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【発明の名称】 スタータモータの減速ギアの取付構造
【発明者】 【氏名】矢ケ崎 昭夫

【氏名】石川 秀男

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 スタータモータに一体に固着されスタータモータをクランクケースに固定支持するモータブラケットに、減速ギア軸の一端を支持するブラケット側軸受を設け、かつ同モータブラケットに前記ブラケット側軸受の周囲にブラケット側嵌合部を形成し、前記クランクケースに前記減速ギア軸の他端を支持するケース側軸受を設け、かつ同クランクケースに前記ケース側軸受の周囲に前記ブラケット側嵌合部に対し一方が他方に嵌入するケース側嵌合部を形成したことを特徴とするスタータモータの減速ギアの取付構造。
【請求項2】 前記モータブラケット側のブラケット側嵌合部を円柱状または円筒状とし、同ブラケット側嵌合部の中心に前記ブラケット側軸受を設け、前記クランクケース側のケース側嵌合部を前記ブラケット側嵌合部の外径に略等しい内径を有する円穴とし、同円穴の中心に前記ケース側軸受を設けたことを特徴とする請求項1記載のスタータモータの減速ギアの取付構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の始動系においてスタータモータとクランクシャフト間に介在する減速ギアの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の内燃機関の始動系の構造の例(特公平5−68398号公報)を図12および図13に図示する。同例は、ユニットスイング内燃機関を備えた自動二輪車の例であり、図12は該内燃機関の概略側断面図であり、図13は始動系の要部の構造が示されている図12のXIII−XIII線に沿って切断した断面図である。
【0003】クランクケースも一部に兼ねるユニットスイングケース01の前部中央にクランク軸02が左右水平に配設され、上方にシリンダ04を延出させて内燃機関03が設けられている。ユニットスイングケース01の後部には図示されないが後輪が軸支され、クランク軸の駆動はベルト伝達機構を介して後輪に伝達される。
【0004】ユニットスイングケース01の前壁からはハンガーブラケット05が前方に突設されてその先端が車体フレームにピボット軸06により枢支され、同ピボット軸06を中心にユニットスイングケース01は後輪とともに上下に揺動可能であり、ユニットスイングケース01の後端とその上方の車体フレーム間には緩衝手段が介装されている。
【0005】スタータモータ07は、ユニットスイングケース01の前部において、クランク軸02のクランクピン02aと同じ左右方向位置(クランクセンターC)にあってクランクピン02aの前方でシリンダ04と支持ブラケット05との間に、駆動軸07aをクランク軸02と平行にしてユニットスイングケース01に取付けられている。
【0006】スタータモータ07は、ユニットスイングケース01の前部にクランクセンターC側(右側)から取付けられ、ユニットスイングケース01と左側ケースカバー08との間に架設された減速ギア軸09に回動自在に嵌合した減速ギア011 の大径ギア011aにスタータモータ07の駆動軸07aに形成された駆動ギア010 が噛合し、減速ギア011 の小径ギア011bはクランク軸02側の始動系ギア012 に噛合している。
【0007】スタータモータ07の駆動軸07a側にはモータブラケット015 が嵌着されており、同モータブラケット015 は駆動軸07aを中心にした円筒状嵌合部015aが形成され、他方ユニットスイングケース01の前部には円筒状嵌合部015aに対応した円開口01aが形成されていて、同円開口01aに円筒状嵌合部015aを嵌入してスタータモータ07がユニットスイングケース01に位置決めされ固定される。
【0008】同スタータモータ07の駆動軸07aの駆動ギア010 と噛合する減速ギア011 を軸支する減速ギア軸09は、一端がユニットスイングケース01側の軸受穴01bに支持され、他端が左側ケースカバー08側の軸受穴08aに支持され、途中カラー016 を貫通して減速ギア011 を位置決めしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記公報記載の例は以上のような始動系の構造をしており、ユニットスイングケース01に対してスタータモータ07がモータブラケット015 を介して円筒嵌合部015aを円開口01aに嵌合させて位置決め固定されるのとは別に、減速ギア軸09はユニットスイングケース01と左側カバー08の軸受穴01b,08a間に架設されるので、減速ギア軸09の軸受アライメントの高い組付精度が期待できず、また減速ギア011 の組付性も良くない。
【0010】またユニットスイングケース01においてスタータモータ7を嵌合支持する円開口01aと減速ギア軸09を支持する軸受穴01bとは、別個に加工されるので、加工工数が多いとともに加工アライメント精度を高めるのが難しい。
【0011】特に減速ギア軸09は、一端が左側カバー08の軸受穴08aに支持されているので、ユニットスイングケース01と左側カバー08との間にずれが生じると、減速ギア軸09の軸線が傾いてしまう。また当然に左側ケースカバー08をフローティング支持構造とすることはできず振動低減効果は期待できない。
【0012】そこで減速ギア軸の一端を別途用意した専用のホルダーで支持する例(実公平2−12306号)があるが、部品点数が多くなるとともにスタータモータの支持と減速ギアの支持とは別個になされており前記課題は解消されていない。
【0013】本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、特別に専用ホルダーを要せず減速ギアの組付精度および組付性を向上させることができ、軸受および嵌合部の加工が容易かつ加工精度の向上が期待できるスタータモータの減速ギアの取付構造を供する点にある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、スタータモータに一体に固着されスタータモータをクランクケースに固定支持するモータブラケットに、減速ギア軸の一端を支持するブラケット側軸受を設け、かつ同モータブラケットに前記ブラケット側軸受の周囲にブラケット側嵌合部を形成し、前記クランクケースに前記減速ギア軸の他端を支持するケース側軸受を設け、かつ同クランクケースに前記ケース側軸受の周囲に前記ブラケット側嵌合部に対し一方が他方に嵌入するケース側嵌合部を形成したスタータモータの減速ギアの取付構造とする。
【0015】減速ギア軸の軸受をスタータモータと一体のモータブラケットおよびクランクケースの双方に設け、同軸受の周囲に一方が他方に嵌入する嵌合部を形成して、両嵌合部の嵌合によりスタータモータをクランクケースに位置決め固定するので、同時に組付けられる減速ギア軸の軸受アライメントは両嵌合部の嵌合により高い組付精度が期待できるとともに、減速ギアが同時に組付けられるので、組付工数が少なく組付性が向上する。
【0016】またクランクケースおよびモータブラケットの双方とも、減速ギア軸の軸受の周囲に嵌合部を形成しており、軸受加工時に嵌合部を同時に加工可能で、加工工数の削減と加工精度の向上を図ることができる。
【0017】減速ギア軸の軸受に専用のホルダーを必要とせず、カバーのフローティング支持構造とすることができ、振動低減効果が期待できる。
【0018】前記モータブラケット側のブラケット側嵌合部を円柱状または円筒状とし、同ブラケット側嵌合部の中心に前記ブラケット側軸受を設け、前記クランクケース側のケース側嵌合部を前記ブラケット側嵌合部の外径に略等しい内径を有する円穴とし、同円穴の中心に前記ケース側軸受を設けたスタータモータの減速ギアの取付構造とすることで、クランクケースおよびモータブラケットの双方とも、減速ギア軸の軸受加工時に同時に嵌合部を加工することが容易にできるとともに、加工精度をより一層向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下図1ないし図10に図示した本発明の実施の一形態について説明する。図1は、本発明に係るユニットスイング内燃機関を備えたスクータ型自動二輪車1の側面図である。車体前部2と車体後部3とが低いフロアー部4を介して連結されており、車体の骨格をなす車体フレーム5は、車体前部を下降した後2本に分岐してフロアー部4の下方を後方へ延び、次いで車体後部3を上方かつ後方へ延長している。
【0020】車体後部3の上部にシート6が設けられ、その前方車体前部2の上部にハンドル7を備えたステアリングヘッド8が設けられている。車体前部2にはフロントフォーク9を介して前輪10が懸架され、ハンドル7によって操向される。
【0021】そして車体フレーム5の後部の斜め上方に立ち上がる傾斜部の上方位置にブラケット11が左右ともに立設され、両ブラケット11,11間に枢軸12が架設され、同枢軸12に一端を枢着されたリンク13の他端がスイングユニット15のユニットスイングケース16の前部上方に突設された左右一対のハンガーブラケット17にピボット軸18を介して連結されて、スイングユニット15は前部をリンク13に支持されて上下に揺動自在とするとともに、リンク13より後方において車体フレーム5との間にリアクッション19が介装されている。
【0022】スイングユニット15の前部には、内燃機関20が一体に設けられ、後部には後輪21が軸支され、内燃機関20の動力は自動変速機能付きのベルト伝達機構22により後輪21に伝達される。燃料タンク23はフロアー部4の下部に車体フレーム5に固定されて搭載されている。
【0023】内燃機関20は、2サイクル内燃機関であり、シリンダ25がユニットスイングケース16の前部から前方に若干上向きに突出しており、同シリンダ25は前記リンク13より下方にあって左右の車体フレーム5間を貫通している。また該内燃機関20は、クランクケース部にリードバルブ26が設けられたクランクケースリードバルブ方式を採用しており、ユニットスイングケース16のクランクケース部の上部から吸気管27が延出し気化器28に接続され、気化器28にはユニットスイングケース16の後部に搭載されるエアクリーナ29から空気が導入される。
【0024】内燃機関20のシリンダ25の下部から下方へ延出した排気管30は、クランクケース部下方を後方へかつ右側へ迂回して車体右側に配設されたマフラー31に接続している。なお車体フレーム5のフロアー部4の後部にはブラケット32が後方に突設されて、スイングユニット15の前部下方に位置するブラケット32の先端にスタンド33が枢着されている。
【0025】図2は、スイングユニット15を図1の概ねII−II線に沿って切断し展開した断面図である。ユニットスイングケース16は、前側クランクケース部16aにおいて左側ユニットケース16Lと右側ユニットケース16Rとに分割されており、両ケース16L,16Rをボルト35で締結している。かかるユニットスイングケース16の前部がクランクケース部16aに相当し、その前部にシリンダ25が突設されている。
【0026】クランクケース部16a内にはクランク軸36が、右ケース16Rに装着された主軸受37Rと左側ユニットケース16Lに装着された主軸受37Lとに回転自在に支持されて、左右方向に延び、その両端はクランクケース部16aから外方へ突出している。シリンダ25のシリンダ孔25aを往復動するピストン24とクランク軸36のクランクピン36aとをコネクティングロッド34が連結している。
【0027】図3を参照してシリンダ孔25aにピストン24により開閉される排気口25bおよび掃気口25cが設けられ、ピストン24の上昇行程によりクランケース部16a内に生じる負圧により前記リードバルブ26が開き、混合気が前記気化器28からクランケース部16a内に吸入され、ピストン24の下降行程により圧縮され、掃気通路25dを通って掃気口25cからシリンダ孔25aに供給される。
【0028】リードバルブ26は、クランクピン36aが位置する左右方向のクランク中心Cに略配設されており、よって同リードバルブ26に連なる吸気管27は図4に図示するように略クランク中心Cから上方斜め左側に延出して気化器28に接続される。
【0029】一方クランク軸36の右端部には発電機38および冷却ファン39が取り付けられ、左端にはベルト伝達機構22のドライブプーリ40が取り付けられるとともにドライブプーリ39の右側にはスタータワンウェイクラッチ41が設けられている。スタータワンウェイクラッチ41は、ローラ型ワンウェイクラッチで、スタータドリブンギア42が一体に内輪42aを形成し、一方で内輪42aとベアリング43を介して相対的に回転しクランク軸36と一体の外輪44が内周面にカム面を形成してローラ45を内輪42aとの間に介在させたものである。
【0030】左側ユニットケース16Lは、クランクケース部16aから後方に伝動ケース壁16bが延び、左側開放面はパッキン46を介して伝動ケースカバー47により覆われ、その内部にベルト伝達機構22が納められ、クランク軸36の回転がドライブプーリ40、Vベルト48、ドリブンプーリ49、クラッチ50を経て従動軸51に伝えられ、従動軸51の回転がさらに減速歯車装置52を介して後端の後車軸53に伝達される。
【0031】前記したようにクランクケース部16aから後方へ伝動ケース壁16bが延びた前後に長尺のユニットスイングケース16の左側ユニットケース16Lは、図5および図6に図示するように左側開口の周囲を外周壁16cが囲み、外周壁16cの端面が合わせ面16dとなっており、外周壁16cの所々に外方に突出してボルトボス部16eが形成されている。
【0032】図6を参照して左側ユニットケース16Lのクランクケース部16aは、クランク軸36を支持する主軸受37Lが嵌合される円孔を中心に円形に展開した側壁60とその円周壁とで前記スタータワンウェイクラッチ41を納める円形空間61が形成され、その上方に外周壁16cが三角形状に膨出し三角形状の側壁62とともに後述するスタータモータ80を納める三角空間63が形成されている。なお三角空間63を形成する外周壁16cから前方に前記左側のハンガーブラケット17が突出している。
【0033】円形空間61を形成する側壁60は、三角空間63を形成する側壁62より奥側(右側)にあって段差があり、この段差部に沿って三角空間63を形成する側壁62に中間段差のほぼ半円形の側壁64が形成され、その周囲を円筒壁65が形成され、その内部を円穴66としている。
【0034】円穴66および円筒壁65は、円形空間61により略下半部を欠くとともに、上方の一部を半円形に欠いた小円形部67が形成されている。円穴66を形成する側壁64の中心に軸受穴68が形成されている。また三角空間63の側壁62には円穴66の前方斜め上と後方にボルト孔69a ,70aを左右方向に指向して形成するボルトボス部69,70が突設されている。
【0035】一方左側ユニットケース16Lの左側開口を覆う伝動ケースカバー47は、図2,図7および図10に図示するように、左側ユニットケース16Lの左側開口に対応した右側開口を有し、前後に長尺の側壁47aの周囲に左側ユニットケース16Lの外周壁16cに対応して外周壁47c、合わせ面16dに対向して合わせ面47d、ボルトボス部16eに対向してボルトボス部47eが形成されている。
【0036】外周壁47cの前部も、上方に膨出して三角空間73を形成し、その三角形状の前後2辺のうち後辺上部に切欠き75が形成されている。三角空間73を形成する側壁の中央部が円形に若干外方に膨出して円形空間74を形成している。
【0037】そして伝動ケースカバー47には、その外周壁47cの前壁部に前後方向に指向した円筒76が貫通する形で一体に形成されて、円筒76は前方に開口して外気導入口77として伝動ケースカバー47の前方の空気を伝動ケース内部に導入する。
【0038】また側壁47aの中央より若干後方寄りに四角筒体78が、内側中央高さ位置に開口を有し後方斜め下向きに指向して外周壁47cの下壁部を貫通し下向きの排気口79を形成している。前方の外気導入口77から導入された空気は、伝動ケース内のVベルト48による伝動機構を冷却して排気口79から排出される構造となっている。
【0039】左側ユニットケース16Lのクランクケース部16aの三角空間63と対応する伝動ケースカバー47の三角空間73とに配設されるスタータモータ80は、図8ないし図10に図示するように円筒状アウター81の内部にインナーロータ82が駆動軸83を中心に回転自在に支持されており、駆動軸83が突出するアウター開口側にモータブラケット85がアウターフランジ部81aにネジ84によって一体に固着されている。
【0040】駆動軸83のモータブラケット85より外方に突出する部分には、ドライブギア83aが形成されている。モータブラケット85の駆動軸83が突出する側面85aには、図9に示すように駆動軸83に外周縁がかかるように円柱状嵌合部86が突出して形成されている。
【0041】該嵌合部86は、外径が前記左側ユニットケース16Lの三角空間63に設けられた円穴66の内径にほぼ等しく、中心の軸受穴68に対向して同様に中心に軸受穴87が形成され、また円穴66と同様に下方の一部を欠くとともに小円形部67に対応して半円形に欠いて駆動軸83の通路とした小円形部88が形成されている。
【0042】なおモータブラケット85の側面85aには、駆動軸83を中心にほぼ対称位置にボルト貫通孔89,90が穿設されており、同ボルト貫通孔89,90は左側ユニットケース16Lのボルトボス部69,70のボルト孔69a ,70a に対応している。
【0043】モータブラケット85の周面の一部に形成された開口を蓋板91が塞ぐとともに、蓋板91にスタータモータ85から延出するコードの接続部92が設けられて、接続部92からコード93が外方に延びている。
【0044】左側ユニットケース16Lの軸受穴68と対向するモータブラケット85の軸受穴87に減速ギア軸95の両端がそれぞれ嵌入され、両嵌入部間に減速ギア96が軸受ブッシュ97を介して回転自在に支持されるようになっている(図10参照)。減速ギア96は、大径ギア96aと小径ギア96bとが同軸一体に構成されたものである。
【0045】したがってモータブラケット85を一体に固着したスタータモータ80を左側ユニットケース16Lに取り付ける場合、まず軸受ブッシュ97を介して減速ギア96が嵌合された減速ギア軸95の右端を、左側ユニットケース16Lの軸受穴68に嵌入し、同時に小径ギア96bをクランク軸36に嵌合されたスタータワンウェイクラッチ41のスタータドリブンギア42に噛合させる。
【0046】そしてモータブラケット85を右側にし駆動軸83を左右水平方向に指向させた姿勢で、スタータモータ80を、左側ユニットケース16Lの三角空間63に左側から取り付ける。その際、軸受穴68に一端を嵌入させた減速ギア軸95の他端を、モータブラケット85の軸受穴87に嵌入させ、かつスタータモータ80の突出した駆動軸83を小円形部67に合わせて、円穴66にモータブラケット85の円柱状嵌合部86を嵌入して位置決め当接すると、駆動軸83の先端部のドライブギア83aが減速ギア96の大径ギア96aに噛合する。
【0047】減速ギア軸95を中心にモータブラケット85を若干回動しながら調整し、前後のボルト穴69a,70aにボルト貫通孔89,90を一致させ、それぞれボルト98,99を貫通し螺合してスタータモータ80を左側ユニットケース16Lに取り付ける。
【0048】こうして取り付けられたスタータモータ80の駆動軸83のドライブギア83aは減速ギア96の大径ギア96aに噛合し、大径ギア96aに一体の小径ギア96bはスタータワンウェイクラッチ41のスタータドリブンギア42に噛合しているので(図10参照)、スタータモータ80の駆動は、減速ギア96,スタータワンウェイクラッチ41を介してクランク軸36に伝達され内燃機関20の始動に供せられる。
【0049】左側ユニットケース16Lに取り付けられたスタータモータ80は、図10に示すようにベルト伝達機構22のドライブプーリ40の上方に近接して位置し、左半分が左側ユニットケース16Lより左側に飛び出している。次に左側ユニットケース16Lの左側に伝動ケースカバー47が、合わせ面16d,47d間にパッキン46を挟んで被せられる。
【0050】パッキン46は、断面がコ字状をしており、先に伝動ケースカバー47の合わせ面47dに嵌合しておき、左側ユニットケース16Lの合わせ面16dに当接する。左側ユニットケース16Lの外周壁16cの周囲に複数設けられたボルトボス部16eに、伝動ケースカバー47側のボルトボス部47eを一致させてボルト100 で貫通螺合して、左側ユニットケース16Lに対してパッキン46を介して伝動ケースカバー47をフローティング支持構造をなして取り付ける。
【0051】なおパッキン46の前部上方の一部がグロメット46aをなしており、同グロメット46aは伝動ケースカバー47の外周壁47cに設けられた切欠き75に嵌合し(図4参照)、スタータモータ80に接続されるコード93が同グロメット46aから外に延出される。
【0052】本実施の形態のスタータモータ80は、以上のように取付け配設される。左側ユニットケース16およびスタータモータ80と一体のモータブラケット85の双方に減速ギア軸95の端部を支持する軸受穴68,87を有し、同軸受穴68,87を中心に周囲に円穴66と円柱状嵌合部86とをそれぞれ互いに対応させて設けており、減速ギア96を伴い減速ギア軸95を軸受穴68,87に支持させて円穴66に円柱状嵌合部86を嵌入させてスタータモータ80を左側ユニットケース16に位置決め固定するので、減速ギア軸95の組付精度は極めて高く、また組付工数が少なく組付性に優れている。
【0053】さらに左側ユニットケース16において円穴66の中心に軸受穴68を有するので、軸受穴68の加工時に同時に円穴66および円筒壁65の加工ができ、加工工数を削減できるとともに加工アライメント精度を向上させることができる。同様にモータブラケット85についても、その軸受穴87と円柱状嵌合部86の加工を同時に行うことができ、加工工数の削減と加工アライメント精度の向上を図ることがきる。
【0054】左側ユニットケース16の軸受穴68に一端を支持された減速ギア軸95の他端は、スタータモータ80と一体のモータブラケット85の軸受穴87に支持され、専用のホルダーを必要とせず、また伝動ケースカバー47に支持させることをしないので、伝動ケースカバー47のずれにより減速ギア軸95の軸線に傾きを生じさせることはなく減速ギア軸95の位置が高い精度で固定される。さらに本実施の形態のように伝動ケースカバー47をフローティング支持構造とすることができ、振動低減効果を期待できる。
【0055】以上の実施の形態では、スタータモータ80をユニットスイングケース16内に配設する例であったが、一般的なクランクケースにスタータモータが外付けされる場合の例を、次に図11に示し説明する。
【0056】図11は、クランクケース110 にスタータモータ120 が取付けられる要部の断面図であり、スタータモータ120 と一体に取付けられたモータブラケット125 にはスタータモータ120 の駆動軸121 とは中心がずれた偏平円柱状の嵌合部126 が形成されており、同円柱状嵌合部126 の中心部が若干膨出していて、かかる円柱状嵌合部126 の中心に軸受穴127 が形成されている。
【0057】一方クランクケース110 の前壁は、左側周壁110aが前方に膨出して右側を開口しており、同開口の内縁が一部円孔嵌合部111 を形成しており、同開口をモータブラケット125 が塞ぐようにしてスタータモータ120 が取付けられ、その時クランクケース110 側の円孔嵌合部111 にモータブラケット125 の円柱状嵌合部126を嵌入させて位置決めする。
【0058】クランクケース110 の膨出した左側周壁110aからは内側に内壁110cが延出しており、同内壁110cの前記円孔嵌合部111 の中心位置に軸受穴112 が形成されており、減速ギア131 を軸支する減速ギア軸130 の一端が嵌入支持され、減速ギア軸130 の他端は前記モータブラケット125 の軸受穴127 に嵌入支持される。
【0059】したがって減速ギア131 を備えた減速ギア軸130 の一端をクランクケース110側の軸受穴112 に嵌入支持させるとともに減速ギア131 の小径ギア131bをスタータワンウェイクラッチのスタータドリブンギア135 に噛合させておき、スタータモータ120 を取り付けるにあたり、モータブラケット125 の軸受穴127 に減速ギア軸130 の他端を嵌入させ、クランクケース110 側の円孔嵌合部111 にモータブラケット125 の円柱状嵌合部126 を嵌入させて位置決め固定する。
【0060】なおクランクケース110 の開口縁とモータブラケット125 との当接面にはパッキン115 が介装されて防水構造としている。またクランクケース110 の左側は、パッキン117 を挟んで左側ケースカバー116 が取付けられる。
【0061】前記スタータモータ120 の組付けでスタータモータ120 の駆動軸121 の先端部に形成されたドライブギア121aは、減速ギア131 の大径ギア131aに噛合する。こうしてスタータモータ120 の駆動は減速ギア131 を介してスタータドリブンギア135 およびクランク軸に伝達される。
【0062】以上のようにスタータモータ120 がクランクケース110 に外付けされる場合でも、クランクケース110 とモータブラケット125 の双方に、円孔嵌合部111 と円柱状嵌合部126 を形成し、両嵌合部111 ,126 の中心に軸受穴112 ,127 を有するので、減速ギア軸130 を軸受支持しながら円孔嵌合部111 に円柱状嵌合部126を嵌入させてスタータモータ120 をクランクケース110 に位置決め固定するので、減速ギア軸130 の組付精度は高く、また組付工数も少ない。
【0063】クランクケース110 とモータブラケット125 の双方とも、軸受穴112 ,127 の加工と同時に円孔嵌合部111 ,円柱状嵌合部126 の加工ができ加工工数の削減と加工アライメント精度の向上を図ることができる。減速ギア軸130 の支持に専用のホルダーを必要とせず、減速ギア軸の位置が高い精度で固定され、左側ケースカバー116 もフローティング支持構造とすることができる。
【0064】
【発明の効果】本発明は、減速ギア軸の軸受をスタータモータと一体のモータブラケットおよびクランクケースの双方に設け、同軸受の周囲に一方が他方に嵌入する嵌合部を形成して、両嵌合部の嵌合によりスタータモータをクランクケースに位置決め固定するので、同時に組付けられる減速ギア軸の軸受アライメントは両嵌合部の嵌合により高い組付精度が期待できるとともに、減速ギアが同時に組付けられるので、組付工数が少なく組付性が向上する。
【0065】またクランクケースおよびモータブラケットの双方とも、減速ギア軸の軸受の周囲に嵌合部を形成しており、軸受加工時に嵌合部を同時に加工可能で、加工工数の削減と加工精度の向上を図ることができる。
【0066】減速ギア軸の軸受に専用のホルダーを必要とせず、カバーのフローティング支持構造とすることができ、振動低減効果が期待できる。
【0067】モータブラケット側のブラケット側嵌合部を円柱状または円筒状とし、同ブラケット側嵌合部の中心にブラケット側軸受を設け、クランクケース側のケース側嵌合部をブラケット側嵌合部の外径に略等しい内径を有する円穴とし、同円穴の中心にケース側軸受を設けることで、クランクケースおよびモータブラケットの双方とも、減速ギア軸の軸受加工時に同時に嵌合部を加工することが容易にできるとともに、加工工数を減らし加工精度をより一層向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)8月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】江原 望 (外2名)
【公開番号】 特開平9−53548
【公開日】 平成9年(1997)2月25日
【出願番号】 特願平7−222803