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【発明の名称】 手芸用紐
【発明者】 【氏名】石田 保

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリプロピレンとポリエチレンのいずれかと,酢酸ビニールを各々重量割合で略10に対して、合成ゴム,ホットメルト型接着剤を各々重量割合で略3、炭酸カルシュウム及びタルク(滑石)を各々重量割合で略4〜8、粒度が概ね70〜180メッシュの木粉を重量割合で略1〜3程度混合してものを、先端にスクリュー押出機構を具備した加圧混練装置で略110〜185℃程度の加熱下で混練りして、上記スクリューの先端方のノズルに相互に近接して並設した複数の押出口から押し出し、ノズル外部で各押出口から押し出された線状体が側部で互いに溶着して、ベルト状に構成したものを冷却してなる手芸用紐。
【請求項2】 重量割合でワックスと高発泡剤を微量添加したことを特徴とする請求項1記載の手芸用紐。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、花籠あるいは飾籠等の籠を編むための手芸用紐に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来から女性によって、籐あるいは竹材等を使用して、花籠等の籠が編まれている。
【0003】ところが、近年資源の枯渇,環境保全等の観点から天然の籐の材料が入手し難くなりつつある。また、材質の点から、籐あるいは竹材等の天然の素材は、非常に曲げ難く又一度曲げるとその状態に塑性変形してしまう。このため、所定の曲率に曲げようとしてその部分が折損したり、あるいは途中まで編んで所望の形状に編上がらない場合等に編み直そうとすると、既に曲げ加工したその曲率に塑性変形しているため、その材料を再利用することができないという不都合がある。
【0004】さらには、編み上がった籠がその中に挿入する花器等の器の形状と異なっている場合、これら籐あるいは竹材等は、弾性変形量が少ないことから無理やりに挿入することができず、従って、花器等を籠の中に挿入しようとする場合には、その器の形状に合わせて正確に編み上げる必要がある。
【0005】本発明は、上述のような現況に鑑みなされたものであって、誰でも簡単に編めて、しかも編み上がった籠が弾性変形可能で、しかも一度編み上げたものを解いて再利用可能な手芸用紐を提供することを目的とする。
【0006】なお、本願発明と外見上一見似たものとして、ビニール製の電気コードがあるが、目的が異なることから、手芸用紐として使用するには材料自体が高価で、また質感の点で面白味がなく、しかも各線状体(単線)に引き裂き難いという不都合がある。また、製造するための加圧混練装置(「押出成形機」あるいは「押出機」とも呼ばれる)のノズルとして精密な金属加工を施して押出口を形成したものが必要となるため、また複数種類の押出口が必要となる手芸用紐としては装置の点でも高価になりすぎ、また質感的に面白味があるものを押出成型しようとするとこのような精密に加工を施されたノズルでは詰まりを生じて円滑に成型することができないという製造技術上の不都合がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本願発明のうち請求項1記載の発明にかかる手芸用紐は、ポリプロピレンとポリエチレンのいずれかと,酢酸ビニールを各々重量割合で略10に対して、合成ゴム,ホットメルト型接着剤を各々重量割合で略3、炭酸カルシュウム及びタルク(滑石)を各々重量割合で略4〜8、粒度が概ね70〜180メッシュの木粉を重量割合で略1〜3程度混合してものを、先端にスクリュー押出機構を具備した加圧混練装置で略110〜185℃程度の加熱下で混練りして、上記スクリューの先端方のノズルに、相互に近接して並設した複数の押出口から押し出し、ノズル外部で各押出口から押し出された線状体が側部で互いに溶着して、ベルト状に構成したものを冷却してなる。
【0008】このように構成された手芸用紐は、スクリューの先端方のノズルに近接して並設した複数の押出口から押し出されると、酢酸ビニール及びホットメルト型接着剤が上述の重量割合で混入されているため、ノズルから押し出し後に、隣接した各線状体が互いの側部で保有する熱により溶着する。一方、木粉が上述の重量割合で混入し溶着部分にも存在しているため、冷却後においてベルト状になった手芸用紐は、連結強度(溶着密度あるいは溶着強度)が電気コード等に比べて格段に低くなり、各線状体に、あるいは所望の複数の線状体に小さな力で切り離す(引き裂く)ことが可能となる。そして、この手芸用紐は、各線状体の表面に木粉の一部が位置しているため、表面に凹凸があって自然の素材を使用したのと同じ風合いを醸し出す。さらに、上述の酢酸ビニール及び合成ゴムによって各線状体に可撓性(弾性変形性)が増加して、編み上がった籠に多少形の異なる器を入れても、その器の形状に籠が変形する。また、一度使用した手芸用紐を解いて編み直しても、塑性変形していないため、何ら新しい手芸用紐を使用した場合と同様に編むことができる。ところで、上記酢酸ビニールは雰囲気温度(気温)に合わせて、即ち雰囲気温度が低い冬季には5〜10%程度増量することが、手芸用紐に所定の柔軟性を維持する上で好ましい。そして、炭酸カルシュームは、線状体の剛性を手芸用紐として適度な剛性にするため、一般に夏は多く冬は少なめに、つまり、夏は上記重量割合で「8」程度に冬季は同「4」程度にするのが好ましく、春,秋はそのときの気温に合わせて上記4〜8の中間程度の重量割合とするのが好ましい。
【0009】また、上記請求項1記載の発明において、重量割合でワックスと高発泡剤を微量(全体の重量に対して1〜3%程度)添加すると、前者は木粉に重みを付けるとともに熱可塑性樹脂との分離を防止し、後者は手芸用紐にソフトな感覚を付与し比重を軽くする上で好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一つの実施の形態について、説明する。
【0011】つまり、一つの実施の形態としては、ポリプロピレンとポリエチレンのいずれかと,酢酸ビニールを各々重量割合で略10に対して、合成ゴム(ポリブタジエン,ブダジエンスチレンゴム,ブタジエンアクリロニトリルゴム,ポリクロロプレン,ポリイソプレン,クロルスルホン化ポリエチレン,ポリイソプチレン,イソプチレンイソプレンゴム,アクリルゴム,多硫化系合成ゴム,ウレタンゴム,フッ素ゴム,シリコーンゴムが使用可能で、例えば、日本合成ゴム株式会社の商品名「JSR NV70」),ホットメルト型接着剤(例えば、コニシ株式会社の商品名「NH153」)を各々重量割合で略3、炭酸カルシュウム及びタルク(滑石)を各々重量割合で略4〜8、粒度が概ね70〜180メッシュの木粉を重量割合で略1〜3程度を粉体混合装置(ミキサー)で混合し、各原料を均等に混合したものを、先端にスクリュー押出機構を具備した加圧混練装置の投入口に投入して、略110〜185℃程度の加熱下で混練りする。そして、この加圧混練装置のスクリューの先端方に近接して並設した複数の押出口を有するノズルの各押出口から押し出すと、ノズル外部で温度が略110〜130℃となり、各押出口から押し出された線状体が側部で互いに溶着して、ベルト状に構成されたものが冷却される。そして、このようにベルト状になった手芸用紐は、そのままの状態で使用する際及び各線状体に切り離して使用するのに、適度な強さの溶着を得ることができる。
【0012】さらに、上記粉体混合装置(ミキサー)内に、各材料の合計値が100Kgとしたとき10〜50g程度の粉状又は粒状のワックス(例えば、ヘキストジャパン株式会社の商品名「E」)を、添加することが木粉に重みを付け熱可塑性樹脂との分離を防止する上で好ましい。また、上記粉体混合装置(ミキサー)内に、各材料の合計値が100Kgとしたとき重量割合で30〜50g程度の高発泡剤(例えば、永和化成株式会社の商品名「163」)を添加することが手芸用紐にソフトな感覚を付与し比重を軽くする上で好ましい。さらに、上記粉体混合装置(ミキサー)内に、各材料の合計値が100Kgとしたとき10〜30g程度の香料(例えば、野村香料株式会社の商品名「若葉の香り」)とこの香料を包含するための多孔質の合成ゼオライト(例えば、東ソー株式会社の商品名「ゼオラム」)を同じく200〜300g程度添加すると、酢酸ビニールの臭みを除去することができる。また、上記合成ゼオライトに代えて無水シリカを使用することもでき、無水シリカを使用する場合には多孔性の程度が低いため合成ゼオライトの場合に比べて重量割合で2〜3倍の量の無水シリカが必要となる。
【0013】また、上記ポリプロピレンに代えてポリエチレンを使用してもく、その場合、ポリプロピレンをポリエチレンに代えて他は、ポリプロピレンと同様に実施できる。
【0014】
【実施例】以下、本願発明にかかる手芸用紐を図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】図1は本発明にかかるベルト状になった手芸用紐を示す斜視図、図2は横断面形状を示す図1のI−I矢視断面図、図3は図1に示すベルト状の手芸用紐を引き裂く状態を示す斜視図である。
【0016】これらの図において、1は手芸用紐で、この手芸用紐1は、公知のスクリュー押出機構と加熱装置を具備した加圧混練装置を用いて押し出される。この加圧混練装置のスクリューの先端方には、横方向に複数個の押出口が並設されたノズル(ダイ)が取着されている。そして、本実施例では、各押出口は相互に1〜3mm程度離間して並設され、押出口の直径、つまり穴径が大きい程上記離間している距離(離間距離という)が大きくなっている。具体的には、穴径が1mmの場合には離間距離が1mm程度で、穴径が2mmの場合には離間距離は1.2mm程度で、穴径が3mmの場合には離間距離が1.5mm程度となっている。
【0017】そして、上記加圧混練装置の原料投入ホッパーには、ミキサーで各原料が均等に分布するよう各重量割合で混合された以下のような原料が投入される。即ち、ポリプロピレン(あるいはこれに代えてポリエチレンであってもよい)が重量割合で略「10」、合成ゴム(日本合成ゴム株式会社の商品名「JSR NV70」)が同じく略「3」、ホットメルト型接着剤(コニシ株式会社の商品名「NH153」)が同じく略「3」、炭酸カルシュウムが同じく略「4」〜「8」、タルクが同じく略「4」〜「8」、粒度が概ね70〜180メッシュの木粉が同じく略「1」〜「3」、上記各原料の合計値100Kgに対して、ワックス(ヘキストジャパン株式会社の商品名「E」)を略20g、高発泡剤(永和化成株式会社の商品名「163」)を略20g、合成ゼオライト(東ソー株式会社の商品名「ゼオラム」)を略200g、香料(野村香料株式会社の商品名「若葉の香り」)を種類に応じて10〜30g程度添加したものを、さらに着色する場合には着色剤を必要量だけ添加して、ミキサーで均等に各原料が分布するよう混合(攪拌)する。
【0018】そして、上記各原料が均等に分布するよう混合したものを、上述のように加圧混練装置の原料投入ホッパーに供給する。
【0019】そして、上記各原料が原料投入ホッパーから供給された加圧混練装置では、上記原料が加熱・加圧下で混練りされて略135〜185℃程度の練状物(ゲル化されたもの)物となり、加圧混練装置の先端側に設けられたスクリュー押出機構からノズル側に加圧供給され、ノズルの押出口から線状体として略10〜25m/分(重量で表すと500g〜1,250g/分)の速度で押し出される。この際、ノズルには複数の押出口が横方向に並設されているため、上記線状体は横方向に近接して並んで押し出されるが、押出口の後流側で各線状体は膨張してその側部が接触した状態となり、この際温度が略110〜130℃程度(110℃以下では充分に溶着しないとともに木粉が表面に現れず、130℃以上では良好な線状体が形成できない)であり、上記原料に酢酸ビニールとホットメルト型接着剤が混入されているため、各線状体は当接した各側部で溶着してベルト状になる。
【0020】そして、このように押し出された各線状体の表面には、木粉の一部が現れるため、図1に図示するような凹凸が形成され、天然の材料の如き風合いを醸し出す。
【0021】そして、このようにベルト状になったものは、水槽内を通過することによって冷却され、ベルト状の形態で固められる。
【0022】このように製造された手芸用紐1は、溶着された部分に木粉が位置しているため、図3に図示するように、各線状体1A間が、女性あるいは子供が小さな力を加えることによって簡単に引き裂くことができる程度の強さとなり、しかも酢酸ビニールとホットメルト型接着剤が混入されているため、引き裂き動作を加えない状態ではベルト状態を維持できる程度に溶着された状態となる。例えば、図6に図示するような花籠を編む場合には、図3に図示するようにベルト状のうち2本一組になるように引き裂き、この2本一組になったものを、図4に図示するように略Uの字状に湾曲させて籠の芯材とする。そして、6本の線状体からなる手芸用紐1を図3に示す場合ど同様に1本の線状体に引き裂き、この1本の線状体を使用して、図5に図示する如く周知の籠を編む手法に則って編めば、図6に図示するような籠が作れる。この際、この手芸用紐1は、自然の籐あるは竹等の材料に比べて、剛性がやや低く且つ弾性変形量が大きいため、籐あるいは竹を材料とする場合に比べて子供でも簡単に編むことができる。
【0023】そして、仮に、籠を作る際に途中で失敗しても、解いて所望の形状(例えば、曲率の異なるUの字状、あるいは直線)にすることができ、解いた材料を使用して編み直すこともできる。
【0024】また、この手芸用紐は、1本あるいは2本の線状体に引き裂き、これを適当な長さに切断等し、引き裂いた部分に瞬間接着剤を塗布すれば、ログハウスのような建物あるいは動物等の模型を作ることができる。
【0025】ところで、上記混合する原料のうち、より湾曲し易くするには炭酸カルシュームの量を少なくすればよい。また、引張強度を高くするには、上記合成ゴムの量を増やせばよい。
【0026】
【発明の効果】しかして、本願発明にかかる手芸用紐によれば、籐や竹等に比べて編み易く且つ一度編んだものを解いて所望のものに簡単に編み直すことができる。
【0027】また、従来の電気コードのように高価にならず且つ引き裂き易く、しかも外観形状に凹凸があって自然の風合いが生じる。
【出願人】 【識別番号】595109306
【氏名又は名称】石田 保
【出願日】 平成7年(1995)7月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】角田 嘉宏
【公開番号】 特開平9−41237
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平7−193106