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【発明の名称】 ホットカーペットカバー
【発明者】 【氏名】藤田 雅士

【氏名】前田 浩亨

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材とから構成されるホットカーペットカバーであって、前記表糸が、繊度4d以上7d未満の扁平断面単糸の集合体から構成される総繊度500〜5000d、捲縮伸長率が3〜15パーセントのポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸からなることを特徴とするホットカーペットカバー。
【請求項2】 ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する偏平断面単糸の偏平率が2〜6の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のホットカーペットカバー。
【請求項3】 ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する扁平断面糸が2.0重量パーセント以下の着色剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のホットカーペットカバー。
【請求項4】 着色剤がカーボンブラック系着色剤であることを特徴とする請求項3に記載のホットカーペットカバー。
【請求項5】 ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する扁平断面糸が、固有粘度0.6以上のポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のホットカーペットカバー。
【請求項6】 表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材とが、すべてポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のホットカーペットカバー。
【請求項7】 基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材とが、ポリエステル不織布からなることを特徴とする請求項6に記載のホットカーペットカバー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を表糸として用いたホットカーペットカバーに関するものである。さらに詳しくは、柔軟でソフトな風合いを具備するとともに、耐久性、染色堅牢度およびカバーリング性にすぐれ、しかもリサイクルが可能なホットカーペットカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、そのすぐれた防汚性および耐久性を生かして、従来から種々のインテリア用途素材として用いられている。
【0003】また、ポリエステル繊維からなるステープル紡績糸は、カーペットの表糸素材としても利用されているが、このポリエステル繊維からなるカーペットは、いわゆる遊び毛と呼ばれる単繊維の抜けや、ピリングなどの不具合を生じやすいという問題があった。
【0004】そこで、これらの問題を改善するために、ポリエステル長繊維、つまりポリエステル捲縮フィラメントをカーペットの表糸素材としても用いる技術が、例えば特開平4−82910号公報などに開示されている。
【0005】しかしながら、ポリエステル捲縮フィラメントは、その剛性の高さの点から粗剛感が強すぎるため、特にホットカーペットカバーに要求される柔軟でソフトな風合いが得られないという欠点があった。
【0006】また、ホットカーペットカバーとしてのソフト感を得るために、ポリエステル捲縮フィラメントの単糸を細デニール化しようとすれば、フィラメント製糸工程において単糸切れを起こすという問題があった。
【0007】さらに、特にカーペットの表糸として適した捲縮を得ようとする場合には、ポリエステルフィラメントに流体捲縮を付与する直前に、高い延伸倍率にて延伸する必要があるが、この際に単糸の延伸時糸切れが頻発したり、加熱流体捲縮装置内で糸切れを生じたり、またカーペットとして使用中にフィブリル化を生じやすくなるという問題もあった。
【0008】したがって、上述した従来技術においては、カーペットの表糸としての風合いの向上、延伸加工性の安定化、およびさらには耐久性の向上の全てを同時に満足するポリエステル捲縮フィラメントについては実現されておらず、さらに課題を残したものとなっていた。
【0009】同様に、従来のポリエステル捲縮フィラメントを表糸として用いたホットカーペットカバーにおいては、遊び毛の解消、表面タッチのソフト化、および耐久性などの点で依然として問題が残されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従来技術における問題点の解消を課題として検討した結果達成されたものである。
【0011】したがって、本発明の目的は、柔軟でソフトな風合いを具備するとともに、耐久性、染色堅牢度、カバーリング性能にすぐれたホットカーペットカバーを提供することにある。
【0012】さらに、本発明の他の目的は、上述のすぐれた特性を具備すると共に、リサイクルが可能なホットカーペットカバーを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、本発明のホットカーペットカバーは、表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材とから構成されるホットカーペットカバーであって、前記表糸が、繊度4d以上7d未満の扁平断面単糸の集合体から構成される総繊度500〜5000d、捲縮伸長率が3〜15パーセントのポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸からなることを特徴とする。
【0014】また、本発明のホットカーペットカバーにおいては、ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する偏平断面単糸の偏平率が2〜6の範囲にあり、前記扁平断面糸が2.0重量パーセント以下の着色剤を含有することが望ましい。
【0015】さらに、本発明のホットカーペットカバーにおいては、表糸と、この表糸をタフトした基布と、この基布の裏に張り付けたバッキング材とが、すべてポリエステルからなることが、リサイクルを行う上で望ましい条件である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0017】本発明において、ホットカーペットカバーの表糸としてのポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する扁平断面糸は、分子鎖の全繰返し単位の90モルパーセント以上、特に95パーセント以上がエチレンテレフタレートであるポリエステルからなることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、少量の第三成分を含むポリエチレンテレフタレートであってもよい。
【0018】そして、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸は、固有粘度が0.60以上のポリエステルからなることが望ましく、さらには固有粘度が0.7以上、特に0.8以上のポリエステルからなることが好ましい。
【0019】ポリエステルの固有粘度は、ポリエステルの数平均分子量を示す指標でもあり、この固有粘度が低いと、つまり分子量が小さいと、ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸の機械的特性が十分に得られないばかりか、耐候性、耐熱性、および耐疲労性などのカーペットの表糸に要求される十分な耐久性能が得られなくなるため好ましくない。
【0020】また、本発明でいうポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸とは、加熱空気あるいは蒸気などの加熱流体によって付与された捲縮糸であれば特に限定されないが、従来公知の加熱流体による捲縮加工装置、例えば特公昭58−1214号公報および特開昭56−101925号公報などに記載の捲縮加工装置を用いて捲縮付与されたものが好ましい。
【0021】また、本発明においては、柔軟でソフトな風合いを得るため、ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する単糸の繊度を4d以上7d未満、好ましくは4d以上6d未満とすることによって、単糸剛性を小さくする必要がある。
【0022】一般に、固有粘度の低いポリエステルからなるフィラメントの場合には、単糸繊度を小さくすればするほどフィラメント製糸工程での単糸切れを生じやすく、また特にカーペットの表糸に適した捲縮を得ようとする場合には、流体捲縮を付与する直前に、高い延伸倍率にて延伸する必要があって、この際に単糸の延伸切れが頻発したり、さらには加熱流体捲縮時に糸切れを生じたりするばかりか、カーペットとして使用中に、フィブリル化を発生しやすくなるという問題があった。
【0023】しかし、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸は、加熱流体捲縮加工時において、高い分子量で安定しているため、延伸性を損なうことなく、またフィブリル化しにくい単糸の細繊度化が実現できるのである。
【0024】一方、単糸繊度が4d未満となると、流体捲縮加工において十分な捲縮が得られず、カバーリング性に劣り、さらにカーペット使用中にピリングを生じやすくなるため好ましくない。
【0025】また、単糸繊度が7d以上になると、カーペットとしての風合いが硬くなるため好ましくない。
【0026】さらに、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する単糸は、その柔軟性とソフト感をより向上させるために、単糸断面の偏平率が2〜6の偏平断面糸とすることが必要である。
【0027】単糸の偏平率が2未満では、風合いが硬くなる傾向を生じ、また偏平率は値は大きな方が柔軟でソフトとなるものの、6を越える場合には、特に単糸繊度を小さくした際に単糸断面の厚みが極度に薄くなり、過度に柔らかくなってへたりやすくなるため好ましくない。
【0028】上述した偏平断面糸は、偏平率つまり、単糸断面の短辺部の最大長さ(A)と長辺部の最大長さ(B)の比(B/A)が2〜6の範囲であれば、断面に1個以上の凹凸を有するものであってもよい。
【0029】次に、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を構成する扁平断面糸は、カーペットの製造工程におけるコストダウン指向、特に染色レスの要求、あるいは染色による物性値の変化を避ける点から、糸中に2.0重量パーセント以下の着色剤を含有せしめることが望ましい。
【0030】着色剤の含有量が2.0重量パーセントを越える場合には、フィラメント製糸工程での糸切れを誘発したり、ポリエステルの粘度低下を引き起こすなどの問題を生じるため好ましくない。
【0031】本発明で使用する着色剤としては、カーボンブラック系、アントラキノン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系、ペリレン系、ペリノン系、縮合アゾ系、チオインジゴ系、二酸化チタン、および酸化鉄系などを用いることができるが、リサイクルを考慮する場合には、なかでもカーボンブラック系着色剤の使用が望ましい。
【0032】着色剤の添加の方法としては、ポリエステル縮重合のためのエステル化工程あるいはエステル交換工程、または縮重合反応工程において添加する方法、チップ乾燥時にブレンドして紡糸する方法、紡糸時に着色剤を直接添加する方法、着色剤を高濃度含有するマスターチップを溶融し別途溶融したベースポリマとブレンドして紡糸する方法(メルトブレンド方式)、および着色剤を高濃度含有するマスターチップとベースチップをブレンドして溶融紡糸する方法(チップブレンド方式)といった添加技術を適用することができるが、品質の安定性、操業の安定性およびコストなどの点を考慮すると、マスターチップを使用する方法が特に有効である。
【0033】また、上記の扁平断面糸から構成されるポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸は、カーペットとしての高次加工の取扱いを考慮して、その総繊度が500d〜5000d、好ましくは800d〜3000dであることが適切である。
【0034】ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸の総繊度が500d未満では、タフト時の生産効率が悪くなる問題があり、一方3000dを越えると、タフト時にパイル抜けが多くなる問題があるため好ましくない。
【0035】さらに、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸は、その捲縮伸長率を3〜15パーセント、特に5〜12パーセントとすることによって、嵩高性に富む性能を確保できると共に、カーペット表面ーのカバーリング性をも良好となすことができる。
【0036】ポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸の捲縮伸長率が3パーセント未満では、捲縮繊維の特徴である嵩高性が不足し、また15パーセントを越えると、その捲縮によって表面がフエルト化し、風合が硬くなって柔軟性を損なうため好ましくない。
【0037】上記の条件を満たすポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を表糸として用いた本発明のホットカーペットカバーは、柔軟でソフトな表面タッチおよび耐久性にすぐれるとともに、その使用後において再溶融することにより、ポリエステル樹脂あるいは繊維にリサイクルすることが可能である。
【0038】一般に、ポリエステルはリサイクルにきわめて適した素材であり、そのリサイクル方法としては、回収ポリマーをモノマーまで分解することなく再溶融して利用するケースが多いが、その再溶融によって粘度低下おこすことから、回収品の固有粘度はより高いものが好ましい。
【0039】さらに、本発明において、ホットカーペットカバーの表糸としてポリエステルフィラメントに着色剤を含有せしめる場合には、リサイクルを考慮してカーボンブラック系着色剤を使用することが望ましい。
【0040】本発明のホットカーペットカバーにおいて、上記表糸をタフトする基布の素材としては、たて糸およびよこ糸ともにポリプロピレンのスプリット糸またはフラットテープを用いたものを使用することができるが、さらに好ましくは、基布としてポリエステル繊維の不織布を用いることによって、上記表糸とともに基布をリサイクルすることができる。
【0041】また、基布の裏に張るバッキング材としては、ホットカーペット本体とホットカーペットカバーの滑りを防止するとともに、良好な熱伝導性を確保するためにポリエステル繊維の不織布を用いることが望ましい。
【0042】そして、表糸、基布およびバッキング材の素材を、すべてポリエステル繊維とすることにより、ホットカーペットカバーを部位別に分離することなく、リサイクルすることができる。
【0043】次に、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸の製造方法の一例について説明する。
【0044】まず、ポリエステルのベースチップを押出し機に供給し、溶融ポリエステルとなし、続いて紡糸口金から溶融する。
【0045】着色剤を含有させる場合は、例えば、着色剤を10重量パーセント以上、好ましくは15重量パーセント以上、より好ましくは20重量パーセント以上含有するポリエステルマスターチップを、ポリエステル原着糸中の着色剤濃度が2.0重量パーセント以下となるよう計量し、前記ベースチップと混合する。
【0046】紡糸された糸条は、冷風により冷却・固化され、さらに引き続いて油剤が付着された後、300〜1200m/分で回転する引取りロールで引取られる。
【0047】さらに、この未延伸糸を2〜6倍で延伸する延伸工程に導き、続いて加熱流体捲縮付与装置に導入する。加熱流体としてはなでも加熱蒸気が好ましく用いられる。
【0048】加熱流体にて捲縮付与された糸条は、冷却された後、捲縮がへたらない程度に引き伸ばされて、最後にパッケージに巻き取られる。
【0049】上記工程の任意部分で一旦フィラメントを巻取ってもよいが、好ましくは連続で行うのが良い。
【0050】また、上記方法により得たポリエステルフィラメント嵩高捲縮糸をタフティング機にセットし、ポリエステル不織布またはポリプロピレンなどの基布などにタフティングした後、ポリエステル不織布のバッキング材で裏張りを行うことにより、本発明のホットカーペットカバーを得ることができる。
【0051】なお、必要に応じて、途中にスチーミング工程、ブラッシング工程、スプレー工程、染色工程、シャーリング工程、およびポリシャー工程などの加工工程を付加することも可能である。
【0052】
【実施例】以下、実施例により本発明の構成および効果をさらに説明する。
【0053】なお、前述および実施例中の物性値は次のようにして求めた値である。
【0054】(1)固有粘度オルソクロロフェノールを溶媒として、オスワルド型粘度計を用いて25℃にて測定した。
【0055】(2)繊度試料に100mg/dの初張力を掛けて検尺し、150℃×15時間で乾燥した後秤量した。繊度は次式から求めた。
D=W×(9000/L)×(1+公定水分)
ただし、Dは繊度、Wは糸重、Lは検尺長、公定水分は0.4%。
【0056】(3)捲縮伸長率繊維に無荷重下で98℃×5分間の沸騰水処理を施した後、風乾し、初荷重(2mg/d)をかけて長さ(L1)を測定し、次いで定荷重(100mg/d)をかけて長さ(L2)を測定して、次式から求めたものである。
捲縮伸長率(%)=100×(L2−L1)/L1(4)偏平率単糸断面を切断後、光学顕微鏡を用いて単糸長辺部の最大径(B)と、単糸短辺部の最大径(A)を測定し、次式により求めた。
偏平率=(B)/(A)
(5)延伸加工性延伸の糸切れ率が0.5回/t未満のものを最良(◎)、延伸の糸切れ率が0.5回/t以上1.0回/t未満のものを良好(○)、延伸の糸切れ率が1.0回/t以上2.0回/t未満のものを若干良好(△)、延伸の糸切れ率が2.0回/t以上のものを不良(×)とした。
【0057】(6)原糸強力・強度・伸度オリエンテック社製テンシロン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分で測定した。
【0058】(7)耐候後強力保持率・伸度保持率サンシャインウェザーメータにて、83℃×200時間の照射をおこなった後、オリエンテック社製テンシロン引張り試験機を用い、試長250mm、引張速度300mm/分で測定し、上記で求めた処理前の値からの保持率を求めたものである。
【0059】(8)風合い素足で踏んだ時最もソフト感あるものを最良(◎)とし、最も悪いものを不良(×)とする官能評価により4段階に区分した。
【0060】(9)耐摩耗性10万人実用テスト法による実用テスト後の表糸の摩耗の程度を、使用テスト前のものと比較し、目視による官能評価により程度を区分した。
【0061】(10)カバーリング性:カーペットを真上から見たときに表糸の隙間から基布が最も見えにくいものを最良(◎)とし、最も見やすいものを不良(×)とする官能評価により、4段階に区分した。
【0062】[実施例1〜4]表1に示した固有粘度を有するポリエスチレンテレフタレートのベースチップをエクストルダー型紡糸機で溶融し、偏平型口金より紡糸した。
【0063】紡糸部より得た糸条に先ず油剤を付着せしめ、続いて引取りロールで引取り、加熱延伸ロールにて延伸した後、連続して特公昭58−1214号公報に記載の捲縮加工装置にて250℃以上での加熱蒸気処理を行い捲縮を付与した。
【0064】次いで、捲縮がへたらない程度に引き伸ばし、最後に0.08g/d程度の巻取張力で巻き取った。
【0065】なお、実施例3および実施例4では、カーボンブラックを10重量パーセント含有するポリエチレンテレフタレートをベースチップに対して重量比40分の1で計量、混合した後、上記方法にて紡糸延伸加工して巻き取った。
【0066】この際、延伸加工性を評価すると共に、得られたポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸の原糸特性として固有粘度、単糸繊度、総繊度、フィラメント数、偏平率、原糸強度・伸度・耐候後強力保持率・伸度保持率を測定した結果を表1に示す。
【0067】また、上記にて得られたポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を、ポリプロピレンテープの平織り基布に目付600g/mのカットパイルカーペットとしてタフティングした後、基布の裏にバッキング材のポリエステル不織布を張り付けた。
【0068】得られた各カーペットについて、カーペット表面のソフト感、耐摩耗性、表面のカーバーリング性を評価した結果を表1に併せて示す。
【0069】
【表1】

表1に示したとおり、本実施例1〜4のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸は、きわめてすぐれた延伸加工性を有すると共に、強度・伸度および耐候処理後の強力・伸度保持率などの物理特性も、カーペットヤーンとしてすぐれたものであった。
【0070】また、得られたホットカーペットカバーは、柔軟でソフト感に富んでいるとともに、カーバーリング性も良好であった。
【0071】[比較例1〜4]表2に示した固有粘度を有するポリエスチレンテレフタレートのベースチップを用い、実施例3と同様な方法にてポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸およびホットカーペットカバーを得た。
【0072】得られたポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸およびホットカーペットカバーの各種性能評価結果を表2に併せて示す。
【0073】
【表2】

表2の結果から明らかなように、本比較例1および比較例2はカーペットの風合いはソフトであったが、耐摩耗性・カバーリング性に劣り、また、延伸加工時に糸切れが多発するとともに、良好な物理特性が得られなかった。
【0074】さらに、本比較例3では原糸の物理特性は確保されたが、カーペットはフエルト調で粗剛なものであった。
【0075】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のポリエステルマルチフィラメント嵩高捲縮糸を表糸として用いたホットカーペットカバーは、柔軟でソフトな風合いを具備するとともに、耐久性、染色堅牢度、およびカバーリング性能にすぐれたものである。さらに、本発明のホットカーペットカバーは、表糸、基布およびバッキング材をすべてポリエステル繊維により構成することにより、リサイクルも容易に可能である。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成7年(1995)8月7日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−49135
【公開日】 平成9年(1997)2月18日
【出願番号】 特願平7−201154