トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 エンジン用始動装置の水抜き構造
【発明者】 【氏名】石川 勝彦

【氏名】木村 実

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータにより駆動されるピニオンギアと、エンジン始動スイッチ信号により作動するソレノイドと、前記ソレノイドの作動により前記ピニオンギアをエンジンのリングギアに噛み合わせる向きに変位させるためのシフト機構とを有するエンジン用始動装置であって、前記シフト手段を受容するシフト室内へ浸入した水を排出するべく、前記シフト室を形成するシフト室ケーシングの前記組み付け状態での最下部に水抜き孔を設けると共に、前記ソレノイド内への浸水を防止するべく前記ソレノイドのプランジャに取り付けたエラストマ製プランジャカバーに、前記シフト室内の増圧時に前記水抜き孔を開弁するように一方向弁を一体成形したことを特徴とするエンジン用始動装置の水抜き構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン用始動装置への外部からの浸水を好適に排水するためのエンジン用始動装置の水抜き構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンを始動させるための始動装置としてのスタータには種々のものがあり、例えば遊星歯車装置からなる減速機を介して直流電動機により駆動される一方向クラッチにピニオンギアを一体的に設け、エンジン始動スイッチ信号により作動するソレノイドにより、シフト機構を介して、ピニオンギアを変位させてリングギアに噛み合わせ、エンジンの始動を行うようにしたものがある。
【0003】上記したようなスタータにあっては、リングギアを覆うハウジング内への外部からの浸水や、エンジン停止による冷却時におけるスタータのケーシング内の負圧発生により水を吸い込んでしまうことを避けることができないため、スタータのケーシングに水抜き孔を設けている。例えば、リングギアから見て、ピニオンギア、及びシフト機構を受容するシフト室ケーシングを介して、モータ及びソレノイドが配設されており、リングギア側からの浸水を好適に排出するために、シフト室ケーシングに水抜き孔を設けるなどしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スタータのエンジンへの取付状態でソレノイドが下側に位置する場合があり、そのような構造のものでは、ソレノイドに対する防水を考慮する必要がある。しかしながら、ソレノイドにあっては、プランジャが往復運動を行うものであり、その防水対策が難しいという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決して、外部からの浸水を好適に防止することを実現するために、本発明に於いては、モータにより駆動されるピニオンギアと、エンジン始動スイッチ信号により作動するソレノイドと、前記ソレノイドの作動により前記ピニオンギアをエンジンのリングギアに噛み合わせる向きに変位させるためのシフト機構とを有するエンジン用始動装置であって、前記シフト手段を受容するシフト室内へ浸入した水を排出するべく、前記シフト室を形成するシフト室ケーシングの前記組み付け状態での最下部に水抜き孔を設けると共に、前記ソレノイド内への浸水を防止するべく前記ソレノイドのプランジャに取り付けたエラストマ製プランジャカバーに、前記シフト室内の増圧時に前記水抜き孔を開弁するように一方向弁を一体成形したものとした。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0007】図1は、本発明が適用されたエンジン用始動装置としての減速機付スタータ1の要部を破断して全体を示す縦断面図であり、このスタータ1は、直流モータ2の回転力を、一方向クラッチを内蔵する減速歯車ユニット3を介してピニオンギア4に伝達して、エンジンの始動に必要な回転力を発生するものである。
【0008】スタータ1のケーシングとしては、図に示されるように、モータ2の端板を兼ねるケーシング5と、ケーシング5に結合されかつ減速歯車ユニット3及びピニオンギア4を受容するハウジング6とからなる。また、ケーシング5には、モータ2と平行して、ソレノイドからなるマグネットスイッチ7が結合されている。
【0009】ケーシング5内には、マグネットスイッチ7の励磁時のプランジャ8の動きに応じて、前記ピニオンギア4をエンジン側の図示されないリングギアに噛み合わせるためのシフト機構としてのシフトレバー9が設けられている。このシフトレバー9は、揺動自在にレバー中間部を枢支されていると共に、プランジャ8の先端部に係合する付勢ばね10を介してプランジャ8により駆動されるようになっている。従って、ケーシング5の一部によりシフト室が形成されている。
【0010】また、減速歯車ユニット3の一方向クラッチの図示されないクラッチインナ軸内には、同軸的かつ軸線方向に往復動自在にピニオンシフトロッド11が設けられている。そのピニオンシフトロッド11のシフト室内に臨む後端面に、シフトレバー9の一端が衝当するようになっている。なお、本スタータ1は、図に示されるように、エンジンへの取付状態でマグネットスイッチ7が最下部に位置するようになっている。
【0011】このようにして構成されたスタータ1にあっては、エンジン始動信号に応じて、モータ2が回転することによりピニオンギア4が回転すると共に、マグネットスイッチ7が励磁されてそのプランジャ8が引き込まれ、それに応じて図における反時計回りにシフトレバー9が揺動するため、そのシフトレバー9の揺動運動によりピニオンシフトロッド11が押し出されて、リングギアにピニオンギア4が回転しつつ噛み合い、リングギアに回転力が伝達され、エンジンが始動可能になる。
【0012】ところで、スタータ1が被水して、リングギア側からスタータ1内へ浸水する場合があり、その浸水した水は、さらにハウジング6内を通って、ケーシング5のシフト室内に入る場合がある。そのため、ケーシング5には、取付状態で最下部に対応する位置に水抜き孔12が開設されている。さらに、外部から水抜き孔12を介してケーシング5内に水が入ることを防止するべく、その水抜き孔12には逆止弁13が設けられている。
【0013】本図示例ではマグネットスイッチ7が水抜き孔12近傍に位置しており、上記逆止弁13は、マグネットスイッチ7のプランジャ8に取り付けられたエラストマ製プランジャカバー14に一体成形にて舌片状に形成されている。このプランジャカバー14は、往復運動するプランジャ8の外周面を伝ってマグネットスイッチ7の内部へ浸水することを防止するべく設けられたものであり、プランジャ8の中間部の周方向溝に弾発的に嵌装されたスカート状をなし、かつその裾部分に形成された外向フランジ部をケーシング5とマグネットスイッチ7のカバーとの間に挟持されて取り付けられている。なお、プランジャカバー14には、プランジャ8の往復運動によるマグネットスイッチ7内の気圧変動を防止する通気孔14aが設けられている。
【0014】この逆止弁13による防水構造を図2を併せて参照して以下に示す。前記した水抜き孔12は、ケーシング5の取付状態で最下部になる底面においてマグネットスイッチ7との接合部側にて上下に開口する落水口12aと、落水口12aと連通しかつケーシング5の上記底面の下側部分を略水平方向に延在してケーシング5の外部に開口する排水路12bとからなる。
【0015】また、前記した逆止弁13は、プランジャカバー14の裾部分の前記外向フランジ部に半径方向外向きに延出する板状に一体成形された壁体14aの中間部から斜め下向きに延出するように形成されている。また、水抜き孔12の天井部分の一部には、上記落水口12aから下向きに傾斜する斜面部12cが形成されており、その斜面部12cに逆止弁13が面で弾発的に密接し、落水口12aを全閉するようになっている。なお、壁体14aは、ケーシング5とマグネットスイッチ7のカバーとの間に挟持されており、水抜き孔12のマグネットスイッチ7側の開口面を遮蔽している。
【0016】従来例で示したように浸水や冷却時の吸い込みによる水がケーシング5内に溜まった場合には、図2の矢印に示されるように落水口12aに落ち込む。そして、その落水の自重により斜面部12cに対して逆止弁13が若干開き、その生じた隙間を介して排水路12bに落下し、外部に排出される。なお、外部から逆流しようとする水に対しては、上記したように斜面部12cに対して逆止弁13が弾発的に密着していることから、落水口12aを介してケーシング5内に水が入り込むことはない。
【0017】また、ケーシング5内の水の排出にあっては、上記自然落下に限らず、プランジャ8の往復運動によるケーシング5内の気圧の変動による増大時に逆止弁13が強制的に開弁させられ、その時に積極的に排水されることになる。
【0018】
【発明の効果】このように本発明によれば、エンジン用始動装置のエンジンへの組み付け状態でシフト室ケーシングの最下部に位置する所に水抜き孔を設け、ピニオンギア側などからの浸水を排出する一方向弁をソレノイドのプランジャカバーに一体的に形成して水抜き孔に設けたことから、始動装置内への浸水に対する排水を簡単な構造で行うことができ、特に組み付け状態で最下部にソレノイドが位置するようになっても何ら問題なく排水処理を行うことができ、最下部に配設されたソレノイドに対する防水を確実なものにし得ると共に、プランジャの往復動による増圧作用により好適に排水することができる。
【出願人】 【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
【出願日】 平成8年(1996)6月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大島 陽一
【公開番号】 特開平9−324729
【公開日】 平成9年(1997)12月16日
【出願番号】 特願平8−166847