トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 始動装置におけるガバナ装置
【発明者】 【氏名】上原 修二

【氏名】蛭間 宏

【氏名】戸屋 隆一

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 モータの駆動力を受けて回転するギア軸に、該ギア軸の回転と同方向の回転では動力続状態となって動力伝動し、逆方向の回転では動力断状態となる一方向回転クラッチをヘリカルスプライン嵌合し、ギア軸回転に伴う慣性力で先端側に前進した一方向回転クラッチに設けたピニオンの回転によりエンジン始動を行うように構成した始動装置において、該始動装置にエンジン始動時の一方向回転クラッチの戻り防止をするガバナ装置を設けるにあたり、該ガバナ装置は、ギア軸回転による遠心力を受けて径方向に移動するガバナウエイトと、該移動したガバナウエイトを遠心力の消失に伴い元位置に復帰させるための復帰弾機とを用いて構成されるものとし、前記ガバナウエイトは、軸方向に進退移動する一方向回転クラッチの基端部が出没自在に内嵌するリング状で、かつウエイト重心が径方向一方に偏芯していて、上記遠心力を受けて偏芯する径方向一方に移動したとき、反偏芯方向のウエイト部材がギア軸側に移動して一方向回転クラッチの戻り防止をする始動装置におけるガバナ装置。
【請求項2】 請求項1において、ガバナウエイトは、ギア軸と一体回転するブラケットに対して径方向摺動自在に対設され、該ブラケットには、ガバナウエイトを偏芯する径方向一方に移動案内するためのガイドが形成されている始動装置におけるガバナ装置。
【請求項3】 請求項1または2において、ガバナウエイトは、偏芯する径方向一方に重い錘部がその反対側に軽い錘部が形成されており、該軽い錘部で一方向回転クラッチの戻り防止をする構成になっている始動装置におけるガバナ装置。
【請求項4】 請求項3において、復帰弾機は、重い錘部が配される側でブラケットとガバナウエイトとのあいだに形成される弾機収容室に収容されている始動装置におけるガバナ装置。
【請求項5】 請求項4において、弾機収容室は、ガバナウエイトの重い錘部の径方向中途位置にて軸方向に突出形成された内周側面部の先端から外径方向にさらに延出形成される第一側壁部、ブラケットの第一側壁部に対向する面部である第二側壁部、前記内周側面部に対して軸回り方向両側に位置すべくブラケットに形成される第三、第四の側壁部で四方が囲繞され、前記内周側面部とブラケット外周縁から軸方向に向けて突出する外周面部とが弾機押圧面となるようにして形成されている始動装置におけるガバナ装置。
【請求項6】 請求項5において、第三、第四の側壁部は、ガバナウエイトを径方向に移動するためのガイドに兼用されている始動装置におけるガバナ装置。
【請求項7】 請求項1乃至6において、ブラケットには、ガバナウエイトの偏芯分を相殺するためのバランサーが設けられている始動装置におけるガバナ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、自動二輪車等の走行機体に装備される始動装置におけるガバナ装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種始動装置の中には、モータに連動連結されたギア軸に、該ギア軸のモータ駆動による回転と同方向の回転ではクラッチインナとクラッチアウタとが一体回転して動力伝動をし、逆方向の回転では互いに自由な相対回転をして動力伝動をしないように構成した一方向回転クラッチをヘリカルスプライン嵌合せしめ、この一方向回転クラッチを、モータ駆動に伴う慣性力でヘリカルスプラインに沿って前進させピニオンギアをエンジン側のリングギアに噛合せしめて、エンジン始動を行うようにしたものがある。そして、このような始動装置では、ガバナ装置を設けてピニオンギアの早戻りを防止、つまり一方向回転クラッチの戻り防止(後退防止)をするようにしているが、従来ガバナ装置としては、前記一方向回転クラッチの後方に設けたガバナウエイトを、一方向回転クラッチの前進回転と共に前進させ、該前進状態で遠心力を受けて外方に変位したガバナウエイトを、ガバナケースの開口縁部に形成の段差部に接当係止させることで後退できないようにする構成のものが知られている。しかるに、このものでは、ガバナウエイトが一方向回転クラッチと共に前進する構成であるため、一方向回転クラッチの重量増加となって慣性力が増大し、この結果、ピニオンギアとリングギアとの噛合い時に生じる衝撃が大きくなってしまうという問題がある。
【0003】そこで、特公平2−14547号公報、特公平3−75750号公報に示すように、一対の円弧形状のガバナウエイトをそれぞれ偏芯させた状態で枢支し、ガバナウエイトの重量の重い側の端部がギア軸の回転による遠心力を受けて外方に移動して逆側端部が内方、つまりギア軸側に移動することで一方向回転クラッチの後退を防止するようにしたものが提唱されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これらのガバナ装置は、一対のガバナウエイトをそれぞれ枢支する構成であるので、どうしても部品点数が多く、構造が複雑化し、組付け性も損なわれるという問題があり、ここに本発明が解決しようとする課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、モータの駆動力を受けて回転するギア軸に、該ギア軸の回転と同方向の回転では動力続状態となって動力伝動し、逆方向の回転では動力断状態となる一方向回転クラッチをヘリカルスプライン嵌合し、ギア軸回転に伴う慣性力で先端側に前進した一方向回転クラッチに設けたピニオンの回転によりエンジン始動を行うように構成した始動装置において、該始動装置にエンジン始動時の一方向回転クラッチの戻り防止をするガバナ装置を設けるにあたり、該ガバナ装置は、ギア軸回転による遠心力を受けて径方向に移動するガバナウエイトと、該移動したガバナウエイトを遠心力の消失に伴い元位置に復帰させるための復帰弾機とを用いて構成されるものとし、前記ガバナウエイトは、軸方向に進退移動する一方向回転クラッチの基端部が出没自在に内嵌するリング状で、かつウエイト重心が径方向一方に偏芯していて、上記遠心力を受けて偏芯する径方向一方に移動したとき、反偏芯方向のウエイト部材がギア軸側に移動して一方向回転クラッチの戻り防止をするものである。これによって、ガバナウエイトは、一方向回転クラッチの早戻りを防止するものでありながら、部品点数を削減して組付け性の良いものとすることができる。このものにおいて、本発明は、ガバナウエイトは、ギア軸と一体回転するブラケットに対して径方向摺動自在に対設され、該ブラケットには、ガバナウエイトを偏芯する径方向一方に移動案内するためのガイドが形成されているものとすることができる。またこのものにおいて、本発明は、ガバナウエイトは、偏芯する径方向一方に重い錘部がその反対側に軽い錘部が形成されており、該軽い錘部で一方向回転クラッチの戻り防止をする構成とすることができ、これによってガバナウエイトの重心を偏芯させることができる。さらにこのものにおいて、本発明は、復帰弾機は、重い錘部が配される側でブラケットとガバナウエイトとのあいだに形成される弾機収容室に収容することができ、構造の簡略化を図ることができる。そしてこのものにおいて、弾機収容室は、ガバナウエイトの重い錘部の径方向中途位置にて軸方向に突出形成された内周側面部の先端から外径方向にさらに延出形成される第一側壁部、ブラケットの第一側壁部に対向する面部である第二側壁部、前記内周側面部に対して軸回り方向両側に位置すべくブラケットに形成される第三、第四の側壁部で四方が囲繞され、前記内周側面部とブラケット外周縁から軸方向に向けて突出する外周面部とが弾機押圧面となるようにして形成することができる。これによって、ガバナウエイトおよびブラケットをプレス等の機械加工により形成することができて、部品点数の削減を図ることができる。またこのものにおいて、本発明は、第三、第四の側壁部は、ガバナウエイトを径方向に移動するためのガイドに兼用されることができる。さらにこのものにおいて、ブラケットには、ガバナウエイトの偏芯分を相殺するためのバランサーが設けられているものであり、これによって、高速回転時のバランスを確保できる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の第一の実施の形態を図1〜5の図面に基づいて説明する。図面において、1は始動装置(スタータモータ)であって、該始動装置1は、モータ部1aからの回転力が、ギア軸2に一体取付されたドリブンギア3を介してギア軸2に動力伝動される構成となっており、モータ部1aの回転に伴いギア軸2の回転がなされる設定であるが、前記ギア軸2にはヘリカルスプライン2aが刻設され、該ヘリカルスプライン2aに一方向回転クラッチ4がヘリカルスプライン嵌合されている。
【0007】ここで、前記一方向回転クラッチ4は、前記ヘリカルスプライン嵌合するクラッチインナ5と、外周にピニオンギア6が一体形成されるクラッチアウタ7と、これらクラッチインナ5とクラッチアウタ7とのあいだに介装されるクラッチローラ8等の各種部材装置によって構成されており、そうして、前記モータ部1aの駆動に伴い回転するギア軸2の回転方向と同方向の回転については、クラッチローラ8がクラッチインナ5とクラッチアウタ7とのあいだに緊締状に食い込むことでクラッチインナ5とクラッチアウタ7とが一体回転する動力続状態になる。これに対し、逆方向の回転では、クラッチローラ8が遊転してクラッチインナ5とクラッチアウタ7とが互いに自由な相対回転をする動力断状態となるように設定されている。
【0008】さらに、前記一方向回転クラッチ4は、該クラッチ用の復帰弾機9によって後述するケーシング12の筒底面12aに当接する後退位置に位置しており、この状態ではピニオンギア6はエンジン側のリングギア10から離間した非噛合状態になっている。そしてこの状態からモータ部1aの駆動に伴いギア軸2が回転した場合に、一方向回転クラッチ4は慣性力によって復帰弾機9に抗してヘリカルスプライン2aに沿って前進してピニオンギア6がリングギア10に噛合する前進位置まで移動し、この状態で一方向回転クラッチ4がギア軸2と一体回転することになってエンジン始動が行われる。その後、モータ部1aの駆動停止をすると、一方向回転クラッチ4は、リングギア10の回転力および復帰弾機9の付勢力を受けて後退位置に復帰する方向に移動するようになっていること等は何れも従来通りである。
【0009】11はガバナ装置であって、該ガバナ装置11を構成する有底筒状のケーシング(ブラケット)12は、その筒底面12aがドリブンギア3の前面に一体的に設けられていて、ギア軸2と共に一体回転するように設定されている。そして、このケーシング筒底面12aにガバナウエイト13が径方向に移動自在に収納されることになるが、ガバナウエイト13は中央部に嵌合孔13aが穿設されたリング状で、該嵌合孔13aの内径Aは、前記クラッチインナ5の基端部(後端部)5aの外径Bよりも大径(A>B)になっていて出没自在に内嵌できる設定になっている。ガバナウエイト13は、図3に示されるように、軸心Oを通る任意の中心線Mを中心とした線対称になっているが、中心線Mの一方側に第一錘部13bが、他方側に第二錘部13cがそれぞれ軸回り方向に長い円弧形をし、一方向回転クラッチ4側に向けて突出している。そして、一方向回転クラッチ4が後退位置に位置するときには、クラッチインナ基端部5aがこれら錘部13b、13cにオーバーラップする状態で嵌合孔13aに内嵌しているが、前進位置に位置するときには、クラッチインナ基端部5aはこれら錘部13b、13cの突出端よりも先端側に位置してオーバーラップのない設定になっている。さらにこれら錘部13b、13cは、第一錘部13bの方が第二錘部13cよりも重く設定されていてガバナウエイト13の重心が第一錘部13b側に偏芯する設定になっている。さらに、ガバナウエイト13には、前記第一、第二錘部13b、13cとのあいだの外周縁部が前記中心線Mと平行なるよう直線状に切り落されて案内部13dが形成されている。
【0010】一方、ケーシング筒底面12aには、前記案内部13dの係合案内をするためのガイド部14が一体的に形成されていて、ガバナウエイト13を前記中心線M方向に移動案内するよう設定されている。また、15はガバナウエイト13の外周部およびガイド部14の外周部に弾圧状に懸回されるガバナウエイト用の復帰弾機であって、該復帰弾機15によりガバナウエイト13はギア軸2と同芯位置に位置するよう付勢されている。尚、14aはガバナウエイト13の抜止め案内をするためガイド部14に形成された抜止め片である。
【0011】そして、前述したように一方向回転クラッチ4を前進せしめてエンジン始動をすべくモータ部1aの駆動でギア軸2が回転した場合に、ガバナウエイト13は偏芯方向、つまり第一錘部13b側に移動しようとする遠心力を受けることになり、このとき、一方向回転クラッチ4が前進位置に位置していてクラッチインナ基端部5aがガバナウエイト13から抜け出しており、これによって、ガバナウエイト13は前記遠心力により偏芯する第一錘部13b側にリング状の復帰弾機15の付勢力に抗して移動し、嵌合孔13aの第二錘部13c側内周がギア軸2に当接する移動姿勢となり、この状態では、第二錘部13cの先端部が、一方向回転クラッチ4が早戻りして後退しようとするクラッチインナ基端部5aに当接することになって、一方向回転クラッチ4の戻り防止がなされるように設定されている。
【0012】因みに、本実施の形態におけるガバナウエイト13は、ケーシング12をギア軸2に取付ける前の段階でケーシング12に取付けられる。つまり、ガバナウエイト13における案内部13dの第一錘部13b側には、さらに切欠き13eが形成されており、そして、ガバナウエイト13は、ギア軸2がないので第二錘部13c側に大きく偏寄させた状態でケーシング筒底面12aにセットでき、この状態で第一錘部13b方向に移動させることでガイド部14に抜止め状に係合組付けできるようになっており、この様にしてガバナウエイト13が組付けられたケーシング12をギア軸2に組付ければよいことになる。
【0013】叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、エンジンを始動させるべくモータ部1aの駆動を行うと、これに連動してドリブンギア3、ギア軸2が一体回転し、これによって一方向回転クラッチ4は慣性力でヘリカルスプライン2aに沿って前進し、ピニオンギア6がリングギア10に噛合してエンジンが始動するが、この場合に、前述したように一方向回転クラッチ4が前進してガバナウエイト13から抜け出たあとに、偏芯したガバナウエイト13は遠心力を受けて径方向に移動して入り込み、これによってガバナウエイト13は、早戻りしようとする一方向回転クラッチ4のクラッチインナ基端部5aに当接することになって、該一方向回転クラッチ4の早戻りを防止できる。
【0014】このように、ガバナウエイト13により一方向回転クラッチ4の早戻りを防止するものであるが、この場合に、ガバナウエイト13は一方向回転クラッチ4と共に軸方向に移動することがないので、一方向回転クラッチ4の慣性力を増大させることがなく、リングギア10との噛合時の衝撃を増大させるような不具合をなくすことができる。しかも、ガバナウエイト13は、リング状の一体物であって、偏芯するための第一、第二錘部13b、13cを有したものとすることでよく、従来のように複数のガバナウエイトを偏芯した状態で枢支するものの如く、部品点数が多くなって構造が複雑化してしまうことがないうえ、ガバナ装置11の組付け性も向上できる。
【0015】また、本発明は、前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図6〜図9に示す第二の実施の形態のようにすることができる。この第二の実施の形態において第一の実施の形態のものと同じものは同じ符号を付し、その詳細については省略する。ドリブンギア3の前面に一体的に設けられるブラケット(ケーシング)16は同じく有底円筒状に形成されるが、該ブラケット16およびガバナウエイト17はプレス等の機械加工により形成されている。そしてこのものは、ガバナウエイト17を元位置に復帰するための復帰弾機18をコイル弾機とし、これをガバナウエイト17の重い方の錘部が配される側に形成される弾機収容室19に収容するようになっているが、これらの構成は以下のようになっている。
【0016】すなわち、前記ガバナウエイト17は線対称で形成されるが、その場合の対称線L−Lと中心Oで直交する経線R−Rを境に、広面積で重くなった第一錘部17bと、狭面積で軽くなった第二錘部17cとで構成される。一方、ガバナウエイト17の中央部に穿設される嵌合孔17aは前記対称線方向に長い長円形状をし、該嵌合孔17aが、ギア軸2に形成されるガイド軸部2bに径方向(対称線方向)移動自在に外嵌している。そして、経線R-Rを境にして形成される第一錘部17bは、第二錘部17cに対して径方向両側に張り出した略半円形状になっているが、前記第一錘部17bには、前記対称線L-Lを通る位置に隙間17dを存して軸方向一方向クラッチ側に突出した内周側面部17eが形成され、さらに該内周側面部17eの先端から外径方向に突出した第一側壁部17fが形成されている。一方、第二錘部17cは、第一錘部17bより幅狭で、前記長円形状の嵌合孔17aに沿う一対の面部の先端から軸方向一方向クラッチ側に突設すべく折曲形成された戻り防止部17gを備えているが、該戻り防止部17gには、嵌合孔17aから続くようにして溝孔17hが形成されている。
【0017】一方、ブラケット16は中心部にギア軸2を挿通するための挿通孔16aが穿設されているが、ブラケット16の第二錘部側面部には、ドリブンギア3と対向する底板面部のうち、前記第一側壁部17fに対向する面部を第二側壁部16bとし、さらに第一錘部17bの内周側面部17eの両側縁に対向するよう折曲された第三側壁部16c、第四側壁部16dが設けられている。そして、これら第一〜第四側壁部17f、16b、16c、16dで四周が囲繞され、かつ径方向両側に有る内周側面部17eとブラケット16の外周面部16eとがコイル式の復帰弾機18の押圧面となった弾機収容室19が形成されている。ここで、第一錘部17bにおいて内周側面部17eとのあいだに形成される隙間17dの溝幅Dは、前記第三、第四側壁部16c、16dが対称線方向に移動自在に嵌合案内するためのものであって、ブラケット16の板厚Tに略等しい設定になっている。また、ブラケット第三、第四側壁部16c、16dの起立基端部には、ガバナウエイト17の板面部が移動自在に入り込むための切欠き16fが形成されている。尚、第三、第四側壁部16c、16dの起立先端部は、ブラケット16の外周面部16eの円形状に沿って加工されるためにR状に形成されている。
【0018】一方、ブラケット16の第二錘部17c側には、該第二錘部17cの両側縁をガイドするためのガイド部16g、16hが挿通孔16aを挟むようにして切り起こし形成されるとともに、戻り防止部17gに対向するようストッパ部16iが切り起し形成されている。ストッパ部16iを備えることにより、組立時において、ガバナウエイト17が復帰弾機18の付勢力を受けて、その戻り防止部17gがブラケット16のストッパ部16iに押し付けられて、ガバナウエイト17とブラケット16と復帰弾機18とがユニット状態になるので、ユニット状態にした後それをギア軸2に装着することができて、組付け性が良い。そしてガバナウエイト17は、モータ静止時には弾機収容室19に収容された復帰弾機18の付勢力を受けて戻り防止部17gがストッパ部16iに当接する復帰姿勢となっており、この状態では、戻り防止部17gはクラッチインナ基端部5aの外周側にオーバーラップした配置になっている。尚、この実施の形態ではストッパ部16iで復帰弾機18の付勢力を受けているが、ガバナウエイト17の嵌合孔の第一錘部17b側の内周面17aをギア軸2のガイド軸部2bの外周面に当接させて受けても良い。この状態からエンジン始動すべくモータ駆動がなされると、該駆動に伴うギア軸2の一体回転によって、一方向回転クラッチ4がヘリカルスプライン2aに沿って前進し、ピニオンギア6がリングギア10に噛合してエンジンが始動することは第一の実施の形態と同様であるが、このとき、一方向クラッチ4が前進してガバナウエイト17から抜け出ると、ガバナウエイト17は、遠心力を受けて重い第一錘部17bが復帰弾機18の付勢に抗して外径側に偏倚し、これによって軽い第二錘部17c側に形成される戻り防止部17gがギア軸2のヘリカルスプライン2a外周に当接し、その先端がクラッチインナ基端部5aと軸方向に対向することになって早戻りしようとするクラッチインナ基端部5aに当接することとなって、該一方向回転クラッチ4の早戻り防止がなされ、そしてモータ駆動が停止して遠心力が喪失すると、ガバナウエイト17は復帰弾機18の付勢力を受けて元位置に移動し、これに伴い早戻り防止が解除されてクラッチインナ5も元位置に復帰する。
【0019】このように、第二の実施の形態のものでは、一方向回転クラッチ4の早戻り防止をガバナウエイト17の径方向の偏倚で行うことができるが、ガバナウエイト17は、板材をプレス加工等の曲げ加工で製造することができる。しかも、復帰弾機18も汎用性の高いコイル弾機を採用できるが、この復帰弾機18は、ブラケット16およびガバナウエイト17に形成される各面部を有効に利用して形成した弾機収容室19に収容されるため、部品点数の削減に寄与でき、構造の簡略化も計ることができる。
【0020】また、本発明は、前記各実施の形態に限定されないことは勿論であって、一方向回転クラッチとしては、クラッチインナーとクラッチアウターとが逆の関係、つまり、クラッチインナーにエンジン側リングギアに噛合するピニオンギアが形成され、クラッチアウターの基端部が、前記偏芯状態のガバナウエイトに当接して早戻りが防止されるものでもよい。
【0021】また、ガバナウエイトは重心が偏芯する構成であれば錘が一体形成されるものに限定されることはなく、例えば比重の異なる材料を用いることで重心が偏芯するようにしてもよい。さらに、ガバナウエイト13は重心が偏芯していることにより、高速となった場合に回転バランスについて配慮しなければならない場合(通常のスタータモータの回転程度では事実上問題にならない)が考えられ、その場合には、図10〜図11に示す第三の実施の形態のようにすることで対応できる。つまりこのものは、ケーシング12の筒部12aの第二錘部13cに対向する位置を肉厚部12bにして該側を重くし、これをガバナウエイト13の偏芯分を相殺するためのバランサーとして回転バランスの確保ができるようにすれば高速回転するものでも問題なく採用することができる。このようなバランサーを設けるための手段としては、ケーシングを肉厚にする場合の他、別途用意したバランサーをケーシングの内周面あるいは外周面に取付けたりする手法も採用できることはいうまでもない。
【出願人】 【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
【出願日】 平成8年(1996)6月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
【公開番号】 特開平9−324728
【公開日】 平成9年(1997)12月16日
【出願番号】 特願平8−188945