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【発明の名称】 内燃機関の動力伝達機構
【発明者】 【氏名】西ヶ谷 雅文

【氏名】多々良 雄大

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関の出力軸に対して一体回転可能に連結された回転子と、該回転子の外周部分との間に磁束が通過可能な空隙を有した状態に配置された固定子とを備えた電動発電機を介して、前記出力軸から出力される回転駆動力を変速機の入力軸へと伝達する内燃機関の動力伝達機構において、前記固定子を前記変速機の本体に設けられた固定部材に固定する一方で、前記回転子と変速機の本体に設けられた支持部材との間に軸受部を配置し、該軸受部により回転子を回転可能に支持するとともに前記出力軸の径方向における回転子の移動を規制したことを特徴とする内燃機関の動力伝達機構。
【請求項2】 前記支持部材を前記出力軸の軸心方向に延伸して回転子内部に配置するとともに、同部材の外周壁面と回転子の内周壁面との間に前記軸受部を配置したことを特徴とする請求項1記載の内燃機関の動力伝達機構。
【請求項3】 前記出力軸と入力軸とは、前記回転駆動力の変動を吸収する変動吸収手段を介して駆動連結されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の動力伝達機構。
【請求項4】 前記変動吸収手段の少なくとも一部を、前記固定子の内周側であり、且つ、前記出力軸の軸心方向における固定子の両端面より内部側に配置したことを特徴とする請求項3記載の内燃機関の動力伝達機構。
【請求項5】 前記変動吸収手段は、前記出力軸の基端側及び入力軸の先端側において対向するように設けられた一対の回転部材と、前記両回転部材を連結する弾性部材と、前記両回転部材間に封入された粘性流体とを有してなることを特徴とする請求項3記載の内燃機関の動力伝達機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の動力伝達機構に係り、詳しくは、内燃機関の出力軸における回転駆動力を電動発電機を介して変速機の入力軸側に伝達する動力伝達機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の技術として例えば、特開昭64−77752号公報に記載される技術を挙げることができる。同公報には、エンジンを始動させる際に用いられるスタータモータ(電動機)及びオルタネータ(発電機)の双方の機能を兼ね備えた始動充電装置を有するエンジンが記載されている。
【0003】この始動充電装置は図9に示すように、エンジンのクランク軸91に取着されたフライホイール92と、同ホイール92に設けられた回転界磁極93と、フライホイール92の内外周にそれぞれ配設されたフィールドコイル94及びステータコイル95とを備えている。
【0004】前記フライホイール92は始動充電装置のロータ(回転子)を構成するものであり、クランク軸91の端面に複数のボルト96により固定され、同軸91と一体回転可能となっている。また、フライホイール92の外周部には前記回転界磁極93がその周方向において一定間隔を隔てて複数形成されている。
【0005】前記フィールドコイル94は、エンジンの端面に設けられたアルミ製プレート97に取着され、フライホイール92に対して近接対向している。また、前記ステータコイル95は、エンジン本体98とクラッチハウジング99との間に挟持されたリング状枠体100に固着されている。そして、ステータコイル95のコア95aは前記回転界磁極93の外周面に対して近接対向し、同面との間には微少な空隙が形成されている。
【0006】上記のように構成された始動充電装置付エンジンでは、フィールドコイル94及びステータコイル95を通電制御して回転磁界を形成することにより、回転界磁極93に電磁力を作用させてフライホイール92を回転させることができる。そして、そのフライホイール92の回転力によりクランク軸91を回転させ、エンジンを始動させることができる。これに対して、エンジンの運転中にはフィールドコイル94のみを通電制御し、ステータコイル95に誘導起電力に発生させ、同起電力によりバッテリを充電することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において、回転界磁極93とステータコイルと95の間に形成される空隙は可能な限り小さい方が好ましい。即ち、回転界磁極93とステータコイル95との空隙を小さくすることにより、磁気抵抗を減少させ両者間における磁束の通過を容易なものとすることができるからである。このように、回転界磁極93及びステータコイル95間に、より多くの磁束を通過させることによって、エンジンの始動時には十分な回転トルクを得ることができるとともに、より効率的な充電を行うことが可能となる。
【0008】しかしながら、上記従来技術では、回転界磁極93を有するフライホイール92はエンジンのクランク軸91に取着されているため、エンジンの運転時においてクランク軸91に生じる振動により前記空隙が変動してしまう虞があった。従って、その空隙を大きく設定することにより、回転界磁極93とステータコイル95との接触を未然に防止するといった設計上の配慮が必要となっていた。
【0009】この発明は、上記問題に着目してなされたものであって、電動発電機を介して内燃機関の出力軸における回転駆動力を変速機の入力軸へと伝達する動力伝達機構において、前記電動発電機の固定子及び回転子間に形成された空隙の変動を抑制することにより、同電動発電機の性能を向上させることをその目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるために、請求項1記載の発明は、内燃機関の出力軸に対して一体回転可能に連結された回転子と、該回転子の外周部分との間に磁束が通過可能な空隙を有した状態に配置された固定子とを備えた電動発電機を介して、前記出力軸から出力される回転駆動力を変速機の入力軸へと伝達する内燃機関の動力伝達機構において、前記固定子を前記変速機の本体に設けられた固定部材に固定する一方で、前記回転子と変速機の本体に設けられた支持部材との間に軸受部を配置し、該軸受部により回転子を回転可能に支持するとともに前記出力軸の径方向における回転子の移動を規制したことをその要旨としている。
【0011】上記構成を備えた請求項1記載の発明は以下の作用を奏する。即ち、請求項1記載の発明では、電動発電機の固定子及び回転子をいずれも変速機の本体で固定、或いは支持する構成としたため、両者間に形成されている前記空隙の変動が抑制される。
【0012】より詳細に説明すれば、固定子は変速機の本体側に固定され、一方、回転子は、変速機側の本体に軸受部を介して支持され、前記出力軸の径方向における移動が規制されている。従って、内燃機関の運転時において同機関の出力軸に振動が生じた場合でも、その振動により固定子及び回転子間の空隙が変動してしまうことがなく、同空隙の大きさは略一定に維持される。
【0013】更に、固定子及び回転子が固定、或いは支持される変速機側の本体は、内燃機関の本体と比較して同機関の運転時において発生する振動の影響が少ないため、前記空隙の変動が更に抑制されることとなる。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の内燃機関の動力伝達機構において、前記支持部材を前記出力軸の軸心方向に延伸して回転子内部に配置するとともに、同部材の外周壁面と回転子の内周壁面との間に前記軸受部を配置したことをその要旨としている。
【0015】上記構成を備えた請求項2記載の発明では、請求項1記載の発明の作用に加えて、回転子内部に配置された支持部材の外周壁面と、回転子の内周壁面との間に軸受部を配置したため、同軸受部により前記出力軸の径方向における回転子の移動がより確実に規制される。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の内燃機関の動力伝達機構において、前記出力軸と入力軸とは、前記回転駆動力の変動を吸収する変動吸収手段を介して駆動連結されていることをその要旨としている。
【0017】上記構成を備えた請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明の作用に加えて、内燃機関の出力軸の回転駆動力は変動吸収手段を介して変速機の入力軸に伝達される。内燃機関の運転状態に応じて同機関の出力軸における回転駆動力は変動しているが、その回転駆動力の変動は前記変動吸収手段により吸収されるため、前記変速機側において回転駆動力の変動に起因した種々の振動の発生が抑制される。従って、変速機の本体に固定、或いは支持されている固定子及び回転子が回転駆動力の変動に起因して振動することが抑制される。
【0018】請求項4記載の発明は、請求項3記載の内燃機関の動力伝達機構において、前記変動吸収手段の少なくとも一部を、前記固定子の内周側であり、且つ、前記出力軸の軸心方向における固定子の両端面より内部側に配置したことをその要旨としている。
【0019】上記構成を備えた請求項4記載の発明では、請求項3記載の発明の作用に加えて、変動吸収手段の少なくとも一部が、前記固定子の内周側であり、且つ、前記出力軸の軸心方向における固定子の両端面より内部側に配置されるため、動力伝達機構において、変動吸収手段を設けたことによる同機構の大型化を抑制することができる。
【0020】請求項5記載の発明は、請求項3記載の内燃機関の動力伝達機構において、変動吸収手段は、前記出力軸の基端側及び入力軸の先端側において対向するように設けられた一対の回転部材と、前記両回転部材を連結する弾性部材と、前記両回転部材間に封入された粘性流体とを有してなることをその要旨としている。
【0021】上記構成を備えた請求項5記載の発明では、請求項3記載の発明の作用に加えて、内燃機関の出力軸から変速機の入力軸側に伝達される回転駆動力に変動が生じると、前記両回転部材を連結する弾性体が弾性変形して両回転部材が相対回転するとともに、その相対回転により両回転部材間に封入されている粘性流体が剪断変形する。このように、弾性体が弾性変形するとともに、粘性流体が剪断変形することにより前記回転駆動力の変動が効果的に吸収される。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、この発明を車両に設けられたエンジンの動力伝達機構として具体化した実施の形態について図1〜8に従って説明する。
【0023】図1は内燃機関としてのエンジン(同図では左側に位置する)、及び変速機としてのトランスミッション(同図では右側に位置する)との間に設けられた動力伝達機構11の断面図である。本動力伝達機構11はロータ49(回転子)及びステータ50(固定子)を備えた電動発電機46を有するものである。以下、この動力伝達機構11について説明する。
【0024】図1に示すように、エンジンの出力軸を構成するクランク軸12は、シリンダブロック(図示しない)にて回転可能に支持されるとともに、その基端側(図において右側)の部分はシリンダブロックの側方、即ちトランスミッション側に延出されている。そして、クランク軸12の基端側端面には、ドライブプレート27がクランク軸12と一体回転可能に設けられている。
【0025】また、トランスミッションの入力軸14は、クランク軸12と同一軸心上に配設されるとともに、その先端側(図において左側)の部分はトランスミッションのハウジング15から前記動力伝達機構11の内部にまで延出されている。そして、入力軸14の先端部分には回転部材を構成する駆動プレート16が設けられている。同駆動プレート16は全体が略円板状をなし、その中央部にはボス部16aが形成されている。同ボス部16aは、図1に示すように前記入力軸14の先端部分に外嵌されるとともに、同軸14に対してスプライン結合されており、駆動プレート16及び入力軸14とは一体回転可能となっている。そして、エンジンのクランク軸12における回転駆動力は、前記ドライブプレート27からカバー、後述する一対のリテーナプレート33,34、コイルスプリング39、及び駆動プレート16を介してトランスミッションの入力軸14へと伝達されるようになっている。
【0026】トランスミッションのハウジング15には支持部材としてのポンプハウジング17が取着されている。ポンプハウジング17の先端側部分は、図1に示すように内部に挿通孔18を有する円筒状に形成されている。一方、ポンプハウジング17の基端側部分は、複数のボルト19によりトランスミッションのハウジング15に固定されている。また、ポンプハウジング17の基端側部分の内部には、前記挿通孔18に連通され、前記ハウジング15側に向けて開口された収容孔20が形成されている。そして、ポンプハウジング17がトランスミッションのハウジング15に固定されることにより、同ハウジング15と前記収容孔20の壁面にて囲まれる空間により後述するオイルポンプ24用の収容空間21が形成されている。そして、前記挿通孔18及び収容空間21の内部には、トランスミッションの入力軸14が挿通配置され、同軸14の先端側及び基端側の部分は挿通孔18内に配置されたベアリング22,23によってそれぞれ回転可能に支持されている。
【0027】また、前記収容空間21内には、オイルポンプ24を構成するドライブギヤ25及びドリブンギヤ26が配設されている。前記ドライブギヤ25には前記入力軸14が挿通されるとともにスプライン結合され、ドライブギヤ25及び入力軸14とは一体回転可能となっている。そして、入力軸14の回転に伴うドライブ及びドリブンギヤ25,26の回転により前記オイルポンプ24が駆動されてオイルパン(図示しない)の油がトランスミッション内の油圧制御回路(図示しない)に圧送されて供給されるようになっている。
【0028】前記ドライブプレート27は略円板状をなし、その中央部分がクランク軸12の基端側端面に複数のボルト31により固定されることにより、クランク軸12と一体回転可能となっている。また、ドライブプレート27の外周側の一側部には全体が環状をなす固定部28がボルト32により取着されている。そして、固定部28には前記カバー29及び連結部材30の外周部分が溶接により固着されている。前記カバー29は全体が略円板状をなし、その一側部には回転部材としての一対のリテーナプレート33,34が取着されている。
【0029】図3は前記カバー29、両リテーナプレート33,34、及び駆動プレート16を分解して示すものである。同図に示すように、前記両リテーナプレート33,34はいずれも皿状をなし、その中央部分には透孔35,36がそれぞれ形成されている。また、両リテーナプレート33,34の外周部分には取付フランジ33a,34aがそれぞれ形成されており、図3に示すように各取付フランジ33a,34aは前記カバー29に対して複数のリベット37により固定されている。更に、両リテーナプレート33,34の間には前述した駆動プレート16が介装されている。
【0030】駆動プレート16には、その周方向において90°ずつ離間した位置に矩形状のスプリング保持部38がそれぞれ透設されており、各スプリング保持部38内には、同保持部38の長手方向に伸縮可能なコイルスプリング39が弾性部材として配設されている。また、前記両リテーナプレート33,34には、前記スプリング保持部38と対応する位置には矩形孔43,42を有した凸部40,41がそれぞれ形成されている。図4はその凸部41の一つを示し、図5は図4のA−A断面を示している。
【0031】図4及び図5に示すように、前記各凸部40,41により前記コイルスプリング39の外周部分の一部は覆われ、同スプリング39はスプリング保持部38から離脱しないように保持されている。また、各凸部40,41の両側部40a,41aにはコイルスプリング39の両端部がそれぞれ当接されている。そして、クランク軸12の回転駆動力は、両リテーナプレート33,34から、コイルスプリング39を介して駆動プレート16に伝達されるようになっている。
【0032】以上のように前記両リテーナプレート33,34と駆動プレート16とはコイルスプリング39を介して駆動連結されているが、両者の間には若干の相対回動が許容されるようになっている。即ち、図6(a)或いは図6(b)に示すように、コイルスプリング39が弾性変形することによって、両リテーナプレート33,34と駆動プレート16とはそのコイルスプリング39の変形量K1 、K2に応じた相対回動が可能となる。
【0033】また、後述するようにステータコア58及びステータコイル59からなるステータ50は全体が環状となるように形成されているが、前記駆動プレート16及びリテーナプレート33,34において、スプリング保持部38及び凸部40,41が形成される位置は、図2に示すようにそのステータコイル59の内周側となっている。そして、スプリング保持部38及び凸部40,41内に配置されたコイルスプリング39の一部は、前記ステータコイル59の先端側端面より内部側に配置されている。
【0034】尚、本実施の形態では、前述したカバー29、両リテーナプレート33,34、駆動プレート16、及びコイルスプリング39等により変動吸収手段としてのダンパー45が構成されており、クランク軸12における回転駆動力の変動が同ダンパー45により吸収されるようになっている。
【0035】次に、本実施の形態における動力伝達機構11に備えられた電動発電機46について説明する。電動発電機46は、電動機としての機能と、発電機としての機能を併せ有するものである。以下、その構成について詳細に説明する。
【0036】本電動発電機46は、前記連結部材30に連結され、クランク軸12と一体的に回転するロータ49(回転子)と、ロータ49の外周部分を覆うようにして配置されたステータ50(固定子)とを備えている。
【0037】ドライブプレート27の連結部材30は全体が深皿状をなし、その中央部分には取付孔47が形成されている。同取付孔47内には略円筒状をなすロータ支持部48が挿通され、同支持部48の端部に形成された係止部48aが連結部材30の側部に溶接されている。
【0038】前記ロータ49は、環状に形成されたロータコア51と、同コア51に巻回されたロータコイル52とから構成されている。ロータコア51はロータコイル52に磁束を導くためのものであり、高透磁率材料(例えば、ケイ素鋼鈑)により形成されている。そして、ロータ49は、ロータコア51が前記ロータ支持部48の外周部分にて焼き嵌め固定されることにより、前記ドライブプレート27と一体回転可能となっている。また、前記ロータ支持部48の内部には、前記ポンプハウジング17の先端側の部分が延伸されて配置されている。そして、その延伸された部分には、円筒状をなすパイプ材53が圧入、外嵌されている。同パイプ材53は熱処理により耐磨耗性が向上された鉄材料により形成されている。そして、パイプ材53の外周部分と、前記ロータ支持部48の内周部分との間には軸受部を構成する2つのローラベアリング54,55が配置されている。
【0039】各ローラベアリング54,55は、図7に示すように、環状をなすベアリングケース54a,55aを有し、その内周壁には複数の矩形穴54b,55bが周方向に所定間隔を隔てて形成されている。そして、各矩形穴54b,55b内にはローラ54c,55cが回転可能に配置されている。
【0040】図8に示すように、前記ロータ支持部48の内周壁の一部は拡径形成されており、その拡径形成された部分には、前記各ベアリングケース54a,55a及び各両ケース54a,55aの間に配置される環状部材56がそれぞれ内嵌されている。そして、前記両ベアリングケース54a,55a及び環状部材56は、ロータ支持部48の内周部分に取着されたスナップリング57により同支持部48の長手方向における移動が規制されている。
【0041】このように、ロータ支持部48に各ローラベアリング54,55が取着されると、各ローラベアリング54,55に設けられたローラ54c,55cの外周部分は、前記パイプ材53の外周部分に当接される。その結果、前記ロータ49はポンプハウジング17に対して各ローラベアリング54,55により回転可能に支持されることとなる。
【0042】一方、前記ステータ50は、環状に形成されたステータコア58と、同コア58に巻回されたステータコイル59とから構成されている。ステータコア58は前記ロータコア51と同様に高透磁率材料から形成されている。また、ステータコイル59はインバータ(図示しない)を介してキャパシタ(図示しない)に接続される一方で、バッテリ(図示しない)にも接続されている。
【0043】ステータコア58の外周部分は、固定部材としてのステータ支持部60に焼き嵌め固定されている。また、ステータ支持部60には同じく固定部材としてのモータハウジング61が図示しないノックピンにて位置決めされた状態で固定されている。そして、モータハウジング61は図示しないノックピンにて位置決めされた状態で、複数のボルト62によりトランスミッションのハウジング15に固定されている。従って、ステータ50はステータ支持部60及びモータハウジング61を介してトランスミッションのハウジング15に対して固定されることとなる。
【0044】以上のように、ステータ50がトランスミッションのハウジング15に対して固定されると、ステータコア58の内周壁面とロータコア51の外周壁面との間には環状の空隙Gが形成され、同空隙Gを介してロータコア51及びステータコア58に生じる磁束が通過可能となっている。
【0045】以上の構成に加えて本実施の形態では、入力軸14の外周壁面と前記挿通孔18の内周壁面との間に形成された環状の空間が油供給路63となっている。同油供給路63は図示しない油圧制御回路を介した油通路によりオイルポンプ24の吐出口68に連通されており、オイルポンプ24内の粘性流体としての潤滑油は油供給路63を介して前記ロータ支持部48、連結部材30、固定部28、及びカバー29により囲まれた前記ダンパー45の内部空間64(以下、単に内部空間64という)内に供給されている。
【0046】また、前記各ローラベアリング54,55及び環状部材56の内周壁面と、パイプ材53の外周壁面との間に形成される環状の空間は油排出路65となっている。油排出路65の基端側は、前記ロータ支持部48とポンプハウジング17との間に配設されたオイルシール66により閉塞されている。また、ポンプハウジング17の内部には、前記油排出路65の基端側部分とトランスミッションのオイルパン(図示しない)とを連通する油通路67が形成されている。そして、前記内部空間64に供給された潤滑油が過剰となった際には、前記油排出路65及び油通路67を介して潤滑油がオイルパン側へと排出されるようになっている。この際、潤滑油は、油排出路65の途中に配設されたローラベアリング54,55のローラ54c,55c間を通過してオイルパン側へ排出される。
【0047】次に、以上のように構成された本実施の形態における動力伝達機構11の作用について説明する。先ず、エンジンの運転を開始する際、ステータコイル59は通電制御され、同コイル59にはロータコイル52の回転に対して進んだ位相となる回転磁界が発生する。そして、その回転磁界によってロータコア51には回転力が付与され、その回転力によりロータ49と連結部材30等を介して連結されているドライブプレート27及びクランク軸12を回転させてエンジンを始動させることができる。また、ロータ49に発生する回転力はエンジンの始動時だけではなく、エンジンを高出力で運転させる際の補助動力としても利用される。
【0048】次に、エンジンが始動されると、クランク軸12における回転駆動力は、ドライブプレート27、カバー29、各リテーナプレート33,34、コイルスプリング39、及び駆動プレート16を介してトランスミッションの入力軸14に伝達される。この際、ステータコイル59は通電制御され、同コイル59にはロータコイル52の回転に対して遅れた位相となる回転磁界を発生させるとともに、ロータ49の回転に伴う誘導起電力を発生させる。そして、その誘導起電力はインバータを介してキャパシタ(いずれも図示しない)に充電される。また、このようにステータコイル59を通電制御して、同コイル59に誘導起電力を発生させた状態でロータ49を回転させると、その回転に伴って前記入力軸14における回転エネルギがより多く消費されるようになり、車両の制動補助を行うことができる。
【0049】以上のように、本実施の形態における動力伝達機構11によれば、同機構11に設けられた電動発電機46が電動機及び発電機として機能することにより、エンジンの始動、高出力時の補助、及び車両の制動補助を行うことができる。
【0050】そして、本実施の形態においては、ロータコア51が固定されたロータ支持部48を、同支持部48とポンプハウジング17との間に配置されたローラベアリング54,55により回転可能に支持する構成としたため、ロータ49におけるクランク軸12の径方向での移動が規制されている。また、電動発電機46のロータ49及びステータ50をいずれもトランスミッション側にて固定、或いは支持する構成としたため、両者49,50は、エンジンの運転時に発生する振動の影響を受け難いものとなっている。
【0051】更に、クランク軸12の回転駆動力は常に変動しているが、本実施の形態では、その回転駆動力の変動が前記ダンパー45によって吸収され、トランスミッション側に伝達されることが抑制されている。即ち、回転駆動力の変動は、ダンパー45のコイルスプリング39が弾性変形するとともに、ダンパー45の内部空間64にある潤滑油が両リテーナプレート33,34と駆動プレート16との間で剪断変形することにより吸収、減衰される。従って、回転駆動力の変動に起因した振動がトランスミッション側に発生しないよう抑制されている。
【0052】以上、本実施の形態の構成及び作用について説明したが、本実施の形態は以下の(イ)〜(ニ)の効果を奏するものである。
(イ)ロータコア51をローラベアリング54,55によりポンプハウジング17に対して回転可能に支持するようにしたため、ロータ49におけるクランク軸12の径方向における移動が確実に規制され、ロータ49とステータ50との間に形成された空隙Gの変動を防止することができる。従って、同空隙Gを設計上より小さく設定することができ、その空隙Gにおける磁束密度を増加させることができる。その結果、動力伝達機構11の電動発電機46は、より大きな回転力を発生させることができるとともに、より大きな誘導起電力を発生させて効率的な充電を行うことができる。
【0053】(ロ)本実施の形態では、電動発電機46のロータ49及びステータ50をいずれもトランスミッション側に固定或いは支持するようにした。エンジンの運転時においてトランスミッション側はエンジン側に比べその運転に伴う振動が小さいため、ロータ49及びステータ50は振動の少ないものとなり、前記空隙Gの変動を更に抑制することができる。
【0054】(ハ)また、クランク軸12と入力軸14とをダンパー45を介して駆動連結したため、クランク軸12における回転駆動力の変動は同ダンパー45により吸収、減衰される。従って、トランスミッションにおいて、前記回転駆動力の変動に起因した振動の発生を抑制することができ、ロータ49及びステータ50における振動を抑制することができる。また、本動力伝達機構11において設けられたダンパー45は内部空間64に潤滑油が封入された、いわゆる湿式ダンパーであるため、より効果的に前記回転駆動力の変動を吸収、減衰させることができる。
【0055】(ニ)本実施の形態のダンパー45において、同ダンパー45を構成するコイルスプリング39の一部をステータ50の内周側であり、かつ、その先端側端面よりステータ50の内部側に位置するように配設した。従って、ダンパー45を設けたことによる動力伝達機構11の大型化、特に、クランク軸12の軸方向における大型化を抑制することができる。
【0056】尚、本実施の形態は以下のようにその構成を変更して実施することも可能である。
(1)上記実施の形態では、ロータ支持部48とポンプハウジング17との間にローラベアリング54,55を設け、同ローラベアリング54,55によりロータ49におけるクランク軸12の径方向での移動を規制するようにしたが、この構成を以下のように変更する。即ち、ポンプハウジング17の先端部分を円錐形状に形成してその外周壁面をテーパ面とし、また、ロータ支持部48の内周壁面を前記テーパ面に平行なテーパ面に形成する。そして、両テーパ面の間にはローラベアリングを配置して、ロータ支持部48をポンプハウジング17により回転可能に支持する。以上のように構成しても、ロータ49におけるクランク軸12の径方向における移動を規制して、ロータ49及びステータ50間の空隙Gの変動を抑制することができる。
【0057】(2)上記実施の形態では、ダンパー45の弾性部材としてコイルスプリング39を用いたが、例えば、板ばね、ゴム等により同弾性部材を構成するようにしても同様の作用効果を得ることができる。また、ダンパー45に設けられるコイルスプリング39の数も4つに限定することなく、同スプリング39の弾性係数の大きさに応じて適宜増減させてもよい。
【0058】尚、本明細書の記載において「固定部材」及び「支持部材」とは、変速機の本体に対して別体として設けられるものであっても、或いは同変速機に一体的に設けられるものであってもよい。また、その形状についても、「固定部材」では電動発電機の固定子を実質的に固定でき、「支持部材」では電動発電機の回転子との間に軸受部が配設可能であれば任意でよい。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明によれば、固定子及び回転子間に形成された空隙の変動を抑制することができる。従って、同空隙をより小さく設定することができ、本動力伝達機構の電動発電機における回転力の増大及び発電機能の向上を図ることができる。
【0060】特に、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、前記出力軸の径方向における回転子の移動がより確実に規制され、前記空隙の変動を更に抑制することができる。
【0061】また、請求項3及び5記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明における効果に加え、回転駆動力の変動に起因した固定子及び回転子の振動を抑制することができ、両者間に形成された空隙の変動を更に抑制することができる。特に、請求項5記載の発明によれば、弾性部材の弾性変形と、粘性流体の剪断変形とによって効果的に回転駆動力の変動を吸収することができる。
【0062】加えて、請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明の効果に加え、変動吸収手段を動力伝達機構に設けたことによる同機構の大型化を抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成7年(1995)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開平9−79119
【公開日】 平成9年(1997)3月25日
【出願番号】 特願平7−233012