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【発明の名称】 エンジンスタータ用オーバランニングクラッチのクラッチケース
【発明者】 【氏名】新井 一郎

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピニオン駆動軸(7)のヘリカルスプライン軸部(7a)に摺動自在に嵌合するヘリカルスプライン孔(32)と、クラッチローラ(15)及びピニオン(14)の軸部(14a)を収容するケース部(30)と、電磁スイッチ(20)の可動コア(21)により作動されるシフトレバー(19)が係合する環状の連結溝(17)とを備えたエンジンスタータ用オーバランニングクラッチのクラッチケースにおいて、有底円筒状のケース部(30)の端壁(30a)外面に、ピニオン駆動軸(7)のヘリカルスプライン軸部(7a)外周面に摺動自在に嵌合する円筒状のボス(31)を一体に形成してなる段付円筒状の鍛造製ケース本体(12A)と、中心部にヘリカルスプライン孔(32)を有して前記ボス(31)の端面に溶接されるプレス製フランジ板(12B)とで構成され、このフランジ板(12B)及び前記端壁(30a)により前記ボス(31)の外周に連結溝(17)を画成したことを特徴とする、エンジンスタータ用オーバランニングクラッチのクラッチケース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に用いられるエンジンスタータ用オーバランニングクラッチのクラッチケースに関し、特に、ピニオン駆動軸のヘリカルスプライン軸部に摺動自在に嵌合するヘリカルスプライン孔と、クラッチローラ及びピニオンの軸部を収容するケース部と、電磁スイッチの可動コアにより作動されるシフトレバーが係合する環状の連結溝とを備えたクラッチケースの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンスタータにおけるオーバランニングクラッチは、ピニオン駆動軸及びピニオン間に介装され、エンジンの始動時には伝動状態となってピニオン駆動軸の駆動トルクをピニオンに伝達するが、エンジンのリングギヤからピニオンに逆負荷が加わると遮断状態となって、その逆負荷のピニオン駆動軸側への伝達を阻止するものである。
【0003】このオーバランニングのクラッチケースの従来構造を図4に示す。同図から明らかなように、従来のクラッチケース12は、有底円筒状のケース部30と、このケース部30の端壁30a外面に一体に突設したボス31と、このボス31の端部外周面に一体に形成したフランジ40とからなっており、フランジ40及び端壁30aにより環状の連結溝17を画成し、ボス30にヘリカルスプライン孔32を形成していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記のように従来のクラッチケースは一体形であるため、鍛造後、余肉41を除去するための多くの切削加工を必要とするので、製造に手間がかゝると共に素材の歩止りが悪く、コスト低減が困難であった。
【0005】本発明は、かゝる事情に鑑みてなされたもので、製造が簡単且つ素材の歩止りが良い前記クラッチケースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明のクラッチケースは、有底円筒状のケース部の端壁外面に、ピニオン駆動軸のヘリカルスプライン軸部外周面に摺動自在に嵌合する円筒状のボスを一体に形成してなる段付円筒状の鍛造製ケース本体と、中心部にヘリカルスプライン孔を有して前記ボスの端面に溶接されるプレス製フランジ板とで構成され、このフランジ板及び前記端壁により前記ボスの外周に連結溝を画成したことを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図面に示す本発明の一実施例に基いて説明する。
【0008】図1は自動車用エンジンスタータの要部縦断面図である。同図において、スタータモータ1のステータ2の前端に減速ケース3が、更にその前端にピニオンケース4が順次結合される。減速ケース3の後壁にはスタータモータ1のロータ軸5がローラベアリング6を介して支承され、また減速ケース3の前壁及びピニオンケース4の前壁にはピニオン駆動軸7がプレーンベアリング8,9を介して支承され、両軸5,7間を連結する歯車減速機10が減速ケース3に収容される。
【0009】ピニオン駆動軸7は中間部にヘリカルスプライン軸部7aを備えており、このヘリカルスプライン軸部7aにオーバランニングクラッチ11のクラッチケース12が摺動自在に嵌装され、またピニオン駆動軸7の前部にピニオン14が回転及び摺動自在に嵌装される。
【0010】図2を併せて参照するに、クラッチケース12は、有底円筒状のケース部30の端壁30a外面に円筒状のボス31を一体に突設してなる段付円筒状の鍛造製ケース本体12Aと、そのボス31の端面に溶接される円形のプレス製フランジ板12Bとから構成され、上記フランジ板12B及び端壁30aによりボス31外周に環状の連結溝17が画成される。またフランジ板12Bの中心部にはヘリカルスプライン孔32が穿設される。
【0011】而して、ボス31は前記ヘリカルスプライン軸部7aの外周に回転及び摺動可能に嵌合され、ヘリカルスプライン孔32は同ヘリカルスプライン軸部7aに摺動自在に嵌合される。
【0012】ケース部30内にはピニオン14の軸部14aが複数のクラッチローラ15を介して嵌装される。クラッチローラ15は、従来普通のようにクラッチケース12からピニオン14への一方向だけの動力伝達に寄与する。
【0013】ケース部30の開口部は、軸部14aの環状肩部33に係合するカバー34により閉鎖され、このカバー34はかしめリング35によりケース部30に固着される。こうしてクラッチケース12及びピニオン14は、相対回転を可能にしつつ互いに軸方向に連結される。
【0014】ピニオン14はオーバランニングクラッチ11と共に実線示の後退位置と鎖線示の前進位置との間を移動し得るもので、その前進位置には、ピニオン14が噛合すべきエンジンのリングギヤ16が待機させてある。
【0015】クラッチケース12の連結溝17には、ピニオンケース4に摺動可能に軸支15されたシフトレバー19の一端が係合され、その他端は、電磁スイッチ20における可動コア21の前方突出軸21aに連結される。可動コア21は戻しばね22により常時前方へ付勢される。この可動コア21を後方へ吸引作動するソレノイド23はピニオンケース4の側方膨出部4aに固定され、そして図示しないエンジンのステータスイッチを介して電源に接続される。電磁スイッチ20は、その後端にスタータモータ1の起動スイッチ24を備えている。この起動スイッチ24は、可動コア21が前方位置を占めるとき開状態を保ち、後方位置にくると閉状態となるよう、可動コア21に連動している。
【0016】而して、図示しないスタータスイッチを入れて電磁スイッチ20のソレノイド23を励磁させれば、その吸引力により可動コア21は戻しばね22の弾発力に抗して後方へ移動し、シフトレバー19を介してオーバランニングクラッチ11をピニオン14と共に前方へ移動させ、ピニオン14をリングギヤ16に噛合させる。これと略同時に、可動コア21は起動スイッチ24を閉じてスタータモータ1を起動するので、ロータ軸5は歯車減速機10を介してピニオン駆動軸7を減速駆動し、更にオーバランニングクラッチ11を介してピニオン13を駆動し、これによりリングギヤ16を回転してエンジンを始動させる。
【0017】エンジンの始動に伴い、リングギヤ16からピニオン14に逆負荷が加わると、オーバランニングクラッチ11は伝動遮断状態となるので、スタータモータ1への逆負荷の伝達が阻止される。
【0018】エンジンの始動後、スタータスイッチを切ってソレノイド23を消磁させれば、戻しばね22の反発力によりピニオン14は後退してリングギヤ16から離脱し、可動コア21が前方に移動して起動スイッチ24を開状態にし、スタータモータ1の作動を停止させる。
【0019】ところで、クラッチケース12の主体をなすケース本体12Aは単純な段付円筒形状をなしているから、これを鍛造のみにより、若しくは鍛造後僅かな切削加工を加えることにより歩止り良く製造することができる。
【0020】一方、ケース本体12Aに溶接される円形のフランジ板12Bもプレスにより歩止り良く打抜きが可能であり、しかも図3に示すように、フランジ板12Bを多数積層することにより、それらの中心部にブローチ加工によりヘリカルスプライン孔32を一挙に形成でき、加工能率を高めることができる。
【0021】本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱することなく種々の設計変更が可能であることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、クラッチケースは、有底円筒状のケース部の端壁外面に、ピニオン駆動軸のヘリカルスプライン軸部外周面に摺動自在に嵌合する円筒状のボスを一体に形成してなる段付円筒状の鍛造製ケース本体と、中心部にヘリカルスプライン孔を有して前記ボスの端面に溶接されるプレス製フランジ板とで構成され、このフランジ板及び前記端壁により前記ボスの外周に連結溝を画成したので、それぞれ単純形状のケース本体及びフランジ板を鍛造又はプレスにより個別に製造することにより、クラッチケースを歩止り良く簡単に製造することが可能になり、大幅なコスト低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000253075
【氏名又は名称】澤藤電機株式会社
【出願日】 平成7年(1995)9月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
【公開番号】 特開平9−88781
【公開日】 平成9年(1997)3月31日
【出願番号】 特願平7−244896