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【発明の名称】 瓦固定方法及び止具
【発明者】 【氏名】瀬戸口 和徳

【目的】 瓦葺屋根の耐風性をよくし、強風により瓦が吹飛ばされないようにする。
【構成】 1端に形成した抑え部19の側方に起立部17を形成する。起立部17の上端は鉤状に折曲げて係止部18として止具16を造る。端部を重ねて上下に葺かれる上方の瓦6の側端と下方の瓦6aの上端とを、止具16の抑え部19、係止部18で挟持して、上方の瓦6の側端を下方の瓦6aの上端に結合する。係止部18は隣接する瓦の側端により覆い隠す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抑え部(19)の側方に起立部(17)を形成し、起立部(17)の端部を鉤状に折曲げて係止部(18)とした止具(16)を使用し、上端を野地板に釘打ち固定される下方の瓦(6a)の上端下面に抑え部(19)を当接させ、下方の瓦(6a)の上端を覆う上方の瓦(6)の側端に係止部(18)を係止して上下の瓦(6)(6a)を結合することを特徴とする瓦固定方法。
【請求項2】 鉤状の係止部(18)と同方向側方にある抑え部(19)に、起立部(17)に関して反対方向に延びる尾部(20)を連続させて形成した請求項1に記載の止具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、屋根に葺いた瓦が強風のため吹飛ばされぬように固定を強化する瓦の固定方法及びこの方法に使用する止具に関する。
【0002】
【従来の技術】瓦屋根は、面積の小さい個々の瓦を、雨水が流入しないように端部を重ねて野地板(屋根板)の上に並べて構成される。重ねられる瓦の端部には、上下左右に並べて置かれた他の瓦の端部と係合する凹凸条を形成して雨水が瓦の下に流入するのを阻止している。
【0003】図9、図10は平板瓦の葺き方の1例の概略を示し、図9は屋根の部分斜視図、図10は図9のA−A断面図である。瓦は平板瓦を例として示し、隣の瓦と重なる端部に形成される凹凸条は図9では省略している。
【0004】垂木1の上に取付けた野地板2の上面には防水紙(ルーフィング)3を張り、その上に桟木4を釘5で固定している。上下の瓦6、6aは、上端の下面突起7を桟木4に引掛けて下方へ滑り落ちぬようにすると共に釘孔8に通した釘9を防水紙3を通して野地板2に打込み固定される。上方の瓦6の下端は、この瓦が重なる下方の瓦6aの上面凸条10を覆って下方の瓦6aの上端に重ねられ、下面凸条11で雨水の進入を防止している。横に並ぶ瓦同士は、側端に形成した側端下部凸縁12と側端上部凸縁13とを重ねて葺かれる。上下に重なる各凸縁12、13には雨水を案内して下方へ流出させる凹凸条(図面には省略)を形成して、雨水が瓦の下に流入しないようにされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにして葺かれる瓦6、6aは、上端を釘9により野地板2に固定され、側端の一方は隣りの瓦で抑えられるだけなので、屋根の下方及び隣りの瓦に抑えられていない側方から吹き付ける風に対して弱い。即ち、図9についていうと、瓦6は釘孔8に挿通した釘9によって上端を野地板2に取付けられるだけなので、下端は上下方向に動き易い。従って瓦の下端に強風が吹込むと、瓦は押上げられ、釘孔部分が破損したり、釘が抜けたりして瓦が吹飛ばされる危険が大きい。瓦の右方から風が吹込んだ場合も瓦は押上げられ易い。又、瓦は側端上部凸縁12、同下部凸縁13の重なりにより左側方の瓦に抑えられているが、何れの瓦も上端を釘で固定されるだけなので、この側方の抑えは弱く、強風により、横に並んだ瓦全体が押上げられ、吹飛んでしまう危険がある。
【0006】瓦の固定を上端を固定するだけよりも強化するために、図9の左下部に鎖線で示すように、細長帯金の上部を折曲げて造った扁平な釘14を野地板2に打込み、側端下部凸縁の縁に引掛けて瓦を固定する方法も考えられているが、この釘は瓦の下端付近に使用しないと効果が薄いので、最下段(軒端)の瓦のみに利用されているのが現状である。更にこの釘14は野地板に打込むときに防水紙3を破くので屋根の防水性を悪くし、また打込むときに過って瓦の凸縁12を叩き破損させ易いという欠点がある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】この発明は、上記の課題を解決するために、上下に位置して葺かれる瓦(6)(6a)を、上方の瓦(6)の下部側端と、下方に葺かれる瓦(6a)の釘で野地板に固定された上端とを止具(16)の係止部(18)、抑え部(19)で挟み結合して、耐風性をよくする瓦固定方法により上記の課題を解決したものである。
【0008】
【作用】端部を重ねた上下の瓦(6)(6a)は、下方の瓦(6a)の上端下面に止具(16)の抑え部(19)を当接させ、上方の瓦(6)の下部側端に係止部(18)を係止して挟み、不離に結合される。この状態で隣りの瓦の側端で係止部(18)を覆って隣りの瓦を葺くから、上方の瓦(6)は、釘で強固に野地板に固定された下方の瓦(6a)の上端を介して野地板に結合されることになり、結局この上方の瓦(6)は、上端及び側端の2ヶ所で野地板に結合される。
【0009】このように屋根を構成する各瓦は、4辺のうちの2辺において野地板に強固に取付けられるから、屋根の下方、側方等から強風が吹付けても瓦の端部が押上げられて瓦の下面に風が侵入し瓦が吹飛ばされる危険はなくなる。この金具は、ハンマを使用せず、又防水紙を破らないで取付けることができる。止具は隣りに葺かれる瓦の側端に覆われて隠される。
【0010】
【実施例】図1〜図4は本発明の第1実施例を示し、図1は止具の斜視図、図2は平板瓦を葺く場合を示す屋根の部分斜視図、図3は図2のB−B断面図、図4は図2のC−C断面図である。前述の従来例と同等部分は同符号を付して示すと共に説明を省略して次に第1実施例を説明する。
【0011】図1において、16は本発明の瓦固定方法を実施するのに使用する止具を示す。この止具は、ステンレス鋼の細長片に1端から途中まで縦方向の切目を入れ、切目の片側を細長片の縦方向に折立てて起立部17とし、その上端を折曲げて係止部18とする。細長片の切目の反対側の係止部18と同方向の部分は抑え部19とし、係止部18と反対方向には尾部20が連続する。
【0012】この止具16は、図2〜図4のように、上下に葺かれる瓦6、6aの重なり部に装着される。即ち、下方に葺かれる瓦6aの上端下面に抑え部19、尾部20を挿入し、起立部17を下方の瓦6aの上端面に沿って起立させ、係止部18を上方の瓦6の側端下部凸縁12の縁に係止する。これにより上下に葺かれる瓦6、6aは、上方の瓦6の下方部分において係止部18、抑え部19、尾部20で挟まれて分離しなくなる。上方の瓦6の側端下部凸縁12に隣りの瓦の側端上部凸縁13を重ねて隣りの瓦を葺くと、係止部18は隣りの瓦の側端上部凸縁13に覆われて外から見えないようになる。止具16を形成するステンレス鋼板は、1mm程度の薄板であるから、このように側端上下部凸縁を重ねて瓦を葺く作業の妨げになることはない。
【0013】図1のように抑え部19に続けて尾部20を形成すると、止具と下方の瓦6aの上端下面との接触面積を大きくして、上の瓦6を押上げようとする風圧が加わったとき下方の瓦の上端下面に加わる荷重を分散させ、また尾部20を下方へ折曲げて防水紙3に当接させておけば(後述する第2実施例の和瓦では、桟木に当接させることができる。)、起立部17が尾部20の方向の倒れようとするのを強く支えて止具16が外れないようにしてその取付けを安定させる作用がある。また、このように下方へ折曲げた尾部20を、屋根勾配に関し桟木4の上方側面に当接させておけば(防水紙に当接させなくてもよい)、瓦がずり落ちるのを阻止するのに役立つ。尾部20を省略して図5のように止具を形成しても上下の瓦を結合することはできるから、屋根の耐風性を向上させるためにはこれも利用できるが、止具が瓦から外れ易くなるという欠点を伴なうと共に、上記の利点が得られなくなる。
【0014】図6〜図8は前記の止具を和瓦を葺く場合に使用して和瓦の固定を強化する第2実施例を示し、図6は止具の斜視図、図7は和瓦を葺いた屋根の部分斜視図、図8は図7のD−D断面図である。符号の付け方は第1実施例と同様とする。
【0015】湾曲の多い和瓦(これも単に瓦ということにする。)を葺く場合は、止具16の抑え部19、尾部20等は瓦の湾曲に合せて湾曲させる。また野地板2、桟木4、瓦等の間には比較的空間が多いから、尾部20を桟木4の直上に位置させて止具を上方の瓦の下端に一層寄せて取付けることができる。また、図7、図8に鎖線で示すように、尾部20を桟木4の上面より下方に折曲げて、屋根勾配に関し桟木の上方側面に当接させておけば、瓦のずり落ち防止に有効である。
【0016】上記した平板瓦、和瓦の他の各種形状の瓦についても、この止具を使用して瓦を強固に結合し屋根を葺くことができる。又、上記した実施例は、薄いステンレス鋼板により止具を造ったものであるが、他の金属板や強度の大きなプラスチックを利用することもできる。
【0017】
【発明の効果】
(1) 4辺の端部を重ねて、上端を野地板等に固定して葺かれる瓦において、上方に位置する瓦の側端下部及び下方に位置する瓦の上端を止具で結合するから、瓦の下端も動き難くなり、瓦の間隙から瓦の下面に強風が吹込んでも瓦は吹飛ばされ難くなる。
【0018】(2) 上方の瓦の下端は、野地板または桟木に釘打ちされて固定される下方の瓦の上端に止具により結合されるから、瓦下端の固定は強固である。
【0019】(3) 止具の下部の抑え部、尾部は防水紙から離れており、又は当接してもこれを破らないから、防水紙を破って防水紙の防水効果を悪くすることがない。
【0020】(4) 止具を取付けるときは、これを上下の瓦の間に手で挿入すればよいから、ハンマは不要であり作業が容易である。ハンマにより瓦を破損する心配もない。
【出願人】 【識別番号】595137918
【氏名又は名称】有限会社瀬戸口屋根工業
【識別番号】595063466
【氏名又は名称】株式会社ティーアールティー
【識別番号】391015890
【氏名又は名称】株式会社中野産業機械
【出願日】 平成7年(1995)9月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小山 欽造 (外1名)
【公開番号】 特開平9−88248
【公開日】 平成9年(1997)3月31日
【出願番号】 特願平7−250763