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【発明の名称】 難燃繊維複合体
【発明者】 【氏名】市堀 敬治

【氏名】松本 隆治

【氏名】神原 洋一

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
1 ハロゲンを17〜86重量%含む重合体に、該重合体に対して6〜50重量%のSb化合物を含有させた繊維85〜15重量部に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維15〜85重量部を含むようにした難燃繊維複合体。
2 前記重合体がアクリロニトリル30〜70重量%、ハロゲン含有ビニル系単量体70〜30重量%およびこれらと共重合可能なビニル系単量体0〜10重量%よりなる共重合体である特許請求の範囲第1項記載の難燃繊維複合体。
3 共重合可能なビニル系単量体の少なくとも1つがスルホン酸基含有ビニル系単量体である特許請求の範囲第2項記載の難燃繊維複合体。
4 前記Sb化合物の含有割合が前記重合体に対して6重量%以上12重量%未満である特許請求の範囲第1項記載の難燃繊維複合体。
5 前記Sb化合物の含有割合が前記重合体に対して6重量%以上8重量%未満である特許請求の範囲第4項記載の難燃繊維複合体。
6 前記重合体にSb化合物を含有させた繊維60〜15重量部に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維40〜85重量部を含むようにした特許請求の範囲第1項記載の難燃繊維複合体。
7 前記重合体にSb化合物を含有させた繊維50〜20重量部に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維50〜80重量部を含むようにした特許請求の範囲第6項記載の難燃繊維複合体。
8 前記重合体にSb化合物を含有させた繊維60〜15重量部に対して、天然繊維40〜85重量部を含むようにした特許請求の範囲第6項記載の難燃繊維複合体。
9 前記重合体にSb化合物を含有させた繊維50〜20重量部に対して、化学繊維50〜80重量部を含むようにした特許請求の範囲第7項記載の難燃繊維複合体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃剤で高度に難燃強化したハロゲン含有繊維と他の繊維とを複合した、風合や吸湿性などに優れ、かつ難燃性を有する難燃繊維複合体に関する。さらに詳しくは、難燃剤であるSb化合物を多量に含有せしめたハロゲン含有繊維と、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維とを複合した難燃繊維複合体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インテリアのみならず、衣料や寝具用繊維製品においても難燃化が強く要望され、しかも難燃性以外の視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能に対する要望も強まってきている。
【0003】従来より繊維の難燃化に関する研究は、モダアクリル系繊維やポリクラール系繊維を中心に、ポリエステル系繊維やビスコースレーヨン繊維など特定繊維の単独物について行なわれており、1種の繊維の単独物では難燃性能に優れたものもえられているが、消費者のますます多様化し、高度化する要求にはほとんどこたえられていないのが現状である。したがって、必然的に難燃性繊維と他の繊維との混綿、混紡、交織などが必要となるが、2種以上の異種の繊維を混合した複合繊維に対する難燃化の研究は数が少ない。
【0004】たとえば、含燐ポリエステル繊維とアクリロニトリル系繊維との混合による複合繊維(特公昭52-21612号公報)や、スズ酸およびアンチモン酸含有ポリクラール繊維とポリエステル繊維、アクリル繊維、木綿などとの混合による複合繊維(特開昭 53-6617号公報)が有効であるとの記載はあるが、難燃性、風合、吸湿性などの点で充分とはいいがたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は消費者のますます多様化し、高度化する難燃性、視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などに対する要求にこたえられる繊維がないという問題を解決するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、Sb化合物を多量に含有したハロゲン含有重合体よりなる繊維を他の可燃性繊維と混合すると、従来の難燃性繊維と比べて、難燃性の低下の度合が極めて小さい難燃繊維複合体がえられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、ハロゲンを17〜86%(重量%、以下同様)含む重合体に、該重合体に対して6〜50%のSb化合物を含有させた繊維(以下、ハロゲンSb含有繊維ともいう)85〜15部(重量部、以下同様)に対して、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維(以下、他の繊維ともいう)15〜85部を含むようにした難燃繊維複合体に関するものであって、所望の難燃性を有し、かつ視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの消費者の多様化し、高度化した要求を満足させるものである。
【0008】前記難燃繊維複合体とは、ハロゲンSb含有繊維と他の繊維とを混紡または混綿したもの、ハロゲンSb含有繊維と他の繊維とを交撚したもの、前記混紡もしくは混綿したものを用いて製造した糸または前記交撚したものを用いて製造した交織または交編したもの、さらにはこれらの組合わせによってえられるものを含む概念である。
【0009】
【実施例】本発明においては、ハロゲンを17〜86%、好ましくは17〜73%含む重合体に、該重合体に対して6〜50%のSb化合物を含有させた繊維が使用される。
【0010】本発明に用いるハロゲンを17〜86%含む重合体としては、たとえばハロゲン含有単量体の重合物、ハロゲン含有化合物を添加した重合体または後加工によるハロゲン含浸重合体などがあげられる。
【0011】このような重合体の具体例としては、たとえば塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系単量体の単独重合体または2種以上の共重合体、アクリロニトリル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−塩化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニル−塩化ビニリデン、アクリロニトリル−臭化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニリデン−臭化ビニル、アクリロニトリル−塩化ビニル−臭化ビニルなどのハロゲン含有ビニル系単量体とアクリロニトリルとの共重合体、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、臭化ビニリデンなどのハロゲン含有ビニル系単量体の1種以上とアクリロニトリルおよびこれらと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、あるいはアクリロニトリル単独重合体にハロゲン含有化合物を添加した重合体、ハロゲン含有ポリエステルなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。また前記単独重合体や共重合体を適宜混合して使用してもよい。なお、本明細書にいうハロゲンを17〜86%含む重合体には、いかなる形においても部分アセタール化ポリビニルアルコールが含有されることはない。
【0012】前記共重合可能なビニル系単量体としては、たとえばアクリル酸、そのエステル、メタクリル酸、そのエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ビニルスルホン酸、その塩、メタクリルスルホン酸、その塩、スチレンスルホン酸、その塩などがあげられ、それらの1種または2種以上の混合物が用いられうる。
【0013】前記ハロゲンを17〜86%含む重合体がアクリロニトリル30〜70%、ハロゲン含有ビニル系単量体70〜30%およびこれらと共重合可能なビニル系単量体0〜10%からなる重合体のばあいには、えられる繊維が所望の難燃性を有しつつアクリル繊維の風合を有するため好ましい。また共重合可能なビニル系単量体の少なくとも1つがスルホン酸基含有ビニル系単量体のばあいには、染色性が向上するので好ましい。
【0014】なお、前記ハロゲンを17〜86%含む重合体中のハロゲン含量が17%未満では、繊維を難燃化することが困難となり、また86%をこえると、製造された繊維の物性(強度、伸度、耐熱性など)、染色性、風合などの性能が充分でなくなり、いずれも好ましくない。
【0015】本発明に用いるSb化合物は難燃剤として用いられるものであり、その具体例としては酸化アンチモン(Sb2 3 、Sb2 4 、Sb2 5 など)、アンチモン酸、オキシ塩化アンチモンなどの無機アンチモン化合物があげられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いてもよく、2種以上組合わせて用いてもよい。
【0016】ハロゲンを17〜86%含む重合体に対するSb化合物の割合は6〜50%である。該量が6%未満では難燃繊維複合体として必要な難燃性をうるために、ハロゲンSb含有繊維の難燃繊維複合体中における混合率を高める必要がある。このようにハロゲンSb含有繊維の混合率を高めると、難燃繊維複合体の難燃性以外の、たとえば視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能がえられにくくなる。一方、該量が50%をこえると、繊維製造時のノズル詰まりや繊維物性(強度、伸度など)の低下がおこり、高度に難燃強化した繊維の製造面や品質面などで問題が生じ、好ましくない。とくに難燃繊維に強い強度などや難燃繊維複合体に良好な、編織性などが求められるばあいには、Sb化合物の割合は6%以上12%未満が好ましく、6%以上8%未満がさらに好ましい。また難燃繊維複合体に高度の難燃性と製糸性とが求められるばあいには、Sb化合物の割合は12〜40%が好ましく、12〜30%がさらに好ましい。
【0017】本発明においてはハロゲンを17〜86%含む重合体に対するSb化合物の量が6〜50%に維持される限り、他の難燃剤と組合わせて用いてもよい。
【0018】前記Sb化合物と組合わせて用いることのできる他の難燃剤としては、たとえばヘキサブロモベンゼンなどの芳香族ハロゲン化物、塩化パラフィンなどの脂肪族ハロゲン化物、トリス(2,3-ジクロロプロピル)ホスフェートなどの含ハロゲン燐化合物、ジブチルアミノホスフェートなどの有機燐化合物、ポリ燐酸アンモニウムなどの無機燐化合物、MgO 、Mg(OH)2 、MgCO3 などの無機マグネシウム化合物、酸化第2スズ、メタスズ酸、オキシハロゲン化第1スズ、オキシハロゲン化第2スズ、水酸化第1スズなどの無機スズ化合物などがあげられる。該他の難燃剤の使用量は0〜10%であることが好ましい。
【0019】本発明においてはハロゲンSb含有繊維85〜15部、好ましくは60〜15部、さらに好ましくは60〜20部、とくに好ましくは50〜20部と、天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種の繊維15〜85部、好ましくは40〜85部、さらに好ましくは40〜80部、とくに好ましくは50〜80部とから、本発明の難燃繊維複合体が製造される。
【0020】本発明におけるハロゲンSb含有繊維と天然繊維および化学繊維よりなる群から選ばれた少なくとも1種との使用割合は、最終製品に要求される難燃性、視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能により決定されるものである。なおハロゲンSb含有繊維の種類およびその構成割合、他の難燃剤を用いるばあいにはその難燃剤の種類および添加量、混合する繊維の種類および組合わせなどにより前記使用割合が決められる。
【0021】前記ハロゲンSb含有繊維が15部未満、すなわち混合する天然繊維や化学繊維の割合が85部をこえるばあいには、難燃繊維複合体の難燃性が不足し、一方、ハロゲンSb含有繊維が85部をこえ、混合する天然繊維や化学繊維の割合が15部未満のばあいには、難燃性には優れているものの他の視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの性能が充分でなくなり、いずれも好ましくない。
【0022】本発明の難燃繊維複合体が所望の難燃性を有し、しかも混合する天然繊維や化学繊維の特徴をはっきりださせるためには、ハロゲンSb含有繊維が60〜15部で、混合する天然繊維や化学繊維の割合が40〜85部であることが好ましい。
【0023】他の繊維が天然繊維のばあい、とくにハロゲンSb含有繊維60〜15部に対して天然繊維40〜85部を混合するのが好ましく、また他の繊維が化学繊維のばあい、とくにハロゲンSb含有繊維が50〜20部に対して化学繊維50〜80部を混合するのが好ましい。
【0024】本発明の難燃繊維複合体が優れた難燃性を有する理由は、ハロゲンSb含有繊維にガス型の難燃効果を生ずるSb化合物が多量に混合されているため、不燃性のハロゲン化水素、ハロゲン、ハロゲン化アンチモンなどのガスを比較的低温で生成するとともに、該不燃性の分解物が可燃性の繊維を被覆してしまうためと推察される。
【0025】また、本発明の難燃繊維複合体の難燃性が混紡、交撚、混綿、交織、交編などの複合方法に依存せず、ほぼ同等の性能を示すのは、防炎試験などで接炎する炎の大きさと比較して、混紡、交撚、混綿はもちろんのこと、交織、交編においても組織が非常に緻密かつ均一であるためと考えられる。
【0026】前記天然繊維の具体例としては、たとえば綿、麻などの植物繊維や、羊毛、らくだ毛、山羊毛、絹などの動物繊維など、また化学繊維の具体例としては、たとえばビスコースレーヨン繊維、キュプラ繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、あるいはナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維などがあげられるが、これらに限定されるものではない。これらの天然繊維や化学繊維は単独でハロゲンSb含有繊維と複合してもよく、2種以上でハロゲンSb含有繊維と複合してもよい。
【0027】本発明に用いるハロゲンSb含有繊維は、無機金属化合物などの難燃剤を多量に含むものであるが、製造に際しては無機金属化合物などの難燃剤を振動ミルなどで充分粉砕し、粒径を2μm 以下に揃えることにより、ノズル詰まりや糸切れなどの紡糸上のトラブルを起こすことなく、またはあまり起こすことなく、通常の紡糸方法で製造することができる。
【0028】難燃繊維複合体を製造する方法としては、単繊維の状態で混綿したり、混紡したりしてもよく、交撚してもよく、それぞれの糸を製造したのち交織、交編してもよく、紡績のときに固まりにしてスラブやネップにしたり、巻きつけたりしてもよい。
【0029】なお本発明における繊維複合体とは、長繊維、短繊維のごときいわゆる繊維のみならず、糸、織物、編物、不織布などのごとき繊維製品をも含む概念である。
【0030】本発明の難燃繊維複合体には必要に応じて、帯電防止剤、熱着色防止剤、耐光性向上剤、白度向上剤、失透性防止剤などを含有せしめてもよいことは当然のことである。
【0031】このようにしてえられる本発明の難燃繊維複合体は、所望の難燃性を有し、しかも混合する他の繊維の視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの特性を併有している。
【0032】以下、実施例をあげて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお実施例における繊維の難燃性は酸素指数法(LOI法) によって下記のようにして測定した。これは、一般に繊維の難燃性は織物の状態で測定、評価されているが、織物では糸の撚数、太さ、打込本数などにより燃焼性に差を生じ、繊維自体の難燃性を正しく評価しえないためである。
【0033】(燃焼性)所定の割合で混綿した綿を2g 取り、これを8等分して約6cmのコヨリを8本作って酸素指数試験器のホルダーに直立させ、この試料が5cm燃え続けるのに必要な最小酸素濃度を測定し、これをLOI 値とした。LOI 値が大きい程燃えにくく、難燃性が高い。
【0034】製造例1〜2アクリロニトリル49.0%および塩化ビニル51.0%よりなる共重合体をアセトンに樹脂濃度で27.0%になるように溶解した。えられた樹脂溶液の一部をアセトンで3倍に希釈した液に、三酸化アンチモンを固形分濃度が50%になるように加え、振動ミルを用いて分散させた。この分散液を三酸化アンチモンが樹脂に対し20%になるように前記樹脂溶液に添加混合して、紡糸原液を調製した。
【0035】えられた紡糸原液をノズル孔径 0.08 mmおよび孔数 300ホールのノズルを用い、30%アセトン水溶液中へ押出し、水洗したのち 120℃で乾燥し、ついで3倍に熱延伸して、さらに 140℃で5分間熱処理を行なうことにより、ハロゲンSb含有モダアクリル繊維をえた(製造例1)。
【0036】三酸化アンチモンのかわりに、酸化マグネシウムを樹脂に対して10%添加したものを同様にして紡糸し、モダアクリル繊維をえた(製造例2)。
【0037】実施例1〜4および比較例1〜9製造例1でえられたハロゲンSb含有モダアクリル繊維および製造例2でえられたモダアクリル繊維それぞれと綿とを表1に示す割合で混綿し、燃焼性試験用試料を作製し、LOI 値を測定した。それらの結果を表1に示すとともに図1に示す。
【0038】また繊維複合体が綿としての特徴(視感、風合など)を有するか否かについて官能試験を行なった。それらの結果を表1に示す。なお表1中の○は綿としての特徴(吸湿性)を有する、×は有しないことを示す。
【0039】
【表1】

【0040】表1および図1の結果から明らかなように、製造例1のハロゲンSb含有モダアクリル繊維および製造例2のモダアクリル繊維は、単独では製造例2の繊維の方が難燃性が優れているものの、これらをそれぞれ綿と混綿し、繊維複合体としたばあいには、逆にハロゲンSb含有モダアクリル繊維を用いた方が製造例2のモダアクリル繊維を用いたものより難燃性の低下が非常に少なく、綿の混合割合が15部以上では高いLOI 値を示し、難燃性が優れていることがわかる。
【0041】実施例5〜6および比較例10〜11製造例1、2でえられたモダアクリル繊維のそれぞれ70部と綿30部とを混合した繊維複合体の紡績糸(30/2)よりなる経50本/吋×緯30、40、50本/吋の平織試織布(それぞれ実施例5および比較例10)を、消防法に規定される方法で防炎試験した結果、製造例1の繊維を用いたものは合格し、製造例2の繊維を用いたものは不合格であった。
【0042】また、製造例1、2でえられたモダアクリル繊維100 %の紡績糸(20/1)を130 本/吋になるように緯糸として用い、綿100 %の紡績糸(30/1)を85本/吋になるように経糸として用い、モダアクリル繊維/綿が重量比で50/50の交織平織織物(それぞれ実施例6および比較例11)を、消防法に規定される方法で防炎試験した結果、製造例1の繊維を用いたものは合格し、製造例2の繊維を用いたものは不合格であった。
【0043】以上のことから、混紡でも交織でも同様の効果を示すことがわかる。
【0044】製造例3〜12アクリロニトリル50%、塩化ビニル34%、塩化ビニリデン15%およびメタクリルスルホン酸ソーダ 1.0%よりなる共重合体をジメチルホルムアミドに樹脂濃度が25%になるように溶解した。えられた溶液に、製造例1と同様にしてえられた三酸化アンチモンの振動ミル分散液を、三酸化アンチモンが樹脂に対して0%、2%、6%、8%、10%、12%、15%、20%、50%、70%になるように添加混合し(それぞれ製造例3〜12)、紡糸原液を調製した。
【0045】えられた原液を60%ジメチルホルムアミド水溶液中へ押出したほかは製造例1と同様な方法で紡糸し、モダアクリル繊維をえた。なおそのばあいの紡糸性は、製造例12のばあいにノズルが詰まり、糸切れが発生したほかは良好であった。
【0046】実施例7〜13および比較例12〜14製造例3〜12でえられたモダアクリル繊維それぞれ50部と綿50部とを混綿し、繊維複合体をえた。
【0047】えられた繊維複合体のLOI 値を測定し、混綿しないモダアクリル繊維単独のLOI 値との差を求めた。それらの結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】表2の結果より、三酸化アンチモンの添加量が6%以上のばあい(製造例5〜12でえられたものを使用したばあい)には、明らかにLOI 値の低下の減少が認められることがわかる。しかし製造例3〜12で説明したように、三酸化アンチモンの添加量が70%になると、ノズル詰まり、糸切れなどの紡糸上の問題が発生する。
【0050】実施例14製造例10でえられた三酸化アンチモンを20%添加したモダアクリル繊維60部と綿以外の表3に示す種々の繊維40部とを混綿し、繊維複合体をえた。
【0051】えられた繊維複合体のLOI 値と混綿しないモダアクリル繊維単独のLOI 値とを測定し、その差を求めた。それらの結果を表3に示す。
【0052】比較例15製造例10で用いた三酸化アンチモンにかえて、メタスズ酸を樹脂に対し20%になるように添加した以外は製造例10と同様に紡糸して、モダアクリル繊維をえた。えられたモダアクリル繊維を用いて実施例14と同様にして混綿し、繊維複合体をえた。
【0053】えられた繊維複合体のLOI 値と混綿しないモダアクリル繊維単独のLOI 値とを測定し、その差を求めた。それらの結果を表3に示す。
【0054】
【表3】

【0055】表3の結果から、製造例10でえられたモダアクリル繊維を用いた繊維複合体(実施例14)は、比較例15の繊維複合体と比較してLOI 値の低下が少ないことがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明の難燃繊維複合体を用いると、所望の難燃性を有し、しかも単一の難燃性繊維のみからではえがたい、視感、風合、吸湿性、耐洗濯性、耐久性などの特徴を持ったインテリア、衣料および寝具用繊維製品がえられ、消費者のますます多様化し、高度化する要求にこたえることができるという効果がえられる。
【出願人】 【識別番号】000000941
【氏名又は名称】鐘淵化学工業株式会社
【出願日】 昭和59年(1984)10月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
【公開番号】 特開平9−21029
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平8−160045