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【発明の名称】 磁石式スタータ
【発明者】 【氏名】瓜生 信彦

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】内周面に周方向等間隔に複数の永久磁石が配設される略円筒形状のヨークと、互いに隣接する前記永久磁石の間に位置して前記ヨークに径方向に貫孔された水抜き用又は換気用の貫通孔と、外周面が前記永久磁石の径方向内側の表面に密着して前記永久磁石を補強、保護するとともに前記貫通孔からの注水からアーマチャを保護するスリーブとを備えることを特徴とする磁石式スタータ。
【請求項2】内周面に周方向等間隔に複数の永久磁石が配設される略円筒形状のヨークと、互いに隣接する前記永久磁石の間に位置して前記ヨークに径方向に貫孔された水抜き用又は換気用の貫通孔と、前記ヨークから径方向へ所定ギャップ離れるとともに互いに隣接する一対の永久磁石に密着して配設されて前記貫通孔に対面する補極用永久磁石とを備えることを特徴とする磁石式スタータ。
【請求項3】前記貫通孔は少なくともヨークの下方部分に形成される請求項1記載の磁石式スタータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両エンジン始動用に用いられる磁石式スタータに関する。
【0002】
【従来技術】実公平1ー180157号公報及び実開昭61ー126759号公報は、ヨークに開口された水抜き孔を遮蔽するためにカバーを設け、これにより水抜き孔からスタータモータの内部へ水が侵入するのを抑止している。また、実公昭54ー119606号公報は、ヨークとブラケットとの嵌合部に位置して、上記両者の少なくとも一方に水抜き穴を設けるとともに水抜き穴の周囲を径方向内側へ曲げてラビリンス構造とすることにより内部への水の侵入を抑止することを提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した特別の水抜き孔遮蔽用のカバーの設置は、いうまでもなく、カバーの作製、取り付けのための資材と手間と費用とが増加するという問題があり、上記したヨーク又はブラケットの加工により水抜き孔周辺にラビリンス構造を設けるという案も、複雑な形状のヨーク又はブラケットを作製することは、金型形状及び加工が複雑となるという問題があった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、製造工数の増大を抑止しつつヨークの水抜き孔又は換気孔への水の侵入を抑止可能な磁石式スタータを提供することを、その目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成は、内周面に周方向等間隔に複数の永久磁石が配設される略円筒形状のヨークと、互いに隣接する前記永久磁石間の間隙部に位置して前記ヨークに径方向に貫孔された水抜き用又は換気用の貫通孔と、外周面が前記永久磁石の径方向内側の表面に密着して前記永久磁石を補強、保護するとともに前記貫通孔からの注水からアーマチャを保護するスリーブとを備えることを特徴とする磁石式スタータである。
【0006】本構成によれば、ヨークの水抜き孔を通じてヨーク内部に飛び込んだ雨水などによりアーマチャなどが被水するのを抑止することができる。本構成の特に重要な点は、永久磁石を保護、補強する非磁性のスリーブが侵入水からアーマチャなどを遮蔽する遮水部材(いわゆるカバー)を兼ねるので、なんらこの遮水機能の付与に関して工程の延長を必要としない点にある。
【0007】本発明の第2の構成は、内周面に周方向等間隔に複数の永久磁石が配設される略円筒形状のヨークと、互いに隣接する前記永久磁石の間に位置して前記ヨークに径方向に貫孔された水抜き用又は換気用の貫通孔と、前記ヨークから径方向へ所定ギャップ離れるとともに互いに隣接する一対の永久磁石に密着して配設されて前記貫通孔に対面する補極用永久磁石とを備えることを特徴とする磁石式スタータである。本構成によれば、補極用永久磁石が第1の構成のスリーブと同じ作用効果を奏することができる。
【0008】本発明の第3の構成は、上記第1又は第2の構成において更に、前記貫通孔が少なくともヨークの下方部分に形成されることを特徴としている。本構成によれば、良好な水抜きが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の好適な態様を以下の実施例に基づいて説明する。
【0010】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明のスタータ及びその取り付け方法を図1〜図2を参照して説明する。図1はその軸方向全体断面図を示し、図2はスタータモータ2の径方向に断面図を示す。
【0011】本実施例の磁石式スタータは、スタータモータ1と、スタータ機構3とマグネットスイッチ5とからなる。スタータモータ1は、永久磁石界磁型のDCモータであって、ヨーク10内に収容されている。ヨーク10は軟鉄からなる略円筒形状を有して静止磁路をなしており、ヨーク10の内周面には合計6個の永久磁石11が周方向等間隔に固定されて界磁極をなしている。永久磁石11の径方向内端側の表面に接して非磁性薄肉円筒形状のスリーブ12が軸方向から嵌入されており、スリーブ12は永久磁石11の機械的な補強及び保護を行っている。ヨーク10の両端開口には隔板13、14を挟んでリヤフレーム15及びセンターハウジング16が嵌合され、それらはこの状態で図示しないスルーボルトによりスタータハウジング30に固定されている。17はアーマチャであって、アーマチャ17の回転軸18の後端部はリヤフレーム15に回転自在に支持されている。リヤフレーム15内にはブラシ19が保持され、ブラシ19は回転軸18に固定されたコンミテータ20に摺接している。
【0012】回転軸18の前端部にはサンギヤ21が形成され、このサンギヤ21はセンターハウジング16内にて遊星減速機構22の一部を構成してスタータ出力軸31に減速トルクを伝達している。スタータ機構3は、スタータハウジング30の前端部及びセンターハウジング16に回転自在に支持されるスタータ出力軸31を有し、スタータ出力軸31の後端部には回転軸16の前端部が回転自在に嵌入されている。スタータ出力軸31には一方向性クラッチ32と一体のピニオン33がヘリカルスプライン嵌合されていおり、ピニオン33に設けられたピニオンギヤ33aは図示しないリングギヤと噛合可能となっている。
【0013】マグネットスイッチ5の前端部は、スタータハウジング30の上部開口に嵌入された状態で図示しない締結ボルトで固定されている。マグネットスイッチ5の駆動軸51はレバー52を揺動させて一方向性クラッチ32付のピニオン33をリングギヤとの噛合のために前進させ、キースイッチのオフとともにレバー52は不図示のリターンスプリングにより逆方向に揺動して一方向性クラッチ32付のピニオン33の後退すなわちリングギヤからの解離を可能としている。
【0014】キースイッチの投入とともにマグネットスイッチ5に通電が開始され、駆動軸51がピニオン33をリングギヤに噛合させる。それと同時に、マグネットスイッチ5内の接点が閉じてアーマチャ17に通電され、アーマチャ17が回転し、この回転力は遊星減速機構22、スタータ出力軸31、ピニオン33、リングギヤを通じてエンジンを始動させる。上記したスタータの構成及び作動自体は周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0015】本実施例の重要部分の構造及び作用効果を以下に説明する。ヨーク10の内、永久磁石11の間の間隙部分10aは、永久磁石11の周方向への変位を禁止するために径方向内側へ曲げられている。また、スリーブ12は各永久磁石11の径方向内端側の表面に接着、又は圧入されて接しており、永久磁石11の固定すなわちヨーク10からの径方向への脱落を防止するとともに、脆い焼結フェライト製の永久磁石11を機械的に保護している。スリーブ12には永久磁石11の間の各間隙部分10aの内、最下方に位置する間隙部分10aに連通して水抜き孔7が貫孔されている。
【0016】このようにすれば例えば路面などから水抜き孔7へ水が飛び込んだとしても、注水された水はスリーブ12に当たってそれより内部に侵入するのが防止され、やがて再び水抜き孔7から外部へ落下する。また、結露などの何らかの原因により内部に滞留した水もこの水抜き孔7から外部へ落下する。結局、本実施例では既存のスリーブ12を遮水手段を兼ねるためになんら特別の工程を付与することなく、水抜き孔7の遮水を実現することができる。
【0017】なお、ヨーク10の形状は当然自由であり、例えば単純な円筒形状として永久磁石11をヨーク10の内周面に接着することも可能である。なお、永久磁石11はセラミック磁石であるので、被水しても発錆することがなく、好都合である。
(実施例2)他の実施例を図3を参照して説明する。
【0018】この実施例では、各永久磁石11間の全ての間隙部分10aに連通してヨーク10に貫通孔7を設けたものである。なお、8は電機子反作用低減のための補極をなす永久磁石である。この貫通孔7は水抜き孔をなすとともに換気孔として作用する。具体的に説明すると、いまエンジンからの受熱またはエンジン始動直後などにおいて高温となっているスタータが被水するとスタータが冷却されてスタータ内部の空気が圧縮され、スタータ内部が負圧となる。すると、スタータ外周面に付着している水などが水抜き孔や各種隙間から内部に吸引されて浸水が生じてしまう。
【0019】これに対し本実施例では、ヨーク10に多数の貫通孔7が開口されているので、たとえスタータモータ内部の空気温度が急変してその体積縮小が急激に生じたとしてこれら多数の貫通孔7から外気が流入してスタータモータ内部が長く負圧状態となって内部に水を吸入するのを阻止することができる。そして、実施例1と同様に、各貫通孔7を通じてのスタータモータの中心部への注水は補極8及びスリーブ12により阻止される。
【0020】なお、貫通孔7は、各永久磁石11間の1つの間隙部分10a当たり複数開口することができる。
(変形態様)また、貫通孔7はヨーク10の下半分に設けることができる。このようにすれば、貫通孔7は内部から外部へ傾斜して配設することができ、内部に注水された水が円滑に自然落下して内部に滞留したり、軸方向へ回り込んだりするのを阻止することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成7年(1995)9月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開平9−79117
【公開日】 平成9年(1997)3月25日
【出願番号】 特願平7−232712