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スタータ - 特開平9−42125 | j-tokkyo
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【発明の名称】 スタータ
【発明者】 【氏名】小林 康彦

【氏名】志賀 孜

【氏名】林 信行

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】アーマチュア回転軸と、このアーマチュア回転軸に固定されたアーマチュアコアと、このアーマチュアコアを内部に収納するヨークと、このヨークの両側に設けられた第1、第2の隔壁部材とを有するスタータモータと、前記アーマチュア回転軸と同軸上に配され、外周にスプラインが形成された出力軸と、前記スプラインに係合し、エンジンのリングギヤに噛み合うピニオンギヤを有するピニオンと、前記アーマチュア回転軸の回転を減速して前記出力軸に伝達する減速手段と、前記出力軸と前記スタータモータとの間の動力伝達経路中に設けられ、前記アーマチュア回転軸から前記ピニオンに回転力を伝達する一方向クラッチと、前記出力軸の一端側を回転自在に支持する第1の軸受部材と、前記出力軸の他端側を回転自在に支持する第2の軸受部材と、前記スタータモータのアーマチュア回転軸の両端をそれぞれ回転自在に支持する第3、第4の軸受部材とを備え、これら第3、第4の軸受部材は、前記スタータモータの第1、第2の隔壁部材に保持されていることを特徴とするスタータ。
【請求項2】請求項1に記載のスタータにおいて、前記第1の軸受部材は、前記ピニオンを収納するハウジングに取付けられるとともに、前記第2の軸受部材は、前記ピニオンと前記一方向クラッチとの間に設けられたセンタケースに取付けられていることを特徴とするスタータ。
【請求項3】請求項1もしくは2に記載のスタータにおいて、前記第1の隔壁部材は、前記スタータモータのアーマチュアコアと前記減速手段との間に設けられていることを特徴とするスタータ。
【請求項4】請求項3に記載のスタータにおいて、前記第1の隔壁部材は、前記スタータモータのヨークの一端側から前記アーマチュア回転軸側に一体に延びていることを特徴とするスタータ。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のスタータにおいて、前記スタータモータは、前記アーマチュアコアの端部で前記アーマチュア回転軸と略直角を成すように設けられたフェイス型コンミテータを有し、前記第2の隔壁部材は、前記フェイス型コンミテータにブラシを摺動自在に保持するブラシ保持板であることを特徴とするスタータ。
【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載のスタータにおいて、前記第3の軸受部材の少なくとも1部は、アーマチュアコイルが前記アーマチュアコアから突出したコイル端部の内周側に位置していることを特徴とするスタータ。
【請求項7】請求項1〜6のいずれかに記載のスタータにおいて、前記スタータモータへの通電を制御する電磁スイッチを前記スタータモータの反ピニオン側に配設したことを特徴とするスタータ。
【請求項8】アーマチュア回転軸と、このアーマチュア回転軸に固定されたアーマチュアコアと、このアーマチュアコアに巻かれたアーマチュアコイルと、前記アーマチュアコアの外周側に設けられた界磁極と内周に前記界磁極が設けられたヨークとを有するスタータモータと、前記アーマチュア回転軸と同軸上に配され、外周にスプラインが形成された出力軸と、前記スプラインに係合し、エンジンのリングギヤに噛み合うピニオンギヤを有するピニオンと、前記アーマチュア回転軸の回転を減速して前記出力軸に伝達する減速手段と、前記出力軸と前記スタータモータとの間の動力伝達経路中に設けられ、前記アーマチュア回転軸から前記ピニオンに回転力を伝達する一方向クラッチと、前記出力軸の一端側を回転自在に支持する第1の軸受部材と、前記出力軸の他端側を回転自在に支持する第2の軸受部材と、前記スタータモータのアーマチュア回転軸の両端をそれぞれ回転自在に支持する第3、第4の軸受部材とを備え、これら第3、第4の軸受部材は、前記スタータモータのヨークに対して保持されていることを特徴とするスタータ。
【請求項9】請求項8に記載のスタータにおいて、前記スタータモータは、前記アーマチュアコアの端部で前記アーマチュア回転軸と略直角を成すように設けられたフェイス型コンミテータと、このフェイス型コンミテータにブラシを摺動自在に保持するブラシ保持板とを有し、前記アーマチュア回転軸の後端側を支持する前記第4の軸受部材は、前記ブラシ保持板に保持されていることを特徴とするスタータ。
【請求項10】請求項8もしくは9に記載のスタータにおいて、前記第3の軸受部材の少なくとも1部は、前記アーマチュアコイルが前記アーマチュアコアから突出したコイル端部の内周側に位置していることを特徴とするスタータ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンを始動させるスタータに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、エンジンルーム内の過密化および省燃費化等により、スタータの小型軽量化に対する要求が高まっており、その一手段として高減速化することが挙げられる。これにより、高速回転型のモータを採用してアーマチュアの小型化を図ることができる。しかし、減速比を大きくしてアーマチュアを高速回転化した場合、耐振性が大きな問題となる。特に、高速回転するアーマチュアシャフトの軸受構造に関しては、軸受間隔を小さくしたり、軸受間の芯ずれを無くす等の方法によって剛性を高める必要がある。また、スタータ全体としては、極力軸受に振動を与えない様なコンパクトな構造としなければならない。これに対し、実開昭63−168276号公報に記載されたスタータでは、アーマチュアシャフトの両端部を支持する軸受がスタータの機枠(ヨークを含む)によって直接保持されて、軸受間の芯ずれを無くすことにより剛性を高めた構造が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の公報に開示されたスタータは、アーマチュアシャフトの内部に出力軸が挿入されて、アーマチュアシャフトの内周面に軸受を介して回転自在に支持されている。従って、エンジン駆動時およびオーバラン時にピニオンとリングギヤとの噛み合いによって生じる振動が出力軸から軸受を介して直接アーマチュアシャフトまで伝達されてしまう。このため、高速回転するアーマチュアシャフトを支持する軸受にも振動が伝わることで、アーマチュアの安定した回転を妨げることになる。その結果、軸受の早期摩耗、コンミテータとブラシの摺接不良による性能低下、およびブラシの早期摩耗等の不具合が生じる。本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、耐振性の高い構造とすることで、安定したアーマチュアの高速回転を得ることのできるスタータの提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成を採用した。請求項1および請求項8では、出力軸とアーマチュア回転軸とがそれぞれ第1、第2の軸受部材ならびに第3、第4の軸受部材によって支持されていることで、出力軸上のピニオンがエンジンを駆動する時や、エンジンからオーバーランされる時にエンジンから受ける振動が高速回転するアーマチュアに伝達されにくくなる。また、第1および第2の軸受部材との間には、一方向クラッチがないため、第1と第2の軸受部材間の間隔を小さくできることに加えて、第1と第2の軸受部材間には一方向クラッチの重量物が設けられていないことから、出力軸にかかる荷重を抑えて出力軸のたわみを少なくして、発生する振動を抑えて安定した回転を得ることができる。これにより、出力軸自体が振動しにくくなるとともに、さらにアーマチュアの回転には出力軸の振動の回転の影響が伝達されにくくなり、アーマチュアは安定した回転が可能となるので、第3、第4の軸受部材の早期磨耗等を確実に防止することができる。
【0005】請求項3の手段によれば、第1の隔壁部材がスタータモータのヨークの一端側からアーマチュア回転軸側に一体に延びていることで、第1の隔壁部材の剛性が高められ、アーマチュア回転軸のより安定した回転を得ることができる。
【0006】請求項5ならびに請求項9の手段によれば、アーマチュアコアの端部でアーマチュア回転軸と略直角を成すように設けられたフェイス型コンミテータを有し、かつ第2の隔壁部材は、フェイス型コンミテータにブラシを摺動自在に保持するブラシ保持板とすることで、第3と第4の軸受部材間の間隔を小さくして、アーマチュア回転軸の軸受構造を剛性の高いものとすることができる。
【0007】請求項6ならびに請求項10の手段によれば、第3の軸受部材の少なくとも一部は、アーマチュアコイルがアーマチュアコアから突出したコイル端部の内周側に位置していることで、さらに第3と第4の軸受部材間の間隔を小さくして、アーマチュア回転軸の軸受構造を剛性の高いものとすることができる。
【0008】請求項7の手段によれば、スタータモータへの通電を制御する電磁スイッチをスタータモータの反ピニオン側に配設したことで、電磁スイッチをアーマチュア回転軸から離すことができ、アーマチュア回転軸と電磁スイッチとの間で互いに振動を及ぼしあって共振するようなことがなくなり、スタータ全体としての耐振性を向上することができる。このため、モータ部の振動も低減でき、アーマチュア回転軸や出力軸は安定した回転が可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明のスタータの一実施例を図面に基づいて説明する。図1はスタータ1の断面図である。本実施例のスタータ1は、通電を受けてアーマチュア2に回転力を発生するスタータモータ3、アーマチュア2より前方側(図1の左側)でアーマチュアシャフト4と同芯軸上に配された出力軸5、この出力軸5の外周に嵌合するピニオン6、スタータモータ3の回転力を出力軸5へ伝達する回転力伝達手段(後述する)、始動時にピニオン6の回転を規制する回転規制部材7、スタータモータ3の後方に配置された電磁スイッチ8等より構成されている。
【0010】(スタータモータ3の説明)スタータモータ3は、ヨーク9、ホルダ10、固定磁極11、アーマチュア2、ブラシ12等より構成されている。ヨーク9は、例えばプレス加工(深絞り)により一体成形されて、後端側(図1の右端側)のみ開放された円筒形状を成す。ヨーク9の前端側は、内径方向へ折り曲げられて、アーマチュア2と回転力伝達手段とを区画する隔壁板(第1の隔壁部材)9aとして設けられている。ホルダ(第2の隔壁部材)10は、ヨーク9とともにスタータ1の機枠を構成するもので、ヨーク9の後端側を閉塞する様にヨーク9の後端に取り付けられている。
【0011】界磁極をなす固定磁極11は、例えば永久磁石を用いたもので、固定磁極11の内周に配置される固定スリーブ13によってヨーク9の内周面に固定されている。なお、固定磁極11は、永久磁石の代わりに通電によって磁力を発生するフィールドコイルを用いても良い。アーマチュア2は、固定磁極11の内周に配されて、アーマチュアシャフト4の前端部が軸受(第3の軸受部材)14を介して隔壁板9aの中央部に設けられた円筒状の軸受部9bに支持されて、アーマチュアシャフト4の後端部が軸受(第4の軸受部材)15を介してホルダ10の中央部に設けられた円筒状の軸受支持部10aに支持されている。
【0012】図2に示す様に、ホルダ10には、正極及び負極ブラシ12a、12bを軸方向移動可能に保持するブラシホルダ部10b、10cが貫通穴として設けられている。そして、正極ブラシ12aは、ホルダ10に配設された電磁スイッチ8の電気絶縁材からなる台座38に設けられたガイド部38bがブラシホルダ部10bに挿入された状態でホルダ10に対し電気絶縁されて保持される。負極ブラシ12bは、ホルダ10に設けられたブラシホルダ部10cのガイド部10dが直接負極ブラシ12bを保持している。また、アーマチュア2は、アーマチュアコア2aとこのアーマチュアコア2aに巻かれたアーマチュアコイル2bとから構成され、アーマチュアコイル2bの後端面には、アーマチュアコイル2b自身によって作られたフェイス型コンミテータ16が設けられている。このコンミテータ16は、ブラシ12との摺接面がアーマチュアシャフト4と略直角を成すように設けられている。
【0013】ブラシ12は、少なくとも一組の正極ブラシ12aと負極ブラシ12bとから成り、それぞれホルダ10に保持されて、軸方向の後端側からスプリング(図示しない)によりコンミテータ16の端面に押圧されている。ブラシ12を付勢するスプリングは、ホルダ10の後端側に組付けられるエンドカバー17に保持されている。このエンドカバー17には、バッテリケーブル(図示しない)が接続される端子ボルト18が固定されている。なお、軸受14の一部は、アーマチュアコア2aの前端側に突出しているアーマチュアコイル2bのコイル端部2cの内周側に収納されており、軸受14と軸受15との間の間隔を短縮することができる。
【0014】(出力軸5の説明)出力軸5は、その先端部が軸受(第1の軸受部材)19を介してハウジング20に支持され、後端部が軸受(第2の軸受部材)21を介してハウジング20内部に収容されたセンタケース22(後述する)に支持されている。この出力軸5の後端部は、径方向の外周へ突設されて、遊星歯車減速機構(後述する)のプラネットキャリア23として一体に設けられている。
【0015】(ピニオン6の説明)ピニオン6は、その内周面にピニオンヘリカルスプライン(図示しない)が形成されて、出力軸5の外周に形成されたヘリカルスプライン5aと嵌合しており、出力軸5上をヘリカルスプライン5aに沿って前進することでエンジンのリングギヤ24と噛み合うことができる。このピニオン6は、ピニオン6の前端側に配されたスプリング25により常に出力軸5の後方側へ付勢されている。なお、スプリング25は、ピニオン6の前方で出力軸5の外周に嵌め合わされたシャッタ26のリング部26aを介してピニオン6を付勢している。シャッタ26は、ピニオン6の移動に連動してハウジング20のリングギヤ24側に開口する開口部を開閉するものである。ピニオン6の後端には、ピニオン6より外径寸法が大径の回転規制プレート27が一体に設けられている。この回転規制プレート27の外周面には、軸方向に沿った係合溝27aが周方向で等間隔に多数(ピニオン6の外歯枚数より多い)形成されている。
【0016】(回転力伝達手段の説明)回転力伝達手段は、遊星歯車減速機構と一方向クラッチとから構成されて、ヨーク9の隔壁板9aより前方側でセンタケース22に収容されている。遊星歯車減速機構は、アーマチュア2の回転速度を減速してスタータモータ3の出力トルクを増大する減速装置であり、アーマチュアシャフト4の先端外周に形成されたサンギヤ28、このサンギヤ28に噛み合う3個の遊星ギヤ29、各遊星ギヤ29と噛み合うインターナルギヤ30、および前述のプラネットキャリア23より構成されている。
【0017】サンギヤ28は、アーマチュアシャフト4と一体に回転することで、アーマチュアシャフト4の回転を3個の遊星ギヤ29に伝達する。3個の遊星ギヤ29は、それぞれプラネットキャリア23に固定されたピン31に軸受32を介して回転自在に支持されており、サンギヤ28およびインターナルギヤ30と噛み合いながらサンギヤ28の外周を公転することで、その公転力がプラネットキャリア23に伝達されて出力軸5に回転力を伝達する。インターナルギヤ30は、円筒形状に設けられて、その外周面がセンタケース22の円筒壁内周面に摺接して回転可能に組み込まれている。
【0018】一方向クラッチは、遊星歯車減速機構のインターナルギヤ30を一方向(エンジンの回転を受けて回転する方向)のみに回転可能に支持するもので、クラッチアウタ33、クラッチインナ34、ローラ35、およびスプリング(図示しない)等より構成される。クラッチアウタ33は、インターナルギヤ30の前端側でインターナルギヤ30と一体に設けられている。このクラッチアウタ33の内周面には、周方向に複数の楔状カム室(図示しない)が形成されている。
【0019】クラッチインナ34は、センタケース22と一体に設けられて、クラッチアウタ33の内周側でクラッチアウタ33との間に所定の間隔を保って軸方向に延びる円筒形状を成す。ローラ35は、カム室に収容されて、スタータモータ3の回転力を出力軸5へ伝達する時にクラッチアウタ33とクラッチインナ34とをロックして、クラッチアウタ33の回転を規制する。スプリングは、ローラ35とともにカム室に収容されて、ローラ35をカム室の狭い方へ押圧している。
【0020】センタケース22は、ハウジング20の後端側内部に配置されて、ハウジング20に対して回転不能に組付けられている。センタケース22の前面側には、回転規制部材7を保持するためのプレート36が組付けられて、ケース前面との間に所定の空間を形成している。また、センタケース22の中央部には、軸受21を保持する円筒状の軸受保持部22aが一体に設けられている。そして、この軸受保持部22aは、ピニオン6と一方向クラッチとの間に位置している。
【0021】(回転規制部材7の説明)回転規制部材7は、棒状の金属材を約3/2巻回して設けられたバネ部材であり、両端部が径方向の対向位置で同一方向へ直角に曲げ起こされている。その曲げ起こされた一端部は、スタータ1の作動初期に回転規制プレート27の外周面に形成された係合溝27aに係合することでピニオン6の回転を規制する規制棒7aであり、他端部7bには、連結部材を成すワイヤ等の紐状部材37の一端が係合されて、その紐状部材37を介して電磁スイッチ8の作動が伝えられる。
【0022】この回転規制部材7は、センタケース22とプレート36との間に形成される空間に収容されて、両端部7a、7bがプレート36から前方へ取り出されており、プレート36によって軸方向への移動が規制された状態で上下方向(図1の上下方向)に移動可能に保持されている。また、回転規制部材7は、図示しない復帰スプリングによって常時上方へ付勢されており、紐状部材37を介して電磁スイッチ8の作動が他端部7bに伝達されると、回転規制部材7全体が復帰スプリングのバネ力に抗して下方へ移動し、電磁スイッチ8がオフされると、復帰スプリングのバネ力により上方へ付勢されて初期位置(図1に示す位置)へ復帰する。
【0023】(電磁スイッチ8の説明)電磁スイッチ8は、ホルダ10に圧入された台座38に保持されてエンドカバー17内に配置され、アーマチュアシャフト4に対して動作方向が交差するように固定されている。この電磁スイッチ8は、図示しないスタータスイッチがON操作されて内蔵するコイル(図示しない)が通電されると、コイルに発生する磁力によってスイッチ内部に収容されたプランジャ39を吸引する。その結果、スイッチ内部に設けられたスタータモータ3の接点(図示しない)を閉じてアーマチュア2への通電が行われるとともに、前述の紐状部材37を介して回転規制部材7を駆動する。なお、紐状部材37は、図1に示すように、台座38に保持されたローラ40およびセンタケース22の突起部41に保持されたローラ42に案内されてプランジャ39の作動を回転規制部材7に伝達している。
【0024】次に、本実施例の作動を説明する。スタータスイッチがON操作されて電磁スイッチ8が作動すると、プランジャ39の移動に伴って紐状部材37が電磁スイッチ8側へ引っ張られることにより、回転規制部材7がセンタケース22の前面に沿って下方へ移動する。その結果、回転規制部材7の規制棒7aが回転規制プレート27の係合溝27aに係合してピニオン6の回転を規制する。
【0025】一方、電磁スイッチ8によりスタータモータ3の接点が閉じてアーマチュア2が通電されることにより、アーマチュア2に回転力が発生する。これにより、アーマチュアシャフト4とともにサンギヤ28が回転して3個の遊星ギヤ29を回転駆動する。この時、各遊星ギヤ29と噛み合うインターナルギヤ30は、各遊星ギヤ29の回転力を受けて一方向に回転しようとする。
【0026】このインターナルギヤ30の動作により、クラッチアウタ33のカム室に収容されたローラ35がスプリングに押圧されてカム室の狭い方へ移動し、クラッチインナ34の外周面に係合する。この結果、クラッチアウタ33は、センタケース22に一体に形成されたクラッチインナ34(回転不能)にローラ35を介してロックされることにより回転が規制される。この結果、クラッチアウタ33と一体を成すインターナルギヤ30の回転が規制されるため、3個の遊星ギヤ29がピン31を中心として自転しながらサンギヤ28の外周を公転し、その公転力がプラネットキャリア23に伝達されて出力軸5を回転駆動する。
【0027】この出力軸5の回転によってピニオン6も回転しようとするが、ピニオン6が規制棒7aによって回転規制されていることから、出力軸5の回転力はピニオン6に対して軸方向に押し出す推力として作用する。この結果、ピニオン6が出力軸5に対してヘリカルスプライン5aに沿って前進してリングギヤ24と噛み合うことができる。ピニオン6が完全にリングギヤ24と噛み合うと、規制棒7aの先端が回転規制プレート27の係合溝27aから外れて回転規制プレート27の後端側に落ち込むことにより、ピニオン6の回転規制が解除される。これにより、出力軸5の回転力がピニオン6と噛み合うリングギヤ24に伝達されてリングギヤ24を回転することによりエンジンを始動することができる。
【0028】なお、ピニオン6が前進してリングギヤ24と噛み合った状態では、ピニオン6を付勢するスプリング25の付勢力が大きくなる。また、エンジン始動後、ピニオン6がリングギヤ24によって回されると、エンジンの回転力がヘリカルスプライン5aの作用によってピニオン6を後退させる方向へ作用する。これらの力により、ピニオン6は出力軸5に対して後退しようとするが、回転規制プレート27の後端側に落ち込んだ規制棒7aの先端が回転規制プレート27の後端面を支持することによりピニオン6の後退が阻止される。
【0029】その後、スタータスイッチがOFFされて電磁スイッチ8の作動が停止すると、紐状部材37を介して回転規制部材7を引っ張る力が消滅することから、回転規制部材7は復帰スプリングのバネ力によって初期位置へ復帰する。この結果、ピニオン6の後退を阻止していた規制棒7aが回転規制プレート27から外れるため、リングギヤ24から後退力を受けるピニオン6が静止状態(図1に示す状態)に戻される。なお、隔壁板9aをヨーク9と一体に設けているが、別体として、隔壁板9aをハウジング20とヨーク9との間に挟持するようにしてもよい。
【0030】(実施例の効果)本実施例のスタータ1は、アーマチュアシャフト4と出力軸5とを同軸上に配置するとともに、電磁スイッチ8をスタータモータ3の後方に配置して、その動作方向がアーマチュアシャフト4に対して交差するように固定されている。このため、電磁スイッチ8がスタータモータ3の外側に併設されたスタータ、及びアーマチュアシャフト4の内部に出力軸5が挿入されたスタータと比較してアッシー全体の耐振性が向上する。即ち、電磁スイッチ8をスタータモータ3の後方に配置したことにより、従来のように、エンジンへの取付用ハウジングにスタータモータ3と電磁スイッチ8とがそれぞれ片持ち状態で取り付けられていないので、それぞれの重量物に働く振動で互いに影響を及ぼし共振する様なことがなく、電磁スイッチ8がスタータモータ3の外側に併設されたスタータと比較して耐振性が良いと言える。一方、出力軸5をアーマチュア2の前方でアーマチュアシャフト4と同軸上に配置したことにより、出力軸5からアーマチュアシャフト4に直接伝わる振動を極力小さくできるため、アーマチュアシャフト4の内部に出力軸5が挿入されたスタータと比較しても耐振性が良いと言える。
【0031】また、アーマチュアシャフト4と出力軸5とを各々専用の軸受14、15および19、21で支持する構造であるため、軸受構造の剛性が高まり、互いに振動を及ぼし合うことがなく、アーマチュアシャフト4および出力軸5共に安定した回転を得ることができる。更に、アーマチュアシャフト4を支持する軸受14、15は、スタータモータ3の機枠(ヨーク9の隔壁板9aとホルダ10)によって保持されるため、両軸受14、15間での芯ずれを無くすことができる。
【0032】その上、スタータモータ3は、アーマチュア2の後端にフェイス型コンミテータ16を有することから、円筒形状のコンミテータを設けた場合と比較してアーマチュアシャフト4の軸長を短くできる。そこで、アーマチュアシャフト4の軸受14、15を機枠によって保持することにより、軸受間隔を可能な限り小さくすることができる。つまり、アーマチュア2の前端面に近接して配置されたヨーク9の隔壁板9aによってシャフト前端側の軸受14を保持し、アーマチュア2の後端面に近接して配置されたホルダ10によってシャフト後端側の軸受15を保持することにより、アーマチュアシャフト4の軸長を短くできるメリットを有効に利用して軸受間隔を小さくできるため、剛性の高い軸受構造とすることができる。
【0033】また、一方向クラッチをピニオン6と切り離して出力軸5の後端側を支持する軸受21より後方側に設けた(即ち、出力軸5の前端側を支持する軸受19と後端側を支持する軸受21との間には設けられていない)ことで、出力軸5の軸受間隔を小さくして剛性の高い軸受構造とすることができる。その上、軸受間隔を小さくできることに加えて、両軸受19、21間に一方向クラッチが設けられていないことから、出力軸5の撓みを極力小さくできる。これらの結果、出力軸5の振動が抑えられて安定した回転を得ることができる。また、この出力軸5の回転が安定することで、例えばピニオン6がリングギヤ24と噛み合った後、出力軸5がエンジンにより高速で回された時でも、出力軸5の振動が小さいため、アーマチュアシャフト4に与える影響も極めて小さいと言える。しいては、コンミテータ16の振動も抑えられ、ブラシ12とコンミテータ16との間の整流作用も悪化することがない。
【0034】上記の構造とすることにより、コンパクトで剛性が高く、耐振性および耐高速性に優れたスタータ1を実現することができる。特に、高減速化(例えば減速比8以上)された場合には、アーマチュア2の回転数が大きくなるため、耐振性および耐高速性の向上を図ることが極めて重要であり、本実施例の構造を採用することが必要となる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成8年(1996)5月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開平9−42125
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平8−121164