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【発明の名称】 内燃機関のクランキング回転数低下防止装置
【発明者】 【氏名】西田 喜一郎

【氏名】布川 友之

【目的】 内燃機関の始動性を向上できる内燃機関のクランキング回転数低下防止装置を提供することにある。
【構成】 流体圧を蓄圧するエアタンク15と、エンジン1に駆動されると共に閉弁付勢された吸気弁17を通して吸入したエアを加圧しエアタンク15に送出するエアコンプレッサ2と、吸気弁17をその閉弁付勢力に抗して開放させる吸気弁開放手段23と、エンジン1のスタータ作動時に吸気弁開放手段23を開放駆動させる制御手段33とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】流体圧を蓄圧するタンクと、内燃機関に駆動されると共に閉弁付勢された吸気弁を通して吸入したエアを加圧し上記タンクに送出する圧縮機と、上記吸気弁をその閉弁付勢力に抗して開放させる吸気弁開放手段と、上記内燃機関のスタータ作動時に上記吸気弁開放手段を開放駆動させる制御手段と、を有することを特徴とする内燃機関のクランキング回転数低下防止装置。
【請求項2】上記吸気弁開放手段は、電磁力で上記吸気弁を開放方向に押圧可能な押圧部材付きの電磁アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置。
【請求項3】上記電磁アクチュエータは電磁石を備え、上記押圧部材が上記電磁石より電磁反発力を受ける逆極性の磁力であることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車載された内燃機関のクランク回転数低下防止装置、特に、エアコンプレッサを付設した内燃機関のクランキング時に、そのクランキング回転数がエアコンプレッサからの負荷で低回転化するを防止できる内燃機関のクランキング回転数低下防止装置。
【0002】
【従来の技術】車両は制動装置、自動変速機等の各種エア式アクチュエータで高圧エアを使用することより、エアタンクと共にエアタンクに高圧エアを充填するエアコンプレッサを備える。このエアコンプレッサはシリンダ内で往復駆動可能なピストンを備え、これをエンジンの回転力で駆動する。この場合、エアコンプレッサはその吸入行程で加圧室が負圧化されるとバネで閉弁付勢された吸入弁がバネ力に抗して開作動し、外部エアを吸入し、一方、圧縮行程で加圧室のエアが高圧化すると、バネで閉弁付勢された排気弁がバネ力に抗して開作動し、高圧エアをエアタンクに送出する。
【0003】このようなエアコンプレッサはエアタンクのエア圧が規定値を上回る場合、その無駄な作動を防止すべく、ポンプ負荷を排除できるアンローダバルブが付設される。このアンローダバルブは吸気弁の装備される吸気ポートに装着され、常時受圧面でエアタンク圧を受けると共に逆方向にスプリング圧を受ける。このため、アンローダバルブは、エアタンク圧が規定値を上回るとスプリングの押圧力に抗して吸気弁を開弁作動させる。このため、アンローダバルブで吸気弁が開弁保持されると、エアコンプレッサは空回転し、即ち、無負荷で駆動し、無駄なエンジン出力の消費が防止されている。このようなエアコンプレッサの一例が実公平3−10119号公報に開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、エンジンが低御始動されるような場合、スタータ回転時間が長引き、バッテリ消費が進む。このような、低温始動時に、エアタンクのエア圧が低下し、エアコンプレッサが作動するとする。このような場合、エンジンのクランキングとエアコンプレッサの駆動との両方にスタータの回転が吸収され、比較的回転が上がらず、始動性が低下し、バッテリ消費や劣化も進み、問題となっている。本発明の目的は、内燃機関の始動性を向上できる内燃機関のクランキング回転数低下防止装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、請求項1の発明は、流体圧を蓄圧するタンクと、内燃機関に駆動されると共に閉弁付勢された吸気弁を通して吸入したエアを加圧し上記タンクに送出する圧縮機と、上記吸気弁をその閉弁付勢力に抗して開放させる吸気弁開放手段と、上記内燃機関のスタータ作動時に上記吸気弁開放手段を開放駆動させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0006】請求項2の発明は、請求項1に記載の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置において、上記吸気弁開放手段は、電磁力で上記吸気弁を開放方向に押圧可能な押圧部材付きの電磁アクチュエータであることを特徴とする。
【0007】請求項3の発明は、請求項2に記載の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置において、上記電磁アクチュエータは電磁石を備え、上記押圧部材が上記電磁石より電磁反発力を受ける逆極性の磁力であることを特徴とする。
【0008】
【作用】請求項1記載の発明によれば、タンクが流体圧を蓄圧し、内燃機関に駆動される圧縮機が閉弁付勢された吸気弁を通して吸入したエアを加圧しタンクに送出し、特に、吸気弁をその閉弁付勢力に抗して開放させる吸気弁開放手段を備え、制御手段が内燃機関のスタータ作動時に吸気弁開放手段を開放駆動させるので、圧縮機の吸気弁を開放保持し、空作動させる。
【0009】請求項2及び請求項3の発明は、請求項1に記載の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置において、特に、吸気弁開放手段が、電磁力で吸気弁を開放方向に押圧可能な押圧部材付きの電磁アクチュエータであるので、電磁力に応じた押圧力で押圧部材が吸気弁を開放保持し、圧縮機を空作動させる。特に、電磁アクチュエータが電磁石を備え、押圧部材が電磁石より電磁反発力を受ける逆極性の磁力である場合も、磁石が確実に吸気弁を開放保持し、圧縮機を空作動させる。
【0010】
【実施例】図1,図2の内燃機関のクランキング回転数低下防止装置は図示しない車両のディーゼルエンジン(以後単にエンジンと記す)1に付設されたエアコンプレッサ2内に装着されている。図2に示すように、エアコンプレッサ2はそのハウジング3の要部がエンジン1のシリンダブロック4の側壁に図示しないブラケットを介し一体的に取り付けられる。図1に示すように、エアコンプレッサ2はそのハウジング3の中央にクランクシャフト5を左右一対のベアリング6を介して枢支し、しかも、クランクシャフト5の一端に入力ギア7を備え、他端に噴射ポンプP(図2参照)の図示しないカム軸を連結する。
【0011】ここで入力ギア7はこれに噛合する図示しない歯付きベルトを介しエンジン1の1/2回転を受け、回転するように構成される。なお、、クランクシャフト5の突き出し部分501には一対のシリンダ(図1には1シリンダのみ示した)8の各コンロッド9が互いに相対回転可能に枢着される。ハウジング3はその上部でクランクシャフト5の回転方向に於いて相互に所定角ずれた位置に一対のシリンダ8をそれぞれ突き出し配備する。ここで各シリンダの構成は同様のため、ここでは一方のシリンダ8を主に説明する。
【0012】シリンダ8はその下部をハウジング3に、上部をシリンダヘッド10にそれぞれ一体的に結合し、内部に、ピストン11を摺動自在に嵌挿する。ピストン11はその中央のピン12を介しコンロッド9の一端に枢着される。ここで、クランクシャフト5の突き出し部分501及びコンロッド9はクランクシャフト5の回転を往復運動に変換し、ピストン11に伝達でき、ピストン11がその上壁をシリンダヘッド10の下壁面に接離させて加圧室(図1では加圧室の容量がゼロに近い状態が示される)のエアを加圧し、送出できる。シリンダヘッド10には、シリンダ8側に連通可能な吸入ポート13及び排気ポート14が形成され、吸入ポート13には図示しない吸入管を介してエアクリーナ16が連結され、排気ポート14には図示しない排気管を介しエアタンク15が連結される。
【0013】吸入ポート13及び排気ポート14は共にシリンダヘッド10のシリンダ対向部に開口可能に形成され、それぞれ、円板状の吸気弁17及び排気弁18を備える。吸入ポート13はシリンダヘッド10に形成された吸気開口19を備え、吸気開口19の上端側上向き面に吸気バネ21を載置する。吸入ポート13の吸気開口19の上方位置にはリング状の弁座20を一体的に支持する。この弁座20の下壁面には吸気バネ21の上端に押圧された吸気弁17が圧接する。
【0014】ここでの吸気弁17は吸気開口19側であるシリンダ加圧室が所定レベル以上に負圧化されると吸気バネ21の弾性力に抗して開作動できる。吸入ポート13の上壁側で吸気弁17の直上位置にはアンローダバルブ22とその上段位置に吸気弁開放手段23が順次対設される。アンローダバルブ22は吸気弁17の直上位置のシリンダヘッド10に捩じ込み固定されるキャップ状のバルブホルダ24と、バルブホルダ24の中央に円筒状に形成されると共にエアタンクのエア圧が供給される操作圧室27と、操作圧室27に摺動自在に嵌挿されると共に吸気弁17に下端を近接させた弁体25と、弁体25を常時退却方向(上方向)に押圧するバネ26とを備える。
【0015】この弁体25は操作圧室27のエア圧(エアタンク圧)による下方への押圧力がバネ26及び吸気バネ21の退却方向の弾性力を上回ると、吸気弁17を下方向(開弁方向)に押圧できる。吸気弁開放手段23は電磁力で吸気弁17を開放方向(下方向)に押圧可能な押圧部材付きの電磁アクチュエータである。この吸気弁開放手段23はバルブホルダ24の上端に捩じ込み固定される容器上の基部材28と、基部材28の内部に一体的に収容され、支持された筒状のソレノイド29と、ソレノイド29内に上方膨出部を対向させると共に棒状部の下端を弁体25に近接させた押圧部材としての可動鉄芯30と、基部材28のボス部281の中央に配備され、このボス部281と可動鉄芯30との隙間をシールするオーリング31とを備える。
【0016】ソレノイド29は駆動回路32を介し制御手段33に連結される。駆動手段32は図示しない周知の電源回路及びスイッチ回路から成り、制御手段33からの駆動信号Sに応じてソレノイド29に駆動出力Dを発する。ソレノイド29は励磁された際に、その電磁力で可動鉄芯30を下方に押圧付勢でき、バネ26及び吸気バネ21の両弾性力より充分大きな押圧力で吸気弁17を開弁操作する。なお、駆動回路32は第2の図示しないシリンダ側のソレノイド34にも連結され、同ソレノイドを同時に駆動できる。
【0017】ここで、制御手段33はエンジンコントローラであり、周知のエンジン制御と共に、ここでは特に、その要部がマイクロコンピュータで構成され、特に、ここでは吸気弁開放手段23を駆動制御する。この制御手段33の入力ポートにはキースイッチ35が接続され、同スイッチによってエンジンキー351のオン作動を検出してオン出力を入力できる。
【0018】一方、排気ポート14はシリンダヘッド10に形成された排気開口36を備え、排気開口36の上端側上向き面を弁座として排気弁18を排気バネ37で圧接する。ここでの排気バネ37はプラグ38、同プラグを嵌着するキャップ状の排気ホルダ39を介しシリンダヘッド10側に支持される。ここで、排気ホルダ39はシリンダヘッド10に螺着され、プラグ38は排気ホルダ39の筒状部の内壁に螺着される。なお、プラグ38の一部は切欠部381を形成され、同部を通して高圧エアを排出できる。
【0019】このような内燃機関のクランキング回転数低下防止装置の作動を説明する。
【0020】通常走行時、エアタンク15のエア圧は操作圧室27に加わり、エア圧が規定値以下ではアンローダバルブ22は退却位置(上位置)に保持され、吸気弁17に接触しない。この間、エンジン回転を受けピストン11がシリンダ内の加圧室に吸気弁17を介しエアを吸入し、これを加圧して排気弁18をバネ力に抗して開弁させ、高圧エアをエアタンク15に充填させる。このようなポンプ作動の後、エアタンク15のエア圧が規定値を上回ると、このエア圧を操作圧室27で受けた弁体25がバネ26及び吸気バネ21の弾性力に抗して突き出し方向(下方向)に作動し、吸気弁17を開放作動する。このような状態に達すると、加圧室が大気開放され、加圧作動をせず、エアコンプレッサ2は空回転し、無負荷運転に入る。
【0021】一方、エアタンク15のエア圧が規定値を下回り、アンローダバルブ22の弁体25が退却位置(上位置)に保持され、吸気弁17に接触しないとする。このような状態で、エンジン始動に入るとする。ここでキースイッチ34がエンジンキー341でオン操作されると、制御手段33は駆動信号Sを駆動回路32に出力し、駆動回路32がソレノイド29に駆動出力Dを発する。すると可動鉄芯30が弁体25を介し吸気弁17を下方に押圧する。この時の押圧力はバネ26及び吸気バネ21の押圧力より充分に大きく、吸気弁17を開放保持する。
【0022】これによって、加圧室が大気開放されることよりピストン11が加圧作動すること無く、エアコンプレッサ2は空回転し、無負荷運転に入る。このため、この直後にキースイッチ34がスタータオンに切換えられ、スタータを駆動させても、バッテリ電圧はスタータの回転のみに消費されるだけとなり、エンジン回転が比較的高まり、早期始動を達成でき、とくに低温始動時におけるバッテリ劣化を防止できる。上述のところにおいて、吸気弁開放手段23はソレノイド29を用い押圧手段としての可動鉄芯30を押圧駆動し、吸気弁17を開放駆動していたが、これに代えて、図3に示すような吸気弁開放手段23aを用いても良い。この吸気弁開放手段23aは図1の装置と比較し、ソレノイド29が円板状の電磁石40に、押圧手段が永久磁石41付きの押圧棒42に換わった点以外は同様の構成を採る。
【0023】この場合、電磁石40と永久磁石41とは互いの対向端側の極性が互いに同極性となるように予め設定される。このため、電磁石40が励磁されると永久磁石41側が反発力Fsを受け、永久磁石41と一体の押圧棒42が吸気弁17を開放駆動できる。このような吸気弁開放手段23aを用いて内燃機関のクランキング回転数低下防止装置を構成した場合も、図1の装置と同様の作用効果が得られる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、請求項1記載の発明によれば、タンクが流体圧を蓄圧し、内燃機関に駆動される圧縮機が閉弁付勢された吸気弁を通して吸入したエアを加圧しタンクに送出し、特に、吸気弁をその閉弁付勢力に抗して開放させる吸気弁開放手段を備え、制御手段が内燃機関のスタータ作動時に吸気弁開放手段を開放駆動させるので、圧縮機を空作動させてスタータに電力供給する電源の電気負荷を低減させ、クランキング回転を高め早期始動を達成でき、低温始動時のバッテリ劣化をも防止できる。
【0025】請求項2及び請求項3の発明は、特に、吸気弁開放手段が、電磁力で吸気弁を開放方向に押圧可能な押圧部材付きの電磁アクチュエータであるので、電磁力に応じた押圧力で押圧部材が吸気弁を確実に開放保持でき、圧縮機を空作動させ、クランキング回転を高め始動性を向上させることができる。特に、電磁アクチュエータが電磁石を備え、押圧部材が電磁石より電磁反発力を受ける逆極性の磁力である場合も磁石が確実に吸気弁を開放保持し、圧縮機を空作動させ、クランキング回転を高め始動性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】樺山 亨 (外1名)
【公開番号】 特開平9−4548
【公開日】 平成9年(1997)1月7日
【出願番号】 特願平7−157368