トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り




【発明の名称】 潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸
【発明者】 【氏名】西田 右広

【氏名】段本 佳久

【目的】 通常の染色加工を施すことによって適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感、更には微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を有す織編物に加工し得る潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸を提供する。
【構成】 エチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70cc/gのポリエステルからなる160℃乾熱収縮率SHDが負であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり通常の染色加工を施すことによって微細捲縮発現する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70cc/gのポリエステルからなり160℃乾熱収縮率SHDが負であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり染色加工を施すことによって以下に示す領域の微細捲縮が発現することを特徴とする潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条。
20/インチ≦CN≦90/インチ 20≦BD≦120 −10%≦SHD<0% −2%≦SHW≦3%但し、CNはフィラメントの1in当たりの捲縮個数(/ンチ) を示すものでありBDは嵩高度(−) 、SHDは160℃乾熱収縮率(%)、SHWは沸水収縮率(%)を示すものである。
【請求項2】 請求項1記載の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条とそれとは別の熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み合わせてなる混繊糸であり交絡度、及び両者糸条の乾熱160℃収縮率差ΔSHDが下記範囲にある潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる混繊糸。
20/m ≦Di≦100/m 5%≦ΔSHD≦30%但し、Diは交絡個数(/m) 、ΔSHDは潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者の乾熱160℃収縮率差(%)を示すものである。
【請求項3】 潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み合わせてなる混繊糸の乾熱160℃処理後の糸長差YLが下記範囲である請求項2記載の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる混繊糸。
1%≦YL≦10%但しYLは乾熱160℃処理後の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸の糸長差(%)を示すものである。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエステルマルチフィラメント糸からなる潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸であり、布帛に製織編加工した後、通常の染色加工を実施することによって自己伸長発現すると共に、微細捲縮が発現することによって微細な粉末をまぶしたようなタッチ(マイクロパウダータッチ)を有する新規風合い織編物を提供することの出来る潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリエステルマルチフィラメントを用いた織編物、特に婦人用薄地から中肉、厚地に至る分野で主に異収縮混繊糸を用いた織編物が多数上市されている。これらの商品はその熱収縮差を利用し織編物にふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を付与し、更にアルカリ減量加工を組み合わせることによって繊維間及び組織のルーズ化を行い、シルキー風合いを実現させるものであるがそのふくらみ感やソフト感を向上させるために過度に熱収縮差を増加させてしまうと逆にフカツキ感やボテ感を感じさせるものとなってしまう。また単に絹に良く似た風合いを得るに過ぎず、織編物に新規風合いを付与するには不十分なものであった。また、昨今では特開平2−293410号公報や特開平5−331705号公報などで開示されている自己伸長糸と熱収縮糸を組み合わせた混繊糸織編物も多数提案、上市されてきている。しかしながらこれら開示されている手法では染色加工の際に結晶配向化が進行し自己伸長を示すものであるが自己伸長糸を構成するフィラメント糸が一様に自己伸長発現してしまい、ふくらみ感やソフト感には富むものには仕上がるが、触感としてポリエステル特有のヌメリ感が残存してしまい、好ましいものとはならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリエステルマルチフィラメント糸及びその混繊糸に関するものであり、染色加工時の湿熱処理及び乾熱処理によって自己伸長を示すと共に微細捲縮発現し、ポリエステル織編物特有のヌメリ感を何ら感じさせることなく、微粉末を表面にまぶしたようなタッチ(マイクロパウダータッチ)を有し、尚且つ適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、ドレープ性を有する新規風合い織編物に加工し得る潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条は以下の構成よりなる。エチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度〔η〕が0. 45〜0.70cc/gのポリエステルからなり160℃乾熱収縮率SHDが負であるポリエステルマルチフィラメント糸条であり、染色加工を施すことによって以下に示す領域の微細捲縮が発現することを特徴とする潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条。
20/インチ≦CN≦90/インチ 20≦BD≦120 −10%≦SHD<0% −2%≦SHW≦3%但し、CNはフィラメントの1in当たりの捲縮個数(/ンチ) を示すものでありBDは嵩高度(−) 、SHDは160℃乾熱収縮率(%)、SHWは沸水収縮率(%)を示すものである。
【0005】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸は以下の構成よりなる。請求項1で規定される特徴を有する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条とそれとは別の熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み合わせてなる混繊糸であり交絡度、及び両者糸条の乾熱160℃収縮率差ΔSHD、及び混繊糸の乾熱160℃処理後に於ける潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者間に生じる糸長差YLが各々下記範囲に存在する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条からなる混繊糸。
20/m ≦Di≦100/m 5%≦ΔSHD≦30% 1%≦YL≦10%但し、Diは交絡個数(/m) 、ΔSHDは潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者の乾熱160℃収縮率差(%)、YLは乾熱160℃処理後の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸の糸長差(%)をそれぞれ示すものである。
【0006】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸を得るに際しては重合体としてエチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70cc/gのポリエステルを使用し、溶融紡糸法によってポリエステルマルチフィラメント糸を得るものであるが、15モル%を超過しない範囲でテレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸成分とエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等のグリコール成分を組み合わせてなるエステル形成性誘導体等をその共重合成分として含むものであっても構わない。また必要に応じて二酸化チタンや硫酸バリウム、カオリナイト、二酸化珪素等の無機微粒子や顔料、その他添加剤を混入させたポリエステルであってもよい。
【0007】使用するポリエステルはエチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%以上含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70cc/gのものであることが必要であり、エチレンテレフタレート成分が85モル%未満では溶融紡糸に於ける曳糸性が悪化する他、布帛に加工する際のアルカリ減量によってアルカリ加水分解作用を選択的に強く受けてしまい、脆化の程度が著しく、布帛は実用に耐え得る強力を保持するものには成り得ない。また固有粘度〔η〕に関しては0.45〜0.70cc/gの範囲、より好ましくは0.55〜0.65cc/gの範囲である。該固有粘度〔η〕が0.45cc/g未満の範囲ではポリエステルの重合度が小さくなり過ぎ、溶融紡糸時の曳糸性の悪化、延伸時の毛羽、糸切れの発生やアルカリ減量加工時にアルカリ加水分解作用を選択的に強く受けてしまう効果による布帛の引裂強力の低下等を引き起こしてしまい好ましい範囲ではない。また該固有粘度〔η〕が0.70cc/gを著しく超過する高重合度のものとなると溶融紡糸時、紡糸パックに於ける溶融ポリマー圧力損失が大きいものとなり、紡糸操業性に支障を来してしまう恐れがある他、アルカリ減量加工時には高重合度のためにアルカリ加水分解反応が進み難く、減量加工時間が余分にかかり、加工工賃が増加してしまい好ましくない。
【0008】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸を用い織編物に製織編した後、通常の染色加工を施すことによって自己伸長発現すると共に微細捲縮発現し布帛に適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を付加せしめるものである。微妙な表面タッチを得るには単糸フィラメントの1in当たりの捲縮個数(/インチ)CNが20/インチ 以上90/インチ 以下の範囲であることが望ましい。捲縮個数CN(/インチ) は単糸フィラメントに発現する山と谷の個数を数え単位長さ当たりの捲縮個数として算出したものである。該捲縮個数CNが20/インチ未満の範囲となると自己伸長発現によってふくらみ感(嵩高性)やソフト感は向上するものの表面タッチは微妙なものとはならず、ポリエステル特有のヌメリ感を取り除くことが出来ず、風合いとして好ましいものには仕上がらない。また該捲縮個数CNが90/インチ を超過する、超微細捲縮を発現するものとなると自己伸長発現によるふくらみ感(嵩高性)、ソフト感が更に助長され軽量感に富む風合いとなるがいささかフカツキ感を感じるものとなる。捲縮個数CNが20/インチ 以上90/インチ 以下、より好ましくは30/インチ 以上70/インチ 以下の範囲となるとふくらみ感(嵩高性)、ソフト感が充分でフカツキ感やヌメリ感を感じさせない、微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を有する織編物となるのである。
【0009】また自己伸長発現、微細捲縮発現した後の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の嵩高度BDは20以上120以下の範囲が望ましい。該嵩高度BDが20未満の範囲となれば布帛に適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を付与し得ない他、ポリエステル特有のヌメリ感を完全に除去することが出来ず、微妙な表面タッチを与えられない。また嵩高度BDが120を超過する範囲となるとフカツキ感を感じるものとなってしまい安っぽい感じのものとなり好ましい領域ではない。嵩高度BDは20以上120以下、より好ましくは30以上100以下の範囲であればふくらみ感(嵩高性)、ソフト感とも適度でありヌメリ感やフカツキ感がなく微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を感じる新規風合いの布帛に仕上げることが可能になるのである。
【0010】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の乾熱160℃に於ける乾熱収縮率SHDは−10%以上0%未満、より好ましくは−7%以上−2%以下の範囲であることが望ましい。該乾熱収縮率SHDが0%以上の範囲では実質的に糸条は熱収縮性を示してしまい該潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる混繊糸は単なる異収縮混繊糸使いの織編物の如き風合いとなり、ふくらみ感(嵩高性)やソフト感が不足したものに仕上がってしまう。また乾熱収縮率SHDが−10%未満の範囲となると自己伸長率が高くなり過ぎ、織編物はフカツキ気味に仕上がってしまい品位的に好ましいものとはならない。また抗ピリング性能が著しく悪化する恐れがあり消費性能から考えても好ましい領域ではない。
【0011】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の沸水収縮率SHWは−2%以上3%以下の範囲、より好ましくは−1%以上3%以下の範囲である。該沸水収縮率SHWが−2%未満の範囲となると該潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸よりなる混繊糸を撚糸セットやサイジング処理する際にパッケージ等に巻かれた混繊糸表面より突出するループを多数形成してしまい、パッケージからの解舒性不良や織編物のふくらみ感(嵩高性)やソフト感不足を引き起こしてしまい好ましいものとはならない。また該沸水収縮率SHWが3%を超過する範囲となれば実質的に潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条は自己伸長性を示さないものとなり、布帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に欠如したものとなってしまい風合い的に好ましいものには仕上がらない。
【0012】また本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸の交絡個数Di(/m) は20/m 以上100/m 以下、より好ましくは30/m 以上70/m 以下の範囲が望ましい。該交絡個数Diが20/m 未満の範囲となると混繊糸の糸割れ等、糸条取扱性が悪化し撚糸工程通過性等に支障を来す等の不具合が生じ好ましい範囲とは言い難い。また該交絡個数Diが100/m を超過する範囲となると混繊糸が締まり過ぎてしまい布帛の風合いが固くなってしまい適度なふくらみ感(嵩高性)やソフト感を付与することが出来ない。該混繊糸の交絡個数Diは糸割れ等、糸条取扱性が悪化しない程度の交絡(エンタングルメント)が存在すればよく、過度に交絡個数を増加させたり交絡を強固なものにすると風合いが固くなったり、インターレースマーク等の不具合が生じてしまう他、高圧空気消費量も増加してしまう結果、ランニングコストも著しく増加してしまうため好ましくないのである。
【0013】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸を構成する請求項1で規定する特徴を有する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及び熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の乾熱160℃に於ける乾熱収縮率SHDの差(ΔSHD)は5%以上30%以下、より好ましくは10%以上25%以下の範囲であることが望ましい。ここで当然のことながらSHD値は潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条より熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の方が大きい値をとるものである。該乾熱収縮率差(ΔSHD)が5%未満の範囲となれば布帛はふくらみ感(嵩高性)やソフト感を感じさせるものとはならず風合いや品位的に好ましいものにはならない。また該乾熱収縮率差(ΔSHD)が30%を超過すると布帛のふくらみ感(嵩高性)が大きくなり過ぎ、フカツキ感が感じられるようになってしまい品位的に好ましいものにはならないのである。
【0014】また、潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条両者間の乾熱160℃処理後の糸長差YL(%)は1%以上10%以下であることが望ましい。ここで当然のことながら該糸長は自己伸長性を有する潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の糸長の方が熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の糸長より大きくなるものである。該糸長差YLが1%未満となれば潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の自己伸長による、布帛表面を効果的に覆うループを形成することが出来ず、布帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に乏しいものとなってしまう。また該糸長差YLが10%を超過する範囲となれば潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなるループが多数形成され、効果的に布帛表面を覆い、触感としては非常にソフトなものとなるが、若干フカツキ感が感じられるようになり、品位としては好ましいものとはならない。また抗ピリング性能も低下してしまい消費性能を考慮しても好ましい領域であるとは言い難い。
【0015】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の製造方法については、エチレンテレフタレート単位を少なくとも85モル%含む固有粘度〔η〕が0.45〜0.70g/ccのポリエステルを用いる以外、特に限定するものではないが、例えば2000〜4000m/min.の範囲の紡糸引取速度で溶融紡糸したポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を弛緩率10〜100%で乾熱弛緩処理する方法、或いは2000〜4000m/min.の範囲の紡糸引取速度で溶融紡糸したポリエステルマルチフィラメント未延伸糸を該未延伸糸の一次転移温度以上結晶化温度以下の温度領域で延伸した後、弛緩率10〜100%で乾熱弛緩処理する方法等が挙げられる。乾熱弛緩処理はスリットヒーターの使用が望ましく弛緩率を増加させることによって熱収縮能が除去され易くなり自己伸長率向上に効果があるばかりでなく、フィラメント糸間の熱収縮能除去の程度のバラツキが生じ易くなり潜在微細捲縮発現能を付与することが可能となる。熱収縮能除去の程度のバラツキを更に大きくし、潜在捲縮発現能を更に向上させたい場合には弛緩ゾーンに糸条を導入する以前に小型のセットヒーターで瞬間的熱処理を施しておくことによって糸条間の熱収縮能除去状態が更に不均一化される他、単糸フィラメント1本に於ける、長さ方向への熱収縮能のバラツキを更に増加させることが出来、潜在捲縮発現能の付与には該セットヒーターでの瞬間的熱処理を併用して乾熱弛緩処理を行うことが望ましい。該乾熱弛緩処理に於ける好適な弛緩率としては、過度に弛緩率を増加させると弛緩されきれずにループや弛み等の突出糸部を多数形成してしまい、次工程に於ける解舒性難を引き起こしてしまうため、弛緩率は使用する原糸マルチフィラメントの物性にもよるが大略60%程度に抑制しておくことが望ましい。
【0016】しかしながら自己伸長能を付与する技術としては高弛緩率で熱処理し収縮成分を取り除く(分子配向は乱れるが熱収縮成分は充分除去出来る)、或いは結晶化温度近傍で一次加熱し熱収縮能を予め除去した後、低弛緩率で熱処理する(分子配向は乱れないが結晶化度は大幅に増加する)が考えられるが後者の手法ではマルチフィラメントが一様に熱処理されるため事実上潜在捲縮能と自己伸長能両者をマルチフィラメント糸に付与することが出来ない。前者の如く高弛緩率で乾熱処理することによってマルチフィラメント糸を構成するフィラメント糸間で熱収縮能除去の程度のバラツキ、分子配向の乱れのバラツキが生じ、結果布帛構造物にした後、通常の染色加工を施すことによって潜在微細捲縮と自己伸長が発現し、布帛はふくらみ感(嵩高性)、ソフト感に富み、独特のタッチを有するものとなるのである。しかしながら前者の高弛緩率での乾熱処理のみでは潜在微細捲縮発現能がやや不足しているため、セットヒーターでの瞬間的熱処理を併用し、更に潜在微細捲縮発現能を増加させておくことが望ましい。該瞬間的熱処理は糸条の結晶化が促進されない程度の熱量を糸条に付与してやれば充分であり結晶化促進され過ぎないような加熱滞留時間、加熱温度を採用することが望ましい。
【0017】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸の総デニールについては特に限定されるものではないが一般衣料用途を考慮し大略30〜300デニールの範囲内でその風合いや用途に応じて適宜選定することが出来る。また潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の構成比は重量比として、30/70〜70/30、より好適には40/60〜60/40が望ましい。更に潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の単糸デニールの好適な範囲としては0.3デニール〜3.0デニールであり、熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の単糸デニールの好適な範囲は大略3.0デニール〜10.0デニールである。勿論これらも何ら限定されるものではなく、風合いや用途等に応じて適宜組み合わせを考慮するとよい。
【0018】更に本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸は潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を組み合わせてなるものであるが、該混繊には常温の高圧空気流を使用した公知のインターレースノズルを使用することが出来る。高圧空気の圧力は処理する糸条の走行速度、インターレースノズルの種類(形状)、糸条の総デニール、フィラメント本数等によって適宜選定することが必要となるが大略2〜6kg/cm2の範囲での使用が望ましい。
【0019】本発明の潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条よりなる混繊糸はそのまま、或いは公知の撚糸機を用いて施撚した後、布帛構造物に製織編された後、通常の染色加工を施される。この染色加工工程に於ける乾熱処理、湿熱処理によって潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条は自己伸長発現すると共に微細捲縮発現し、ふくらみ感(嵩高性)に富み、ソフトで微妙な触感(マイクロパウダータッチ)を有する新規風合いを示す布帛とすることが出来る。また該布帛のふくらみ感、ソフト感を更に向上させるためにサンディング処理やエメリー起毛処理等による表面起毛処理を併用してもよい。
【0020】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。勿論、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。尚、本文中及び実施例記載の各物性値は以下の測定方法によるものである。
(a) 固有粘度〔η〕(cc/g)
フェノールとテトラクロロエタンの等重量混合物を溶媒とし、ウベローデ粘度計を使用し20℃±0.5℃の恒温条件下で粘度数ηsp/cを求め、ηsp/cを溶液濃度cに対しプロットし、c→0にηsp/cを外挿することにより〔η〕を求める。
【0021】(b) 捲縮個数CN(/インチ
試料を枠周位置1.125mの検尺機を使用し)1g/dの初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き回数が8回の小綛を作成し、0.30g/dの荷重を掛けた状態で沸騰水(100℃)中で20分間処理を行う。試料を取り出し0.30g/dの荷重を掛けた状態で風乾した後、荷重を掛けた状態で乾燥機中に入れ乾熱160℃で10分間乾燥する。乾燥後冷却し、マルチフィラメント糸をビロード板上で単糸フィラメントに丁寧に分ける。単糸フィラメントをビロード板上に張力が掛からぬように設置し1インチ当たりの捲縮個数(山と谷の総計)を目視にて測定する。マルチフィラメント糸条を構成する単糸フィラメントを任意に10本採取し、単糸フィラメント1本当たり任意の5箇所で捲縮個数(山と谷の総計)を測定し、測定値の平均値(n=50)を以て捲縮個数CNとした。
【0022】(c) 嵩高度BD(−)
試料を枠周位置1.125mの検尺機を使用し0.1g/dの初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き回数が8回の小綛を作成し、0.30g/dの荷重を掛けた状態で沸騰水(100℃)中で20分間処理を行う。試料を取り出し0.30g/dの荷重を掛けた状態で風乾した後、荷重を掛けた状態で乾燥機中に入れ乾熱160℃で10分間乾燥する。乾燥後冷却し、マルチフィラメント糸をビロード板上で単糸フィラメントに丁寧に分ける。単糸フィラメントの捲縮の幅(山と谷の間隔=振幅)を直径とする疑似円柱の体積と単糸フィラメントの糸径を直径とする円柱の体積との比を嵩高度として求める。単糸フィラメントをビロード板上に張力が掛からぬように設置し捲縮の幅(山と谷の間隔=振幅)を(b) 同様に計50箇所測定しその平均値L1 を求める。次に単糸フィラメントの糸径を計50箇所測定しその平均値L2 を求め、次式にて嵩高度BDを算出する。尚ここで単糸フィラメントの捲縮の幅(山と谷の間隔=振幅)を直径とする疑似円柱と単糸フィラメントの糸径を直径とする円柱の高さは等しいものとおき、それらの体積比を以て嵩高度BDとする。
嵩高度BD=(L1 /2)2 ÷(L2 /2)2【0023】(d) 160℃乾熱収縮率SHD(%)
試料に1/30(g/d)の荷重を掛け、その長さL3(mm) を測定する。次いでその荷重を取り除き、試料を乾燥機に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後冷却し、再度1/30(g/d)の荷重を掛け、その長さL4(mm) を測定する。上記L3 、L4 を下記式に代入し、乾熱収縮率SHDを求める。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
SHD(%)=(L3 −L4 )/L3 ×100【0024】(e) 沸水収縮率SHW(%)
試料を枠周1.125mの検尺機を使用し0.1g/dの初荷重を掛け、120回/分の速度で巻き返し、巻き回数が20回の小綛を作成し、初荷重の40倍の重りを掛けて、綛長L5(mm) を測定する。続いて重りを外し、収縮が妨げられないような方法で沸騰水(100℃)中に30分間浸漬した後、取り出して吸取上或いは綿布で水を拭き取り、水平状態にて風乾する。風乾後、再度重りを掛けて綛長L6(mm) を測定する。上記L5 、L6 を下記式に代入し沸水収縮率SHWを求める。尚、測定回数5回の平均値を以てその測定値とする。
SHW(%)=(L5 −L6 )/L5 ×100【0025】(f) 混繊糸の乾熱160℃処理後の糸長差YL(%)
試料(混繊糸)を30cm採取し、0.30g/dの荷重を掛けたまま、該試料を乾燥機に入れ乾熱160℃で30分間乾燥する。乾燥後冷却し混繊糸の交絡部を丁寧に解きほぐし、自己伸長発現しループ部を形成している潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条と熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条を分離し、混繊糸一定長さ当たりの糸長差を求める。尚、該糸長差は下記式によって算出されるものであり、測定回数20回の平均値を以てその測定値とするものである。
YL(%)=(L7 −L8 )/L8 ×100但し、L7 は潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条の糸長(mm)、L8 は熱収縮性を示すポリエステルマルチフィラメント糸条の糸長(mm)である。
【0026】(実施例1)固有粘度〔η〕が0.635cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度3500m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸糸を表面温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)にて瞬間的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度200℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率50%、加工速度200m/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間で弛緩熱処理を施した。該弛緩熱処理後のマルチフィラメント未延伸糸の沸水収縮率SHWは−0.9%、160℃乾熱収縮率SHDは−6.3%であり実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮個数CNは45.2/インチ 、嵩高度BDは66.2であり微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富むものとなっていた。
【0027】該弛緩熱処理後のマルチフィラメント未延伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SHD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸160デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混繊糸の交絡個数Diは58.3/m であり取扱性には支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差YLを測定すると4.2%であった。
【0028】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施した後、生機密度が経133本/in、緯73本/inのサテン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上密度が経153本/in、緯84本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を観察したところ、弛緩熱処理されたポリエステルマルチフィラメント未延伸糸が自己伸長及び微細捲縮発現してなるループを多数形成しており、該染色加工布の表面は該ループ部によってほぼ覆われていることが確認された。該染色加工布の風合いは適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感を有するものとなっており尚且つ、微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を感じるものに仕上がった。
【0029】(実施例2)固有粘度〔η〕が0.635cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度3000m/min.で巻き取りポリエステマルチフィラメント未延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該ポリエステマルチフィラメント未延伸糸を延伸機を使用し、延伸温度80℃で1.5倍の延伸を実施した後、パッケージとして巻き取りポリエステルマルチフィラメント延伸糸27デニール24フィラメントを得た。該延伸糸を表面温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)にて瞬間的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度205℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し、弛緩率50%、加工速度400m/min.、ヒーター滞留時間0.09秒間で弛緩熱処理を施した。該弛緩熱処理後のマルチフィラメント延伸糸の沸水収縮率SHWはは−0.7%、160℃乾熱収縮率SHDは−3.8%であり実質的に糸条は自己伸長能を有するものであった。また、捲縮個数CNは52.1/インチ 、嵩高度BDは59.8であり微細捲縮発現によって糸条は嵩高性に富むものとなっていた。
【0030】該弛緩熱処理後のマルチフィラメント延伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SHD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸140デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混繊糸の交絡個数Diは62.7/m であり取扱性には支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差YLを測定すると2.1%であった。
【0031】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施した後、生機密度が経138本/in、緯76本/inのサテン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上密度が経158本/in、緯87本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を観察したところ、弛緩熱処理されたポリエステルマルチフィラメント延伸糸が自己伸長及び微細捲縮発現してなるループを多数形成しており、実施例1同様該染色加工布の表面は該ループ部によってほぼ覆われていることが確認された。該染色加工布の風合いは適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感を有するものとなっており尚且つ、微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を感じるものに仕上がっていた。
【0032】(比較例1)固有粘度〔η〕が0.635cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度3500m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸糸を表面温度150℃のセットヒーター(接触式加熱)にて瞬間的熱処理を施した後、引き続き雰囲気温度200℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し弛緩率0%、加工速度200m/min.、ヒーター滞留時間0.18秒間で定長熱処理を施した。該定長熱処理後のマルチフィラメント未延伸糸の沸水収縮率SHWは1.2%、160℃乾熱収縮率SHDは2.5%であり実質的に糸条は熱収縮性を示すものであった。また捲縮は発現しておらず糸条は嵩高性のないものであった。
【0033】該定長熱処理後のマルチフィラメント延伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SHD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸140デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混繊糸の交絡個数Diは54.5/m であり取扱性には支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差YLを測定すると0.5%であった。
【0034】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施した後、生機密度が経138本/in、緯76本/inのサテン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上密度が経158本/in、緯87本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を観察したところ、該定長熱処理されたポリエステルマルチフィラメント延伸糸は自己伸長を示しておらず、該染色加工布の風合いはふくらみ感(嵩高性)、ソフト感とも不足し、ヌメリ感の残存する、風合いや品位として好ましいものにはならなかった。
【0035】(比較例2)固有粘度〔η〕が0.635cc/gであるポリエチレンテレフタレートセミダルレジンを使用し通常の溶融紡糸法によって紡糸引取速度3500m/min.で巻き取りポリエステルマルチフィラメント未延伸糸40デニール24フィラメントを得た。該未延伸糸を表面温度100℃のホットローラーで熱処理した後、引き続き雰囲気温度220℃のスリットヒーター(非接触式加熱)を使用し、弛緩率20%、加工速度500m/min.、ヒーター滞留時間0.07秒間で二段弛緩熱処理を施した。該二段弛緩熱処理後のマルチフィラメント未延伸糸の沸水収縮率SHWは−4.6%、160℃乾熱収縮率SHDは−6.2%であり実質的に糸条は自己伸長性を示すものであった。しかしながらマルチフィラメント糸が一様に自己伸長発現しており微細捲縮を有するものとはなっておらず、嵩高性に乏しいものであった。
【0036】該二段弛緩熱処理後マルチフィラメント未延伸糸と沸水収縮率SHW16%、160℃乾熱収縮率SHD18.5%のポリエステルマルチフィラメント通常延伸糸100デニール20フィラメントをファイバーガイド社製インターレースノズルFG4タイプを使用し、常温の高圧空気流にて混繊交絡処理を施し、混繊糸148デニール44フィラメントを得た。該交絡処理された混繊糸の交絡個数Diは62.3/m であり取扱性には支障のないものであった。また、該混繊糸に於ける糸長差YLを測定すると3.0%であった。
【0037】該マルチフィラメント混繊糸を村田機械社製ダブルツイスターNo.310Cを使用し撚糸を実施した後、生機密度が経136本/in、緯75本/inのサテン組織に製織した。製織した布帛を精練、リラックス処理した後、液流染色機を使用し減量率として20%のアルカリ減量加工を施し、引き続き液流染色機を使用し分散染料によって染色加工を施し、通常のファイナルセットを行い、最終的に仕上密度が経156本/in、緯86本/inの染色加工布を得た。走査電子顕微鏡を使用し該染色加工布の表面を観察したところ、該二段弛緩熱処理後のポリエステルマルチフィラメント未延伸糸が自己伸長してなるループを形成し該染色加工布表面を効果的に覆うものとなっており、適度にふくらみ感(嵩高性)、ソフト感を有するものになっているが、微細捲縮を該ループ部が有しないために触感として微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を感じるものとはならず、ポリエステル特有のヌメリ感の残存する、品位的に好ましくない布帛構造物であった。
【0038】
【発明の効果】上述の如く構成された本発明に係わる潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条及びその混繊糸は布帛構造物として製織編した後、通常の染色加工を施すことによって、潜在微細捲縮発現性ポリエステルマルチフィラメント糸条が自己伸長発現及び微細捲縮発現することによってランダムなループを多数形成し、該ループが多層となって布帛構造物表面を覆い、適度なふくらみ感(嵩高性)、ソフト感、はり腰感、更には微妙な表面タッチ(マイクロパウダータッチ)を有する、ドレス、ジャケット、スカート、パンツなど婦人衣料用途として好適な布帛構造物に加工し得る等の顕著な効果を奏するものである。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月6日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−21026
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−171043