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【発明の名称】 アクリル複合仮撚糸の製造方法
【発明者】 【氏名】御宮知 直樹

【氏名】武田 重一

【氏名】佐野 芳彦

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 伸度が10%以上異なる2本以上のアクリル長繊維糸条に100〜500(T/m)の先撚を施して仮撚加工する際、先撚の撚方向と同じ撚方向で、且つ仮撚数を20.0×103/D1/2 〜45.0×103/D1/2 (T/m)[Dは供給糸の全デニール]、仮撚加工温度を150〜210℃の範囲に設定して仮撚加工することを特徴とするアクリル複合仮撚糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は糸条の長手方向に沿って連続した屈曲部を有し、嵩高でソフトな風合とシャリ感を有するアクリル複合仮撚糸の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、先撚を施した糸条を仮撚加工して表面変化を得る方法は公知であり、いろいろ提案されていて、工業的にすでに実施されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の方法で得られた先撚仮撚糸は未解撚を有するシャリ感素材として織編物に使用されるが、嵩高性に欠け布帛形成した場合風合いの硬いものであった。本発明はかかる従来の問題点を解決し、表面変化に富んだ嵩高でソフトな風合とシャリ感を有するアクリル複合仮撚糸の簡易な製造方法を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題は、伸度が10%以上異なる2本以上のアクリル長繊維糸条に100〜500(T/m)の先撚を施して仮撚加工する際、先撚の撚方向と同じ撚方向で、且つ仮撚数を20.0×103/D1/2 〜45.0×103/D1/2 (T/m)[Dは供給糸の全デニール]、仮撚加工温度を150〜210℃の範囲に設定して仮撚加工することを特徴とするアクリル複合仮撚糸の製造方法によって解決される。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に従って詳細に説明する。図1は本発明の複合仮撚糸を製造する工程概略図であり、伸度の異なる複数本のアクリル長繊維糸条に先撚を施した合撚糸Aをフィードローラー1から仮撚域へ供給し、第1ヒーター2を介して仮撚スピンドル3にて仮撚加工を施すことにより、伸度の低い糸条が芯糸に、伸度の高い糸条が鞘糸となり、芯糸に対して鞘糸が捲回した部分と遊離した部分とを交互に形成し、更に第2ヒーター5により熱セット処理し、第2デリベリーローラー6を経てワインダー7に巻き取る。本発明で得られる複合仮撚糸は、芯鞘構造を有し鞘糸が捲回部分と遊離部分とを交互に形成した糸条形態となる。更に糸条長手方向に連続した屈曲部を有しているため、布帛形成した場合非常に嵩高となりしかもソフトな風合とシャリ感を有する複合仮撚糸となる。
【0006】本発明を更に詳細に説明すると、通常先撚仮撚は周知のとおり、先撚と仮撚の撚方向が同じ場合、糸条形態に未解撚を有するシャリ感素材として、織編物用に使用されている。また先撚と仮撚の撚方向が異なる場合、比較的未解撚が少なく糸条長手方向に沿ってほとんど均一に解撚された状態となり、表面変化の乏しい糸条形態となる。
【0007】本発明者等は鋭意検討した結果、伸度の異なる2本以上のアクリル長繊維糸条を用いて特定の条件下で先撚仮撚を施すことによって、表面変化と嵩高性に富んだ先撚仮撚糸が得られることを見い出して本発明に到達したものである。本発明においては、先撚する2本以上のアクリル長繊維糸条の伸度差が10%以上好ましくは10〜30%であること及び先撚の撚方向と同じ方向で仮撚加工することが重要な技術ポイントである。
【0008】先撚と仮撚の撚方向は、糸条の表面変化や嵩高性を考慮すれば同じ方向が良い。また、伸度差のない糸構成で先撚仮撚された糸条は集束状態でほとんど均一に解撚されている為、嵩高性に欠け、凹凸感に乏しい糸条形態となり、又、伸度差を大きくしすぎた糸構成では遊離部分が極端にルーズになり、非常に集束性の悪い仮撚糸となる。
【0009】更に、本発明においては、先撚の撚数、仮撚時の仮撚温度及び撚数の条件設定により得られる複合仮撚糸の集束性と嵩高性が大きく変化する。すなわち、先撚数が少ないほど先撚と同方向の仮撚加工を施しても完全に解繊され集束性の悪いルーズな糸条となり、逆に先撚数が多すぎると解繊部分の少ない締まった糸条となり、糸条全体としては風合は硬く嵩高性のない糸条となり、仮撚加工性からみても糸のトルクにより加工通過性が非常に悪くなる。又、撚糸コストも高くなり加工コストに大きく影響する。
【0010】次に、仮撚条件の撚数設定は、高い程捲回部分と遊離部分が明確になり、集束性に優れた糸条となる反面、風合いはやや硬くなる傾向である。逆に、低くする程伸度の高い糸条は、伸度の低い糸条を全体につつみ込む形態となり非常にソフトな糸条となる。しかし、捲回部分と遊離部分との境界がなくなり、凹凸感にも欠け、集束性が極端に悪くなり、高時加工時にトラブルをきたす糸条となる。
【0011】また、仮撚温度については高く設定する程未解撚が発生しやすくなる。即ち、撚拘束により集束性は向上するが、嵩高性にやや欠け風合いも硬くなる。逆に、低く設定する程撚の形態付与が甘くなる為捲回部分と遊離部分が明確でなくなり、糸条全体として嵩高性は富むが集束性に欠けるものとなる。
【0012】以上のことから、表面変化に富み、且つ集束性と嵩高性に優れた先撚仮撚糸を得る為の適性先撚数は、100〜500(T/m)、好ましくは250〜450(T/m)、適性仮撚数は20.0×103/D1/2 〜45.0×103/D1/2(T/m)、好ましくは35.0×10/D1/2 〜40.0×103 /D1/2(T/m)、及び適性仮撚温度は150℃〜210℃、好ましくは180℃〜210℃である。
【0013】かかる適性条件で先撚仮撚して得られるアクリル複合仮撚糸は、芯糸に対して鞘糸が捲回している部分と遊離している部分とが糸の長手方向に沿って交互に存在し、かつ糸条の長手方向に連続した屈曲部を有する特殊複合仮撚糸となる。また、構成する2本以上のアクリル長繊維糸条の各々のポリマー組成を異なるものとすることにより異色効果をも得ることが可能である。
【0014】
【実施例】以下実施例により本発明を更に具体的に説明する。
(実施例1)図1に示す仮撚機を用い、表1の加工条件で実施した。供給糸は繊度300デニール、フィラメント数300本、伸度16%のアクリル長繊維と、繊度300デニール、フィラメント数60本、伸度30%のアクリル長繊維を150T/m(Z)の撚数にて合撚したものを用い、No.1〜9に於て加工した複合仮撚糸の集束性、並びにその複合仮撚糸を8G丸編み機で天竺組織で編成しカチオン染料で染色した布帛の嵩高性及び凹凸感を評価した。その結果も表1に示した。尚、表1中T1は加撚張力、T2は解撚張力を示し、また集束性、嵩高性、凹凸感及び総合評価における◎〜×は各々以下を示す(表2〜4においても同じ)。
◎・・・非常に優れている○・・・優れている△・・・やや劣る×・・・劣る【0015】(実施例2)実施例1と同じ仮撚機を用い、表2の加工条件で実施した。供給糸は繊度300デニール、フィラメント数300本、伸度16%のアクリル長繊維と繊度300デニール、フィラメント数60本、伸度30%のアクリル長繊維を300T/m(Z)の撚数にて合撚したものを用い、No.1〜7に於て加工した複合仮撚糸の集束性、並びにその複合仮撚糸を8G丸編み機で天竺組織で編成しカチオン染料で染色した布帛の嵩高性及び凹凸感を評価した。その結果も表2に示した。
【0016】(実施例3)実施例1と同じ仮撚機を用い、表3の加工条件で実施した。供給糸は繊度300デニール、フィラメント数300本、伸度16%のアクリル長繊維と繊度300デニール、フィラメント数60本、伸度30%のアクリル長繊維を450T/m(Z)の撚数にて合撚したものを用い、No.1〜13に於て加工した複合仮撚糸の集束性、並びにその複合仮撚糸を16G丸編み機で天竺組織で編成しカチオン染料で染色した布帛の嵩高性及び凹凸感を評価した。その結果も表3に示した。
【0017】(比較例)実施例1と同じ仮撚機を用い、表4の加工条件で実施した。供給糸は繊度150デニール、フィラメント数160本、伸度17%のアクリル長繊維と繊度150デニール、フィラメント数60本、伸度16%のアクリル長繊維を150T/m(Z)の撚数にて合撚したものを用い、No.1〜8に於て加工した複合仮撚糸の集束性、並びにその複合仮撚糸を16G丸編み機で天竺組織で編成しカチオン染料で染色した布帛の嵩高性及び凹凸感を評価した。その結果も表4に示した。
【0018】
【表1】

【0019】
【表2】

【0020】
【表3】

【0021】
【表4】

【0022】
【発明の効果】本発明によれば、壁撚状外観を有し、従来の先撚仮撚糸にない表面変化に富み、且つ嵩高でソフトな風合いとシャリ感を有するアクリル複合仮撚糸を簡易に得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱レイヨン株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月21日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−31777
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−185999