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【発明の名称】 梁貫通孔の補強構造
【発明者】 【氏名】山中 久幸

【氏名】小田 稔

【氏名】田野 健治

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略長方形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略90度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれ、かんざし筋を配設してなることを特徴とする梁貫通孔の補強構造。
【請求項2】鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略正方形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略45度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれかんざし筋を配設してなることを特徴とする梁貫通孔の補強構造。
【請求項3】鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略三角形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略60度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれかんざし筋を配設してなることを特徴とする梁貫通孔の補強構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造における梁の貫通孔の補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物においては、躯体工事完了後に設備配管等を省スペ−ス的に配設するため梁にあらかじめ貫通孔を形成しておくようになっている。ところが、この貫通孔の周辺部はそのままでは構造的な脆弱部となるので、所定の貫通孔補強鉄筋もしくは補強金物によって構造的に補強している。
【0002】ここで、従来の補強金物による貫通孔の周辺部の補強手段としては、特開平5−321404号公報、特開平6−322890号公報、及び、特開平7−207837号公報等に開示されたものがある。これらの補強手段にあっては、通常の梁の主筋及び肋筋に加えて、梁貫通孔の周囲に所定の補強金物を配設して、肋筋による拘束が受けられない梁貫通孔の周囲を補強するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の補強手段ではある程度の補強効果は有するものの、一定荷重以上の繰り返し荷重を受けると、コンクリートに対する定着効果がなくなって、補強金物が十分な強度を発揮する以前に耐力が低下し、梁の剪断方向へのひび割れが大きくなる問題を有している。この傾向は、本願出願人が実物実験した、後述する図3のデータからも明らかなものである。本発明は、かかる従来の問題点を解決し、荷重に対する梁貫通孔周囲の耐力、変形性能を向上させ、ひび割れを有効に防止しうる梁貫通孔の補強構造を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略長方形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略90度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれ、かんざし筋を配設してなることを特徴としている。
【0005】また、上記目的を達成するため、本発明では、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略正方形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略45度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれかんざし筋を配設してなることを特徴としている。
【0006】さらに、上記目的を達成するため、本発明では、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の梁貫通孔の補強構造において、略三角形に折曲形成された一対の単位補強金物を相互に略60度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物を形成し、この補強金物を前記梁貫通孔の周囲で、かつ前記梁の横断方向に所定個数配置し、前記補強金物の各隅角部には、前記梁の横断方向にそれぞれかんざし筋を配設してなることを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を図面により説明する。図1乃至図3は本発明の一実施形態を示すものであり、図中1は、本実施形態における補強金物を示している。
【0008】この補強金物1は、鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造の構築物における梁の貫通孔を補強するためのものである。図1に示すように、補強金物1は本実施形態では、長方形に折曲形成され両端が固定された一対の単位補強金物2、2から構成され、この一対の単位補強金物2、2を、相互に90度、隅角部をずらせて一体に固定することにより形成されている。
【0008】なお、単位補強金物2の両端部の固定手段については、公知の手段、即ち端部にフックを形成して相互に緊結、固定するか、あるいは、両端部を突き付け溶接する等の手段により固定すればよい。また、一対の単位補強金物2、2相互の固定についても、溶接固定するか、または、細径の番線により緊結固定する等の公知の固定手段に依ればよいものである。
【0008】また、補強金物1は、上記した如く、各々別体の単位補強金物2、2を組み合わせ、一体化する例の他に、一本の鉄筋等からいわゆる一筆書きの要領で連続して一体に折曲形成するものであってもよく、その形成手段を問わない。さらに、補強金物1の材質については、鉄筋その他の鋼材や、他の適宜金属材を適用することができる。
【0008】そして、本実施形態では図1及び図2に示すように、この補強金物1を梁3の貫通孔4の周囲で、かつ梁3の横断方向に3個、相互に所定間隔をおいて配置し、各補強金物1の各隅角部(本実施形態では8カ所の隅角部)には、梁3の横断方向にそれぞれ、かんざし筋5を配設(本実施形態では8本)してなることを特徴としている。
【0008】なお、補強金物1の配設個数は、梁3の梁幅等の構造的設計条件により決定されるものであり、本実施形態のように3個に限定されるものではない。また、各補強金物1の梁3への配設態様は、一対の単位補強金物2の長手方向が、丁度梁3に対する剪断力の生ずる方向(図1におけるように、梁3に対して斜め45度の方向)に一致するように配置するのが望ましいが、必ずしもこれに限定されない。
【0008】上述した如く構成された本実施形態においては、補強金物1の各隅角部に、梁3の横断方向にそれぞれ、かんざし筋5を配設したことにより、梁3の耐力、変形性能の向上を図ることができる。
【0008】即ち、本出願人は、梁主筋及び肋筋が同一の配筋条件となっている鉄筋コンクリート製の梁において、第1実験体として梁貫通孔のない条件の梁を、また、第2実験体として梁貫通孔があり、かつ本実施形態に係る補強金物1のみが梁貫通孔の周囲に配設された条件の梁を、また、第3実験体として梁貫通孔があり、かつ本実施形態に係る補強金物1及びかんざし筋5が所定位置に配設された条件の梁を製作、用意し、各梁に同一条件で繰り返し荷重を載荷して、図3に示す実験結果を得ている。
【0008】図3は、縦軸Qに載荷荷重をトン単位で、また横軸Rに補強金物の位置での載荷荷重による変形量を部材角でもって示したものである。ここで、図中Aは、上記第1実験体の変形性能を実線で示し、図中Bは、上記第2実験体の変形性能を破線で示し、図中Cは、上記第3実験体の変形性能を一点鎖線で示している。この図3から明らかなように、図中Bで示す実験体2の変形性能は、図中Aで示す実験体1の変形性能に比較すると一定の繰り返し荷重(図3では50t付近)により、ひび割れが大きく生じてコンクリートに対する補強金物の定着効果が無くなり、耐力が極端に低下しているのが解る。これに対して、補強金物に加えてかんざし筋が配設された、図中Cで示す実験体3の変形性能は、図中Aで示す実験体1の変形性能にほぼ匹敵する変形性能を示しており、この結果からしても、かんざし筋を配設したことにより、梁貫通孔周囲でのコンクリートのひび割れを有効に防止して、補強金物とコンクリートとの定着効果を最大限に維持し、耐力、変形性能の向上に大きな効果があることが証明されている。
【0012】次に、図4は本発明の第2の実施形態を示すものであり、本実施形態では、略正方形に折曲形成された一対の単位補強金物8、8を相互に45度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物7を形成し、この補強金物7を上記第1実施形態に準じて梁貫通孔4の周囲で、かつ梁の横断方向に所定個数配置し、補強金物7の各隅角部には、梁の横断方向にそれぞれかんざし筋5を上記第1実施形態に準じて配設してなることを特徴としており、本実施形態においても、上記第1実施形態に準じた作用効果を奏し得るものである。
【0012】また、図5は本発明の第3の実施形態を示すものであり、本実施形態では、略三角形に折曲形成された一対の単位補強金物10、10を相互に60度、隅角部をずらせて一体化した形状の補強金物9を形成し、この補強金物9を上記第1実施形態に準じて梁貫通孔4の周囲で、かつ梁の横断方向に所定個数配置し、補強金物9の各隅角部には、梁の横断方向にそれぞれかんざし筋5を上記第1実施形態に準じて配設してなることを特徴としており、本実施形態においても、上記第1実施形態に準じた作用効果を奏し得るものである。
【0015】なお、上記第1実施形態では、補強金物1が一対の略長方形の単位補強金物2、2を相互に90度、隅角部をずらせて一体化した例を示したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、一対の単位補強金物2、2の各隅角部相互間の角度は、要すれば90度以外設定しうるものであり、この点は、上記第2実施形態及び第3実施形態においても同様である。また、補強金物の形状についても、上記第1実施形態におけるような略長方形の単位補強金物2の組み合わせが構造的にも、また製作性の点でも最も、好適であり、また上記第2実施形態における正方形の組み合わせ、もしくは上記第3実施形態における三角形の組み合わせも望ましいものであるが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、これら以外にも、任意の形状に設定可能であり、要するに、補強金物の各隅角部にかんざし筋5が配設されていれば、所定の補強効果を有するものである。
【0016】
【発明の効果】本発明は上述した如く構成されており、以下の効果を奏し得る。
(1) 補強金物を梁貫通孔の周囲で、かつ梁の横断方向に所定個数配置し、補強金物の各隅角部には、梁の横断方向にそれぞれ、かんざし筋を配設することにより、梁貫通孔付近でのコンクリートのひび割れを有効に防止して、補強金物とコンクリートとの定着効果を最大限に維持し、耐力、変形性能の向上を格段に向上させることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井建設株式会社
【出願日】 平成8年(1996)3月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 宏之 (外1名)
【公開番号】 特開平9−256548
【公開日】 平成9年(1997)9月30日
【出願番号】 特願平8−88725