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【発明の名称】 人工毛髪用捲縮繊維及びその製法
【発明者】 【氏名】的塲 聖

【氏名】佐藤 重之

【氏名】畑中 大介

【氏名】横山 浩

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 合成繊維からなる人工毛髪用繊維であって、マルチフィラメントがニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与されてなる人工毛髪用捲縮繊維。
【請求項2】 前記マルチフィラメントが、200回/m以下で撚糸された後、ニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与されてなる請求項1記載の人工毛髪用繊維。
【請求項3】 前記マルチフィラメントを構成するモノフィラメントの単糸繊度が5〜100デニールである請求項1または請求項2記載の人工毛髪用捲縮繊維。
【請求項4】 ニットデニット法の途中段階である編地が、1色以上の染色又はプリント着色を施された後、解編された請求項1記載の人工毛髪用捲縮繊維。
【請求項5】 ニットデニット法の途中段階である編地が、スペースダイングの方法によって間欠的に着色された後、解編された請求項1記載の人工毛髪用捲縮繊維。
【請求項6】 かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等の毛髪用である請求項1〜請求項5のいずれかに記載の人工毛髪用捲縮繊維。
【請求項7】 マルチフィラメントに、ニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与する人工毛髪用捲縮繊維の製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等の毛髪用として用いられる人工毛髪用繊維およびその製法に関するものであり、さらに詳しくは、柔らかいループ状捲縮を有し、また、様々に色模様を配したループ状捲縮を有する人工毛髪用繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、人工毛髪用としての繊維に捲縮を付与する加工方法としては、ギヤクリンプ法、プレス法等がある。しかし、これらの方法では、トウ状の繊維の加工、すなわち、角のある捲縮を付与することはできるが、柔らかいループ状捲縮、例えばウェットルックなソバージュのような捲縮を付与することはできない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、前記従来技術に鑑み、ウェットルックなソバージュのような柔らかいループ状の捲縮を有する人工毛髪用捲縮繊維、さらには、様々に色模様を配したループ状捲縮を有する人工毛髪用捲縮繊維を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、着色が可能な熱可塑性樹脂からなるマルチフィラメントをニッティングすることにより、柔らかいループ状の捲縮を付与することができると同時に、その編地に色々な模様で染色を施した後、解編することにより、多色のスペースダイングを配したループ状捲縮繊維を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、合成繊維からなる人工毛髪用繊維であって、マルチフィラメントがニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与された人工毛髪用捲縮繊維に関するものである。前記人工毛髪用繊維にあっては、マルチフィラメントとして、200回/m以下で撚糸されたマルチフィラメントを用い、撚糸された後のマルチフィラメントが、ニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与されたものでもよい。また、前記マルチフィラメントを構成するモノフィラメントの単糸繊度は5〜100デニールの範囲とすることが好ましい。
【0006】また、本発明にかかる人工毛髪用捲縮繊維であって着色されたものは、ニットデニット法の途中段階である編地が、1色以上の染色又はプリント着色を施された人工毛髪用捲縮繊維である。好ましくは、この着色された人工毛髪用捲縮繊維は、前記繊維に捲縮を付与するニットデニット法の途中段階である編地が、スペースダイングの方法によって間欠的に着色された後、解編されたものである。
【0007】上記のような本発明にかかる人工毛髪用捲縮繊維は、かつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等の毛髪用として好適に使用される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の人工毛髪用繊維は、前記したように、マルチフィラメントがニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与されたことを特徴とするものであり、さらにマルチフィラメントが200回/m以下で撚糸された後、ニットデニット法により編目の規則的ループ状捲縮を付与されたものである。
【0009】本発明の人工毛髪用繊維に用いられる繊維は、マルチフィラメントであるが、その素材は、通常、人工毛髪用に用いられる熱可塑性繊維であればよく、たとえばモダアクリル系、塩化ビニル系、塩化ビニリデン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系等、特に限定されるものではないが、目的とするかつら、ヘアピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等の人工毛髪用として必要な品質、すなわち、良好な触感、風合い、光沢、色合いを得るためには、もっとも獣毛感の強いモダアクリル系が好ましい。
【0010】前記マルチフィラメントのトータル繊度は、通常人工毛髪用に用いられる繊維の繊度でよく、特に限定はないが、あまりに太い場合にはニットデニット法により捲縮を付与する際に、編機のベラ針に掛からず加工できないことから、4000デニール(以下、dと記す)以下であることが好ましい。一方、このマルチフィラメントがあまりにも細い場合にはニッティング時の生産性を著しく低下させると同時に、人工毛髪用としての嵩高性がないことから、トータル繊度は500d以上であることが好ましい。
【0011】つぎに、かかるマルチフィラメントを構成するモノフィラメントの単糸繊度は、あまりにも太くなると剛毛となって触感や風合いがいちじるしく損なわれる傾向があるので、100d以下、なかんづく70d以下であることが好ましい。一方、モノフィラメントがあまりに細い場合には、人工毛髪らしからぬ触感になると同時に、編み立て時に毛羽立ちを引き起こし易くなり、生産性も著しく低下することから、5d以上、なかんづく20d以上であることが好ましい。
【0012】さらに、目標とするループ状捲縮、すなわち1インチ中の捲縮数は、得ようとする毛髪デザインによって異なり、編機の1インチ中の針数や、使用する繊維の繊度によって自由にコントロールすることができる。たとえば、前記のマルチフィラメントの繊度が太い4000dであって、編機の針数が約4.8本/インチであるとき、得られる繊維の捲縮数は約2.4個/インチである。また、マルチフィラメントの繊度が細い500dであって、編機の針数が約14本/インチであるとき、得られる繊維の捲縮数は約7個/インチである。
【0013】また、本発明によれば、得ようとする毛髪デザインによっては、マルチフィラメントに撚りを施した後、ニットデニット法によりループ状捲縮を付与してもよく、また、無撚の状態で編製してもよい。前記のマルチフィラメントを撚る場合の撚り回数は、あまりに多い場合には、得られる人工毛髪用捲縮繊維の外観が悪く、触感が硬い縄状となり、特に優れたループ状捲縮を形成することが困難となるので、200回/m以下、好ましくは、160回/m以下となるように調整する方が良い。なお、撚方向についてはとくに限定はなく、S方向でもZ方向でもかまわない。
【0014】上記のようにしてニットデニット法により捲縮を付与されて得られる本発明に係る人工毛髪用捲縮繊維は、捺染を施したり、浸染によって均一な色に染色することで着色することができる。その際の染色方法や染色処方は使用する素材によって異なり、とくに限定はなく、たとえば着色剤は顔料、カチオン染料、酸性染料、分散染料、直接染料等による染色法がある。また、スペースダイングの方法により間欠染めを施してもよい。このスペースダイングの方法としては、綛状にしてローラー捺染する方法、チーズ染色機を応用した方法や、連続的に糸を走行させながら捺染する方法等があるが、多色染めの場合には、連続的で生産性や染め上がりの色の境界がはっきりとわかり、なお且つ、着色剤の固着と同時に角のないループ状の捲縮が付与できるといった点で、ニットデニット法の途中段階である編地に、上記のようなスペースダイニングの方法により間欠的に着色する方法が最も好ましい。この方法によれば、解編後の色相を様々に変化させることができ、色もはっきりと浮かび上がらせることにつながる。
【0015】上記のような本発明の人工毛髪用捲縮繊維は、触感、風合いに優れたループ状捲縮を付与されたかつら、ヘアーピース、ブレード、エクステンションヘアー、ドールヘアー等の人工毛髪用として利用される。
【0016】
【実施例】つぎに、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0017】〔実施例1〕ヘキサメチレジンアミンとアジピン酸をモル比で1:1で重合させてなり、モノフィラメントの単糸繊度が50dで、マルチフィラメントのトータル繊度が1100dのポリアミド系繊維を、直径3.75インチのシリンダーで90本の針を有する高速筒編機で編み、コースが8、ウェールが10の編地を得た。得られた編地を、湿熱で100℃で20分間熱処理した後、解編してワインダーでソフトに巻き取り、捲縮数が8個/インチの人工毛髪用捲縮繊維が得られた。この人工毛髪用捲縮繊維1を、軟質塩化ビニル製の人形用頭2に専用のミシンで植毛して、ループ状捲縮が付与された図1に示される人形頭髪を作成した。
【0018】〔実施例2〕アクリロニトリル45重量%、塩化ビニル54重量%およびメタクリルスルホン酸ナトリウム1重量%からなり、モノフィラメントの単糸繊度が20dでマルチフィラメントのトータル繊度が720dのアクリロニトリル系繊維を、イタリー式撚糸機を用いてZ方向に130回/m撚糸を施した後、直径3.75インチのシリンダーで90本の針を有する高速筒編機で編み、コースが8、ウェールが10の編地を得た。この編地を、連続的に染色できるプリント染色機に通した。このときの染料処方としては、粘度調整用に第一工業株式会社製の糊「ファインガムCA−5S」5重量部に水を85重量部を加え、これにpH調整用に酢酸を3重量部、浸透剤として東邦理化工業株式会社製の「リカコールM−30」を3重量部、促染剤にバイエル株式会社製の「LEVEGAL PEW」を4重量部、均一に混ぜ合わせた元糊を調整した。この元糊を3つに分け、それぞれ違う色に調製すべく、下記に示す水溶性のカチオン染料をそれぞれの元糊に溶解して、3色の色糊■〜■を得た。
【0019】色糊■ 元糊99.5重量%に、CIBA−GEIGY社製「MAXILON YELLOW2RL」200%を0.5重量%溶解した。
色糊■ 元糊99.5重量%に、CIBA−GEIGY社製「MAXILON RED GRL 」150%を0.5重量%溶解した。
色糊■ 元糊99.5重量%に、CIBA−GEIGY社製「MAXILON BLUE GRL」300%を0.5重量%溶解した。
【0020】得られた3色の色糊■〜■を、前記編地の縦方向に別々に連続的にローラー捺染でプリントし、乾熱110℃の乾燥工程を経た後、100℃のスチーミングを施した。このときのスチーミングの滞留時間は約10分間である。更に、このプリントされた編地を水洗した後、再び乾熱110℃で乾燥することによって、縦方向に3色が色鮮やかに着色された編地を得た。この編地を解編した糸条をワンダーでソフトに巻き取り、捲縮数が8個/インチで3色が交互に間欠的に着色された人工毛髪用捲縮繊維3が得られた。この人工毛髪用捲縮繊維3を、図2に示されるように軟質塩化ビニル製の人形用頭4に専用のミシンで植毛することで、ループ状捲縮が付与され、しかも3色のランダムに配置された色鮮やかな人形頭髪を作成した。
【0021】〔実施例3〕アクリロニトリル45重量%、塩化ビニル54重量%およびメタクリルスルホン酸ナトリウム1重量%からなり、モノフィラメントの単糸繊度が20dで、マルチフィラメントのトータル繊度が720dのアクリロニトリル系繊維を、直径3.75インチのシリンダーで90本の針を有する高速筒編機で編み、コースが8、ウェールが10の編地を得た。この編地をビゴロ捺染機を使用して斜め縞紋様に捺染し、100℃で20分蒸熱し、ソーピングを行い乾燥した後、解編、ソフトワインディングを行い、捲縮数が8個/インチの人工毛髪用捲縮繊維が得られた。この人工毛髪用捲縮繊維を、実施例1、2と同様にして人形用頭に植毛し、ループ状捲縮が付与された色鮮やかな人形頭髪を作成した。
【0022】〔実施例4〕アクリロニトリル45重量%、塩化ビニル54重量%およびメタクリルスルホン酸ナトリウム1重量%からなり、モノフィラメントの単糸繊度が20dで、マルチフィラメントのトータル繊度が720dのアクリロニトリル系繊維を、約200gの綛状に巻き取り、この綛状の繊維に対し、図3に示すように、綛の長さ方向とほぼ直角にローラーによって色糊■〜■を3色別々に印捺し、蒸熱、洗浄、乾燥を施した後、ワインダーで巻き取り、編機を用いて実施例1と同様の編地を編製し、100℃で20分間セットした後、解編することで、長短取り混ぜたピッチで間歇的に着色され、図2と同様の、角のない、まろやかなループ状捲縮を持つ人工毛髪用繊維を得た。これを、専用のミシンで植毛して、色相、着色部の長さともにランダムに着色された美しい頭髪を得た。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明の人工毛髪用捲縮繊維は、ニットデニット法を用いて付与された柔らかいループ状の捲縮を有する。さらに、ニットデニット法の途中段階で、その編地に色々な模様でスペースダイングを施した後、解編したものでは、様々な色模様を配したループ状捲縮繊維を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)8月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開平9−67725
【公開日】 平成9年(1997)3月11日
【出願番号】 特願平7−221735