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【発明の名称】 自動車エンジンの遠隔スタータ装置
【発明者】 【氏名】石川 正敏

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】携帯可能なリモートコントローラと、該リモートコントローラから送出されたコマンド信号を受信してエンジンを始動する車載のイグニッション制御装置とを備える自動車エンジンの遠隔スタータ装置において、前記イグニッション制御装置は、制御回路を格納してなるハウジングを備える一方、ハウジング内温度を検出する温度検出手段と、通電により発熱する抵抗手段とを備えるとともに、温度検出手段によって検出されたハウジング内温度が所定の設定温度に低下したときに前記抵抗手段に対して電源を供給する通電手段と、温度検出手段によって検出されたハウジング内温度が所定の設定温度に上昇したときに前記抵抗手段に対する通電を遮断する通電遮断手段とを備えることを特徴とする自動車エンジンの遠隔スタータ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自動車エンジンを離れた場所から始動する遠隔スタータ装置に係り、特に信頼性を向上させるための回路構成に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車は、バッテリの充電のため、あるいは外気温が低下する冬期において、エンジンの暖機運転を要する場合がある。しかしマンションや公団住宅の高層階に住んでいる者にとっては、エンジン始動に際してわざわざ駐車場まで行くのは煩わしい場合が少なくなく、このため従来から家の中からの遠隔操作でエンジンを始動させるスタータ装置が提案されている(例えば特開昭53−119527号)。
【0003】これらの装置は、図3に示すように、携帯可能なリモートコントローラ1と、該コントローラ1によって制御されるイグニッション装置2とを備え、イグニッション装置2は、コントローラ1から送信されたコマンド信号Sに基づいてイグニッションコイル3への通電を行い、セルモータ4を駆動し、エンジン5を始動させる。
【0004】車載するイグニッション装置2は、原理的には、コントローラ1からのコマンドSを受信する受信装置と、受信装置からの出力によってイグニッションコイル3へ電源を供給するゲート回路と、エンジン始動時にゲート回路を閉じる制御部を備えれば良い。従って新車製造時に予めイグニッション回りに当該装置(2)を配することも可能である。その場合には、イグニッション装置2は個別の独立パーツとする必要もなく、車載ICを共用させることによって前記ゲート回路や制御部を構成することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで従来のスタータ装置は、車載イグニッション装置2を独立したパーツ構成とする場合でも、あるいはIC回路を共用とする場合でも、外気温が厳しく低下した場合に正常に作動しないという問題があった。
【0006】これは、従来のスタータ装置の主目的が、販売台数の多い関東以南のエリアの冬を想定し、冬期暖機の煩わしさを解消するために提案されたもので、車室内温度の下限を0℃程度に設定して開発されたことによる。自動車の電装部品はコスト低減のために価格的に有利な汎用トランジスタや集積回路を使用するが、これらの電子部品は0℃程度の環境下であれば、ほぼ正常に作動する。
【0007】しかしながら北海道の厳冬期のように、外気温がマイナス40℃前後になるエリアでは、汎用トランジスタや集積回路は正常に作動しないことが少なくない。雰囲気温度がマイナス10℃程度で部品が作動不良を起こすからである。勿論、極寒用も高額な電子部品を使用すれば従来の装置構成でも目的を達することは不可能ではないが、コスト的に無理があり、実用に耐えない。
【0008】外気温がマイナス5℃程度になると車室内温度もマイナス0℃を割り込むが、従来、このような条件下ではスタータ装置が作動しないことが多く、せっかくのリモートコントローラも役に立たないため、寒い中を駐車場まで行ってエンジンをスタートさせる煩わしさがあった。厳冬期には10〜20分の暖機を要するが、出発前の忙しいときに、極低温の中を駐車場まで出かけて行き、ドア回りの雪を払って凍結したドアを開け、震えながら運転席に座ってエンジンをスタートさせるのは、非常に辛い。車体が凍結しているときにはドアも容易に開かないから、ヤカンに入れた熱湯をかけるなど、パネル塗装に負担をかけることも珍しくない。極低温の環境でドアをこじ開けるにはそれしかないからである。
【0009】そこで本発明の目的は、厳しい外気温環境下におけるスタータ装置の作動性能を保証する点にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成して課題を達成するため本発明に係る自動車エンジンの遠隔スタータ装置は、携帯可能なリモートコントローラと、該リモートコントローラから送出されたコマンド信号を受信してエンジンを始動する車載のイグニッション制御装置とを備える自動車エンジンの遠隔スタータ装置を技術的前提として、【0011】イグニッション制御装置は、制御回路を格納するハウジングを備え、ハウジング内温度を検出する温度検出手段と、通電により発熱する抵抗手段とを備えるとともに、温度検出手段によって検出されたハウジング内温度が所定の設定温度に低下したときに前記抵抗手段に対して電源を供給する通電手段と、温度検出手段によって検出されたハウジング内温度が所定の設定温度に上昇したときに前記抵抗手段に対する通電を遮断する通電遮断手段とを備えるよう構成する。
【0012】
【作用】本発明に係るスタータ装置は、制御回路の構成部品を収納するハウジングを備える。他の機能を果たす集積回路との共用は、もしそれが必要であっても最小限に抑え、コマンド信号を受信する受信機、イグニッションコイルへの通電制御回路等、リモートコントローラからの指令に基づくエンジンスタート回路は、すべてハウジング内に納める。
【0013】そして当該ハウジング内に温度検出手段を配し、ハウジング内温度が設定温度まで低下したときには、通電回路を介して発熱抵抗へ電源を供給し、ハウジング内温度を上昇させる。ハウジングは受信回路と制御回路を収納するだけあるから小型化も容易で、内部空間も小さく抑えることが出来る。もちろんハウジング内温度が過熱すると正常な作動を確保できないので、所定温度までハウジング内温度が上昇したときには通電遮断手段により抵抗への電源供給を停止する。
【0014】
【実施例】以下、添付図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は本発明に係る遠隔スタータ装置の一例を示すものである。このスタータ装置10は、リモートコントローラ11と、このリモートコントローラ11からの作動コマンド信号Sを受けてエンジン12を作動させるイグニッション装置20とを備えてなり、イグニッション装置20は、受信装置21と、この受信装置21からの起動信号に基づきイグニッションコイル14への電源供給を行うゲート回路22およびタイマ回路23とを備える。
【0015】イグニッション装置20は、樹脂成形したケース状のハウジング30内に収納する。ハウジング30は、収納したトランジスタ等の回路を低温不作動から保護するものであるから、パネル肉厚は大きいほうが望ましいが約1mm程度に設定すれば実用に耐える。ハウジングを小型化し空間を容積を小さくするため、例えば図2に示すように、ハウジング上部に受信装置21を配し、下側に制御回路(22,23等)を配すると良い。
【0016】イグニッション装置20は、そのハウジング30内に雰囲気温度を検出する温度センサ31と、該温度センサ31に基づいて後段への電源供給を制御するゲート回路32と、発熱抵抗33とを備える。温度センサ31は、例えば、いわゆるサーミスタや白金利用の金属測温抵抗体を使用することが出来る。
【0017】温度センサ31とゲート回路32とは、ハウジング30内の雰囲気温度が所定の設定温度まで低下したときに後段の発熱抵抗33へ電源を供給し、逆に雰囲気温度が設定温度まで上昇したときに発熱抵抗33への電源供給を停止するものである。ゲート回路32として集積回路を使用する場合には、設定温度を自由に変更することが可能である。また設定温度の随時変更は出来ないが、単にリードスイッチで構成しても構わない。
【0018】加温開始温度は、好ましくはプラス2℃程度であり、ハウジング内温度が2℃まで低下したときにゲート回路32が閉成して発熱抵抗33への通電を開始する。加温停止温度は例えばプラス10℃であり、ハウジング内温度が10℃まで上昇したときにゲート回路32が開成して発熱抵抗33への電源供給を遮断する。加温停止温度が高すぎると無駄な電力消費となるので、制御回路が正常作動できる温度範囲内でゲート回路32のON、OFFを調整する。
【0019】自動車車両の電源は、通常、一般自家用車に12ボルト、大型車に24ボルトを使用するが、イグニッション装置20の基本的な回路構成は同一で構わない。但し、電圧によって発熱抵抗33の負荷が異なるので、例えば12ボルト電源では抵抗値220Ω、24ボルト電源では抵抗値820Ωのものを使用する。220Ωの場合、流れる電流は0.06アンペア(12V/220Ω)、820Ωの場合、流れる電流は0.03アンペア(24V/820Ω)で、ワット数はそれぞれ0.72(12V×0.06A/24V×0.03A)と等しくなり、他の回路部分の共用が容易となるからである。
【0020】かかる遠隔スタータ装置10によれば、車載するイグニッション装置20をハウジング30によって被覆し、空間容積を小さくした上でハウジング内温度を検出し、設定温度まで雰囲気温度が低下したときには発熱抵抗33によってハウジング内温度を高めることが出来る。従って、普通に使用されている低コストのトランジスタその他の電子部品を用いて回路を構成しても、厳冬期の不作動を確実に防止できる。これにより、マイナス30℃を下回る寒いときでも遠隔スタートによって暖機運転が可能となる。またエンジン始動にともない、例えば実開平6−37565号公報記載の発明のようにヒータ装置を自動始動させれば、出発時の苦痛(寒さ)も確実に解消できる。
【0021】尚、本発明に係るイグニッション装置20は、その配置箇所をとくに限定されない。寒冷地仕様車の製造時に予め組み込んでも良いし、既存の車にオプションとして付加することもできる。またケース状をなすハウジングの形状や成形樹脂の種類もとくに限定されない。配線の都合による微細な空隙はやむを得ないが、可能な限り気密に(隙間を少なく)成形し、熱量の損失を最低限に抑えることが出来れば良い。またハウジングには金属パネルを使用しても良いが、金属素材は放熱性が高いので、ハウジングの内側に断熱材として機能し得る布地や樹脂膜等のライナーを配することことが望ましい。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る遠隔スタータ装置によれば、厳しい外気温環境下においても装置の作動を確実に保証することが出来る。
【出願人】 【識別番号】395018011
【氏名又は名称】石川 正敏
【出願日】 平成7年(1995)8月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 滿茂
【公開番号】 特開平9−68143
【公開日】 平成9年(1997)3月11日
【出願番号】 特願平7−248805