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【発明の名称】 車両用エンジンの始動装置
【発明者】 【氏名】戸田 俊久

【氏名】名和 敏明

【氏名】小島 弘明

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンが始動を開始したことを検出すると始動開始信号を出力する始動開始検出手段と、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、外部からの動作指令信号を受信したときに、エンジンスタータを動作させるためのスタータ回路に通電を開始して前記始動開始検出手段によって前記始動開始信号が出力されてから遅延時間経過後にスタータ回路への通電を停止するクランキング動作を行うと共に、スタータ回路の通電停止後に前記エンジン回転数検出手段の検出信号に基づいてエンジンの回転が停止したと判断した場合は、前記クランキング動作を設定回数だけ反復するように構成された制御手段とを備え、前記制御手段は、前記クランキング動作を反復する場合の前記遅延時間を前回の遅延時間よりも長くするように制御することを特徴とする車両用エンジンの始動装置。
【請求項2】 外気温を検出する外気温センサを備え、制御手段は、前記外気温センサが検出する外気温に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの始動装置。
【請求項3】 バッテリ電圧を検出する電圧検出手段を備え、制御手段は、エンジン始動時において前記電圧検出手段が検出するバッテリ電圧に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの始動装置。
【請求項4】 制御手段は、最初のクランキング動作時においてスタータ回路への通電開始から始動開始検出手段によって始動開始信号が出力されるまでの始動開始時間を計時し、その始動開始時間に応じてクランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの始動装置。
【請求項5】 制御手段は、遅延時間の順列データテーブルを予め記憶し、クランキング動作を反復する場合は、前記順列データテーブルの所定範囲内における順列に従って順次データを読出して遅延時間を与えると共に、前記所定範囲内における順列に従ってクランキング動作の反復を一定回数試行した場合は、以降のクランキング動作は、前記順列データテーブルの所定範囲をシフトさせて遅延時間を与えるように制御することを特徴とする請求項1記載の車両用エンジンの始動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用エンジンを遠隔操作によって始動させ得るようにした車両用エンジンの始動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、停車状態にある車両のエンジンを、リモコン端末から電波を媒体として送信される動作指令信号によって始動させ得るようにした装置が実用に供されている。即ち、この種の車両用エンジンの始動装置は、リモコン端末からの動作指令信号を受信したときに、所定のエンジン始動条件(例えば、トランスミッションが走行ポジションに無いこと、パーキングブレーキが動作されていること、エンジンが既に始動されていないことなどの条件)を満たしていることを前提としてエンジンの始動制御を行うように構成されるもので、その始動制御時には、エンジンスタータを動作させるためのスタータ回路に所定時間だけ通電を行う所謂クランキング動作を行うようになっている。
【0003】具体的には、図8に示すように、動作指令信号を受信するのに応じて、始動装置の制御回路は、スタータ回路に通電してスタータに動作を行わせる((a)参照)。そして、スタータ回路への通電は、スタータが起動されてエンジンが回転し始めた後に、運転席の表示パネルのチャージランプが点灯状態から消灯状態に切換わったことを検知した時刻から、所定の遅延時間Tdが経過するまで行われる((b)参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、チャージランプが消灯した時点からエンジンが自力回転を始めるまでの時間は、各車両毎のばらつきや、周囲温度などの条件によって異なる。そのため、従来のエンジンの始動装置では、遅延時間Tdの設定が短すぎるとエンジンの不始動(停止)となり(図8(c)参照)、また、遅延時間Tdの設定が長すぎると、スタータモータのピニオンギアの耐久性を劣化させるおそれがある。
【0005】本発明は、上記課題を解決するものであり、その目的は、スタータ回路へ適当な通電時間を与えることにより、エンジンの始動を確実に行い得て、且つ、スタータモータのピニオンギアの耐久性劣化をも防止することができる車両用エンジンの始動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1記載の車両用エンジンの始動装置は、エンジンが始動を開始したと判断すると始動開始信号を出力する始動開始検出手段と、前記エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、外部からの動作指令信号を受信したときにエンジンスタータを動作させるためのスタータ回路に通電を開始して前記始動開始検出手段によって前記始動開始信号が出力されてから遅延時間経過後にスタータ回路への通電を停止するクランキング動作を行うと共に、スタータ回路の通電停止後に前記エンジン回転数検出手段の検出信号に基づいてエンジンの回転が停止したと判断した場合は、前記クランキング動作を設定回数だけ反復するように構成された制御手段とを備え、前記制御手段は、前記クランキング動作を反復する場合の前記遅延時間を前回の遅延時間よりも長くするように制御することを特徴とする。
【0007】この場合、外気温を検出する外気温センサを備え、制御手段は、前記外気温センサが検出する外気温に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御するのが好ましい(請求項2)。
【0008】また、バッテリ電圧を検出する電圧検出手段を備え、制御手段は、エンジン始動時において前記電圧検出手段が検出するバッテリ電圧に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御しても良い(請求項3)。
【0009】更に、制御手段は、最初のクランキング動作時においてスタータ回路への通電開始から始動開始検出手段によって始動開始信号が出力されるまでの始動開始時間を計時し、その始動開始時間に応じてクランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御しても良い(請求項4)。
【0010】加えて、制御手段は、遅延時間の順列データテーブルを予め記憶し、クランキング動作を反復する場合は、前記順列データテーブルの所定範囲内における順列に従って順次データを読出して遅延時間を与えると共に、前記所定範囲内における順列に従ってクランキング動作の反復を一定回数試行した場合は、以降のクランキング動作は、前記順列データテーブルの所定範囲をシフトさせて遅延時間を与えるように制御しても良い(請求項5)。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1実施例について、図1乃至図3を参照して説明する。電気的構成を示す図2において、リモコン端末を構成する携帯形送信機1は、車両たる自動車の運転者が携帯するものであり、その操作に応じて、当該自動車の図示しないエンジンの始動及び停止を指令する所定コードの動作指令信号Sa及び停止指令信号Sbを選択的に発生すると共に、その発生信号を例えば電波信号にて送信する構成となっている。
【0012】受信ユニット2は、自動車の車室内における電波受信状態の良好な場所に設置される受信回路3を備えており、その受信回路3によって前記動作指令信号Sa及び停止指令信号Sbを受信できるように構成されている。この受信ユニット2は、上記受信回路3の他に、その受信回路3が受信した各指令信号Sa及びSbを入力処理回路4を介して受けるマイコン(制御手段)5と、電源回路6,並びにマイコン5により動作制御される図示しない複数個のリレーからなるリレー出力回路7とを備えた構成になっている。
【0013】電源回路6は、バッテリ8に接続されており、そのバッテリ8から与えられる電源を適当なレベルに降圧して、入力処理回路4及びマイコン5に対する制御用電源Vccとして供給するようになっている。また、バッテリ8は、リレー出力回路7に直接接続されており、駆動用電源を与えるようになっている。
【0014】リレー出力回路7は、マイコン5から与えられる制御信号に応じて内部のリレーを動作させて、バッテリ8から与えられる駆動用電源から各種回路に通電を行うように構成されており、そのリレー出力端子STは、図示しないエンジンスタータを有するスタータ回路9に接続されている。また、リレー出力端子IG1及びIG2は、2系統のイグニッション回路10及び11に夫々接続されており、リレー出力端子ACCは、アクセサリ回路12に接続されている。
【0015】更に、これらのスタータ回路9,イグニッション回路10及び11並びにアクセサリ回路12は、キーロータスイッチ13を介してバッテリ8に接続されており、運転者が、図示しないキーを用いてキーロータスイッチ13を手動操作することによっても、上記の通電動作を行うことができるように構成されている。
【0016】始動開始検知手段たるチャージランプ消灯検知回路14は、エンジンが始動を開始して図示しないチャージランプがOFF(消灯状態)となったときに、消灯検知信号Scをローレベルにすることにより、始動開始信号を出力するものであり、その消灯検知信号Scは、入力処理回路4を介してマイコン5に与えられるようになっている。
【0017】また、車両安全検出スイッチ15は、パーキングブレーキが動作位置にあるか、オートマチックトランスミッションがパーキングポジションにあるか、ボンネットが閉鎖状態にあるか、ドアロック機構が全て施錠状態にあるかなどを検知するための各スイッチで構成されており、その検知信号Sdは、入力処理回路4を介してマイコン5に与えられる。そして、エンジン回転数検出手段たるエンジン回転数検出回路16は、エンジンの回転数を検出するものであり、その検出信号Seは、入力処理回路4を介してマイコン5に与えられる。以上が、エンジンの始動装置17を構成している。
【0018】マイコン5は、上記のような各入力信号Sa,Sb,Sc,Sd及びSe並びに予め設定されたプログラムに基づいて、リレー出力回路7に制御信号を与えるようになっており、以下においては、マイコン5の制御内容及びこれに関連した部分の作用について図1のフローチャート並びに図3のタイムチャートに基づいて説明する。
【0019】図1において、マイコン5は、先ず「信号受信?」の判断ステップA1において、携帯形送信機1から信号が送信されるのを待つ。携帯形送信機1から送信された信号を受信することにより「YES」と判断すると、次の「動作指令信号Saか?」の判断ステップA2に移行する。
【0020】判断ステップA2においては、マイコン5は、ステップA1で受信した信号が、内部のメモリに予め記憶されている動作指令信号Saと一致するか否か照合して判定する。判断ステップA2において、両者が一致することにより「YES」と判定すると、次の「IG及びACCに通電」の処理ステップA3に移行する。また、両者が一致せず「NO」と判定するとステップA1に移行して、再び受信待ちの状態になる。
【0021】処理ステップA3においては、マイコン5は、リレー出力回路7に制御信号を与えて、リレー出力端子IG1,IG2及びACCを介してイグニッション回路10及び11並びにアクセサリ回路12に通電する。この時、チャージランプもONとなって点灯することにより、消灯検知信号Scはハイレベルとなる(図3(b),時刻■参照)。また、クランキング動作の回数をカウントするカウンタCNのカウント値はクリアされて「0」となる。そして、「車両安全入力OKか?」の判断ステップA4に移行する。
【0022】判断ステップA4においては、マイコン5は、車両安全検出スイッチ15の検知信号Sdを参照して、全てが安全な状態、即ち、パーキングブレーキが動作位置にあり、オートマチックトランスミッションがパーキングポジションにあり、ボンネットが閉鎖状態にあり、ドアロック機構が全て施錠状態にあることなどを確認して「YES」と判断すると、次の「STへ通電」の処理ステップA5に移行する。また、上記の条件を全て満たしておらず「NO」と判断すると、「IG及びACC OFF」の処理ステップA18に移行する。
【0023】処理ステップA5においては、マイコン5は、リレー出力回路7に制御信号を与えて、リレー出力端子STを介してスタータ回路9に通電する(図3(a),時刻■参照)ことによりクランキング動作を開始すると、エンジンスタータが起動されてエンジンは始動(回転)を開始する(図3(c)参照)。そして、「消灯検知信号出力?」の判断ステップA6に移行する。
【0024】判断ステップA6においては、チャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scがローレベル(L)であるか否か、即ち、始動開始信号が出力されたか否かを判断する。エンジンスタータの起動直後はチャージランプは点灯状態(ON)にあり、消灯検知信号Scはハイレベルを示すので、判断ステップA6において「NO」と判断すると、「ST通電時間リミットか?」の判断ステップA13に移行する。
【0025】判断ステップA13においては、スタータ回路9に対する通電時間が、リミット(限界値)として設定されている値を超えたか否かが判断され、リミットを超えておらず「NO」と判断すると、ステップA4に移行する。また、リミットを超えており「YES」と判断すると、「CN←CN+1」の処理ステップA14に移行して、カウンタCNのカウント値をインクリメントした後、「ST OFF」の処理ステップA15に移行する。
【0026】処理ステップA15においては、マイコン5は、リレー出力回路7に制御信号を与えるのを停止することにより、スタータ回路9への通電を停止した後、「CN=3?」の判断ステップA16に移行する。判断ステップA16においては、カウンタCNの値が「3」であるか否かが判断される。カウンタCNの値が「3」未満であり、判断ステップA16において「NO」と判断すると、次の「ST休止時間Tr待ち」の処理ステップA17に移行する。処理ステップA17においては、エンジンスタータを再起動する前に一定時間Trだけ休止させた後、ステップA4,A5に移行して、再びスタータ回路9に通電を開始してクランキング動作を行う。
【0027】従って、何等かの故障が発生して、スタータ回路9にリミットまで通電してもエンジンが始動を開始せず、ステップA6において消灯検知信号Scが有意とならない場合は、3回目のクランキング動作でCN=3となり、ステップA16において「YES」と判断して、「IG及びACC OFF」の処理ステップA18に移行する。そして、イグニッション回路10及び11並びにアクセサリ回路12への通電をも停止させてエンジンの始動を中止し、ステップA1に移行して、携帯形送信機1からの送信信号の受信待ち状態に戻る。
【0028】一方、エンジンが正常な場合は、ステップA6において「YES」と判断するまで、ステップA6,A14,A4及びA5のループを繰返し実行する。そして、エンジンが回転することにより図示しないオルタネータによる発電が開始され、バッテリ8に対して流れ込む充電電流が一定値に達すると、運転席の表示パネルのチャージランプは消灯状態(OFF)に切換わる。それによって、チャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scがローレベル(L)となり(図3(b),時刻■参照)、ステップA6において「YES」と判断すると、「CN←CN+1」の処理ステップA7に移行して、カウンタCNのカウント値をインクリメントした後、「CN=1?」の判断ステップA8に移行する。
【0029】判断ステップA8においては、クランキング動作の回数のカウンタCNのカウント値が「1」であるか否かが判断される。カウンタCNのカウント値が1であり、判断ステップA8において「YES」と判断すると、「遅延時間t1待ち」の処理ステップA9に移行する。
【0030】処理ステップA9においては、マイコン5は、ステップA6において、消灯検知信号Scがローレベルとなった時刻、即ち、始動開始信号が出力された時刻から遅延時間t1が経過するのを、内部のタイマ割込み信号をカウントするなどによって待つ。尚、この遅延時間t1は、マイコン5の内部のメモリに予め記憶されたデータT1を読出して、遅延時間t1として与えられるものである。そして、「ST OFF」の処理ステップA10に移行する。
【0031】処理ステップA10においては、マイコン5は、ステップA15と同様にリレー出力回路7に制御信号を与えるのを停止することにより、スタータ回路9への通電を停止した後、「エンジン始動成功?」の判断ステップA11に移行する。判断ステップA11においては、エンジン回転数検出回路16の検出信号Seを参照することにより、エンジンの始動が成功したか(自力で回転を開始したか)否かを判断する。エンジンの回転数が一定値以上に達しており、判断ステップA11において「YES」と判断すると、次の「暖機運転」の処理ステップA12に移行してエンジンの暖機運転を行う。以降は、運転者の操作によって自動車を発進させるなどの処理を行う。
【0032】また、マイコン5は、判断ステップA11において、エンジンが自力で回転を開始することができず、回転が停止してしまうことにより「NO」と判断すると、ステップA16に移行する。この場合は、カウンタCNの値は「1」であるので、ステップA16において「NO」と判断して、ステップA17に移行する。尚、エンジンが停止したことにより、オルタネータによるバッテリ8への充電電流も停止するので、この間においてチャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scは再びハイレベルとなる(図3(b),時刻■参照)。
【0033】マイコン5は、ステップA17においては、前述のように、エンジンスタータを再起動する前に一定時間Trだけ休止(図3(a)参照)させた後、ステップA4,A5に移行し、再びスタータ回路9に通電を開始して(図3(a),時刻■参照)、クランキング動作を反復する。そして、消灯検知信号Scがローレベルとなるまで(図3(b),時刻■参照)ステップA6,A13,A4及びA5のループを繰返す。その後、ステップA7においてカウンタCNのカウント値がインクリメントされて「2」となり、ステップA8においては「NO」と判断して、「CN=2?」の判断ステップA19に移行する。
【0034】而して、判断ステップA19においては、マイコン5は「YES」と判断するので、次の「遅延時間t2待ち」の処理ステップA20に移行する。処理ステップA19においては、マイコン5は、内部のメモリからデータT2(1回目のクランキング動作におけるデータT1よりも長く設定されている)を読出して遅延時間t2を得て、消灯検知信号Scがローレベルとなった時刻から、その遅延時間t2だけ経過するのを待った後、ステップA10に移行してスタータ回路9への通電を停止する(図3(a),時刻■参照)。
【0035】以降は、1回目のクランキング動作の場合と同様であり、ステップA11においてエンジンの始動が成功したと判断すれば、ステップA12に移行して暖機運転を行い、再びエンジンが始動に失敗したと判断すれば、ステップA16,A17,A4,A5,A6,A7,A8及びA19へと移行して、3回目のクランキング動作を行う。
【0036】そして、ステップA19においては、カウンタCNのカウント値は「3」であるので「NO」と判断して、「遅延時間t3待ち」の処理ステップA21に移行する。処理ステップA21においては、マイコン5は、内部のメモリからデータT3(2回目のクランキング動作におけるデータT2よりも長く設定されている)を読出して遅延時間t3を得て、消灯検知信号Scがローレベルとなった時刻から、その遅延時間t3だけ経過するのを待った後、ステップA10に移行してスタータ回路9への通電を停止する。
【0037】3回目のクランキング動作を行っても、マイコン5は、ステップA11においてエンジンの始動に失敗したと判断した場合は、ステップA16,A18(CN=3,なので)へと移行して、イグニッション回路10,11及びアクセサリ回路12への通電をも停止した後、ステップA1に移行する。
【0038】以上のように本実施例によれば、マイコン5を、携帯形送信機1からの動作指令信号Saを受信するとスタータ回路9への通電を開始し、チャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scがローレベルとなってから遅延時間t1の経過後にスタータ回路9への通電を停止して、その後エンジンの回転が停止したと判断した場合は、上記のクランキング動作を設定回数として2回反復するように構成した。そして、クランキング動作を反復する場合には、前回の遅延時間よりも順次長くなるように予め設定され内部のメモリに記憶されたデータT2及びT3を読出して、遅延時間t2及びt3として与えるように構成した。
【0039】従って、各エンジンの特性のばらつきによって始動に要するクランキング時間が異なる場合でも、適正なクランキング時間を与えてエンジンを確実に始動させることができる。また、遅延時間を、クランキング動作を反復する毎に次第に長くなるようにして与えて行くことにより、スタータモータのピニオンギアの耐久性劣化も防止することができるので、エンジンスタータの寿命を長期化させることも可能となる。
【0040】図4は、本発明の第2実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分のみ説明する。図4においては、外気温センサ18は、入力処理回路4を介してマイコン5に接続されており、マイコン5に外気温データSfを与えるようになっている。他は第1実施例と同一の構成であり、以上がエンジンの始動装置19を構成している。
【0041】次に、第2実施例の作用について説明する。マイコン5は、図1に示すフローチャートのステップA20またはA21において、クランキング動作を反復する際に遅延時間t2またはt3の時間待ちを行う場合、外気温センサ18によって得られる外気温データSfに応じて、内部メモリから異なるデータを読出して遅延時間t2またはt3として与える。
【0042】これは、エンジンの始動に要するクランキング時間は、外気温に影響を受けて変化するからである。例えば、外気温が高い場合は、クランキング時間は相対的に短くなってエンジンは「かかり易く」なり、外気温が低い場合は、クランキング時間は相対的に長くなって「かかり難く」なるという傾向を有する。
【0043】而して、マイコン5の内部メモリには、外気温データSfに応じて読出される遅延時間t2またはt3を与えるデータテーブルが予め作成してある。例えば、クランキング動作を反復して遅延時間t2を与える場合、外気温データSfが常温として設定される標準温度の範囲にある場合は、データT2を読出す。そして、外気温データSfが標準温度に比して低い場合は、遅延時間t2が長めとなるように、データT2(+)を読出し、外気温データSfが標準温度に比して高い場合は、遅延時間t2が短めとなるようにデータT2(−)を読出して、遅延時間t2として設定する。以上のデータの大小関係は、T2(−)<T2<T2(+)となる。また、遅延時間t3を与える場合も、データT3に対して同様な大小関係を持つデータを読出すようにする。
【0044】以上のように第2実施例によれば、マイコン5を、クランキング動作を反復する場合に、外気温センサ18によって得られる外気温データSfに応じて、内部のメモリから読出す遅延時間データを変化させるようにしたので、外気温の影響によってエンジンが要するクランキング時間が変化する場合でも、常に適正なクランキング時間を与えることができ、エンジンの始動をより確実に行うことができる。
【0045】図5は、本発明の第3実施例を示すものであり、第1実施例と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、以下異なる部分のみ説明する。図5において、電圧検出手段たる電圧検出回路20の入力端子は、バッテリ8に、その端子電圧を検出するように接続されている。また、電圧検出回路20の出力端子は、入力処理回路4を介してマイコン5に接続され、マイコン5にバッテリ8の電圧データSgを与えるようになっている。その他は第1実施例と同一の構成であり、以上がエンジンの始動装置21を構成している。
【0046】次に、第3実施例の作用を説明する。マイコン5は、図1に示すフローチャートのステップA5において、スタータ回路9に通電を行う場合のバッテリ8の電圧データSgを電圧検出回路20によって得る。スタータ回路9に通電を行う場合、バッテリ8からは比較的大きな電流が流出するため、バッテリ8の端子電圧は一時的に低下する。この低下量は、バッテリ8の残存容量が減少してくるに連れて次第に大きくなる。従って、この様な場合はスタータ回路9への通電電流量も低下してエンジンスタータのトルクが不足するため、エンジンの始動に必要なクランキング動作には、通常よりも長い時間を要することになる。
【0047】よって、第3実施例においては、マイコン5は、図1に示すフローチャートのステップA20またはA21において、クランキング動作を反復する際に遅延時間t2またはt3の時間待ちを行う場合、内部メモリから読出すデータを、電圧検出回路20によって得られるバッテリ8の電圧データSgに応じて変化させる。即ち、バッテリ8の電圧が基準電圧を下回る場合は、通常状態の場合(バッテリ8の電圧が基準電圧以上である場合)に読出すデータT2またはT3よりも大きい値に設定されたデータT2(+)またはT3(+)を読出して、遅延時間t2またはt3として与えて時間待ちを行うようにする。
【0048】以上のように第3実施例によれば、マイコン5を、クランキング動作を反復する場合は、電圧検出回路20によって得られたバッテリ8の電圧データSgに応じて、内部のメモリから読出す遅延時間データを変化させるようにしたので、バッテリ8の残存容量の低下によってエンジンが要するクランキング時間が変化する場合でも、常に適正なクランキング時間を与えることができ、エンジンを確実に始動させることができる。
【0049】次に、本発明の第4実施例について、図6を参照して説明する。第4実施例の構成は第1実施例と同様であり、以下異なる作用について説明する。第4実施例では、マイコン5は、最初のクランキング動作において、スタータ回路9に通電を開始してからチャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scがローレベルになる、即ち、始動開始信号が出力されるまでの時間を、例えば、タイマ割込み信号をカウントすることにより始動開始時間Tsとして計時する(図6(b)参照)。この始動開始時間Tsは、個々のエンジンによって異なり、また、同一のエンジンにおいても、外気温やバッテリ8の出力に応じて異なるものである。
【0050】よって、マイコン5は、内部のメモリからデータを読出して遅延時間t2またはt3の時間待ちを行う場合、始動開始時間Tsに応じて読出すデータを変化させる。ここで、始動開始時間Tsが相対的に短い場合は、そのエンジン自体がかかり易い傾向を有しているか、若しくはその時のエンジンの状態がかかり易い状態にあり、また、始動開始時間Tsが相対的に長い場合は、その逆のことが言える。
【0051】このため、マイコン5の内部メモリには、始動開始時間Tsに応じて読出される遅延時間のデータテーブルが予め作成してある。そして、始動開始時間Tsが相対的に短い場合は遅延時間が短めとなり、始動開始時間Tsが相対的に長い場合は遅延時間が長めとなるようにデータテーブルからデータを読出して、遅延時間t2またはt3として設定する。
【0052】以上のように第4実施例によれば、マイコン5を、最初のクランキング動作において、スタータ回路9に通電を開始してからチャージランプ消灯検知回路14が出力する消灯検知信号Scがローレベルとなるまでの時間を始動開始時間Tsとして計時して、クランキング動作を反復させる場合は、始動開始時間Tsに応じて遅延時間を変化させるように、内部メモリからデータを読出して遅延時間t2またはt3とするように構成した。
【0053】従って、第2または第3実施例のように外気温センサ18や電圧検出回路20を用いずとも、個々のエンジンが有するかかり易さの傾向若しくはその時の環境に応じて、エンジンに最適なクランキング時間を与えることができるので、始動装置17を小形で低価格に構成することができる。
【0054】次に、本発明の第5実施例について図7を参照して説明する。第5実施例の構成は第1実施例と同様であり、以下異なる作用について説明する。図7は、マイコン5の内部メモリに予め記憶される遅延時間の順列データテーブルを概念的に示したものである。これらのデータの大小関係は、T1<T2<T3<…となるように設定されている。また、順列データテーブルの先頭から例えば3個のデータ、即ちT1〜T3を所定範囲とする。そして、マイコン5は、クランキング動作を反復する場合は、先ず所定範囲■の順列に従い、T1→T2→T3の順に遅延時間t1乃至t3を与える。
【0055】ここで、エンジンの始動を複数回行った場合で、遅延時間T1を与えるクランキング動作では毎回エンジンの始動は旨く行かず、遅延時間T2若しくはT3を与えるクランキング動作で始動が成功したとする。この場合は、自動車に搭載されたエンジンに対して、遅延時間T1を与えるクランキング動作では明らかにクランキング時間が不足であるということが分かる。
【0056】従って、所定範囲■の順列に従ったクランキング動作の反復を、一定回数として例えば3回試行した場合は、以降のエンジン始動におけるクランキング動作は、順列データテーブルの所定範囲をデータ1個分シフトさせる。即ち、所定範囲■から所定範囲■に変更して、T2→T3→T4の順に遅延時間t1乃至t3を与えるようにする。また、同様に、所定範囲■の順列に従ったクランキング動作の反復を3回試行した場合は、更に、所定範囲をデータ1個分シフトさせた所定範囲■に変更する。
【0057】以上のように第5実施例によれば、マイコン5は、その内部メモリに遅延時間の順列データテーブルを予め記憶し、クランキング動作を反復する場合は、順列データテーブルの所定範囲■における順列に従って順次データを読出して遅延時間t1乃至t3を与える。そして、所定範囲■における順列に従ってクランキング動作の反復を3回試行した場合は、以降のクランキング動作は、前記順列データテーブルの所定範囲をシフトさせた所定範囲■に従って遅延時間t1乃至t3を与えるように制御する。従って、無駄なクランキング動作の反復回数を減少させることにより、エンジンの始動時間を短くすることができ、また、エンジンスタータの始動回数を減少させることができるので、耐久性をより向上させることができる。
【0058】本発明は上記しかつ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、次のような変形または拡張が可能である。クランキング動作を反復する設定回数は2回に限ること無く、1回若しくは3回以上でも良い。
【0059】第1実施例において、遅延時間t1乃至t3を、マイコン5の内部メモリに予め記憶させたデータT1乃至T3を読出して得るようにしたが、内部メモリには遅延時間t1を与えるデータT1と係数αとを記憶させておき、遅延時間t2は、t2=T1×αとして決定し、遅延時間t3は、t3=t2×αとして決定するようにしても良い。また、係数αの代わりに定数βを内部メモリに記憶させておき、遅延時間t2は、t2=T1+β、遅延時間t3は、t3=t2+βとして決定することもできる。このような構成とした場合は、クランキング動作を反復する設定回数が大きくなる程、マイコン5の内部メモリの記憶容量を節約することができる。
【0060】第2実施例において、外気温センサ18の外気温データSfの高低に応じて、マイコン5の内部メモリのデータテーブルから異なるデータを読出すようにしたが、標準温度に対応するデータT1乃至T3と、外気温データSfの高低に応じて標準温度に対応するデータに乗じる係数を記憶させても良い。また、係数を乗じる代わりに定数を加えるようにしても良い。更に、標準温度に対応するデータT1と、外気温データSfの高低に応じた係数若しくは定数を記憶させ、クランキング動作の反復時には、データT1に係数若しくは定数を直接乗じる若しくは加えるようにしても良い。このような構成とした場合も、マイコン5の内部メモリの記憶容量を節約することができる。
【0061】また、第3実施例についても上記と同様に、バッテリ8の電圧データSgが基準値以上である場合に対応するデータT1乃至T3と、電圧データSgが基準値以下である場合に、データT2またはT3に乗じる係数若しくは加える定数とを記憶させても良い。更に、データT1と、電圧データSgの値に応じてデータT1に直接乗じる係数若しくは加える定数とを記憶させても良い。
【0062】更に、第4実施例についても上記と同様に、始動開始時間Tsの標準値に対応するデータT1乃至T3と、始動開始時間Tsの値に応じて標準値データT2またはT3に乗じる係数若しくは加える定数とを記憶させても良い。更に、データT1と、始動開始時間Tsの値に応じてデータT1に直接乗じる係数若しくは加える定数とを記憶させても良い。
【0063】第2または第3実施例において、マイコン5の内部メモリから読出した遅延時間データを変化させる場合、遅延時間に乗じる係数若しくは加える定数を、外気温データまたはバッテリ8の電圧データの大小に応じてランク分けして、そのランクに応じて前記係数若しくは定数の値を変化させるようにしても良い。
【0064】また、外気温センサ18と電圧検出回路20とを両方備えて、マイコン5を、外気温データとバッテリ8の電圧データとに応じて、内部メモリから読出した遅延時間t2またはt3のデータを変化させるように構成しても良い。この場合、マイコン5は、内部メモリから読出した上記遅延時間に対して、外気温データとバッテリ8の電圧データとによって夫々決定された2つの係数を乗じたり、また、両データによって遅延時間が決定される2次元のデータテーブルを内部メモリに予め記憶させても良い。更に、外気温データとバッテリ8の電圧データとに夫々メンバーシップ関数を与えて、ファジィ推論によってクランキング動作の反復時に与える遅延時間を決定しても良い。このような構成によれば、より適正なクランキング時間をエンジンに与えることができる。
【0065】第5実施例においても、外気温センサ18と電圧検出回路20とのどちらか一方若しくは両方を備えて、これらが出力するデータに応じて順列データテーブルのデータを上記のように変更するようにしても良い。第5実施例におけるクランキング動作の反復の試行回数は、3回に限ることなく適宜変更して良い。また、所定範囲内のデータ数は、3個より多く若しくは少なくても良い。
【0066】始動開始検出手段はチャージランプ消灯検知回路14に限らず、エンジンの回転数が一定値以上に達すると消灯するチェックエンジンランプの消灯を検出する回路でも良い。キーロータスイッチ13は、必要に応じて設ければ良い。車両は自動車に限ること無く、エンジンスタータを有するものであれば何でも良い。
【0067】
【発明の効果】本発明は以上説明した通りであるので、以下の効果を奏する。請求項1記載の車両用エンジンの始動装置によれば、制御手段は、外部からの動作指令信号により、エンジンのクランキング動作を行った後にエンジンの回転が停止したと判断した時に、遅延時間を、前回の遅延時間よりも長くするように制御してクランキング動作を設定回数だけ反復するようにしたので、個々のエンジンの始動特性や環境条件の違いによって異なるクランキング時間を要する場合でも、最適なクランキング時間をエンジンに与えることができ、エンジンの始動を確実に行うことができると共に、余分なクランキング動作を行うこともなく、スタータモータのピニオンギアの劣化を防止することができて、耐久性を向上させることもできる。
【0068】請求項2記載の車両用エンジンの始動装置によれば、制御手段は、外気温センサが検出する外気温に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御するので、エンジンに対して外気温が与える影響によって異なるクランキング時間を要する場合でも、最適なクランキング時間をエンジンに与えることができ、エンジンの始動をより確実に行うことができる。
【0069】請求項3記載の車両用エンジンの始動装置によれば、制御手段は、エンジン始動時において電圧検出手段が検出するバッテリ電圧に応じて、クランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御するので、バッテリ電圧が低下することによってより長いクランキング時間を要する場合でも、それに応じたクランキング時間をエンジンに与えることができ、エンジンの始動を確実に行うことができる。
【0070】請求項4記載の車両用エンジンの始動装置によれば、制御手段は、最初のクランキング動作時においてスタータ回路への通電開始から始動開始検出手段によって始動開始信号が出力されるまでの始動開始時間を計時し、その始動開始時間に応じてクランキング動作の反復時における遅延時間の長さを制御するので、特にセンサや検出手段を要すること無く、最適なクランキング時間をエンジンに与えることができ、始動装置を小形に構成することができる。
【0071】請求項5記載の車両用エンジンの始動装置によれば、制御手段は、クランキング動作を反復する場合は、予め記憶された順列データテーブルの所定範囲内における順列に従って順次データを読出して遅延時間を与えると共に、所定範囲内における順列に従ってクランキング動作の反復を一定回数試行した場合は、以降のクランキング動作は、順列データテーブルの所定範囲をシフトさせて遅延時間を与えるように制御するので、クランキング動作の反復回数を減少させることによりエンジンの始動時間を短くすることができ、また、エンジンスタータの耐久性をより向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
【出願日】 平成7年(1995)8月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強
【公開番号】 特開平9−60567
【公開日】 平成9年(1997)3月4日
【出願番号】 特願平7−214613