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【発明の名称】 誘電体薄膜キャパシタ素子及びその製造方法
【発明者】 【氏名】喜多 隆介

【氏名】増田 義行

【氏名】松 良幸

【氏名】大谷 昇

【氏名】矢野 盛規

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板上に下部電極と誘電体薄膜と上部電極層とが順次形成されて構成される誘電体薄膜キャパシタ素子において、前記誘電体薄膜が少なくともチタン及びストロンチウムを構成元素としエルビウムを含有する酸化物材料から成ることを特徴とする誘電体薄膜キャパシタ素子。
【請求項2】 前記誘電体薄膜のエルビウムの含有率が0.01mol%以上0.2mol%以下であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜キャパシタ素子。
【請求項3】 前記誘電体薄膜が含有量0.01mol%以上0.2mol%以下のエルビウムを含有するチタン酸ストロンチウムから成ることを特徴とする請求項2に記載の誘電体薄膜キャパシタ素子。
【請求項4】 前記誘電体薄膜が含有量0.01mol%以上0.3mol%以下のエルビウムを含有するチタン酸バリウムストロンチウムから成ることを特徴とする請求項1に記載の誘電体薄膜キャパシタ素子。
【請求項5】 基板上に下部電極と誘電体薄膜と上部電極層とが順次形成されて構成される誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法において、少なくともチタン、ストロンチウム、及びエルビウムを含有する酸化物材料から成るスパッタターゲットを用いてスパッタ法により前記誘電体薄膜を形成することを特徴とする誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法。
【請求項6】 前記スパッタターゲットとしてチタン酸ストロンチウム粉体と酸化エルビウム粉体とが混合されて成り酸化エルビウムの混合モル比が0.005%以上0.1%以下のスパッタターゲットを用いて、誘電体薄膜としてエルビウムを含有するチタン酸ストロンチウム薄膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法。
【請求項7】 前記スパッタターゲットとしてチタン酸バリウム粉体とチタン酸ストロンチウム粉体と酸化エルビウム粉体とが混合されて成り酸化エルビウムの混合モル比が0.005%以上0.15%以下のスパッタターゲットを用いて、誘電体薄膜としてエルビウムを含有するチタン酸バリウムストロンチウム薄膜を形成することを特徴とする請求項5に記載の誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、IC用キャパシタ、不揮発性メモリ素子等の電子部品に用いられる誘電体薄膜キャパシタ素子及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、DRAMの信号蓄積用キャパシタ、MMIC(Microwave Monolithic Integrated Circuit)マイクロ波素子用キャパシタ等に代表されるIC用の誘電体薄膜キャパシタの誘電体材料には、Ta25(五酸化タンタル)、SiO2(二酸化シリコン)、及びSiN(窒化シリコン)が主に使用されてきた。しかしながら、近年では、半導体技術の進歩による電子部品の小型化や高集積化に伴い、キャパシタ面積の縮小化のために誘電体膜の極薄膜化や3次元構造化が行われている。このため、半導体素子の作製工程はますます複雑化し、微細加工技術も限界に近づき、歩留まりや信頼性等に問題を生じている。そこで、従来と比較して誘電率が高い誘電体薄膜が必要となり、現在では、上記のSiO2やSiNと比較して誘電率が高い、SrTiO3(チタン酸ストロンチウム)や(Ba,Sr)TiO3(チタン酸バリウムストロンチウム)等からなる酸化物高誘電体薄膜の研究が盛んに進められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の従来のSrTiO3や(Ba,Sr)TiO3等の酸化物高誘電体薄膜を用いた誘電体薄膜キャパシタ素子では、信頼性が大きな問題となっていた。即ち、通常の電子部品の信頼性試験で行われるような、キャパシタをある一定の温度に保持しある一定の電圧を印加する高温通電試験において、十分に実用化が可能な特性が得られる高誘電体薄膜キャパシタ素子は実現できていなかった。例えば、100℃一定に保持し10Vバイアス印加した場合の高温通電試験においては、約10時間程度でリーク電流が3桁から4桁増大してしまい、キャパシタとしての必要な絶縁性が保てないキャパシタの抵抗劣化という問題が生じていた。
【0004】このようなキャパシタの抵抗劣化の原因として、下記のような理由によるものと考えられる。SrTiO3や(Ba,Sr)TiO3等の酸化物高誘電体薄膜において、薄膜成長中にはその中に酸素の格子欠陥(酸素空孔)が発生する。この酸素空孔を含んだ誘電体薄膜から成るキャパシタ素子においては、酸素空孔が+2価に帯電しているので、高温通電試験での温度加熱と電極への電圧印加により、酸素空孔が陰極側に移動して行く。そして、陰極側に移動した酸素空孔は、陰極とSrTiO3又は(Ba,Sr)TiO3とのポテンシャルバリアのために陰極に移動できず、陰極/誘電体薄膜界面でパイルアップ(pile up)する。このとき、電気的補償のため陰極側から電子が注入される。また、一方陽極側からは、新たに酸素空孔が導入されるが、この際電子をキャリアとして発生させる。これらの現象により、誘電体薄膜全体としては、誘電率が時間とともに高くなり、リーク電流が上昇する。
【0005】これに対し、この酸素空孔を補償してキャパシタの劣化を防ぐため、成膜後に酸素雰囲気中で加熱処理をする酸素アニール処理や、酸素プラズマ処理を施すことが考えられる。しかしながら、これらの処理を行っても、酸素が熱平衡的に安定に誘電体結晶格子に組み込まれないため、誘電体薄膜の成膜後に酸素空孔を低減することは困難なことである。
【0006】本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、高温通電での通電時間に伴うリーク電流の増大を抑制することができ、絶縁性及び信頼性に優れた誘電体薄膜キャパシタ素子及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明では、基板上に下部電極と誘電体薄膜と上部電極層とが順次形成されて構成される誘電体薄膜キャパシタ素子において、誘電体薄膜が少なくともチタン及びストロンチウムを構成元素としエルビウムを含有する酸化物材料から成ることとしている。
【0008】さらに、本発明では、上記の誘電体薄膜キャパシタ素子において、誘電体薄膜のエルビウムの含有率が0.01mol%以上0.2mol%以下であることとしている。
【0009】また、本発明では、上記の誘電体薄膜キャパシタ素子において、誘電体薄膜が含有量0.01mol%以上0.2mol%以下のエルビウムを含有するチタン酸ストロンチウムから成ることとしている。
【0010】また、本発明では、上記の誘電体薄膜キャパシタ素子において、誘電体薄膜が含有量0.01mol%以上0.3mol%以下のエルビウムを含有するチタン酸バリウムストロンチウムから成ることとしている。
【0011】また、、本発明では、基板上に下部電極と誘電体薄膜と上部電極層とが順次形成されて構成される誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法において、少なくともチタン、ストロンチウム、及びエルビウムを含有する酸化物材料から成るスパッタターゲットを用いてスパッタ法により前記誘電体薄膜を形成することとしている。
【0012】さらに、本発明では、上記の誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法において、スパッタターゲットとしてチタン酸ストロンチウム粉体と酸化エルビウム粉体とが混合されて成り酸化エルビウムの混合モル比が0.005%以上0.1%以下のスパッタターゲットを用いて、誘電体薄膜としてエルビウムを含有するチタン酸ストロンチウム薄膜を形成することとしている。
【0013】また、本発明では、上記の誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法において、スパッタターゲットとしてチタン酸バリウム粉体とチタン酸ストロンチウム粉体と酸化エルビウム粉体とが混合されて成り酸化エルビウムの混合モル比が0.005%以上0.15%以下のスパッタターゲットを用いて、誘電体薄膜としてエルビウムを含有するチタン酸バリウムストロンチウム薄膜を形成することとしている。
【0014】本発明による作用は以下のように考えられる。上述したとおり、SrTiO3や(Ba,Sr)TiO3等の酸化物高誘電体薄膜中に酸素空孔が存在する場合、電子がキャリアとして導入され、薄膜中に含まれる酸素空孔が多いほど、その誘電体薄膜の比抵抗は低下する。この酸素空孔は、酸素がSr又はBaと同時に結晶の格子位置から抜けることにより発生し易いものであり、ショットキー型欠陥と呼ばれるものである。
【0015】SrTiO3薄膜又は(Ba,Sr)TiO3薄膜の成長中にErが添加されると、ErがSrと置換され、このときErが+3価であるのでSr格子位置では+1価となり、電子のドナーとして働く。したがって、例えば、SrTiO3薄膜の場合、ErがドープされたSrTiO3薄膜内部では、質量保存の法則と電気的中性条件とから下記のような関係式が成立する。
【0016】n+2[VSr]=p+2[VO]+[Mh
ここで、nは電子濃度、pは正孔濃度、[VSr]はSrの格子欠陥密度(−2価)、[VO]は酸素空孔濃度(+2価)、[Mh]はドープされたErの濃度を示している。この関係式から、[Mh]が存在していることにより[VO]の生成が少なくてもよくなるので、ErがSr格子位置に置換されることにより、ショットキー型欠陥による誘電体薄膜成長中の酸素空孔の発生を抑制できることになる。ただし、Erの濃度が高くなり過ぎると、キャリア濃度が増え過ぎるために、逆に抵抗率が減少することになるので、酸素空孔の発生を抑制するのに必要なErの濃度の上限が存在するものである。また、Erは、原子価として安定に+3価をとり、Tiサイトに容易に置換されるので、SrTiO3や(Ba,Sr)TiO3等の酸化物誘電体薄膜中でドナーとして働くものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態により作製された誘電体薄膜キャパシタ素子の断面構造を示す概略図である。図1に示すように、この誘電体薄膜キャパシタ素子は、n型シリコン基板1上に、シリコン熱酸化膜2、Ti接着層3、Pt下部電極層4、チタン及びストロンチウムを構成元素としエルビウムを含有する酸化物材料から成る誘電体薄膜5、Pt上部電極層6が、それぞれ順次形成されているものである。
【0018】なお、図1に示した構造は、あくまでも、後述する本実施形態による誘電体薄膜キャパシタ素子の基本的な電気特性を評価するためのものであり、本発明による誘電体薄膜キャパシタ素子の構造がこれに限定されるものでなく、実際には、DRAMやMMIC等のメモリ素子を初めとする様々なデバイスに適宜自由な設計で用いられるものである。
【0019】次いで、第1の実施形態の誘電体薄膜キャパシタ素子の作製について説明する。まず、n型シリコン基板1の表面に、絶縁層として、膜厚200nmのシリコン熱酸化膜2を熱酸化法により形成した。そして、このシリコン熱酸化膜2上に膜厚30nmのTa接着層3と、膜厚200nmのPt下部電極層4とを、DCスパッタ法により順次形成した。
【0020】次に、このようにして形成したPt下部電極層4上に、チタン及びストロンチウムを構成元素としエルビウムを含有する酸化物材料から成る誘電体薄膜5をRFスパッタ法(高周波スパッタ法)を用いて形成した。本実施形態では、誘電体薄膜5として、エルビウムの含有量を変化させたチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)薄膜(以下STO薄膜と記載する)を形成したものと、エルビウムの含有量を変化させたチタン酸バリウムストロンチウム((Ba,Sr)TiO3)薄膜(以下BST薄膜と記載する)を形成したものとのそれぞれ複数のサンプルを作製した。
【0021】ここで、誘電体薄膜5の形成について説明する。スパッタターゲットとしては、酸化エルビウム(Er23)をSTO薄膜中又はBSTO薄膜中のエルビウム(Er)濃度が所望の濃度になるように、SrTiO3粉体又はSrTiO3粉体及びBaTiO3粉体に十分に混合し焼結させたものを用いた。すなわち、Erの含有量がxmol%のSTO薄膜を形成する場合には、SrTiO3粉体とEr23粉体とのモル比が1:x/200のモル比になるように混合し焼結させたものを用いた。また、Erの含有量がxmol%のSTO薄膜を形成する場合、BaTiO3粉体とSrTiO3粉体とEr23粉体とのモル比が0.7:0.3:x/200のモル比になるように混合し焼結させたものを用いた。
【0022】そして、誘電体薄膜5の成膜に先立って、スパッタターゲット表面を成膜しようとする薄膜(STO薄膜又はBST薄膜)の成膜条件と同条件で10分間予備スパッタした後、STO薄膜又はBST薄膜の成膜を行った。このときの、予備スパッタ及びSTO薄膜又はBST薄膜の成膜条件は、表1に示すように、スパッタRFパワー4.25W/cm2、スパッタ圧力(成膜室内ガス圧力)2Pa、スパッタガスがO2というものであり、この条件で膜厚300nmのSTO薄膜又はBST薄膜を形成した。また、基板温度は、STO薄膜成膜時には325℃、BST薄膜成膜時には350℃とした。
【0023】なお、本実施形態においては、STO薄膜についてはErの含有量を0,0.01,0.015,0.02,0.05,0.10,0.15,0.2,0.3mol%とした9種類のサンプルを作製し、BST薄膜についてはErの含有量を0,0.01,0.015,0.02,0.05,0.10,0.2,0.3,O.4mol%とした9種類のサンプルを作製した。
【0024】
【表1】

【0025】その後、本実施形態による誘電体薄膜キャパシタ素子の電気特性を評価するために、上記のそれぞれのサンプルの誘電体薄膜5上に、膜厚100nmのPt上部電極層6を、直径100μmの円形で電子ビーム蒸着法により形成し、図1に示したような構造の誘電体薄膜キャパシタ素子の作製を完了した。
【0026】なお、基板、絶縁層、接着層、及び電極層のそれぞれの材料、膜厚、形成方法等については、本発明が本実施形態に限定されるものではない。
【0027】上記のようにして作製した合計18種類の誘電体薄膜キャパシタ素子のサンプルについて、それぞれのPt上部電極6とPt下部電極4との間に10Vの直流電圧7を印加した状態で、温度を100℃に保持して(高温通電)、それぞれのサンプルのリーク電流の時間変化を測定した。そして、それぞれのEr含有量(Erドープ量)が異なるサンプルについて、高温通電開始後にリーク電流が1桁増加するまでの時間(tch)を測定した結果と、誘電率及び比抵抗を測定した結果とを表2及び表3に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
【表3】

【0030】また、表2の測定結果に基づき、ErドープSTO薄膜におけるtchのErドープ量依存性をグラフ化したものを図2に、ErドープSTO薄膜における誘電率のErドープ量依存性をグラフ化したものを図3に、ErドープSTO薄膜における比抵抗のErドープ量依存性をグラフ化したものを図4にそれぞれ示す。表2及び図2から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないもののtchが5時間であるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.2mol%以下ではtchが400時間以上と優れた特性が得られ、特にErのドープ量(含有量)が0.015mol%以上0.10mol%以下ではtchが1000時間以上と非常に優れた特性が得られている。
【0031】表2及び図3から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないものの誘電率が120であるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.2mol%以下では誘電率が110以上と十分な高誘電率を有する良好な特性が得られている。表2及び図4から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないものの比抵抗が5.2×1013Ωcmであるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.2mol%以下では比抵抗が3.0×1014Ωcm以上と優れた特性が得られ、特にErのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.15mol%以下では比抵抗が5.0×1014Ωcm以上と非常に優れた特性が得られている。
【0032】また、表3の測定結果に基づき、ErドープBST薄膜におけるtchのErドープ量依存性をグラフ化したものを図5に、ErドープBST薄膜における誘電率のErドープ量依存性をグラフ化したものを図6に、ErドープBST薄膜における比抵抗のErドープ量依存性をグラフ化したものを図7にそれぞれ示す。表3及び図5から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないもののtchが6時間であるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.3mol%以下ではtchが600時間以上と優れた特性が得られ、特にErのドープ量(含有量)が0.02mol%以上0.2mol%以下ではtchが1000時間以上と非常に優れた特性が得られている。
【0033】表3及び図6から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないものの誘電率が130であるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.3mol%以下では誘電率が110以上と十分な高誘電率を有する良好な特性が得られている。表3及び図7から、Erのドープ量(含有量)が0即ちErを含有しないものの比抵抗が4.1×1013Ωcmであるのと比較すると、Erのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.3mol%以下では比抵抗が3.0×1014Ωcm以上と優れた特性が得られ、特にErのドープ量(含有量)が0.01mol%以上0.2mol%以下では比抵抗が5.0×1014Ωcm以上と非常に優れた特性が得られている。
【0034】以上のことから、STO薄膜については、Erの含有量が0.01mol%以上0.2mol%以下においてtchが長くなりキャパシタ劣化に対し顕著な効果がみられた。そして、BST薄膜については、Erの含有量が0.01mol%以上0.3mol%以下においてtchが長くなりキャパシタ劣化に対し顕著な効果がみられた。また、本発明によれば、酸素空孔が存在し少なくともチタン及びストロンチウムを構成元素とする誘電体薄膜に、Er含有させることにより、誘電率、比抵抗を劣化させることなく、薄膜中の酸素空孔を減少させることできるものと考えられ、信頼性に優れた誘電体薄膜キャパシタ素子を得ることができる。
【0035】次に、上記実施形態においては、STO薄膜及びBST薄膜のそれぞれにErを含有させたものについて説明したが、ここで、比較例としてErと同じ+3価のランタン(La)を含有させたSTO薄膜を上記実施形態のEr含有STO薄膜と同様にして作製し、それらの成膜回数に対するSTO薄膜中のEr又はLaの含有量を調べた結果について説明する。なお、比較例の作製において、上記実施形態と異なるのは、誘電体薄膜成膜時のスパッタターゲットとして、酸化ランタン(La23)をSTO薄膜中のランタン(La)濃度が所望の濃度になるように、SrTiO3粉体に十分に混合し焼結させたものを用いただけであり、すなわち、Laの含有量がxmol%のSTO薄膜を形成する場合には、SrTiO3粉体とLa23粉体とのモル比が1:x/200のモル比になるように混合し焼結させたものを用いたものである。
【0036】上記実施形態のSTO薄膜のErの含有量が0.05mol%となるようにして同一スパッタターゲットを用いてスパッタ法による成膜を複数回行い成膜されたSTO薄膜中のEr含有量と、本比較例のSTO薄膜のLaの含有量が0.05mol%となるようにして同一スパッタターゲットを用いてスパッタ法による成膜を複数回行い成膜されたSTO薄膜中のLa含有量とをそれぞれ調べた結果を図8に示す。図8から、Er含有STO薄膜では5回の成膜回数のいずれでもEr含有量が0.05mol%と一定になっているのに対して、La含有STO薄膜では成膜回数が増すに従いLa含有量が低下し成膜回数5回ではLa含有量が0.01mol%になっている。このことから、Erを含有する誘電体薄膜が、生産性に優れたスパッタ法を用いて再現性良く形成することができ、特性が均一な誘電体薄膜キャパシタ素子を高い生産性で製造可能であることがわかる。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明の誘電体薄膜キャパシタ素子及び誘電体薄膜キャパシタ素子の製造方法によれば、直流電圧印加で1000時間以上高温動作しても絶縁性がほとんど劣化しない誘電体薄膜キャパシタ素子を得ることができるので、信頼性に優れたIC用薄膜キャパシタを実現することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 勝
【公開番号】 特開平9−331020
【公開日】 平成9年(1997)12月22日
【出願番号】 特願平8−145422