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【発明の名称】 ポリエステル複合糸条
【発明者】 【氏名】藤田 隆嘉

【氏名】柳楽 重雄

【氏名】馬場 克己

【目的】 適度なハリ、コシ、ドレープ性とソフトなドライパウダータッチがあり、しかも自然なムラ感とキシミ感を有する新規なポリエステル複合糸条を提供する。
【構成】 下記物性を有するマルチフィラメントAと単繊維デニール及び断面形状が異なる2種以上のフィラメント群からなるマルチフィラメントBを含んで構成される複合糸条であって、複合糸条として交絡度(Di)が20〜100ケ/mで集束され、且つウースターノルマル(URN)が10%以上であることを特徴とするポリエステル複合糸条:マルチフィラメントA・熱水収縮率(SHW)≧15%・破断強度(DT)≧3.5g/dマルチフィラメントB・熱水収縮率(SHW)≦7%・フィラメント群間の熱水収縮率差(ΔSHW)≦5%・単繊維デニール(dpf)が1.0d以下のフィラメント及び2.0d以上のフィラメントがそれぞれマルチフィラメントBのデニール比率で20%以上である・異形度が1.2以上かつ突起が2以上の断面を有するフィラメントが混合されている
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記物性を有するマルチフィラメントAと単繊維デニール及び断面形状が異なる2種以上のフィラメント群からなるマルチフィラメントBを含んで構成される複合糸条であって、複合糸条として交絡度(Di)が20〜100ケ/mで集束され、且つウースターノルマル(URN)が10%以上であることを特徴とするポリエステル複合糸条:マルチフィラメントA・熱水収縮率(SHW)≧15%・破断強度(DT)≧3.5g/dマルチフィラメントB・熱水収縮率(SHW)≦7%・フィラメント群間の熱水収縮率差(ΔSHW)≦5%・単繊維デニール(dpf)が1.0d以下のフィラメント及び2.0d以上のフィラメントがそれぞれマルチフィラメントBのデニール比率で20%以上である・異形度が1.2以上かつ突起が2以上の断面を有するフィラメントが混合されている【請求項2】 マルチフィラメントBが、単繊維デニール及び断面形状が異なる3種以上のフィラメント群からなることを特徴とする請求項1記載のポリエステル複合糸条。
【請求項3】 マルチフィラメントA、マルチフィラメントB及び他の糸条の少なくとも一部がカチオン可染性ポリエステルからなる請求項1又は2記載のポリエステル複合糸条。
【請求項4】 マルチフィラメントA、マルチフィラメントB及び他の糸条の少なくとも一部が微細孔形成剤を0.5重量%以上含むポリエステルからなる請求項1又は2記載のポリエステル複合糸条。
【請求項5】 ウースターノルマル(URN)が15%以上のフィラメント群が、デニール比率で10%以上である請求項1〜4のいずれか記載のポリエステル複合糸条。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は適度なハリ、コシ、ドレープ性とソフトなドライパウダータッチがあり、しかも自然なムラ感とキシミ感を有する新規なポリエステル複合糸条に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルマルチフィラメントは従来からその優れた特性を生かして衣料用途を始め各種の用途に使用されている。衣料用途ではシルクは一つのターゲットとして、各社で検討が進められ、一部の分野では絹を凌駕する特性、風合いが得られている。例えば、熱収縮特性を異にする複数本のマルチフィラメントからなる複合糸条の織編み物はソフト、嵩高、ウオーム感等の優れた特性、風合いを示し広く使用されている。しかしながら、これらの複合糸条の織編み物は低熱収縮糸の収縮率以上に布帛で収縮させないと膨らみは出ず、一方布帛を大きく収縮させると表面が荒れたり製品でのパッカリング等の問題も起きやすかった。また、これらのこれまでに知られている高熱収縮糸と低熱収縮糸の混繊糸はそれぞれのマルチフィラメントがほぼ同じフィラメントから構成されているので、特に膨らんだファイバーが均整でそのため単調な外観、タッチになっていた。
【0003】これに対し、断面形状、単糸デニール、沸水収縮率、破断伸度等の異なる複数群のマルチフィラメントからなる混繊糸が特開昭62−156327号、特開昭62−268834号、特開昭63−120134号等で提案されている。しかし、これらの混繊糸により得られた織編み物は自然なムラ感、膨らみ、キシミ感を有するが、いずれも不充分なものであった。
【0004】一方、熱処理により伸長するファイバーと収縮するファイバーとの複合が、例えば特開昭60−28515号、特開昭50−148651号、特開昭56−123419号、特開昭55−62240号、特開昭56−112537号、特開昭56−11253号等で提案されている。これらのもののうちフィラメント同士の複合糸である特開昭60−28515号、特開昭50−148651号は前記の収縮糸同士のものに比べるとはるかに嵩高でソフトで柔軟な風合いの織編み物が得られるが、表面が非常に綺麗で単調な外観であった。これを解消するために熱により伸長するフィラメントの長手方向に斑を持たせる方法が例えば特開平6−25932号等で提案されている。この方法によれば長手方向で伸長ループ、染着性にも差があり、斑感のあるナチュラルな感覚が得られるが、伸長性及び斑の安定性に問題があり、工業的に安定して生産することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はポリエステル複合糸条における、前記従来技術の欠点を解消するために創案されたものであり、その目的とするところは適度なハリ、コシ、ドレープ性とソフトなドライパウダータッチがあり、しかも自然なムラ感とキシミ感を有する新規なポリエステル複合糸条を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者はかかる目的を達成するために鋭意検討した結果、次のような構成を有するポリエステル複合糸条に到達した。
【0007】即ち、本発明は下記物性を有するマルチフィラメントAと単繊維デニール及び断面形状が異なる2種以上のフィラメント群からなるマルチフィラメントBを含んで構成される複合糸条であって、複合糸条として交絡度(Di)が20〜100ケ/mで集束され、且つウースターノルマル(URN)が10%以上であることを特徴とするポリエステル複合糸条:マルチフィラメントA・熱水収縮率(SHW)≧15%・破断強度(DT)≧3.5g/dマルチフィラメントB・熱水収縮率(SHW)≦7%・フィラメント群間の熱水収縮率差(ΔSHW)≦5%・単繊維デニール(dpf)が1.0d以下のフィラメント及び2.0d以上のフィラメントがそれぞれマルチフィラメントBのデニール比率で20%以上である・異形度が1.2以上かつ突起が2以上の断面を有するフィラメントが混合されている【0008】以下、本発明を更に詳細に説明する。まず本発明において重要な要件である、ポリエステル複合糸条を構成するマルチフィラメントA、マルチフィラメントBの熱収縮特性について述べる。本発明のポリエステル複合糸条を構成するマルチフィラメントAの熱水収縮率(SHW)は15%以上であり、一方マルチフィラメントBの熱水収縮率(SHW)は7%以下である。勿論マルチフィラメントBの熱水収縮率は負(マイナス)であってもよい。このとき織編み物の膨らみを発現させるためにはマルチフィラメントAとマルチフィラメントBの熱水収縮率差(ΔSHW)は10%以上であることが好ましい。但し、マルチフィラメントAのSHWが大きくてマルチフィラメントAとマルチフィラメントBのΔSHWが大きくなると製品でのパッカリングの問題が生じやすいので、マルチフィラメントAのSHWは60%未満、マルチフィラメントAとマルチフィラメントBのΔSHWは50%未満であることが好ましい。
【0009】また主として織編み物の収縮を決めるマルチフィラメントAの熱応力は好ましくは0.3g/d以上であり、該熱応力の立ち上がり温度は好ましくは65℃以上、更に好ましくは80℃以上である。65℃未満のように低い熱応力の立ち上り温度で撚糸セット、サイジング等の工程で熱処理されると、それで熱セットが固定されて染色加工工程で熱処理しても織編み物が収縮しなくなり風合いが確保できなくなる。従って、熱応力がなくならない温度、例えば熱応力の立ち上り温度以下で熱セット、乾燥する必要があるが、これではセット効率が著しく悪くなるので好ましくないのである。
【0010】またマルチフィラメントBのSHWは7%以下でなければならない。勿論マルチフィラメントBは2種以上の単繊維デニール及び断面形状の異なるマルチフィラメント群から構成されているので、全部のフィラメント群のSHWが7%以下であることが好ましいが、7%を越えるものが全体のSHWを左右しない程度の少量含まれていてもよい。これはフィラメント長差による風合いを発現させるためには織編み物を(マルチフィラメントBの収縮率より)大きく収縮させないと糸長差が発現しないので7%以下に限定されるのである。
【0011】さらにマルチフィラメントBのフィラメント群間のΔSHWは5%以下でなければならない。マルチフィラメントBのフィラメント群間のΔSHWが5%を越えると突出するフィラメントが少なくなって膨らみが不充分になるため好ましくない。
【0012】またマルチフィラメントAもSHWが15%以上の複数のマルチフィラメント群からなることが好ましい。織編み物を構成する糸の収縮を該糸の収縮率より大きくすれば糸長差による膨らみが発現し且つ不均整な形態になりナチュラルな表面、外観、タッチが助長されるからである。但し、マルチフィラメントBより効果が小さいのでこのことは必須ではない。
【0013】本発明の複合糸条を構成するマルチフィラメントBは単繊維デニール及び断面形状が異なる2種以上のフィラメント群からなることが必須であり、より好ましくは3種以上のフィラメント群から構成される。さらに単繊維デニール(dpf)が1.0d以下のフィラメント及び2.0d以上のフィラメントがそれぞれマルチフィラメントBのデニール比率で20%以上占めていなければならない。またマルチフィラメントBは異形度(該フィラメントの断面の拡大写真を公知の方法で撮り、内接円と外接円の比率で表わす)が1.2以上且つ突起が2以上の断面を有するフィラメントが混合されていなければならない(本発明に好適に使用されるマルチフィラメントの断面形状は図2を参照されたい)。これは膨らみを形成するフィラメント群がソフトさ(1.0d以下のフィラメント群)と反発性(2.0d以上のフィラメント群)を有し且つヌメリ感が出ないように突起を有する断面にするためである。また1.0d以下及び2.0d以上のフィラメント群がそれぞれマルチフィラメントBのデニール比率で20%以上ないと前記の効果が出ないためである。
【0014】マルチフィラメントBは上記のような特徴を有する複数群のフィラメント群から構成されるので、鞘部の突出(ループ)部は一様でなく、自然な外観、タッチが表現できる。芯部を形成するマルチフィラメントAもマルチフィラメントBと同様に断面、デニールの異なるものから構成することが前記の効果が助長されるので好ましいが、マルチフィラメントBに比して効果が小さいので必ずしもこれにこだわらない。ただ複合糸条のハリ、コシ弾発性はほぼマルチフィラメントAによって決まるので、単繊維デニールは2.0d以上、更に好ましくは3.0d以上、用途によっては更に太いものが好ましく、より弾発性を発揮させるためには中空を1乃至2有するものが好ましい。
【0015】次に本発明では複合糸条のウースターノルマル(URN)が10%以上でなければならない。これは布外観、タッチにナチュラルな感覚を持たせるためである。この場合、鞘糸を形成するマルチフィラメントBに含ませるのが好ましいが、必ずしもそれに限定されずマルチフィラメントAに含まれていてもかまわない。また複合糸条中、URNが15%以上のフィラメント群がデニール比率で10%以上あることが好ましい。URNの小さいものだけでは外観が目立ちにくいからである。しかし複合糸条としてのURNは20%以下であることが好ましい。これはあまりURNが大きくなるとムラが強調されていやらしい感じのものになるからである。
【0016】次にマルチフィラメントAは破断強度(DT)≧3.5g/dでなければならない。複合糸条及び織編み物の強度は殆どマルチフィラメントAで決定されるからである。更に複合糸条としての破断強度(DT)は2.5g/d以上が好ましく、更に好ましくは3.0g/d以上である。
【0017】本発明では複合糸条を構成するマルチフィラメントA、マルチフィラメントB及び他の糸条の少なくとも一部が例えば5−ナトリウムスルホン酸金属塩等を共重合したカチオン可染性ポリエステルからなることが好ましい。構成フィラメント群の一部がカチオン可染性ポリエステルであれば要求に応じて異染性を強調したもの、トーン、トーンを強調したものもでき、全部がカチオン可染性ポリエステルであればさらさらにしたソフトドライタッチがより強調され、カチオン染料での鮮明性も可能で、幅広い用途に使用可能となるからである。
【0018】またマルチフィラメントA、マルチフィラメントB及び他の糸条の少なくとも一部が例えばカオリナイト、メタカオリン等の微細孔形成剤を0.5重量%以上含むポリエステルからなるマルチフィラメントからなることが好ましい。減量加工でマイクロポーラスを発現させると、乾いたタッチと濃色感も表現できるからである。
【0019】本発明の複合糸条は交絡度(Di)20〜100ケ/mで絡合されていることも必要である。交絡度が20未満ではマルチフィラメント同士がしごかれると糸が分離し易く、フィラメントバラケにより工程通過性を著しく阻害するからである。しかし交絡度が100を越えるとマルチフィラメントAのモノフィラメントが切断し毛羽になることもあり好ましくないので、本発明の範囲から除外される。また本発明の複合糸条は無撚でも使用することができるが、撚係数(T√D)5000〜25000で加撚されていてもよい。
【0020】次に本発明の複合糸条を具現化する方法、装置について述べる。本発明の複合糸条の製造装置の一例の概略図を図1に示す。図1の装置によれば、低熱収縮糸、自発伸長糸のいずれも後述する物性となるように(弛緩)熱処理することができ、次いで所定の高収縮糸と複合した後、交絡することができる。低熱収縮性及び高熱収縮性の単繊維繊度の異なるフィラメント群の複合されたポリエステルマルチフィラメントA、ポリエステルマルチフィラメントBを製造するためには、フィラメント群a,b,cを別個に紡糸、延伸して所定の物性のマルチフィラメントを得た後、複合することもできるが、予め実験でNZ孔径とフィラメントデニールの関係により設計されたNZでNZ内混繊により製造するほうが効率的で好ましい。また自発伸長性を有するポリエステルマルチフィラメントBを製造するためには、熱収縮性マルチフィラメントと同様にフィラメント群ごとに紡糸−延伸−熱処理してもよいが、前記のNZ内混繊によって製造することもできる。
【0021】まず紡糸速度1500〜4000m/min程度で紡糸した未延伸糸を延伸温度Tg〜Tg+20℃且つ延伸後の破断伸度30〜45%、Δn 0.10〜0.14の範囲で延伸する。ここで、Tgはガラス転移点温度、Δn は複屈折率である。紡糸速度1500m/min未満では延伸後の物性が不安定となり、また4000m/minを越えると延伸後の熱収縮率が低く自発伸長率も低くなるので好ましくない。好ましくは紡糸速度は2000〜4000m/minである。延伸温度は延伸安定性のため、Tg以上の温度が必要であるが、Tg+20℃の温度を越えると結晶化が進み、自発伸長性は低下する。また延伸倍率も自発伸長性発現にとって重要であるが、延伸時の糸切れ等、操業性の面では破断伸度が30%以上必要であり、破断伸度が45%を越えると糸斑の発生が見られ、好ましくない。
【0022】またΔn は上記のように0.10〜0.14の範囲にする必要があり、この範囲外ではリラックス熱処理による自発伸長性の安定性に欠ける。自発伸長性を与える非接触式ヒーターによるリラックス熱処理はデニール、速度及び必要とする伸長率によって異なるが、ヒーター温度は170〜(Tm−10)℃が好ましい。ヒーター温度が(Tm−10)℃を越えると、ドッフィング停台中にヒーターの熱により糸が溶断し再起動性が低下し、工業的には使用できない。ここでTmは融点を表わす。なお、引取ローラー速度Vyは操作性、操業性の面から100〜1500m/minが好ましい。ヒーターは高弛緩率を得る場合には非接触ヒーターが好ましく、低収縮化の場合は接触式ヒーターでも可能である。これらのマルチフィラメントBと別個に製造したマルチフィラメントAと必要に応じて他の糸を合わせて複合糸条として交絡数20−100ケ/mになるように前記のインターレースノズルで交絡する。
【0023】本発明を以下の実施例により更に説明するが、本発明はもとより下記実施例により制約を受けるものではない。
【0024】
【実施例】なお、本発明で実施した測定方法は以下の通りである。
(1)破断強度(DT)、伸度JIS−L−1013(1992)に準じ、東洋ボールドウィン社製テンシロンを使用して試料長(ゲージ長)200mm、引張速度200mm/分でS−S曲線を測定し、破断強度、伸度を算定した。
【0025】(2)熱水収縮率(SHW)
JIS−L−1013(1992)に準じ、次の方法に依った。すなわち適当な枠周のラップリールで初荷重1/10g/デニールで8回捲のカセをとり、カセに1/30g/デニールの荷重をかけ、その長さ10 (mm)を測定する。次いでその荷重を取り除き、1/1000g/デニールの荷重を掛けた状態でカセを沸騰水中に30分間浸漬する。その後カセを沸騰水から取り出し、冷却後再び1/30g/デニールの荷重をかけてその時の長さ11 (mm)を測定する。熱水収縮率(SHW)は次式により算定される。
SHW=(10 −11 )×100÷10 (%)
【0026】(3)交絡度(Di)
適当な長さの糸を取り出し、下端に1/10g/デニールの荷重を掛けて垂直につり下げる。次いで適当なニードルを糸に突き刺し、静かに持ち上げ、ニードルが停止した距離1(cm)を100回測定し、これより平均値1(cm)を求め、次式により算定する。
交絡度(Di)=100÷(2×1)
【0027】(4)ウースターノルマル(URN)
ツェルベガー社製ウースターイーブネステスターC型を使用し、糸速度50m/分で走行させ、仮撚を付与しつつ試料のデニールに応じたスロットにてノーマルで2分間測定チャートを2.5cm/分で描かせる。次いでチャートを2.5cmで2分割し、それぞれの最高値(M1,M2)/最低値(L1,L2)を読み取り、これらの値から次式により算定する。
URN=〔(M1+M2)+(|L1|+|L2|)〕/2【0028】(5)異形度適当な倍率でフィラメント断面を撮影し内接円と外接円の比率で表わす。
【0029】実施例 1〜5、比較例 1〜6熱収縮性のマルチフィラメントは原則として通常のポリエチレンテレフタレート100%、TiO2 0.3%混合、IV0.6のホモポリマーを通常の方法で紡糸引取速度1800m/minで延伸後のデニール、DT、SHW、断面、異形度が第1表の物性になるように、紡糸吐出量、NZ、断面、延伸倍率、ホットプレート温度、2次セット条件を変更して得た。なお、実施例3及び比較例4のマルチフィラメントAは通常のポリエステルに代えて、イソフタル酸を10%共重合したポリエステルを使用した。
【0030】また熱により伸長するフィラメント(SHWが負)は紡糸引取速度3000m/minで行ない、その後は熱収縮性のマルチフィラメントと同じように紡糸吐出量、NZ、断面、延伸倍率、セット条件を変更、更に図1のリラックス一複合機で他の糸と複合後、インターレーサーで所定のDiが得られるようにフィード比、エアー圧を調整して得た。なお、エアーノズルはファイバーガイド社製エアージェットFG−1を使用した。
【0031】得られた複合糸条を通常の方法で撚糸後低温サイジング(乾燥温度75℃)し、次いで緯糸に市販の東洋紡製エステルE75−72−729を通常の撚糸機でSZ3000T/Mを使用してデシンを製織し、染色仕上げ後、織物の風合い、外観を判定した。また操業性として特に撚糸、捲返し、製織性について判定し、風合い、外観、操業性を総合的にみた総合判定をそれぞれ第1表に記載した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】実施例1〜5はいずれも、膨らみ、ハリ、コシとソフトなドライパウダータッチがあり、しかも自然なムラ感があり、操業性も良好であった。
【0035】比較例1はマルチフィラメントBとして自発伸長糸を使用したものでソフトな風合いは得られたが、マルチフィラメントBのURNが小さくかつ1種の丸断面のマルチフィラメントからなり、しかも単繊維デニール(dpf)が1.5dのみからなっているので、膨らみ部の反発が不足し、ややヌメリ感があり、外観が均整で単調な外観、タッチとなった。また交絡度(Di)が低いために撚糸での糸の引っ掛かりによる糸切れも多発して操業性に問題があった。
【0036】比較例2はマルチフィラメンAの熱収縮率(SHW)が低いので膨らみに乏しく、マルチフィラメントBの強力が低いので、織物の引き裂き強力が350gしかなく、更に操業性においても複合時インターレーサーでフィラメント切れが発生し、撚糸、織工程とも糸切れが多発した。比較例3はフィラメントBの太デニール糸の単繊維デニール(dpf)が2.0dしかないので、比較例1と同様に膨らみ部の反発が不足したものとなった。
【0037】比較例4はマルチフィラメントBの細デニール糸の単繊維デニール(dpf)が1.5dと太いため、ソフトさに欠けたものとなった。またマルチフィラメントAの熱収縮率(SHW)が70.5%と高く、染色加工での織物の収縮も大きく、製品でパッカリングの問題も生じた。比較例5はマルチフィラメントBの熱収縮率(SHW)が大きくマルチフィラメントAとの熱収縮率差(ΔSHW)も小さいため、充分膨らみが発現せず、風合いとして不充分なものであった。比較例6はマルチフィラメントBを構成するフィラメント群a,bの熱収縮率差(ΔSHW)が6.0%と大きいため、膨らみとなる成分が少なく、風合いとして不充分なものであった。
【0038】
【発明の効果】このように本発明のポリエステル複合糸条は従来のものに比較して適度なハリ、コシ、ドレープ性とソフトなドライタッチがあり、しかも自然なムラ感を有し、工程通過性も優れているという顕著な効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安達 光雄 (外2名)
【公開番号】 特開平9−13240
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−183574