Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
交互撚複合糸およびその製造方法ならびに布帛 - 特開平9−31783 | j-tokkyo
トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り




【発明の名称】 交互撚複合糸およびその製造方法ならびに布帛
【発明者】 【氏名】甲斐 二男子

【氏名】根岸 孝雄

【目的】
【構成】 少なくとも2本の構成糸からなる複合糸であって、そのうち少なくとも2本の構成糸はS撚部分とZ撚部分とが無撚部分を介して交互に配列してなり、且つ、該複合糸の長さ方向に沿って互いに逆方向の交互撚を有する構成糸を含んでなることを特徴とする交互撚複合糸および少なくとも2本の構成糸を用い、そのうち少なくとも2本の構成糸各々に互いに逆方向となる撚方向を含めて交互撚を付与した後引き揃え、次いで該引き揃え状態で交絡を付与することを特徴とする交互撚複合糸の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】少なくとも2本の構成糸からなる複合糸であって、そのうち少なくとも2本の構成糸はS撚部分とZ撚部分とが無撚部分を介して交互に配列してなり、且つ、該複合糸の長さ方向に沿って互いに逆方向の交互撚を有する構成糸を含んでなることを特徴とする交互撚複合糸。
【請求項2】糸の長さ方向に沿って、交互撚の平均周期よりも短い平均周期で構成糸相互が交絡してなることを特徴とする請求項1記載の交互撚複合糸。
【請求項3】互いに繊度の異なる構成糸を含んでなることを特徴とする請求項1または2記載の交互撚複合糸。
【請求項4】互いに色または染着性の異なる構成糸を含んでなることを特徴とする請求項1、2または3記載の交互撚複合糸。
【請求項5】少なくとも1本の構成糸が色または染着性の異なる繊維を含んでなることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の交互撚複合糸。
【請求項6】少なくとも2本の構成糸を用い、そのうち少なくとも2本の構成糸各々に互いに逆方向となる撚方向を含めて交互撚を付与した後引き揃え、次いで該引き揃え状態で交絡を付与することを特徴とする交互撚複合糸の製造方法。
【請求項7】流体噴射旋回流域に構成糸を通過させて交互撚を付与することを特徴とする請求項6記載の交互撚複合糸の製造方法。
【請求項8】交絡付与が流体噴射交絡付与であることを特徴とする請求項6または7記載の交互撚複合糸の製造方法。
【請求項9】請求項1、2、3、4または5記載の交互撚複合糸を少なくとも一部に用いた布帛。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は撚を有する糸条を複数本引き揃えた複合糸に関する。さらに詳しくは、糸の長さ方向に沿ってS撚部分とZ撚部分とを交互に有する糸条複数本が特異な状態で引き揃えられてなる交互撚複合糸とその製造方法およびそれからなる布帛に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、特開平2−26933号公報に開示されているように糸軸に沿ってS撚、Z撚の各撚が交互に存在する交互撚糸はよく知られている。
【0003】交互撚糸は布帛にて撚糸の風合とその撚構造の変化に起因する糸斑が織り成す独特の模様を呈し、その価値は高く評価されるものがある。しかし、撚構造の変化だけで布帛に特徴を付与するにはおのずと限界があり、さらなる意匠性の付与による多様化への対応が望まれている。
【0004】また、色または染着性の異なる複数本の糸条を撚り合わせて杢糸を製造する公知の技術がある。しかし、実撚の形成においては交互撚糸の形成に比較して撚掛け効率が低いためにコストが高くなり、さらに単調な撚パターン繰り返しによる杢ながれの問題が発生しやすい。
【0005】また、杢調布帛を製造する他の技術として、色または染着性の異なる複数本の糸条に、圧力流体などを利用して間欠交絡を付与した糸を用いる技術もある。しかし、この技術は構成繊維相互が均一に混ざりすぎるために杢が細かくなりやすく、杢よりむしろ中間色に近い色合いとなる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の従来技術の欠陥に鑑み、有撚部と無撚部とが交互に配列した複数本の構成糸からなる極めて変化に富んだ複合糸を提供せんとするものであり、またかかる複合糸を安定して製造する方法およびかかる複合糸からなる布帛を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の交互撚複合糸は前記した課題を解決するために、以下の構成を有する。
【0008】すなわち、少なくとも2本の構成糸からなる複合糸であって、そのうち少なくとも2本の構成糸はS撚部分とZ撚部分とが無撚部分を介して交互に配列してなり、且つ、該複合糸の長さ方向に沿って互いに逆方向の交互撚を有する構成糸を含んでなることを特徴とする交互撚複合糸である。
【0009】また、本発明の交互撚複合糸の製造方法は、以下の構成を有する。
【0010】すなわち、少なくとも2本の構成糸を用い、そのうち少なくとも2本の構成糸各々に互いに逆方向となる撚方向を含めて交互撚を付与した後引き揃え、次いで該引き揃え状態で交絡を付与することを特徴とする交互撚複合糸の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の交互撚複合糸は少なくとも2本の構成糸からなるものである。構成糸が2本に満たないと形態変化に富んだ構造の糸を得ることができない問題がある。
【0012】素材はナイロン、ポリエステル、アクリロニトリル等の熱可塑性合成繊維およびその共重合体、レーヨン等の再生繊維、絹等の天然繊維のいずれでもよいが、前記熱可塑性合成繊維のうち、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステルを通常の方法で溶融紡糸してなる延伸糸およびその嵩高糸を用いることができる。また、本発明の交互撚複合糸は前記延伸糸およびその嵩高糸のいずれかの少なくとも2本を構成糸とする複合糸であって、構成糸の特徴、特性、例えば、素材差、形態差、染着性差、収縮差、断面形態差、光沢差等によってなんら限定されるものではないが、多様な形態および杢感の表現の観点から、互いに繊度の異なる構成糸、あるいは互いに色または染着性の異なる構成糸、あるいは、少なくとも1本の構成糸が色または染着性の異なる繊維を含むものは特に好ましい。
【0013】また、本発明の複合糸においては、少なくとも2本の構成糸がS撚部分とZ撚部分とが無撚部分を介して交互に配列してなり、且つ、複合糸の長さ方向に沿って互いに逆方向の交互撚を有する構成糸を含むものである。このように各々の構成糸が無撚部分を介してS撚部分とZ撚部分とが交互に配列することによって、撚方向の変化に加えて双方の構成糸の特徴が発揮されやすく、更に、特に本発明の複合糸の長さ方向に沿って互いに逆方向の交互撚を有する構成糸を含む糸構造を形成することによって、各々の構成糸の撚構造、繊度差、染着差等の特徴がさらに発揮されやすくなる。
【0014】また、複合糸の多様な形態および杢感の表現を可能ならしめるため、本発明の交互撚複合糸は、糸の長さ方向に沿って、交互撚の平均周期よりも短い平均周期で構成糸相互が交絡するのが好ましい。このような交絡形態を有することによって、複合糸の交互撚構造は安定したものとなり、さらに、前記無撚部分が構成糸相互からなる交絡を有することによってS撚とZ撚の相殺を阻止せしめ、構成糸および複合糸の交互撚構造が固定されるため、より安定したものとすることができる。
【0015】この構成糸相互の交絡は間欠的になされるのも好ましい。
【0016】このように本発明の交互撚複合糸は、S撚部分およびZ撚部分、さらには構成糸相互からなる交絡を有する無撚部分等を有し、極めて形態変化に富んだ構造の糸とすることができる。
【0017】また、前記S撚部分、Z撚部分およびS撚部分とZ撚部分との間に存在する無撚部分の各々の長さは目的に応じ種々設定できるものであり制御された変化を付与することができる。
【0018】次に本発明の交互撚複合糸の一例構造をモデル的に示す図1〜5を用いて説明する。
【0019】図1は本発明の交互撚複合糸の一例構造をモデル的に示す概略図である。図1においてA1 、A2 およびA3 は構成糸AのS撚部分を表し、A4 およびA5 は構成糸AのZ撚部分を表し、B1 、B2 およびB3 は構成糸BのZ撚部分を表し、B4 およびB5 は構成糸BのS撚部分を表し、C1 およびC2 は構成糸AのS撚部分と構成糸BのZ撚部分に存在する交絡部分を表し、C3 は構成糸AおよびBの無撚部分に存在する交絡部分を表し、C4 は構成糸AのZ撚部分と構成糸BのS撚部分に存在する交絡部分を表す。このように糸の長さ方向に沿って、交互撚の周期よりも短い周期で構成糸相互が交絡しており、この交絡を有することによって、各々の構成糸が有している交互撚の変化に加えて交絡による形態変化および繊維の混繊効果も付加されるため、極めて変化に富んだ構造とすることができる。
【0020】また、複合糸の集束性が良くなるため、後工程における糸の取扱い性、チーズからの解舒性、製編織時の工程通過性等の高次加工性も向上する。さらに、構成糸Aおよび構成糸Bの無撚部分に存在する交絡部分C3 によって交互撚の相殺が阻止されるため、交互撚の構造は極めて安定となり交互撚複合糸の特徴を発揮することができる。
【0021】次に本発明の交互撚複合糸の製造方法について説明する。
【0022】本発明の交互撚複合糸は、少なくとも2本の構成糸からなり、そのうち少なくとも2本の構成糸各々に、互いに逆方向となる撚方向を含めて交互撚を付与した後引き揃え、次いで交絡を付与することによって製造するものである。
【0023】2本の構成糸各々に交互撚を付与する方法としては、例えばスピンドル仮撚、摩擦仮撚、流体仮撚等を用いることができるが生産性、作業性、制御性の観点から流体噴射旋回流域に構成糸を通過させて交互撚を付与する流体仮撚の方法が好ましい。
【0024】また、2本の構成糸を集束する方法としては、流体交絡、熱融着、樹脂による固着等の方法を用いることができるが、交互撚糸の特性、生産性、作業性、制御性の観点から、流体噴射によって交絡を付与する流体交絡の方法が好ましい。
【0025】また、交互撚の周期あるいは交絡の周期を制御する場合は流体仮撚装置あるいは流体交絡装置とそれぞれ結合した電磁弁をコンピュータ制御することによって、例えば、後述の図4の制御パターン例のようにして達成することができる。
【0026】図2は本発明の交互撚複合糸の製造工程の一例をモデル的に示す概略図である。
【0027】パッケージ1より解舒された原糸Yは解舒ガイド2を経て、ローラ3とローラ8との間で流体仮撚装置6による交互撚の付与、引き揃えガイド7による構成糸の引き揃えおよび流体交絡装置9による交絡付与後、交互撚複合糸として巻き取られる。ローラ3と流体仮撚装置6との間、いわゆる加撚域には加撚張力の安定化および糸道の規制のために張力調整装置4、糸道規制装置5を設けることも好ましい。張力調整装置4を設置することにより加撚張力が安定化し、撚構造がより均一な交互撚糸を得ることができる。また、糸道規制装置5を設置することにより糸道の規制、S・Z反転時の糸の振動およびバルーニングの抑制等の効果があり張力の安定化さらには高速度での撚糸が可能となるのである。
【0028】また、交互撚を付与された各々の構成糸を引き揃えガイド7によって流体仮撚装置6の直下で引き揃えることによって交互撚構造はより安定なものとなる。
【0029】また、制御用コンピューター12は流体仮撚装置6および流体交絡装置9の作動を電磁弁11のオン/オフによって制御するためのものである。
【0030】図3は本発明の交互撚複合糸の製造工程の別の一例をモデル的に示す概略図であって、交互撚の付与および構成糸の引き揃えをローラ3とローラ8の間で、交絡の付与をローラ8とローラ10の間で行おうとするものである。
【0031】図4およびは図5は本発明の流体仮撚装置および流体交絡装置の制御パターンの一例を示す概略図で、図4は流体仮撚装置をS撚部とZ撚部とを交互に形成させるべく作動させ、流体交絡装置を連続的に作動させた例であり、図5は流体仮撚装置でS撚部とZ撚部を交互に形成させるべく作動させ、このS撚部やZ撚部の長さよりも短い長さで流体交絡装置を断続的に作動させたパターン例であり、これらを適宜組み合わせることによって各種の交互撚複合糸を形成することができる。
【0032】本発明の交互撚複合糸は、布帛を構成する糸として好適であり、この糸を布帛の少なくとも一部に用いることにより、糸の特長を布帛に付与することができる。
【0033】本発明の布帛の用途には特別な限定はないが、織物、編物、タフテッドカーペット等に用いるのが好適である。
【0034】織物としてはシャツ、ブラウスなどの衣料用途、カーテン、カバン地などの資材用途が、編物としては天竺編みによるシャツ、ブラウス、鹿の子編みによるスポーツシャツあるいはラッセル機によるレース、ケースメント等が、タフテッドカーペットとしてはタイルカーペット、ロールカーペット、ピースカーペット、自動車用のオプションマットあるいはレンタル用の玄関マット等に用いるのが好適である。
【0035】
【実施例】本発明を実施例により詳細に説明する。
【0036】[実施例1]870デニール54フィラメントのナイロン6BCF酸性染料可染糸、カチオン染料可染糸および原着糸(グレー)各々1本を用意し、酸性染料可染糸とカチオン染料可染糸は引き揃えて同一供給、原着糸は別供給とし、図2に示すプロセスで本発明の交互撚複合糸を製造した。
【0037】この図2の装置でローラ3、ローラ8の表面速度をそれぞれ302m/分、300m/分に設定し、流体仮撚装置6の圧空圧力を1.5kg/cm2 Gで両者逆方向に施撚するものとし、圧空の供給は走行糸長にして1〜2.5mの両者逆位相のランダム間隔・間欠供給とし、流体交絡装置9の圧空圧力を4kg/cm2 Gで圧空を常時供給として加工を行った。
【0038】製造された糸は、図1に示すようにS撚部分とZ撚部分とが交絡した無撚部分を介して交互に配列し、さらに構成糸相互はほぼ逆位相の撚構造を成しており極めて変化に富んだ糸形態の交互撚複合糸であった。
【0039】そしてこの糸をループパイルカーペット(タフト規格:1/10ゲージ、ステッチ10コ/インチ、パイル高さ4mm)と成し、酸性染料およびカチオン染料として、テロン イエロー FGL(Telon Yellow FGL、バイエル社製)0.172%、テロン レッド FRLL(Telon Red FRLL、バイエル社製)0.05%、テロン ブルー GGLL(TelonBlue GGLL、バイエル社製)0.279%、アストラゾン レッド BBLL(Astrazon Red BBLL、バイエル社製)0.04%、アストラゾン ブルー5GL(Astrazon Blue 5GL、バイエル社製)0.06%を用い、95℃で40分間の染色条件で常法により反染め、仕上げ加工を行った。
【0040】このようにして仕上がったカーペットは、S撚部とZ撚部および交絡した無撚部が混在し、さらに、構成糸相互の繊度差による凹凸感が加わり極めて表面形態変化富んでいた。さらにS撚部とZ撚部との引き揃えられた部分が大柄の杢調を呈していた。
【0041】[実施例2]150デニール72フィラメントのレギュラーポリエステル仮撚加工糸と150デニール72フィラメントのカチオン系染料に可染のポリエステル仮撚加工糸を用い、図2に示す装置で本発明の交互撚複合糸を製造した。
【0042】この図2の装置でローラ3、ローラ8の表面速度をそれぞれ305m/分、300m/分に設定し、流体仮撚装置6の圧空圧力を1.2kg/cm2 Gで両者逆方向に施撚するものとし、圧空の供給は走行糸長にして1〜2.5mの両者逆位相のランダム間隔、間欠供給とし、流体交絡装置9の圧空圧力を3kg/cm2 Gで圧空を常時供給として加工を行った。
【0043】製造した糸は実施例1と同様の糸形態の特徴を有しており、この糸を緯糸に、経糸に150デニール48フィラメントのレギュラーポリエステル仮撚加工糸を用いた5枚繻子織物を製織しカチオン系染料で染色したところ撚糸特有の杢流れもなく長い杢が大きく変化した新規な粗い杢調で且つ撚り糸の風合いを有した織物となった。
【0044】[実施例3]75デニール36フィラメントのレギュラーポリエステル延伸糸と75デニール24フィラメントのカチオン系染料に可染のポリエステル延伸糸を用い、図3に示す装置で本発明の逆位相交互撚複合糸を製造した。
【0045】この図3の装置でローラ3、ローラ8、ローラ10の表面速度をそれぞれ305m/分、300m/分、298m/分に設定し、流体仮撚装置6の圧空圧力を1.2kg/cm2 Gで両者逆方向に施撚するものとし、圧空の供給は走行糸長にして1〜2.5mの両者逆位相のランダム間隔、間欠供給とし、流体交絡装置9の圧空圧力を3kg/cm2 Gで圧空を常時供給として加工を行った。
【0046】製造した糸は実施例1と同様な糸形態の特徴を有しており、この糸を丸編機(28ゲージ)を用い天竺編物となし、カチオン系染料で染色したところ、撚り糸特有の杢流れもなく長い杢が大きく変化し、さらに撚りによる清涼感を有した新規な杢調の編物となった。
【0047】
【発明の効果】本発明により、低コストで形態変化に富み、杢流れがなく大きい粗い杢調を呈し、意匠効果に優れ且つ撚り糸の特徴を有した複合糸および布帛を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成8年(1996)5月13日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−31783
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平8−117752