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【発明の名称】 混繊糸
【発明者】 【氏名】佐藤 仁志

【氏名】森 敏明

【目的】 シルキーライクな混繊糸を提供するものである。
【構成】 捲縮伸長率(CE)/捲縮数(N)で定義されるクリンプ形状係数が0.02〜0.20であるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸とマルチフィラメント原糸が部分的に交絡してなることを特徴とする混繊糸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】捲縮伸長率(CE)/捲縮数(N)で定義されるクリンプ形状係数が0.02〜0.20であるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸とマルチフィラメント原糸とが部分的に交絡してなることを特徴とする混繊糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は混繊糸に関する。詳しくは、ニットアウタ−や織物、プリント物等に応用される混繊糸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、二種以上の繊維糸条を複合して、新規な風合い等の作用効果を与えることが試みられており、例えばポリエステル異収縮混繊糸は、本絹的な表面タッチ、優雅な光沢及びドレープ性を与えるものとして人気を博している。しかしながら、最近の市場ニーズからは、よりシルクに近いもの特に光沢及びドレープ性をレベルアップしたものが要求されている。
【0003】
【発明が解決するための課題】本発明は、かかる要求に応えた混繊糸を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は捲縮伸長率(CE)/捲縮数(N)で定義されるクリンプ形状係数が0.02〜0.20であるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸とマルチフィラメント原糸とが部分的に交絡してなることを特徴とする混繊糸である。
【0005】本発明の捲縮伸長率(以下CE)/捲縮数(以下N)で定義されるクリンプ形状係数(以下CE/N)が0.02〜0.20であるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸は、本出願人が特開平2−41428号公報で先に提案したものであり、ビスコースレーヨンマルチフィラメント糸が本来有する光沢や風合い、涼感、ドレープ性を損なうことなく、バルキー性を与えるものである。かかるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸は、例えば、15デニール程度のモノフィラメント糸(例えばナイロンの分繊糸)を用いてダブルカバリングしたりして商品開発を展開していたが、合成繊維等のマルチフィラメント原糸との混繊糸が、従来公知のポリエステル異収縮混繊糸に比べ、さらに一段とシルキーライクになることは予想外のことであった。
【0006】本発明で用いるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸のCEは、一定糸長をサンプリングし、一定荷重をかけた時の伸びを元の糸長で除した値(%)であり、Nは、糸長1インチあたりのクリンプの数(個数)、CE/Nは、CEをNで除した値であって、この値が0.02〜0.20好ましくは0.05〜0.12である必要がある。この値未満では、ビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸そのものに近く、この値を超えると単なるバルキー糸となりシルキーライクとは別個のものとなる。
【0007】かかる仮撚加工糸を得る好ましい仮撚条件は、仮撚数=(23000/√D+590)×0.6〜1.1(Dは供給糸のトータルデニール)、仮撚温度=100〜250℃、フィード率=+1〜−2%である。又、仮撚加工に供するビスコースマルチフィラメント原糸のヤング率が70〜100g/d、好ましくは70〜90g/dであるとさらにハリ、腰が一段と向上するので好ましい。かかる特定のヤング率を有するビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸は、いわゆるネットプロセス法や連紡法によって得ることが出来るものである。
【0008】ビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸のデニールは希望に応じて適宜選定すればよく、例えば単糸デニールとしては1〜3デニール、トータルでは50〜150デニール程度のものが用いられる。かかる仮撚加工糸と交絡するマルチフィラメント原糸とは、仮撚加工、コンジュゲート糸使い等による捲縮や、流体噴射加工等によるループ状の毛羽を有しないものをいい、特に無撚、無交絡のものが好ましいが、ビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸との交絡を阻害しない範囲内において例えば100T/m程度以下の甘撚、100ケ/m程度以下の交絡を施したものも包含する。マルチフィラメント原糸を用いずに、仮撚加工や流体噴射加工等による嵩高加工糸では単なるバルキー糸と変わらなくなり、本発明の目的が達成されない。
【0009】本発明に用いるマルチフィラメント原糸としては、シルク、キュプラ、ビスコースレーヨン、アセテート、ポリエステル、ポリアミド、アクリル等の各種マルチフィラメント原糸があるが、特にポリエステル等の合成繊維マルチフィラメント糸の原糸が本発明の目的達成上好ましい。合成繊維マルチフィラメント原糸の好例としては、単糸デニールが0.05〜0.5デニールのいわゆる極細繊維(よりシルキーライクとなる)、沸水収縮率が6%以下、好ましくは4%以下の低収縮糸、例えば6000m/分以上の巻取速度で高速紡糸されたスピンテイクアップ方式のポリエステルマルチフィラメント糸(例えば旭化成ポリエステル長繊維;商品名「テック」)、高速紡糸されたアクリルマルチフィラメント糸(例えば旭化成アクリル長繊維;商品名「ピューメックス」)はチーズ染色に最適である。
【0010】マルチフィラメント原糸のデニールは希望に応じて適宜選定すればよく、例えば単糸デニールとしては1〜3デニール、フィラメント数20〜50、トータルでは20〜50デニール程度のものが好ましい。又、初期ヤング率の高いものが好ましく例えば50g荷重下で2%以下の伸びのものがよい。かかるビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸とマルチフィラメント原糸は、乱流空気によって交絡混繊、いわゆるインターレース混繊を行うが、交絡数は30〜150ケ/m、好ましくは50〜130ケ/m、さらに好ましくは80〜100ケ/mがよく、30ケ/m未満では製編織等の二次加工において両者の糸条が分離することがあり、150ケ/mを越える交絡数を付与しても効果的な違いは殆どなく、逆に糸切れ等の問題が出やすくなる。
【0011】又、インターレース混繊に際しては、ビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸の方を5〜15%程度、好ましくは8〜15%程度オーバーフィードして供給した方がよりシルキーライクとなるので好ましい。本発明の混繊糸は無撚が最適だが必要に応じて200T/m程度以下で追撚して用いてもよい。
【0012】又、製編織するに際し、本発明の目的を損なわない範囲内において例えば綿等の天然繊維や再生セルロース繊維の原糸、有撚糸、意匠糸や紡績糸と混用してもよく、またポリエステルに代表される合成繊維(レギュラー糸、高速紡糸糸条)の原糸、有撚糸、意匠糸、異収縮混繊糸、自発伸長性混繊糸、梳毛調加工糸例えばポリエステル高配向未延伸糸(POY)のような高伸度糸と、低伸度糸例えばポリエステルのレギュラー糸、カチオン可染糸や6000m/分以上の巻取り速度で紡糸されたスピンテイクアッブ糸との引き揃え交絡仮撚糸や紡績糸と混用しても良く、希望する編織物風合いに応じて適宜選定すれば良い。
【0013】編組織としては丸編地でも経編地でもよく、ゲージも制限なく例えば12〜36GGの範囲で可能である。織物の組織については、平、綾、朱子及びこれら変化組織があるが特に朱子組織が好ましい。生機密度は経は130〜300が好ましく、さらに好ましくは150〜180本/インチ、緯は50〜150が好ましく、さらに好ましくは60〜80本/インチ、仕上げ密度は経は150〜350が好ましく、さらに好ましくは170〜200本/インチ、緯は60〜180が好ましく、さらに好ましくは70〜100本/インチである。
【0014】又、必要に応じて、例えばエメリーペーパー、ブラシ、針布等によりいわゆるピーチスキンのような起毛を付与してもよく、その他エンボス、プリント等の各種の仕上げ加工を施しても良い。又、柔軟剤、揆水剤、制電剤等の仕上げ処理剤を用いても良い。又、反発性等を与えるためにポリウレタン系重合体等を付与しても良い。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。尚、CEは、JIS L1077−5・7「伸縮性」測定法、Nは、JISL1074−6・11・1「捲縮数」測定法に準拠して測定した。また、ヤング率は、1%伸長の応力をデニールで除した値であり、沸水収縮率は、JIS L1073−6・12「熱水収縮率」測定法、交絡数はJIS L−1013法に準拠して測定した値である。
【0016】
【実施例1及び比較例1】ヤング率が80g/dの75d/33fのビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸(沸水収縮率6.5%)を用い、仮撚温度200℃、フィード率+1%として仮撚数を変化させてCE/Nの異なる仮撚加工糸を得た。次いで、得られた仮撚加工糸(8%のオーバーフィードで供給)と沸水収縮率3%の33d/24dポリエステルマルチフィラメント原糸(7000m/分の巻取速度で高速紡糸されたスピンテイクアップ糸;1%のオーバーフィードで供給)をインターレース混繊し、交絡数100ケ/mの混繊糸を得た。
【0017】この混繊糸を用いて28GGの天竺丸編地を作製し、常法によりプレセット、染色仕上げした。CE/Nが0.02、0.05、0.10、0.12、0.20の仮撚加工糸、特に0.05〜0.12の仮撚加工糸を用いたものは極めた優れたシルキーライクな風合い、光沢、ドレープ性を有するものであったが、0.015のものの風合い等はビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸使いと殆ど変わらず、又、0.22、0.30のものの風合い等はバルキー糸使いの風合いと変わらずシルキーライクには程遠いものであった。
【0018】
【比較例2】実施例1で用いたCE/Nが0.10のビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸とポリエステルマルチフィラメント原糸を600T/mで交撚したものを用いた以外は実施例1同様に丸編地を得た。得られた丸編地はビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸の捲縮が消失した膨らみの無い単なるビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸とポリエステルマルチフィラメント原糸の交撚糸の風合いであり、シルキーライクには程遠いものであった。
【0019】
【比較例3】実施例1で用いたCE/Nが0.10のビスコースレーヨンマルチフィラメント仮撚加工糸と、実施例1で用いたポリエステルマルチフィラメント原糸の仮撚加工糸(3500T/m)を実施例1同様にインターレース混繊し、丸編地を得た。
【0020】得られた丸編地はバルキー糸使いの風合いと変わらずシルキーライクには程遠いものであった。
【0021】
【実施例2】ヤング率の異なる75d/33fのビスコースレーヨンマルチフィラメント原糸を用い、仮撚温度200℃、フィード率+1%、仮撚数2500で仮撚加工して得られた仮撚加工糸(CE/N=0.08)を用いた以外は実施例1同様に丸編地を得た。
【0022】ヤング率が70g/d、80g/d、100g/dのものは、ヤング率が60g/dのものよりもさらにハリ、腰に優れたシルキーライクのものであった。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、シルキーライクな風合い、光沢、ドレ−プ性を有する混繊糸を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−21027
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−165010