化合物樹脂層で両面サンドすることにより、銀蒸着層面上の吸着水分がケイ素化合物樹脂と反応して除去されるとともに、成膜された膜は水分や硫化物をバリアーする機能があるため著しく銀の耐久性が向上することを特徴とし、さらに表層に出ているケイ素化合物樹脂層の上にオーバーコート層を設けることによりケイ素化合物樹脂膜(層)の割れ及び擦傷を防止することができさらに耐久性が向上した反射フィルムが得られる。また、プラスチックフィルムにケイ素化合物樹脂を塗工した場合、プラスチックフィルムと銀蒸着層間の密着が向上するばかりでなく、プラスチックフィルムの透過率が向上し、プラスチックフィルムを通した面を反射使用面とする場合、反射率が高くなる効果も見い出された。これらのことにより従来の反射フィルムが抱えていた問題点をすべて解決した反射フィルムを作ることができた。
【0006】
【発明の実施態様】本発明の反射フイルムの構成を図面に基づき詳しく説明する。図1は、本発明の反射フイルムの構成を示し、プラスチックフイルムからなる基材1に、ケイ素化合物樹脂層2(裏層)を形成し、その上に銀蒸着層3を形成し、更にその上にケイ素化合物樹脂層4(表層)を形成し、更にその上にオーバーコート層5を形成した構成を示す。
【0007】本発明の反射フイルムに採用するプラスチックフィルム1としては、特に制限はないが、アクリルフイルム、ポリカーボネートフイルム、ポリアリレートフイルム、ポリエチレンナフタレートフイルム、ポリエチレンテレフタレートフイルム、フッ素フィルムなどが好ましく、いずれも易接着、易滑、帯電防止、コロナ、ケン化などの表面処理が施されていたり、さらに耐光性を向上させるために紫外線吸収剤を練り込んだり、紫外線吸収剤を混入した樹脂を表面にコーティングしたものや、拡散光にするため酸化チタンや酸化珪素を練り込んだりコーティングしてマット加工を施したプラスチックフィルムでもよい。その厚さについては特に制限はないが、通常6〜300μmの範囲が好ましい。厚さが6μm未満では強度が不足し樹脂の塗工などの工程で皺を発生したり作業性に劣り好ましくない。一方厚さが300μmを越えると強度が強すぎて樹脂の塗工などでの巻取性に劣り、また、コストが上がり、材料費の点からも経済的でなく、特別な場合を除き実用的でない。
【0008】本発明の反射フイルムに採用されるケイ素化合物樹脂層2,4としては、オルガノアセトキシシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノクロルシラン、オルガノクロルフルオルシラン、オルガノジシラン、オルガノシラザン、オルガノシラノール、オルガノシラン、オルガノシランカルボン酸、オルガノシリコンイソシアネート、オルガノシリコンイソチオシアネート、オルガノシリコンエステル、オルガノシルチアン、オルガノシルメチレン、オルガノジシロキサン、オルガノヒドロゲノシラン、オルガノフルオルシラン、オルガノブロムシラン、オルガノポリシランなどのケイ素化合物を主成分としてなる樹脂で、これらの単独またはアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリルースチレン共重合体、尿素ーメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート、ニトルセルロース、セルロースアセテート、アルキッド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリアミド系樹脂などの混合物からなる樹脂塗料が用いられ形成されるものである。
【0009】前記ケイ素化合物樹脂層2,4は、前記ケイ素化合物樹脂を溶媒にて希釈した塗料を前記プラスチックフィルム1の片面にグラビアコーティング法、リバースロールコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの通常のコーティング法により塗布、乾燥(硬化)して形成される。ケイ素化合物樹脂層2、4の厚さは、特に制限はないが通常0.01〜3μm程度の範囲から適宜選択される。厚さが0.01μm未満では前記プラスチックフィルム1の表面を均一に被覆することができず銀の腐食防止及び反射率の向上を付与するといった効果が充分に発揮できずケイ素化合物樹脂層2、4を形成した価値がなく、一方3μmを越えてもケイ素化合物樹脂層2、4の乾燥速度が遅くなり非能率的で経済的にも好ましくない。
【0010】本発明の反射フイルムに採用される銀蒸着層3としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの製膜方法によって形成される。銀蒸着層3の金属としては、銀単独、銀と他の金属との合金、銀と他の金属の積層体が好ましい。銀蒸着層3の厚さは、特に制限はないが通常20nm〜200nm程度の範囲から適宜選択される。厚さが20nm未満では反射率が悪く、一方200nmを越えても反射率の更なる向上はみられず銀蒸着層の内部応力が増して密着強度が低下するばかりでなく銀の使用量も増えるので経済的にも劣り好ましくない。
【0011】本発明の銀反射フイルムに採用されるオーバーコート層5としては、特に制限されず、たとえば熱可塑性樹、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂などのいずれからなる塗料も用いられる。たとえばアミノ系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリルースチレン共重合体、尿素ーメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、フッ素系樹脂、ポリカーボネート、ニトルセルロース、セルロースアセテート、アルキッド系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ポリアミド系樹脂などのこれらの単独または混合物からなる樹脂塗料が用いられ形成されるものである。 【0012】前記オーバーコート層5は、前記オーバーコート層樹脂を溶媒にて希釈した塗料を表層に出ているケイ素化合物樹脂層4側の上全面にグラビアコーティング法、ロールコーティング法、ディップコーティング法などの通常のコーティング法により塗布、乾燥(硬化)して形成される。オーバーコート層5の厚さは、特に制限はないが通常0.5〜5μm程度の範囲から適宜選択される。厚さが0.5μm未満ではオーバーコート層5の表面を均一に被覆することができず、ケイ素化合物樹脂膜の割れ及び擦傷を防止する効果が充分に発揮できず、オーバーコート層を形成した価値がなく、一方5μmを越えても腐食防止の効果に大きな差はなく、オーバーコート層の乾燥速度が遅くなり非能率的であるので好ましくない。なお、隠蔽性や蓄熱発散性を付与したい場合には、オーバーコート層樹脂塗料にマット剤、たとえば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナ白、シリカ白、タクル、ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの体質顔料やアルミニウム粉、真鍮粉、銅粉などの金属粉末などをあらかじめ混合分散したものを用いることができる。マット化剤の粒子の大きさについては、特に限定はないがコーティングに支障がない0.001μm〜5μm程度の範囲が望ましい。
【0013】かくしてえられた反射フイルムは、銀蒸着層をケイ素化合物樹脂層で両面サンドすることにより、銀蒸着層面上の吸着水分がケイ素化合物樹脂と反応して除去されるとともに、成膜された膜は水分や硫化物をバリアーする機能があるため著しく銀の耐久性が向上し、さらに表層に出ている有機ケイ素樹脂の上にオーバーコート層を設けることによりケイ素化合物樹脂膜の割れ及び擦傷を防止することによりさらに耐久性が向上した反射フィルムが得られ、各種照明器具の反射材、液晶ディスプレイ用バックライト反射材、液晶ディスプレイ用拡散反射材、光学的ミラーなどの用途に適した高耐久反射フイルムが得られた。
【0014】以下に反射フイルムについて実施例をあげて詳細に説明するが、これに制限されるものではない。
【0015】
【実施例】
*実施例1厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ製:T−60)の全面にケイ素化合物樹脂塗料(東燃製:PHPS−1)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、このケイ素化合物樹脂層の上全面に銀を真空蒸着して厚さ80nmの銀蒸着層を形成しついでその上全面にケイ素化合物樹脂塗料(東燃製:PHPS−1)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、さらにこのケイ素化合物樹脂層の上全面にポリエステル樹脂塗料(東洋紡製:バイロン200)を塗布乾燥して厚さ1.5μmのオーバーコート層を形成して、本発明の反射フイルムを得た。
【0016】*実施例2厚さ50μmの紫外線吸収剤を練り込んだポリエチレンテレフタレートフイルム(帝人製:HB)の全面にケイ素化合物樹脂塗料(日本ダクロシャムロック製:NP720)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、このケイ素化合物樹脂層の上全面に銀を真空蒸着して厚さ80nmの銀蒸着層を形成しついでその上全面にケイ素化合物樹脂塗料(日本ダクロシャムロック製:NP720)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、さらにこのケイ素化合物樹脂層の上全面にポリエステル樹脂塗料(東洋紡製:バイロン200)を塗布乾燥して厚さ1.5μmのオーバーコート層を形成して、本発明の反射フイルムを得た。
【0017】*実施例3厚さ50μmの酸化珪素を練り込んだポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ製:X−42T)の全面にケイ素化合物樹脂塗料(東燃製:PHPS−1)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、このケイ素化合物樹脂層の上全面に銀を真空蒸着して厚さ80nmの銀蒸着層を形成しついでその上全面にケイ素化合物樹脂塗料(東燃製:PHPS−1)を塗布乾燥して厚さ0.2μmのケイ素化合物樹脂層を形成し、さらにこのケイ素化合物樹脂層の上全面にエポキシーメラミン樹脂塗料(田中ケミカル製:AL−320)を塗布乾燥して厚さ1.5μmのオーバーコート層を形成して、本発明の反射フイルムを得た。
【0018】*比較例1厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ製:T−60)に銀を真空蒸着して厚さ80nmの銀蒸着層を形成して、次いで銀蒸着層の上にポリエステル樹脂塗料(東洋紡製:バイロン200)を塗布乾燥して厚さ1.5μmのオーバーコート層を形成して、従来の反射フイルムを得た。
【0019】*比較例2厚さ50μmの酸化珪素を練り込んだポリエチレンテレフタレートフイルム(東レ製:X−42T)に銀を真空蒸着して厚さ80nmの銀蒸着層を形成して、次いで銀蒸着層の上にエポキシーメラミン樹脂塗料(田中ケミカル製:AL−320)を塗布乾燥して厚さ1.5μmのオーバーコート層を形成して、従来の反射フイルムを得た。
【0020】かくしてえられた実施例および比較例のフイルムについて、反射率、耐久性について調べた結果を表1に示した。
【0021】<反射率の評価方法>反射率は株式会社島津製作所製、分光光度計(UV−3100PC)を用いて測定し波長550nm時を読み取った。
実施例1、2及び比較例1については、全反射率を測定した値実施例3及び比較例2については、拡散反射率を測定した値<耐久性の評価方法> ・60℃×90%RH×1000hrs後の銀の腐食 − 目視にて判定 ・60℃×90%RH×1000hrs後の密着 − セロテープ剥離法にて判定<耐光性の評価方法> ・フェードメーターによる光照射1000hrs後の耐光性 − 色相にて判定【0022】
【表1】

表1から、比較例のものに比べて実施例のものは、反射率及び耐久性に優れていることがわかる。
【0023】
【発明の効果】本発明の反射フイルムは、銀蒸着層をケイ素化合物樹脂層で両面サンドすることにより、銀蒸着層面上の吸着水分がケイ素化合物樹脂と反応して除去されるとともに、成膜された膜は水分や硫化物をバリアーする機能があるため著しく銀の耐久性が向上し、さらに表層に出ているケイ素化合物樹脂層の上にオーバーコート層を設けることによりケイ素化合物樹脂層の割れ及び擦傷を防止したことでさらに耐久性を向上した反射フィルムであり、また、プラスチックフィルムにケイ素化合物樹脂を塗工した場合、プラスチックフィルムと銀蒸着層間の密着が向上するばかりでなく、プラスチックフィルムの透過率が向上しプラスチックフィルムを通した面を反射使用面とする場合反射率も向上させた反射フィルムとなった。
【出願人】 【識別番号】000235783
【氏名又は名称】尾池工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)5月2日
【代理人】
【公開番号】 特開平10−305510
【公開日】 平成10年(1998)11月17日
【出願番号】 特願平9−130391