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【発明の名称】 スタータ
【発明者】 【氏名】田中 克典

【氏名】飯田 篤臣

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】ケーシング内に収容された電磁コイルと、この電磁コイルが通電されて発生する磁力により吸引されるプランジャと、このプランジャの外周に設けられた保持部材と、前記ケーシングの開口端に組付けられて前記開口端を塞ぐとともに、前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面が当接することで前記プランジャを保持するカバーとを備えたスタータにおいて、前記カバーには、前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面が当接する壁面に換気孔が開けられて、その換気孔が前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面によって閉塞されていることを特徴とするスタータ。
【請求項2】前記保持部材の外周面と前記カバーの壁面は、前記プランジャの停止時に互いいに密着するテーパ面として設けられていることを特徴とする請求項1に記載したスタータ。
【請求項3】前記保持部材は、前記プランジャの端部に組付けられた可動接点を保持する絶縁材により設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載したスタータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスタータに関し、特にスタータの防水・換気構造に係わる。
【0002】
【従来の技術】スタータの防水・換気構造に対する従来技術として、例えばスタータのケーシングに形成された水抜き孔に水抜パイプを取り付けた構造が知られている(実開平3−127465号公報参照)。水抜パイプは、内部に複数の邪魔板が設けられてラビリンス構造となっているため、外部からの被水に対して高い防水性を有するとともに、その水抜パイプを通じてスタータ内部の換気作用を行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記の水抜パイプを用いた従来技術では、外部からの被水に対して高い防水性を有するとは言え、水抜き孔(換気孔でもある)が常時開口している(水抜パイプの開口部も開いている)ため、防水構造として完全とは言えない。即ち、水抜パイプの開口部に向けて多量の水が掛かる様な状況下では、スタータ内部に浸水する可能性があった。また、水抜パイプを使用することで部品点数が増加するとともに、その水抜パイプを取り付けるための孔加工および水抜パイプ自体の製作に要する費用と工数がかかることからコストアップを招いていた。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、コストアップを招くことなく高い防水性と換気性を実現したスタータを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の構成)ケーシング内に収容された電磁コイルと、この電磁コイルが通電されて発生する磁力により吸引されるプランジャと、このプランジャの外周に設けられた保持部材と、前記ケーシングの開口端に組付けられて前記開口端を塞ぐとともに、前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面が当接することで前記プランジャを保持するカバーとを備えたスタータにおいて、前記カバーには、前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面が当接する壁面に換気孔が開けられて、その換気孔が前記プランジャの停止時に前記保持部材の外周面によって閉塞されていることを特徴とする。
【0005】(請求項2の構成)請求項1に記載したスタータにおいて、前記保持部材の外周面と前記カバーの壁面は、前記プランジャの停止時に互いいに密着するテーパ面として設けられていることを特徴とする。
(請求項3の構成)請求項1または2に記載したスタータにおいて、前記保持部材は、前記プランジャの端部に組付けられた可動接点を保持する絶縁材により設けられていることを特徴とする。
【0006】(本発明の作用)カバーの壁面に開けられた換気孔は、プランジャの停止時に保持部材の外周面がカバーの壁面に当接することで閉塞される。また、電磁コイルが通電されてプランジャが吸引移動すると、保持部材の外周面がカバーの壁面から離れることによって換気孔が開口する。これにより、スタータが停止している時、即ち車両走行時および車両停止時には換気孔が閉塞されているため、スタータが被水しても換気孔からケーシング内部への浸水を防止できる。一方、スタータ作動時、即ちエンジン始動時には、プランジャの移動に伴って換気孔が開口されることにより、その換気孔を通じてケーシング内部の換気が行われる。なお、カバーの壁面に開けられる換気孔は、1か所でも良いが、カバーの円周方向で複数箇所に設けても良い。
【0007】(本発明の効果)本発明によれば、従来の水抜パイプを使用することなく高い防水性と換気性を実現できるため、部品点数が増加することなく、且つ水抜パイプを取り付けるための孔加工も不要である。これにより、水抜パイプの製作に要する費用と工数、および孔加工に要する費用と工数を削減できることから、大幅なコストダウンを達成できる。
【0008】
【実施例】次に、本発明のスタータの実施例を図面に基づいて説明する。図1はスタータに用いられるマグネットスイッチの断面図である。本実施例のマグネットスイッチ1は、ケーシング2の内部に収容された電磁コイル3、この電磁コイル3が通電されて発生する磁力により吸引されるプランジャ4、このプランジャ4の後端部に一組の保持部材5、6を介して組付けられた可動接点7、端子ボルト8を介してケーシング2の内部に固定された一対の固定接点9、ケーシング2の開口端部を塞ぐカバー10等より構成されている。
【0009】電磁コイル3は、樹脂製のボビン11に巻回されて、例えばゴム製の弾性材12を介して磁気回路の一部を成すコイルハウジング13に保持されている。プランジャ4は、ボビン11の内周に摺動自在に挿通されて、電磁コイル3が通電された時に、電磁コイル3の発生する磁力によって磁化されたコアプレート(図示しない)側(図1の左側)へ吸引されて移動する。また、電磁コイル3への通電が停止すると、図示しないリターンスプリングに付勢されて初期位置(図1に示す位置)へ復帰する。
【0010】可動接点7は、プランジャ4の外周に嵌合する中空の円板状に設けられて、プランジャ4が吸引された時に固定接点9に当接して固定接点9と導通する(図2に示す状態)。一組の保持部材5、6は、それぞれ絶縁材(例えば樹脂製)から成り、可動接点7を両面側から挟み込んで可動接点7を保持している。可動接点7の後端面を支持する一方の保持部材6は、その後端側外周面6aが図1に示す様にテーパ面とされている。なお、プランジャ4の後端には、可動接点7が固定接点9に当接した時に可動接点7に接点圧を付与するコンタクトスプリング14が組付けられている。
【0011】一対の固定接点9は、断面L字形状に設けられて、プランジャ4の径方向で対向する位置に配され、それぞれケーシング2を貫通する端子ボルト8の頭部8aに溶接等によって固定されている。端子ボルト8は、ケーシング2の外側でナット15の締め付けによってケーシング2に固定されている。なお、一方の端子ボルト8にはバッテリ(図示しない)からのメインケーブルが接続されて、他方の端子ボルト8にはモータ部のヨーク(図示しない)から出ているリード線が接続されている。
【0012】カバー10は、ケーシング2の開口端面との間にシール材16を挟んで組付けられて、ビス等(図示しない)によりケーシング2に固定されている。このカバー10は、プランジャ4の停止時に一方の保持部材6の外周面6a(テーパ面)と当接(密着)する傾斜壁面10aを有し、この傾斜壁面10aにはマグネットスイッチ1の内部を換気するための換気孔17が開けられている。但し、スタータの停止時、即ちプランジャ4停止時においては、一方の保持部材6の外周面6aがカバー10の傾斜壁面10aに当接していることから、傾斜壁面10aに形成された換気孔17は一方の保持部材6の外周面6aによって塞がれている(図1参照)。なお、プランジャ4の停止時に一方の保持部材6の外周面6aがカバー10の傾斜壁面10aに密着した状態で係合することにより、プランジャ4の後退移動(図1の右方向への移動)が規制されるとともに、径方向の移動が規制されてプランジャ4の芯出しが行われる。
【0013】次に、本実施例の作用を説明する。電磁コイル3が通電されてプランジャ4が吸引されると、それまでカバー10の傾斜壁面10aに当接していた一方の保持部材6の外周面6aが傾斜壁面10aから離れるため、その傾斜壁面10aに形成された換気孔17が開口する(図2参照)。エンジン始動後、電磁コイル3への通電が停止してプランジャ4が初期位置へ戻されると、再び一方の保持部材6の外周面6aが傾斜壁面10aに当接することにより、傾斜壁面10aに形成された換気孔17は一方の保持部材6の外周面6aによって閉塞される。
【0014】これにより、スタータが停止している時、即ち車両走行時および車両停止時には換気孔17が一方の保持部材6の外周面6aによって閉塞されているため、スタータが被水しても換気孔17からマグネットスイッチ1内部(ケーシング2内部)への浸水を防止できる。一方、スタータ作動時、即ちエンジン始動時には、プランジャ4の移動に伴って換気孔17が開口されることにより、その換気孔17を通じてケーシング2内部と外部とが連通することによりケーシング2内部の換気が行われる。
【0015】(本実施例の効果)本実施例のスタータは、水抜パイプ等の部品を使用することなく高い防水性と換気性を実現できる。そのため、従来の様に部品点数が増加することはなく、且つ水抜パイプ等の部品を取り付けるための孔加工も不要である(なお、換気孔17は、カバー10をプレス成形する際に同時に開けることができる)。これにより、水抜パイプ等の部品の製作に要する費用と工数、および孔加工に要する費用と工数を削減できることから、大幅なコストダウンを達成できる。
【0016】(変形例)カバー10の傾斜壁面10aに開けられる換気孔17は、1か所でも良いが、カバー10の円周方向で複数箇所に開けても良い。本実施例では、プランジャ4停止時に一方の保持部材6の外周面6aで換気孔17を塞ぐ構成としたが、一方の保持部材6以外にプランジャ4の移動に連動して換気孔17を開閉する部材を設けても良い。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成7年(1995)8月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開平9−53549
【公開日】 平成9年(1997)2月25日
【出願番号】 特願平7−205483