|
|
【発明の名称】 |
プリント配線板用の金型材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】内藤 繁夫 【氏名】櫻井 正幸 【氏名】夏目 徹 |
【課題】プリント配線板用の金型において、金型部品の構成で最も重要な刃型に使用される金型材料は硬度の硬い焼入れ処理材が使われている。この焼入れ処理材は、穴明け加工、ニゲ穴加工、ネジ切り加工などの加工速度が大幅に遅く、穴位置精度、穴間寸法精度、穴の垂直度などが生材(溶製材)より低下する問題があった。
【解決手段】本発明は、かかる従来の問題を解決した熱間工具鋼金型材料を提供することにある。刃型に使用する金型材料として、刃材となる焼入れ処理材と母材となる生材(溶製材)の2種類の異種金属材料を熱間等方加圧処理を施し、熱間工具鋼の複合材料を開発製造することができた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プリント配線板の穴あけ及び外周加工を施す金型に用いる金型材料において、2種類の異種金属を熱間等方加圧処理工法に基づいて接合一体化することにより、金型の刃型部品材料として用いてなることを特徴とするプリント配線板用の金型材料。 【請求項2】 請求項1において、2種類の異種金属に、切刃となる刃材には合金工具鋼か高速度工具鋼を用い、母材には炭素鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼あるいはプリハードン鋼のいずれか1種類を用いてなることを特徴とするプリント配線板用の金型材料。 【請求項3】 請求項2において、母材を中心にこの母材の両面に刃材を設けて熱間等方加圧処理工法で接合一体化した後、母材の中央部で切断し、金型の刃型部品材料として用いることを特徴とするプリント配線板用の金型材料。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線板用のプレス金型に使用する金型材料に関するものである。 【0002】 【従来の技術】プリント配線板には、部品挿入用の丸穴、角穴、長円穴や大型部品を固定するための取付穴、部品実装後にプリント配線板を分割するためのスリット形状穴、これらの穴の他に、部品実装自動機対応用のガイド穴が設けられており、またプリント配線板の外周を打抜くために金型が必要である。 【0003】このプリント配線板用のプレス金型について、図4に示すプレス金型の部分的構造断面図に基づいて説明する。まず、プレス金型は上型40と下型50に大別でき、この上型40と下型50の間にプリント配線板39を設置し、プレス機に取付けた上型40が下降して、プリント配線板39を打抜くことになる。上型40にはシェダー31と呼ばれる上刃型、外周抜きダイ32、ポンチ矢を挿入固定しているポンチプレート33、さらにポンチ矢の抜けを防止するバッキングプレート34とポンチ矢35が取付けられている。下型50には抜きポンチ36と呼ばれる下刃型、外周抜きポンチ37、台プレート38などが取付けられている。金型では刃型と呼ばれる上型40のシェダー31と下型50の抜きポンチ36の材質、及び加工構造、加工方法、加工精度などが重要なポイントとなっている。 【0004】この刃型であるシェダー31と抜きポンチ36に使う金型材料について説明する。図3は従来の金型材料の斜視図を示すもので、単一材質の金型材料8を使って成形していた。この単一材質の金型材料8は焼入れ処理がされていない生材(溶製材)として炭素工具鋼、炭素鋼あるいは合金工具鋼を使って焼入れ処理をしない方法があり、またはシェダー31や抜きポンチ36の穴明け仕上後に焼入れ処理をしてロックウェル硬度HRC56°〜58°にする焼入れ用材料の合金工具鋼を使用していた。この金型材料の厚みT8は通常10〜15mmで、打抜くプリント配線板39のサイズ、形状、穴密度、材質、板厚、および目標金型寿命などの観点から金型材料の厚みT8を決定している。また、金型材料の幅、長さ、サイズはプリント配線板サイズより80〜120mmだけ大きなサイズとして設定している。 【0005】尚、この金型のシェダー31と抜きポンチ36の焼入れ処理は、穴明け仕上後に処理すると穴密度や残存肉厚の不均一、残存部の接続強度不足の影響から、金型加工表面の反り、ネジレや穴位置精度、穴間寸法精度、スリット幅、角穴寸法精度に関する不良が発生しやすく、また、穴明け加工前に焼入れ処理をした硬い材料を使う場合は穴明け加工、仕上加工、ネジ切り加工などの加工速度が大幅に遅くなり、切削性も悪く、加工精度が低下する問題がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来の技術による図4に示すような、シェダー31や抜きポンチ36の金型材料8は単一材質を用いているため、焼入れ処理のできない生材(溶製材)の材質を選択するか、あるいは焼入れ処理用の材質であって穴明け仕上後に焼入れ処理をする工法に適した材質とするか、または焼入れ処理の施されている材質の金型材料で最初からの穴明け加工をするかを選択し決定しなければならない。一方、最近のプリント配線板の高密度化、高精度、高品質および長寿命の要求に応えるには生材(溶製材)の材質や穴明け仕上後に焼入れ処理をする材質は不適当となっている。すなわち、焼入れ処理の施されている硬度の硬い材質を金型材料として穴明け加工をすることになる。この金型材料および加工工法に関する問題点は穴明け加工、テーパー穴加工、ニゲ穴加工、プレス抜けカス逃げ穴加工、ネジ切り加工などの加工速度が生材に比べ40〜60%と大幅に遅くなり、硬い金型材質のため切削性も大幅に低下し、切削工具も焼入れ材料用の特殊刃物を使用することになり、さらに加工条件や切削工具の寿命交換管理が難しく、穴位置精度、穴間寸法精度、穴の垂直度などの仕上り精度が生材(溶製材)より20〜30%低下する。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、かかる従来の問題を解決したプリント配線板用の金属材料を提供することにある。本発明は金型構成部品の中で最も重要な刃型部材であるシェダー31と抜きポンチ36に使用する刃型部品材料を図1に示すような生材(溶製材)である母材2と焼入れ処理材である刃材1をHIP処理(熱間等方加圧法)を施し、この2種類の異種の金属材料を拡散接合して熱間工具鋼複合材料5Aを製造する。これによって、単一材質では得ることのできない複数の特性すなわち、刃材1は耐摩耗性と靱性に富み、母材2は切削加工性、耐振強度、柔軟性に優れた特性の複合材料を設計、製造できる。上述の2種の異種金属材料を拡散接合してできた熱間工具鋼複合材料5Aを金型材料として用い、シェダー31と抜きポンチ36を製作し、切削加工性の改良と金型精度の向上、金型加工速度アップや作業管理の簡易化による生産性アップおよびプレス打抜きされるプリント配線板の品質向上が達成できる。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は本発明の実施例を示す図面である。まず図1に示すような例えば、刃材1には焼入れ処理材である合金工具鋼を、母材2には生材(溶製材)である炭素鋼を選択し、2種類の異種金属材料からなる複合材料を作る際に、この構造のままHIP処理をすると、バイメタル構造となっているため、1000℃以上の温度でHIP処理をする影響や金型加工による切削反応熱、焼入れ処理熱などにより複合材料の反り、ネジレが発生する。従って、図2(a)に示すように母材2である生材(溶製材)を中心にし、この両面に刃材1を配置し、サンドイッチ構造に組み合せて複合材料6AとしHIP処理を施し、そのHIP処理完了後、母材2の中央で切断分割し、切断仕上をして図1の熱間工具鋼の複合材料5Aの状態に完成させる。 【0009】尚、刃材1となる焼入れ処理材は合金工具鋼か高速度工具鋼を、母材2となる生材(溶製材)には炭素鋼、炭素工具鋼、合金工具鋼あるいは、すでに熱処理が施されているプリハードン鋼から要望する特性に対応できる刃型部品材料を選択して、2種類の異種金属を接合一体化することができる。 【0010】 【実施例】図2を参照して、本発明による実施例を説明する。まず、プリント配線板用の金型における金型部品の構造の中で最も重要である刃型部材、すなわちシェダー31と抜きポンチ36に使用される刃型部品材料を従来の単一材質から、本発明による2種類の異種金属材料をHIP処理(熱間等方加圧法)によって、拡散接合して刃型部品材料を作製する工程について図2の斜視図、構造図で説明する。図2(a)に示すように、刃型部材の刃材1は焼入れ処理材とし、合金工具鋼である大同特殊鋼株式会社製のDC53を用い、厚さ5.3mm、幅210mm、長さ610mmの同寸法のものを2枚と、刃型部品の母材2として炭素鋼であるS55Cを用い、厚さ35mm、幅210mm、長さ610mmの1枚とを、母材2の両面に刃材1が配置されるようにサンドイッチ構造として重ねる。この材料の幅、長さ、サイズは処理効率、板取り効率を考慮して2〜8枚の熱間工具鋼複合材料5Aが得られるようにサイズを決める。 【0011】次に図2(a)でサンドイッチ構造で重ねた材料の接合界面に、HIP処理を行う際の圧力媒体であるガスが入り込まないよう真空パックにて密封する。この密封処理をするためのカプセル10を図2(b)に示す。カプセル10は金属板を溶接しフタ10Aをして真空パックとする。その次にHIP処理装置で、あらゆる方向から均等に加わる不活性ガス圧力1100kg/cm2の等方圧力と加熱温度1200℃との相乗効果を利用して加圧処理を行う。HIP処理後、図2(b)のカプセル10を切断、切削により除去する。このHIP処理装置は図2(c)に示すような高圧の不活性ガスを供給する高圧円筒11、高温の加熱能力を備えたヒーター12、処理装置の気密を保持する上蓋13と下蓋14、ガスの導入口15などから構成されている。このHIP処理では、処理品16はHIP処理後、炉冷するため焼入れが不十分となり、再度、合金工具鋼をロックウェル硬度HRC56°〜58°となるよう焼入れ処理をすることもある。その後HIP処理、焼入れ処理の完了した複合材料を母材2の中央部で切断3Aし、また、幅、長さサイズも所望するサイズに切断3Bする。この切断面は切断仕上をして平滑にする。 【0012】尚、本発明の実施にあたり2種類の異種金属材料の選定では、刃材1にはロックウェル硬度HRC56°〜58°と硬くできる焼入れ処理可能となる合金工具鋼のSKS3,SKD11,大同特殊鋼株式会社製DC53,または高速度工具鋼のSKH51,SKH57を用いた。母材2には切削加工性、耐震強度、柔軟性に優れた炭素鋼のS50C,S55C,炭素工具鋼のSKS3,合金工具鋼のSK33,およびプリハードン鋼のSCMや双葉電子工業株式会社のHPM1,FPH40を組み合せて用いた。その中でも刃材1としては合金工具鋼のSKD11とDC53が、母材2では炭素鋼のS55Cと炭素工具鋼のSK3および合金工具鋼のSKS3との、各1種類づつの組み合せをし、要望される特性に対して良好な刃型部品材料を作製することができた。 【0013】 【発明の効果】本発明の効果を下記に列記する。 1.プリント配線板用の金型の刃型部品材料として、上表面には切刃として必要な厚みだけ焼入れ処理材料を、この下には耐圧耐震強度が強く、切削加工性の良い生材料とからなる2種類の異種金属による熱間工具鋼複合材料5Aを開発し、製造できた。 2.この熱間工具鋼複合材料5Aを金型の刃型部品材料として使用し、穴明け加工速度を30〜40%向上できた。 3.この熱間工具鋼複合材料5Aを金型の刃型部品材料として使用し、穴の仕上り精度を20〜30%向上できた。 4.従来の焼入れ処理材料の厚み13〜18mmに比べ熱間工具鋼複合材料5Aの焼入れ処理材料の厚み2〜5mmと薄くなり、作業管理や切削工具の交換管理が簡単となって、金型品質も安定化した。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000233000 【氏名又は名称】日立エーアイシー株式会社
|
| 【出願日】 |
平成8年(1996)7月17日 |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開平10−29022 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)2月3日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−205445 |
|