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【発明の名称】 筒撚り撚糸の製造装置
【発明者】 【氏名】田中 悦二

【氏名】森下 貴士

【氏名】原田 ▲しげる▼

【氏名】井上 菊三

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 テープ状物が巻き付けられたテープ巻を支持するためのテープセット部と、テープ状物を撚って得られた筒撚り撚糸を引き取るための引取部と、引き取った筒撚り撚糸を巻き取るための巻取部を備えた筒撚り撚糸の製造装置であって、テープセット部と引取部との間にはテープ状物に張力を与えるためのブレーキ機構部を有しており、ブレーキ機構部は定トルクで回転するブレーキローラと、バネによりブレーキローラ側に押し付けられ前記ブレーキローラとの間でテープを挟持する挟持ローラを備えており、テープ巻の中心軸は、ブレーキローラ及び挟持ローラの中心軸と平行でありテープ巻からブレーキ機構部に至るテープ状物の搬送方向はテープ巻の中心軸に垂直な方向であり、ブレーキ機構部から引き取り部に至る撚糸の引き取り方向は、前記テープ状物の搬送方向に対して角度を有していることを特徴とする筒撚り撚糸の製造装置。
【請求項2】 テープセット部とブレーキ機構部は固定されており、引取部と巻取部が回転することを特徴とする請求項1記載の筒撚り撚糸の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙,不織布等が細く裁断されたテープ状物に撚りをかけて筒状の撚糸を製造する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙等を細く裁断し、これに撚りをかけて形成した筒状の撚糸は、これを機織することによって紙製織物とし、壁紙、スリッパ、帽子、シートカバーの素材や、畳表のいぐさの代替品として利用されている。この撚糸は、従来は図6〜図8に示すような撚糸装置にて形成され、巻取装置にて巻き取るようにしていた。
【0003】即ち、回転リール軸(21)に「テープ巻」(20)(テープの巻いたもの)を装着し、テープ巻の側面を両側から摩擦板(22)で挟み、ゴム紐(23)で摩擦板(22)の端部同士を縛り付け、テープ巻(20)に両側から摩擦力を与え、ガイドローラ(24)及びゴム製の撚り用ローラ(25)にて順次引き出すようにしていた。撚糸装置(イ)は自転用モーター(29)により撚糸の周囲にて回転するようになっており、この回転によってテープを撚り、筒状の撚糸(26)を形成する。撚り上げられた撚糸(26)は、引取ローラ(27)に巻付けられ、さらに巻取部(28)で整然と巻き取るようになっていた。
【0004】筒状の撚糸の品質は撚糸装置の回転数、巻取装置の引っ張り速度、テープ巻(20)のブレーキ力『テープの引っ張り応力』(すなわち一定長さの撚糸における撚数と撚り硬さ)によって定まる。テープ巻(20)に加わるブレーキ力がないと、軽く回転してしまって無制限に引き出されてしまい、その結果、撚りがかかるべき時に紙テープに張力がかからないので、硬く撚る事ができず、硬く撚られた筒撚り撚糸が形成されない事になる。(極端な場合には撚りがかからず筒状の撚糸を形成することができない事もある。)
【0005】従来の撚糸装置にあっては、前述のようにこのブレーキ力はテープ巻(20)を両側から挟み込んで摩擦力を付与する摩擦板(22)に取り付けられたゴム紐(23)の締付力によるものであった。しかし、ゴム紐(23)によるブレーキ力付与ではテープ巻(20)の引っ張り応力が一定しないので、撚糸の撚りのかかり方に変化が生じて品質が変化する事になる。換言すれば、テープが消費されて回転リール軸(21)に巻かれたもののの径が次第に小さくなると、摩擦板(22)とテープ巻(20)との接触面積が次第に小さくなって行くのに対して摩擦板(22)の圧締力は一定であるため、単位面積当たりのブレーキ力が次第に大きくなり、その結果、テープの張力が次第に増加して撚糸が次第に硬く撚られることになる。このようにして撚糸の品質が次第に変化していくことになる。
【0006】又、撚り用ローラ(25)を用いる場合、テープに働く張力と撚り用ローラ(25)の傾きとの関係で、テープの位置が次第にずれて、テープが撚り用ローラ(25)から外れてしまうことがあった。そこで、撚り用ローラ(25)の傾き等を注意深く調整して、つりあうようにしなければならなかった。特にテープの幅,紙質,厚み等が変わると、条件が変わるため改めて調整し直す必要があり、各種の品質の撚糸を得るには適していない。
【0007】又、筒撚り撚糸(26)の中空部(筒内)に防虫剤,乾燥剤等の機能性材料を付与することがある。この場合予めテープに機能性材料を塗布しておいてもよいが、テープを撚る段階で中空部に機能性材料を供給できれば、予めテープに塗布しておく工程が必要なくなり製造時間を短縮することができるだけでなく、粒子状等の塗布に適さない形態の機能性材料を中空部に付与することもできるので好ましい。しかし、従来の装置ではテープ巻(20)から巻取部(28)まで上下にほぼ直線的に配されているため、テープを撚る段階においては撚糸の中空部に機能性材料を供給することが困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、筒撚り撚糸の製造装置において、テープの消費量によるテープ巻の直径の減少に拘わらず、テープに常に一定の張力が掛かるようにして撚られた筒撚り撚糸が常に一定の品質を備えているようにすると共に、手間のかかる撚り用ローラの傾き調整を不要とすることが求められている。更に、筒撚り撚糸の中空部への機能性材料の付与を容易にすることが求められている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の筒撚り撚糸の製造装置は、テープ状物(3)が巻き付けられたテープ巻(1)を支持するためのテープセット部(2)と、 テープ状物を撚って得られた筒撚り撚糸を引き取るための引取部(6)と、引き取った筒撚り撚糸を巻き取るための巻取部(8)を備えた筒撚り撚糸の製造装置であって、テープセット部(2)と引取部(6)との間にはテープ状物に張力を与えるためのブレーキ機構部(4),(5)を有しており、ブレーキ機構部は定トルクで回転するブレーキローラ(4)と、バネによりブレーキローラ(4)側に押し付けられ前記ブレーキローラ(4)との間でテープ(3)を挟持する挟持ローラ(5)を備えており、テープ巻(1)の中心軸はブレーキローラ(4)及び挟持ローラ(5)の中心軸と平行であり、テープ巻(1)からブレーキ機構部(4),(5)に至るテープ状物(3)の搬送方向はテープ巻(1)の中心軸に垂直な方向であり、ブレーキ機構部(4),(5)から引き取り部(6)に至る撚糸の引き取り方向は、前記テープ状物(3)の搬送方向に対して角度を有していることを特徴とする。更には、上記に加えて又、テープセット部(2)とブレーキ機構部(4),(5)は固定されており、引取部(6)と巻取部(8)が回転することを特徴とする。
【0010】
【作用】本発明装置においては、ブレーキ機構部としてのブレーキローラ(4)はヒステリシストルクを利用してテープ状物(3)に張力を加えるようになっており、テープ状物(3)にはその巻径の変化に関係なく一定の張力が加わる。
【0011】そして、テープ巻(1)からブレーキ機構部(4),(5)に至るテープ状物(3)の搬送方向と、ブレーキ機構部(4),(5)から引き取り部(6)に至る撚糸の引き取り方向は角度を有しているため、テープ状物(3)が長尺方向に対して斜めに引っ張られ、テープ状物(3)に不均一に張力が働くことになる。これによりテープ状物(3)が片側から次々にめくれ上がるようになる。したがって、従来テープのめくれ始めを作るために必要であった「撚り用ローラ(25)」が不要となるばかりでなく、テープ状物(3)の搬送方向と、撚糸の引き取り方向の角度を変えれば撚り数を任意に変えることもできる。又、本発明ではブレーキ機構部(4),(5)で、テープ状物(3)を挟み込んでいるために、テープ状物の種類やテープ引き取り方向が変わってもテープ状物(3)がブレーキ機構部(4),(5)から外れることはない。更に、テープ状物(3)の搬送方向と、撚糸の引き取り方向は角度を有しているため、上方からの筒撚り撚糸中空部への機能性材料の付与も容易にできる。
【0012】引取部(6)と巻取部(8)を回転させ、テープセット部(2)とブレーキ機構部(5),(6)とを回転させない構成とすると、テープセット部(2)とブレーキ機構部(5),(6)とは遠心力や振動等の回転に伴う影響を受けず、一定の引き出し力でテープ状物(3)を供給することが容易になり、撚糸の品質も更に高くなる。
【0013】
【実施例】以下、本発明を好適な実施例を用いて説明する。図1は本発明実施例の筒撚り撚糸の製造装置の概略構成を示した図であり、(a)は正面図(b)は側面図である【0014】本装置は大きく分けると固定部と回転部に分けることができる固定部はテープ巻(1)が装着されたテープセット部(2)と引き出されたテープ(3)に一定の引っ張り張力を与えるブレーキ機構部(4),(5)と前記のテープセット部(2)とブレーキ機構部(4),(5)の取付角度を調整するテープ進入角度調整部(12)とからなる 図2に実施例の固定部の正面図を、図3にその側面図を示す。
【0015】回転部は撚られたテープを引き取るための引取りローラ部(6)と筒撚り撚糸(9)を巻き取るためのドラム状の巻取部(8)と巻取部(8)で筒撚り撚糸(9)を均一に巻き取ることができるように引取りローラ部(6)と巻取部(8)との間に配されたトラバース部(7)とからなる【0016】テープセット部(2)においては、テープ状物が巻かれた「テープ巻」(1)が装着されるが、外径や幅が異なるサイズのテープ巻もセットすることができる。本実施例では最大外径500mm,最大幅35mm程度まで対応可能とした。径が小さいテープ巻(1)を用いる場合はブレーキ機構部(4),(5)に近い位置に設けられた他のテープセット部(2a)に取り付けてもよい【0017】図4はブレーキ機構部の一部拡大図であり、図5はブレーキ機構部の平面図である。ブレーキ機構部(4),(5)は、ヒステリシストルクを利用したブレーキローラ(4)と、バネ(5a)によりブレーキローラ側に押し付けられ当該ブレーキローラとの間でテープ(3)を挟持できる挟持ローラ(5)を備えている。(5a)はテープガイドである。(4a)はブレーキローラ(4)にブレーキ力を付加するブレーキ部である。ブレーキ部(4a)としてヒステリシスブレーキを使うと、トルクのムラがほとんど無いので撚り具合を均一にすることができる。ブレーキ機構部(4),(5)ではテープ(3)の安定したテンションを作ることができる。テンションはブレーキ部(4a)のトルク値を適宜調整することにより一定範囲で変えることができる。このテンション力を調整すると筒撚り撚糸の筒部外径寸法を変えることができる【0018】テープ(3)はブレーキ機構部への進入する際に、ブレーキローラに垂直に入ることになる。したがって、ブレーキ機構部(4),(5)に進入する前の段階ではテープ(3)は均等に引っ張られることになり(部分的に強い力が集中してかかることはなく)切れにくい。(従来は撚りをかける以前の段階においてもテープに不均一な張力がかかり撚り用ローラより上方においてテープが切れてしまうことがあった。この不均一な張力は紙の弾性により吸収させて対応していたので、使用できる紙の質が限られていた。)
【0019】テープ進入角度調整部では、テープセット部(2)とブレーキ機構部(4),(5)とが取り付けられた基部の取付角度(θ)を調整できる。調整は角度調整部(12)を回すことによりテープセット部(2)とブレーキ機構部(4),(5)とが取り付けられた基部を基部回転軸(13)を軸として傾けることにより行う。したがって、テープセット部(2)とブレーキ機構部(4),(5)との相対的な位置関係は変わらず、テープ(3)が回転部に侵入する際の角度(テープ搬送方向と,撚糸引き取り方向との間で形成される角度)が変わることになる。テープ(3)は長尺方向に対して斜めに引っ張られ、テープ(3)に不均一に張力が働きテープ(3)が片側から次々にめくれ上がる。(したがって、従来テープのめくれ始めを作るために必要であった撚り用ローラは不要となる。)
角度(固定部の傾き)を大きくすれば撚り数が多くなり、この角度と後述の回転部の回転方向を調整することによりテープ(3)の撚り方向を変えることもできる。尚、本実施例ではテープ切れ検出部(14)を設けている。
【0020】回転部の各部(引取りローラ部(6)トラバース部(7)、巻取部(8))は自転用のモーター(11)と連結された枠体(10)に取り付けられており、自転用モーター(11)の作動により回転部全体として撚り方向に回転する。テープは回転部のか移転軸上に設けられた開口部より回転部(10a)より回転部枠体(10)内に引き込まれる【0021】テープ進入角度調整部の働きにより端がめくれたテープ(3)は回転部がテープ(3)のめくれ方向に回転しつつ巻き取るので筒撚り撚糸となる。機能性材料を付加する場合はブレーキ機構部(4),(5)と回転部との間で供給すると作業がしやすい。
【0022】本実施例では回転部の引取ローラとして2つのローラ(6a),(6b)を用い、筒撚り撚糸を絡めて引くようにしており、その表面には筒撚り撚糸との接触抵抗を確保するために表面にゴムが取り付けられている。この回転部の1回転あたりの引取量(引取ローラの引取速度)を変えることによりに撚り数を変えることができる。なお、本実施例では引取ローラ(6)と巻取ドラム(8)は同一のモーター(図示せず)によりベルトを介して回転させており、このベルトをかけているプーリーを径の異なるものに取り替えることにより引取速度を変えて撚り数を調節することができる。
【0023】トラバース部(7)は巻取部のドラム(8)に筒撚り撚糸(9)が均一に巻き取られるようにカム機構によりドラム(8)の幅方向に往復運動し、筒撚り撚糸(9)のドラムへの供給位置を移動させる。
【0024】なお、本発明においてテープ(3)の素材としては紙に限られず、種々の素材が利用できる。特に、本発明においてはテープ(3)に無理な張力が働かないので、比較的強度の小さな不織布等を用いることもできる。
【0025】
【発明の効果】テープの引っ張り力を一定に保つためのブレーキ機構部が備えられており、テープの消費量によるテープ巻の直径の減少に拘わらず、テープに常に一定の張力が掛かるようにすることができるので、一定の品質の筒撚り撚糸を得ることができる。テープの搬送方向と撚糸ので引き取り方向が角度を有する構成としたことによって、調整に手間のかかる撚り用ローラを不要とし、角度を調整するだけで撚りの程度を容易に変更することができるようになり、筒撚り撚糸の中空部への機能性材料の付与も容易にできるようになる。又、テープに無理な力がかからないので、種々の性質のテープを利用することができる。更に、テープセット部とブレーキ機構部を回転させない場合は、テープの張力コントロールが回転による影響(遠心力,振動等)を受けないので、品質的に非常に安定した筒撚り撚糸を製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000110686
【氏名又は名称】ナンモト株式会社
【識別番号】000204985
【氏名又は名称】大建工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月19日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明
【公開番号】 特開平9−31782
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−206577