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【発明の名称】 |
アルミニウムのDC連続鋳造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】渡辺 良夫 【氏名】林 典史 【氏名】宇野 照生 |
【課題】鋳塊底部における組織異常部の発生を低減し、底部表面品質の良好な鋳塊が製造できるアルミニウムのDC連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】上下に開放された水冷鋳型にボトムブロックを配置してアルミニウム溶湯を供給し、鋳型とボトムブロックからの冷却で凝固させたのち、ボトムブロックを降下させ、形成された鋳塊を鋳型下方の冷却帯で冷却しながら連続的に引き出すアルミニウムの連続鋳造において、ボトムブロックの溶湯接触面部のアルミニウム溶湯との間の熱伝達係数を200〜4000W/m2 Kとし、溶湯を供給し始めてから鋳塊が冷却帯に入るまでの平均溶湯供給速度を、鋳塊の定常鋳造速度の2〜5倍とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下に開放された水冷鋳型にボトムブロックを配置してアルミニウム溶湯を供給し、鋳型とボトムブロックからの冷却により凝固させたのち、ボトムブロックを降下させ鋳型下方の冷却帯で冷却しながら形成された鋳塊を連続的に引き出すアルミニウムの連続鋳造において、ボトムブロックは、アルミニウム溶湯との間の熱伝達係数が200〜4000W/m2 ・Kとなる表面部をそなえ、該表面部にアルミニウム溶湯を供給し、溶湯を供給し始めてから形成された鋳塊が鋳型下方の冷却帯に到るまでの平均溶湯供給速度を、鋳造速度に換算して、定常鋳造速度の2〜5倍とすることを特徴とするアルミニウムのDC連続鋳造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム(アルミニウム合金を含む、以下同じ)のDC連続鋳造方法、詳しくは、水冷鋳型内にボトムブロックを配置して連続鋳造を開始する鋳造の初期段階における鋳塊欠陥の発生を低減できるアルミニウムのDC連続鋳造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】DC鋳造は、上下に開放された中空水冷鋳型の下方から、中空部と同じ形状のボトムブロックを挿着し、鋳型とボトムブロックとで形成される空間部に溶湯を供給し、溶湯を鋳型およびボトムブロックからの冷却により凝固させたのち、ボトムブロックを降下させ、形成される鋳塊を鋳型下方の冷却帯で直接冷却しながら連続的に引き出すものであり、アルミニウムのスラブ、ビレットなどの鋳塊を連続的に鋳造する方法として広く用いられている。 【0003】DC鋳造では、形成される鋳塊の表層部は鋳型からの冷却により凝固するが、とくに鋳造開始時、鋳型およびボトムブロックからの冷却のみで鋳塊冷却が行われる初期段階において、凝固収縮により鋳型と鋳塊との間に空隙が生じて冷却が絶たれ、鋳塊の表層部が内部の溶湯により再加熱されるとともに、内部の溶湯は徐冷されるという現象が生じ、これに起因して偏析や鋳塊組織の粗大化などの組織異常が発生する。 【0004】ボトムブロックとの接触部において凝固した溶湯により形成される鋳塊の底部も、とくに鋳型の周辺部では鋳型からの冷却も加わるために、凝固した鋳塊の底部とボトムブロックとの間に隙間が形成されて冷却効果が減少し、上記の現象が生じて鋳塊底部の再加熱が著しくなり、組織異常が発生する。鋳塊が鋳型下方の冷却帯に達したのちの定常段階においては、強力な冷却効果が得られるから、上記の空隙形成による冷却強度の極端な変化がなくなり、組織異常の発生が少ない健全な組織性状が得られる。 【0005】通常、アルミニウムの連続鋳造の場合、ボトムブロックは、熱伝達性能の優れたアルミニウムなどで構成されており、アルミニウム溶湯との間の熱伝達係数は5000W/m2 K程度である。鋳造開始時、鋳型にボトムブロックを配置し、溶湯を供給し始めてから、形成した鋳塊が水冷帯に入るまでの溶湯の供給速度は、鋳型からの湯漏れなどを考慮して、定常鋳造速度の0.5〜1倍程度に設定されているが、このような鋳造初期条件の場合、多くの組織異常発生が経験されており、この組織異常部は、鋳造後切断、除去されるため、鋳塊歩留りや生産性低下の大きな原因となっている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウムのDC鋳造における組織異常の問題を解消するために、種々の鋳造試験を行うとともに、得られたデータを多角的に解析することによって、ボトムブロックのアルミニウム溶湯との接触面におけるアルミニウム溶湯との間の適正な熱伝達係数、鋳造開始段階での溶湯の供給速度について再検討した結果としてなされたものであり、その目的は、鋳塊の底部における徐冷凝固が抑制されて、鋳塊底部での組織異常が低減され、鋳塊底部について定常段階で得られる鋳塊品質以上の品質を得ることを可能とする鋳造初期条件を含むアルミニウムのDC連続鋳造方法を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するための本発明によるアルミニウムのDC連続鋳造方法は、上下に開放された水冷鋳型にボトムブロックを配置してアルミニウム溶湯を供給し、鋳型とボトムブロックからの冷却により凝固させたのち、ボトムブロックを降下させ、鋳型下方の冷却帯で冷却しながら形成された鋳塊を連続的に引き出すアルミニウムの連続鋳造において、ボトムブロックは、アルミニウム溶湯との間の熱伝達係数が200〜4000W/m2 Kとなる表面部をそなえ、該表面部にアルミニウム溶湯を供給し、溶湯を供給し始めてから形成された鋳塊が鋳型下方の冷却帯に到るまでの平均溶湯供給速度を、鋳造速度に換算して、定常鋳造速度の2〜5倍とすることを構成上の特徴とする。 【0008】本発明で使用するボトムブロックは、アルミニウム溶湯との間の熱伝達係数が所定範囲のものであれば、材質、表面状態は問わない。アルミニウムのDC連続鋳造においては、ボトムブロックは、一般にアルミニウムから成形されるが、溶湯と接触する表面部に断熱材を配設し、あるいは離型剤を塗布するなどの方法により、熱伝達係数を調整することができる。伝熱性の低い金属材料をメッキなどの手段で被覆してもよい。 【0009】ボトムブロックの溶湯との接触面部における熱伝達係数は、200〜4000W/m2 Kの範囲が好ましく、熱伝達係数が200W/m2 K未満では鋳型から湯漏れが生じ易くなり、4000W/m2 Kを越えると、ボトムブロックからの冷却効果が大きくなり、徐冷凝固層が成長して組織異常が発生し易くなる。熱伝達係数のさらに好ましい範囲は200〜2000W/m2 Kである。 【0010】鋳型内に配置したボトムブロックにアルミニウム溶湯を供給し始めてから、形成された鋳塊が鋳型下方の冷却帯に到るまでの平均溶湯供給速度は、鋳造速度に換算して、定常鋳造速度の2〜5倍の範囲が好ましい。2倍未満では、ボトムブロックに溶湯を供給し始めてから、形成された鋳塊が降下して鋳型下方に位置する冷却帯に入るまでの時間が長くなるため、凝固層の再加熱時間が長くなって徐冷凝固層が成長し易い。5倍を越えると、鋳造初期に湯漏れが生じ易くなる。さらに好ましい平均溶湯供給速度は、鋳造速度に換算して、定常鋳造速度の3.5〜5倍の範囲である。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明の実施に当たっては、アルミニウムの連続鋳造作業における常法に従って、上下に開放された矩形または円形の中空水冷鋳型の下部から、中空部と同じ形状のアルミニウム製ボトムブロックを鋳型の上下方向の途中まで挿入し、ボトムブロックの溶湯接触面部に、例えば熱伝達係数を低下させる材料をシート状に成形して設置し、あるいは離型剤などを塗布して、アルミニウム溶湯との間の熱伝達係数を調整する。 【0012】ついで、鋳型とボトムブロックで形成される空所にアルミニウムの溶湯を供給し、溶湯を水冷鋳型およびボトムブロックからの冷却で凝固させたのち、降下台によりボトムブロックを降下させる。ボトムブロックとともに降下する鋳塊は、鋳型下方の冷却帯において直接水冷され、鋳塊内部まで凝固する。 【0013】本発明においては、鋳造初期段階における鋳塊底部の冷却を調整して、凝固収縮に伴う冷却効果の急速な減少を緩和し、且つ鋳造開始時の平均溶湯供給速度を調整して鋳塊が降下して鋳型下方の冷却帯に入るまでの時間をできるだけ短くすることにより、徐冷凝固を抑制して鋳塊底部に組織異常の少ない品質良好なスラブ、ビレットなどの鋳塊を製造するものである。 【0014】 【実施例】 実施例1各種の断面寸法を有するJIS 5182合金の鋳塊を、表1に示す鋳造条件に従って鋳造し、得られた鋳塊について、表層部の組織異常部の最大深さを測定した。測定結果を表2に示す。なお、ボトムブロックはアルミニウムからなるもので、試験No.3、6 、8 は溶湯との接触面部にシート状の断熱材を配設し、試験No.1、2、4 、5 、7 、9 は離型剤を塗布することにより、溶湯との間の熱伝達係数を調整した。表2にみられるように、本発明の条件に従う試験No.1〜9 では、いずれも鋳塊底部における組織異常部の深さが、定常部における組織異常部の深さより浅く、健全な鋳塊底部が得られた。 【0015】 【表1】
《表注》1.平均溶湯供給速度:溶湯を供給し始めてから鋳塊が冷却帯に入るま での平均溶湯供給速度を鋳造速度に換算した値。 2.速度比:平均溶湯供給速度を定常鋳造速度で除した値。 【0016】 【表2】
【0017】比較例1実施例1と同じJIS 5182合金を、表3に示す鋳造条件で鋳造し、実施例1と同様、鋳塊底部および定常部における表層部の組織異常部の最大深さを調査した。結果を表4に示す。ボトムブロックはアルミニウムからなるもので、試験No.11は溶湯接触面部にシート状の断熱材を配設し、試験No.10 、13は離型剤を塗布することにより溶湯との間の熱伝達係数を調整した。試験No.12 、14のボトムブロックは通常使用されるアルミニウム製ボトムブロックである。なお、表3において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。 【0018】 【表3】
【0019】 【表4】
【0020】表4に示すように、試験No.10 は速度比が大き過ぎるため、試験No.11 は熱伝達係数が小さ過ぎるため、いずれも湯漏れが生じた。試験No.12 、14は熱伝達係数が大き過ぎるため、鋳塊底部に表層部より深い範囲に組織異常部が発生した。試験No.13 は速度比が小さいため、鋳塊が降下して冷却帯に入るまでの時間が長くなって徐冷凝固層が成長し、鋳塊の表層部から深い範囲まで組織異常部が発生した。 【0021】 【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、アルミニウムのDC連続鋳造において、鋳塊底部の冷却条件が調整されて組織異常部の発生が低減され、底部の表面品質の良好な鋳塊が安定して得られる。鋳塊歩留り、生産性の向上に役立つ。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002277 【氏名又は名称】住友軽金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成8年(1996)7月9日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】福田 保夫
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| 【公開番号】 |
特開平10−24350 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)1月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−198424 |
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