| 【発明の名称】 |
反応装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】今中 照雄
【氏名】木田 奉行
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| 【要約】 |
【課題】製造コストの上昇を招くことなく容器本体の器壁における優れた除熱能力を有し、しかも、反応物の均質・均温化を達成しうる反応装置を提供する。
【解決手段】容器本体内面に直立する支持体5の高さをHとし、容器本体高さ方向の支持体5の配置間隔をLとした場合に、2≦L/H≦6とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 反応容器本体内面の全部または一部に、冷熱媒体の通路隔壁を兼ねる小幅帯板の支持体を一定間隔で直立状態に配置してその外端を容器本体内面に溶接結合し、支持体の配置間隔と実質的に等しい幅の帯板状の張り板を支持体の間に架け渡してその両側縁を支持体の内端に溶接結合し、容器内圧力に耐える凹凸のない張り板を容器内部に設けた反応装置において、容器本体内面に直立する支持体の高さをHとし、支持体の配置間隔をLとした場合に、2≦L/H≦6であることを特徴とする反応装置。 【請求項2】 2≦L/H≦6に代えて、3≦L/H≦5とした請求項1記載の反応装置。 【請求項3】 容器内面に電解研磨を施したことを特徴とする請求項1または2記載の反応装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、熱冷媒の流通により容器の壁面で熱交換を行う重合機等の反応装置に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】塩化ビニルやスチレン系樹脂の懸濁重合反応等に使用される重合機、反応機等は一般に図4に示すように、円筒形胴部の両端に皿形鏡板を溶接して3〜15kg/cm2 の重合圧力に耐える強度を有する耐圧密閉容器状の容器本体aを形成し、容器本体外側に外套bを設け、その中に水等の冷媒を流通させて容器本体壁を通ずる熱交換により容器内で重合により発生する反応熱を除去し、適正な反応温度の維持を図っている。攪拌機cは反応物の均質化とともに均温化をもたらし、反応熱の除去の促進に役だっている。この重合反応において発生する反応熱量は非常に多いために、この熱の除去が反応の律速因子となって反応時間が規制され、製造される製品量は除熱操作によって決まるといっても過言ではない。 【0003】一方、重合機の大型化は生産性向上のための課題であるが、このことは除熱機能に問題を生じさせる。すなわち、重合機の大型化に伴い、その容器本体の板厚は強度上の必要により厚くしなければならず、このことは容器本体壁を通じての熱伝達率の低下を招く。また、大型化によって単位容量当たりの器壁の冷却面積が減少する。これらは相まって除熱能力の増大に逆行するので、単位容量当たりの生産量を減少させる。 【0004】従来、外套以外の除熱手段として容器本体内に冷却管を設けたり、また冷却面を兼ねるバッフルを設ける等の手段がある。また、他の手段として、容器本体外部にリフラックスクーラーを設けたり、あるいは器内液を器外に導き出しクーラーを通過させて器内に循環する等の手段がある。しかしながら、前者は容器内におけるポリマーの付着蓄積の問題を重大化させる欠点があり、また後者の外部設置冷却機器は操作上の注意を要したり、コスト上昇を招いたりする欠点がある。そこで、熱交換外套に代えて熱交換内套を採用することも考えられる。しかし、この場合、熱交換面積は外套の場合に比べて内套内径対容器本体内径の割合で減少する。そして、内套が両端で支持する外套同様な形態であれば、また内套外の環状空室を流通する冷媒の圧力が低ければ、内套に容器内圧と冷媒圧力との差圧に対抗する強度を与える必要から、内套壁厚はもとの容器本体壁厚にほぼ等しいものとなり、熱伝達率の向上は果たせない。 【0005】そこで、冷却手段を容器本体内の空間に設けたり、容器本体外部に設けたりしないで、容器本体の器壁における除熱を増大させることを目的として、図5に示すように、円筒形直線状胴部2の上部および下部に皿形鏡板3および4を一体に溶接結合した容器本体1の直線状胴部2の全長にわたる範囲に、冷熱媒体の通路隔壁を兼ねる小幅帯板の支持体5を一定ピッチのもとに螺旋状に分布配置して容器本体に対して直立する状態とし、支持体5の外端を容器本体内面に溶接6して取り付け、支持体5の配置間隔と実質的に等しい幅の帯板状の張り板7を支持板5、5の間に架け渡してその両側縁を支持体5の内端に溶接8して取り付けることにより、容器本体1の内面から支持体5の高さに相当する一定間隔Hを隔てて凹凸のない平滑な内面を持つ張り板7を構成し、流入口9から冷媒を流入させ、この冷媒が張り板7と支持体5と胴部2の内面とによって形成された螺旋状の密閉空間を経て流出口10から流出する反応装置が知られている(特公平3−4249号公報参照)。 【0006】ところが、上記公報には、支持体5の配置間隔については記載されていないが、その配置間隔は反応装置の製造コストならびに反応物の均質化・均温化の点において極めて重要な要素であって、配置間隔が適正な数値範囲になければ、次のような欠点がある。すなわち、配置間隔が短かすぎれば、それに対応して支持体5の数が多くなるので、溶接・製缶工数が増えることになる。また、支持体5と張り板7と胴部2とで囲まれる密閉空間が狭くなるので、この密閉空間を流通する冷媒の圧力損失が大きくなる。さらに、支持体5の存在する部分と密閉空間部分とでは熱伝達率が異なるので、支持体5の数が多くなれば、内部ジャケット壁面(張り板7とその溶接部の反応物と接する壁)の温度ムラが生じやすくなる。一方、配置間隔が長すぎれば、容器内圧力に耐える強度を有するように張り板7の板厚を過大にする必要があり、一定の冷媒流量のもとでは熱伝達率が悪くなる。さらに、配置間隔が適正な数値範囲にあっても、同時に支持体の高さも適正な数値範囲にないと、内部容積が減少したり、圧力損失が大きくなるなどの欠点が生じる。 【0007】本発明は従来の技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、製造コストの上昇を招くことなく容器本体の器壁における優れた除熱能力を有し、しかも、反応物の均質・均温化を達成しうる反応装置を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記のような問題は、支持体の配置間隔と支持体の高さとをそれぞれ独自に検討しても解決されないので、それぞれの間に何らかの関係を見いだすべく検討を重ねた結果、支持体の高さをHとし、容器本体高さ方向の支持体の配置間隔をLとしたとき、L=KH(Kは定数)の関係があるとして、Kを変動させながら、LとHに予想される範囲での任意の数値を与えて反応装置の性能をシミュレーションした場合、Kの値がある一定の範囲において優れた性能を発揮することが判明した。すなわち、2≦L/H≦6とすることにより、支持体の数と高さのバランスが適正となるので、溶接・製缶工数が比較的少なく、内部ジャケット壁面の温度ムラが生じにくく、張り板の板厚が過大になることなく、内部容積が減少することなく、支持体と張り板と容器本体内面とで囲まれる密閉空間が適正な大きさになり、密閉空間を流通する冷媒の圧力損失を低く抑えるバランスの取れた設計となる。 【0009】 【発明の実施の形態】すなわち、本発明は、反応容器本体内面の全部または一部に、冷熱媒体の通路隔壁を兼ねる小幅帯板の支持体を一定間隔で直立状態に配置してその外端を容器本体内面に溶接結合し、支持体の配置間隔と実質的に等しい幅の帯板状の張り板を支持体の間に架け渡してその両側縁を支持体の内端に溶接結合し、容器内圧力に耐える凹凸のない張り板を容器内部に設けた反応装置において、容器本体内面に直立する支持体の高さをHとし、支持体の配置間隔をLとした場合に、2≦L/H≦6であることを特徴とする反応装置を第一の発明とし、上記第一の発明において、2≦L/H≦6に代えて、3≦L/H≦5とした反応装置を第二の発明とし、上記第一または第二の発明において、容器内面に電解研磨を施したことを特徴とする反応装置を第三の発明としている。 【0010】支持体の配置間隔Lと支持体の高さHとの関係については、Hが一定でLを変数と考える場合:L/Hが2未満であると支持体の数が多くなりすぎ、製造工数が多大となる。また、支持体と張り板と容器本体内面とで囲まれる密閉空間が狭くなり、圧力損失が大きくなる。さらに、内部ジャケット壁面の温度ムラが生じる。一方、L/Hが6を超えると、支持体の配置間隔が長くなりすぎ、前述のように張り板7の板厚が過大となり、一定冷熱媒体流量のもとでは熱伝達率が悪くなる。 【0011】一方、Lが一定でHを変数と考える場合: L/Hが2未満であると支持体の高さHが高くなりすぎ、内部ジャケットの内径が小さくなるため、伝熱面積が減少し除熱能力の損失が大きくなると共に、内部容積が減る。一方、L/Hが6を超えると、支持体の高さHが低くなりすぎるため、密閉空間が狭くなりすぎ、密閉空間を流れる冷媒の圧力損失が大きくなる。 【0012】以上の考察から、2≦L/H≦6に限定する必要がある。 【0013】また、容器内面に電解研磨を施すことにより、加工変質層を持たない平滑な健全組織が得られるので、容器内面に反応物が付着蓄積しにくくなり、熱伝達率が悪くならない。 【0014】なお、L/Hを限定することによる効果をさらに著しくするためには、L/Hは、3≦L/H≦5が望ましい。また、容器内面とは、胴部、内部ジャケット壁部、底鏡板部、天井鏡板部などの反応物と接する面を意味する。 【0015】さらに、L/Hについて詳細に説明する。図3は、本発明の反応装置のL/Hの変化に伴う製造コストの変化をL/H=4のときの製造コストを1とし、これに対する比を販売促進指標(記号「■」)とし、また同様に本発明の反応装置のL/Hの変化に伴う除熱能力の変化をL/H=4のときの除熱能力を1とし、これに対する比を除熱能力指標(記号「○」)として表したグラフである。 【0016】製造コストは図4に示す従来の反応装置のそれの1.6倍以下に抑える必要があり、そのことは図3において、販売促進指標が1.3以下でないといけないことに相当する。 【0017】また、除熱性能は図4に示す従来の反応装置のそれの1.8倍以上を必要とし、そのことは図3において、除熱能力指標が0.84以上でないといけないことに相当する。 【0018】さらに、製造コストは図4に示す従来の反応装置のそれの1.5倍以下であることが望ましく、除熱能力は図4に示す従来の反応装置のそれの2.0倍以上であることが望ましい。このことは、販売促進指標が1.1以下で除熱能力指標が0.93以上であることに相当する。 【0019】これら二つの指標からも、L/Hは2〜6、好ましくは3〜5の間にあることが必要になる。 【0020】 【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。図1(a)は、例えば、図4に示すような反応容器の円筒形直線状胴部2を示し、図1(b)に示すように、容器本体高さ方向の支持体5の配置間隔Lと容器本体内面に直立する支持体5の高さHとの比率(L/H)は、3.4である。図1(a)において、11a、11b、11c、11dはそれぞれ冷媒の流入口、12a、12b、12c、12dはそれぞれ冷媒の流出口である。 【0021】図2に示すように、各流入口から流入した冷媒は張り板と支持体と容器本体の胴部内面によって形成された水平な流路13a内を胴部内面に沿って1周した後、次の流路13bに移行し、同様に流路13b内を胴部内面に沿って1周した後、次の流路13cに移行し、同様に流路13c内を胴部内面に沿って1周する。このように各流入口から流入した冷媒は3本の水平な流路内を胴部内面に沿って周回した後、各流出口から排出される。本実施例によれば、従来の反応装置のように、冷媒の流路は螺旋状ではなくて水平であるから、流路の形成が容易であり、反応装置の加工が簡単である。また、反応容器の器壁に流入する冷媒は、胴部内面に沿った水平な流路を3周した後に排出される構成であるから、図5に示すような螺旋状に形成された長い流路に沿って流れる方式に比べて冷媒の圧力損失が低く、熱交換効率が向上する。また、本実施例の容器本体はステンレス鋼製であり、りん酸・硫酸系電解液により電解研磨して表面の加工変質層を除去し、平滑な表面を形成した。 【0022】本発明は、反応装置を大型化するときに生じる伝熱能力の低下を改善させることが主目的であるので、内容積40m3 以上の装置に採用されることが多いが、これに限定されるわけではなく、例えば、3m3 など、これ以下の内容積でも当然採用しうる。なお、内容積50m3 の反応装置では、支持体の配置間隔100mm、支持体の高さ25mmとした例がある。 【0023】また、流路を垂直に構成することもできる。流路を底鏡板部、あるいは天井鏡板部にも設けるようにすることもできる。 【0024】 【発明の効果】本発明は上記のとおり構成されているので、製造コストの上昇を招くことなく容器本体の器壁における優れた除熱機能を有し、しかも、反応物の均質・均温化を達成しうる反応装置を提供することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000192590 【氏名又は名称】神鋼パンテツク株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)3月5日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】角田 嘉宏 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平10−244146 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)9月14日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−50196 |
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