トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り




【発明の名称】 ランダム異捲縮糸
【発明者】 【氏名】久保田 道雄

【氏名】近藤 義和

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マルチフィラメント中の各フィラメントが、(1)収縮性の大なるポリエステル(A成分)と収縮性の小なるポリエステル(B成分)よりなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、フィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種よりなり、該3種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメント中にクリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが40〜60%10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜30%20個/インチ以上のフィラメントが20〜30%であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とするランダム異捲縮糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランダム異捲縮糸に関する。更に詳しくは、互いに異なる捲縮波形を有するフィラメントを混繊、合糸過程を施すことなく、同一マルチフィラメント中に混在させた天然繊維ライクなふくらみ感、嵩高性と共に、ハリ、コシ感を有するランダム異捲縮糸に関する。
【0002】
【従来の技術】天然繊維、例えばウ−ル、シルク、綿などは、合成繊維に比較して個々の単繊維の繊度、形状、クリンプ等の構造上或いは物性上のバラツキが大きいという特徴を有している。このような構造、物性のバラツキのため、合成繊維製品に比べふくらみが大きく、風合いが良好である。
【0003】合成繊維でもこのようなふくらみを発現させるために、収縮率の異なる2本以上の糸を混繊し、弛緩熱処理したものが挙げられる。かかる加工法では、フィラメント間に繊度差をつけて収縮特性の差を付与したものであるが、これは同じ捲縮波形のフィラメントの集合である為に、ふくらみ感は発現するが、未だ尚フラットで単調な感じを与えるものである。
【0004】又、固有粘度の違う2種のポリエステル重合体を貼合せてサイド・バイ・サイド型にした複合繊維糸条は広く知られている。このようなポリエステル糸条では捲縮は発現するが、2種の成分の複合比率が全ての糸条で実質的に同一であり、未尚フラットで単調な感じしかなく、天然繊維ライクな風合いを発現できない。
【0005】このようなフラット感を改善するために、捲縮波形の異なる2本以上の糸を別々に製造し、混繊する方法もある。例えば、特公昭63−30421号公報には、捲縮率の異なるポリエステル系フィラメントが混繊された捲縮糸を製造する際、ポリマ−成分間の固有粘度差のあるサイド・バイ・サイド型複合繊維を形成させ、互いの複合比が異なる実質的に同一繊度のフィラメントを加熱流体押込ノズルにより混繊、捲縮加工する異捲縮混繊糸が開示されている。しかしながら、この方法では別々に得られた糸を混繊することによる製造工程の複雑さ或いは煩雑さが生じるばかりか、この方法で得られたフィラメントも捲縮波形の変化が少なく、充分なふくらみ感を与えることができない。
【0006】一方、特開平2−221414号公報および特開平2−221415号公報には、2種のポリエステル重合体成分A、Bからなる貼り合わせ型フィラメント群と、重合体成分A及び重合体成分Bが各々100%で構成される捲縮のないフィラメント群とが混在してなる複合繊維糸条が開示されている。この方法は、2種の重合体成分A、Bの複合比率を変えるために、紡糸口金内に設けた各種孔径の異なった前板を有する紡糸口金から紡出するものである。孔径を変えることによりA、B両成分の複合比率を制御することができるし、A、B成分のみの部分による織編物のハリ、コシ感は発現する。しかしながら、該公報の発明に基づいて得られた織編物の風合いは、従来のサイド・バイ・サイド型の糸の混繊糸等からのものとさほど変わらない。
【0007】又、特開平4−136209号公報にも、口金内で2種のポリマ−の流量を制御して複合比率を変える方法が開示されている。この方法も口金内のポリマ−の流量を、孔径を変えて複合比率を特定の値に制御するものである。しかしながら、該公報は、口金により複合比率を変える方法についてのものであるが、得られる織編物の風合いは際立って良好とは言えない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、従来技術の欠点を改善し、互いに異なった捲縮波形を有するフィラメントをマルチフィラメント中に混在させ、天然繊維ライクなふくらみ感、嵩高性や、得られる織編物がハリ、コシ感を有するランダム異捲縮糸を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討を行なった結果、本発明を完成した。まず、(1)捲縮を発現させるために、収縮性の大きいポリエステル(A成分)と収縮性の小さいポリエステル(B成分)をサイド・バイ・サイド型に接合させ、A成分とB成分の収縮特性の違いを利用して捲縮性能を発現させた。しかも、各フィラメントにおけるA成分とB成分の複合比率が互いに異なるフィラメントの集合体とすることにより、従来にない充分なふくらみ感、嵩高性を付与することができた。
【0010】次に、(2)A成分のみ、B成分のみの各フィラメントを混在させることにより更に捲縮波形の変化を大きくした。この方法により捲縮波形の異なる糸を混繊或いは合糸することなく、マルチフィラメント中に混在することができた。
【0011】更に、(3)A成分とB成分の複合比率を、捲縮により発現するクリンプの数、及び沸水収縮率の最大値と最小値の差(以下ΔShmax と記す。)が所定の値になるように制御した。即ち、クリンプの数と得られる織編物の風合い、ハリ、コシ等の相関性から最もよいクリンプの数になるように、A成分とB成分の複合比率を決定した。即ち、クリンプの数が多いフィラメント、クリンプの数が中程度のフィラメント、クリンプの数が少ないか、或いはクリンプが生じないフィラメントが所定の割合で混在するように、A成分とB成分の複合比率を制御した。この方法によって、天然繊維に限りなく近いふくらみ感、嵩高性を有し、かつハリ、コシ感を与える織編物の作成が可能となった。
【0012】即ち、本発明は、マルチフィラメント中の各フィラメントが、(1)収縮性の大なるポリエステル(A成分)と収縮性の小なるポリエステル(B成分)よりなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメント中にクリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが40〜60%10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜30%20個/インチ以上のフィラメントが20〜30%であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とするランダム異捲縮糸である。
【発明の実施の形態】
【0013】本発明で言うランダム異捲縮糸とは、単一フィラメントの横断面においてA成分とB成分のサイド・バイ・サイド型の接合形態を有する複合フィラメント、及びA成分のみのフィラメント、及びB成分のみのフィラメントの計3種が混在しているマルチフィラメントを言う。サイド・バイ・サイド型のフィラメントの任意の横断面における接合形態は、該フィラメントの長手方向に沿って一様に連続していることが好ましいが、その一部に非連続構造を含んでいてもよい。一様に連続した構造を有する糸は、紡糸、延伸操業性が良好な事や製品となってから欠点を出さないという点から好ましい。ここで、接合形態とは、A成分とB成分の貼り合わせの形態を言う。
【0014】前記複合フィラメントのサイド・バイ・サイド型の接合形態は、本発明の目的、効果を損なわない限り、A成分とB成分がどのように接合されもよい。又、該複合フィラメントの断面形状は、A成分とB成分がサイド・バイ・サイド型の接合形態を形成でき、かつ、本発明の目的とする捲縮性能が発現するものであれば、丸断面、三角断面、Y断面、U断面、偏平断面等の公知の形状のいずれでもよい。又、本発明のランダム異綣縮糸における前記A成分、或いはB成分のみからなるフィラメントもその断面形状はこれら各種の形状を取ることができる。
【0015】本発明で使用するA成分は、熱収縮特性の大きなポリエステルである必要があり、詳しくはフィラメントの沸収値が10%以上、好ましくは15%以上、更に好ましくは20%以上であるポリエステルを言う。A成分としては、通常のポリエステル、例えばテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する際に、第三成分として一般式【化1】

(式中、Rは水素原子或いはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基等のアルキル基を記す。)で表されるイソフタル酸或いはその脂肪族エステル類、或いは一般式【化2】

(式中、Xは、水素原子或いはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基等のアルキル基を、l、mは整数を、Bは水素原子又はメチル基を記す。)で表されるビスフェノ−ルA骨格を有する化合物、或いは一般式【化3】

(式中、Yは、水素原子或いはメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、t−ブチル基等のアルキル基を、l、mは整数を、Bは水素原子又はメチル基を記す。)で表されるビスフェノ−ルS骨格を有する化合物を共重合せしめて得られる。
【0016】A成分に共重合せしめる第三成分の添加配合量は、3.0〜30重量%、好ましくは5.0〜20重量%である。3.0重量%より少ないと、充分な収縮性能が得られず、目的とする嵩高性、ふくらみ感を発現できない。又、30重量%より多いと、ポリマ−の力学的物性或いは熱的物性が低下するばかりか、収縮性が高すぎるため粗硬感が増したり、共重合成分を添加したポリエステルが濃染となりすぎ、織編物の均一染色が劣る。
【0017】本発明で使用するB成分は、熱収縮特性の小さなポリエステルである必要があり、詳しくはフィラメントの沸収値が10%未満、好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下であるポリエステルを言う。B成分のポリエステルとしては、通常のポリエステル、例えばテレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分と、エチレングリコ−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する際、第三成分を添加することなくそのまま用いるか、或いはA成分を製造する際、A成分に共重合させる化合物を、A成分における添加配合量よりも3.0重量%以上少なくした共重合ポリエステルが挙げられる。
【0018】A成分、B成分共に第三成分を共重合させたポリエステルを使用する場合、A成分とB成分の添加配合量の差が3.0重量%より小さいと、A成分、B成分の収縮特性の違いによる充分な捲縮が得られず、目的とする嵩高性が発現できない。
【0019】かかるA成分、B成分のポリエステルの製造時或いは成形加工時に、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制電剤及び有機アミン、有機カルボン酸アミドなどのエ−テル結合抑制剤等、必要に応じ種々使用してもよい。
【0020】本発明のランダム異捲縮糸の一つの成分である複合繊維からなるフィラメントは、A成分とB成分をサイド・バイ・サイド型に接合させ、A成分とB成分の収縮特性の違いを利用して捲縮を発現させるものである。この成分中に更にA成分のみからなるフィラメント、或いはB成分のみからなるフィラメントを混在させて、本発明の目的を達成させた。
【0021】本発明では、A成分とB成分の複合比率(A成分/B成分)は、マルチフィラメント中にクリンプの数が、10個/インチ未満のフィラメントが40〜60%10以上20個未満/インチのフィラメントが20〜30%20個/インチ以上のフィラメントが20〜30%であり、かつマルチフィラメントの熱水収縮率のΔShmax が10〜30%となるように制御する。即ち、クリンプの数、熱水収縮特性を制御するために複合比率を制御させることにより、限りなく天然繊維に近いふくらみ感、嵩高性及びハリ、コシ感を与えることができる。ここで、複合比率とは、繊維の横断面でA成分とB成分のポリマーが占有する割合で重量%で表す。
【0022】マルチフィラメント中にクリンプの数が、10個/インチ未満のフィラメントは、マルチフィラメント中で小さな捲縮性能或いはフクラミ感や表面毛羽感を発現させるものである。この割合が60%を越えると、嵩高性を示す残りのフィラメントが少なすぎ、良好な天然繊維ライクな風合いを発現できない。又、40%より少ないと、織編物のハリ、コシ感のないものが得られる。
【0023】マルチフィラメント中にクリンプの数が、10以上20個/インチ未満のフィラメントは、マルチフィラメント中で最も重要な働きをするもので、適度なふくらみ、ハリ、コシ感及び毛羽感等を与える。この割合が30%を越えると、嵩高性を示すフィラメント又は、小さな捲縮性能或いはハリ、コシ感を与えるフィラメントの量を適度なものにすることができず、良好な天然繊維ライクな風合いを発現できない。又、20%より少ないと、中程度の捲縮性能を示すフィラメントが少なく、捲縮波形の変化が小さいものとなる。
【0024】マルチフィラメント中にクリンプの数が、20個/インチ以上のフィラメントは、マルチフィラメント中で大きな捲縮性能を発現させるものである。この割合が30%を越えると、嵩高性を示すフィラメントが多くなりすぎ、粗硬感が増し好ましくない。又、20%より少ないと、嵩高性を示すフィラメントが少なすぎ、良好な天然繊維ライクな風合いを発現できない。
【0025】クリンプの数を変化させるためには、フィラメントを構成するA成分とB成分の比率を制御する方法や、延伸条件を変えるなどして行うことができる。例えば、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントは、A成分/B成分が通常好ましくは0/10〜1/2、又は5/1〜10/0、10以上20個/インチ未満のフィラメントは、A成分/B成分が通常好ましくは1/2〜1/1、又は3/1〜5/1、20個/インチ以上のフィラメントは、A成分/B成分が通常好ましくは1/1〜3/1になるように制御する。延伸条件は、ローラーの温度は通常80〜84℃であり、プレートヒーターの温度は通常150℃未満、好ましくは100〜120℃である。プレートヒーターの温度が150℃以上の場合、A成分とB成分の複合比率を制御しても、目的とする良好な捲縮性能が得られない。
【0026】A成分、B成分の複合比率を変える方法は、例えば、あらかじめ口金内でのポリマーの流路をA成分、B成分の複合比率に対応するように規制する方法などが挙げられる。まず、A成分については、A成分のポリマーの流路を、A成分のみから構成されるポリマーと、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構成するポリマーに分岐する。B成分についても同様で、B成分のポリマーの流路を、B成分のみから構成されるポリマーと、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構成するポリマーに分岐する。A成分又はB成分のみから構成されるポリマーについては、そのまま口金吐出孔から吐出される。一方、A成分とB成分のサイド・バイ・サイド型を構成するポリマーについては、上記のごとく分岐された後、A成分/B成分のフィラメント間分布の複合比率に合わせて、2成分の流路幅を制御した流路会合を経た後、口金吐出孔より吐出される。
【0027】本発明のランダム異捲縮糸は、該フィラメント間及び各フィラメントの長手方向に沿って、実質的に同一繊度を有する必要がある。繊度の違いがあると、該フィラメント間のA成分/B成分の違いによる異なる捲縮挙動を充分に発現させることができない。又、繊度ムラがあると、紡糸、延伸時の操業性が著しく低下する。ここで、捲縮波形とは、糸のA成分とB成分の収縮特性の差異により生じた捲縮の出方を平面的に波形に模した曲線として表したものである。A成分とB成分の複合比率が実質的に同一である場合の捲縮波形とA成分とB成分の複合比率が各フィラメントでそれぞれ異なる場合の捲縮波形をそれぞれ図1、図2に記す。
【0028】熱水収縮率のΔShmax は、同一条件で溶融紡糸、延伸した糸の沸水収縮率の最大値と最小値の差を示す。具体的には、例えば紡糸温度285℃、紡糸速度1000m/分で巻き取った未延伸糸を、次いで、延伸倍率3.5倍、延伸速度730m/分で84℃のロ−ラ−ヒ−タ−で延伸し、120℃のプレ−トヒ−タ−でセットした延伸糸について、任意の点から1mの長さの試料を10本採取し、各本について荷重0.12gをつけてあらかじめ糸の原長を測定しておき、次いで、100℃の熱水中に15分間浸して処理し、熱水中から取り出し、風乾後処理後の糸長を測定し、【数1】

より算出した全10ケの沸収値の最大値と最小値の差を言う。
【0029】以上のごとくして得られた延伸糸のΔShmax は10〜30%である。ΔShmax が10%より小さいと、織編物とした場合充分な嵩高性が発現できず、30%より大きいと、収縮性能が高すぎるため粗硬感が増し好ましくない。
【0030】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明のランダム異捲縮糸は、各フィラメントの繊度が実質的に同一であり、単一フィラメントにおけるA成分とB成分の収縮特性の違いを利用して捲縮を発現させたものである。又、実質的に同一繊度のフィラメント間におけるA成分とB成分の複合比率を任意に変え、かつA成分のみ、B成分のみのフィラメントを混在させることにより、異なる捲縮波形を有するフィラメントの集合体とした。そのため織編物とした場合、捲縮波形が大きいフィラメントは捲縮により嵩高性を発現せしめ、捲縮波形が小さいフィラメント或いは実質的に捲縮波形を有しないフィラメントはハリ、コシ感を付与せしめることとなる。
【0031】従来のように捲縮波形の異なる糸を、紡糸後に混繊、合糸することなく、又、複雑な口金を使用することなく、マルチフィラメント中に異なる捲縮波形を有するフィラメントを混在させることができる。本発明のランダム異捲縮糸は、工業生産性、経済的に非常に優れたものであり、衣料用途としても最適なものである。
【0032】本発明の最善実施態様は、(1)マルチフィラメント中の各フィラメントが、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳香族ポリエステル(A成分)と、A成分のポリエステルを公知の方法で製造する際、第三成分として一般式【化4】

で表されるイソフタル酸、或いはそのメチルエステル体、或いは一般式【化5】

で表されるビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加体、或いは一般式【化6】

で表されるビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加体より任意に選択された化合物の1種を5〜10重量%共重合せしめた芳香族ポリエステル(B成分)よりなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメント中にクリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが50%10以上20個/インチ未満のフィラメントが30%20個/インチ以上のフィラメントが20%であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とするランダム異捲縮糸である。
【0033】(2)マルチフィラメント中の各フィラメントが、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する際、第三成分として一般式【化7】

で表されるイソフタル酸、或いはそのメチルエステル体、或いは一般式【化8】

で表されるビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加体、或いは一般式【化9】

で表されるビスフェノ−ルSのエチレンオキサイド付加体より任意に選択された化合物の1種を8.0〜15重量%共重合せしめた芳香族ポリエステル(A成分)と、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸成分とエチレングリコ−ル又は1,4−ブタンジオ−ルを主成分とするグリコ−ル成分からなる芳香族ポリエステルを公知の方法で製造する際、第三成分として、A成分に添加配合する第三成分と同種の化合物の中から任意に選択された化合物の1種を5〜10重量%共重合せしめた芳香族ポリエステル(B成分)よりなるサイド・バイ・サイド型の複合形態を有し、該フィラメント間のA成分とB成分の複合比率が異なる複合繊維からなるフィラメント、及び(2)A成分のみからなるフィラメント、及び(3)B成分のみからなるフィラメントの3種が実質的に同一繊度で混在しており、マルチフィラメント中にクリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが50%10以上20個/インチ未満のフィラメントが30%20個/インチ以上のフィラメントが20%であり、かつ、マルチフィラメントの熱水収縮率の最大値と最小値の差が10〜30%であることを特徴とするランダム異捲縮糸である。
【0034】
【実施例】以下実施例により本発明を具体的に説明する。実施例中「部」とあるのはことわりのない限り「重量部」を意味し、「%」とあるのはことわりのない限り「重量%」を意味する。固有粘度〔η〕は、フェノール/テトラクロロエタン=6/4の混合溶剤中20℃で常法により求めた。融点は理学電気社製示差走査熱量計(以下DSCと記す)の吸熱ピ−クより求めた。又、走査電子顕微鏡(以下SEMと記す。)測定は、明石製作所社製明石走査電子顕微鏡にて測定した。又、捲縮の数は、SEM観察或いは肉眼によりある一定長における捲縮の数を求め、その値を1インチ当たりの数に直したものを記載した。
【0035】実施例1(a)A成分のポリエステルの重合工程ジメチルテレフタレ−ト1500部、エチレングリコ−ル1100部、イソフタル酸90.0部(ジメチルテレフタレ−トに対して7.0モル%)及び酢酸カルシウム1.2部とよりなる混合物を155〜220℃で130分間加熱してエステル交換反応を行った。その後、三酸化アンチモン0.6部、亜リン酸トリメチル0.5部、二酸化チタン7.5部を添加し、系内の温度を30分間要して275℃に,系内の圧力を45分間要して減じて0.2mmHgとして、このまま60分間反応を続けた。このポリマ−を索状に押出し切断して2.5mmφ×3mmの大きさのペレットとした後、水分率0.005%まで乾燥した。得られたポリマ−の粘度は〔η〕=0.63で、融点は256℃であった。
【0036】(b)B成分のポリエステルの重合工程ジメチルテレフタレ−ト388部、エチレングリコ−ル248部、ジメチルテレフタレ−トに対して0.07%の酢酸亜鉛、0.02%のシュウ酸チタニル及び0.01%の三酸化アンチモンからなる混合物を150〜230℃で120分間加熱しエステル交換反応を行った。その後、系内の温度を30分間要して275℃に,系内の圧力を45分間要して減じて0.2mmHgとして、このまま60分間反応を続け、ポリマ−を索状に押出し切断して2.5mmφ×3mmの大きさのペレットとした後、水分量0.005%まで乾燥した。得られたポリマ−の粘度は〔η〕=0.65で、融点は263℃であった。
【0037】(c)工程aで得られたポリエステル(A成分)と工程bで得られたポリエステル(B成分)をA成分とB成分の接合比率が1:1になるように、それぞれ別々のギアポンプで計量してA成分/B成分が10/0、2/1、1/1、1/20/10となるように、口金内のポリマーの流路を制御し、かつそれそれのホール数がA成分/B成分が10/0、0/10、1/2のホールが合わせて50%、A成分/B成分が1/1のホールが30%、A成分/B成分が2/1のホールが20%となるように設計された口金を用いて、紡糸温度285℃、紡糸速度1000m/分にて溶融紡糸を行った。その後、延伸倍率3.5倍、延伸速度730m/分で84℃のロ−ラ−ヒ−タ−で延伸し、120℃のプレ−トヒ−タ−でセットし、50デニール(以下dと記す)/24フィラメント(以下fと記す)のマルチフィラメントを得た。
【0038】得られたマルチフィラメントの画像解析より、該マルチフィラメント中にA成分/B成分が10/0、0/10、1/2のホールが合わせて52%、A成分/B成分が1/1のホールが28%、A成分/B成分が2/1のホールが20%存在していることが判明した。
【0039】前述の方法により熱水処理を施したマルチフィラメントを風乾した後、SEM測定により、各フィラメントのクリンプの数を算出した。SEM測定の結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが52%、10以上20個/インチ未満のフィラメントが28%、20個/インチ以上のフィラメントが20%存在していた。
【0040】実施例2イソフタル酸の添加配合量を194.4部(ジメチルテレフタレ−トに対して0.15モル%)とする以外、実施例1(a)記載の工程で製造したものをA成分とし、又、イソフタル酸の添加配合量を130.0部(ジメチルテレフタレ−トに対して0.10モル%)とする以外、実施例1(a)記載の工程で製造したものをB成分とする。この2種のポリエステルを使用して、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが49%、10以上20個/インチ未満のフィラメントが27%、20個/インチ以上のフィラメントが24%存在していた。
【0041】比較例110個/インチ未満のフィラメントが20%、10以上20個未満/インチのフィラメントが30%、20個/インチ以上のフィラメントが50%となるように変更する以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが18%、10以上20個/インチ未満のフィラメントが31%、20個/インチ以上のフィラメントが51%存在していた。
【0042】比較例210個/インチ未満のフィラメントが70%、10以上20個未満/インチのフィラメントが20%、20個/インチ以上のフィラメントが10%となるように変更する以外、実施例1記載の工程で実施した。SEM測定の結果、該マルチフィラメント中に、クリンプの数が10個/インチ未満のフィラメントが68%、10以上20個/インチ未満のフィラメントが22%、20個/インチ以上のフィラメントが10%存在していた。
【0043】得られた延伸糸を平織りにし、熟練者の手触りで風合い評価を行った。評価は、ふくらみ感、ソフト感、ハリ、コシ感について行い、特に優れているものを◎、優れているものを○、やや劣っているものを△、劣っているものを×と記した。又、総合評価についても同様な評価で行った。
【0044】
【表1】

【出願人】 【識別番号】000000952
【氏名又は名称】鐘紡株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月24日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−41234
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平7−209262