トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F02 燃焼機関;風力原動機,ばね原動機,重力原動機;他類に属さない機械動力または反動推進力を発生するもの




【発明の名称】 エンジン不正始動防止装置
【発明者】 【氏名】中村 司朗

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キースイッチからエンジン駆動信号を入力したときにエンジンを始動させるエンジン制御手段(8)と、エンジン始動用の第1のIDコードを記憶する読出し/書込み自在の第1記憶手段(2)と、前記第1記憶手段(2)とアクセスしデータのやり取りを行うアクセス手段(4)と、アクセサリースイッチがオンされたときに前記アクセス手段(4)によって前記第1記憶手段(2)に記憶されている第1IDコードを読み込み、それを照合用のIDコードと照合する第1照合手段(9、10)と、エンジン始動用の第2のIDコードを記憶する読出し/書込み自在の第2記憶手段(9)と、前記第1照合手段(10)の照合結果としてIDコードが一致する場合においてイグニッションスイッチがオンされたときに前記第2記憶手段(9)に記憶されている第2IDコードを送信する送信手段(10)とからなる第1制御手段(6)と、前記送信手段(10)から送信された第2IDコードを入力し、それを照合用のIDコードと照合する第2照合手段(13、14)と、キースイッチからのエンジン駆動信号の前記エンジン制御手段(8)への伝達を遮断する信号遮断手段(15)と、前記第2照合手段(14)の照合結果としてIDコードが一致するときにエンジン始動許可信号を前記信号遮断手段(15)に出力する出力手段(14)とからなる第2制御手段(7)と、を有することを特徴とするエンジン不正始動防止装置。
【請求項2】 前記第1制御手段(6)は、スタータモータ(12)への通電を遮断する通電遮断手段(11)を有し、前記通電遮断手段(11)は、前記出力手段(14)からエンジン始動許可信号が出力されたときにスタータモータ(12)の通電遮断状態を解除することを特徴とする請求項1記載のエンジン不正始動防止装置。
【請求項3】 前記第2制御手段(7)は、エンジンが作動していることを認識したときに前記信号遮断手段(15)による信号遮断状態を強制的に解除させるフェールセーフ手段(16)を有することを特徴とする請求項1記載のエンジン不正始動防止装置。
【請求項4】 前記第1制御手段(6)は、前記第1記憶手段(2)に記憶されている第1IDコードおよび前記第1照合手段(9)に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する第1IDコード作成手段(10)と、前記第2記憶手段(9)に記憶されている第2IDコードおよび前記第2照合手段(13)に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する第2IDコード作成手段(10)とを有することを特徴とする請求項1記載のエンジン不正始動防止装置。
【請求項5】 前記第1IDコード作成手段(10)は、前記第1照合手段(10)の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成することを特徴とする請求項4記載のエンジン不正始動防止装置。
【請求項6】 前記第2IDコード作成手段(10)は、前記第2照合手段(14)の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成することを特徴とする請求項4記載のエンジン不正始動防止装置。
【請求項7】 前記第1記憶手段(2)はエンジンキー(3)に内蔵され、また、前記アクセス手段(4)はキーシリンダー(5)にアンテナ(4)を一体的に形成してなることを特徴とする請求項1記載のエンジン不正始動防止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、後付け可能なトランスポンダ式のエンジン不正始動防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の盗難を防ぐためのエンジンの不正始動を防止する装置(エンジン不正始動防止装置)として、IDコードの照合により所定のエンジンキーによってのみエンジンの始動を可能とするようにしたものがある。
【0003】具体的には、たとえば、IDコードを記憶したIC(トランスポンダ素子)をエンジンキーに内蔵しておき、キーシリンダーに一体的に形成されたアンテナを介してそのIDコードを読み取り、照合を行って、IDコードが一致する場合には、エンジンの始動等を総合的に制御するコンピュータ系(ECCS:エンジン集中電子制御システム)の作動を可能とすることにより、エンジンを始動させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のいわゆるトランスポンダ式のエンジン不正始動防止装置(以下、イモビライザーともいう。)にあっては、これの車両への装着は自動車工場における生産ラインで装着する場合が通常であり、既販車への後付けについては考慮されていなかった。
【0005】車両盗難を防止するための他の方法としては、たとえば、イグニッションライン、燃料ポンプライン、スタータモータラインなどをリレーでON/OFFさせる手段もあり、これを既販車に後付けすることも考えられるが、配線を変更すれば容易にエンジンを始動させることが可能であるため、IDコードの照合を行うトランスポンダ式の場合に比べて、信頼性あるいは有効性の点で十分とはいえない。
【0006】本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、既販車に対し容易に後付けをすることができるトランスポンダ式のエンジン不正始動防止装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、キースイッチからエンジン駆動信号を入力したときにエンジンを始動させるエンジン制御手段と、エンジン始動用の第1のIDコードを記憶する読出し/書込み自在の第1記憶手段と、前記第1記憶手段とアクセスしデータのやり取りを行うアクセス手段と、アクセサリースイッチがオンされたときに前記アクセス手段によって前記第1記憶手段に記憶されている第1IDコードを読み込み、それを照合用のIDコードと照合する第1照合手段と、エンジン始動用の第2のIDコードを記憶する読出し/書込み自在の第2記憶手段と、前記第1照合手段の照合結果としてIDコードが一致する場合においてイグニッションスイッチがオンされたときに前記第2記憶手段に記憶されている第2IDコードを送信する送信手段とからなる第1制御手段と、前記送信手段から送信された第2IDコードを入力し、それを照合用のIDコードと照合する第2照合手段と、キースイッチからのエンジン駆動信号の前記エンジン制御手段への伝達を遮断する信号遮断手段と、前記第2照合手段の照合結果としてIDコードが一致するときにエンジン始動許可信号を前記信号遮断手段に出力する出力手段とからなる第2制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】請求項2記載の発明は、上記請求項1記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第1制御手段は、スタータモータへの通電を遮断する通電遮断手段を有し、前記通電遮断手段は、前記出力手段からエンジン始動許可信号が出力されたときにスタータモータの通電遮断状態を解除することを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、上記請求項1記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第2制御手段は、エンジンが作動していることを認識したときに前記信号遮断手段による信号遮断状態を強制的に解除させるフェールセーフ手段を有することを特徴とする。
【0010】請求項4記載の発明は、上記請求項1記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第1制御手段は、前記第1記憶手段に記憶されている第1IDコードおよび前記第1照合手段に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する第1IDコード作成手段と、前記第2記憶手段に記憶されている第2IDコードおよび前記第2照合手段に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する第2IDコード作成手段とを有することを特徴とする。
【0011】請求項5記載の発明は、上記請求項4記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第1IDコード作成手段は、前記第1照合手段の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成することを特徴とする。
【0012】請求項6記載の発明は、上記請求項4記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第2IDコード作成手段は、前記第2照合手段の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成することを特徴とする。
【0013】請求項7記載の発明は、上記請求項1記載のエンジン不正始動防止装置において、前記第1記憶手段はエンジンキーに内蔵され、また、前記アクセス手段はキーシリンダーにアンテナを一体的に形成してなることを特徴とする。
【0014】
【作用】このように構成された請求項1記載の発明にあっては、既存のエンジン制御手段に、第1記憶手段、アクセス手段、第1制御手段、および第2制御手段を付加する形でエンジン不正始動防止装置が構成され、まずアクセス手段を介して第1記憶手段と第1制御手段の間でIDコードの照合確認を行った後、第1制御手段と第2制御手段の間で別のIDコードの照合確認を行い、それぞれIDコードが一致した場合にエンジンを始動させる。すなわち、第1制御手段を構成する第1照合手段は、アクセサリースイッチがオンされたときに、アクセス手段を介して第1記憶手段に記憶されている第1IDコードを読み込み、それを照合用のIDコードと照合する。この照合の結果としてIDコードが一致すれば、同じく第1制御手段を構成する送信手段は、イグニッションスイッチがオンされたときに、第2記憶手段に記憶されている第2IDコードを第2制御手段を構成する第2照合手段へ送信する。第2照合手段は、送信手段から送信された第2IDコードを入力し、それを照合用のIDコードと照合する。この照合の結果としてIDコードが一致すれば、同じく第2制御手段を構成する出力手段は、エンジン始動許可信号を同じく第2制御手段を構成する信号遮断手段に出力し、信号遮断手段は、キースイッチからのエンジン駆動信号のエンジン制御手段への伝達の遮断状態を解除する。これにより、キースイッチからのエンジン駆動信号がエンジン制御手段に入力され、エンジン制御手段はエンジンを始動させる。
【0015】請求項2記載の発明にあっては、第1制御手段を構成する通電遮断手段は、少なくともアクセサリースイッチがオンされたときにスタータモータへの通電を遮断し、第2制御手段を構成する出力手段からエンジン始動許可信号が出力されたときにスタータモータに対する通電遮断状態を解除する。これにより、スタータモータは動作が可能となる。すなわち、請求項1記載の発明の作用における2段階のIDコードの照合確認を終えた後に、エンジン制御手段に加えてスタータモータの動作を可能としたので、車両盗難防止の点で信頼性あるいは有効性が向上する。
【0016】請求項3記載の発明にあっては、第2制御手段を構成するフェールセーフ手段は、エンジンが作動していることを認識したときに、同じく第2制御手段を構成する信号遮断手段による信号遮断状態を強制的に解除させる。これにより、エンジンの作動中には、常に、キースイッチからのエンジン駆動信号がエンジン制御手段に入力されることになり、走行中の誤動作の防止が図られる。
【0017】請求項4記載の発明にあっては、第1制御手段を構成する第1IDコード作成手段は、所定の場合に、第1記憶手段に記憶されている第1IDコードおよび同じく第1制御手段を構成する第1照合手段に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する。作成されたIDコードは、第1記憶手段および第1照合手段にそれぞれ更新登録される。また、同じく第1制御手段を構成する第2IDコード作成手段は、所定の場合に、同じく第1制御手段を構成する第2記憶手段に記憶されている第2IDコードおよび第2制御手段を構成する第2照合手段に記憶されている照合用IDコードを現在のものとは別のものに書き替えるためのIDコードを作成する。作成されたIDコードは、第2記憶手段および第2照合手段にそれぞれ更新登録される。すなわち、2段階の照合でそれぞれ使用する各IDコードを適宜自動的に書き替えるので、実際上IDコードの解読はほとんど不可能となり、車両盗難防止の点で信頼性あるいは有効性が向上する。
【0018】請求項5記載の発明にあっては、上記請求項4記載の発明の作用において、第1IDコード作成手段は、第1照合手段の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成する。
【0019】請求項6記載の発明にあっては、上記請求項4記載の発明の作用において、第2IDコード作成手段は、第2照合手段の照合結果としてIDコードが一致したときに書替用IDコードを作成する。
【0020】請求項7記載の発明にあっては、第1記憶手段をエンジンキーに内蔵し、アクセス手段をキーシリンダーにアンテナを一体的に形成して構成したので、エンジンキーをキーシリンダーに差し込むだけで第1記憶手段とのアクセスが可能となり、エンジンキーを普通に操作するだけでよい。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施例によるエンジン不正始動防止装置の概略構成を示すブロック図である。このエンジン不正始動防止装置(イモビライザー)は、エンジンの始動等を総合的に制御するECCS(エンジン集中電子制御システム)1を搭載した車両に後付けで装着可能なものであって、大別して、IC2を内蔵したエンジンキー3と、アンテナ4を内蔵したキーシリンダー5と、アンテナ4と接続された受信機6と、受信機6と接続されたイモビライザー回路7と、イモビライザー回路7と接続された既存のECCS回路8とから構成されている。本実施例では、イモビライザー回路7は既存のECCS1の中に組み込まれているが、これに限定されない。イモビライザー回路7はECCS1の近傍に設置してもよい。
【0022】エンジンキー3に内蔵されたIC2は、第1記憶手段として機能するものであって、いわゆるトランスポンダ素子から構成されている。トランスポンダ素子は、周知のように、自ら電源を持たずに(バッテリーレス)外部磁界からのエネルギーを受けて非接触でデータの送受信を行うことができるものである。トランスポンダ素子は、アンテナ(コイル)、メモリ、制御部、非接触インタフェースなどの機能単位を含んでいる。メモリは、たとえば、記憶内容を電気的に書き替え可能な不揮発性メモリであるEEPROMで構成されている。このメモリには、後述するように48ビットのローリングIDコードである第1IDコードとしてのキーIDコードが記憶されている。このように構成されたIC(トランスポンダ素子)2は、内蔵アンテナを介して外部からの磁界エネルギー(たとえば、125kHz)を受けると起動し、メモリに記憶されているキーIDコードを送信しまた外部から受信した新しいキーIDコードをメモリに更新登録する機能を有している。トランスポンダ素子の通信可能距離は、通常、最大で、たとえば、3〜5cmである。
【0023】キーシリンダー5に内蔵されたアンテナ4は、アクセス手段として機能するものであって、受信機6と2本の線(データイン用、データアウト用)で相互に接続されている。アンテナ4は、エンジンキー3のIC2と通信する際に磁界エネルギー(125kHz)を発射するとともに、IC2に記憶されているキーIDコードを読み込んで、データインのラインを介して受信機6に出力し、また逆に、受信機6からデータアウトのラインを介して送られてきた新しいキーIDコードをエンジンキー3のIC2に送信する機能を有している。なお、ここでは、2本の線でアンテナ4と受信機6を接続しているが、これに限定されるわけではなく、1本の線で共用してもよいことはもちろんである。
【0024】なお、本実施例では、上記のようにIC2をエンジンキー3に内蔵しかつアンテナ4をキーシリンダー5に内蔵した場合を示しているが、これは単なる一例であって、たとえば、コイン型のIC(トランスポンダ素子)をキーホルダーのようにしてエンジンキーに吊り下げ、エンジンキーをキーシリンダーに差し込んだ時に吊り下がったコイン型のICと通信可能な位置(キーシリンダーの内部でも外部でもよい。)にアンテナを設置することも可能である。
【0025】受信機6は第1制御手段として機能するものであって、記憶内容を電気的に書き替え可能な不揮発性メモリであるEEPROM9と、各種の処理を実行する受信機用CPU10と、通電遮断手段として機能するスタータカットリレー11とを有している。EEPROM9には、この受信機6の動作プログラムのほか、エンジンキー3のIC2に記憶されているキーIDコードと同一の照合用のIDコードと、イモビライザー回路7との間の照合作業に使用される第2IDコードとしてのイモビライザー用IDコード(以下、略してイモビIDコードという。)が記憶されている。イモビIDコードは後述するように8ビットのローリングIDコードである。スタータカットリレー11は、ON操作すると開きOFF操作すると閉じる通常閉路されているブレーク接点(b接点)からなり、受信機用CPU10からの信号を入力するとONして開路し、スタータモータ12への通電を遮断してスタータモータ12を回転させないようにする。なお、EEPROM9は第1照合手段と第2記憶手段を構成している。
【0026】受信機用CPU10は、第1照合手段として、アクセサリー(ACC)スイッチがONされたときにキーシリンダー5内のアンテナ4を介してエンジンキー3内のIC2と通信し、IC2に記憶されているキーIDコードを読み込み、EEPROM9に記憶されている照合用のIDコードと照合する機能と、送信手段として、キーIDコードが一致した場合においてイグニッション(IG)スイッチがONされたときにEEPROM9に記憶されているイモビIDコードをOK信号と共にイモビライザー回路7に送る機能と、スタータカットリレー11をON/OFF制御する機能と、第1IDコード作成手段および第2IDコード作成手段としてそれぞれ新しいキーIDコードとイモビIDコードを作成する機能とを有している。新しいキーIDコードの作成はキーIDコードの一致が確認された時に行われ、新しいイモビIDコードの作成はイモビライザー回路7からイモビIDコードが一致した旨のOK信号を入力した時に行われる。
【0027】新しいキーIDコードとイモビIDコードは共に乱数によって作成されるが、それぞれ独立したIDコードとなっている。たとえば、キーIDコードは48ビットのローリングIDコードであり、イモビIDコードは8ビットのローリングIDコードである。受信機用CPU10で作成された各新IDコードは、EEPROM9に更新登録されるとともに、エンジンキー3のIC2およびイモビライザー回路7の後述するEEPROMにそれぞれ更新登録される。
【0028】イモビライザー回路7は第2制御手段として機能するものであって、記憶内容を電気的に書き替え可能な不揮発性メモリであるEEPROM13と、各種の処理を実行するイモビライザー用CPU14と、信号遮断手段として機能するトランジスタ回路15と、フェールセーフ手段として機能するトランジスタ回路16とを有している。EEPROM9には、このイモビライザー回路7の動作プログラムのほか、受信機6に記憶されているイモビIDコードと同一の照合用のIDコードが記憶されている。なお、第2照合手段はEEPROM13とイモビライザー用CPU14とで構成されている。
【0029】トランジスタ回路15はキースイッチからのイグニッション(IG)ON信号(エンジン駆動信号)の既存のECCS回路8への伝達を制御する機能を有している。トランジスタ回路15がONされた時にイグニッションON信号が既存ECCS回路8へ伝達され、イグニッションがONされることになる。トランジスタ回路15のベースはトランジスタ回路16のコレクタに接続されているので、トランジスタ回路16がONされた時にトランジスタ回路15がONされる。トランジスタ回路16のベースはイモビライザー用CPU14のほかオルタネーター17にも接続されている。したがって、イモビライザー用CPU14から信号が出力されなくてもオルタネーター17から電圧信号(たとえば、12V)が入るとトランジスタ回路16は強制的にONされるので、エンジン作動中は常にトランジスタ回路15がONされイグニッションはON状態に保持される。なお、イモビライザー回路7を付加する前の既存のECCS1においては、キースイッチのイグニッションON信号は直接既存のECCS回路8に入力されるように配線されているため、イモビライザー回路7を付加する場合には、キースイッチのイグニッションと既存ECCS回路8の間にイモビライザー回路7を挿入するという配線作業、具体的には、トランジスタ回路15のエミッタをキースイッチのイグニッションに接続しかつコレクタを既存ECCS回路8に接続するという配線作業が必要となる。
【0030】イモビライザー用CPU14は、第2照合手段として、受信機6から送られてきたイモビIDコードをEEPROM13に記憶されている照合用のIDコードと照合する機能と、出力手段として、イモビIDコードが一致したときにトランジスタ回路16のベースにイグニッションON信号の既存ECCS回路8への伝達遮断状態を解除するための信号(エンジン始動許可信号)を出力してトランジスタ回路16(ひいてはトランジスタ回路15)をONさせる機能とを有している。なお、キースイッチには、従来と同様、エンジンキー3をキーシリンダー5に差し込んだだけのOFF位置と、電装品に電力を供給するアクセサリー(ACC)位置と、エンジンを始動させるイグニッション(IG)位置と、スタータモータ12を回転させるスタート位置とがある。
【0031】すなわち、再述すると、図2に示すように、受信機6は、キーIDコードの照合確認を行うIDコード照合判断機能と、新しいIDコードを作成するローリングIDコード作成機能と、スタータカットリレー11によりスタータモータ12への通電を遮断するスタータモータカット機能とを備え、イモビライザー回路7は、イモビIDコードの照合確認を行うIDコード照合判断機能と、キースイッチからのイグニッションON信号を一時遮断するイグニッションON信号カット機能と、エンジンの作動中は常にイグニッションON信号を既存ECCS回路8に伝達させるフェールセーフ機能とを備えている。その際、IC(トランスポンダ素子)2内蔵のエンジンキー3と受信機6との間では、48ビットのローリングIDコードによるキーIDコードの読出しと書込みが行われ、受信機6とイモビライザー回路7との間では、8ビットのローリングIDコードによるイモビIDコードの読出しと書込みが行われる。キーIDコードとイモビIDコードは、上記のように、それぞれ乱数表で発生される全く別のIDコードである。
【0032】本実施例では、受信機6とイモビライザー回路7の間の接続は4線同期式であって、受信機用CPU10とイモビライザー用CPU14とを4本の線(データアウト開始信号用、データアウト用、データイン開始信号用、データイン用)で接続して構成されている。これは信号のやり取りの信頼性を高めるためであって、これに限定されないことはもちろんである。たとえば、1線式または2線式で構成することも可能である。
【0033】既存のECCS回路8はエンジン制御手段として機能するものであって、キースイッチからのイグニッションON信号を入力したときにエンジンを始動させる制御を行うほか、図示しない各種の入力信号を演算処理して、エンジンを総合的に制御するものである。
【0034】また、受信機6、イモビライザー回路7、既存ECCS回路8には電源としての車両バッテリーが接続されている。また、車両バッテリーはスタータモータ12にも受信機6内のスタータカットリレー11を介して接続されている。
【0035】次に、以上のように構成された本装置の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。なお、図4は図3の動作をまとめて図式的に表わしたものである。まず、動作の概略を説明しておくと、アクセサリーがONされたときにエンジンキー3のIC2と受信機6間でキーIDコードの確認と新キーIDコードへの書き替えを行い、その後、イグニッションがONされたときにECCS1内のイモビライザー回路7と受信機6間でイモビIDコードの確認と新イモビIDコードへの書き替えを行い、これらを正常に終了した場合にのみ、スタータカットリレー11をOFFし、かつキースイッチから既存ECCS回路8へのイグニッションON信号の入力を許容して、エンジンを始動させる。なお、このように受信機6とECCS1間でコミュニケーションを行うことにより、車両改造による車両盗難が困難となる。
【0036】すなわち、より詳細には、エンジンキー3がキーシリンダー5に差し込まれてアクセサリー(ACC)位置に回されアクセサリーがONされると(ステップS1)、その信号は受信機6内の受信機用CPU10に入力され、受信機用CPU10は、スタータカットリレー11をONさせてスタータモータ12が回転しないようにする(ステップS2)とともに、エンジンキー3のIC2に記憶されている48ビットのキーIDコードをアンテナ4を介して読み込む(ステップS3)。このステップS3で読み込まれたキーIDコードは、EEPROM9に記憶されている照合用のIDコードと照合され、それらが一致するかどうかが判断される(ステップS4)。この判断の結果としてOKの場合、つまりキーIDコードが一致する場合には、現在のキーIDコードを新しいキーIDコードに書き替えるべく、乱数を発生させて新しい48ビットのキーIDコードを作成し(ステップS5)、この新キーIDコードをそれぞれエンジンキー3のIC2およびEEPROM9に書き込んで現在のキーIDコードを新しいキーIDコードに更新登録する(ステップS6)。
【0037】これに対し、ステップS4の判断の結果としてNGの場合、つまりキーIDコードが一致しない場合には、エンジンの始動が不可能な状態を維持する(ステップS15)。具体的には、受信機6内のスタータカットリレー11をONしたままで、かつイモビライザー回路7内のトランジスタ回路15をOFFしたまま(イグニッションON信号が既存ECCS回路8に伝達されない)の状態を維持する。
【0038】ステップS6の処理後、エンジンキー3がさらにイグニッション(IG)位置まで回されてイグニッションがONされると(ステップS7)、受信機用CPU10は、OK信号と共に、EEPROM9に記憶されている8ビットのイモビIDコードをイモビライザー回路7内のイモビライザー用CPU14に送信する(ステップS8)。イモビライザー用CPU14は、受信したイモビIDコードをEEPROM13に記憶されている照合用のIDコードと照合し、それらが一致するかどうかを判断する(ステップS9)。この判断の結果としてNGの場合、つまりイモビIDコードが一致しない場合には、上記したステップS15に進み、エンジン不始動状態、つまり、受信機6内のスタータカットリレー11がONしかつイモビライザー回路7内のトランジスタ回路15がOFFした状態を維持するが、OKの場合、つまりイモビIDコードが一致する場合には、OK信号を受信機6内の受信機用CPU10に送信する(ステップS10)。
【0039】イモビライザー回路7からのOK信号を入力すると、受信機用CPU10は、現在のイモビIDコードを新しいイモビIDコードに書き替えるべく、乱数を発生させて新しい8ビットのイモビIDコードを作成し(ステップS11)、この新イモビIDコードをEEPROM9に書き込んで現在のイモビIDコードを新しいイモビIDコードに更新登録するともにイモビライザー用CPU14に送信する。送信された新イモビIDコードはイモビライザー用CPU14で受信された後EEPROM13に書き込まれ、現在のイモビIDコードが新しいイモビIDコードに更新登録される(ステップS12)。
【0040】その後、受信機6において、受信機用CPU10はスタータカットリレー11をOFFさせてスタータモータ12を回転させうる状態にする(ステップS13)とともに、イモビライザー回路7において、イモビライザー用CPU14は、トランジスタ回路16をONしてトランジスタ回路15をONさせ、キースイッチからのイグニッションON信号が既存ECCS回路8に伝達されるようにする(ステップS14)。これにより、キースイッチをスタート位置に回せばスタータモータ12が回転しかつ既存ECCS回路8により所定のエンジン始動制御が行われるので、エンジンが始動することになる。
【0041】エンジンが始動するとオルタネーター17から電圧信号(12V)が出力され、イモビライザー回路7のトランジスタ回路16のベースに与えれるので、エンジン作動中は常にトランジスタ回路16はON状態となり、トランジスタ回路15もON状態に保持されるため、いったんエンジンが始動すれば、CPU10、14の動作如何にかかわらず常に既存ECCS回路8にはイグニッションON信号が与えられることになる。
【0042】したがって、本実施例によれば、IC2内蔵のエンジンキー3、アンテナ4内蔵のキーシリンダー5、受信機6、およびイモビライザー回路7を用意し、イモビライザー回路7を既販車の既存のECCS1の中に設置して、エンジン不正始動防止装置を構成するようにしたので、ECCSを備えた既販車に対して後付けによりエンジン不正始動防止機能を持たせることができる。
【0043】その際、イモビライザー回路7を既存のECCS1の中に設置するにあたっては、キースイッチのイグニッションと既存ECCS回路8の間にイモビライザー回路7を挿入するという配線作業のみで足りるので、きわめて容易に装着することができる。
【0044】また、イモビライザー回路7によってキースイッチからのイグニッションON信号の既存ECCS回路8への伝達をON/OFF制御し、もって既存ECCS回路8を割り込み制御する構成としたので、車両の盗難防止の点でセキュリティー性が向上する。
【0045】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1記載の発明によれば、第1記憶手段、アクセス手段、第1制御手段、および第2制御手段を用意し、第2制御手段を既存のエンジン制御手段に接続して、エンジン不正始動防止装置を構成したので、エンジン不正始動防止機能を持たない既販車に対しても後付けをすることができるようになり、エンジン不正始動防止機能を持たせることができる。
【0046】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、2段階におけるIDコードの照合確認を終えた後に、エンジン制御手段のみならずスタータモータの動作を可能としたので、車両盗難防止の点で信頼性あるいは有効性が向上する。
【0047】請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、フェールセーフ手段を設けて、エンジン作動中には常にキースイッチからのエンジン駆動信号がエンジン制御手段に入力されるようにしたので、走行中の誤動作の防止が図られる。
【0048】請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、2段階の照合でそれぞれ使用する各IDコードを適宜自動的に書き替えるので、実際上IDコードの解読はほとんど不可能となり、車両盗難防止の点で信頼性あるいは有効性が向上する。
【0049】請求項5記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加え、IDコードが一致したときに書替用IDコードを作成するので、信頼性を確保しつつ不必要な書き替えをなくすことができる。
【0050】請求項6記載の発明によれば、請求項4記載の発明の効果に加え、IDコードが一致したときに書替用IDコードを作成するので、信頼性を確保しつつ不必要な書き替えをなくすことができる。
【0051】請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加え、エンジンキーをキーシリンダーに差し込むだけで第1記憶手段とのアクセスが可能となるので、エンジンキーを普通に操作するだけでよく、正当な運転者によるエンジン始動操作の利便性は損なわれない。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニック株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】八田 幹雄
【公開番号】 特開平9−14109
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−167593