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【発明の名称】 有機物分解微生物用担体及びその製法
【発明者】 【氏名】芹澤 順三郎
【課題】生ゴミ等の有機物分解微生物用担体及びその製法を提供する。

【解決手段】木材を小片化し、高温・高圧処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高温・高圧処理された木材小片であることを特徴とする、有機物分解微生物用担体。
【請求項2】 針葉樹及び広葉樹由来のものであることを特徴とする、請求項 1 に記載の有機物分解微生物用担体。
【請求項3】 木材を小片化し、この木材小片を温度 140 - 250℃、圧力 5- 10kg/cm2 の条件で 30 - 120 分間処理することを特徴とする、有機物分解微生物用担体の製法。
【請求項4】 木材小片の寸法が長さ 3 - 15mm、幅 1 - 3mm、厚み 2 -5mm であることを特徴とする、請求項 3 に記載の有機物分解微生物用担体の製法。
【請求項5】 過熱・加圧水蒸気により処理することを特徴とする、請求項3 又は 4 に記載の有機物分解微生物用担体の製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機物、例えば生ゴミの分解微生物用担体、殊に木質担体に係る。
【0002】
【従来の技術】従来、生ゴミ分解微生物用担体としては籾殻、抽出後のコーヒー滓、ゼオライト等が検討されてきた。一方、の木材細片を有機物分解微生物用担体として利用することは特公平 2 -30760 号及び同 2 - 34679 号公報に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題乃至発明の目的】近年においては木材価格が低迷し、林業は構造的不況の様相を呈しており、木材に付加価値を与える技術の開発が求められている。このために、木材から精油を抽出し、害虫・害菌の忌避・殺菌、除臭、精神安定用等に利用しょうとする研究が行われているが、他の利用方法を検討することも急務である。
【0004】処で、既述の籾殻、抽出後のコーヒー滓及びゼオライトは生ゴミ分解微生物用担体として満足し得る結果が得られていない。一方、上記の特許公報に開示されている木材細片は生ゴミ分解微生物用担体ではなく汚泥処理に用いられるものであり、その寸法が 0.2 - 5mm とされているが原木材料を粉砕して得られたものであって、加工処理は施されていない。従って、本発明の目的は木材の用途を拡大することにあり、殊に製紙用チップとしての活用すら望めない素材であり、細片化して家畜舎における敷き料及び農地や林地における草押さえ程度にした利用できない素材、例えば製材工場や集材現場等からの端材、根曲がり端ころ材、枝条等をも用いて木材小片とし、これを有機物、殊に生活廃棄物である生ゴミの分解微生物用担体として利用することにある。
【0005】
【課題を解決し目的を達成する手段】生ゴミ分解微生物用の担体として木材の利用を考える場合には、主として資源的な面から松、杉、檜等の針葉樹材及び楢、山毛欅等の広葉樹であり、殊に豊富な杉材となる。この樹木を細片化して微生物用担体として利用する場合に、この種の樹木に含有されているテルペン系及びフェノール系を主体とする精油成分は殺菌作用乃至微生物の成長阻害作用を有しているので、これらを除去する必要性がある。従って、本発明者等は、この微生物成長阻害成分の除去、付着している各種の雑菌の殺菌、耐磨耗性の向上並びに通気性の改善等に関して鋭意検討を行った結果、木材小片を高温・高圧処理すれば、精油成分を含む油脂及び糖分は揮散乃至分解し、腐朽菌等の雑菌も死滅し且つ木材が本来有している多孔性、耐磨耗性、臭気吸着性等が更に向上することを見い出して本発明を完成するに至った。
【0006】斯くて、本発明による有機物分解微生物用担体は高温・高圧処理された木材小片であることを特徴としている。
【0007】本発明方法によれば、この有機物分解微生物用担体は木材を小片化し、この木材小片を温度 140 - 250℃、圧力 5 - 10kg/cm2 の条件で 30 - 120 分間処理することにより得ることができる。
【0008】原料木材は針葉樹、例えば既述のように杉由来のものであることができ、木材小片の寸法としては長さ 3 - 15mm、幅 1 - 3mm、厚み 2 - 5mm 程度が好ましい。何故ならば、木材小片の寸法が大き過ぎると、処理後に処理槽に一定量入れた場合に微生物の担持部となる表面積の総和が減少し、一方、小さ過ぎると空隙率が減少し、微生物の発育及び有機物の分解活動に悪影響を与える可能性があるからである。尚、加熱・加圧処理は過熱・加圧水蒸気を用いて行うことができる。
【0009】
【実施例等】次に、製造例及び試験例により本発明を更に詳細に且つ具体的に説明する。
製造例製材工場及び集材現場から排出される端材、根曲がり端ころ材及び枝条 (すべて杉由来のもの) を集め、富士工業株式会社製のワイドパウト型チッパーにより処理することにより木材小片 (寸法 : 長さ 3 - 15mm、幅 1 - 3mm、厚み 2 -5mm) を得た。この木材小片を鉄骨フレームを有するステンレス・スチール製網籠 (長さ2400mm、幅 450mm、高さ 350mm) に投入し、該網籠を高橋機関株式会社製の高圧蒸煮装置内にセットし 150℃、7kg/cm2、40 分又は 250℃、7kg/cm2、30 分の条件で処理することにより、2 種類の所望の有機物分解微生物用担体を得た。これらの処理済み木材小片は半炭化状態を呈しており、未処理のものと比較する場合に気孔率が高くなっていることが判明した。
【0010】試験例 1 (担体の化学組成)製造例に記載の未処理及び処理済みの木材小片の化学組成を調べた結果は下記の表 1 に示されている通りであった。

注 : 表 1 中において、A : 特公平 2 - 34679 号公報に記載のデータ上記の表 1 に示されているように、加熱・加圧処理を施すことによって木材の化学組成が異なってゆくことが判る。一般に、木材の親水性は成分中の OH 基に起因するが、加熱・加圧処理により冷水、温水、希アルカリ、アルコール及びベンゼンによる抽出物の量が増加しているので、エステル化が進行しているものと考えられ、これは親水性の改善に寄与する。
【0011】試験例 2 (生ゴミ処理)サーモスタット付きホットプレートを設置し、接地面の温度を約 40℃ に保持した。このホットプレート上にステンレス・スチール製の槽 (長さ 1800mm、幅780mm、高さ 900mm) を配置し、この槽の内底部には透孔を有するエアーブロー管 (外径 13mm) を 2 本を設置し、このエアーブロー管にはエアーポンプ (安永株式会社製の LP-40A、常用圧力 0.12kgt/m3、風力 毎分 43 リットル) を接続して空気を槽内に導入した。このようにして構成された処理槽内に製造例による処理済み木材小片 (150℃の条件で処理したもの) を 1000 リットル投入し、次いで土壌改良用資材の調製に有効とされる放線菌 (アクチノマイセス) 類を主体とする有機物分解微生物 (静岡県榛原郡本川根町在の「芹沢微生物研究所」から市販の A101) を 13.2kg添加して混合した。その後、処理槽内に毎日約 50kg (80 リットル) の生ゴミ (魚のアラが主体)を連日、85 日 間にわたり投入し続け、人力による攪拌を行った (微生物及び担体の追加補充は行わなかった)。この場合の積算生ゴミ投入量と処理槽内容物の積算重量増加率の経時変化は図 1 に示されている通りであり、試験期間中に投入された生ゴミの量は約 4000kg に達したが、処理槽の重量測定による内容物の重量変化は -2 - +4% 程度を波状に推移するに留まっており、悪臭も極めて軽微であり、処理槽内のゴミの嵩増加も観察されず、従って投入された生ゴミは日々確実に分解されたことが判明した。尚、未処理の木材小片を用いて上記と同様の試験を実施したが、生ゴミ分解の立ち上がりが遅く、分解過程において特有の悪臭の発生が認められ、従ってこのコントロール試験は早期に断念せざるを得なかった。
【0012】
【発明の効果】本発明による有機物分解微生物用担体は、高温・高圧処理された木材小片であり、一種の活性炭状であり油脂及び糖分が完全に除去されているので活性炭と同様に臭気の吸着性に優れており、活性炭と異なり木材の繊維が破壊されていないので耐磨耗性に優れ、従って長期に亘る使用に耐え、無処理の木材小片と比較する場合に気孔率が高く、これは通気性において優れていることを意味し、又 OH基の改質により親水性が高くなっており、従って吸水性乃至脱水性が優れている。更に、現在利用価値が殆どない端材等を原材料として使用できるので経済的である。
【出願人】 【識別番号】596115458
【氏名又は名称】有限会社エス・ピー・ジー
【識別番号】395005192
【氏名又は名称】芹澤 順三郎
【出願日】 平成8年(1996)8月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功 (外1名)
【公開番号】 特開平10−43712
【公開日】 平成10年(1998)2月17日
【出願番号】 特願平8−206902