トップ :: D 繊維 紙 :: D02 糸;糸またはロ−プの機械的な仕上げ;整経またはビ−ム巻き取り




【発明の名称】 紡績糸
【発明者】 【氏名】北洞 俊明

【目的】 耐熱性、難燃性及び糸強力に優れた紡績糸を提供する。
【構成】 単繊維繊度1〜3デニール、平均繊維長30〜200mmのポリベンザゾール繊維からなる強度が15g/d以上で下記式を満足する紡績糸。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 単繊維繊度1〜3デニール、平均繊維長30〜200mmのポリベンザゾール繊維から構成された強度が15g/d以上で下記式(1)を満たすことを特徴とする紡績糸。
10.0≦ K・(L)1/3≦15.0 ………… 式(1)
K:撚係数=T/(Ne)1/2L:平均繊維長(mm)
T:撚数(T/in)
Ne:英式綿番手【請求項2】 紡績糸を構成する繊維の長さが分布を有することを特徴とする請求項1記載の紡績糸。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリベンザゾール繊維からなる強力及び耐熱性に優れた、風合が良好な紡績糸に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の高強力耐熱性繊維であるパラ糸芳香族ポリアミド繊維などは、紡績糸の強度が極端に小さく、その繊維の有する強度を充分に活かすことが出来なかった。また特開平4−361633号公報などに、繊維の強度を活かすために、単糸繊度を1d以下、好ましくは0.8d以下でかつ毛羽数を少なくしたいわゆる特殊紡績糸が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、特殊な細デニールの繊維を使うことなく、従来の高強力耐熱性紡績糸に比べて、高強力かつ高耐熱性を実現された紡績糸を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】なすわち、本発明は単繊維繊度1〜3デニール平均繊維長30〜200mmのポリベンザゾール繊維から構成された強度が15g/d以上で下記式(1)を満たす紡績糸であり、 10.0≦ K・(L)1/3≦15.0 ………… 式(1)
K:撚係数=T/(Ne)1/2L:平均繊維長(mm)
T:撚数(T/in)
Ne:英式綿番手上記紡績糸を構成する繊維が分布を有する紡績糸である。
【0005】本発明の紡績糸を構成する単繊維の繊度は1デニール以上3デニール以下である。繊度が1デニール未満の場合には、糸条の毛羽が多くなることが起因して、該紡績糸のテキスタイル加工時の加工性が劣り得られる布帛外観も劣るものとなる。又、紡績糸強力も不充分なものしか得られない。一方繊度が3デニールを超える場合には、紡績糸を構成する繊維本数が低下することが起因して、紡績糸の強力の低下、又、該紡績糸を用いて得られる布帛の柔軟性に劣るものとなる。加えてポリベンザゾール繊維が有している難燃性、耐熱性に基づく、布帛での耐接炎性が低下する。好ましくは1〜2.5デニールである。
【0006】平均繊維長は30mmから200mmの範囲が良い。30mm未満の場合は、紡績糸強力が低下し好ましくなく、一方200mmを超える場合は、紡績糸としての風合などが損なわれ、用途が著しく限定される。さらに好ましくは50mmから200mmの範囲が良い。たとえば紡績糸の毛羽を有効に活用して、ラバーなどの複合材料としての接着性の向上が期待できなくなる。この点などから本発明の紡績糸を構成する繊維の繊維長は、分布を有することも有効である。分布を有する繊維から構成される紡績糸を得る方法の一例として、トウを牽切し、スライバーとした後、粗紡、精紡工程を通過させて紡績糸とする方法がある。この際、トウの牽切を容易化し、得られるスライバーの繊維平行度の確保及びスライバーの太さ斑の低減を達成するために、繊維の繊度が1〜3デニールであることは有効である。
【0007】このいわゆる牽切方式は、本発明の紡績糸を得る方法の好適な例である。その理由は繊維平行度の確保、太さ斑の低減ばかりでなく、紡績糸の強度の確保に有効である。通常のカードを用いる紡績プロセスでは、カード通過性を確保するために、繊維にクリンプを付与することが必要である。本発明で使用するポリベンザゾール繊維のクリンプを付与された繊維を詳細に観察すると、キンクと呼ばれる横溝が多く見られる。これが直接起因して繊維強力が低下し、それ故、紡績糸強力が低下する。また、キンク部分が太陽光などにさらされることにより劣下し強力低下を生じ、紡績糸強力の低下となる。牽切紡績は、クリンプを繊維に付与することなく、紡績糸を得ることが可能なため、ポリベンザゾール繊維からなる高強力紡績糸を得るために、極めて有効な紡績方法である。カードを用いる紡績方法を用いる際には、繊維に極力ダーメージを与えない製造条件を採用することにより、本発明の紡績糸を得ることは可能である。尚、本発明でいう「繊維の長さが分布を有する」とは繊維の長さが均一の所謂定長カットにより得られた繊維以外の繊維で、所謂牽切紡績により得られた繊維、等繊維の長さに一定の分布を有するものをいう。
【0008】本発明の紡績糸は式 を満たすことが必要である。この式 を満たすことにより、高強力で糸外観に優れ、又風合にも優れた紡績糸となる。式 の値が10未満の場合は紡績糸の強度が低下し、逆に15を超えても繊維の強力利用率の低下に伴ない紡績糸の強度が低下し、しかも布帛にした場合の風合いが粗硬となり好ましくない。好ましい範囲は11.0〜14.0である。尚、撚係数Kは2.5〜4.0が好ましい。
【0009】本発明の紡績糸を用いたテキスタイル品、例えば織物では高度難燃高強力織物となる。用途としては、汎布、各種作業着などが好適な例として考えられる。又、本発明の紡績糸を織物の経糸または緯糸のいずれか、もしくは両方に用いることで、所望の用途での強力向上が容易に得られる。さらに、高強力を必要とはしないが、後工程通過性や、製品としての力学的特性のあるレベルが必要な用途においては、布帛の軽量化を到達することが可能となる。また本紡績糸の特徴の1つに耐切創性にすぐれることも挙げられる。この特徴を活かした安全保護具なども用途例としては好適である。
【0010】ポリベンザゾール繊維とはポリベンザゾール(PBZ)ポリマーからなる繊維をいう。ポリベンザゾール(PBZ)とは、ポリベンゾオキサゾール(PBO)ホモポリマー、ポリベンゾチアゾール(PBT)ホモポリマー及びそれらPBO、PBTのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーをいう。ここでポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾチアゾール及びそれらのランダム、シーケンシャルあるいはブロック共重合ポリマーは、例えばWolfe らの LiquidCrystalline Polymer Compositions, Process and Products U.S.Patent 4,703,103(October 27, 1987)、「Liquid Crystalline Polymer Compositions, Process and Products U. S. Patent 4,533,692(August 6, 1985) Liquid Crystalline Poly(2,6-Benzothiazole) Compositions, Process and Products U.S.Patent 4,533,724 (August 6, 1985) Liquid Crystalline Polymer Compositions,Process and Products U. S. Patent 4, 533, 693 (August 6, 1985)Evers の Thermooxidatively Stable Articulated p-Benzobisoxazle and p-Benzobisthiazole Polymers U. S. Patent 4,359,567 (November 16, 1982) Tsaiらの Method for making Heterocyclic Block Copolymer U. S. Patent 4,578,432 (March 25, 1986) などに記載されている。
【0011】PBZポリマーに含まれる構造単位としては、好ましくはライオトロピック液晶ポリマーから選択される。モノマー単位は構造式(a)−(h)に記載されている。そのポリマーは好ましくは、本質的に構造式(a)−(h)から選択されるモノマー単位からなり、さらに好ましくは、本質的に構造式(a)−(c)から選択されたモノマー単位からなる。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【実施例】以下に実施例と比較例を示すが、本特許の主旨を越えない限り、これに拘束されるものではない。
(実施例1〜3)(比較例1〜2)極限粘度数30dl/gのシスーポリベンゾオキサゾール(PBO)をポリ燐酸に14重量%溶かした紡糸ドープを、0.22mmのオリフィス径を有する334孔数のノズルから、温度160℃単孔吐出量0.122ccで押し出した。ノズルから押し出された繊維状のドープは22cmのエアーギャップを通過し、その中で引っ張られて約22℃に調整された凝固浴を通り、更に走行速度約200m/minで連続的に5対以上のローラーで水洗され、続いて一旦巻取られることなく乾燥し、紡績用油剤を付与した後、巻取られた。得られた繊維の単糸繊維強度は42g/d、単糸デニールは1.5dであった。得られた繊維を30000デニールのトウに合糸した後、押し込み式クリンパで捲縮を付与し、ロータリーカッターで切断し繊維長の異なるポリベンゾオキサゾールステープルを得た。得られたPBOステープルから20番手の紡績糸を製造した。得た紡績糸を用いて平織物を製造した。結果を表1に示す。製織性は実施例1〜3は良好であったが、比較例1は、糸のトルクが大のため、ビリなどが発生し、取り扱い性に劣るものとなり、比較例2もその傾向が見られた。
【0015】
【表1】

【0016】得た織物の風合は実施例1〜3は、PBO繊維の柔軟な風合をそのまま活かしたものとなった。一方比較例1,2はごわごわした風合の織物であった。全体的には、実施例1〜3は高い糸強度が起因して、織物の力学特性も良好であり、目的とする防炎性かつ風合に優れるものであった。防炎性の測定はJIS L1091に準拠して測定した。結果は、炭火長が0cmときわめて良好であった。
【0017】(実施例4〜5)(比較例3〜7)極限粘度数30dl/gのシスーポリベンゾオキサゾール(PBO)をポリ燐酸に14重量%溶かした紡糸ドープを、0.22mmのオリフィス径を有する334孔数のノズルから、押し出した。ノズルから押し出された繊維状のドープは22cmのエアーギャップを通過し、その中で引っ張られて約22℃に調整された凝固浴を通り、更に走行速度約200m/minで連続的に5対以上のローラーで水洗され、続いて一旦巻取られることなく乾燥し、紡績用の油剤を付与した後、巻取られた。得られた繊維の単糸繊維強度は42g/d、であった。得られた繊維を30000デニールのトウに合糸すると同時に牽切し、表2に示す平均繊維長のファイバーを得た。該ファイバーからなる牽切スライバーを粗紡・精紡工程を経て英式番手30 の紡績糸を得た。該糸を用いて平織物を製造した。これらの性能を表2に示す。実施例4,5は糸物性、織物風合ともに優れるものであった。一方比較例4〜6は、各々織物風合、糸強度などに劣るものとなった。
【0018】
【表2】

【0019】
【発明の効果】本発明における紡績糸は下記の効果を有する。糸強力に優れる。耐熱性に優れる。ポリベンザゾール繊維の分解温度は650℃である。平均繊維長と撚数のバランスが良いので、風合かつ外観に優れる。難燃性に優れる。本紡績糸から得られる布帛は耐切創性に優れる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月4日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−21025
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−168605