| 【発明の名称】 |
半導体パッケージ及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 和利
【氏名】大橋 健也
【氏名】山田 富男
|
| 【目的】 |
|
| 【構成】 |
|
【特許請求の範囲】
【請求項1】半導体素子と該半導体素子の電気信号を外部に導き出すリードフレームと、前記半導体素子と外部環境より遮断する半導体封止手段とを備えた半導体パッケージにおいて、前記リードフレームが銅合金からなり、かつ該リードフレームのアウターリード部のみに、基材の銅合金表面に銅めっき膜が形成され、更に該銅めっき膜は半田めっき膜により被覆されていることを特徴とする半導体パッケージ。 【請求項2】請求項1記載の銅めっき膜の膜厚が0.5 〜3μmであることを特徴とする半導体パッケージ。 【請求項3】請求項1または2記載の銅合金が、Cu−Ni−Si系、またはCu−Zr−Cr系の析出強化型銅合金であることを特徴とする半導体パッケージ。 【請求項4】銅合金からなる薄板からリードフレームの形状パターンを抜き出す工程と、抜き出されたリードフレームに半導体素子を電気的に接続する工程と、該半導体素子を外部雰囲気と遮断するための容器に封止する工程と、前記リードフレームのアウターリード部に銅めっきを施す工程と、該銅めっき上に半田めっきを施す工程からなることを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は集積回路等の半導体素子のパッケージに係わり、特に銅合金からなるリードフレームを用いた半導体パッケージ及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、リードフレーム素材としてはFe−Ni系合金が用いられていたが、熱伝導率が良く、値段の安い銅合金が近年使用されつつある。しかし銅合金は従来材に比べ腐食しやすく、表面にCu2O ,CuOなどの酸化物相を形成しやすいという欠点がある。このような酸化物相は、素材との密着性が悪く工程中に剥離して、リード間の接触を起こすなどの問題がある。これを解決するため、特開昭60−183758号公報には、リードフレームの全面に1.0μm 以上の銅めっきを施した後、ダイボンディング,ワイヤボンディング等の加熱工程を行って半導体パッケージを製造する方法が開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】近年、電子機器の小型化の要請に伴いIC(半導体集積回路)の高密度化,寸法の小型化及び薄型化が要求されるようになり、樹脂封止型半導体パッケージもリードフレームのピン数の増加及びピンの狭幅化が求められている。例えばピン数は80ピンから160ピンへ、さらに300ピンへと増加しており、ピン幅も0.65mmから0.5mmさらには0.3mm へと狭幅化している。ところで、半導体パッケージを回路基板に半田を用いて実装する際には、リードフレームのアウターリード部に半田めっきをして、半田のぬれ性を向上させた後、半田付けを行う。発明者らは、従来のFe−Ni系合金リードフレームと同様に、析出強化型銅合金製のリードフレームに半田めっきを施した場合、半田が異常成長して、隣り合うピン間でブリッジを形成し、ショートすることがあるという事実を新たに見い出した。ピン間の距離が大きい場合は、ブリッジは生じにくく、ショートの問題はそれほど深刻ではなかったが、ピンの狭幅化に伴い、ショートする可能性が大きくなってきた。 【0004】本発明の目的は、銅合金製のリードフレームを用いた半導体パッケージにおいて、半田めっき時にピン間にブリッジが発生しにくい半導体パッケージ及びその製造方法を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の第1の発明によれば、半導体素子と該半導体素子の電気信号を外部に導き出すリードフレームと、前記半導体素子を外部環境より遮断する半導体封止手段とを備えた半導体パッケージにおいて、前記リードフレームが銅合金からなり、かつ該リードフレームのアウターリード部のみに、基材の銅合金表面に銅めっき膜が形成され、更に該銅めっき膜は半田めっき膜により被覆されている半導体パッケージが提供される。半導体封止手段とは、例えば、樹脂,セラミックなどからなる封止材料で半導体素子を封止するものである。アウターリード部とは半導体封止手段の外側に出ているリードフレームの部分の名称であり、この部分のみに銅めっき膜が形成される。半田めっき膜はこの銅めっき膜を覆うように施される。上記構成により、銅めっき膜が半田めっき膜の異常成長の起点となる酸化物粒子を覆うため、半田めっきの異常成長によるピン間のブリッジがなくなる。すなわち、ピン間のショートが少なくなる。また、半田めっき膜がアウターリード部を覆っているので、銅合金リード部の酸化防止効果により、半導体の信頼性向上が図れる。 【0006】本発明の第2の発明によれば、第1の発明において銅めっき膜の膜厚が0.5〜3μmである半導体パッケージが提供される。半田めっき膜の異常成長の起点になる酸化物粒子は銅めっきを0.5 〜3μmの厚さで施すことにより被覆され、半田の異常成長を抑制する効果が十分であることが後述の実施例で述べるように確認された。上記膜厚の範囲より大きい、または小さい場合でも、半田の異常成長を抑制する効果はあるが、より好ましい範囲として上記範囲を規定するものである。上記構成により、より効果的に半田の異常成長を抑制することができ、半導体パッケージの信頼性を向上することができる。 【0007】本発明の第3の発明によれば、第1または第2の発明において、銅合金が、Cu−Ni−Si系、またはCu−Zr−Cr系の析出強化型銅合金である半導体パッケージが提供される。銅合金は酸化物が生成しやすい性質をもつが、それらは膜状の銅酸化物皮膜からなる。しかし、上記析出強化型銅合金は、Si,Zrの粒子状の酸化物が銅合金基材から析出するように生成する。このような粒子状の酸化物が特に半田の異常成長の起点となりやすい。したがって、本発明は特に、上記析出強化型合金からなるリードフレームに対して効果が高い。一方、析出強化型合金は、熱伝導を低下させることなく、強度を向上させた銅合金であるので、リードフレーム素材としては、最も望ましいものである。したがって、上記構成により、強度,熱伝導率の大きいリードフレームを有し、かつ半田めっき時にピン間にショート等の不具合が生じない半導体パッケージが提供される。本発明の第4の発明によれば、銅合金からなる薄板からリードフレームの形状パターンを抜き出す工程と、抜き出されたリードフレームに半導体素子を電気的に接続する工程と、該半導体素子を外部雰囲気と遮断するための容器に封止する工程と、前記リードフレームのアウターリード部に銅めっきを施す工程と、該銅めっき上に半田めっきを施す工程からなる半導体パッケージの製造方法が提供される。半田めっき工程の直前に銅めっきを行うことにより、リードフレーム基材上に生成する酸化物を効果的に被覆できる。銅めっき工程と半田めっき工程の間に、ワイヤボンディング等の工程が入ると、その間に酸化物の生成,成長が起こる可能性がある。したがって、半田めっきが半田めっき工程は銅めっき工程の直後に行うことが好ましい。上記構成により、半田の異常成長の発生を抑制でき、信頼性の高い半導体パッケージが提供できる。 【0008】 【発明の実施の形態】銅めっきと半田の関係を銅合金としてCu−Ni−Si系合金を使用したときを例として、図1,図2を用いて説明する。図2に示すように半田めっきの前処理としてのエッチングにより偏析した素材成分のSiが表面に露出し、酸化されて銅合金表面上にSi酸化物が生成される。次に電気半田めっき工程において、その酸化物の近傍に接触電位差あるいは絶縁抵抗により局所的な電荷の集中が起こり、半田めっき膜に突起が発生する。さらに突起部に電気めっきの電流集中が生じ、半田が成長するものと考えられる。図1に示すようにエッチング後の銅合金表面上に銅めっき膜を0.5 〜3μmの厚さで施し、半田めっきするとSi酸化物は被覆され半田の成長は生じない。ここで、銅めっき膜厚を規定したのは0.5μm 以下ではSi酸化物を被覆するのに十分でなく、3μm以上では銅合金と半田の界面にボイドが多数集まり、剥離が生じるためである。また、半田の成長の起点となる酸化物はSi以外にZr及びAgなどであり、これらの酸化物上に規定の厚さの銅めっき膜を形成し、その上に半田めっきを施すことで半田の成長を抑制できる。 【0009】以上のように、銅合金、特に析出強化型銅合金と半田めっきの間に酸化物を被覆する規定の厚さの銅めっき膜を設けることが本発明の基本的概念であるが、酸化物の被覆に必要な膜厚は対象物の条件によって異なる。本発明において、銅めっきの膜厚が銅合金上に析出したSi,Zr及びAg酸化物の粒径を1μm以下に抑制できる膜厚であれば半田めっきの成長は抑制できることを確認した。 【0010】次に本発明を実施例により、説明する。 【0011】(実施例1)半導体装置のリードフレーム素材(Cu−Ni−Si系銅合金)に半田めっき前処理として通常のエッチング条件(常温、10%硫酸溶液中で30秒浸漬→10%過酸化水素と10%硝酸の混合液中で60秒浸漬)でエッチングを行い、その後、表1に示す条件で電気銅めっきを施し、その上にSn/5Pb半田をめっき条件(常温、電流密度1A/cm2 )で、リードフレームとして所定の厚さになるまで電気半田めっきした。その後、半田めっきの状況を目視観察し、結果を表1に○×で示す。 【0012】 【表1】
【0013】表1には半田の剥離試験の結果も併記した。この結果で示されるように、半田の成長の生じない銅めっきの膜厚は0.5μm 以上であった。また、銅めっきの膜厚が3μmを超えると銅合金素材と半田の界面から剥離した。したがって、半田めっきの成長を防止でき、かつ界面の密着強度の低下しない銅めっきの膜厚は0.5 〜3μmの範囲であると判断した。なお、銅めっきの膜厚の測定はサンプルを樹脂に埋め込み断面研摩後、走査型電子顕微鏡写真により判定した。図3は本発明の1実施例になる半導体装置の断面図(a)と斜視図(b)である。Cu−Ni−Si系銅合金のアウターリード部6に前述の銅めっき膜2が形成され、更にその上に半田めっき膜3が形成されている。リードフレーム1の半導体素子搭載部4に半田8で半導体素子7を半田付けし、半導体素子上のAl電極とインナーリード部5に部分Agめっき11を施し、その間をAuワイヤ9でボンディングしてエポキシ樹脂10で封止した。Agめっきはマスキングしてボンディング部分のみに形成するようにした。また、このAgめっきを施さないでボンディングしたものも行った。アウターリード部に銅めっき膜を介在させて半田めっきすることにより、これらの半田の成長は抑制された。 【0014】表2はCu−Zr−Cr系銅合金について、前述と同様にエッチング,銅めっき及び半田めっきを行い、半田めっきの状況を目視観察した結果である。 【0015】 【表2】
【0016】Cu−Ni−Si系銅合金と同じように、半田めっきの成長を防止でき、かつ界面の密着強度の低下しない銅めっきの膜厚は0.5 〜3μmの範囲である。図4はCu−Zr−Cr系銅合金のアウターリード部6に本発明の銅めっき膜2を形成して更にその上に半田めっき膜3を形成した半導体装置の断面図である。半導体素子7をリードフレーム1の半導体素子搭載部4に半田付けし、インナーリード部5と半導体素子搭載部4のみに部分的にAgめっき11を施した後、金属ワイヤ9でワイヤボンディングしエポキシ樹脂10で封止した。また、このAgめっきを施さないでボンディングしたものも行った。アウターリード部に銅めっきを介在させて半田めっきすることにより、これらの半田の成長は抑制された。なお、半田が成長したリードフレームを解析した結果、Cu−Ni−Si系及びCu−Zr−Cr系とも成長の起点部にSi酸化物及びZr酸化物が存在することを確認した。また、部分Agめっきが施されたリードフレームでは、脱Ag処理(洗浄)が不十分でアウターリード部にAgが残ったものには半田の成長が起こり、Ag酸化物から半田が成長していることをもわかった。以上のことから、アウターリード部に銅めっきを介在させて半田めっきすることにより、半田の成長が防止できる。 【0017】(実施例2)図5は実施例1と同様に実験し、Cu−Ni−Si系銅合金に生じたSi酸化物の粒径と半田めっきの不良発生率の関係を調べた結果である。図から、Si酸化物の粒径が1μmを超えると不良が発生することがわかる。このことは、リードフレーム上のSi酸化物の粒径を1μm以下に抑えれば半田の成長は抑制できることを示している。この結果はCu−Zr−Cu系銅合金でも同様であった。すなわち、半導体パッケージ用リードフレームとしてアウターリード部に銅めっき膜を有し、リードフレームの表面上に露出する酸化物の粒径を1μm以下とする膜厚であれば半田の成長は抑制できる。図6は本発明のリードフレームの一例を示す平面図である。本実施例のリードフレームは実施例1と同じCu−Ni−Si系の銅合金で0.3mm の厚さを有するものである。このリードフレームは複数のチップを搭載できるように形成され、チップ搭載,ワイヤボンディング等自動的に行えるよう送り機構13が設けられている。本実施例は半導体素子搭載部4,インナーリード部5に部分Agめっきを有するものであり、樹脂封止後に脱Ag処理を行ったものである。アウターリード部に残存したAg酸化物の粒径を1μm以下とする銅めっき膜を介在させて半田めっきすることにより、半田の成長は抑制された。 【0018】(実施例3)図7は本発明の実施例の工程を説明するフローチャートである。本図に示すように通常の半導体パッケージ製造工程にしたがって、半導体素子と銅合金リードフレームとを樹脂封止する樹脂封止工程及びリードフレームのアウターリード部をエッチングする前処理工程を経た後、アウターリード部に0.5 〜3μmの厚さの銅めっき膜を形成するめっき工程を設ける。その後、アウターリード部を半田めっきする工程に進み、半導体製品となる。さらに、本発明の他の実施例としてリードフレームのアウターリード部をエッチングする前処理工程において、エッチング量をアウターリード部の表面上に析出する各種酸化物の粒径を1μm以下とするエッチング条件とする半導体パッケージの製造工程である。本実施例では銅めっき膜を形成せずに半田の成長を抑制できる。 【0019】なお、本実施例以外の銅合金に本発明を適用しても、同等の効果を得ることができる。 【0020】 【発明の効果】本発明の第1の発明によれば、半田めっきの異常成長によるピン間のブリッジがなくなる。すなわち、ピン間のショートが少なくなる。また、半田めっき膜がアウターリード部を覆っているので、銅合金リード部の酸化防止効果により、半導体の信頼性向上が図れる。 【0021】本発明の第2の発明によれば、より効果的に半田の異常成長を抑制することができ、半導体パッケージの信頼性を向上することができる。 【0022】本発明の第3の発明によれば、強度,熱伝導率の大きいリードフレームを有し、かつ半田めっき時にピン間にショート等の不具合が生じない半導体パッケージが提供される。 【0023】本発明の第4の発明によれば、半田の異常成長の発生を抑制でき、信頼性の高い半導体パッケージが提供できる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
|
| 【出願日】 |
平成8年(1996)6月11日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小川 勝男
|
| 【公開番号】 |
特開平9−331015 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)12月22日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−148881 |
|