| 【発明の名称】 |
繊維複合シート状材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】藤井 一成
【氏名】吉田 誠
【氏名】松井 亨景
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| 【要約】 |
【課題】審美性、意匠性及び触感等の表面特性(感性)に優れ、タイル壁材等の分野に好適に用いることのできる新規な繊維複合シート状材料を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂からなるマトリックス成分に、該熱可塑性樹脂より5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂繊維又は非熱溶融性の繊維からなる布帛が少なくとも1層複合されたシート状材料であって、該シート状材料の少なくとも一方の面には、前記布帛表面の少なくとも一部が露出している繊維複合シート状材料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱可塑性樹脂からなるマトリックス成分に、該熱可塑性樹脂より5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂繊維又は非熱溶融性の繊維からなる布帛が少なくとも1層複合されたシート状材料であって、該シート状材料の少なくとも一方の面には、前記布帛の表面の少なくとも一部が露出していることを特徴とする繊維複合シート状材料。 【請求項2】 布帛表面の露出割合が、布帛面積を基準として40〜100%である請求項1記載の繊維複合シート状材料。 【請求項3】 繊維複合シート状材料の最表層に配置されている布帛中に含浸されているマトリックス成分の含浸率が10〜90%である請求項1記載の繊維複合シート状材料。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂に布帛を複合したシート状材料に関する。さらに詳しくは、シート状材料表面に布帛表面の一部が露出していて、審美性及び意匠性に優れしかも手に触れた場合の触感も良好な、特にタイル壁材用として好適に使用することができる新規な繊維複合シート状材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を母材樹脂とする補強繊維層入りのシート状の複合材料はよく知られており、広く使用されている。例えば、熱硬化性樹脂を母材樹脂とする複合材料は、補強繊維のトウ又は織物に熱硬化性樹脂を含浸又は塗布したテープ状又は平板状のプリプレグを、必要に応じて積層し、これを型等により成型品の形状にした後、樹脂を硬化することによって作られている。しかし、これには、プリプレグが高粘着性を示すために取扱性が悪い、一旦熱硬化するとその後の賦形は困難である、得られる複合材料の表面は無機的で冷たい印象の外観とプラスチックライクな感触を有する等の問題があった。 【0003】一方、熱硬化性樹脂を母材樹脂とする複合材料は、例えば特開平1−278336号公報には熱可塑性樹脂からなる布帛と補強繊維からなる布帛とを積層体を型等で加圧熱成形する方法、特開平3−69629号公報には熱可塑性樹脂からなる布帛と補強繊維からなる布帛とを2枚以上積層し、互いに固結糸で固結した積層体を型等で加圧熱成形する方法が、また特開平2−80652号公報には補強繊維と熱可塑性樹脂繊維とからなるウェブに交絡処理を施したマット状物の表面に、補強繊維と熱可塑性樹脂繊維よりなる層を設けて加圧熱成形する方法等が提案されている。しかし、これらの方法により得られるシート状複合材料はいずれも、成形時の取扱性あるいは複合材料の剛性や強度の向上を目的とするもので、前述の熱硬化性樹脂を用いた場合と同様に、その表面は無機的で冷たい印象の外観とプラスチックライクな感触を有する等の問題を有するものであった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記を背景になされたもので、その目的は、近年様々な分野で要求の高まっている審美性、意匠性及び触感等の表面特性に優れた新規な繊維複合シート状材料を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の上記課題は、「熱可塑性樹脂からなるマトリックス成分に、該熱可塑性樹脂より5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂繊維又は非熱溶融性の繊維からなる布帛が少なくとも1層複合されたシート状材料であって、該シート状材料の少なくとも一方の面には、前記布帛表面の少なくとも一部が露出していることを特徴とする繊維複合シート状材料。」により達成される。 【0006】 【発明の実施の形態】本発明のマトリックス成分に用いられる樹脂は、加熱により溶融して賦形することができる熱可塑性樹脂である必要があり、特に熱処理しても熱分解し難いものが好ましい。マトリックス成分が熱硬化性樹脂である場合には、その取扱性が悪いだけでなく、得られる成形品の耐衝撃性が低くなり、また一旦シート状に熱成形したものは、これを他の形態に再成形することが困難になるため好ましくない。 【0007】マトリックス成分に好ましく用いられる熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、あるいはナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル、並びにこれらのポリマーの共重合体をあげることができ、かかる共重合体はその共重合割合を調節することによって融点を調節することが可能である。 【0008】上記のマトリックス成分に複合される布帛を構成する繊維は、該マトリックス成分より5℃以上高い融点を有する熱可塑性樹脂繊維又は非熱溶融性の繊維、好ましくはマトリックス成分より5℃以上50℃以下高い融点を有する熱可塑性樹脂繊維であることが必要である。該樹脂が融点を有する場合でその温度がマトリックス成分の融点よりも5℃以上高くない場合には、マトリックス成分と布帛とを複合する際に、布帛の形状が変化したり繊維物性が変化して充分な補強効果が得られなくなり、またシート状材料の最外層に配置される布帛が融解しやすくなるため、本発明の目的とする表面特性が得られなくなるので好ましくない。 【0009】好ましく用いられる該布帛用の熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、あるいはナイロン4、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステルなどをあげることができる。 【0010】一方非熱溶融性の繊維としては、メタ系又はパラ系の芳香族ポリアミド繊維、綿、麻等のセルロース繊維又はレーヨン等のセルロース誘導体繊維、絹、羊毛等のタンパク質繊維等をあげることができる。その他ピッチ系又はPAN系の炭素繊維等を、シート状材料の表層部に露出しない内部に、補強用として併用することもできる。 【0011】本発明で用いられる布帛は、上記の熱可塑性樹脂繊維又は非熱溶融性の繊維から構成されるものであればその形態は特に限定されず、織物、編物、不織布等のいずれの形態であってもよいが、織編物、特に織物が得られる複合シート材料の審美性、意匠性等の点から好ましい。また2種以上の繊維を混合、混繊又は交織編した布帛であってもよい。 【0012】本発明においては、これらの布帛を1枚、又は複数枚を層状に積層して前記マトリックス成分と複合する。この際、複合材料の表層に位置する布帛としては、綿、麻、絹、ウール等の天然素材、アセテート、レーヨン等の半合成繊維からなる布帛が、審美性、意匠性、感触等の感性の面から見て好ましい。さらに、該表層に位置する布帛は、通常衣料などに用いられる感性素材、染色やプリントにより審美性や意匠性が向上させられたものであることが好ましい。 【0013】また、布帛を複数枚積層して用いる場合には、その内層に位置する布帛は、高強力繊維、例えばパラ系芳香族ポリアミド繊維等から構成されていることが、得られるシート状材料の強度が向上するので好ましい。 【0014】本発明の繊維複合シート状材料においては、さらにシート状材料の少なくとも一方の面に、前記布帛の少なくとも一部が露出していることが肝要である。布帛がマトリックス成分中に完全に埋没している場合には、布帛の持つ暖かみや柔らかさ等の視覚的な表面効果(審美性)や、手で触れた際の布帛特有の触感が得られなくなるので好ましくない。最表層の布帛が部分的に完全含浸された場合には、接着性だけでなく新たな意匠効果も得られるので好ましいが、完全含浸された部分が多くなりすぎると前記の表面効果や触感が得難くなるので、完全に含浸された布帛の面積割合を50%未満とすることが望ましい。 【0015】また本発明の繊維複合シート状材料においては、最表層の布帛に対するマトリックス成分の含浸率を下げた場合には、表面効果を出すための該布帛とマトリックスとの接着性が不十分なものとなりやすく、成型後の取扱中又は製品使用中に該最表層にある布帛層が剥がれやすくなり、一方含浸率を上げた場合には、布帛の持つ審美性、意匠性、触感等の表面効果が発現し難くなるので、マトリックス成分の最表層布帛への含浸率は10〜90%、特に30〜50%の範囲内にあることが好ましい。 【0016】なおここでいう含浸率とは、マトリックス成分の最表層布帛への浸入厚さの割合を表すものである。すなわち、該含浸率は、得られたシート状材料の断面電顕写真から、最表層布帛の最下点から最上点に至るまでの距離を読みとり最表層布帛厚さとし、一方、樹脂層内の最表層布帛の最下点から該最表層布帛内部のマトリックス成分層の最上点までの距離を読取り、最表層布帛内部に浸入しているマトリックス成分侵入厚さとして、下記式より算出した。 含浸率(%)=100×(マトリックス成分浸入厚さ)/(最表層布帛厚さ) 【0017】以上に述べた本発明の繊維複合シート状材料を製造するは特に限定する必要はなく、いかなる方法であってもよい。例えば、熱可塑性樹脂からなるフィルム、シート又は布帛を、補強用の布帛と交互に積層し、この時最表層に意匠性に富んだ布帛を配し、ついでマトリックス成分である低融点側の熱可塑性樹脂の融点より高く且つ布帛を構成している高融点側の繊維の融点より低い温度で熱プレスを行って成型する方法、あるいは補強用の布帛にマトリックス成分となる熱可塑性樹脂を溶融含浸し、これを所要の枚数積層し、次いで最表層に表面効果に富んだ布帛を配した後、熱プレスを行っても成型する方法、さらには、これらを熱ロール等を用いて連続で熱プレス成型する方法等があげられる。この際、マトリックス成分となる熱可塑性樹脂の使用割合、用いる布帛の嵩密度及び繊維の種類等に応じて、熱プレス温度や加圧条件を選択設定することが、繊維複合材料の表面に布帛の一部を露出させて本発明の目的を達成するためには重要である。 【0018】 【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例における各測定項目は以下の測定方法にしたがった。 <融点>熱可塑性樹脂の融点は、DSC測定装置(理学社製TG8110D)を用い、その融点吸熱ピークの位置より見積もった。 <含浸率>マトリックス成分の含浸率は、得られた繊維複合シート状材料の断面電顕写真を撮影し、その最表層布帛の最下点から最上点に至るまでの距離を読みとり最表層布帛厚さとし、一方、樹脂層内の最表層布帛の最下点から該最表層布帛内部のマトリックス成分層の最上点までの距離を読取り、最表層布帛内部に浸入しているマトリックス成分侵入厚さとして、下記式より算出した。 含浸率(%)=100×(マトリックス成分浸入厚さ)/(最表層布帛厚さ) 【0019】<表面効果>シート状材料の最表面に配された布帛の表面にマトリックス樹脂が浸み出した部分の面積を測定し、シート状材料全表面積に対する該浸み出し面積の割合が60%未満なら良好、60%を越えると不良と判定した。 <表面剥れ>JIS K 6854に基づき、最表面層布帛と基体部分との剥離強力を測定し、その強力が最表面層に配された布帛の引張強力の40%以上であれば良好、40%未満であれば不良と判定した。 【0020】[実施例1〜2、比較例1]25cm×25cmのポリエチレンテレフタレート(PET:融点257℃)繊維からなるタフタ(目付け60g/m2 )及びナイロン6(Ny6:融点222℃)繊維からなるタフタ(目付け65g/m2 )を、PET/Ny6=2枚/3枚を交互に積層し、次いで最表層に表1記載の枚数のPETタフタを積層して、熱プレス機により圧力50Kg/cm2 、温度230℃にて10分間熱プレスを行ってシート状物を得た。表1にその結果を示す。 【0021】[比較例2]最表層に積層するる織物をNy6繊維からなるタフタとした以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。結果を表1に合わせて示す。 【0022】[実施例3〜4]最表層に積層する織物を表1記載のもの(但し、綿織物は目付け150g/m2 、麻織物は目付け140g/m2 )に変えた以外は実施例1と同様にしてシート状物を得た。結果を表1に合わせて示す。 【0023】 【表1】
【0024】 【発明の効果】本発明の繊維複合シート状材料は、その表面に複合した布帛の一部が露出しているため、従来の繊維補強フィルムやシート材料分野においては全く考慮されていなかった感性、すなわち、審美性、意匠性、触感等の布帛特有の表面特性を有している。したがって、これらの特性を生かして、タイル壁材等の分野に利用することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003001 【氏名又は名称】帝人株式会社
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| 【出願日】 |
平成8年(1996)6月26日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】前田 純博
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| 【公開番号】 |
特開平10−6421 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)1月13日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−165860 |
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