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【発明の名称】 化粧合板
【発明者】 【氏名】今村 巌

【要約】 【課題】反りを防止できるとともに、表面仕上がりを維持しつつ、裏化粧板の材料の歩留まりを向上させ、それにより製造コストを削減することができる化粧合板を提供する。

【解決手段】芯材2と、この芯材2の表面に貼られた表化粧板3と、芯材2の裏面に貼られた裏化粧板4とを備え、この裏化粧板4が、互いに分割された複数の板材4aで構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 芯材と、この芯材の表面に貼られた表化粧板と、前記芯材の裏面に貼られた裏化粧板とを備え、この裏化粧板が、互いに分割された複数の板材で構成されていることを特徴とする化粧合板。
【請求項2】 前記表化粧板が、フェノール樹脂含浸シートで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の化粧合板。
【請求項3】 前記裏化粧板を構成する前記複数の板材がそれぞれ、前記表化粧板と同じ材質の板材で構成されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の化粧合板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に黒塗りピアノのケース部品などとして用いられる化粧合板に関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、この種の化粧合板の、従来の一般的な構成を示している。この化粧合板21は、ラワン合板などから成る芯材22と、その表裏面にそれぞれ接着された、各1枚の化粧単板などから成る表化粧板23および裏化粧板24とによって構成されている。外装を構成する表化粧板23には、接着後、入念な塗装が施される。また、裏化粧板24は、表化粧板23とともに芯材22をサンドイッチすることにより、塗装後の塗料の乾燥・収縮による化粧合板21の反りなどを防止するために設けられるものであり、ある程度の表面仕上がりを確保するため、簡略な塗装が施される。
【0003】また、このような化粧合板21として、表化粧板23や裏化粧板24に、フェノール樹脂含浸紙(フェノール樹脂を含浸させた紙を熱プレスで硬化させて板状にした化粧板)を用いたものも知られている。この構成により、塗装時の塗料の乗りを良くして、良好な塗装品質を得ることができる。また、裏化粧板24を、表化粧板23と同じ材質とし、同等の変形特性をもたせることにより、塗装後の化粧合板21の反りなどをより確実に防止することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来の化粧合板21では、表化粧板23および裏化粧板24がそれぞれ連続した1枚もので構成されていて、それらの素材板を、製造すべき化粧合板21の寸法に合うように切断して使用するため、素材板と化粧合板21の寸法関係によっては、材料の無駄が多くなり、歩留まりが非常に低下し、ひいては化粧合板21の製造コストを上昇させてしまう。特に、表化粧板23および裏化粧板24をフェノール樹脂含浸紙で構成した場合には、それらの価格が、合板22と比べて格段に高いので、上記の欠点が顕著になる。
【0005】本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、反りを防止できるとともに、表面仕上がりを維持しつつ、裏化粧板の材料の歩留まりを向上させ、それにより製造コストを削減することができる化粧合板を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため、本発明の化粧合板は、芯材と、この芯材の表面に貼られた表化粧板と、芯材の裏面に貼られた裏化粧板とを備え、この裏化粧板が、互いに分割された複数の板材で構成されていることを特徴としている。
【0007】この化粧合板では、裏化粧板が、互いに分割された複数の板材で構成されているので、より小さな寸法の複数の板材をつぎ合わせて裏化粧板を構成でき、端材を利用することも可能になる。したがって、裏化粧板が連続した1枚ものの板材で構成される従来の場合と比較して、裏化粧板の材料の歩留まりを大幅に向上させることができる。
【0008】この場合、裏化粧板は、表面側の表化粧板と異なり、組立後には通常、裏側に隠れて見えない部分となるので、本来的にそれほど高い化粧品質は要求されない。したがって、裏化粧板が複数の板材で分割されていても、その表面仕上がりにはほとんど影響を及ぼさない。一方、表化粧板については、例えば、従来通り、連続した1枚の板材で構成することにより、良好な表面仕上げを維持することができる。さらに、表化粧板と裏化粧板で芯材をサンドイッチすることにより、塗装後の塗料の乾燥・収縮による化粧合板の反りなどを防止できる。
【0009】この場合、表化粧板が、フェノール樹脂含浸紙で構成されていることが好ましい。
【0010】この構成によれば、表化粧板がフェノール樹脂含浸紙で構成されていることにより、その塗装時の塗料の乗りが良くなるので、外装となる表化粧板について、良好な塗装品質を得ることができる。
【0011】これらの場合、裏化粧板を構成する複数の板材がそれぞれ、表化粧板と同じ材質の板材で構成されていることが好ましい。
【0012】この構成では、裏化粧板が表化粧板と同じ材質の板材で構成されていて、同等の変形特性を有するので、塗装後の化粧合板の反りを、より確実に防止することができる。また、表化粧板および裏化粧板をともにフェノール樹脂含浸紙で構成した場合には、表化粧板について良好な塗装品質を確保できるとともに、裏化粧板については、表面仕上がりを維持しつつ、単価の高いフェノール樹脂含浸紙の歩留まりを大幅に向上させることにより、化粧合板の製造コストを大幅に削減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による化粧合板を示している。この化粧合板1は、芯材2と、この芯材2の表面に接着された表化粧板3と、芯材2の裏面に接着された裏化粧板4とによって構成されている。
【0014】芯材2は、例えば、市販の木質のものであり、ラワン合板、MDボードやパーティクルボードなどで構成されている。表化粧板3および裏化粧板4は、互いに同じ材質および品質のフェノール含浸樹脂紙で構成されている。また、表化粧板3が連続した1枚のフェノール含浸樹脂紙で構成されているのに対し、裏化粧板4は、互いに分割された複数のフェノール含浸樹脂紙の板材4aで構成されており、板材4a、4aの間は、互いに隙間がないようにつぎ合わされている。
【0015】この化粧合板1は、例えば、図2に示す製造方法によって製造される。すなわち、まず、製造すべき化粧合板1の寸法に応じて、市販の合板などから適当な寸法の芯材素材20を選択し、用意する。次いで、同図(a)に示すように、この芯材素材20の表面側(同図では下面側)に、連続した1枚の表化粧板素材30を接着剤を介して重ねるとともに、裏面側に裏化粧板4用の複数の板材4aを接着剤を介して隙間なく並べた後、図示しないプレス機で圧着する(同図(b))。最後に、裁断機(図示せず)によって、所定の寸法の複数の化粧合板1に切断して、化粧合板1の製造を完了する(同図(c)に1枚のみ図示)。その後、化粧合板1の表化粧板3に入念な塗装が、裏化粧板4に簡略な塗装が、それぞれ施される。
【0016】以上のように、本実施形態による化粧合板1は、その裏化粧板4が、互いに分割された複数の板材4aをつぎ合わせることにより構成されているので、端材を利用することが可能になる。その結果、裏化粧板が連続した1枚ものの板材で構成される従来の場合と比較して、裏化粧板4の材料の歩留まりを大幅に向上させて、製造コストの削減を図ることができる。特に、本実施形態のように、裏化粧板4にフェノール樹脂含浸紙を用いた場合には、それらの価格が合板2などと比べて格段に高いので、製造コストの大幅な削減効果を得ることができる。
【0017】この場合、裏化粧板4は、表化粧板3と異なり、組立後には通常、裏側に隠れて見えない部分となるので、本来的にそれほど高い化粧品質は要求されない。したがって、裏化粧板4が複数の板材4aに分割されていても、その表面仕上がりにはほとんど影響を及ぼさない。一方、表化粧板3については、従来通り、連続した1枚のフェノール樹脂含浸紙で構成することにより、良好な塗装品質を維持することができる。
【0018】さらに、表化粧板3と裏化粧板4がともにフェノール樹脂含浸紙で構成されていて、同等の変形特性を有するので、両者3、4で芯材3をサンドイッチすることにより、塗装後の塗料の乾燥・収縮による化粧合板1の反りなどをより確実に防止することができる。
【0019】なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、表化粧板および裏化粧板をともに同材質および同品質のフェノール樹脂含浸紙で構成しているが、裏化粧板として、表化粧板よりも含浸量の少ないフェノール樹脂含浸紙を用いてもよい。含浸量が少ないほど安価であるので、その分、材料コストを削減することができる。
【0020】また、表化粧板だけをフェノール樹脂含浸紙とするとともに、裏化粧板として、フェノール樹脂を含浸していないものや、木目がそろっていないなどの理由で通常は使用されない低品質の木質の端材などを用いてもよく、それにより、製造コストをさらに削減することができる。さらに、本発明は、表化粧板がフェノール樹脂含浸紙でない場合にも、もちろん適用でき、その場合には、裏化粧板にも非含浸のものが用いられることになる。
【0021】また、裏化粧板を構成する複数の板材の数、形状および配置などは、実施形態で示したものに限らず、任意であることは、もちろんである。化粧合板の製造方法も、例示した以外の適当な方法を採用できる。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明の化粧合板は、反りを防止できるとともに、表面仕上がりを維持しつつ、裏化粧板の材料の歩留まりを向上させ、それにより製造コストを削減することができるなどの効果を有している。
【出願人】 【識別番号】000001410
【氏名又は名称】株式会社河合楽器製作所
【出願日】 平成8年(1996)10月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】落合 稔 (外1名)
【公開番号】 特開平10−119006
【公開日】 平成10年(1998)5月12日
【出願番号】 特願平8−299635