トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 自動車のエンジン始動装置
【発明者】 【氏名】戸田 俊久

【氏名】名和 敏明

【氏名】小島 弘明

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キーにより操作されるイグニッションスイッチ装置と、このイグニッションスイッチ装置のスタートスイッチのオンによりスタータモータに通電するモータ通電路中に設けられたスイッチ手段と、エンジンが作動していることを検出するエンジン作動検出手段と、このエンジン作動検出手段がエンジンの作動を検出したとき、前記スイッチ手段を作動させて前記モータ通電路を開路する始動動作禁止手段とを具備してなる自動車のエンジン始動装置。
【請求項2】 始動動作禁止手段は、スタータモータの断電から遅れてスイッチ手段を作動させる遅延手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の自動車のエンジン始動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエンジンの作動中にスタータモータが起動することを防止する機能を有した自動車のエンジン始動装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】自動車のイグニッションスイッチ装置は、キー式のスイッチとなっており、キーシリンダのロータの回転により、一般に、オフ、アクセサリ、オン、スタートの4段に切り替えられる。また、イグニッションスイッチ装置は、通常は、ステアリングロック機構と一体になっており、キーシリンダにキーを差し込んでロータをオフ位置からアクセサリ位置に回すと、ステアリングロックが解除されるようになっている。
【0003】一方、最近の自動車には、イグニッションスイッチ装置を操作するキーに組み込まれた送信機から微弱電波を送信して遠隔操作によりエンジンを自動的に始動させることができるようにしたものがある。この自動エンジン始動装置を搭載した自動車において、エンジンを遠隔操作で始動させた後、自動車を運転するためにイグニッションスイッチ装置のキーシリンダにキーを差し込んでロータを回すと、まずステアリングロックが解除されるが、このとき、勢いでロータをスタート位置にまで回してしまうことがある。
【0004】すると、イグニッションスイッチ装置のスタートスイッチがオンし、スタータモータが起動するが、このとき、既にエンジンが作動しているため、スタータモータの回転をエンジンに伝達するピニオンギヤが損傷するおそれがある。
【0005】本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、エンジンの作動中にスタータモータが起動することを防止できる自動車のエンジン始動装置を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明は、キーにより操作されるイグニッションスイッチ装置と、このイグニッションスイッチ装置のスタートスイッチのオンによりスタータモータに通電するモータ回路中に設けられたスイッチ手段と、エンジンが作動していることを検出するエンジン作動検出手段と、このエンジン作動検出手段がエンジンの作動を検出したとき、前記スイッチ手段を作動させて前記モータ回路を開路する始動動作禁止手段とを具備してなるものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。イグニッションスイッチ装置1は、キー式のスイッチとして構成されており、図示はしないが、キーシリンダとこのキーシリンダ内に回転可能に配設されたロータとを備え、キーによるロータの回転操作に伴って切り替わり動作するように構成されている。
【0008】すなわち、イグニッションスイッチ装置1は、自動車のバッテリのプラス端子(+B)に接続されたロータリ接片2と、カーエアコンやカーラジオなどのアクセサリ類に接続されたACC固定接片3、後述するチャージランプ4などに接続されたIG1固定接片5、エンジンの点火装置に接続されたIG2固定接片6、エンジンのスタータモータ7に接続されたST固定接片8を備えている。そして、ロータリ接片2は、ロータの回転によりオフ、アクセサリ、オン、スタートの4位置に切り替えられるようになっており、アクセサリ位置ではACC固定接片3に接触し、オン位置ではACC固定接片3、IG1固定接片5及びIG2固定接片6に接触し、スタート位置ではACC、IG1、IG2及びSTの全ての固定接片3,4,6及び8に接触する。なお、オフ位置では、ロータリ接片2はいずれの固定接片にも接触しない。
【0009】かかるイグニッションスイッチ装置1は、ステアリングロック機構と一体になっており、ロータをオフ位置にしてキーを抜き取るとステアリングがロックされ、ロータにキーを差し込んでアクセサリ位置に回すと、ステアリングロックが解除されるようになっている。
【0010】一方、自動エンジン始動装置9は、ACC用リレー10、IG1用リレー11、IG2用リレー12、ST用リレー13を備えている。これらのリレー10〜13のリレースイッチ14〜17において、一方の接片14a〜17aは、いずれもB端子18を介してバッテリのプラス端子(+B)に接続されていると共に、他方の接片14b〜17bは、ACC用リレー10ではACC端子19を介してアクセサリ類に接続され、IG1用リレー11ではIG1端子20を介してチャージランプ4、IG2用リレー12ではIG2端子21を介してエンジンの点火装置、ST用リレー13ではST端子22を介してスタータモータ7にそれぞれ接続されている。
【0011】そして、自動エンジン始動装置9は、イグニッションスイッチ装置1のキーに設けられた発信機からの電波を受信装置が受信すると、上記ACC用リレー10、IG1用リレー11、IG2用リレー12、ST用リレー13のリレーコイル23〜26を駆動してリレースイッチ14〜17をオン動作させるように構成されている。
【0012】さて、前記イグニッションスイッチ装置1のスタートスイッチを構成するロータリ接片2とST固定接片8とにより形成されるスタータモータ7の通電路(モータ通電路)のうち、例えばST固定接片8からスタータモータ7とST端子22との共通接続点までの通電路中には、スイッチ手段としての手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28が接続されている。この手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28は常閉形に構成され、リレーコイル29が駆動されるとオフするようになっている。そして、そのリレーコイル29は、自動エンジン始動装置9のPO端子30に接続されている。
【0013】前記自動エンジン始動装置9は、エンジン作動中、手動始動禁止用リレー27のリレーコイル29を駆動してリレースイッチ28をオフ状態にする機能を備えている。以下にその機能を果たすための手段を説明するに、まずイグニッションスイッチ装置1のIG1固定接片5に一方の端子が接続された前記チャージランプ4の他方の端子は、エンジン作動検出手段としてのNPN形のトランジスタ31のコレクタに接続されており、そのトランジスタ31のエミッタはグランドラインに接続され、ベースは例えばオルタネータの発電を検出する発電検出部に接続されている。
【0014】ここで、オルタネータは、エンジンにより駆動されて発電作用を呈し、電気負荷への電力供給及びバッテリの充電を行う。そして、イグニッションスイッチ装置1のロータリ接片2がIG1接片5に接触した状態において、トランジスタ31のベースは、オルタネータの停止中ハイレベル状態にされ、オルタネータが回転して発電作用を呈すると、ロウレベルとなるように構成されている。従って、トランジスタ31は、オルタネータの停止中(エンジン停止中)はオンしてチャージランプ4を点灯させ、オルタネータの作動中(エンジン作動中)はオフしてチャージランプ4を消灯させる。
【0015】そして、チャージランプ4とトランジスタ31のコレクタとの共通接続点は、自動エンジン始動装置9のPI1端子32に接続されている。従って、上記説明から理解されるように、PI1端子32は、エンジンの停止中(トランジスタ31のオン)はロウレベル状態にされ、エンジンが作動(トランジスタ31のオフ)するとハイレベル状態となる。
【0016】また、自動エンジン始動装置9のPI2端子33には、エンジン回転検出器34からエンジンの回転数に応じたパルス信号が入力されるようになっている。この場合、エンジンのシャフトの回転に連結されたロータリエンコーダを設け、このロータリエンコーダをエンジン回転検出器34としても良いが、自動車ではエンジンのイグニッションコイルのマイナス端子にエンジンの回転数に応じたパルスが発生しているので、このイグニッションコイルをエンジン回転検出器34としても良く、本実施例では後者のイグニッションコイルをエンジン回転検出器34とする構成を採用している。
【0017】以上のように、本実施例では、エンジン作動検出手段として、エンジンの停止・作動に伴ってチャージランプ4をオンオフするトランジスタ31を利用したり、エンジンの作動に伴ってパルスを発生するイグニッションコイルを利用したりすることにより、新たな検出センサを設けなくとも済むようにしている。
【0018】さて、PI2端子33に入力されたパルス信号は、エンジン回転数に応じた電圧に変換すべくF/V変換回路35に与えられ、このF/V変換回路35の電圧出力は、コンパレータ36の反転入力端子に与えられる。コンパレータ36の非反転入力端子には、抵抗分圧回路からなる基準電圧発生回路37により基準電圧が与えられている。この基準電圧発生回路37の基準電圧は例えば0Vに設定され、従ってコンパレータ36は、エンジンが作動し始めると、F/V変換回路35の出力電圧が基準電圧を上回ることにより、ローレベル信号を出力する。
【0019】コンパレータ36の出力信号は、インバータ38により反転され、PI1端子32を介して入力されるチャージランプ4側からの信号と共にアンド回路39のH能動入力端子に与えられる。このアンド回路39のL能動入力端子は、ST端子22に接続されており、従ってアンド回路39は、ST端子22からL能動入力端子に与えられる信号がローレール状態で、且つH能動入力端子に与えられる信号がハイレベル状態のとき、ハイレベル信号(禁止信号)を出力する。なお、アンド回路39のL能動入力端子には、スタータモータ7が通電されている状態ではハイレベル信号が与えられ、スタータモータ7の断電時はローレベル信号が与えられる。
【0020】アンド回路39の禁止信号は、遅延手段としてのディレー回路40に与えられ、このディレー回路40はアンド回路39からハイレベルの禁止信号が与えられると、その時点から所定時間後にハイレベルの駆動信号を出力する。このディレー回路40の出力端子は、前記手動始動禁止用リレー27のリレーコイル29が接続されているPO端子30に接続されており、従ってディレー回路40から駆動信号が出力されると、リレーコイル29が駆動されてリレースイッチ28をオフ動作させる。
【0021】以上のようなF/V変換回路35、コンパレータ36、アンド回路39、ディレー回路40は、エンジンの作動が検出されたとき、手動始動禁止用リレー27をオフ動作させる始動動作禁止手段41を構成する。このうち、F/V変換回路35、コンパレータ36は、エンジン回転検出器34からのパルス信号を処理してステップ状に立ち下がるエンジン作動信号を出力する信号処理手段として機構する。また、アンド回路39は、スタータモータ7が断電されたことを検出するスタート動作終了検出手段として機能する。
【0022】次に上記構成の作用を説明する。今、遠隔操作によりエンジンを始動させるべく、キーの発信機を動作させて電波(始動信号)を発信したとする。すると、受信装置がその電波を受信し、自動エンジン始動装置9はACC用、IG1用、IG2用及びST用の各リレー10〜13のリレーコイル23〜26を駆動し、そのリレースイッチ14〜17をオンさせる。
【0023】トランジスタ31のベースは、IG1用リレー11のリレースイッチ15のオンによりハイレベルとなるため、該トランジスタ31がオン状態となり、チャージランプ4が点灯する。また、ST用リレー13のリレースイッチ17のオンによりスタータモータが起動してエンジンを作動させ、このエンジン作動によりオルタネータが駆動されて発電作用を呈する。すると、トランジスタ31のベースがローレベルとなり、該トランジスタ31はオフするため、チャージランプ4が消灯すると共に、アンド回路39のH能動入力端子に、PI1端子32を介してハイレベル信号が入力される。
【0024】また、エンジンの始動により、F/V変換回路35には、イグニッションコイルからPI2端子33を介してエンジン回転数に応じた周波数のパルス信号が入力されるため、該F/V変換回路35はその入力周波数に応じた電圧をコンパレータ36の反転入力端子に与える。すると、コンパレータ36は、F/V変換回路35からの電圧入力と同期してステップ状に立ち下がるローレベル信号を出力し、その出力はインバータ38により反転されてハイレベル信号としてアンド回路39のH能動入力端子に与えられる。
【0025】一方、ST用リレー13のリレースイッチ17がオン状態にあるとき、アンド回路39のL能動入力端子には、バッテリの電圧(ハイレベル信号)が入力される。このため、アンド回路39は、ST用リレー13のリレースイッチ17がオン状態にあるときは、H能動入力端子にハイレベル信号が入力されても、ハイレベル信号は出力しない。
【0026】自動エンジン始動装置9は、キーの発信機からの始動信号を受信後、或る一定時間経過すると、ST用リレー13のリレーコイル26を断電してリレースイッチ17をオフさせる。すると、アンド回路39のH能動入力端子がハイレベルの状態で、L能動入力端子がローレベル状態となるため、該アンド回路39はハイレベルの駆動信号をディレー回路40に与える。そして、ディレー回路40は、アンド回路39から駆動信号が与えられた後、所定時間経過後に駆動信号を出力し、これにより手動始動禁止用リレー27のリレーコイル29が駆動されてリレースイッチ28をオフさせる。
【0027】さて、このようにしてエンジンを作動させた後、自動車を運転すべく、運転者がイグニッションスイッチ装置1のキーシリンダにキーを差し込んでロータをオフ位置からオン位置に回す。すると、ステアリングロックが解除される。このとき、勢いでロータをスタート位置まで回してしまうことがある。しかしながら、このときには、手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28がオフ状態にあるため、ロータリ接片2がST固定接片8に接触(スタートスイッチのオン)しても、スタータモータが起動することはない。
【0028】なお、ロータをオン位置に回すと、その後、ACC用、IG1用及びIG2用の各リレー14〜16のリレーコイル23〜25は断電される(リレースイッチ14〜16のオフ)。
【0029】ところで、エンジン始動を遠隔操作ではなく、キー操作にて行う場合には、手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28はオン状態にある。この状態でキー操作によりロータをスタート位置に回し、イグニッションスイッチ装置1のスタートスイッチがオンされると、スタータモータが起動してエンジンを始動させる。すると、このエンジンの始動に伴い前述したと同様にしてアンド回路39のH能動入力端子にはハイレベル信号が入力される。
【0030】そして、ロータをオン位置に戻す(スタートスイッチのオフ)と、アンド回路39のL能動入力端子にはロウレベル信号が入力されるようになるため、該アンド回路39は禁止信号をディレー回路40に与える。その後、一定時間経過すると、ディレー回路38は、駆動信号を出力し、手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28をオフする。このため、以後、エンジンが作動しているにもかかわらず、イグニッションスイッチ装置1のスタートスイッチをオンしても、スタータモータが起動することはない。
【0031】上述のように手動始動禁止用リレー27のリレースイッチ28は、ディレー回路40の遅延出力により、スタートスイッチのオフから一定時間後にオフされる。このため、リレースイッチ28のオフ時点は、スタートスイッチのオフと同時ではなく、スタートスイッチがオフされてスタータモータが断電された後になる。従って、スタータモータに流れる電流をリレースイッチ28により断つのではないから、スタータモータへ流れる電流をリレースイッチ28の接点で開閉することなく、且つオフ時の送起電圧も接点間に印加されることがないため、該リレースイッチ28を電流容量の小さな小形のものにすることができる。
【0032】なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張または変更が可能である。エンジン作動検出手段は、エンジンの始動と共に作動を開始する電子制御燃料噴射装置(EFI)より出力されるチエックエンジンランプ信号により作動検出するものであっても良い。
【0033】手動始動禁止用リレー27を大容量のもので構成すれば、スタートスイッチのオフと同時にオフしても良いから、アンド回路39、ディレー回路40を省略し、コンパレータ36のハイレベル信号に同期して手動始動禁止用リレー27のリレーコイル29を駆動する駆動回路構成としても良い。
【0034】また、F/V変換回路35の回転数検知機能、コンパレータ36、アンド回路39及びゲィレー回路40の機能はCPUにて果たすように構成しても良い。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、エンジンが作動しているときに、誤ってイグニッションスイッチ装置のスタートスイッチをオンしたとしても、モータ通電路は開路されているので、スタータモータが起動することがない。
【出願人】 【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
【出願日】 平成7年(1995)7月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強
【公開番号】 特開平9−42126
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平7−190677