トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 自動車用スタータ及びその取り付け方法
【発明者】 【氏名】瓜生 信彦

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンの側壁に開口されたスタータ嵌合孔にヨークが密合するスタータモータと、前記エンジンの取り付けボルト穴に締結されるとともに前記ヨークの外周面に固定される取り付けステーとを備えることを特徴とする自動車用スタータ。
【請求項2】前記取り付けステーの形状を変更することにより前記側壁と前記ヨークとの相対位置を調節する請求項1記載の自動車用スタータの取り付け方法。
【請求項3】前記ヨークに対する前記取り付けステーの固定位置を変更することにより前記側壁と前記ヨークとの相対位置を調節する請求項1記載の自動車用スタータの取り付け方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用スタータ及びその取り付け方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来の自動車用スタータの取り付け方式を図6を参照して説明する。内燃機関(エンジン)本体の側壁100の外側面101は平坦加工されたスタータ取り付け面となっており、側壁100にはスタータ嵌合孔2aがリングギヤ1aに近接して設けられている。スタータ200は、スタータモータ4aに一体に組付けされた取り付けフレーム5aを有し、取り付けフレーム5aに形成された円柱形状のインロ−部(嵌合突起)60aは側壁100のスタータ嵌合孔2aに挿入されている。その後、ピニオン3aとリングギヤ1aとの噛合を可能とするために、取り付けボルト9aが取り付けフレーム5aから張り出したフランジ部7aの取り付け穴8aに挿入された後、内燃機関の側壁100の取り付けボルト穴に締結される。
【0003】上述したように、従来の自動車用スタータは、エンジンブロックやクラッチハウジングなどの側壁に開口されたスタータ嵌合孔や取り付けボルト穴に合致した形状の取り付けフレーム(スタータハウジングともいう)を上記側壁に固定している。従来の取り付けフレームは複雑な形状を有する鋳造部品であって、しかもエンジン振動、スタータの駆動、ピニオンとリングギヤとの噛合などにおいて取り付けフレームが撓んだり変形したりするのを防止する必要があり、鉄又はアルミなどの金属を素材として高強度、大重量に作製されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エンジンルーム内のスタ−タ設置用のスペースは車種毎に異なるので、それに合わせてスタータ嵌合孔と取り付けボルト穴との相対位置関係や、側壁のスタ−タ取り付け面からリングギヤまでの軸方向距離などが変動するため、従来はほとんどの場合においてエンジンの種類が変わる毎に取り付けフレーム(スタ−タハウジング)を新たに準備する必要があった。このような多種類の取り付けフレームの準備と製造は、製造工程の複雑化の点で大きな問題となっていた。
【0005】また、取り付けフレームの重量が大きいので自動車用スタータの軽量化が困難となっていた。また、従来の自動車用スタータでは、金属鋳造品である取り付けフレームは、スタータ嵌合孔に嵌合する外周面や側壁100の取り付け面200に当接する面を切削加工して精度を確保するのが通常である。しかしながら、このような精密切削加工作業を一々、行うことは、製造工程の複雑化及び費用の増加の点で大きな問題となっていた。更に、最近におけるスタータモータの小型高回転化に伴い、スタータモータの冷却性能の向上が一層重要となっている。
【0006】本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、エンジンの機種変更にかかわらず取り付けフレームの変更を不要とした自動車用スタータ及びその取り付け方法を提供することをその第1の目的としている。また、本発明は取り付けフレームの撓みや変形を抑止しつつ取り付けフレームの軽量化が可能な自動車用スタータ及びその取り付け方法を提供することをその第2の目的としている。また、本発明はがた増大を回避しつつ取り付けフレームの作製工程簡素化を実現可能な自動車用スタータ及びその取り付け方法を提供することをその第3の目的としている。更に、本発明はスタータモータの冷却性の向上が可能な自動車用スタータ及びその取り付け方法を提供することをその第4の目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】本発明の第1の構成は、エンジン(エンジン付属装置例えばクラッチハウジングを含む)の側壁に開口されたスタータ嵌合孔にヨークが密合するスタータモータと、前記エンジンの取り付けボルト穴に締結されるとともに前記ヨークの外周面に固定される取り付けステーとを備えることを特徴とする自動車用スタータである。本構成によれば、以下の作用効果を奏する。
【0008】まず、自動車用スタータはスタータモータのヨークがエンジンの側壁に開口されたスタータ嵌合孔に密合(いんろう嵌合)して自動車用スタータの径方向への変位不能に保持されるので、自動車用スタータの取り付けフレーム(スタ−タハウジング)はスタータ全体をエンジンの側壁に固定するベース部材としての機能をもつ必要がなく、取り付けフレームの重量や強度を従来より格段に軽減することができる。また、ヨークは径が一定であるのでエンジン機種やエンジンルーム設計に応じて所望の位置まで自由に軸方向に変位させることができる。言い換えれば、リングギヤとエンジンの側壁の取り付け面との間の距離の変化に対応することができる。また、スタータモータで生じる発熱はヨークからこのスタータ嵌合孔を通じてエンジン(又はクラッチハウジング)の側壁に直接伝達でき、スタータモータの冷却性が向上する。
【0009】また、本構成では、ヨークの外周面と側壁の外側面とは取り付けステーにより軸方向相対変位不能に固定、締結されるので、ヨークの位置決め、固定が簡単であり、また、側壁に対する自動車用スタータの軸方向相対位置の変更も容易に実現することができる。更に、取り付けフレームにスタータ嵌合孔や取り付け面を切削加工により形成する手間を省くことができる。
【0010】本発明の第2の構成は、上記第1の構成の自動車用スタータの取り付け方法において更に、前記取り付けステーの形状を変更することにより前記側壁と前記ヨークとの相対位置を調節することを特徴としている。たとえば、取り付けステーの取り付けボルト穴の位置や取り付けステーの厚さを調節すれば、側壁の取り付けボルト穴の位置が変更されたり、側壁の外側面とリングギヤとの距離が変化しても、自動車用スタータの取り付けが可能となる。
【0011】本発明の第3の構成は、上記第1の構成の自動車用スタータの取り付け方法において更に、前記ヨークに対する前記取り付けステーの固定位置を変更することにより前記側壁と前記ヨークとの相対位置を調節することを特徴としている。たとえば、ヨークに取り付けステーを固定する取り付けボルト穴の位置を代えれば、側壁の外側面とリングギヤとの距離が変化しても、自動車用スタータの取り付けが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の好適な態様を以下の実施例に基づいて説明する。
【0013】
【実施例】
(実施例1)以下、本発明の自動車用スタータ及びその取り付け方法を図1〜図3を参照して説明する。1は自動車用スタータであって、モータ部(スタータモータ)10と、スタータ機構部11とマグネットスイッチ部12とからなる。
【0014】モータ部10は、DCモータであってヨーク13内に収容されている。ヨーク13は軟鉄からなる円筒形状を有して静止磁路をなしており、ヨーク13の外周面には取り付けボルト穴16が形成されている。スタータ機構部11は、ヨーク13の前端面に固定されてそのフロントブラケットを兼ねるスタ−タハウジング14と、スタ−タハウジング14内に収容される減速機構(図示せず)と、前記減速機構を通じてモータ部10により駆動されるピニオン15とを有している。スタータ機構部11は実際には更に複雑な機構を有しているが、スタータ機構部11の構造及び動作自体は要旨ではなく周知であるのでこれ以上の図示及び説明は省略する。6はリングギヤである。マグネットスイッチ部12は、ヨーク13の後端面に固定されてそのリヤブラケットを兼ねるエンドフレーム15と、エンドフレーム15内に収容されるマグネットスイッチ(図示せず)とを有している。マグネットスイッチ自体の構造及び動作は周知であるのでこれ以上の説明は省略する。7はターミナルである。
【0015】2はエンジンの側壁であって、スタータ嵌合孔20とその周囲に一対の取り付けボルト穴21とを有している。3は2個の取り付けステーであって、鋼鉄を素材とするL字(アングル)板からなる。取り付けステー3は図3に示すように、一対の取り付けボルト貫通穴31、32を有している。33は取り付けステー3の平坦な第1の取り付け面であって側壁の外側面(取り付け面)22に密接している。34は部分円筒面からなる取り付けステー3の第2の取り付け面であって、ヨーク13の外周面に密接している。
【0016】4は第1の取り付けボルトであって、取り付けステー3の取り付けボルト貫通穴31を貫通して側壁2の取り付けボルト穴22に締結されている。5は第2の取り付けボルトであって、取り付けステー3の取り付けボルト貫通穴32を貫通してヨーク13の外周面の取り付けボルト穴16に締結されている。これより、自動車用スタータ1がエンジンの側壁1に固定される。
【0017】(実施例の作用効果)取り付けステー3の肉厚を変更すれば、リングギヤ6と側壁2との距離の変更を吸収することができる。ヨーク13の取り付けボルト穴16の位置を変更しても同じ作用効果を奏することができる。また、自動車用スタータ1の軸方向の重心はヨーク13内にあるので、自動車用スタータ特にそのモータ部の振動が低減される。
【0018】(変形態様)モータ部10とマグネットスイッチ部12とが軸方向にタンデム配置された構造のスタータについて説明したが、マグネットスイッチ部12の配置位置は自動車用スタータの側壁2への固定に支障がなければ変更可能である。また、取り付けステー3の形状としては各種形状が可能であり、また取り付けステー3をヨーク13に固定するには、上述したボルト固定の他、かしめ、圧入溶接など既知の各種固定方式を適用可能である。
【0019】スタ−タハウジング14は上記実施例ではアルミ鋳物で形成されるが、加えられる荷重が大幅に低減できることから樹脂成形などで作製することができる。
(実施例2)他の実施例を図4を参照して説明する。この実施例では、ヨーク13に偏心リング8が例えば圧入などの方法で嵌着されており、この偏心リング8がエンジンの側壁のスタータ嵌合孔2に密合している。したがって、この偏心リング8は本発明でいうヨークに包含される構成要素又はエンジンの側壁2に包含される構成要素である。
【0020】このようにすれば、自動車用スタータ1の軸方向に直角な方向への変位も可能となる。
(実施例3)他の実施例を図5を参照して説明する。この実施例では、取り付けステー9をヨーク13に嵌着されたボス部90とこのボス部90の一端に形成されたフランジ部91とをもつフランジ形状とし、抵抗溶接又はかしめによりヨーク13に固定するものである。このようにすれば、取り付けステー9を単一の部材とすることができ、取り付け工程が簡素となる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成7年(1995)9月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
【公開番号】 特開平9−72265
【公開日】 平成9年(1997)3月18日
【出願番号】 特願平7−228856