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【発明の名称】 多色メランジ紡績糸
【発明者】 【氏名】谷田 喜一郎

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸性染料可染型アクリル繊維ステープルを異なる色に原料染めしフィックス加工した少なくとも2種の原綿(A)と、カチオン染料可染型アクリル繊維ステープルを含有する原綿(B)およびその他の繊維(C)とを、原綿(A):5〜15重量%、原綿(B):95〜55重量%、その他の繊維(C):0〜30の混紡率で均一に混紡したものであることを特徴とする多色メランジ紡績糸。
【請求項2】 原綿(A)が、少なくとも3原色に原料染めされた少なくとも3種の原綿である請求項1に記載の多色メランジ紡績糸。
【請求項3】 原綿(A)の断面が偏平状であり、繊維径が5〜15デニールである請求項1または2に記載の多色メランジ紡績糸。
【請求項4】 カチオン系染料によって後染めされるものである請求項1〜3のいずれかに記載の多色メランジ紡績糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多色メランジ紡績糸に関し、殊にカチオン系染料を用いて後染めすることによって深みのある意匠性の優れた織・編物を与える多色メランジ紡績糸に関するものである。尚、本発明において多色メランジ紡績糸とは、紡績糸を構成するステープルが少なくとも2種の異なる色に着色された混紡糸を意味するものであり、異なる色に着色されたステープルが紡績糸の長さ方向にランダムな長さに分布して多彩な色調を呈するものであり、この多色メランジ紡績糸は、これを織物あるいは編物とすることによりニット、セーター、ジャージ等を始めとする様々の衣料、あるいは家屋や乗物などの各種インテリア内装品として幅広く活用することができる。
【0002】
【従来の技術】多色メランジ紡績糸は、前述の如く紡績糸を構成するステープルを少なくとも2種以上の色(好ましくは3原色以上の色)に着色して混紡したものであり、紡績糸の長手方向に異なる色彩がランダムに分布して多彩な色調を有しているところから、前述の如く各種衣料やインテリア内装品等を始めとして広く利用されている。
【0003】この様な多色メランジ紡績糸の製法として現在実用化されているのは、紡績糸を構成する原綿の状態で、ステープルを2色以上に原料染めし、それら2色以上に染色された各原綿を適当な比率で混紡して紡績する方法である。そして、多色メランジ調の色合わせは、原料染めされる各原綿の色調とそれら異なる色の原綿の混紡比率をその都度変更することによって行なわれており、従って、少品種・大量生産には適しているが、多品種・少量生産には不向きであって非常に高コストにつくという難点がある。ところが、近年における衣料分野やインテリア分野では、様々の個人的嗜好に適合させるべく多品種・少量生産が指向される傾向にあり、上記の様な従来法では対応が困難になっているのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明者らは、まず原料染めによって適当な色に着色された原綿を2種以上使用して混紡糸とし、該混紡糸の状態あるいはこれを織・編物とした状態で、地色に相当する部分をカチオン染料等によって後染めする方法を採用し、該後染めの段階で様々の色調に最終調整することにより多品種・少量生産の要請に適合させる方法を試みた。ところが、この様な原綿先染め・地色後染め法を採用した場合、混紡糸(紡績糸)あるいは織・編物状態での後染め工程で先染めカラーの色泣き(原綿染めされた色素が後染め工程で溶出して後染め染料と混合され、ほとんど単一色)となって意図する様な多色メランジ製品を得ることができなかった。従って、衣料、インテリア分野における現在の動向に適合させるべく多品種・少量生産の経済的実現を果たすには、原綿先染め・地色後染めによって多色メランジ製品を提供し得る様な新たな技術を確立する必要がある。
【0005】本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、安定して優れた多色メランジ製品を与えると共に、多品種・少量生産を工業的に実現し得る様な多色メランジ紡績糸を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決することのできた本発明に係る多色メランジ紡績糸とは、酸性染料可染型アクリル繊維ステープルを異なる色に原料染めしフィックス加工した少なくとも2種の原綿(A)と、カチオン染料可染型アクリル繊維ステープルを含有する原綿(B)およびその他の繊維(C)とを、原綿(A):5〜15重量%、原綿(B):95〜55重量%、その他の繊維(C):0〜30の混紡率で均一に混紡したものであるところに要旨が存在する。
【0007】尚上記発明においては、原綿(A)として少なくとも3原色に原料染めされた少なくとも3種の原綿を使用することにより、また該原綿としてその断面が偏平状で、繊維径が5〜15デニールであるものを使用することによって、色調の非常に優れた多色メランジ紡績糸を得ることができる。又この多色メランジ紡績糸は、該紡績糸の状態あるいはこれを織物や編物とした状態で後染めにより地色のカチオン染色を行なうことができ、該カチオン染色時の色を任意に選択することによって、様々の色調に仕上げることができるので、多品種・少量生産にも容易に適合させることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明の多色メランジ紡績糸は、酸性染料可染型アクリル繊維ステープルを異なる色、好ましくは赤、青、黄の少なくとも3原色以上に原料染めし、その後フィックス加工することにより染色固定処理を施した少なくとも2種の原綿(A)と、カチオン染料可染型アクリル繊維ステープルを含有する原綿(B)を使用し、あるいは必要に応じて羊毛、綿、麻等の天然繊維等を主体とするその他の繊維(C)を使用し、これらの原綿(A)と(B)、必要により更にその他の繊維(C)を用いて混紡することにより得られる。この多色メランジ紡績糸は、基本的には未着色の原綿(B)およびその他の繊維(C)に、上記の様に酸性染料可染型アクリル繊維ステープルを少なくとも2色の異なる色に原料染めされた少なくとも2種の原綿(A)が混紡されることによって、基本的には未着色の原綿(B)やその他の繊維(C)と共に混紡された上記原綿(A)が多色メランジ調を示す。
【0009】そしてこの多色メランジ紡績糸は、該紡績糸の状態あるいはこの紡績糸を織物・編物とした後の状態でカチオン系染料により後染めすることによって、前記未着色の原綿(B)やその他の繊維(C)を染色して地色を付与し得るものであり、該後染め時に使用するカチオン系染料の色を変えることによって、淡色から濃色にわたる任意の地色に着色することができる。しかも、原料染めによって着色された酸性染料可染型アクリル繊維ステープルよりなる原綿(A)は、紡績糸とする前の時点でフィックス加工されて染色固定されているので、該後染め工程でカチオン系染料による染色を受けて”かぶり”を生じたり、カチオン染色工程で溶出して”色泣き”を生じることもなく、従って最初の原料染めのままの色調を維持している。
【0010】従って、カチオン系染料により後染めされた後の状態では、後染めにより染色された前記原綿(B)とその他の繊維(C)の部分が地色を構成すると共に、先染めにより2種以上に染色された原綿(A)の色がそのまま残ってメランジ調を呈することになるが、全体としての色調は地色によって著しく異なったものとなる。そこで、紡績後の糸の状態、更には織物や編物にした後に行なわれる後染めの際の色を選択して地色を選定することにより、全体として様々の色調を呈する多色メランジ製品を得ることが可能となる。
【0011】上記の様に、原綿(A)の先染めによって与えられる多色メランジ調を有効に発現させると共に、後染めによる地色の多彩化を有効に発現させるには、混紡時における前記原綿(A),(B)および他の繊維(C)の混紡率を適正範囲にすることが必要であり、それらの好ましい混紡率は、原綿(A):5〜15重量%、原綿(B):95〜55重量%、その他の繊維(C):0〜30の範囲、より好ましくは原綿(A):10〜15重量%、原綿(B):75〜55重量%、その他の繊維(C):15〜30の範囲である。原綿(A)の混紡率が多過ぎる場合は、先染めされた該原綿(A)による着色が過度となって、地色となる原綿(B)やその他の繊維(C)の紡績糸中に占める混紡率が相対的に減少し、カチオン系染料を用いた後染めによって表わされる多色メランジ糸の色調や鮮明度等が不充分になる傾向が生じてくるばかりでなく、後染めによって確保できる色調のバラエティーも不足気味となる。
【0012】即ち本発明では、先染めされる原綿(A)の混紡量は少なめに抑え、後染めによる地色に変化を持たせることによって、様々の色調が得られる様にして多品種・少量生産に対応させるところに1つの特徴を有するものであり、この様な特徴を有効に発揮させるには、先染めされる原綿(A)の混紡量を上記の様に全体の15重量%程度以下に抑えることが望ましい。但し、該原綿(A)の混紡量が不足する場合は、先染めされた該原綿(A)によって与えられる多色メランジ調が極めて希薄となり、いわゆる軽度の霜降り状模様が得られるのみで本発明で意図する様な多色メランジ調が得られにくくなるので、こうした意味から原綿(A)の混紡量は5重量%以上にすることが必要となる。
【0013】尚、先染めされる色が相対的に淡色系である場合は、相対的に多量の原綿(A)を混紡するのがよく、相対的に濃色系である場合は、相対的に少量の原綿(A)を混紡することによって十分なメランジ調を与えることができる。
【0014】一方、原綿(B)は、基本的には紡績糸の地色を構成する部分であって、カチオン系染料による後染めの可能な繊維が選択され、その主体としてはカチオン染料可染型アクリル繊維ステープルが選択されるが、それらの全てがカチオン染料可染型クリリル繊維ステープルでなければならない訳ではなく、場合によってはカチオン染色の可能なその他の繊維(C)、例えばその他の合成繊維を併用することも可能である。但し先染めによる多色メランジ調を生かしつつカチオン染色による地色の変化を持たせて多様なメランジ調を効果的に表わすには、紡績糸全量中に占める原綿(B)の混紡量を95〜85重量%とし、その他の繊維(C)の混紡量は30重量%程度以下に抑えることが望まれる。
【0015】尚、上記発明において先染めされる原綿(A)の色は、少なくとも2色以上であれば多色メランジ調を与えることができるが、より鮮明で意匠性の高いメランジ調を得るには、少なくとも3原色に原料染めされた少なくとも3種の原綿(A)を使用することが望ましく、それら異なった3種の色に原料染めされた各原綿の混紡率を調整することによって、任意の彩色のメランジ調紡績糸を得ることができる。もっとも先染めは上記の様に3原色に限定される訳ではなく、その他に緑、紫、茶色などに原料染めされた原綿(A)を使用することももちろん可能である。
【0016】原綿(A)の原料染めに使用される直接染料の種類や染色法等には特に制限がなく、公知の直接染料を用いた公知の染色法を全て採用することが可能であるが、好ましい染料や染色法を例示すると次の通りである。即ち好ましい直接染料としては、住友化学社製のダイレクトファーストイエローGC(Direct Fast Yellow GC)、日本化薬社製のカヤラスライトレッドF5G(Kayarus Light RedF5G)、住友化学社製のスミライトスプラブルーG(Sumilight Supra BlueG)等を使用することができ、また染色条件としては、100〜110℃×30〜60分、蟻酸pH:2〜4、芒硝10〜20%owf程度が好ましい条件として推奨される。
【0017】原綿(A)の原料染め後に行なわれるフィックス加工は、当該原料染めによる染色を固定しその後のカチオン染料を用いた後染め時における”かぶり”(一部が被染色状態で残り、その後の後染め工程で染料が原綿(A)内の一部に侵入して色調がくすむ現象)や”色泣き”を生じるのを防止するために必須の処理であり、具体的には、直接染料を用いた原料染めの後ナイロンフィックスTH(日本染化社製)などの芳香族高分子誘導体を主成分とするアニオン系活性剤をフィックス剤として用い、10〜20%owf、蟻酸pH:2〜4、100〜110℃×60〜120分の条件で行なわれる。但し、フィックス処理そのものは格別新規なものではなく、公知のフィックス処理法を全て活用することが可能である。
【0018】該原料染めとフィックス処理の後は、夫々の染色原綿(A)を目的とする色調に応じた任意の比率で混紡し、これらを前記原綿(B)や必要によりその他の繊維(C)と共に前述の比率で混紡して常法により紡績処理を施すことによって、本発明の多色メランジ糸を得ることができる。この際、原料染めの段階で様々の色に染色された原綿(A)を多数用意しておき、求められる色調に応じてそれらを適宜組み合わせて使用することにより、多種多様の色彩を有する多色メランジ糸を得ることが可能となる。
【0019】尚この紡績工程で、多色メランジ調を与える主体となる原綿(A)を紡績糸の表面側に露出し易くしてメランジ調をより効果的に発現させるには、原綿(A)として断面が偏平な繊維を使用するのがよく、且つ繊維径が5〜15デニールの範囲のものを使用することが望ましい。断面偏平の程度としては、当該繊維断面の短径と長径の比率が1:6〜15の範囲、より好ましくは1:8〜10の範囲のものが好ましい。尚断面偏平とは、その断面が楕円状もしくは長円形のものの他、所謂まゆ状断面のものが含まれるが、これらの中でも特に好ましいのは長円形断面のものである。この様な断面偏平の繊維は、例えば楕円状もしくは長円形の断面を有する紡糸ノズル、または円形断面を2つ隣接させて設けた紡糸ノズルより、100〜110万デニール、紡速115〜120m/分で紡糸し、熱処理温度115〜120℃、延伸倍率1.05〜1.10倍で延伸することによって容易に製造することができる。こうした意味からしても本発明では、製造段階で繊維の断面形状や繊維径の調整が容易なアクリル系ステープルを選択使用することが望ましい。
【0020】一方原綿(B)やその他の繊維(C)の断面形状や繊維径には特に制限がなく、円形断面、まゆ型断面、楕円形断面、長円形断面等のものを使用できるが、最も一般的なのは略円形断面のものである。
【0021】かくして得られる本発明の多色メランジ糸は、基本的には原綿(A)のみが染色され、併用される原綿(B)やその他の繊維(C)は未染色の状態の地色を呈しており、そのままで商品化することも勿論可能であるが、好ましくは当該紡績糸の状態あるいはこれを織・編物とした状態で、カチオン染色によって未染色の地色部分を任意の色に染めると、地色の差異によって多色メランジ糸やその織・編物製品は著しく異なった色調を呈するものとなり、多品種・少量生産を実現することが可能となる。
【0022】このとき採用されるカチオン染色に用いられる染料の種類や染色法にも格別の制限はないが、好ましい染料や染色法を例示すると下記の通りである。即ち好ましいカチオン染料としては保土谷化学社製のカチロンイエローK−3RLH(Cathilon Yellow K−3RLH)、カチロンレッドK−GLH(Cathilon Red K−GLH)、カチロンブルーK−GLH(Cathilon Blue K−GLH)等が挙げられ、また好ましい染色法としてはカチオン染料0.5〜2.0%owf、カチオン系緩染剤(例えばバイエルジャパン社製の「アストラガールPAN」)1.0〜2.5%owf、酢酸pH:4〜5、酢酸ソーダ:0.5〜1.0%owf、分散剤(例えばバイエルジャパン社製の「アボランIW」)0.3〜0.5g/lで100〜110℃×30〜60分の条件等が例示される。もっとも、本発明ではカチオン染料や染色法自体に制限を受けるものではないから、様々のカチオン系染料を用いた公知の種々の染色法を適宜選択して採用することが可能である。
【0023】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0024】実施例1酸性染料可染型アクリル繊維ステープル(東洋紡績社製商品名「タイプH」、長径109.1μm、短径10.9μmの長円形断面を有する10デニールのアクリル繊維ステープル)を原綿(A)として使用し、直接染料を用いて黄、桃、赤、青、緑、紫に原料染めし、次いで夫々についてナイロンフィックスTH(日本染化社製)を用いてフィックス処理し乾燥して染色された原綿(A)を得た。
【0025】得られた各原料染め原綿(A)を、表1に示す混合で組み合わせ、これを未染色のカチオン染料可染型アクリル繊維ステープル(東洋紡績社製「タイプK又はC」、略円形断面の2〜5デニールのアクリル繊維ステープル)と混合して常法により紡績し、多色メランジ糸を製造した。
【0026】得られたメランジ糸の外観は表1に示した通りであり、原綿(A)の混紡量が本発明の規定範囲未満の比較例(No.1,2)では、原綿(A)による着色が不充分であるためメランジ効果が十分に現れず、一方原綿(A)の混紡量が多過ぎる比較例(No.10,11)では、全体の色合いが濃くなり過ぎて満足なメランジ調が得られにくくなる。これらに対して適正混紡量の原綿(A)を配合したものでは、配色に濃淡はあるものの、いずれもメランジ調を呈している。
【0027】また実施例の中でも、濃色系先染め綿の混紡量を少なめに抑えて淡色系先染め綿の比率を高めたもの(No.8,9)では、メランジ効果の非常に高い紡績糸が得られている。
【0028】また上記で得た各紡績糸を用いてメリヤス編地を作製し、これをカチオン染料(保土谷化学社製「アイゼンカチロン染料」:青色系染料、又は同社製「アイゼンカチロン染料」:ゴールド色系染料)によって後染めすることによって地色の染色を行ない、地色をブルー色またはゴールド色とする多色メランジ編物とした。
【0029】得られた各後染めメランジ編物の外観も表1に示した通りであり、原綿(A)の混紡量が本発明の規定範囲未満の比較例(No.1,2)では、地色に対して先染め原綿(A)による着色が不充分であるためメランジ効果が十分に現れず、一方先染め原綿(A)の混紡量が多過ぎる比較例(No.10,11)では、地色に対し先染め原綿によって生じる色合いが濃くなり過ぎて満足なメランジ調が得られにくくなる。これらに対して適正混紡量の原綿(A)を配合したものでは、夫々の地色に対して先染め原綿による多色化が有効に生かされ、いずれも優れたメランジ調を呈することが確認された。尚この後染め工程では、先染め染料の”色泣き”や後染め染料の”かぶり”等は全く認められなかった。
【0030】
【表1】

【0031】実施例2原綿(A)として3,5,10,15デニールの酸性染料可染型アクリル繊維ステープル(東洋紡績社製、いずれも長径/短径比は約8/1の長円形)を使用し、上記実施例1と同様にして先染めした後フィックス処理を施し、表1のNo.9と同じ色の組み合わせを採用すると共に、実施例1で用いたのと同じ未染色のカチオン染料可染型アクリル繊維ステープルとその他の繊維(毛)とを混繊して紡績した。得られた各多色メランジ紡績糸を用いて、上記と同様にしてメリヤス編を行なって多色メランジ編物を作製した。また、この多色メランジ編物に、上記と同様の方法でカチオン染料を用いた地色の後染めを行ない、地色の染色された多色メランジ編物を得た。
【0032】得られた各多色メランジ編物について、異色効果(メランジ調の鮮明度)、風合い(色合いソフト感および接触感)、へアリー感(毛羽立ち状態の良否)を官能評価した。結果は表2に示す通りであり、編物としての特性は、先染め用原綿(A)として10デニール又は15デニールのものを使用することによって最も良好なものとなることが分かる。
【0033】
【表2】

【0034】実施例3先染め原綿(A)の断面形状による影響を調べるため、断面形状の異なる酸性染料可染型アクリル繊維ステープル(東洋紡績社製)を使用した以外は前記実施例1と同様にして地色未染色の多色メランジ紡績糸の製造、メリヤス編物の製造、更にはカチオン系染料に夜地色の後染めを行ない、夫々について編物特性を調べた。
【0035】結果は表3に示す通りであり、多色メランジ調を与える原綿(A)としては、断面形状が偏平状のものを使用することによって、多色メランジ編物としての特性を最も優れたものにすることができることが分かる。
【0036】
【表3】

【0037】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、酸性染料可染型アクリル繊維ステープルを異なる色に原料染めしフィックス加工した少なくとも2種の原綿(A)とカチオン染料可染型アクリル繊維ステープルを含有する原綿(B)、更には必要によりその他の繊維(C)を混紡して紡績糸とすることにより、様々の色調を有する多色メランジ糸を得ることができる。しかもこの多色メランジ糸においてメランジ調を与える原綿(A)は、原料染めの後のフィックス加工によって後染め後に”かぶり”や”色泣き”を起こさない様に工夫されており、従って該紡績糸の状態あるいはこれを織・編物とした後の状態でカチオン染色によって地色染めを行なうことによって、”かぶり”や”色泣き”等を全く生じることなく任意の色に染めることができ、該地色を変えることによって多色メランジ異製品としての色調を様々に変えることができ、多品種・少量生産の要請にも容易に適合することができる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】植木 久一
【公開番号】 特開平9−31779
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−177750