|
|
【発明の名称】 |
波動通気枕 |
| 【発明者】 |
【氏名】西野 利夫 |
【課題】患者の後頭部、耳殻部に発生する褥瘡を防止し得るとともに、就寝者の鼾をも防止または減少し得る波動型の通気枕を提供すること。
【解決手段】表裏2枚のシート材10、11と複数枚の仕切りシート材12が溶着されて、仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数の空気室201〜207が形成され、左右対称の空気室201、207はそれぞれの栓付給気口24からの給気により常時膨張状態にあって頭部の支えとなり、中央空気室204はその細孔22を介して常に大気と通じており、他の空気室202、203と空気室205、206は給気手段27により交互に膨張、収縮が繰り返されて頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材および枕体所定の高さを有する整形帯としての複数の仕切りシート材により形成された枕であって、前記各仕切りシート材の両端部が適宜の間隔で前記表裏シート材に挾み込まれた状態で表裏シート材の全周縁部と各仕切りシート材の長手方向の上下縁部が一体的に溶着されて仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数の空気室が形成されるとともに、左右の空気室は、その有する給気口からの給気により常に膨張状態にあって頭部の支えとなり、中央空気室は、その細孔を介して常に大気と通じていて上向き時の頭部の位置決めと安定化が計られ、該中央空気室と前記左右の空気室との間に各小孔を有する仕切りシート材により形成の他の空気室は、その有する給気手段により交互に膨張、収縮が繰り返されて頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動せられるようになっている構成を特徴とする波動通気枕。 【請求項2】 前記他の空気室の表シート材の適所に、湿潤を防止するために該空気室内の空気を放出させる小孔が設けられている請求項1の波動通気枕。 【請求項3】 前記裏シート材の適所に、使用時において枕をマットに繋止させるための面ファスナーが取着されている請求項1の波動通気枕。 【請求項4】 通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材および枕体所定の高さを有する整形帯としての複数の仕切りシート材により形成された枕であって、前記表裏シート材がその長手方向の一側周縁との間に適宜の間隔を有して溶着され、該溶着ラインと表裏シート材の長手方向の他側周縁との間には、溶着ラインと直交状に適宜間隔で前記各仕切りシート材の両端部が表裏シート材に挾み込まれた状態で表裏シート材の全周縁部と各仕切りシート材の長手方向の上下縁部が一体的に溶着されて仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数の空気室と、これら空気室と直交する横方向の一つの長い空気室が形成されるとともに、該長い空気室は、その有する給気手段により常時給気されていて膨張状態にあり、また、前記複数の空気室のうち左右の空気室もその有する給気口からの給気により常に膨張状態にあって、これら膨張状態の空気室によって頭部が支えられると同時に気道が拡張され、前記左右の空気室に挾まれたそれぞれ独立の空気室は、その有する給気手段により交互に膨張、収縮が繰り返されて頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動せられるようになっている構成を特徴とする波動通気枕。 【請求項5】 前記長い空気室および独立空気室の表シート材の適所に、湿潤を防止するためにこれら空気室内の空気を放出させる小孔が設けられている請求項4の波動通気枕。 【請求項6】 前記裏シート材の適所に、使用時において枕をマットに繋止させるための面ファスナーが取着されている請求項5の波動通気枕。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、波動通気枕に関し、更に詳しくは、患者が長期に亘って使用し褥瘡の発生を防ぐエアーマットと併用し、患者の後頭部、耳殻部に発生する褥瘡を防止するとともに、使用者の安眠をも向上するに適し、更には嬰児用枕としても好適な波動型の通気枕に関するものである。 【0002】 【従来の技術】空気圧を利用したマットは患者用として、上下2枚の布張り軟質塩化ビニールシート等を仰臥した人体に対し横方向に数cm乃至拾数cm間隔で高周波溶着線により充気時に並設筒状、連続球状等になるようにしたもの、また、患者用または健常者の安眠用として、直径6〜10cm程度のベッド横幅の長さを有する円筒体を20〜30本並設し、かつこれらをパイプで連結したもの、新しくは、本発明者が出願した特開平7−265175号に係るエアーベッドがあるが、いずれも多数の並設した気室を、相隣接する2系統または3系統に分ち、1系統毎に交互に抜気して膨張している気室と収縮している気室とが相隣接するようにし(以下、波動という)、膨張している気室のみで人体を支え、収縮した気室上の身体の毛細血管の圧迫を取り除き、血液の流れを確保してうっ血を防止せんとするもので、その構造によって膨張した部分での支持圧力や、寝心地に相違はあるが、いずれの場合にも褥瘡防止に役立つことに相違はない。また、通気性のない軟質合成樹脂シート等を使用するので、与圧空気を何らかの方法によって就寝者の身体の下に放出して除湿と熱の放散を計っていることも同じである。 【0003】このように、褥瘡防止用のエアーマット、安眠用のエアーマットには種々の構造のものがあるが、どの構造のものも、仰臥した人体の頭部から足先までマットの全体に亘って波動するのであるが、人は就寝する時に頭部と躯体との前後位置関係を補正するのに、洋の東西、古今を問わず必ず枕を使用する。しかして、枕をエアーマットの下に置けば波動は頭部に及ぶが、通常はエアーマットを使用する場合においては、エアーマットの上に枕を置いて使用することが多いので、波動は枕を介しては頭部に及ばない。体力が衰えた患者の場合には、後頭部や耳殻に褥瘡ができることがある。これを予防するには2時間以内毎に患者の頭を左、右向き、上向きに変えてやらなければならない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】波動型エアーマットによって患者の躯体の床ずれは防止し得ても、頭部の床ずれは別に防止する手立てを講じなければならず、介護者の労を軽減することはできない。 【0005】本発明は、このような要請に応答すべくなされたもので、その目的とするところは、エアーマットと併用し、またはこれに付設して使用し、患者の後頭部、耳殻部に発生する褥瘡を防止し得る波動通気枕を提供することにある。 【0006】また、本発明のもう一つの目的は、就寝者の鼾を防止または減少せしめて安眠枕としても好適であり、更には嬰児用枕としても好適な波動通気枕を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】これらの目的を達成するため、本発明は、通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材および枕体所定の高さを有する整形帯としての複数の仕切りシート材により形成された枕であって、前記各仕切りシート材の両端部が適宜の間隔で前記表裏シート材に挾み込まれた状態で表裏シート材の全周縁部と各仕切りシート材の長手方向の上下縁部が一体的に溶着されて仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数の空気室が形成されるとともに、左右の空気室は、その有する給気口からの給気により常に膨張状態にあって頭部の支えとなり、中央空気室は、その細孔を介して常に大気と通じていて上向き時の頭部の位置決めと安定化が計られ、該中央空気室と前記左右の空気室との間に各小孔を有する仕切りシート材により形成の他の空気室は、その有する給気手段により交互に膨張、収縮が繰り返されて頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動せられるようになっている構成を特徴とし、また、通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材および枕体所定の高さを有する整形帯としての複数の仕切りシート材により形成された枕であって、前記表裏シート材がその長手方向の一側周縁との間に適宜の間隔を有して溶着され、該溶着ラインと表裏シート材の長手方向の他側周縁との間には、溶着ラインと直交状に適宜間隔で前記各仕切りシート材の両端部が表裏シート材に挾み込まれた状態で表裏シート材の全周縁部と各仕切りシート材の長手方向の上下縁部が一体的に溶着されて仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数の空気室と、これら空気室と直交する横方向の一つの長い空気室が形成されるとともに、該長い空気室は、その有する給気手段により常時給気されていて膨張状態にあり、また、前記複数の空気室のうち左右の空気室もその有する給気口からの給気により常に膨張状態にあって、これら膨張状態の空気室によって頭部が支えられると同時に気道が拡張され、前記左右の空気室に挾まれたそれぞれ独立の空気室は、その有する給気手段により交互に膨張、収縮が繰り返されて頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動せられるようになっている構成を特徴とするものである。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明に係る波動通気枕は、通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材および枕体所定の高さを有する整形帯としての複数の仕切りシート材にて形成され、頭部に対して縦方向に複数個に仕切られた空気室にエアーマットに供給される断続する与圧空気が誘引接続され、または別に用意された給気手段を介して給気されて、膨張、収縮する空気室と常時膨張している空気室と、或いは大気圧のままの空気室とを組み合わせて波動型としたもので、該枕に載せられた患者等使用者の頭部は枕の波動に応じて上向き、左右向きと傾動せられて、その角度と支持圧力が適当であれば患者に苦痛を与えることがない。 【0009】 【実施例】実施例について図面を参照し、その作用と共に説明する。図1は本発明に係る波動通気枕の一例での平面図、図2は底面図、図3は図1の3−3線に沿った拡大断面図、図4は図1の4−4線に沿った拡大断面図で、これら図において、本枕は、使用に適した平面視横長四角形にして、膨張時の寸法で、好ましくは横60cm、縦40cm、厚さ6cm程度であって、全体が通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材10、11および整形帯としての複数枚の仕切りシート材12から形成されている。更に説明すれば、各仕切りシート材12は設計上計算された間隔を置き、かつその両端部13が表裏シート材10、11の長手方向の両端縁部14、15に挾み込まれた状態で、表裏シート材10、11の短手方向の両端縁部16、17を含む全周縁部と各仕切りシート材12の長手方向の上下縁部18、19が溶着されて、仰臥する人体の頭部100に対して縦方向に複数(本例では7つ)の空気室201〜207が形成されている。空気室201、207は左右同一であって、その幅は広くて独立空気室となっており、また、空気室202〜206の幅は全て等しく、空気室202と空気室203、空気室205と空気室206はそれぞれ仕切りシート材12に明けられた小孔21によって連通しており、また、中央空気室204は独立した空気室となっている。そして、中央空気室204の表裏シート材10、11には、縦一列状で複数の細孔22が設けられ、中央空気室204は該細孔22を介して常に大気と通じていて、上向き時における頭部の位置決めと安定化が計られるようになっている。また、空気室203、205の表シート材10の適宜部位には、湿潤を防止するため該空気室203、205内の空気を放出させるための小孔23が設けられている。更に空気室201、207の裏シート材11には栓付給気口24がそれぞれ溶着されるとともに、空気室203、205の裏シート材11にも空気入ビニール製品用の市販のL字型空気継手25が溶着され、更に空気室201、207の裏シート材11に、使用時において枕をマット101に繋止させるための面ファスナー26がそれぞれ高周波接着されている。 【0010】このように構成された波動通気枕は、次のように使用される。即ち、図5および図6に示されているように、面ファスナー26を介してマット101上に繋止定置され、左右の空気室201、207はそれぞれの栓付給気口24より給気されて常時膨張状態が保持されるとともに、空気室203、202と空気室205、206には、それぞれ空気継手25を介して給気手段により給気される。該給気手段は、波動型エアーマットに供給される断続する与圧空気を誘引接続して構成することも可能であるが、本例では、給気手段27は図1に示されているように、筺枠体28内に配置された4ワット程度の振動子型電磁ポンプ29、該ポンプ29により発生する与圧空気を継続的に配分するスリーポート電磁弁30、該電磁弁30を制御する制御装置31およびポンプ29の振動音を除去する消音器32から構成されている。そして、ポンプ29が作動して与圧空気が空気継手25を介して空気室203、202と空気室205、206に給気されると、初めは、空気室202、203と空気室205、206は両方共に膨張しているので、中央空気室204に隣接する仕切りシート材12は殆ど接触し、中央部が縦に凹んだ状態となる(図5参照)。したがって、患者はこの部位に頭部100を載せればよい。次いで、給気手段27により空気室202、203と空気室205、206が交互に膨張、収縮が繰り返されると、図6に示されているように、一方の空気室(図6においては空気室202、203)が収縮し、他方の空気室(図6においては空気室205、206)が膨張している状態においては、頭部100は左右いずれかに傾いていて、頭部100は常時膨張している空気室201、207のいずれか一方(図6においては空気室201)とによって支えられ、収縮した空気室202、203、204の表シート材に接する頭皮には支持圧力は加わらないので、数分の設定時間毎に頭部100の支持圧力の加わる位置は変わり、頭皮の毛細血管はうっ血することはない。また、耳殻は数分の間だけ圧迫を受けるだけであるから、これもまたうっ血する恐れはない。実験によれば、眠っている間は勿論、目がさめている時にも頭部100が左右に傾動していることに気付かなかった。 【0011】本発明者は、前記実験中に就寝者の鼾の音が少なく小さくなることに気付いたので、調べたところ、顔が横向きになった時に鼾がなくなっていることが判明したので、図7から図9に示されている単独で使用する安眠枕としての波動通気枕を完成させた。 【0012】更に説明すると、図1との対応部分には同一の符号が附された図7に示されているように、本枕は、前記枕と同様に、使用に適した平面視横長四角形にして、膨張時の寸法で、好ましくは横60cm、縦40cm、厚さ6cm程度であって、全体が通気性のない軟質合成樹脂シート材を素材とした表裏2枚のシート材10、11および整形帯としての複数枚の仕切りシート材12から形成されている。表裏シート材10、11はその長手方向の一側縁との間に適宜の間隔を有して溶着されるとともに、該溶着ライン33と表裏シート材10、11の長手方向の他側周縁との間には、溶着ライン33と直交状に設計上計算された間隔で各仕切りシート材12の両端部13が表裏シート材10、11の長手方向の両端縁部14、15(一端は溶着ライン33)に挾み込まれた状態で表裏シート材10、11の短手方向の両端縁部16、17を含む全周縁部と各仕切りシート材12の長手方向の上下縁部18、19が溶着されて、仰臥する人体の頭部に対して縦方向に複数(図7においては6つ)の空気室341〜346と、これら空気室と直交する横方向の一つの長い独立空気室35が形成されている。空気室341、346は左右同一であって、その幅は広く、かつ独立の空気室となっており、また、空気室342〜345の幅は全て等しく、空気室342と空気室343、空気室344と空気室345はそれぞれの仕切りシート材12に明けられた小孔21によって連通している。空気室342、345および独立空気室35の表シート材10の適宜部位には、湿潤を防止するための空気放出用の小孔36、37が設けられるとともに、空気室341、346の裏シート材11には栓付給気口24が溶着され、また、空気室342、345と独立空気室35の裏シート材11にはL字型空気継手25が溶着され、更に空気室341、346の裏シート材11に、使用時において枕をマットに繋止させるための面ファスナー26がそれぞれ高周波接着されている。 【0013】このように構成された本例の波動通気枕は、空気室341、346はそれぞれの栓付給気口24より給気されて常時膨張状態が保持されるとともに、独立空気室35は給気手段27におけるポンプ29の作動により与圧空気が常時給気されていて膨張状態にあり、空気室341、342と空気室344、345は給気手段27により交互に膨張、収縮が繰り返される。本例においては、頚部は常時膨張状態にある独立空気室35によって支えられるため、気道が拡張されて鼾が軽減される。 【0014】本例の枕の使用は、初めから空気室341、342と空気室344、345を交互に膨張、収縮を繰り返して波動させてもよいが、波動することを意識して寝付かれない人もあるので、就寝時には平滑状態として置き、タイマー(図示しない)により熟睡後に波動させるか、鼾が出始めてからセンサー(図示しない)により、または夫婦であれば一方が鼾音を聴いた時に電磁弁(図示しない)を発動させればよい。 【0015】嬰児から2〜3才の子供の頭蓋骨は軟らかく、同じ向きにばかり寝かせて置くと頭の形状は扁平となり、一旦扁平になり始めると悪循環となり、容易に矯正し得ない。放置しても成長とともに正常に復することが多いが、人によっては終生扁平が残ることもある。これによって脳の発育に支障が生ずる訳ではないが、育児をする者にとっは大いに気になる処である。ドーナツ型の枕を使用しても通気と安定が保たれるだけで扁平の矯正には余り役立たず、育児をする人は子供の頭部の扁平でない側を下にするように心掛けても坐りのよい扁平の部分が下になり易くて容易に矯正し得ない。本発明に係る枕を小児用に小さく、かつ傾き角度も30度以下になるよう設計製作し、実験した処、扁平頭蓋の発生はなく、また常時室温と同じ空気を枕の下から厚いキルテング加工の布地によって拡散させて送っているので、汗をかき易い赤子でも頚部から頭部にかけて汗疹の発生がないなどの効果が見られた。 【0016】 【発明の効果】しかして、本発明によれば、頭部がゆるやかに上向き、左右向きと傾動する波動型にして、かつ通気性を有する枕として構成されているから、患者の後頭部、耳殻部に発生する褥瘡を防止し得るとともに、気道が拡張されるために鼾が軽減される安眠枕としての効果があり、更には扁平頭蓋の発生がない嬰児用枕としての効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】391047570 【氏名又は名称】西野 利夫
|
| 【出願日】 |
平成8年(1996)9月13日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】笹沢 和夫
|
| 【公開番号】 |
特開平10−85108 |
| 【公開日】 |
平成10年(1998)4月7日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−265145 |
|