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【発明の名称】 スタータ
【発明者】 【氏名】宗 正浩

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】磁気枠を形成するヨークの内周に電機子を有し、モータ接点が閉じて前記電機子が通電されることにより前記電機子に回転力を発生する始動モータと、前記ヨークと共に機枠の一部を構成するリヤケースに収納されて、そのリヤケースの外部へ取り出されたスイッチ端子、このスイッチ端子を通じて通電されるコイル、及びこのコイルの発生する磁力を受けて吸引されるプランジャを有し、このプランジャの移動に伴って前記モータ接点を閉じる電磁スイッチとを備え、前記始動モータと前記電磁スイッチが軸方向に配列されて、略円筒形状を成す前記機枠に収納されたスタータにおいて、前記スイッチ端子は、前記始動モータの中心軸を含む面に対し略平行な方向へ指向して設けられ、且つ前記コイルとの結線が前記コイルの軸方向端面より前記リヤケースの開口部側で行われていることを特徴とするスタータ。
【請求項2】前記スイッチ端子に接続される接続端子を有する車両側コネクタと嵌合する嵌合部を有し、この嵌合部に前記スイッチ端子が具備されていることを特徴とする請求項1記載のスタータ。
【請求項3】前記嵌合部は、前記リヤケースに一体成形されていることを特徴とする請求項2記載のスタータ。
【請求項4】前記嵌合部は、前記リヤケースと別体に設けられて、前記リヤケースに固定されることを特徴とする請求項2記載のスタータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンを始動するスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、補機類等の増加によるエンジンルームの過密化に伴ってスタータを小型化する要求がある。そこで、電磁スイッチを始動モータの回転軸と同軸に配設した同軸型スタータが提案されている(特開平4−136481号公報、特開昭52−147711号公報参照)。この同軸型スタータは、略円筒状を成す機枠の内部に始動モータ、動力伝達部、及び電磁スイッチが配設されるため、電磁スイッチが始動モータの径方向外側へ配設された所謂2軸型スタータと比較して車両への搭載性が向上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、特開平4−136481号公報に開示されたスタータは、バッテリから直接結線されるバッテリ端子や、バッテリから車室内のキースイッチを経由して結線されるスイッチ端子が機枠の径方向外周へ突出して配設されている。このため、スタータを車両へ組付けた後に各端子へ結線するための作業スペースをスタータの径方向外周に確保する必要があった。なお、バッテリ端子に関しては、バッテリから直接結線されて配線も単純なため、スタータを車両に搭載する以前に結線しておくこともできるが、スイッチ端子に関しては、バッテリから車室内のキースイッチを経由して結線されるため、スタータを車両に搭載する以前に結線することは困難である。また、スイッチ端子の多くは、キースイッチからの配線コードの先端に設けられたメス端子と嵌合する板状のオス端子である。このため、スイッチ端子(オス端子)にメス端子を嵌合させると、そのメス端子の延長上に配線コードも延設されるため、上述の結線に必要な作業スペースに加えて配線スペースも確保する必要があった。
【0004】一方、特開昭52−147711号公報に開示されたスタータでは、バッテリ端子及びスイッチ端子が、電磁スイッチの外周を覆うリヤカバーの後端から軸方向に取り出されている。このため、スタータの径方向外周に作業スペースや配線スペースを確保する必要はないが、バッテリ端子及びスイッチ端子をリヤカバーの底部に配設しなければならないため、スタータ自体の組付け性及び内部配線性の悪化を招いていた。特に、スイッチ端子は、電磁コイルと結線する必要があるため、リヤカバー底部での結線は、更にスタータ自体の組付け作業性の悪化を増幅させるものであった。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、スタータ自体の組付け性及び内部配線性の悪化を招くことなく、スタータへの配線作業性を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1〜4の手段によれば、スイッチ端子が始動モータの中心軸を含む面に対し略平行な方向へ指向して設けられているため、車両側配線とスイッチ端子との結線を始動モータの中心軸を含む面に対し略平行な方向から行うことができるとともに、車両側からの配線もスイッチ端子の指向する方向に延設される。これにより、スイッチ端子がリヤケースの径方向へ突出する従来のスタータと比較して、結線に必要な作業スペース及び配線スペースを小さくできるため、配線作業性が向上する。また、スイッチ端子とコイルとの結線がコイルの軸方向端面よりリヤケースの開口部側で行われているため、内部配線の作業性が大幅に向上し、それに伴ってスタータ自体の組付け作業性も向上する。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明のスタータを図面に基づいて説明する。
(第1実施例)図1はスタータ1の断面図である。本実施例のスタータ1は、回転力を発生する始動モータ2、この始動モータ2の軸方向前方(図1の左方)に配されて、始動モータ2の回転力をエンジンのリングギヤ(図示しない)に伝達する動力伝達装置(後述する)、始動モータ2の軸方向後方に配されて、始動モータ2の通電回路(図2参照)に介在されたモータ接点(後述する)を開閉する電磁スイッチ3、始動モータ2の磁気枠(ヨーク7)とともにスタータ1の機枠を形成するフロントケース4、センタケース5、及びリヤケース6等より構成される。
【0007】始動モータ2は、磁気枠を形成する円筒形状のヨーク7、このヨーク7の内周面に固着された複数の固定磁極8(例えば永久磁石)、この固定磁極8の内周で回転自在に支持された電機子9、この電機子9に設けられた整流子10の外周面に摺接する正極ブラシ11と負極ブラシ12等より構成される。電機子9は、中空に形成された回転軸13、この回転軸13の外周に固着された電機子鉄心14、この電機子鉄心14に保持されて、整流子10とも機械的に結合された複数の電機子導体15を有する。回転軸13は、軸受16、17を介して回転自在に支持されている。軸受16は、ヨーク7の有底部7aの中心に設けられた軸受部7bの内周面に固着されている。また、軸受17は、センタケース5の中央に設けられた軸受部5aの内周面に固着されている。
【0008】動力伝達装置は、回転軸13の中空部に挿入された出力軸18、この出力軸18の先端外周に嵌合してリングギヤと噛み合うことにより出力軸18の回転をリングギヤに伝達するピニオン19、電機子9の回転を減速する減速装置(図示しない)、この減速装置の回転出力を出力軸18に伝達する一方向クラッチ(図示しない)等より構成されて、略全体がフロントケース4に収納されている。なお、出力軸18は、回転軸13に対して軸方向に摺動自在に支持されており、電磁スイッチ3の作動力で前方へ押し出される。
【0009】電磁スイッチ3は、樹脂製の巻き枠20に巻線された吸引コイル21、この吸引コイル21の外周を覆って磁気回路の一部を形成する磁性体のフレーム22、巻き枠20の中空部内周に固着された非磁性体の金属より成るスリーブ23、このスリーブ23の内周を軸方向に移動可能に配されたプランジャ24(フレーム22とともに磁気回路を形成する)、このプランジャ24の移動を出力軸18に伝達する伝達手段(後述する)、外部配線との接続を行う外部端子(後述する)、及び前述のモータ接点を形成する一対の固定接点25、26と可動接点27等より構成されて、リヤケース6に収納されている。
【0010】伝達手段は、プランジャ24の中央部に固定された円筒部材28、この円筒部材28の底部28aに貫通する貫通穴に挿通されたロッド29、このロッド29を付勢するスプリング30より成る。円筒部材28は、電機子9の回転軸13と同軸に配されて、底部28aを有する一端側が回転軸13の中空内部に挿入され、プランジャ24と一体に軸方向に移動する。ロッド29は、円筒部材28の内部に配された後端部に円筒部材28の貫通穴より大径の大径部29aが設けられ、その大径部29aより先端側が貫通穴を通って円筒部材28の底部28aより回転軸13の中空内部へ突出し、更に先端部が出力軸18の後端に形成された窪み18a内に挿入されている。スプリング30は、円筒部材28の中空部に配設されて、ロッド29の大径部29aを円筒部材28の底部28a側へ押圧している。
【0011】この伝達手段は、吸引コイル21の磁力を受けてプランジャ24がスリーブ23内を移動する(図1の左側へ移動する)と、そのプランジャ24と一体に円筒部材28が移動してロッド29が前方へ押し出される。これにより、ロッド29の先端面が出力軸18の窪み18aに配された金属製のボール31に当接して、そのボール31を付勢しながら出力軸18を前方へ押し出すことができる。
【0012】外部端子は、バッテリ32に直結されたケーブル33が接続されるバッテリ端子34と、バッテリ32からキースイッチ35を経由した配線36が接続されるスイッチ端子37である(図3参照)。バッテリ端子34は、センタケース5の外周面より径方向に突出して、その外周に螺子部34aが形成されている。スイッチ端子37は、導電性を有する板状部材から成り、リヤケース6の外周部にインサート成形されている。スイッチ端子37の結線部37aである一端側は、リヤケース6の開口部側(センタケース5側)へ取り出されて、吸引コイル21と電気的に接続されている。但し、このスイッチ端子37と吸引コイル21との結線は、図1に示すように、フレーム22のセンタケース5側端面22a(図1の左側端面)より前方で行われている。一方、スイッチ端子37の接続部37bを成す他端側は、リヤケース6の外周に一体成形された嵌合部38内に取り出されている。但し、このスイッチ端子37の接続部37bは、スタータ1の軸方向(回転軸13方向)に沿ってリヤケース6の後方へ指向する様に配設されている。
【0013】リヤケース6に一体成形された嵌合部38は、車両側配線36の端末に設けられたコネクタ39が嵌め合わされるもので、そのコネクタ39を収納する中空部38aと、コネクタ39の抜けを防止するための保持部38bが設けられている。一方、コネクタ39には、保持部38bに係合する爪状突起39aが設けられるとともに、スイッチ端子37の接続部37bに嵌合してスイッチ端子37と電気的に接続されるメス端子40が具備されている。
【0014】固定接点は、バッテリ端子34と一体に設けられたバッテリ側固定接点25と、正極ブラシ11に接続されるモータ側固定接点26(図3参照)である。可動接点27は、円筒部材28の外周に絶縁部材41を介して保持され、その絶縁部材41を通じてコンタクトスプリング42による接点圧が付与されている。この可動接点27は、プランジャ24と一体に円筒部材28が移動して両固定接点25、26に当接することで、両固定接点25、26間を電気的に閉じることができる。
【0015】フロントケース4は、ヨーク7の有底部7a側にインロー嵌合する略円筒部4aと、この略円筒部4aより前方(図1の左側)で外周方向に突出した2か所の鍔部4bとを有し、この鍔部4bを介してエンジンに取り付けられる。なお、鍔部4bには、図2(リヤケース6側から見たスタータ1の平面図)に示すように、エンジンに取り付けるためのボルト(図示しない)を通す貫通穴4cが空けられている。センタケース5は、ヨーク7とリヤケース6との間に介在され、ヨーク7の開口部にインロー嵌合することで軸受部5aの芯出しが行われる。このセンタケース5は、フロントケース4の略円筒部4aとほぼ同一の外径を有する略円筒形状に形成されている。
【0016】リヤケース6は、外周に一体成形された嵌合部38を除いて略円筒形状に設けられ、その外径は、フロントケース4の略円筒部4a及びセンタケース5とほぼ同一である。また、リヤケース6の後端面から、スタータ1全体を軸方向に締め付け固定するためのスルーボルト43(図2参照)が挿通されて、そのスルーボルト43の先端螺子部がフロントケース4に螺着される。なお、動力伝達手段、始動モータ2、及び電磁スイッチ3は、フロントケース4の略円筒部4aの外径寸法内に全て収納されているが、フロントケース4、ヨーク7、センタケース5、及びリヤケース6の何れかで最大外径を有する機枠の外径寸法内に全て収納されていても何ら問題ないことは言うまでもない。
【0017】次に、本実施例の作動を簡単に説明する。キースイッチ35を閉じて吸引コイル21が通電されると、吸引コイル21の発生する磁力によりプランジャ24が吸引されてスリーブ23の内周を移動する。このプランジャ24と一体に円筒部材28が移動してロッド29が前方へ押し出されることにより、そのロッド29に当接するボール31を介して出力軸18が前方へ(リングギヤ側へ)押し出される。一方、プランジャ24の移動によって円筒部材28に保持された可動接点27が両固定接点25、26に当接して両固定接点25、26間を閉じると、正極ブラシ11及び負極ブラシ12を通じて電機子9が通電されることにより、電機子9に回転力が発生する。この電機子9の回転が出力軸18に伝達されてピニオン19がリングギヤと噛み合うことにより、出力軸18の回転がピニオン19からリングギヤに伝達されてエンジンを始動する。
【0018】(本実施例の効果)本実施例では、スイッチ端子37の接続部37bがスタータ1の軸方向(回転軸13方向)に沿ってリヤケース6の後方へ指向する様に配設されているため、嵌合部38に対してコネクタ39をスタータ1の後方から軸方向に沿って嵌め合わせることができるとともに、車両側の配線もスタータ1の後方へ延設される。このため、スイッチ端子37がリヤケース6の径方向へ突出する従来のスタータと比較して、スイッチ端子37と車両側配線との結線に必要な作業スペース及び配線スペースを小さくできるため、配線作業性が向上する。また、スイッチ端子37と吸引コイル21との結線がリヤケース6の開口部側(フレーム22のセンタケース5側端面22aより前方)で行われる構造であるため、リヤケース6に電磁スイッチ3を収納した状態で容易に結線することができる。これにより、内部配線の作業性が大幅に向上し、それに伴ってスタータ1自体の組付け作業性も向上する。
【0019】(第2実施例)図4はスイッチ端子37付近の断面図である。本実施例は、スイッチ端子37を具備する嵌合部38をリヤケース6と別体に設けた場合の一例を示すものである。嵌合部38を一体成形するのが困難な場合には、図4に示す様に、嵌合部38をリヤケース6と別体として、リヤケース6の内外を貫通する貫通穴6aに嵌合部38の圧入部38cを圧入して固定する構造としても良い。なお、スイッチ端子37は、予め嵌合部38にインサート成形されている。
【0020】(第3実施例)図5はスイッチ端子37付近の断面図である。本実施例は、スイッチ端子37が結線部37aから接続部37bまで略直線状に形成された場合の一例を示すもので、スイッチ端子37の接続部37bは、リヤケース6の後端部に一体成形された嵌合部38からリヤケース6の後方へ向かって取り出されている。この場合、スイッチ端子37がリヤケース6の径方向外周へ突出することはなく、僅かに嵌合部38の一部が突出するのみであり、第1実施例及び第2実施例と比較してリヤケース6の径方向外周への突出が抑制されるため、更に配線作業性が向上すると言える。
【0021】(第4実施例)図6はスタータ1の後方から見た平面図、図7は図6に示すスイッチ端子37の上方から見たスタータ1の全体図である。本実施例は、スイッチ端子37をフロントケース4の鍔部4bの後方に配設するとともに、スイッチ端子37の接続部37bがスタータ1の軸方向と略直角方向で、且つリヤケース6の外周面に対する接線と略平行に指向する様に配設されている。なお、本実施例の様にスイッチ端子37をフロントケース4の鍔部4bの後方に配設する場合は、スイッチ端子37の接続部37bがスタータ1の軸方向と略直角方向に指向しなくても、配線性の良好な方向へ向けることができることは言うまでもない。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成8年(1996)6月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開平9−324727
【公開日】 平成9年(1997)12月16日
【出願番号】 特願平8−146944