トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 始動電動機用一方向ローラクラッチ装置
【発明者】 【氏名】森 和幸

【氏名】植田 光城

【目的】 一方向ローラクラッチに使用している部品点数及び製作工数を削減し、生産性の良い低コストの一方向ローラクラッチ装置を提供する。
【構成】 皿状の固定ワッシャ7をクラッチアウタ2の端面部に設けられた逆テーパ部2dに挿入させて、軸方向より所定の荷重で平に加圧変形させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】機関を始動させる電動機の出力回転軸に摺動可能に支持されたクラッチアウタと前記クラッチアウタにローラを介して連結されたクラッチインナを有する一方向ローラクラッチにおいて、前記クラッチアウタの開放側端面に前記ローラと係合する面より径方向外側に段付部を設け、前記段付部は開放端に向かって逆テーパの形状を有し、前記逆テーパ部にプレート部材を圧入固定して、前記ローラ,前記クラッチインナを前記クラッチアウタと一体化させたことを特徴とする始動電動機用一方向ローラクラッチ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機関を始動させるための回転力を発生させる電動機の出力回転軸に設けられた一方向ローラクラッチに係り、特に、クラッチ部品を一体的に固定するのに好適な一方向ローラクラッチ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の装置は、一端を折曲げて形成された円筒状のカバーでクラッチアウタ外周を被覆し、円筒状のカバーの他端部を加締めてクラッチ部品を固定する方法であった。又、実公昭56−48931 号公報に記載の様にクラッチアウタの開放側にローラと係合する面上に袋状凹部を設け、環状の係止用ワッシャを凹部に嵌入させて固定する方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、クラッチアウタ内に収納されるローラの軸方向への飛出し防止用の半円状の2個のワッシャと潤滑用グリースの漏れ防止のシールパッキンを介して一端を折曲げて形成された円筒状のカバーで被覆し、クラッチアウタに加締めていた。しかも、クラッチアウタは冷間鍛造で製作されるため、端面にだれが生じるので半円状のワッシャの固定不良防止のため、切削により削除する必要があり、部品点数,製作工数が多く生産性が悪かった。又、実公昭56−48931号公報に記載の方法では、クラッチアウタの端部に設けられた凹部は、袋状になっており端面が開放されていないため、環状の係止用ワッシャを凹部に嵌入させるのに極端にワッシャを変形させるなどしなければ嵌入できず、製作が非常に困難な上現状では組立不可能であった。
【0004】本発明の目的は、生産性の良い低コスト一方向ローラクラッチ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明はクラッチアウタの開放側端面にローラと係合する面より径方向外側に段付部を設け、前記段付部の開放端を逆テーパ状の形状とし、且つ、組立前のワッシャ形状を皿状とし、前記ワッシャをクラッチアウタ端面の逆テーパ部に挿入後、軸方向より所定の荷重で平に加圧変形させることにより組立容易な一方向ローラクラッチを提供できる。
【0006】
【作用】本構造によれば、皿状の固定ワッシャをクラッチアウタ端面の逆テーパ部へ無理な力をかけることなく挿入でき、軸方向から加圧変形することにより簡単に結合させることができるため、クラッチ部品を容易に固定でき、且つ、皿状の固定ワッシャによりローラの軸方向への飛出しを規制すると共にピニオンの軸方向の抜けを防止することができる。この結果、半円状の2個のワッシャと一端を折曲げて形成された円筒状のカバーが不要となる。又、加圧変形させることにより皿状の固定ワッシャが径方向に広がるため、クラッチアウタに設けた逆テーパ部の隙間がなくなり、潤滑用グリースの漏れを防止できるため、シールパッキンを廃止できる。しかも、組立ての際にクラッチアウタ端面部の冷間鍛造製法でできただれを切削加工により削除する必要がなくなる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1,図2により説明する。
【0008】図1,図2で、1はアーマチャシャフトでヘリカルスプライン部1aを有する。2はクラッチアウタでアーマチャシャフト1のヘリカルスプライン部1aに嵌合され、軸方向に摺動できるヘリカルスプライン部2a,円筒状部2cに複数個の係合面2b,開放側端面にローラと係合する面より径方向外側に段付部を有し、段付部の開放端に逆テーパ部2dを形成する。3は係合面2bに装着されたローラ、4はローラ3を保持する押しばね、5はローラ3の径方向の動きを規制するクラッチインナ5aを一体成形して成るピニオンで、クラッチインナ5aと歯形部5b間に凹部5cを有する。又、内周には軸受6を介してアーマチャシャフト1の軸上に摺動可能に嵌合している。7は皿状に成形された固定ワッシャでクラッチアウタ側面に加圧変形され固定されている。
【0009】以上の様に構成された装置において、その組立時には、先ずクラッチアウタ2の係合面2bの内側にローラ3,押しばね4を挿入し、固定ワッシャ7をクラッチアウタ2の端面に設けられた逆テーパ部2dに挿入させた後に、ピニオン5のクラッチインナ5a部を固定ワッシャ7の内径部を通しローラ3部に挿入し連結させる。この後、軸方向より固定ワッシャ7を所定の荷重で平に加圧変形させて、クラッチアウタ2とピニオン5を一体的に固着させることにより、ローラ3の軸方向への飛出し防止を規制すると共にピニオン5の軸方向の抜けを防止することができる。又、加圧変形させることにより皿状の固定ワッシャ7は内外径方向に広がるため、内径側はピニオン5の凹部5c内に挿入され、外径側はクラッチアウタ2に設けた逆テーパ部2dへ入り込むため隙間がなくなるので潤滑用グリースの漏れを防止できる。
【0010】本実施例によれば、皿状の固定ワッシャ7をクラッチアウタ2の端面の逆テーパ部2dへ無理な力をかけることなく挿入でき、軸方向から加圧変形することにより簡単に結合させることができるため、クラッチ部品を容易に固定でき、且つ、皿状の固定ワッシャ7のみでローラ3の軸方向への飛出しを規制すると共にピニオン5の軸方向への抜け防止が可能となる。しかも、潤滑用グリースの漏れを防止できるため、従来のカバー10と半円状の2個のワッシャ8及びシールパッキン9を使用する必要がなくなる。又、本構造を採用することにより、クラッチアウタ2の端面できただれ部2eを切削加工する必要がなくなることから、生産性の向上及び低コスト化に有効な手段である。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、皿状の固定ワッシャをクラッチアウタ端面の逆テーパ部へ無理な力をかけることなく挿入でき、軸方向から加圧変形することにより簡単に結合させることができるため、クラッチ部品を容易に固定でき、且つ、半円状の2個のワッシャとシールパッキン及び一端を折曲げて形成された円筒状のカバーが廃止できる。又、組立ての際にクラッチアウタ端面は使用しないため、冷間鍛造製法できただれを切削により削除する必要がなくなる。よって、部品点数を少なくでき、生産性が良い低コストの一方向ローラクラッチ装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成7年(1995)7月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開平9−14111
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−167256