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【発明の名称】 コード及びディップコード
【発明者】 【氏名】奥山 幸成

【氏名】平畑 裕嗣

【氏名】矢吹 和之

【目的】 極めて耐疲労性に優れたポリベンザゾール繊維からなるディップコードを提供する。
【構成】 強度35g/d以上、弾性率800g/d以上の撚糸されたポリベンザゾール繊維からなるディップコードで、撚係数が700以下の片撚糸で、繊維の強力利用率が80%以上のものを好適となるディップコード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撚糸されたポリベンザゾール繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするコード。
(1) 35g/d以上の強度。
(2) 800g/d以上の弾性率。
【請求項2】 撚糸されたポリベンザゾール繊維の撚係数が900以下であることを特徴とする請求項1記載のコード。
【請求項3】 撚糸されたポリベンザゾール繊維が撚係数700以下で片撚されてなることを特徴とする請求項1記載のコード。
【請求項4】 ポリベンザゾール繊維の強力利用率が80%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコード。
【請求項5】 撚糸されたポリベンザゾール繊維からなり、下記物性を有することを特徴とするディップコード。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、従来にない耐疲労性に優れたコード及びディップコードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ゴム補強材などに有機繊維が使われ、該有機繊維が疲労性を改善する目的で撚糸された構造は一般的である。近年省エネルギーの要求でこうしたゴム補強材の軽量化が図られ、そのため所謂スーパー繊維の有する物性から期待される軽量化が図られているとは云いがたい現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の壁を超え、耐疲労が顕著に改善され、かつ補強材として繊維の優れた強度・弾性率を補強材として実現するポリベンザゾール繊維コード及びディップコードを提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち第1の本発明は撚糸されたポリベンザゾール繊維からなり、下記特性を有することを特徴とするコードである。
(1) 35g/d以上の強度。
(2) 800g/d以上の弾性率。
さらには、撚糸されたポリベンザゾール繊維の撚係数が900以下で好ましくは撚糸されたポリベンザゾール繊維が撚係数700以下で片撚されてなることを特徴とするコード。または、ポリベンザゾール繊維の強力利用率が80%以上であることを特徴とするコードである。また第2の本発明はディップ処理後も上記第1発明の各要件を満足するディップコードである。
【0005】以下本発明を詳細に説明する。本発明におけるポリベンザゾール繊維とは、ポリベンザゾールポリマーよりなる繊維をいい、ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)ホモポリマー、ポリベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー及びそれらPBO、PBTのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール及びそれらのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーは、例えばWolfe 等の「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products 」米国特許第4703103号(1987年10月27日)、「Liquid Crystall-inePolymer Compositions, Process and Products」米国特許第4533692号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole)Composition, Process and Products 」米国特許第4533724号(1985年8月6日)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process andProducts」米国特許第4533693号(1985年8月6日)、Evers の Thermooxidative-ly Stable Articulated p-Benzobisoxaxole and-Benzobisthiaxole Polymres 」米国特許第4539567号(1982年11月16日)、Tsai等の「Method for making Heterocyclic Block Copolymer」米国特許第4578432号(1986年3月25日)、等に記載されている。PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。モノマー単位は構造式(a)〜(h)に記載されているモノマー単位からなり、さらに好ましくは、本質的に構造式(a)〜(c)から選択されたモノマー単位からなる。
【0006】
【化1】

【0007】
【化2】

【0008】PBZポリマーのドープを形成するための好適な溶媒としては、クレゾールやそのポリマーを溶解し得る非酸化性の酸が含まれる。好適な酸溶媒の例としては、ポリリン酸、メタンスルホン酸および高濃度の硫酸あるいはそれらの混合物が挙げられる。さらに適する溶媒はポリリン酸及びメタンスルホン酸である。また最も適する溶媒は、ポリリン酸である。
【0009】溶媒中のポリマー濃度は好ましくは少なくとも約7重量%であり、さらに好ましくは少なくとも10重量、最も好ましくは少なくとも14重量%である。最大濃度は、例えばポリマーの溶解性やドープ粘度といった実際上の取扱い性により限定される。それらの限界要因のために、ポリマー濃度は通常では20重量%を超えることはない。
【0010】好適なポリマーやコポリマーあるいはドープは公知の手法により合成される。例えばWolfe 等の米国特許第4533693号(1985年8月6日)、Sybert等の米国特許4772678号(1988年9月20日)、Harrisの米国特許第4847350号(1989年7月11日)に記載される方法で合成される。PBZポリマーは、Gregory 等の米国特許第5089591号(1992年2月18日)によると、脱水性の酸溶媒中での比較的高温、高剪断条件下において高い反応速度での高分子量化が可能である。
【0011】このようにして重合されるドープから公知の手段により高強度・高弾性率のポリベンザゾール繊維が製造される。例えば米国特許第5294390号(1994年5月15日)などに記載された乾湿式紡糸方法が好適である。
【0012】該ポリベンザゾール繊維は耐疲労性を改善する観点からリング撚糸機などを用いて片撚りもしくは双糸撚りを与えられる。本発明の場合は片撚り糸の撚り係数は900以下、好ましくは350以下であることが本発明のコードが持つ強度・弾性率の達成と同時に耐疲労性を与えるために肝要である。特にその耐疲労性を満足するために本発明のコードは片撚りで、撚係数を700以下好ましくは350以下にすることが望ましく、双糸あるいはそれ以上の複層の撚糸を施されたコードは強力利用等の低下を招き望ましくない。尚、撚り係数(K)は次式で定義する。(双糸は上撚の撚り係数とする)。
K=Tw(Den/ρ)1/2Tw:撚り数(t/10cm)
Den:トータルデニールρ:繊維密度(g/cm3
【0013】該撚糸コードはゴムとの接着性を向上させるため、所謂ディップを施される。処理液としては、(A)エポキシ樹脂の水分散液、(B)ブロックドイソシアネートの水分散液、(C)レゾロシン・ホルムアルデヒド樹脂−ゴムラテックス混合液、の組み合わせもしくは単独で、一段または二段以上の多段処理により施される場合が一般的であるが、その他の処方であっても勿論良い。特にこの処方に置いては各フィラメントのコード中でのマイグレーションの均一性が耐疲労性および強度・弾性率の利用率を高めるためとくに重要である。このため、ディップ処理に置いては高張力で処理されることが望ましく、ディップ剤の配合も繊維内部に浸透するディップ剤については弾性率が低い所謂ソフト処方のものが好ましい。
【0014】かくして得られるコードは強度利用率(コード強力/原糸強力)が80%以上と高く、弾性率の利用率も高い。また疲労試験においても驚くべきことに、低い撚り係数のものほど耐疲労性が良好で、従来の有機繊維の撚り数の高いものほど耐疲労性がよいという常識を打ち破った新規な特徴を有する。
【0015】次に実施例を用いて、本発明の効果について説明する。もちろん本発明は実施例に限定されるものではない。
【0016】(実施例1、2、比較例1、2)1000デニールのポリベンズビスオキサゾール繊維を2本引揃えて撚糸してコードを作成した。それぞれの生コードに二段のディップ処理を施してディップコードを作成した。一段目のディップ処理液はエポキシ樹脂の水分散液であり処理温度は250℃、二段目のディップ処理液はRFL液であり処理温度は235℃であった。得られたコードの特性を表1に示す。表1でも明らかなようにPBO(ポリベンズビスオキサゾール)繊維の撚り係数が350以下の本発明のコードは強力利用率および弾性率利用率が極めて高く、かつ疲労性が優れる。撚り数の依存性につき強力を図1に弾性率を図2にディスク疲労性を図3にチューブ疲労性を図4に示す。特に疲労性については片撚り糸の場合撚り係数が低いほど高く、さらに撚り係数350以下で顕著である。また、ディップ処理前後のコード強力及び弾性率の変化が極めて小さく、従来の問題点であるディップ処理によるコード特性の低下が認められなかった。
【0017】
【表1】

【0018】実施例2ポリベンズビスオキサゾール繊維を撚糸して片撚りおよび双糸コードを作成した。それぞれの生コードに実施例1と同じ二段のディッピング処理をしてディップコードを作成した。得られたディップコードの特性を表2に示す。双糸コードと片撚りコードの差は同程度の低撚りで顕著に現れており、本発明の片撚りコードが断然良い。双糸コードの傾向はスーパー繊維で一般に認められる傾向を示し常識的であるが、片撚りコードの特性は従来の常識からは推し量れないものであった。
【0019】
【表2】

【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、ポリベンザゾール繊維の優れた力学特性を活かした片撚りコードはこれまで達成できなかったレベルでの力学特性と耐疲労性を同時に満足することができる。とくにゴム補強の分野で複合材の嘗てない軽量化が達成でき、省エネルギーに貢献できる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成7年(1995)8月9日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−49139
【公開日】 平成9年(1997)2月18日
【出願番号】 特願平7−203463