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筒形電池用ケース及びその製造方法 - 特開平9−312150 | j-tokkyo
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【発明の名称】 筒形電池用ケース及びその製造方法
【発明者】 【氏名】筒井 清英

【氏名】泉 彰英

【氏名】橋野 博

【氏名】宮坂 尚希

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 正極と負極と電解液とからなる発電要素を内填する筒形電池用金属ケースにおいて、該金属ケースの基材(1)が鋼板からなり、該金属ケースの開口部(A)の厚さが該基材の厚さを越えて該基材の厚さの120%以下の範囲内にあり、該金属ケース(7)の胴部の厚さが該基材の厚さの60〜100%の範囲内にあり、該金属ケースの該開口部のビッカース硬度が100〜200kg/m2 の範囲内にあることを特徴とする筒形電池用金属ケース。
【請求項2】 前記金属ケース(7)の前記基材(1)がニッケルメッキ又はニッケル合金メッキを施した鋼板からなり、該金属ケース(7)の前記開口部の内面粗度(R1 )が前記胴部の内面粗度(R2 )以下であり、該 開口部の内面粗度(R1 )がJIS B 0601による最大高さ(Rmax)の表示で2μm以下であることを特徴とする請求項1記載の筒形電池用金属ケース。
【請求項3】 ニッケルメッキ又はニッケル合金メッキを施した冷間圧延鋼板基材(1)を第1のダイス(2)の上面に設置すると共に該ダイスの内面との間に該基材の板厚の1.2〜1.5倍のクリアランスを形成する第1のポンチ(3)を用いて該基材を絞り加工することによって該基材の開口部の板厚を該基材の厚さを越える板厚に応力変形させて中間ケース(1a)を形成し、次いで該中間ケースを該板厚より小さなクリアランスを有する第2のダイス(4)と第2のポンチ(6)を用いて該中間ケースの内周面をブランクホルダー(5)で押さえながら該中間ケースを絞りしごき加工してなることを特徴とする筒形電池用ケース(7)の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、正極と負極と電解液とからなる発電要素を内填する筒形電池用金属ケース及びその製造方法に関するもので、より具体的には開口部と胴部の肉厚を変えてなる電池用金属ケース及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、開口部と胴部の肉厚を変えてなる電池用金属ケースとしては特公平7ー99686号に係るものが公知となっている。この公知のものは所望とする缶外径よりも大径で浅いニッケルメッキを施した鉄製カップを素材として準備し、これを順次絞り、しごき外径が小さくなるように同軸上に多段配置された複数個のしごきダイスに供給し、最終段の絞りしごき径を所望とする缶外径としたダイスにパンチで加圧して連続的に通過させることで電池用ケースを得ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公知の電池用ケースではその胴部の肉厚が基材の厚さに対して底部から開口部にかけて漸次減少したものとなるため、このケースを用いて電池を形成した場合、開口部の肉厚が比較的薄いため電池内部にガスが発生した場合の封口部の耐圧性を充分に確保することができないと言った問題があった。
【0004】また、上記公知の方法で形成した電池ケースの場合には、その胴部内面の粗度は1μm〜2μmと鏡面化しており、胴部内面と正極合剤との接触抵抗が増し、電池特性低下の原因となるといった問題があった。
【0005】従って、本発明の第1の目的は上記のような従来の問題点を解決し、封口部の耐圧性に優れた電池用ケース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】また、本発明の第2の目的は胴部内面の粗度が比較的大きく、胴部内面と正極合剤との接触抵抗を小さくして電池特性を向上させることのできる電池ケース及びその製造方法を提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明では、正極と負極と電解液とからなる発電要素を内填する筒形電池用金属ケースにおいて、金属ケースの基材が鋼板からなり、金属ケースの開口部の厚さが基材の厚さを越えてこの基材の厚さの120%以下の範囲内にあり、金属ケースの胴部の厚さが基材の厚さの60〜100%の範囲内にあり、また金属ケースの開口部のビッカース硬度が100〜200kg/m2 の範囲内にあるようにしたのである。
【0008】これにより、本発明では比較的肉薄の基材を用いて電池用金属ケースを形成しても、大きな封口強度を得ることができる。
【0009】また好ましくは、本発明では、金属ケースの基材をニッケルメッキ又はニッケル合金メッキを施した鋼板を用い、またこの金属ケースの開口部の内面粗度(R1 )を胴部の内面粗度(R2 )以下とし、開口部の内面粗度(R1 )をJISB 0601による最大高さ(Rmax)の表示で2μm以下とすることである。
【0010】これにより、本発明の電池用金属ケースでは開口部では充分な液密性が得られる一方、胴部では正極合剤との接触抵抗が従来より低減して電池性能を向上させることができる。
【0011】また、本発明の方法では、ニッケルメッキ又はニッケル合金メッキを施した冷間圧延鋼板基材を第1のダイスの上面に設置すると共に該ダイスの内面との間に該基材の板厚の1.2〜1.5のクリアランスを形成する第1のポンチを用いて該基材を絞り加工することによって該基材の開口部の板厚を該基材の厚さを越える板厚に応力変形させて中間ケースを形成し、次いで該中間ケースを該板厚より小さなクリアランスを有する第2のダイスと第2のポンチを用いて該中間ケースの内周面をブランクホルダーで押さえながら該中間ケースを絞りしごき加工してなるのである。
【0012】この方法により、本発明では上記のように優れた封口性、液密性及び正極合剤との接触抵抗の小さい電池用金属ケースを得ることができるのである。
【0013】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の筒形電池用ケースの製造方法について添付の図1を参照にして説明する。
【0014】図1(a)において参照番号1は本発明に係る電池用金属ケースを形成するための鋼板基材を示している。この鋼板基材は両面にニッケルメッキ又はNi−Co,Ni−Ag等のニッケル合金メッキが施されたもので、この例ではそのメッキが施された鋼板基材1の厚さは0.25mmとなっている。この鋼板基材1は直径が約60mmの平面円形のブランクとして第1のダイス2の上面に載置され、その上方にはポンチ3が位置している。このポンチ3の外径と第1のダイス2の内径との間には鋼板基材1の肉厚の1.2〜1.5倍のクリアランスが形成されるような寸法関係になっている。
【0015】図1(a)の状態から第1のポンチを3を下降して図1(b)に示すように鋼板基材1を第1のダイス2によって絞り加工して中間絞りケース1aを得る。この絞り加工時に鋼板基材1の外縁部Aは第1のダイスの上方内周端によって圧縮応力が働き肉厚が3%から20%増大するようになる。
【0016】次に、上記のように形成された中間絞りケース1aを、図1(c)に示すように、第2のダイス4上に設置し、中間絞りケースの内周面をブランクホルダー5で押さえ、第2のポンチ6によってケースの胴部を絞りしごき込み、電池ケース7を得る。この場合、第2のダイス4の内径と第2のポンチ6の外径との間のクリアランスは基材1の肉厚よりも小さく設定してあり、これにより電池ケースの胴部となる部分のみが絞りしごき込まれる。この時、胴部の肉厚は上記クリアランスを調節することによって変えることができるが、胴部の肉厚が基材60%未満となると、正極合剤の挿入時や、封口部をカシメ付ける加工工程において膨らみや変形が生じて強度面で問題が生じるので、その肉厚は基材の60%以上とする必要がある。一方、電池の放電性能の面を考慮した場合、缶胴部の肉厚を薄くすることは正極活物質量を増加できる利点がある。しかし、実際の放電においては缶胴部の肉厚が基材の肉厚に対して85%以下で顕著な効果が得られた。従って、缶胴部の肉厚は基材の肉厚に対して60〜85%が好ましい。
【0017】次に、図1(d)に示すように、電池ケース7の開口部を第3のダイス9の開口部内に設置し、第3のポンチ9によって電池ケースの開口部を拡開する。
【0018】上記のようにして形成した金属ケースは最終的には後工程でその上端開口部の図1(b)の符号Aで示す肉厚部より上方の逆「ハ」の字状の端部を内方から外方に向けて水平に切除して電池ケースとして使用するのである。
【0019】尚、図1(c)では中間絞りケースの内周面をブランクホルダー5で押さえる部分を説明の都合上拡大した段部として示したが、実際はこの段部は径方向に1mm程度拡開するものであって、この段部の上方部が電池ケースの開口部となり封口時には径方向内側に絞られて段部下方の胴部と同一の径となるのである。
【0020】本発明の上記方法では、鋼板基材の絞り加工により中間絞りケース1aを形成する際に、電池ケースの開口端部となる部分が圧縮応力を受けて基材の肉厚よりも大きくなるが、このケース開口端部の肉厚と電池の封口耐圧との関係を図2に示している。尚、図2には電池ケースの開口端部の肉厚が基材の肉厚と等しい時の封口強度を100とした指数で示している。
【0021】この図2から明らかなように、本発明で作成した電池ケースでは開口端部の肉厚が基材の肉厚の100%を越え120%程度となっているので、従来のように開口端部の肉厚が基材の肉厚の100%以下のものと比べて封口部における耐圧性の向上が顕著であることがわかる。ここで、肉厚が110%を越えているものでは封口強度の変化がほとんどないが、これはむしろ負極端子板の変形によるものと考えられる。
【0022】尚、この封口強度の測定にあたっては、正極電池ケース内に正極合剤、負極活物質、セパレータ及び電解液を充填しない空の状態として、正極電池ケースの開口端部をガスケットを介して負極端子板にカシメ付けたものを準備し、正極電池ケースの他方の端部に小孔を穿設してそこから加圧ガスを供給して電池開口部が破壊する圧力を求めたのである。
【0023】また、本発明の上記方法では鋼板基材1の絞り加工による中間絞りケース1aを形成する工程と、中間絞りケースの胴部を絞りしごき込む工程とに分けて電池用金属ケースを形成しているので、同軸上に多段配置された複数のしごきダイスで加工された金属ケースまでを連続的にしごき加工する方法に比べて加工硬化を減少させることができる。
【0024】ケース開口部の加工硬化によるビッカース硬度の増大と電池の軸方向高さ寸法の変化率との関係を図3(a)に示す。この電池の軸方向の高さ寸法は図3(b)で示す寸法Lのことである。この図3(a)から明らかなように、加工硬化によってビッカース硬度が200kg/m2 を越えると電池用金属缶の開口端部がスプリングバックによって加工前の状態に復帰しようとする傾向が強くなり、電池の封口強度の低下が予想され好ましくない。
【0025】本発明では、上記のように電池用金属ケースを数工程に分けて形成しているため、電池ケース開口部の絞り加工による加工硬化を抑えて、その開口部の硬度を基材のビッカース硬度である約100kg/m2 からビッカース硬度200kg/m2 の範囲内に維持することができる。
【0026】また、本発明の方法では、特に図1(c)に示すように、ブランクホルダー5を使用して中間絞りケース1aの絞りしごき加工を引っ張りながら同時に行いケース胴部を薄く加工するために、従来例で述べた公知の方法と比べてケースの内面の表面粗度(1μm〜2μm未満)より大きな表面粗度(2μm〜10μm)を得ることができる。尚、ここで表面粗度はJIS B 0601ー1982で行い、表面粗さは触針法の測定器で行い、表面粗さの表示はRmax 、Rz で行った。
【0027】図4は電池ケースの開口部並びに胴部の内面粗度がそれぞれ正極側からの電解液の漏液率及び定電流放電時間に及ぼす影響について測定した結果を示している。この図4から胴部の表面粗度が大きいと放電時間が長くなっている。これは電池ケース内面と正極合剤との接触抵抗の低減によっているものと考えられ、胴部の表面粗度は4μm以上が好ましいことがわかる。また、開口部はできるだけ表面粗度が小さい方がガスケットとの密着性が良く漏液率が低くて好ましく、具体的には2μm以下とすることである。
【0028】本発明では、上記のように中間絞りケース1aの絞りしごき加工を引っ張りながら同時に行う際に、加工条件を変えることによって胴部の内面粗度を例えば4μm以上となるようにすることは容易である。また、電池ケースの開口部は図1(b)に示すように、鋼板基材1の外面がダイス2の内周上端によって絞られてその肉厚が増し、その内面は図1(d)に示すようにポンチ8とダイス9により開口部を拡開することにより、表面粗度は2μm以下とすることが容易である。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明の筒形電池用金属ケースでは、金属ケースの基材が鋼板からなり、金属ケースの開口部の厚さが基材の厚さを越えてこの基材の厚さの120%以下の範囲内にあるため、大きな封口強度を得ることができ、或いは従来よりも薄い基材を用いることによって従来同様の封口強度を得ることができ、基材のコストダウンを図ることが可能である。また、金属ケースの胴部の厚さが基材の厚さの60〜100%の範囲内にあるため、正極合剤の挿入時や、封口部をカシメ付ける加工工程において膨らみや変形が生じる恐れがない。また金属ケースの開口部のビッカース硬度が100〜200kg/m2 の範囲内にあるため、電池用金属缶の開口端部のスプリングバックがほとんどなく、好適な電池の封口強度を維持することができる。
【0030】また、本発明において、金属ケースの基材がニッケルメッキ又はニッケル合金メッキを施した鋼板からなり、該金属ケースの開口部の内面粗度(R1 )を胴部の内面粗度(R2 )以下とし、開口部の内面粗度(R1 )をJIS B 0601による最大高さ(Rmax)の表示で2μm以下とした場合には、電池用金属ケースの開口部では充分な液密性が得られる一方、胴部では正極合剤との接触抵抗が従来より低減して電池性能を向上させることができる。
【0031】また、本発明の方法は上記のように優れた封口性、液密性及び正極合剤との接触抵抗の小さい電池用金属ケースを得るのに好適な方法である。
【出願人】 【識別番号】000237721
【氏名又は名称】富士電気化学株式会社
【識別番号】596072254
【氏名又は名称】第一金属工業株式会社
【出願日】 平成8年(1996)5月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】一色 健輔 (外2名)
【公開番号】 特開平9−312150
【公開日】 平成9年(1997)12月2日
【出願番号】 特願平8−128390