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【発明の名称】 始動発電装置
【発明者】 【氏名】長尾 安裕

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両用電気負荷に電気的に接続されるバッテリと、エンジンにより駆動され、前記バッテリを充電する車両用発電機と、前記エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンと、このピニオンを回転させるアーマチャとを有し、前記ピニオンを前記アーマチャで回転させることにより、前記エンジンを始動させ、前記エンジンの始動後、前記リングギヤの回転が前記ピニオンを介して前記アーマチャに伝達されることにより、発電を行うスタ−タダイナモと、前記エンジンを駆動するために前記スタ−タダイナモに給電するとともに、前記エンジンの始動後、前記スタ−タダイナモにより充電される蓄電手段と、を備えたことを特徴とする始動発電装置。
【請求項2】前記蓄電手段は、前記エンジンが駆動され、前記エンジンが着火してから、前記スタ−タダイナモが前記エンジン駆動に要した時間の5倍以内に前記スタ−タダイナモにより充電されることを特徴とする請求項1項記載の始動発電装置。
【請求項3】前記スタ−タダイナモと前記蓄電手段とを互いに電気的に接続するスイッチ手段と、このスイッチ手段の断続を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記スタ−タダイナモの運転時に前記スイッチ手段を導通させ前記蓄電手段の蓄電電力を前記スタ−タダイナモに給電するとともに、前記エンジンの始動後に前記スタ−タダイナモの発電電力を前記蓄電手段を給電して、前記蓄電手段を充電することを特徴とする請求項1または2記載の始動発電装置。
【請求項4】前記制御手段は、前記蓄電手段の充電量が所定量に達した場合に前記スイッチ手段を遮断することを特徴とする請求項3記載の始動発電装置。
【請求項5】前記スタ−タダイナモと前記エンジンとの間にクラッチ手段を有し、前記制御手段は、前記スイッチ手段の遮断とともに、前記クラッチ手段により前記スタ−タダイナモと前記エンジンとを解離することを特徴とする請求項3記載の始動発電装置。
【請求項6】前記スタ−タダイナモと前記エンジンとの間にクラッチ手段を有し、前記制御手段は、前記エンジンの回転数を検知し、この値が所定値に達した場合に前記クラッチ手段により前記スタ−タダイナモと前記エンジンとを解離することを特徴とする請求項3記載の始動発電装置。
【請求項7】前記スタ−タダイナモと前記バッテリとを互いに電気的に接続するバッテリ接続用スイッチ手段を備えることを特徴とする請求項1記載の始動発電装置。
【請求項8】前記スタ−タダイナモと前記蓄電手段とを互いに電気的に接続するスイッチ手段と、このスイッチ手段の断続を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記スタ−タダイナモの運転時に前記蓄電手段の充電量が所定量に満たない場合に前記スイッチ手段と前記バッテリ接続用スイッチ手段とをそれぞれ導通させ、前記蓄電手段と前記バッテリとの蓄電電力を前記スタ−タダイナモに給電するとともに、前記エンジンの始動後に前記スタ−タダイナモの発電電力を前記蓄電手段に給電して、前記蓄電手段を充電することを特徴とする請求項7記載の始動発電装置。
【請求項9】前記蓄電手段は、前記バッテリの定格電圧より高い電圧まで充電されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の始動発電装置。
【請求項10】前記蓄電手段は、前記スタ−タダイナモのヨーク外周に近接配置されることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の始動発電装置。
【請求項11】前記蓄電手段は、電気二重層コンデンサからなることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の始動発電装置。
【請求項12】前記蓄電手段は、前記スタ−タダイナモと一体に配設されることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の始動発電装置。
【請求項13】エンジンのリングギヤと噛み合うピニオンと、このピニオンを回転させるアーマチャとを有し、前記ピニオンを前記アーマチャで回転させることにより、前記エンジンを始動させ、前記エンジンの始動後、前記リングギヤの回転が前記ピニオンを介して前記アーマチャに伝達されることにより、発電を行うスタータダイナモと、前記エンジンを駆動するために前記スタ−タダイナモに給電するとともに、前記エンジンの始動後、前記スタ−タダイナモにより充電される蓄電手段と、を備え、前記蓄電手段は、前記スタ−タダイナモと一体に配設されることを特徴とする始動発電装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、始動及び発電を行う回転電機(即ち、スタ−タダイナモ)を備える始動発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平3ー23370号公報には、バッテリから電流制限用抵抗を介してコンデンサを充電しておき、スタータを駆動してエンジンを始動させる際、コンデンサの蓄電電力を開閉スイッチを通じてスタータに給電してこれを駆動させるコンデンサ介在型の始動装置が開示されている。この装置によれば、スタータを駆動させる駆動電力のみを蓄電するコンデンサは小型であり、スタータと一体に配置できるので、スタータとコンデンサを接続する大径リード線が短くでき、その電力損失を低減することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術は、スタータに蓄電電力を供給するコンデンサが、バッテリから電流制限用抵抗を介して充電されるため、充電電流の値が小さく、エンジンを始動させるのに費やしたコンデンサの蓄電電力を再充電するのに時間がかかり、エンジン始動直後に何らかの理由でエンジンが停止した場合の再始動時に、スタータがすぐに作動できないという問題があった。
【0004】そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、エンジンの再始動が早期にできる始動発電装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために請求項1の手段を採用することができる。この手段によると、エンジンのリングギヤに噛み合うピニオンと、このピニオンを回転させるアーマチャとを有するスタ−タダイナモは、エンジン始動時、スタ−タダイナモ専用の蓄電手段より蓄電電力が供給され、この蓄電電力によってアーマチャが回転して、このアーマチャの回転に伴ってピニオンが回転し、このピニオンを介してエンジンのリングギヤが駆動され、エンジンが始動するとともに、エンジン始動後、リングギヤの回転がピニオンを介してアーマチャに伝達され、スタ−タダイナモより蓄電手段が充電され、次回のエンジン始動に必要な蓄電電力が早期に充電できる。つまり、スタ−タダイナモは、エンジン駆動及び蓄電手段の充電を行う装置であるため、ピニオンとリングギヤの減速比に応じて、アーマチャの回転数が高くなり、十分な充電電流を確保でき、蓄電手段を早期に充電できるので、エンジン始動後、すぐに何らかの原因でエンジンが停止しても、充電された蓄電手段の蓄電電力によって直ちにスタ−タダイナモを作動させてエンジン再始動ができる。
【0006】もう少し言うと、エンジンを始動させる際、スタ−タダイナモは短時間に大電流を必要とするが、スタ−タダイナモ専用の蓄電手段によって、蓄電電力が給電され、エンジン始動後、大電力を発電するスタ−タダイナモによって、極めて短時間で蓄電手段が充電されるので、エンジン始動直後に何らかの理由でエンジンが停止した場合の再始動時に、スタ−タダイナモがすぐに作動できるとともに、バッテリは、大電力を必要とするスタ−タダイナモ以外の車両用電気負荷に電力供給するだけでよいので、車両用電気負荷に充分な電力を供給することができ、バッテリの寿命が延びる。
【0007】また、スタ−タダイナモ以外の車両電気負荷は、バッテリによって電力供給され、このバッテリは車両用発電機のみによって充電されるため、スタ−タダイナモを駆動させるのに必要な蓄電手段の蓄電電力がロスすることはなく、早期にエンジン再始動をすることが可能となる。請求項2の手段によれば、蓄電手段は、エンジンが駆動され、エンジンが着火してから、スタ−タダイナモがエンジン駆動に要した時間の5倍以内にスタ−タダイナモにより充電されるため、蓄電手段がスタ−タダイナモにより瞬時に充電され、次回のエンジン始動が極めて容易になる。
【0008】請求項3の手段によると、制御手段によって、スイッチ手段を接続することにより、スタ−タダイナモの始動時に、蓄電電力をスタ−タダイナモに供給し、エンジン始動後に、スタ−タダイナモの発電電力により蓄電手段を充電することが容易になる。請求項4の手段によると、制御手段は、蓄電手段の充電量が所定量に達した場合にスイッチ手段を遮断するため、必要以上にスタ−タダイナモが発電することがなく、また、その後、スタ−タダイナモの発電電圧が低下してきても蓄電手段からスタ−タダイナモに放電することがない。
【0009】請求項5の手段によると、制御手段によって、スイッチ手段を遮断することでクラッチ手段が解離される構成であるため、短時間定格仕様のスタータ構造のままで発電機能を備えたスタ−タダイナモとすることができ、小型で高効率なスタ−タダイナモとすることができる。また、クラッチ手段の解離後、蓄電手段からスタ−タダイナモに給電して無用な空転運転をし、蓄電手段が放電してしまうことがない。
【0010】請求項6の手段によると、エンジンの高回転時にスタ−タダイナモの発電電圧及び蓄電手段の蓄電電圧が過大となることがなく、クラッチ手段の解離後、蓄電手段がスタ−タダイナモに再度放電することもない。請求項7の手段によると、スタ−タダイナモがバッテリ接続用スイッチ手段を通じてバッテリに接続されるので、例えば、エンジンを長期間休止して蓄電手段が過剰に放電してしまっても、バッテリを直接スタ−タダイナモに接続し、バッテリを電源としてスタ−タダイナモを運転できるので、蓄電手段の蓄電量不足による始動不能問題を解決することができる。
【0011】請求項8の手段によると、蓄電手段の蓄電不足時に、自動的にバッテリ接続用スイッチ手段を閉じてバッテリとスタ−タダイナモとを接続するので、請求項7の手段の効果を手動操作なしで実現することができる。請求項9の手段によると、高電圧で充電できればそれだけ蓄電量を増加できるので、蓄電手段の始動時の放電による端子電圧が低下しても、スタ−タダイナモに対する始動時の放電を持続することができる。
【0012】請求項10の手段によると、蓄電手段がスタ−タダイナモのヨークの外周に近接配置されるので、効率的に体積(容積)を確保できるため、蓄電容量を確実に多く確保できるとともに、蓄電手段との一体化をしてもスタ−タダイナモの軸方向の増大を抑制できる。また、固定も容易にでき、スタータダイナモの振動や駆動音を遮断する防音防振部材としての効果もある。
【0013】請求項11の手段によると、スタ−タダイナモは高率放電性に優れた電気二重層コンデンサにより給電されるので、電力ロスを低減でき、またバッテリには高率放電が要求されないので、バッテリの寿命を向上できる。請求項12の手段によると、蓄電手段とスタ−タダイナモとを接続する電力授受専用の大電流用配線を格段に短縮できるので、この大電流配線の電力損失が低減でき、材料費及び組付け工程も圧縮できる。
【0014】請求項13の手段によると、請求項1記載の手段と同様に、エンジンのリングギヤに噛み合うピニオンと、このピニオンを回転させるアーマチャとを有するスタ−タダイナモは、エンジンの始動時、スタ−タダイナモ専用の蓄電手段より蓄電電力が供給され、この蓄電電力によってアーマチャが回転して、このアーマチャの回転に伴ってピニオンが回転し、このピニオンを介してエンジンのリングギヤが駆動され、エンジンが始動するとともに、エンジン始動後、リングギヤの回転がピニオンを介してアーマチャに伝達され、スタ−タダイナモより蓄電手段が充電され、次回のエンジン始動に必要な蓄電電力が早期に充電できる。つまり、スタータダイナモは、エンジン駆動及び蓄電手段の充電を行う装置であるため、ピニオンとリングギヤの減速比に応じて、アーマチャの回転数が高くなり、充分な充電電流を確保でき、蓄電手段を早期に充電できるので、エンジン始動後、すぐに何らかの原因でエンジンが停止しても、充電された蓄電手段の蓄電電力によって、直ちにスタ−タダイナモを作動させてエンジン再始動ができ、かつ、蓄電手段とスタ−タダイナモとを接続する電力授受専用の大電流配線を格段に短縮できるので、この大電流配線の電力損失が低減でき、材料費及び組付け工程も低減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施態様を複数の実施例により説明する。
【0016】
【実施例1】本実施例の車両用電源装置の回路図を図1に示す。スタータダイナモ1はクラッチ(本発明で言うクラッチ手段)2を通じてエンジン100に連結される直流発電電動機であって、その高電位端はマグネットスイッチ(本発明で言うスイッチ手段)7を通じて電気二重層コンデンサ(本発明で言う蓄電手段)5の高電位端に接続され、それらの低電位端は車体に接地されている。また、電気二重層コンデンサ5の高電位端はバッテリ接続用スイッチ手段をなすリレー8を通じてバッテリ101及び車両用発電機(オルタネータ)102の高電位端に接続され、それらの低電位端は車体に接地されている。9はコントローラであって、電気二重層コンデンサ5の高電位端の電圧すなわち蓄電電圧Vc及びキースイッチ(図示せず)からの入力信号に基づいてマグネットスイッチ7、リレー8を制御する。
【0017】なお、ここで言うクラッチ2は、ピニオン35とリングギヤ111との歯車の噛み合い機構のことである。スタータダイナモ1の構造を図2を参照して説明する。スタータダイナモ1は、エンジンブロックに図示しないボルトにより固定された略円筒状のハウジング40を有し、ハウジング40内には遊星減速機構60、ピニオン35、一方向クラッチ装置30が収容されている。一方向クラッチ装置30は一対の一方向性クラッチ30a、30bからなり、一方向クラッチ30bは、アーマチャ20の回転をリングギヤ111に伝達する時のみ、出力軸65とクラッチアウタ31との相対回転を拘束し、一方向クラッチ30aは、リングギヤ111の回転をアーマチャ20に伝達する時のみ、クラッチアウタ31と回転軸21との相対回転を拘束する。
【0018】ハウジング40のリヤ側には直流機が固定されている。この直流機は、両端が開口した略円筒状のヨーク10と、ヨーク10のリヤ側の端部に嵌められたエンドフレーム50とを有しており、エンドフレーム50はヨーク10及び電気二重層コンデンサ5を挟持しつつ、スルーボルト52によりハウジング40に締結されている。電気二重層コンデンサ5は、ヨーク10の外周面を囲覆する円筒体形状に形成されており、電気二重層コンデンサ5はハウジング40の段差面40aとエンドフレーム50から遠心方向へ突出する耳部53とにより挟圧されている。
【0019】ヨーク10の内周面には永久磁石(界磁)11が周方向へ極性交互に偶数固定されており、永久磁石11の内周側にはアーマチャ20が回転軸21に固定され、回転軸21の後端部は図示しない軸受けを介してエンドフレーム50に支持され、その前端部は軸受け41を介してハウジング40に支持されている。また、軟鉄からなるヨーク10の前端は輪板状の仕切り板部10aとなっており、仕切り板部10aの内周からアーマチャ20側へ軸受け筒部10bが突出しており、軸受け筒部10bは軸受け12を介して回転軸21を支持している。23は円筒型のコンミテータ、54はブラシであり、エンドフレーム50内に収容されている。
【0020】マグネットスイッチ7は、コイル78、コア79、プランジャ72と図示しない複数の接点を内含し、外周を樹脂カバー74にて覆われ、ビス77にてエンドフレーム50に固定されている。樹脂カバー74の一部より、端子71と図示しないスイッチ端子が外部に突出し、端子71は電気二重層コンデンサ5の出力端子51とリード線80により電気的に接続されている。
【0021】回転軸21の略中央部にはサンギア22が形成されており、サンギア22はプラネタリギア61に噛合し、プラネタリギア61はプラネタリギア61の外周を囲む略円筒状のインターナルギア62に噛合している。インターナルギア62はハウジング40の内周面に固定されている。プラネタリギア61は、軸受け66を介してピン64に回転自在に嵌着され、ピン64はフランジ付き円筒形状のキャリヤ63のフランジ部に圧入固定されている。キャリヤ63はサンギア22の前方側に隣接して回転軸21に回転自在に嵌着されている。
【0022】キャリア63はピニオン方向に突出して一方向性クラッチ30bのクラッチインナを構成する円筒部(出力軸)65を有しており、回転軸21に軸受を介して回転自在に支承されている。31は回転自在に嵌着される一方向性クラッチ30bのクラッチアウタであって、この一方向性クラッチ30bは円筒部65からクラッチアウタ31(エンジン駆動方向)へトルク伝達可能に係合している。クラッチアウタ31と回転軸21との間には、クラッチアウタ31から回転軸21へトルクを伝達する一方向性クラッチ30aが形成されている、これら一方向性クラッチ30a、30b自体の構造は周知であるので、その説明は省略する。クラッチアウタ31の外周はハウジング40の内周面に軸受42、43を介して回転自在に支承されている。
【0023】回転軸21にはクラッチアウタ31の前方に位置してピニオン35が相対回転及び軸方向摺動自在に嵌着されており、ピニオン35の後部はクラッチアウタ31の前部にスプライン33にて結合している。更に、ヨーク10は、ピニオン側端部より内径側に延設された輪板部10aと、輪板部10aの内周からリヤ側に突出する円筒部13とを有し、円筒部13は軸受12を介して回転軸21を回転自在に支承している。ピニオン35はリングギア111と係合するギア部36を有し、ピニオン35の後部外周には、スイッチ70の作動に応じてワイヤ76により連動してリングギア111にピニオン35を係合させるように回動するレバー75の力を受けるワッシヤ38が嵌着されている。
−エンジン始動時の作動−キースイッチを投入すると、キースイッチ入力信号を受けてコントローラ9がマグネットスイッチ7をオンさせ、マグネットスイッチ7のコイル78に通電されてプランジャ72が磁力により動き、接点(図示せず)が閉じると共に、レバー75の動きによりリングギア111にピニオン35のギア部36が噛合う。また、電気二重層コンデンサ5からリード線80を通じてスタータダイナモ1に給電され、アーマチャ20に回転力を発生する。この回転力はサンギア22を介して遊星減速機構60に伝達されて減速され、トルクが増大した状態でキャリア63の出力軸65より一方向性クラッチ30bを介してピニオン35に伝達され、大きな回転力がリングギア111を通じてエンジンに伝達され、エンジンが駆動される。この時、ピニオン35の回転数は減速前のアーマチャ20の回転数より低いため、もう一方の一方向性クラッチ30aは空転状態となっている。
−着火後の作動−エンジン回転数が上昇し、ピニオン35と、回転軸21の回転数が等しくなった時点でクラッチ30aが空転不能となり、一体となって1:1の回転数比で回転し、図3に示すように、所定の回転数(エンジンのアイドリング回転数より若干低い回転数、例えば600rpm)に達すると充電可能な発電電圧を発生し、電気二重層コンデンサ5が電機子20、整流子23、ブラシ54、マグネットスイッチ7、端子71、リード線80を通じて充電される。
【0024】この時、一方向クラッチ30bは空転状態となっており、ピニオン35を介して伝達されるエンジンの回転力は、キャリア63には伝達されないため、遊星減速機構60によりアーマチャ20の回転数が増倍されることがなく、過回転によるアーマチャ20の破損は防止される。電気二重層コンデンサ5が定格蓄電電圧まで蓄電されると(その端子電圧Vcが所定の電圧を超えると)、コントローラ9はマグネットスイッチ7を遮断し、プランジャ72がマグネットスイッチ7内のスプリングにより初期位置に戻り、それとともにレバー75がリターンスプリング76により初期状態に戻り、ピニオン35がリングギア111より離脱し、発電が停止し、スタータダイナモ1が停止する。
【0025】このスタータダイナモ1は、界磁束一定の永久磁石界磁極を用いているので、発電電圧は回転数にほぼ比例するとともに低回転時のエンジン始動トルク確保のためにアーマチャ20の抵抗が低く、かつ、端子71と電気二重層コンデンサ5の端子51とを接続するリード線80が極めて短くでき、その断面積を増大しても材料費や重量の増大はほとんど無視できる。その結果、発電時及びエンジン始動時における配線損失を従来より格段に低減することができる。また、電気二重層コンデンサ5は大電流充放電時の内部抵抗損失が小さく、それらの相乗効果により高効率の装置を実現することができる。
【0026】また、本実施例によれば、電気二重層コンデンサ5の蓄電電力によりスタータダイナモ1を駆動してエンジン100の始動を行う。したがって、電気二重層コンデンサ5及び始動時におけるスタータダイナモ1のアーマチャ20の定格電圧はバッテリ電圧に拘束されることなく自由に設定可能である。アーマチャ20に印加する電圧を通常のバッテリ101の定格電圧12Vよりも上昇できれば、その通電電流を低減して配線の抵抗損失を低減することができ、その分、アーマチャコイルの断面積も低減することができ、その他にも種々の利点が生じる。
【0027】そこで、本実施例では、電気二重層コンデンサ5の定格最大蓄電電圧をバッテリ電圧より高く、好ましくは少なくとも1.5倍以上に設定している。このようにすれば、電気二重層コンデンサ5がその放電電力の平方根に比例して電圧降下する点、及び、電気二重層コンデンサ5には自己放電が存在する点からも有益である。
【0028】次に、電気二重層コンデンサ5が大きく自己放電した場合の対策について以下に説明する。この場合には、リレー8を閉じてバッテリ101から電気二重層コンデンサ5を充電すればよい。ただし、この場合には、電気二重層コンデンサ5の蓄電電圧はバッテリ101の電圧となり、始動時の放電により電気二重層コンデンサ5の端子電圧が低下して充分にエンジン100の始動に必要な電力を電気二重層コンデンサ5からスタータダイナモ1に給電できない場合もある。このため、電気二重層コンデンサ5に通常はバッテリ101の定格電圧より高い電圧で蓄電を行う場合においてもし電気二重層コンデンサ5の電圧が低い場合にはマグネットスイッチ7を通じてスタータダイナモ1に放電する際、リレー8も閉じて、電気二重層コンデンサ5とバッテリ101の両方から始動電力をスタータダイナモ1へ供給することが好ましい。
【0029】コントローラ9の上記制御動作の一例を図4に示すフローチャートを参照して説明する。キースイッチがオンされれば、即ちキースイッチがエンジン始動指令位置に回動されれば(200)、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth1より高いかどうかを調べ(202)、高ければ直接、そうでなければリレー8をオンして(204)、VcがVth1より高くなるまで待って、再度キースイッチがオンされたままかどうかを確認し(206)、キースイッチがオンされていなければリレー7、8をオフして(208)、ステップ200に戻り、キースイッチがオンされていればスイッチ手段であるマグネットスイッチ7をオンする(210)。
【0030】なお、しきい値電圧Vth1は、電気二重層コンデンサ5単独でスタータダイナモ1を始動可能な端子電圧Vcの蓄電電圧値である。これにより電気二重層コンデンサ5からスタータダイナモ1へ始動電流が給電されるとともにレバー75の作動によりピニオン35はリングギヤ111と噛合され、エンジン100が始動される。リレー8はバッテリ101から電気二重層コンデンサ5への充電だけを行う単方向スイッチたとえばバイポーラトランジスタやサイリスタなどでもよい。
【0031】次のステップ212では、所定の短時間ΔT遅延後(212)、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth2を超えたかどうかを調べ(214)、超えればリレー8を遮断して(216)、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth3を超えたかどうかを調べ(218)、超えていれば電気二重層コンデンサ5には次の始動のために充分な電荷が蓄積されたものとしてマグネットスイッチ7を遮断して(206)、ステップ200にリターンする。
【0032】なお、しきい値電圧Vth2は、エンジンクランキング状態、即ち始動成功状態(この実施例では約600rpm)における電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcの値であって、電気二重層コンデンサ5及びバッテリ101から所定の始動電流をクランキング完了時のスタータダイナモ1に通電している場合における端子電圧Vcの値である。エンジン100の始動成功時には始動電流が低減することから端子電圧Vcはそれ以前の始動電流通電時よりも増大する。
【0033】一方、ステップ214にて電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth2を超えていなければステップ206にリターンしてキースイッチがオンされている限り始動電流通電を継続し、ステップ218にて電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth3を超えていなければ超えるまで待機して電気二重層コンデンサ5の高電圧充電を行う。
【0034】なお、本実施例では、しきい値電圧Vth1は11V、しきい値電圧Vth2は10V、しきい値電圧Vth3は20Vに設定されている。従って、本実施例の構成によれば、エンジン100のリングギヤ111に噛み合うピニオン35と、このピニオン35を回転させるアーマチャ20とを有するスタ−タダイナモ1は、エンジン始動時、スタ−タダイナモ専用の電気二重層コンデンサ5より蓄電電力が供給され、この蓄電電力によってアーマチャ20が回転して、このアーマチャ20の回転に伴ってピニオン35が回転し、このピニオン35を介してエンジン100のリングギヤ111が駆動され、エンジン100が始動するとともに、エンジン始動後、リングギヤ111の回転がピニオン35を介してアーマチャ20に伝達され、スタ−タダイナモ1より電気二重層コンデンサ5が充電され、次回のエンジン始動に必要な蓄電電力が早期に充電できる。つまり、スタ−タダイナモ1は、エンジン駆動及び電気二重層コンデンサ5の充電を行う装置であるためピニオン35とリングギヤ111との減速比に応じてアーマチャ20の回転数が高くなり、そのため充分な充電電流を確保でき、電気二重層コンデンサ5を早期に充電できるので、エンジン始動後、すぐに何らかの原因でエンジン100が停止しても、充電された電気二重層コンデンサ5の蓄電電力によって、直ちにスタ−タダイナモ1を作動させてエンジンの再始動ができる。
【0035】もう少し言うと、エンジン100を始動させる際、スタ−タダイナモ1は短時間に大電流を必要とするが、スタ−タダイナモ専用の電気二重層コンデンサ5によって、蓄電電力が給電され、エンジン始動後、大電力を発電するスタ−タダイナモ1によって、極めて短時間で電気二重層コンデンサ5が充電されるので、エンジン始動直後に何らかの理由でエンジン100が停止した場合の再始動時に、スタ−タダイナモ1がすぐに作動できるとともに、バッテリ101は、大電力を必要とするスタ−タダイナモ1以外の車両用電気負荷に電力供給するだけでよいので、車両用電気負荷に充分な電力を供給することができ、バッテリ101の寿命が延びる。
【0036】また、スタ−タダイナモ1以外の車両電気負荷は、バッテリ101によって電力供給され、このバッテリ101は車両用発電機102のみによって充電されるため、スタ−タダイナモ1を駆動させるのに必要な電気二重層コンデンサ5の蓄電電力がロスすることはなく、早期にエンジン100を再始動することが可能となる。
【0037】さらに、電気二重層コンデンサ5の内部インピーダンス及びスタ−タダイナモ1の内部インピーダンスが低いので、放電時及び充電時の両方の動作において高効率かつ高速の充放電が可能となり、スタ−タダイナモ1を長く運転する必要がなく、スタ−タダイナモ1を従来のスタ−タと同様の短時間定格仕様のままとすることができ、充放電用のケーブルの共用も含め、スタータの仕様変更を最小限又は従来のままとすることができる。なお上記高効率の点を補論すると、電気回路ではその電流部の内部インピーダンスとそれから給電される負荷のインピーダンスがマッチングする場合に高効率な負荷駆動が可能となり、電気二重層コンデンサ5のような低インピーダンス負荷の充電にはスタ−タダイナモ1のような低内部インピーダンスの装置による充電が極めて好ましい。なお、スタ−タダイナモ1としては、その大きな始動トルクの必要性から大電流駆動が必須であり、このため、直流機このましくは直巻直流機の仕様が一般的である。
【0038】例えば、蓄電手段として電気二重層コンデンサを使用する場合を想定してみると、12V、200F、30mΩ(内部抵抗)の満充電コンデンサからスタータに2秒間平均150Aの電流を通電して、コンデンサの最終端子電圧が6V(通電時)、10.5V(開放時)になる場合の放電動作を考える。この時の放電電荷量Q1は300〔C〕であるから、【0039】
【数1】
V=(QoーΔQ)/C−I・Rc=(2400ー300)/200−150×0.03=6Vとなる。なお。Qoは電気二重層コンデンサの初期チャージ量、ΔQは放電チャージ量、Iは放電電流、Rcは電気二重層コンデンサの内部抵抗、Cは電気二重層コンデンサの容量である。
【0040】次にこの電気二重層コンデンサの充電を考える。配線抵抗及び発電機内部抵抗の合計を20mΩとし、このスタータダイナモから14V(従来のオルタネータの発電電圧)を印加した時の充電電荷Qは以下の式で表される。
【0041】
【数2】
Q=C・Vc・(1−exp(−t/(C・(Rs+Rc))))
=200×(14−10.5)×(1−exp(−t/200×(0.02 +0.03))))
ここで、Vcは電気二重層コンデンサにかかる電圧、Rsは配線抵抗及び発電機内部抵抗の合計である。
【0042】この式で充電電荷Qを先の放電電荷△Qとして充電にかかる時間tを求めると、5.6秒となり、非常に短時間で始動時に消費した電荷を蓄電できる。このように発電機の内部抵抗が低ければ電気二重層コンデンサ5は短時間に充電が可能となり、スタ−タダイナモ1をエンジン始動後、短期間延長作動させればよいことが判明した。
【0043】その上、本構成によれば、車両用電気負荷に接続されるバッテリ101と、スタ−タダイナモ1駆動用の電源である電気二重層コンデンサ5を切り離しておけるので、電気二重層コンデンサ5の自然放電によりバッテリ101まで充電して電力を消費することはない。また、マグネットスイッチ7によって、エンジン100の始動時と電気二重層コンデンサ5の充電時以外は、電気二重層コンデンサ5とスタ−タダイナモ1との接続を開放できるので、この期間にスタ−タダイナモ1の発電を停止しても電気二重層コンデンサ5の蓄電電力を放電してしまうことはなく、エンジン100停止時にも同様に電気二重層コンデンサ5が放電することがない。
【0044】また、マグネットスイッチ7によって、エンジン始動時と電気二重層コンデンサ5の充電時以外は、電気二重層コンデンサ5とスタ−タダイナモ1との接続を開放できるので、この期間にスタ−タダイナモ1の発電を停止しても電気二重層コンデンサ5の蓄電電力を放電してしまうことはなく、エンジン停止時にも同様に電気二重層コンデンサ5が放電することがない。
【0045】また、コントローラ9によって、マグネットスイッチ7を接続させることにより、スタ−タダイナモ1の始動時に、蓄電電力をスタ−タダイナモ1に供給し、エンジン始動後に、スタ−タダイナモ1の発電電力により電気二重層コンデンサ5を充電することが容易になる。また、コントローラ9は、電気二重層コンデンサ5の充電量が所定量に達した場合にマグネットスイッチ7を遮断するため、必要以上にスタ−タダイナモ1が発電することがなく、また、その後、スタ−タダイナモ1の発電電圧が低下してきても電気二重層コンデンサ5からスタ−タダイナモ1に放電することはない。
【0046】また、コントローラ9によって、マグネットスイッチ7を遮断することでクラッチ2が解離される構成であるため、短時間定格仕様のスタータ構造のままで発電機能を備えたスタ−タダイナモ1とすることができ、小型で高効率なスタ−タダイナモ1とすることができる。また、クラッチ2の解離後、電気二重層コンデンサ5からスタ−タダイナモ1に給電して無用な空転運転をし、電気二重層コンデンサ5が放電してしまうことがない。
【0047】また、スタ−タダイナモ1がリレー8を通じてバッテリ101に接続されるので、例えば、長期間エンジンを休止して電気二重層コンデンサ5が過剰に放電してしまっても、バッテリ101をスタ−タダイナモ1に対し直接に接続し、バッテリ101を電源としてスタ−タダイナモを運転できるので、電気二重層コンデンサ5の蓄電量不足による始動不能問題を解決することができる。
【0048】また、電気二重層コンデンサ5の蓄電不足時に、自動的にリレー8を閉じてバッテリ101とスタ−タダイナモ1とを接続するので、手動操作なしで、上述した長期のエンジン休止などにおける電気二重層コンデンサ5の蓄電電量不足による始動不能問題を解決することができる。また、高電圧で充電できればそれだけ蓄電量を増加できるので、電気二重層コンデンサ5の始動時の放電による端子電圧が低下しても、スタ−タダイナモ1に対する始動時の放電を持続することができる。
【0049】また、電気二重層コンデンサ5がスタ−タダイナモ1のヨーク10の外周に近接配置されるので、効率的に体積(容積)を確保できるため、蓄電容量を確実に多く確保できるとともに、電気二重層コンデンサ5との一体化を行ってもスタ−タダイナモ1の軸方向への増大を抑制できる。また、固定も容易にでき、スタ−タダイナモ1の振動や駆動音を遮断する防音防振部材としての効果もある。
【0050】また、スタ−タダイナモ1は高率放電性に優れた電気二重層コンデンサ5により給電されるので、電力ロスを低減でき、またバッテリ101には高率放電が要求されないので、バッテリ101の寿命を向上できる。また、電気二重層コンデンサ5とスタ−タダイナモ1とを一体化したので、図2に示すように両者の端子を近接することにより、これら両者を極めて短い配線で接続することができるので、全体として大きな始動電流や、比較的大きな充電電流に対して抵抗損失(銅損)が少なく、始動時及びその後の電気二重層コンデンサ5の充電時において高効率通電を実現でき、始動性を向上できる。
【0051】また、スタ−タダイナモ1に電気二重層コンデンサ5を予め組み付けておいてからエンジン100に組み付けることができ、スペースが狭くて面倒なエンジンへの組み付け工程や配線工程の簡素化を実現することができる。また、エンジン100を始動させる際、スタ−タダイナモ1は短時間に大電流を必要とするが、スタ−タダイナモ専用の電気二重層コンデンサ5によって、蓄電電力が給電され、エンジン始動後、大電力を発電するスタ−タダイナモ1によって、極めて短時間で電気二重層コンデンサ5が充電されるので、エンジン始動直後に何らかの理由でエンジン100が停止した場合の再始動時に、スタ−タダイナモ1がすぐに作動できるとともに、バッテリ101は、大電力を必要とするスタ−タダイナモ1以外の車両用電気負荷に電力供給するだけでよいので、車両用電気負荷に充分な電力を供給することができ、バッテリ101の寿命が延びる。
【0052】(実施例2)実施例2を図5を参照して説明する。この実施例は、リレー8をDC−DCコンバータからなる昇圧回路80で置換した点が実施例1と異なっている。このようにすれば、スタータダイナモ1の定格電流を低下させることができ、スタータダイナモの一層の損失低減が実現する。
【0053】(実施例3)実施例3を図6を参照して説明する。この実施例は、リレー8をスタータダイナモ1の高電位端とバッテリ101の高電位端とを接続する位置に介設したものである。
【0054】このようにしても同様の効果を奏することができる。ただし、この実施例では、リレー8のオン時にはバッテリ101から必ずスタータダイナモ1に通電されるので、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcが不足する場合には、バッテリ101単独でスタータダイナモ1が始動される。動作の一例を図7のフローチャートを参照して説明する。
【0055】キースイッチがオンされれば、即ちキースイッチがエンジン始動指令位置に回動されれば(200)、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth1より高いかどうかを調べ(202)、高ければマグネットスイッチ7をオンして(閉成して)電気二重層コンデンサ5によりスタータダイナモ1に通電し(210)、そうでなければリレー8をオンしてバッテリ101によりスタータダイナモ1に通電する(208)。更に、電気二重層コンデンサ5又はバッテリ101からスタータダイナモ1への上記通電と同時にコントローラ9はクラッチ2に通電してスタータダイナモ1をエンジン100に連結する。これにより、ピニオン35はリングギヤ111と噛合され、エンジン100が始動される。リレー8はバッテリ101から電気二重層コンデンサ5への充電だけを行う単方向スイッチたとえばバイポーラトランジスタやサイリスタなどでもよい。
【0056】なお、しきい値電圧Vth1は、電気二重層コンデンサ5単独でスタータダイナモ1を始動可能な端子電圧Vcの蓄電電圧値である。これにより電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcが充分高い場合には電気二重層コンデンサ5により、そうでない場合にはバッテリ101により始動用電力を得ることができる。次に、再度キースイッチがオンされたままかどうかを確認し(206)、キースイッチがオンされていなければマグネットスイッチ7、リレー8をオフして(208)、ステップ200に戻り、キースイッチがオンされていれば、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth2より高くなるまで待機する(214)。
【0057】なお、しきい値電圧Vth2は、エンジンクランキング状態、即ち始動成功状態(この実施例では約600rpm)におけるスタータダイナモ1の端子電圧であり、端子電圧Vcがしきい値電圧Vth2より高くなることをステップ214で検出することにより始動成功を確認することができる。ステップ214にて始動成功を確認すれば、リレー8をオフし(216)、リレー7をオンする(217)。この結果、ステップ210でリレー7がオンされない場合でも、エンジン100の始動が成功してエンジンクランキング状態に入った場合には常にスタータダイナモ1からマグネットスイッチ7を通じて電気二重層コンデンサ5に通電してそれを充電することができる。この充電は電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth3を超えるまで継続され(218)、電気二重層コンデンサ5に充分な充電を行う。電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth3を超えると、電気二重層コンデンサ5への充電は完了し、マグネットスイッチ7はオフされる(220)。
【0058】なお、本実施例でも実施例1と同様に、しきい値電圧Vth1は11V、しきい値電圧Vth2は10V、しきい値電圧Vth3は20Vに設定される。
(実施例4)実施例4を図8を参照して説明する。ただし、実施例1(図2)と共通機能を有する構成要素には同一符号を付すものとする。
【0059】この実施例は、図2のスタータダイナモ1において、ピニオン45をリングギア111に常時噛合させるとともに、ピニオン35とクラッチアウタ31との間に電磁クラッチ45を配置したものある。当然、この実施例では図2におけるレバー75は省略され、リレー90はアーマチャ20への通電の断続だけを行う。詳しく説明すると、回転軸21には軸受け351を介してピニオン35が相対回転自在、軸方向変位不能に嵌着されており、ピニオン35の後端壁35aの外周側に位置して、フロントハウジング40の内周面には、電磁クラッチ45の環状のヨーク451が嵌め込まれている。ヨーク451の周方向と直角な断面は径内側へ開口するコ字形状となっており、内部にコイル452が収容されている。
【0060】また、クラッチアウタ31のピニオン側の端部外周にはスプライン310が形成されており、このスプライン310には、電磁クラッチ45の環状の移動体39のスプラインが、軸方向摺動可能、相対回転不能に嵌着されている。46は戻りスプリングであり、移動体39を電磁クラッチ45の解離方向すなわちリヤ方向へ付勢している。移動体39はヨーク451、後端壁35aとともに電磁クラッチ45の磁気回路を構成している。454は後端壁35aに固定されたクラッチ板である。
【0061】本実施例では、キースイッチをオンすればキースイッチの入力信号を受けて、コントローラ9が、電気二重層コンデンサ5から電磁クラッチ45のコイル452へ通電を行わせ、移動体39は磁気的に吸引されて戻りスプリング46の力に打ち勝ってピニオン35へ向けて移動し、ピニオン35と一体となり、スタータダイナモ1とエンジン100との係合を行う。そして、リレー90の導通によりアーマチャ20に通電され、始動が行われる。その後の動作は実施例1と同じであるが、電気二重層コンデンサ5の充電が完了すれば、即ち端子電圧Vcがしきい値電圧Vth3を超えれば、コイル452への通電が遮断され、アーマチャ20の回転が遮断される。
【0062】(実施例5)実施例5を図9を参照して説明する。ただし、実施例1、図8と共通機能を有する構成要素には同一符号を付すものとする。この実施例は、一方向性クラッチの機能を有する電磁クラッチ45aを用いる点に特徴を有する。
【0063】詳しく説明すると、回転軸21は短小に形成されており、その前端部は軸受け67を介してキャリヤ63の中央凹部に相対回転自在に支承されている。キャリヤ63は前方へ突出する減速出力軸66を有し、減速出力軸66は軸受け86を介してセンターケース85に回転自在に支承されている。センターケース85は、ヨーク5とハウジング40との間に挟持されており、センターケース85の内周面には遊星減速機構60のインターナルハウジング62が嵌入されている。電磁クラッチ45は、このキャリヤ63の減速出力軸66とピニオン35とを解離可能に接続している。
【0064】コントローラ9の上記制御動作の一例を図10に示すフローチャートを参照して説明する。キースイッチがオンされれば、即ちキースイッチがエンジン始動指令位置に回動されれば(200)、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcがしきい値電圧Vth1より高いかどうかを調べ(202)、高ければ直接、そうでなければリレー8をオンして(204)、VcがVth1より高くなるまで待って、再度キースイッチがオンされたままかどうかを確認し(206)、キースイッチがオンされていなければリレー90、8、電磁クラッチ45をオフして(300)、ステップ200に戻り、キースイッチがオンされていればスイッチ手段であるリレー90及び電磁クラッチ45をオンする(302)。
【0065】なお、しきい値電圧Vth1は、電気二重層コンデンサ5単独でスタータダイナモ1を始動可能な端子電圧Vcの蓄電電圧値である。これにより電気二重層コンデンサ5からスタータダイナモ1へ始動電流が給電されるとともに電磁クラッチ45がキャリヤ63の減速出力軸66とピニオン35とを接続し、エンジン100が始動される。
【0066】次のステップ304では、オルタネータ102の電機子電圧又はエンジン回転数センサの出力信号に基づいて検出したエンジン回転数nがしきい値回転数nth1(ここではクランキング回転数600rpm)を超えているかどうかを調べ(304)、超えていればエンジン100が始動されたと判定してリレー8をオフして(306)、ステップ308へ進み、以下であればステップ200にリターンする。ステップ308では、エンジン回転数nがしきい値回転数nth2(ここでは遊星減速機構60の許容最大回転数1000rpm)を超えているかどうかを調べ、超えていれば電磁クラッチ45を遮断して(310)、ステップ308へリターンし、以下であればエンジン回転数nがしきい値回転数nth3(400rpm)未満かどうか、即ち再度エンジン回転数nth1未満に低下したかどうかを調べて(312)、低下したらステップ200にリターンする。一方、エンジン回転数nがしきい値回転数nth3以上であれば電磁クラッチ45及びリレー90をオンして(314)、端子電圧Vcが充電終了電圧Vth3まで充電されたかどうかを調べ(316)、充電されたなら電磁クラッチ45及びリレー90を遮断して(318)、ステップ200にリターンする。一方、ステップ316にて端子電圧Vcが充電終了電圧Vth3未満であればステップ308へリターンして充電を継続する。
【0067】本実施例では、エンジン100からアーマチャ20へのトルク伝達と、アーマチャ20からエンジン100へのトルク伝達とが遊星減速機構60を通じて実施されるので、アーマチャ20の回転数が過大となる可能性があるが、電磁クラッチ45への断続通電によりアーマチャ20の高速回転の弊害を回避している。即ち、この実施例では、電磁クラッチ45が一方向性クラッチ機能を果たすこともできるので、部品点数の削減や組付性の向上を実現することができる。
【0068】(他の実施例)実施例1において、コントローラ9は、電気二重層コンデンサ5の端子電圧Vcをしきい値電圧Vth3と比較することによって、電気二重層コンデンサ5の充電を行う否かを判定しているが、エンジン100またはオルタネータ102の電機子コイルの周波数などにより、エンジン回転数を検出してエンジンクランキング状態、即ち始動成功状態を検出してもよい。即ち、エンジン回転数がアイドリング回転数に保持される場合に、クラッチ2によってエンジン100とスタ−タダイナモ1との接続を解除する。
【0069】この方法によれば、エンジン100の高回転時にスタ−タダイナモ1の発電電圧及び電気二重層コンデンサ5の蓄電電圧が過大となることがなく、クラッチ2の解離後、電気二重層コンデンサ5がスタ−タダイナモ1に再度放電することもない。また、上述した各実施例では、制御手段としてコントローラ9を用いているが、キースイッチとタイマとの組み合わせ等の他の手段であってもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成8年(1996)7月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開平9−88778
【公開日】 平成9年(1997)3月31日
【出願番号】 特願平8−172642