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車両始動制御装置 - 特開平9−72266 | j-tokkyo
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【発明の名称】 車両始動制御装置
【発明者】 【氏名】伊藤 泰志

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クランクシャフトを有する内燃機関と、燃料を蓄圧状態で保持するとともに、内燃機関の気筒内に所定圧力の燃料を直接供給する燃料供給手段と、気筒内に供給された燃料に点火する点火手段と、クランクシャフトにより駆動され燃料供給手段における燃料圧力を所定圧力まで昇圧させる昇圧手段と、燃料供給手段における燃料圧力を検出する燃料圧力検出手段とを備えた車両始動制御装置において、前記クランクシャフトに連結され、前記クランクシャフトを回転させる電動機と、前記燃料圧力検出手段により検出された始動時における燃料圧力が低くなるにしたがって前記電動機の回転数を高くする回転数変更手段とを備えたことを特徴とする車両始動制御装置。
【請求項2】 燃焼室とクランクシャフトに連結されたピストンを有する内燃機関と、燃焼室に燃料を供給する燃料供給手段と、燃焼室に供給された燃料に点火する点火手段と、内燃機関の温度を検出する機関温度検出手段とを備えた車両始動制御装置において、 前記クランクシャフトに連結され、前記クランクシャフトを回転させる電動機と、前記機関温度検出手段により検出された始動時における機関温度が低くなるにしたがって前記電動機の回転数を高くする回転数変更手段を備えたことを特徴とする車両始動制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関のクランクシャフトに連結された電動機を介して内燃機関を始動させる車両始動制御装置に関し、さらに詳細には、内燃機関と発電・電動機を駆動源として備えた車両に好適な車両始動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、内燃機関を備えた車両では、スタータモータを作動させることによりクランクシャフトを回転させて内燃機関を始動させている。ここで、クラキング時におけるクランクシャフトの回転数は、スタータモータの仕様及びバッテリ電圧によって定まる特性と、内燃機関の油温等により決定される内燃機関の摩擦損失との関係によって定まるものである。
【0003】したがって、バッテリ電圧が一定である車両においては、スタータモータは、内燃機関の始動条件にかかわらず、所定の回転数でクランクシャフトを回転させていた。
【0004】また、今日、発電・電動機と内燃機関とを駆動源として備えた車両が実用化されている。たとえば、特開平5−223042号公報には、発電・電動機と内燃機関とを駆動源として備え、スタータモータの代わりに発電・電動機によって内燃機関を始動させる技術が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれの従来技術においても内燃機関の始動条件に応じてスタータモータ、発電・電動機の回転数を変更するという思想は存在していなかった。
【0006】したがって、内燃機関が冷えている冷間時であってもスタータモータ等の回転数を高くすることによりクランク回転数(ピストンスピード)を変更して、シリンダ内における吸気の乱れを大きくすることができなかった。この結果、気筒内、ポート内に付着した燃料が気化し難くなり、始動性が悪くなるという問題があった。
【0007】また、近年、昇圧ポンプにより所定圧力まで昇圧された燃料を、インジェクタを介して直接シリンダ内に供給する筒内噴射型の内燃機関が実用化、提案されている。この種の内燃機関におけるインジェクタは、所定圧力下において最適な燃料噴射形状を実現するように設計されており、始動時における燃料圧力が所定圧力よりも低い場合には、最適な燃料噴射形状を得ることができず着火し難かった。
【0008】それならば、昇圧ポンプによって燃料圧力を予め所定圧力まで昇圧させておけば良いように思われるが、一般的に、昇圧ポンプは、クランクシャフトによって間接的に駆動されている。したがって、クランキング時にクランクシャフトを所定の回転数でしか回転させることのできない従来のスタータモータ等においては、燃料圧力を速やかに所定圧力まで昇圧させることができず、始動性が悪いという問題があった。
【0009】本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、気筒内に直接燃料が供給される内燃機関を備えた車両において、燃料圧力が低下している状態における始動性を向上させることを目的とする。また、内燃機関の機関温度が低い場合における始動性を向上させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載の発明に係る車両始動制御装置は、クランクシャフトM1を有する内燃機関M2と、燃料を蓄圧状態で保持するとともに、内燃機関M2の気筒M3内に所定圧力の燃料を直接供給する燃料供給手段M4と、気筒M3内に供給された燃料に点火する点火手段M5と、クランクシャフトM1により駆動され燃料供給手段M4における燃料圧力を所定圧力まで昇圧させる昇圧手段M6と、燃料供給手段M4における燃料圧力を検出する燃料圧力検出手段M7とを備えた車両始動制御装置において、前記クランクシャフトM1に連結され、前記クランクシャフトM1を回転させる電動機M8と、前記燃料圧力検出手段M7により検出された始動時における燃料圧力が低くなるにしたがって前記電動機M8の回転数を高くする回転数変更手段M9とを備えたことを特徴とする。
【0011】本請求項に記載の発明に係る車両始動制御装置では、燃料圧力検出手段M7は、燃料供給手段M4における燃料圧力を検出し、回転数変更手段M9は、燃料圧力検出手段M7によって検出された始動時における燃料圧力が低くなるにしたがって電動機M8の回転数を高くする。すなわち、内燃機関M2始動時に燃料供給手段M4における燃料圧力が低い場合には、電動機M8は高い回転数で回転し、クランクシャフトM1も高回転で駆動される。
【0012】したがって、クランクシャフトM1によって駆動される昇圧手段M6は、短期間で燃料供給手段M4における燃料を所定圧力まで昇圧し、燃料供給手段M4は、内燃機関M2の始動当初から内燃機関M2の気筒M3内に所定圧力の燃料を供給し得る。この結果、気筒M3内に供給された燃料は、点火手段M5によって速やかに点火され、内燃機関M2が迅速に始動する。
【0013】また、請求項2に記載の発明に係る車両始動制御装置は、燃焼室M10とクランクシャフトM1に連結されたピストンM11を有する内燃機関M2と、燃焼室M10に燃料を供給する燃料供給手段M4と、燃焼室M10に供給された燃料に点火する点火手段M5と、内燃機関M2の温度を検出する機関温度検出手段M12とを備えた車両始動制御装置において、前記クランクシャフトM1に連結され、前記クランクシャフトM1を回転させる電動機M8と、前記機関温度検出手段M12により検出された始動時における機関温度が低くなるにしたがって前記電動機M8の回転数を高くする回転数変更手段M13を備えたことを特徴とする。
【0014】本請求項に記載の発明に係る車両始動制御装置では、機関温度検出手段M12は、機関温度を検出し、回転数変更手段M13は、機関温度検出手段M12により検出された始動時における機関温度が低くなるにしたがって電動機M8の回転数を高くする。すなわち、機関温度が低い場合には、電動機M8は高い回転数で回転し、クランクシャフトM1も高回転で駆動される。
【0015】したがって、ピストンM11が高速駆動され燃焼室M10内における乱流強度が高くなり、機関温度が低いために燃焼室M10内に付着したままの燃料が迅速に気化がされる。この結果、燃焼室M10内の燃料は点火手段M5によって速やかに点火され、内燃機関M2が迅速に始動する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化したいくつかの発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】先ず、本発明の実施の形態に係る車両Bの構成について図2及び図3を参照して説明する。ここに、図2は本発明の実施の形態が適用されるガソリンエンジン10、及びモータジェネレータ30を駆動源として備えた車両Bのシステムを示す概略構成図である。
【0018】車両Bは、内燃機関としてのエンジン10と、エンジン10の出力側に配設された電動機としてのモータジェネレータ30と、モータジェネレータ30の出力側に配設された無段変速機38(CVT)とを備えている。
【0019】エンジン10は、シリンダブロック11内に複数の燃焼室12を有しており、また、各燃焼室12内における混合気の爆発によるピストン12aの往復動を出力トルクとして出力するためのクランクシャフト13を備えている。
【0020】シリンダブロック11には、エンジン水温を検出するための水温センサ46が配設されている。クランクシャフト13の近傍には、クランク角センサ40が配設されており、気筒判別センサ41による基準位置信号の発生後に、クランク角センサ40からのクランク角度信号の発生数を計測することで、ECU60(後述する)にてクランクシャフト13の回転速度(エンジン回転数NE)が算出される。
【0021】各燃焼室12には、混合気に点火するための点火プラグ13が、燃焼室12に突出するように配設されている。各点火プラグ14は、プラグコード等(図示しない)を介して、シリンダブロック11の近傍に配設されているディストリビュータ15に接続されている。
【0022】そして、ECU60からの点火信号に基づきイグナイタ16から出力された高電圧は、ディストリビュータ15によって、クランク角度に同期して各点火プラグ14に分配される。また、ディストリビュータ15には、基準位置信号を検出するための気筒判別センサ41が配設されている。かかる基準位置信号は、クランクシャフト13の基準位置の検出、気筒の判別に用いられる。
【0023】また、各燃焼室12には、高圧燃料を噴射するための高圧インジェクタ17が燃焼室12に突出するように配設されており、各インジェクタ17は、シリンダブロック11近傍に配設されているデリバリパイプ18に接続されている。デリバリパイプ18は、燃料供給管SP、逆止弁SVを介して高圧ポンプ19と接続され、高圧ポンプ19は、燃料供給管SPを介して燃料ポンプ20と接続され…いる。また、燃料ポンプ20も燃料供給管SPを介して燃料タンク21と接続されている。
【0024】高圧ポンプ19は、可変容量型のポンプであり、クランクシャフト13と間接的に連結されている。そして、燃料ポンプ20によって吸い上げられた燃料タンク21内の燃料は、クランクシャフト13によって駆動される高圧ポンプ19によって昇圧された後、デリバリパイプ18に供給される。
【0025】また、デリバリパイプ18には、デリバリパイプ18内の圧力を検出する燃料圧力センサ42が取り付けられており、燃料圧力センサ42により検出された燃料圧力に基づいて高圧ポンプ19の吐出圧が調整され、デリバリパイプ18内の燃料圧力が所定圧力に保持される。そして、デリバリパイプ18内に蓄圧状態で保持されている燃料は、ECU60からの噴射信号によりインジェクタ17が開弁することにより、燃焼室12内に向けて高圧噴射される。
【0026】燃焼室12内へ吸入空気を導入する吸気通路22の空気取り入れ側には、エアクリーナ23が接続されており、エアクリーナ23の下流側には、吸入空気量を検出するエアフロメータ43が配設されている。また、エアフロメータ43の下流側には、アクセルペダル(図示しない)に連動して開閉駆動されるスロットルバルブ24が配設されており、かかるアクセルペダルが開閉されることにより、吸入空気量が調整される。そして、スロットルバルブ24の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットルセンサ44が配設されている。
【0027】モータジェネレータ30には、三相交流機(誘導カゴ形電動機)が用いられており、三相交流機は、クランクシャフト13の端部に連結されたフライホイール25に配設された回転子部31と、フライホイールハウジング26に配設された固定子部32とから構成されている。モータジェネレータ30には、直流電流を相互変換するインバータ33、モータジェネレータ30において発生した高圧電流を蓄電するキャパシタ34、直流電圧を昇圧、あるいは降圧するDC/DCコンバータ35、電源としてのバッテリ36が接続されている。
【0028】モータジェネレータ30を電動機として使用する場合には、キャパシタ34に蓄電されている高圧直流電流をインバータ33によって交流電流に変換し、固定子部32に通電することによりモータジェネレータ30に回転磁界を発生させる。すると、回転子部31を備えたフライホイール25が磁界の回転とともに回転を開始して、印加された電圧に応じた出力トルクを発生する。
【0029】これに対して、モータジェネレータ30を発電機として使用する場合には、フライホイール25の回転速度(クランクシャフト13の回転速度)よりも低い速度の回転磁界をモータジェネレータ30に発生させる。この結果、誘導起電力が発生し、交流電流が固定子部32からインバータ33へ向かって流れる。こうしてモータジェネレータ30において発生した交流電流は、インバータ33によって直流に変換され、キャパシタ34に蓄電される。また、キャパシタ34に蓄電された高圧電流の一部は、DC/DCコンバータ35によってバッテリ電圧まで降圧された後、バッテリ36に給電される。
【0030】無段変速機(CVT)38は、変速比を連続無段階に変更可能な変速機であり、たとえば、ベルト式のCVTでは、ベルト(図示しない)を挟むプーリ(図示しない)の間隔をオイルコントロールバルブ(OCV)39によって変化させて、プーリの軸からベルト掛装位置までの距離を変更することにより変速比Rを変更する。そして、OCV39制御の目標となる目標変速比は、アクセル開度、車速に基づいて決定され、変速比センサ45によって実際の変速比Rが検出される。
【0031】続いて、本実施例に係る車両始動制御装置の制御系について図4に示す制御ブロック図を参照して説明する。車両始動制御装置の制御系は、電子制御ユニット60(以下「ECU」という。)を核として構成されている。そして、ECU60によって回転数変更手段が実現される。
【0032】ECU60は、燃料圧力から目標クランキング回転数を決定するためのマップ、あるいは、エンジン水温から目標クランキング回転数を決定するためのマップを格納したROM61を有している。また、ECU60は、ROM61に格納された制御プログラムに基づいて演算処理を実行するCPU62、CPU62での演算結果、各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するRAM63を有している。
【0033】そして、CPU62、ROM61、及びRAM63は、双方向バス64を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース65、及び出力インターフェース66と接続されている。
【0034】入力インターフェース65には、クランク角センサ40、気筒判別センサ41、水温センサ44、スロットルセンサ44、エアフロメータ43、燃料圧力センサ42、変速比センサ45等が接続されている。そして、各センサから出力された信号がアナログ信号である場合には、図示しないA/Dコンバータによってディジタル信号に変換された後、双方向バス64に出力される。
【0035】また、出力インターフェース66には、高圧インジェクタ17、高圧ポンプ19、イグナイタ16、インバータ33、CVT38を駆動するOCV39等の外部回路が接続されており、これら外部回路は、CPU62において実行された制御プログラムの演算結果に基づいて作動制御される。
【0036】次に、上記構成を備えた第1の発明の実施の形態に係る車両始動制御装置の作用について図4、及び図5を参照して説明する。車両走行時、ECU60は、燃料圧力センサ42によって検出されたデリバリパイプ18内の燃料圧力が所定圧力に等しいか否かを判定している。そして、燃料圧力が所定圧力よりも低いと判定した場合には、高圧ポンプ19に駆動信号を出力し、フィードバック制御によってデリバリパイプ18内の圧力を所定圧力まで昇圧させる。
【0037】すなわち、高圧ポンプ19は可変容量型のポンプなので、燃料圧力センサ42によって検出された燃料圧力に基づいて所望の吐出圧で燃料を吐出することが可能であり、これによりデリバリパイプ18内の燃料圧力を所定圧力に維持するのである。
【0038】このように、車両走行時(エンジン10作動時)には、常に、デリバリパイプ18内の圧力は所定圧力に維持されているが、エンジン10停止後は、時間の経過とともにデリバリパイプ18内の燃料圧力が降下してしまう。すなわち、高圧ポンプ19には逆止弁SVが備えられているが、完全に燃料の逆流をシールすることはできず、時間の経過に伴って少しずつ圧力漏れが発生してしまうのである。
【0039】したがって、長時間放置した後に始動する際には、デリバリパイプ18内の圧力が所定圧力よりも低いことがある。ここで、筒内噴射型のエンジン10は、直接燃焼室12に向けて高圧の燃料を噴射することにより燃料を供給する。そして、インジェクタ17も高圧型のものが用いられており、燃料圧力が所定圧力の時に最適な燃料噴射形状を形成するよう設計されている。
【0040】したがって、燃料圧力が所定圧力に満たない場合には、燃料が完全に霧状に噴霧されず、点火プラグ14によって火花を飛ばしても点火、燃焼し難く、始動性能が大幅に低下してしまう。
【0041】そこで、本発明の実施の形態では、モータジェネレータ30をクランキングモータの代わりに用い、燃料圧力が所定圧力に達していない場合には、クランキング回転数を上げ、高圧ポンプ19を高速作動させることによって速やかにデリバリパイプ18内の燃料圧力を上昇させる。すなわち、図4に示すように、一般的にポンプは駆動回転数が高くなるにしたがって容積効率が高くなる特性を有しているからである。
【0042】ここで、一般的なクランキングモータの回転数は200rpm程度であるが、モータジェネレータ30は、原動機として作動し得るトルクを出力することができ、また、1000rpm程度までクランキング時に回転数を上げることができる。
【0043】したがって、モータジェネレータ30を高回転で作動させてクランクシャフト13を高回転で回転させることにより、高圧ポンプ19が高速駆動され、速やかにデリバリパイプ18内の燃料圧力が所定圧力まで上昇することとなる。
【0044】次に、燃料圧力に基づき目標クランキング回転数を求めるマップの一例を図5に示す。このマップでは、燃料圧力を燃料圧力が低い領域、燃料圧力が所定圧力の領域、両者の中間の領域に区切り、燃料圧力が低い領域と所定圧力の領域では一定の目標クランキング回転数を採る。そして中間の領域では、燃料圧力が低い領域における目標クランキング回転数と所定圧力における目標クランキング回転数とを直線を結ぶことにより得られる目標クランキング回転数を採る。
【0045】ECU60は、マップに基づいてエンジン10始動時における燃料圧力からクランキング回転数を決定する。燃料圧力が低い領域(図中左側の領域)では、通常のクランキング回転数よりも高い回転数でモータジェネレータ30を回転させるようインバータ33に指令信号が出力される。指令信号を受けたインバータ33は、決定されたクランキング回転数を実現する回転磁界を形成し、回転磁界によってフライホイール25が回転し、クランクシャフト13が高速回転させられる。
【0046】この結果、高圧ポンプ19が高速駆動され、デリバリパイプ18内の燃料圧力が速やかに昇圧される。したがって、インジェクタ17は最適な燃料噴射形状で燃料を燃焼室12内に噴霧し、噴霧された燃料は点火プラグ14の火花によって速やかに着火してエンジン10が円滑に始動する。
【0047】次に、第2の発明の実施の形態に係る車両始動制御装置ついて図6を参照して説明する。エンジン水温が低い場合には、筒内噴射式エンジン10であるとポート噴射式エンジンであるとを問わず、始動性が悪いことが一般的に知られている。すなわち、エンジン水温が低いということは、シリンダブロック11が冷えていることを意味しており、ポートに付着した燃料、燃焼室12壁(シリンダ)に付着した燃料は、極めて気化し難い。
【0048】したがって、空燃比が低くなり混合気は着火し難くなる。そこで、本発明の実施の形態では、エンジン水温が低い状態では、クランキング回転数を高くすることにより、燃焼室12内に乱流を形成し、その乱流によって付着した燃料の気化を促進させるのである。
【0049】エンジン水温からクランキング回転数を決定するマップとしては、図6に示すようなマップが例示される。このマップでは、2種類のクランキング回転数を有しており、しきい値を境にステップ状に変化する。エンジン10始動時に、水温センサ46によって検出されたエンジン水温が、図6に示すしきい値よりも低いとECU60が判断した場合には、ECU60はインバータ33に対してマップに基づき決定した通常始動時よりも高い回転数でモータジェネレータ30を回転させるように指示信号を出力する。
【0050】これを受けたインバータ33は、指示信号に合った回転磁界を発生させてモータジェネレータ30を高回転させる。すると、フライホイール25が回転し、クランクシャフト13が高速回転を始め、ピストン12aは往復動を開始する。そして、ピストン12aの往復動に同期して燃焼室12内に噴射された燃料は、シリンダ壁面に付着した場合であっても、通常始動時よりも高速で往復動するピストン12aにより形成された乱流によって容易に気化され、速やかに着火してエンジン10が円滑に始動する。
【0051】以上、各発明の実施の形態に基づき説明したように、第1の発明の実施の形態に係る車両始動制御装置は、筒内噴射式エンジン10において、デリバリパイプ18内の燃料圧力が所定圧力に達していない場合には、燃料圧力が所定圧力の場合よりも高い回転数でクランキングを行い、高圧ポンプ19を高速駆動する構成を備えている。
(1)したがって、燃料圧力が所定圧力に達していない場合に、インジェクタ17から最適な燃料噴射形状の燃料を噴霧することができなかった従来の始動制御装置と異なり、始動開始前は燃料圧力が所定圧力に達していなくても、クランキングと共にデリバリパイプ18内の燃料圧力は速やかに所定圧力まで上昇し、インジェクタ17から最適な燃料噴射形状の燃料を噴霧することができる。この結果、噴霧された燃料は速やかに着火、燃焼してエンジン10を迅速かつ円滑に始動させることができる。
(2)また、始動性が向上することで、始動時に排出される未燃焼ガス量を抑制することができ、始動時におけるエミッション特性を向上することができる。
【0052】次に、第2の発明の実施の形態に係る車両始動制御装置は、エンジン水温がしきい値の温度より低い場合には、エンジン水温がしきい値よりも高い場合と比較して、高い回転数でクランキングを実行する構成を備えている。
(3)したがって、エンジン水温が低い場合であってもクランキング回転数(ピストンスピード)が一定であるため、燃焼室12壁面、ポート壁面に付着した燃料が気化し難かった従来の始動制御装置と異なり、エンジン水温が低い場合には、クランキング回転数を上げピストンスピードを高くすることにより、燃焼室12内に乱流を形成し、付着燃料の気化を促進させることができる。この結果、燃焼室12内には気化された混合気が充分に存在することとなり、エンジン10を速やかに、かつ円滑に始動させることができる。
(4)また、始動性が向上することで、始動時に排出される未燃焼ガス量を抑制することができ、始動時におけるエミッション特性を向上することができる。
【0053】以上、各発明の実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明の趣旨から逸脱しない範囲で種々の変更改良が可能である。
(1)上記第1の発明の実施の形態においては、燃料圧力を3つの領域に区分したマップを用いたが、図7に示すように、全燃料圧力領域にわたって燃料圧力が低くなるにしたがって、クランキング回転数が高くなるよう設定されたマップを用いても良い。この場合には、より燃料圧力に即したクランキング回転数を実現することができる。
(2)上記第2の発明の実施の形態では、第1の発明の実施の形態で用いた筒内噴射式エンジン10を用いているが、ポート噴射式エンジンに適用しても良い、すなわち、第2の発明の実施の形態に係る車両始動制御装置は、エンジン冷間時における燃焼室12壁面、ポート壁面に付着した燃料の気化を促進させる始動制御装置である。かかる問題は、筒内噴射式エンジン10であると、ポート噴射式エンジンであるとを問わず生じる問題だからである。
【0054】なお、以上の発明の実施の形態から把握できる技術的思想について、以下に効果とともに記載する。
(1)請求項1に記載の車両始動制御装置において、前記回転数変更手段は、燃料圧力が所定圧力よりも低い場合には前記電動機の回転数を高くすることを特徴とする車両始動制御装置。
【0055】かかる構成を備えた場合には、燃料圧力が低い時には、クランクシャフトが高い回転数で回転され、昇圧ポンプが高速駆動される。したがって、燃料圧力が速やかに上昇し、気筒内に高圧燃料を供給することができる。この結果、燃料は速やかに着火し、内燃機関が迅速に始動する。
(2)請求項2に記載の車両始動制御装置において、前記回転数変更手段は、機関温度が所定温度よりも低い場合には前記電動機の回転数を高くすることを特徴とする車両始動装置。
【0056】かかる構成を備えた場合には、機関温度が低い時には、クランクシャフトが高い回転数で回転され、ピストンが高速駆動される。したがって、燃焼室内に乱流強度の高い乱流が発生し、燃焼室内に付着した燃料が速やかに気化される。この結果、燃料は速やかに着火し、内燃機関が迅速に始動する。
(3)請求項1または請求項2、前記(1)または(2)に記載の車両始動制御装置において、前記電動機に代えて、電動発電機を備えたことを特徴とする車両始動制御装置。
【0057】かかる構成を備えた場合には、車両減速時に電気エネルギを回生することができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したとおり、請求項1の発明に係る車両始動制御装置によれば、燃料圧力が低い場合であっても迅速に内燃機関を始動させることができる。
【0059】また、請求項2の発明に係る車両始動制御装置によれば、内燃機関の温度が低い場合であっても迅速に内燃機関を始動させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成7年(1995)9月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開平9−72266
【公開日】 平成9年(1997)3月18日
【出願番号】 特願平7−230375