Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
スタータ - 特開平9−329073 | j-tokkyo
トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 スタータ
【発明者】 【氏名】松島 圭一

【氏名】宗 正浩

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】軟磁性材料からなる筒状のヨークと、該ヨークの内側に固定されている複数の界磁磁極と、該ヨークの内部に配設されており該界磁磁極との間に生じる磁気力により回転する回転子とを有するモータと、該モータに駆動される出力軸と、該出力軸に設けられ、エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンと、該ピニオンが該リングギヤと噛み合うための開口部を有し、ピニオンを内部に収納するとともに、該出力軸の一端を回転自在に支承しているハウジングとを備えているスタータにおいて、前記ヨークは、一端で前記ハウジングに接合されており、前記モータの回転軸に略平行に該ヨークの内周側が窪み外周側が凸条となるとともに、該ヨークの内周の一端側から他端側に連続する空間を形成している突出部を有し、該ハウジングの前記開口部から該ヨーク内周の該一端側を通り該ヨークの他端側に連通する風路が形成されており、該ヨークの該他端側には、該ヨークの筒状部分の開口端面を閉塞する後蓋を備え、該ヨークの該後端側の壁面あるいは該後蓋に前記モータの内外を連通する排出孔が形成されていることを特徴とするスタータ。
【請求項2】前記モータの回転を減速して前記出力軸に伝達する減速機が、前記ハウジングに配設されており、該減速機と該ハウジングの内周面との間に所定の隙間が形成されており、該隙間は前記風路の一部を構成していることを特徴とする請求項1記載のスタータ。
【請求項3】前記突出部は、前記ヨークの前記界磁磁極の間の部分に形成されている請求項1または2に記載のスタータ。
【請求項4】前記突出部は、前記ヨークの略全周の複数箇所で形成されている請求項1または2に記載のスタータ。
【請求項5】前記突出部のうち少なくとも一つは、前記ヨークの全周のうち、本スタータが使用される姿勢で重力に対し直上方向から半頂角45°以内に形成されている請求項1または2に記載のスタータ。
【請求項6】前記突出部のうち少なくとも一つは、前記ヨークの全周のうち、本スタータが使用される姿勢で重力に対し直下方向から半頂角45°以内に形成されている請求項1または2に記載のスタータ。
【請求項7】前記ヨークの前記外周面には、突出している放熱フィンおよび溝状に凹んでいる放熱グルーヴのうち、少なくとも一方が形成されている請求項1または2に記載のスタータ。
【請求項8】前記ハウジングと前記後蓋との間に前記ヨークを挟持しているスルーボルトが、該ヨーク内を貫通して前記突出部の前記溝状の窪みに配設されていることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれかに記載のスタータ。
【請求項9】前記ハウジング内の前記ピニオンの周囲の空間から、前記モータの前記風路までの間に、前記空気を濾過するフィルタを有する請求項1ないし8のうちいずれかに記載のスタータ。
【請求項10】エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンと、該ピニオンを軸支しており該リングギヤのケーシングに固定されるハウジングと、該ハウジングに一端が接合されており該ピニオンを回転駆動するモータと、該ハウジングに配設されており該モータの軸出力を減速して該ピニオンに伝達する減速機とを備えているスタータにおいて、前記減速機は、前記ハウジング内の前記ピニオン周辺の空間から前記モータの内部空間へ連通する空気流路を形成しており、前記モータは、前記一端から他端へ連通する内部空間を形成しており、かつ、該内部空間を他端で覆っている後蓋を備えていて、該後蓋には、周囲の外部空間へ連通する排出孔が形成されており、前記ケーシングから吹き込んだ空気が、内部の該空気流路および該内部空間を通って該排出孔から該外部空間へ吹き抜けることができる風路が形成されていることを特徴とするスタータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などのエンジンを始動するスタータの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等の産業分野で、スタータの小型高出力化への要求がいよいよ高まってきている。この要求に対し、スタータ内部に減速機を備えて小型軽量モータを高速回転させるなどの手段により、小型で高出力のスタータが開発されてきている。ところが、スタータのモータは、小型軽量化される一方で、高速回転により高出力化も同時に進んできており、モータの単位重量当たりの発熱量はいよいよ増大している。それゆえ、モータの過熱による不具合の問題が、スタータの小型化を進めるうえで障害となっている。
【0003】スタータのモータの冷却能力を改善し、その過熱を防ぐ従来の技術としては、実開昭57−125162号公報に開示された回転電機の固定子がある。この固定子では、界磁磁極の間でヨークが内側へ突出しており、界磁コイルの側面の一部にヨークの内周面が接触しているので、界磁コイルからヨークへの熱伝導による放熱が促進されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の従来技術では、界磁コイルの放熱の増大分はヨークへの熱伝導に限られるので、ヨークへの熱の放出量には自ずと限界がある。また、ヨークの冷却は、外周面からの自然冷却に任されているようであり、急速かつ効果的な冷却が行われているとは考えがたい。さらに、回転子(アーマチュア)の冷却については、前述の従来技術ではほとんど効果が期待できない。
【0005】そこで本発明は、小型高出力化したモータを備えていながら、モータの冷却が良好で過熱による不具合を起こしにくいスタータを提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明した。
(第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載のスタータである。本手段では、ヨークの一部が外周面に凸条に突出しているに突出部が、モータの回転軸に略平行な方向に形成されている。この突出部は、ヨークの内周面では溝状に凹んでおり、ヨークの外周面では凸条を形成している。突出部は、ヨークの周上の少なくとも一か所に形成されている。突出部は、ヨークの内側にモータの一端からへ空気が流れる風路を形成している。
【0007】一方、リングギヤが形成されている円盤(通常はフライホイール)は通常エンジンの出力軸と連結されているので、エンジンが始動すると上記円盤は回転を続け、周囲の空気を粘性で巻き込んで外周方向へと風を吹きつける。スタータのハウジングはピニオンの周囲でケーシングに対して開口しているが、その開口部はリングギヤの外周付近に位置しているので、リングギヤの円盤からスタータのハウジング内に風が吹き込み、風圧を生じる。
【0008】それゆえ、ハウジング内に流入した空気(風)は、ハウジングに一端が接合されているモータに流入する。ここで、モータのヨークには突出部が形成されており、突出部によりヨークの内側に一端から他端へ連通する空気の流路(風路)が形成されている。したがって、モータに流入した空気は風路を一端から他端へと吹き抜け、後蓋などに形成されている排出孔などからスタータの外部へ排出される。
【0009】空気がモータ内の風路を吹き抜ける際、風路に面する界磁コイルやヨーク内周面、固定磁極鉄芯および回転子(アーマチュア)が強制空冷される。さらに、モータ内部空間のほとんど全てで、加熱された空気が換気され、比較的温度が低い空気に交換される。わけても、界磁コイルは発熱量が大きく過熱しがちであったが、界磁コイルの外周面のほとんどが風路に面していて冷却が良いので、エンジン始動後の熱伝導による過熱不具合はほぼ完全に防止される。
【0010】しかも、この強制冷却作用は、スタータまたはそのモータが回転していることを必要とはしないので、エンジン始動後に慣性で回りつづけるスタータを公知のブレーキ等で停止させても不都合がない。それゆえ、再始動にも都合がよく、スタータの寿命も長くなる。したがって、本手段によれば、小型高出力化したモータを備えていながら、モータの内部で強制空冷による冷却が良好で、過熱による不具合を起こしにくいスタータを提供することができるという効果がある。
【0011】また、整流子を有するモータであれば、ブラシおよび整流子の摩耗粉のうち大半は空気流に乗ってモータから排出されてしまう。それゆえ、モータ内に摩耗粉が溜まって不具合につながることが少なくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。さらに、風路だけではなくスタータの内部空間全体で換気がよくなるので、スタータの冷却後に内部空間に高湿な空気が籠もって凝結水を生じることがなくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。
【0012】(第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載のスタータである。本手段では、減速機とハウジングとの間に所定の断面積の隙間が形成されていて、モータの風路と連通しているので、流入した空気はハウジングから減速機に妨げられることなくモータの他端へ吹き抜けることができる。それゆえ、減速機を装備してモータの小型高出力化を図りながら、モータの過熱を防止する効果がえられる。
【0013】したがって本手段によれば、減速機を装備してモータのさらなる小型高出力化を図りながら、前述の第1手段と同様の効果が得られる。なお、所定の断面積の隙間は、ピニオン付近のハウジング内の空間とモータの風路とを連通していれば、減速機とハウジングとの間だけに限定される必要はなく、減速機のみに形成されていてもよい。
【0014】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項3記載のスタータである。本手段では、ヨークの界磁磁極の間の部分に突出部が形成されている。一方、互いに隣り合う二つの界磁磁極には間隔が空いているから、風路は、突出部の溝状の内周面と上記二つの界磁磁極の互いに対向している側面と回転子の外周面等とに囲まれて形成される。それゆえ、風路の断面積は大きくなって流路抵抗が減り、より大きな風量が得られる。さらに、界磁コイルの側面や回転子の外周面に風路が接しているので、ジュール熱による発熱部を直接冷却することができ、過熱防止効果はさらに高まる。また、界磁磁極の間に落ちた摩耗粉のうち重いものは突出部の溝に溜めておくことができ、摩耗粉の堆積が大量になっても整流子から遠ざけておけるので、摩耗粉の堆積による不具合が起きにくい。
【0015】したがって本手段によれば、前述の第1手段と同様の効果が得られ、しかもその効果はいっそう強化されている。
(第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載のスタータである。本手段では、ヨークの略全周の複数箇所で突出部が形成されているので、モータの全体にわたって空気が吹き抜け、冷却が極めて良いうえに、一部だけが過熱する不具合が防止されている。
【0016】したがって本手段によれば、前述の第1手段と同様の効果が得られ、しかもその効果はいっそう強化されている。
(第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載のスタータである。本手段では、ヨークの直上方向から半頂角45°以内に突出部が少なくとも一つはあるので、ヨーク内の内部空間のうち上部では良好な換気が得られる。モータの界磁コイルやアーマチャコイルなどで熱せられた空気は、対流で上昇するのでヨークの内部空間の上部に溜まりやすいが、内部空間の上部での換気が特に良いので、熱い空気は速やかに排出されてモータの過熱は効果的に防止される。
【0017】したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、ヨークの内部空間の上部において効果的に熱した空気の換気ができ、少数の突出部であってもモータの過熱を防止する効果が比較的高い。
(第6手段)本発明の第6手段は、請求項6記載のスタータである。
【0018】本手段では、ヨークの直下方向から半頂角45°以内に突出部が少なくとも一つはあるので、ヨーク内の内周面のうち下部に溝状の凹部が形成されている。従来のモータの内部には、整流子や軸受け等で発生する摩耗粉や、モータの外部から侵入する塵埃や油水などが堆積し、整流子に接触して接触不良や短絡などの不具合を起こすことがある。しかし、本手段では堆積物がヨーク下部に形成されている溝状の凹部に落ちるので、相当量が堆積しないかぎり上記不具合は発生しない。さらに、溝状の凹部は風路の壁面を形成していて空気の流速が速いので、比較的軽い粒子は堆積せずに空気とともに排出されてしまい、かなり重い粒子しか堆積することはない。
【0019】したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、モータ内の堆積物による不具合が防止され、その結果、スタータの寿命が伸びるという効果がある。
(第7手段)本発明の第7手段は、請求項7記載のスタータである。
【0020】本手段では、ヨークの外周面に放熱フィンか放熱グルーヴが形成されており、ヨークの表面積が増して自然空冷の放熱面積も増大しているので、ヨーク外周面からの放熱が良好となり、いっそう優れた過熱防止作用が発揮される。また、放熱フィンか放熱グルーヴがヨークの外周面の滑り止めになるので、片手でヨーク外周面をつかんでハンドリング(取扱い)することができる。それゆえ、スタータを組み立てる際やスタータをエンジン付近に据えつける際に、作業員が片手でヨーク外周をつかみ、もう一方の手で工具を持って作業ができるので、作業効率が向上するうえに、誤って取り落とす危険も減る。
【0021】したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、いっそう優れた過熱防止効果が発揮されるばかりでなく、ハンドリングが容易になり工数低減に貢献することができるという効果もある。
(第8手段)本発明の第8手段は、請求項8記載のスタータである。
【0022】本手段では、複数個ある突出部のうちいくつかの溝状の凹みに、スルーボルトが通されている。スルーボルト(通しボルト)は、ヨークを挟んでモータ後蓋とハウジングとを締結するなどの目的でヨークに沿って配設されているボルトであるが、通常はヨークの外側を通っている。しかし、本手段ではスルーボルトがヨーク内を通って配設されており、ヨークの外側に露出していないので、スタータをさらに小型化することができる。それゆえ、スタータがエンジンルーム内でボディや他の機器と空間的に干渉し、設計や製造および整備が難しくなったりする度合いが軽減される。また、スルーボルトが露出していないので、スタータの表面形状が単純になり、錆止めなどの表面処理が容易になるという効果もある。
【0023】したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、スタータの小型化がいっそう進むという効果があり、さらに、表面処理が容易になって製造コストの低減にもなるという効果がある。
(第9手段)本発明の第9手段は、請求項9記載のスタータである。
【0024】本手段では、エアフィルタがピニオンを覆うハウジング内の空間からモータの風路までの間に設けられており、同フィルタの作用でリングギヤの方からの空気流に含まれる微粒子などの汚染物質は漉し取られる。フィルタの種類や目の粗さおよび形状などは、リングギヤの方からの空気流に含まれる汚染物質のうち、モータ内への流入が有害である物質に応じて適宜選択してよい。それゆえ、モータへの不純物の流入が防止され、界磁コイルや回転子(過熱を嫌う)および整流子(接触不良を嫌う)などが汚染されて起きる不具合は未然に防止される。
【0025】したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、リングギヤの方からの空気流に伴って汚染物質がモータに侵入することが防止され、スタータの信頼性が向上するという効果がある。
(第10手段)本発明の第10手段は、請求項10記載のスタータである。
【0026】本手段では、モータの軸出力を減速してピニオンに伝達する減速機を備えており、この減速機にはピニオンを覆うハウジング内の空間からモータの内部空間へ連通する空気流路が形成されている。モータの内部空間は、例えば固定子の互いに隣り合う界磁磁極の間の間隙を通して、ハウジングに接合されている一端から後蓋に覆われている他端へと連通している。そしてこの後蓋には、周囲の外部空間へ連通する排出孔が形成されている。
【0027】それゆえ、本手段では、リングギヤの方からハウジングに吹き込んだ空気が、先ず空気流路を通って減速機を通過し、次にモータの一端から他端へ連通する内部空間を通って後蓋に達し、その排出孔から外部空間へ吹き抜ける。すなわち、風圧が生じるリングギヤのケーシング内から、ハウジングの開口部、減速機の空気流路、モータの内部空間、および後蓋の排出孔を順に通って、スタータ内部を吹き抜ける風路(空気の流路)が形成されている。
【0028】スタータ内の風路を吹き抜ける空気流は、ハウジング、減速機、モータおよび後蓋の順に吹き抜けるので、最も高温になるモータばかりでなく、ハウジングや減速機の強制空冷も併せて行われている。また、整流子やブレーキ(回転子制動用)は後蓋内に装置されることが多いが、後蓋に排出孔が設けられているので、整流子やブレーキの周囲にも空気流が及んで効果的に冷却される。
【0029】空気がモータ内の風路を吹き抜ける際、風路に面する界磁コイルやヨーク内周面、固定磁極鉄芯および回転子(アーマチュア)が強制空冷される。さらに、モータ内部空間のほとんど全てで、加熱された空気が換気され、比較的温度が低い空気に交換される。わけても、界磁コイルは発熱量が大きく過熱しがちであったが、界磁コイルの外周面のほとんどが風路に面していて冷却が良いので、エンジン始動後の熱伝導による過熱不具合はほぼ完全に防止される。
【0030】しかも、この強制冷却作用は、スタータまたはそのモータが回転していることを必要とはしないので、エンジン始動後に慣性で回りつづけるスタータを公知のブレーキ等で停止させても不都合がない。それゆえ、再始動にも都合がよく、スタータの寿命も長くなる。したがって、本手段によれば、小型高出力化したモータを備えていながら、モータの内部で強制空冷による冷却が良好で、過熱による不具合を起こしにくいスタータを提供することができるという効果がある。
【0031】また、整流子を有するモータであれば、ブラシおよび整流子の摩耗粉のうち大半は空気流に乗ってモータから排出されてしまう。それゆえ、モータ内に摩耗粉が溜まって不具合につながることが少なくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。さらに、風路だけではなくスタータの内部空間全体で換気がよくなるので、スタータの冷却後に内部空間に高湿な空気が籠もって凝結水を生じることがなくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明のスタータの実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例等で明確かつ充分に説明する。
〔実施例1〕
(実施例1の全体構成)本発明の実施例1としてのスタータは、図1に示すように、エンジン(図略)のリングギヤRと嵌合するピニオン51と、ピニオン51を軸支しているハウジング6と、ハウジング6内に保持されている遊星減速機4と、ハウジング6に前端が接合されているモータ1とを備えている。同図中では、左方を前方、右方を後方とする。
【0033】本スタータは、ハウジング6の前端面61をリングギヤRを覆っているケーシング(図略)に嵌合させ、ボルト締めにより同ケーシングに接合固定される。ピニオン51は、始動時にはオーバランニング・クラッチ52を含むピニオン移動体5ごとピニオン駆動軸45のスプラインに沿って前方へ移動し、モータ1により遊星減速機4を介して回転駆動される。後退している位置でのピニオン移動体5とハウジング6との間には、所定の間隙gが空いていて空気の流通が可能になっている。遊星減速機4は、ハウジング6に固定されているインタナルギヤ43と、遊星ギヤ軸47を介してピニオン駆動軸45のフランジ部46に軸支されている複数の遊星ギヤ42と、モータ軸21の先端部に形成されているサンギヤ41とを主要構成要素としている。
【0034】モータ100は、大きく分けて固定子(ステータ)1と回転子(アーマチュア)2と後蓋(バックキャップ)3とから構成されている。ハウジング6の後端部62とヨーク11の前端部とは嵌合して互いに接合しており、図示しないスルーボルトで固定されている。ハウジング6とヨーク11との接合部の内部には、中央に貫通孔が開いているエンドプレート15が配設されており、遊星減速機4とモータ100とを隔離している。
【0035】固定子1は、軟磁性体からなるヨーク11とヨーク11の内周面12に接合固定されている複数の界磁磁極14とからなり、界磁磁極14はさらに、固定子鉄芯と同鉄芯の周囲に巻かれている界磁コイルから構成されている。回転子2は、回転軸であるモータ軸21と、その外周面に固定されているコア(回転子鉄芯)22と、コア22の外周部に保持されている回転子巻線(アーマチュア・コイル)23と、回転子2の後部を形成している整流子24とからなる。回転子2は、モータ軸21の前端部で、出力軸であるピニオン駆動軸45の後端部の孔内の軸受けに軸支されており、モータ軸21の後端部で、後蓋が保持している軸受け30に回転自在に軸支されている。回転子2は、固定子1の界磁磁極14との間に生じる磁気力により回転トルクを得る。
【0036】後蓋3は、その前端部でヨーク11の後端部と嵌合し、ヨーク11の筒状部の後端開口を閉塞しており、モータ1の後端で内部空間を(排出孔33を除いて)封止している。後蓋3は、中央部で軸受け30を保持しているとともに、複数の整流ブラシ31を保持しており、各ブラシ31を整流子24の整流面に所定の押圧力で当接させている。各ブラシ31は、それぞれ端子32に導通しており、各端子32を介して始動用回路に接続される。
【0037】(実施例1の突出部と風路)ヨーク11には、図2に示すように、回転子2のモータ軸21に平行な方向に突出部11Aが形成されている。突出部11Aは、ヨーク11の内周面12では溝状の窪みである溝11aを形成しており、ヨーク11の外周面13では凸条11bを形成している。突出部11Aは、四個ある界磁磁極14の間の部分の四箇所に形成されており、ヨーク11のおおむね全周にわたって配設されている。
【0038】突出部11Aは、互いに隣り合う界磁磁極14の間に形成されている内部空間に溝11aが形成するを付加し、ヨーク11の内側にモータ100の前端から後端へ空気が流れる風路Dをより広く形成している。再び図1に示すように、ハウジング6のヨーク11との接合部には、ヨーク11の突出部11Aに対応する形状の突出部6Aが形成されており、ハウジング6の突出部6Aの内周面は遊星減速機4の周囲に風路Dを形成している。すなわち、遊星減速機4とハウジング6との間には所定の断面積の隙間である風路Dが形成されていて、ヨーク11の風路Dと連通している。同様に、ハウジング6と後蓋3との接合部には、ヨーク11の突出部11Aに対応する形状の突出部3Aが形成されており、後蓋3の内部空間に連通している。後蓋3の下端部には排出孔33が形成されており、後蓋3の内部空間は排出孔33を通じて外部空間と連通している。
【0039】また、ハウジング6の内部では、リングギヤRに対向しているハウジング開口部60からピニオン移動体5の周囲を通り、ドライブレバー7を格納している内部空間を通って前述の風路Dに至るまで、空気流路が連通している。それゆえ、ハウジング開口部60からハウジング6内を通り、遊星減速機4の周囲とヨーク11内側との風路Dを通過して、後蓋3の排出孔33から外部へ通じる空気流路が形成されている。
【0040】(実施例1の作用効果)本実施例のスタータは、以上のように構成されているので、次のようないくつかの作用効果を発揮する。第1に、ヨーク11の四箇所の突出部11Aが回転子2のモータ軸21に平行な方向に形成されており、突出部11Aにより、ヨーク11の内側にモータ100の前端から後端へ空気が流れる風路Dが形成されている。
【0041】いっぽう、外周にリングギヤRが形成されているフライホイールFは、エンジン(図略)の出力軸と連結されているので、エンジンが始動するとフライホイールFは回転を続け、図1中に矢印Wで示すように、周囲の空気を粘性で巻き込んで遠心方向へと風Wを吹きつける。ハウジング6は、ピニオン51の周囲でケーシング(図略)に対して開口しているが、その開口部60はリングギヤRの外周付近に位置しているので、フライホイールFからハウジング6の中に風Wが吹き込み、風圧を生じる。
【0042】それゆえ、フライホイールFが起こす風Wは、空気流Aとなってハウジング6に流入し、ピニオン移動体5の周囲の隙間gを抜けて遊星減速機4に達する。遊星減速機4の周囲には、ハウジング6の突出部6Aにより風路Dが形成されているので、空気流Aは風路Dを通ってハウジング6に前端部が接合されているモータ100に流入する。モータ100のヨーク11にも突出部11Aが形成されており、突出部11Aによりモータ100の前端から後端へ連通する風路Dが形成されている。したがって、モータ100に流入した空気流Aは、風路Dを前端から後端へと吹き抜け、後蓋3の下端部に形成されている排出孔33から本スタータの外部へ排出される。
【0043】空気流Aがモータ100内の風路Dを吹き抜ける際、風路Dに面する界磁磁極14やヨーク内周面12および回転子2が、空気流Aにより強制空冷される。また、風路Dはヨーク11の略全周にあたる四箇所に形成されているので、モータの全体にわたって空気が吹き抜け冷却が極めて良いうえに、一部だけが過熱する不具合が防止されている。
【0044】さらに、モータ100の内部空間のほとんど全てで、空気流Aにより加熱された空気が換気され、比較的温度が低い空気に交換される。わけても、界磁磁極14の界磁コイルは発熱量が大きくて従来は過熱しがちであったが、本実施例では界磁コイルの外周面のほとんどが風路Dに面していて冷却が良いので、エンジン始動後の熱伝導による過熱不具合はほぼ完全に防止される。
【0045】しかも、空気流Aによる強制冷却作用は、モータ100が回転していることを必要とはしないので、エンジン始動後に慣性で回りつづけるモータ100を公知のブレーキ等で停止させても不都合がない。それゆえ、再始動にも都合がよく、スタータの寿命も長くなる。したがって、本実施例のスタータによれば、遊星減速機4との併用で小型高出力化したモータ100を備えていながら、空気流Aによりモータ100内部の冷却が良好で、過熱による不具合が起こりにくくなっていうという効果がある。
【0046】また、ブラシ31および整流子24から摩耗粉が生じても、その大半は空気流Aに乗ってモータ100から排出されてしまう。それゆえ、モータ100内に摩耗粉が溜まって不具合につながることが少なくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。さらに、風路Dだけではなく本スタータの内部空間全体で換気がよくなっているので、冷却後にスタータ内部に高湿な空気が籠もって凝結水を生じることがなくなり、スタータの信頼性が向上して寿命が伸びるという効果もある。
【0047】第2に、本実施例のスタータでは、界磁磁極14の間の部分に風路Dが形成されており、風路Dの断面積(流路面積)が大きくなって流路抵抗が減少し、より大きな風量が得られる。さらに、界磁磁極14の側面や回転子2の外周面に風路Dが接しているので、ジュール熱による発熱部を直接冷却することができ、過熱防止効果は極めて高い。また、摩耗粉の大半は空気流Aによって、排出孔33から外部に排出され、界磁磁極14の間に落ちた摩耗粉のうち重いものだけが突出部11Aや突出部3Aの溝に溜まる。
【0048】したがって、摩耗粉が堆積しにくいだけではなく、仮に摩耗粉の堆積が大量になっても整流子24から遠ざけておくことができるので、摩耗粉の堆積による不具合が起きにくいという効果がある。
(実施例1の排出孔とその作用効果)前述の排出孔33は、再び図1に示すように、後蓋3が形成している内部空間のうち本スタータが使用される姿勢で重力に対して下端部分に開口しており、風路Dの断面積の半分以上の流路面積を持っている。
【0049】排出孔33は、図3(a)〜(b)に示すように、射出成形樹脂部材からなる排出筒34によって形成されており、排出筒34は、後蓋3の周壁の下端部に垂直に貫通している貫通孔に一部が挿入されて固定されている。排出筒34は、後蓋3の内周面には左右方向の張り出し部35が突出しているのみで、前後方向には後蓋3の内周面よりもむしろ下方に縁36が形成されている。すなわち、排出孔33に隣接する排出筒34の内周面は、排出孔33の左右で排出孔33に向かって下りの斜面を形成しており、また、排出孔33の前後では縁36から障害なしに排出孔33に落ち込む斜面が形成されており、微粒子や液滴の移動を阻害する凹凸がない。
【0050】それゆえ、空気流Aによって吹き寄せられた微粒子や液滴、整流子付近で発生した摩耗粉などの汚染物質は、排出孔33の開口付近を遅滞なく通過して排出孔33に吸い込まれる。吸い込まれた汚染物質は、排出筒34の前後の開口から空気流Aとともにモータ100の外部に自然に排出されるので、汚染物質の排出がより効果的に行われるという効果がある。
【0051】また、排出孔33の流路面積(最狭部での断面積)は、風路Dの最狭部での断面積の半分以上に確保されているので、排出孔33の流路抵抗が過大になってモータ100内の空気流Aが阻害されるという不都合がない。したがって、排出孔33で空気流Aの流量や流速が制限されてしまうことが少なく、汚染物質の排出やモータの冷却がより効果的に行われるという効果がある。
【0052】(実施例1の変形態様1)前述の実施例1のスタータに対し、図4に示すように、ヨーク11を挟んで後蓋3とハウジング6とを締結しているスルーボルト8を、突出部11Aが形成する溝11aに通している変形態様が可能である。すなわち、本変形態様のスタータでは、実施例1と同様に、ヨーク11には突出部11Aが四箇所、周方向に90°づつ離して形成されている。そのうち対向する二つの溝11aには、モータ軸21と平行に貫通しているスルーボルト8が半分埋まる状態で配設されている。スルーボルト8と溝11aとの間には、適当な間隔が設けられていて、工作精度上の余裕が取ってある。
【0053】従来の通常のスタータでは、スルーボルトはヨークの外側を通っているが、本変形態様ではスルーボルト8がヨーク11内を通って配設されており、ヨーク11の外側に露出していないので、スタータの外形寸法をさらに小型化することができる。それゆえ、本変形態様によれば、スタータがエンジンルーム内でボディや他の機器と空間的に干渉し、設計や製造および整備が難しくなったりする度合いが軽減される。また、スルーボルト8が露出していないので、スタータの表面形状が単純かつ滑らかになり、錆止めなどの表面処理が容易になるという効果もある。その結果、車両等の設計段階でもスタータ製造の表面処理工程でも工数が削減され、コスト低減になるという効果まで生じる。
【0054】(実施例1の変形態様2)前述の実施例1のスタータのヨーク11は四方に突出部11Aが形成されていたが、下部の突出部11Aを形成せずに円筒状の形状でヨーク11の下部を形成した変形態様が可能である。本変形態様のスタータのヨーク11には、図5に示すように、実施例1と同様の突出部11Aが、上部にのみ直上方から周方向に45°づつ離れた2か所で形成されている。すなわち、二つの突出部11Aはいずれも、ヨーク11の全周のうち本スタータが使用される姿勢で重力に対し直上方向から半頂角45°の位置に形成されている。
【0055】本変形態様のスタータでは、ヨーク11の直上方向から半頂角45°の位置に突出部11Aがあるので、ヨーク11の内部空間のうち風路Dと接する上部では特に良好な換気が得られる。一般に、モータ100の界磁磁極14の界磁コイルやアーマチャコイル23などで熱せられた空気は、モータ100の停止後には対流で上昇するのでヨーク11の内部空間の上部に溜まりやすい。本変形態様では、モータ100の内部空間の上部での換気が特に良いので、熱い空気は速やかに排出されて比較的冷たい空気と換気され、モータ100の過熱は効果的に防止される。
【0056】なお、突出部11Aがない部分でも互いに隣り合う界磁磁極14の間の内部空間Iは、固定子1の前端から後端まで連通しているが、必ずしもハウジング6の突出部6Aと連通している訳ではない。この内部空間Iには、主に固定子1と回転子2との隙間を通して風路Dから漏れ出てきた空気流Aが流入し、内部空間Iの熱した空気が換気されて冷却効果が得られる。
【0057】したがって、本変形態様のスタータによっても、ヨーク11の内部空間の上部において効果的に熱した空気の換気ができ、二つの突出部11Aであってもモータ100の過熱を防止する効果を比較的高いままに保つことができる。
(実施例1の変形態様3)図6に示すように、前述の実施例1とは異なり、ヨーク11の下部に凸条11bが二つ平行に並んで一つの突出部11Bを形成している変形態様の実施も可能である。本変形態様では、突出部11Bは、ヨーク11の互いに隣り合う界磁磁極14の間の部分に形成されており、本スタータが使用される姿勢で重力に対し直下方向に形成されている。すなわち、ヨーク11の内周面12のうち直下部に溝11aが形成されている。
【0058】従来のモータの内部には、整流子や軸受け等で発生する摩耗粉や、モータの外部から侵入する塵埃や油水などが堆積し、整流子に接触して接触不良や短絡などの不具合を起こすことがある。しかし、本変形態様では堆積物がヨーク11の直下部に形成されている溝11aに落ちるので、相当量が堆積しないかぎり上記不具合は発生しない。さらに、溝11aは風路Dの壁面を形成していて、溝11a内での空気の流速が速いので、比較的軽い粒子は堆積せずに空気とともに排出されてしまい、かなり重い粒子しか堆積することはない。
【0059】したがって、本変形態様によれば、モータ100内の堆積物による不具合がより有効に防止され、その結果、スタータの寿命がいっそう伸びるという効果がある。
(実施例1の変形態様4)図7に示すように、前述の実施例1のスタータのヨーク11の外周面13に、溝状に凹んでいる放熱グルーヴ11gが形成されている変形態様も可能である。放熱グルーヴ11gは、突出部11Aを除くヨーク11の外周面13のほぼ全周に所定の間隔を空けて、モータ軸21と平行に多数形成されている。
【0060】本変形態様のスタータでは、放熱グルーヴ11gの形成によりヨーク11の外周面13の表面積が増し、自然空冷の放熱面積も増大しているので、ヨーク外周面13からの放熱が良好となり、いっそう優れた過熱防止作用が発揮される。また、放熱グルーヴ11gがヨーク11の外周面13の滑り止めになるので、片手でヨーク外周面13をつかんでハンドリング(取扱い)することができる。それゆえ、本スタータを組み立てる際や本スタータをエンジン付近に据えつける際に、作業員が片手でヨーク外周面13をつかみ、もう一方の手で工具を持って作業ができるので、作業効率が向上するうえ、誤って取り落とす危険も減る。
【0061】したがって、本変形態様によれば、前述の実施例1の効果に加えて、いっそう優れた過熱防止効果が発揮されるばかりでなく、ハンドリングが容易になり工数低減に貢献することができるという効果もある。なお、ヨーク11の外周面13に放熱グルーヴ11gを形成する方法としては、ダイス型でしごき加工するなどの簡便な方法を取ることができる。
【0062】(実施例1の変形態様5)図8に示すように、前述の実施例1のスタータのヨーク11の外周面13に、突出している放熱フィン11fが形成されている変形態様も可能である。放熱フィン11fは、突出部11Aを除くヨーク11の外周面13のほぼ全周に所定の間隔を空けて、モータ軸21と平行に多数形成されている。
【0063】本変形態様のスタータでは、放熱フィン11fの形成によりヨーク11の外周面13の表面積が増し、自然空冷の放熱面積も増大しているので、ヨーク外周面13からの放熱が良好となり、いっそう優れた過熱防止作用が発揮される。また、放熱フィン11fがヨーク11の外周面13の滑り止めになるので、片手でヨーク外周面13をつかんでハンドリング(取扱い)することができる。それゆえ、本スタータを組み立てる際や本スタータをエンジン付近に据えつける際に、作業員が片手でヨーク外周面13をつかみ、もう一方の手で工具を持って作業ができるので、作業効率が向上するうえ、誤って取り落とす危険も減る。
【0064】したがって、本変形態様によれば、前述の変形態様4と同様の効果に加えて、放熱グルーヴ11gによるヨーク11の磁気回路の狭隘部の形成が避けられ、モータ100のエネルギ損失が少なくなるという効果がある。
(実施例1の変形態様6)図9に示すように、実施例1と同様の突出部11Aに加えて、固定子1の界磁磁極14とヨーク11との間(接合部)にも突出部11Cによる補助風路D’が形成されている変形態様が可能である。図示しないが、ハウジング6および後蓋3にも、ヨーク11の突出部11Aに対応する突出部6A,3Aだけではなく、補助風路D’を形成している突出部11Cに対応する突出部6C,3Cが形成されている。
【0065】それゆえ、ハウジング6の内部空間と後蓋3の内部空間とは、風路Dおよび補助風路D’によって連通しており、補助風路D’を形成している界磁磁極14のヨーク11との接合部でも、強制空冷作用が得られる。したがって、本変形態様のスタータによれば、よりいっそう優れた冷却効果があり、その結果、スタータの小型高出力化に貢献することができるという効果がある。
【0066】(実施例1の変形態様7)図10に示すように、ヨーク11の全周にわたってほとんど隙間なく多数の突出部11Cが形成されている変形態様も可能である。本変形態様では、突出部11Cによって、互いに隣り合う界磁磁極14の間には風路Dが形成され、界磁磁極14とヨーク11との間には補助風路D’が形成されている。図示しないが、ハウジング6および後蓋3にも、ヨーク11の突出部11Cにそれぞれ対応する突出部6C,3Cが形成されている。また、ヨーク11の外周面13の表面積は飛躍的に増大しているので、ヨーク外周面13からの放熱作用はかなり強化されている。
【0067】それゆえ、ハウジング6の内部空間と後蓋3の内部空間とは風路Dおよび補助風路D’によって連通しており、強力な強制空冷作用が得られうえ、ヨーク外周面13からの放熱作用もかなり強化されている。したがって、本変形態様のスタータによれば、よりいっそう優れた冷却効果があり、その結果、スタータの小型高出力化に貢献することができるという効果がある。
【0068】(実施例1の変形態様8)実施例1のスタータでは、再び図1に示すように、ハウジング6の突出部6Aと遊星減速機4との間に風路Dが形成されている。そこで、図11に示すように、風路Dの入口にあたる部分に、遊星減速機4のインタナルギヤ43の前端面に沿って略リング状のエアフィルタ9を設けた変形態様が可能である。エアフィルタ9の濾紙は、周方向に山折谷折を繰り返して濾紙面積を稼ぎ、エアフィルタ9が流路面積を著しく狭めることがないように配慮されている。
【0069】それゆえ、エアフィルタ9の作用でリングギヤRの方からの空気流Aに含まれる微粒子などの汚染物質は漉し取られ、モータ100に浸入することは防止されている。ここで、エアフィルタ9の濾紙(材質は紙とは限らない)の種類や目の粗さおよび形状などは、リングギヤRの方からの空気流Aに含まれる汚染物質のうち、モータ100内への流入が有害である物質に応じて選定される。
【0070】したがって、本変形態様によれば、モータ100への不純物の流入が防止され、界磁磁極14および回転子2(過熱を嫌う)や整流子24(接触不良を嫌う)などが汚染されて起きる不具合は未然に防止される。その結果、実施例1の効果に加えて、スタータの信頼性が向上するという効果が生じる。
(実施例1の変形態様9)実施例1では、遊星減速機4を採用してるが、実施例1の突出部11Aによる風路を持ち、他の形式の減速機をつけている変形態様や、あるいは減速機無しの変形態様も可能である。これらの変形態様によっても、ほぼ実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0071】(実施例1の変形態様10)図1では略されていたが、実施例1のスタータはドライブレバー7を駆動するマグネットスイッチをモータ100に平行に備えている。マグネットスイッチの過熱が問題になることは比較的少ないので、実施例1はマグネットスイッチに風路Dを通していないが、必要があればマグネットスイッチにも別の風路を通して冷却作用を向上させた変形態様も可能である。
【0072】マグネットスイッチの風路は、プルイン・コイルおよびホールド・コイルの外周面とマグネットスイッチのケースとの間に形成される。同風路には、ハウジング6の内部空間からの空気流が導入され、両コイルを冷却しつつ同風路を吹き抜けた空気流は、マグネットスイッチの後端付近に形成されている排出孔から排気される。
【0073】本変形態様によれば、マグネットスイッチの過熱とそれに伴う不具合とを防止することができるという効果がある。
〔実施例2〕
(実施例2の構成)本発明の実施例2としてのスタータは、図12に示すように、ピニオン移動体5と、遊星減速機4’と、両者5,4’を格納しているハウジング6’と、モータ100’と、マグネットスイッチ(図略)とから構成されている。本実施例のスタータが構成上で前述の実施例1と異なっている点は、モータ100’のヨーク11’および後蓋3とハウジング6’とに、それぞれ突出部11A,3A,6Aが形成されていない点だけで、その他は実施例1と同様である。
【0074】すなわち、図13に示すように、遊星減速機4’のインタナルギヤ43’の外周部には全周にわたって、ハウジング6’の内周面に当接している外周面43aと、前後方向に伸びる多数の風路溝43bとが形成されている。風路溝43bは、再び図12に示すように、ハウジング6の内周面との間にそれぞれ風路D”を形成している。風路D”により、遊星減速機4’の外周部は全周にわたって前後に連通している。なお、エンドプレート15’の外周部には、インタナルギヤ43’の風路溝43bに対応する切欠部が形成されており、エンドプレート15によって風路D”が塞がれることはない。
【0075】それゆえ、ハウジング6の内部には、ピニオン移動体5を格納しているハウジング6’の内部空間からモータ100’の内部空間まで連通している空気流路(風路D”)が形成されている。モータ100’において、ヨーク11’はパイプ材ままの形状であり、実施例1と異なって突出部11Aは無いが、互いに隣り合う界磁磁極14の間の内部空間に風路D”が形成されている。すなわち、モータ100’は、前端から後端へ連通する内部空間である風路D”を形成しており、かつ、その内部空間の後端を覆う後蓋3’を備えている。後蓋3’には、実施例1と同様に、周囲の外部空間へ連通する排出孔34が形成されている。
【0076】したがって、本実施例のスタータには、フライホイールFを覆うケーシング(図略)から吹き込んだ空気流Aが、ハウジング6’およびモータ100’の内部の空気流路および内部空間を通って排出孔33から外部空間へ吹き抜けることができる風路D”が形成されている。
(実施例2の作用効果)本実施例のスタータは以上のように構成されているので、リングギヤRの方からハウジング6’に吹き込んだ空気流Aは、先ずインタナルギヤ43の外周部に形成されている風路D”を通って遊星減速機4’を通過する。同空気流Aは、次にモータ100’の前端から後端へ連通する内部空間である風路D”を通って後蓋3’の内部空間に達し、後蓋3’の排出孔33から外部空間へ吹き抜ける。すなわち、風圧が生じるリングギヤRのケーシング(図略)内から、ハウジング6’の開口部60、遊星減速機4’の周囲の風路D”、モータ100’の内部空間である風路D”、および後蓋3”の排出孔33を順に通って、本スタータ内部を吹き抜ける空気流Aの流路が形成されている。
【0077】本スタータ内の風路D”を吹き抜ける空気流Aは、ハウジング6”、遊星減速機4’、モータ100’および後蓋3’の順に吹き抜けるので、最も高温になるモータ100’ばかりでなく、ハウジング6’や遊星減速機4’の強制空冷も併せて行われている。また、整流子24や回転子制動用のブレーキ(図略)は後蓋3’内に装置されることが多いが、後蓋3’に排出孔33が設けられているので、整流子24やブレーキの周囲にも空気流Aが及んで効果的に冷却される。
【0078】その結果、本実施例のスタータによれば、前述の実施例1と同様の効果が発揮されるうえ、ヨーク11’に突出部11Aを設けて磁気回路を曲げる必要がないので、製造コストの低減と動力変換効率の改善とが得られるという効果がある。さらに、ヨーク11’にもハウジング6’にも後蓋3’にも突出部11A,6A,3Aを設けることなく風路D”が形成されているので、スタータの小型軽量化をいっそう進めることができるという効果がある。
【0079】(実施例2の変形態様1)本実施例のスタータに対しても、互いに隣り合う界磁磁極14の間にスルーボルトを通すことにより、実施例1の変形態様1に相当する変形態様が可能である。本変形態様によれば、実施例1の変形態様1以上にスタータを小型化することができるという効果がある。
【0080】(実施例2の変形態様2)本実施例のスタータに対しても、実施例1の変形態様4(図7の放熱グルーヴ11g)および変形態様5(図8の放熱フィン11f)に相当する変形態様が可能である。本変形態様によっても、実施例1の変形態様4,5の効果に相当する効果が得られる。
【0081】(実施例2のその他の変形態様)本実施例のスタータに対しては、その他にも実施例1の変形態様8〜10に相当する変形態様が可能であり、相当する作用効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成8年(1996)6月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開平9−329073
【公開日】 平成9年(1997)12月22日
【出願番号】 特願平8−152248